JP2006204449A - 暖房便座 - Google Patents

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Abstract

【課題】 便座強度を着座に十分な強度にでき、しかも樹脂の成形材料も削減できると共に軽量化を図ることができ、さらにヒータの裏面側への熱伝導を抑えて熱損失を少なくできると共に表面の温度を速やかに上げることができ、さらに補強リブによりヒケ等が発生しても外観上見えないようにして意匠性を向上することができる暖房便座を提供する。
【解決手段】 樹脂成形品のベース4の上面に断熱材5を積層すると共にその上面に面状発熱ヒータ6を積層し、その上面に樹脂成形品の薄膜の表面膜7を積層した暖房便座である。樹脂成形品のベース4は外面に面する部分は肉厚を薄くした外殻部8となり、外殻部8を外殻部8内の補強リブ9で補強している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、用便のために着座したとき臀部を暖める暖房便座に関するものである。
図4に一般的な暖房便座装置の全体的な構造を示す。この暖房便座装置は、人体の局部の洗浄を行う機構をを有する局部洗浄装置本体1と使用者が座るための便座2と便座2や便器を覆うための便蓋3とで構成していた。この便座2は図5に示す便座上部2aと便座下部2bとから形成されており、この便座上部2aと便座下部2bとの間に熱源を配置してある。
従来、便座2に熱源を設ける場合、便座上部2aの裏面に熱源としてアルミニウム箔等を貼り付けたチュービングヒータ、温度制御機構として温度ヒューズ等を配置して、着座時に人体の臀部を暖めるための便座暖房機能を持たせていた。チュービングヒータはニクロム線の周りを絶縁材で被覆したものであり、チュービングヒータはコストと信頼性のバランスに優れているために従来は上記の構造が一般的であった。
しかし、このような構造では便座上部2aの裏面に熱源を配置しているために、便座着座時等に十分な強度を持たせるためには便座上部2aの樹脂に適当な厚みが必要になることを考慮すると、熱源から人体までの間に存在する物質の熱容量により、通電開始後から快適な着座温度に昇温させるのに、特に冬場は時間がかかる。従って、使用時に快適な便座暖房温度を提供するためには未使用時においても常に便座2を一定温度で保つ必要があり、電力、コストの無駄になっていた。また通電開始後に熱源から便座2表面までの熱伝導をよくするために、熱源から人体までの物質の熱容量を小さくした場合においても、チュービングヒータのような線状のヒータでは、ヒータ通電後に速やかに温度を上げたい場合に、ヒータ上の箇所とそうでない箇所に温度差が大きくなり、便座2上を快適な温度にすることは困難である。
このような従来の暖房便座の問題点を解決するために、熱源に面状発熱ヒータを用いる提案が行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この特許文献1のものはポリエステル樹脂等の箔に正の温度抵抗特性を持つ導電性発熱材と電極とを印刷または塗布で形成した面状発熱ヒータを便座の本体の成形と一体成形により内蔵させるものである。また一体成形の手段として、特許文献2のように便座上部を合成樹脂シートから真空成形により成形し、その裏面部の彎曲状に沿って面状発熱ヒータを貼り付け、射出成形により便座裏面部を一体に形成することが提案されている。しかし、このような面状発熱ヒータを一体的に形成する際には、温度むらを少なくするために人体から熱源までの距離を便座上で一定にしておく必要があり、そのため面状発熱ヒータを便座の形状に合わせて複雑な曲面状に形成する必要性がある。
また他の手段として、便座表面または便座上部の裏側に直接印刷または塗布により面状発熱ヒータを形成することも考えられるが、この手段では面状発熱ヒータの厚さを均一に便座表面や便座上部裏面に形成することが困難であり、面状発熱ヒータの厚さが均一でないことから単位面積当たりの抵抗値が異なり、温度むらとなることが考えられる。そこで面状発熱ヒータの形成の容易さの観点からも、薄膜状の平面の箔に正の温度係数を持つ導電性樹脂と電極を印刷、塗布等により形成後に、それを便座と一体に成形することが最適と考えられる。
特開昭58−124417号公報 特公平7−10250号公報
上記のように、従来の便座上部の裏面にチュービングヒータを配置した暖房便座では、着座可能な強度にするために便座上部にある程度の厚さが必要であった。そのために便座表面が快適に着座する温度まで上昇するのに時間がかかった。また便座上部を薄くした場合は、チュービングヒータを便座上部の裏面に配置しているため、温度むらの原因となり、しかもこの場合、便座強度を保つために補強リブを配置しようとしても、便座上部の裏面にチュービングヒータがあるために十分な強度を持たせるための補強リブを構成することが困難である。さらに補強リブを便座上部に形成した場合、便座上部の表面にヒケ等が発生することが考えられ、意匠等に影響するという問題がある。
また熱源を面状発熱ヒータとした場合、便座表面の温度を速やかに上昇させるためには、面状発熱ヒータの周りの物質の周りの熱容量を小さく抑えることが課題となる。よって着座側と反対方向のヒータ面を断熱構造にすることが必要になる。しかしながら、断熱材は一般的に断熱性能と強度とは反比例するために、便座表面の即暖性と便座の強度を両立させることは困難である。よって断熱材補強と同時に断熱性能を向上させる構造とすることが必要になる。
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、便座強度を着座に十分な強度にでき、しかも樹脂の成形材料も削減できると共に軽量化を図ることができ、さらにヒータの裏面側への熱伝導を抑えて熱損失を少なくできると共に表面の温度を速やかに上げることができ、さらに補強リブによりヒケ等が発生しても外観上見えないようにして意匠性を向上することができる暖房便座を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために本発明の請求項1の暖房便座は、樹脂成形品のベース4の上面に断熱材5を積層すると共にその上面に面状発熱ヒータ6を積層し、その上面に樹脂成形品の薄膜の表面膜7を積層した暖房便座であって、樹脂成形品のベース4は外面に面する部分は肉厚を薄くした外殻部8となり、外殻部8を外殻部8内の補強リブ9で補強したことを特徴とする。
上記の構成によれば、ベース4の外殻部8の肉厚を薄くしても補強リブ9にて補強して便座の強度を増すことができる。またこれによりベース4を成形する成形材料を削減できると共に便座の電動開閉等で重要となる軽量化を図ることができる。またベース4の上に積層した断熱材5が薄い等でベース4側に熱伝導が生じても、ベース4の外面部である外殻部8の肉厚を薄くすることで熱容量が小さいために熱損失を少なくできると共に表面の温度を速やかに上げることができる。さらにベース4は断熱材5で覆われるためにベース4に補強リブ9により樹脂のヒケが生じても外観上見えないようにでき、意匠への影響をなくすことができる。
また本発明の請求項2の暖房便座は、請求項1において、断熱材5として強度の弱い断熱材層5aと強度の強い断熱材層5bとを重ねて同時に設けたことを特徴とする。断熱材5は一般的に断熱性能と強度は反比例の関係にあるが、断熱性能が高いが強度の弱い断熱材層5aと断熱性能が低いが強度が強い断熱材層5bとを同時に設けることにより断熱性能と強度のバランスの取れた便座とすることができる。
また本発明の請求項3の暖房便座は、請求項1または請求項2において、断熱材5とベース4との間に一部或いは全体に空気層10が設けられたことを特徴とする。断熱材5とベース4との間の空気層10で熱移動を小さくすることができ、断熱性を向上させて便座の表面の昇温性を向上させることができる。
また本発明の請求項4の暖房便座は、請求項3において、空気層10の空気の移動を防止する壁11がベース4に形成されたことを特徴とする。空気層10内の空気の対流を壁11にて防止でき、対流による熱伝達を減らすことができると共に便座表面の昇温性を向上させることができる。
本発明は上述の如く構成されているので、ベースの外殻部の肉厚を薄くしても補強リブにて補強して便座の強度を増すことができるという効果があり、またこれによりベースを成形する成形材料を削減できると共に便座の電動開閉等で重要となる軽量化を図ることができるという効果があり、またベースの上に積層した断熱材が薄い等でベース側に熱伝導が生じても、ベースの外面部である外殻部の肉厚を薄くすることで熱容量が小さいために熱損失を少なくできると共に表面の温度を速やかに上げることができるという効果があり、さらにベースは断熱材で覆われるためにベースに補強リブにより樹脂のヒケが生じても外観上見えないようにでき、意匠への影響をなくすことができるという効果がある。
また本発明は断熱性能が高いが強度の弱い断熱材層と断熱性能が低いが強度が強い断熱材層とを同時に設けることにより断熱性能と強度のバランスの取れた便座とすることができるという効果があり、また断熱材とベースとの間の空気層で熱移動を小さくすることができ、断熱性を向上させて便座の表面の昇温性を向上させることができるという効果があり、さらに空気層内の空気の対流を壁にて防止でき、対流による熱伝達を減らすことができると共に便座表面の昇温性を向上させることができるという効果がある。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。先ず図1に示す例から述べる。
図1に示すように樹脂成形品からなるベース4の上に断熱材5を積層し、断熱材5の上には面状発熱ヒータ6を積層し、面状発熱ヒータ6の上には樹脂成形品からなる薄膜の表面膜7を積層して暖房便座を形成してある。ベース4は暖房便座の主体となるものであって、全体的な形状は長円環状や馬蹄形状に形成されている。ベース4はベース4の外面に面する外殻部8と外殻部8内の補強リブ9とで構成されている。本例の場合、外殻部8は断面略半円状の上面部8aと平板状の底板部8bとで構成されており、上面部8aと底面部8bとの間に鉛直方向を向く複数本の補強リブ9を並設してある。かかる補強リブ9は外殻部8の上面部8aと一体に成形し、別体で成形した底面部8bを後で貼り付けて一体化することが望ましい。
上記のように暖房便座が構成され、薄肉にしたことにより強度の弱くなる外殻部8を補強リブ9で補強することができて着座可能な強度の便座にできる。またベース4を成形する成形材料を削減できると共に電動開閉便座等で重要となる軽量化を図れる。ベース4の外殻部8の肉厚を薄くしたことにより、断熱材5が薄い等で断熱性能が不足してベース4側に熱伝導が生じてもそこでの熱伝導が生じてもそこでの熱容量が小さいために熱損失を少なくすることができる。さらにベース4は断熱材5で覆われるためにたとえ補強リブ9の成形によりヒケ等が発生しても意匠性の影響をなくすことができる。
次に図1に示す暖房便座の具体的な構成について述べると、以下の通りである。上記面状発熱ヒータ6は、例えば導電性材料にカーボンを含有した抵抗体であり、銅である電極に接しており、電極に電圧を加えることで昇温するようになっている。便座の着座面側の樹脂の表面膜7は人体と面状発熱ヒータ6との間の絶縁、もしくは絶縁空間を必要としない仕様の場合における面状発熱ヒータ6の表面保護等の目的に設けられ、例えば人体と面状発熱ヒータ6との絶縁空間を必要としない場合は例えば厚さ0.1mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、ポリカーボネート等の樹脂のフィルムで形成する。また便座の表面温度を速やかに暖めることを目的とする場合、面状発熱ヒータ6の着座面側に対して裏側に断熱材5を貼って断熱構造されるが、この断熱材5としては例えばPPの発泡樹脂等が用いられる。断熱材5より人体の接触面と反対側に形成された補強リブ9は所定の間隔で配置され、これにより人体着座時に生じる便座の歪が抑えられる。例えば、従来の便座における便座上部の厚さを3mmとして、本発明により1mmまで薄肉化が可能である場合、樹脂の成形材料は2/3程度削減することができ、大幅に無駄な成形材料を減らすことができる。また昇温性に関してはベース4の外殻部8の上面部8aに配置した断熱材5が薄い等で断熱性能が不足してベース4側に熱伝導が生じても、ベース4の外殻部8の上面部8aの薄肉化により、そこでの熱容量が小さいために熱損失を小さくすることができる。例えば、表面膜7の厚さを0.1mm、面状発熱ヒータ6の厚さを0.04mm、ベース4の外観部8の上面部8aの厚さを1mmとすると、合計の厚さが1.14mmとなるのに対して従来のように便座上部の厚さが3mmの場合合計の厚さが3.14mmとなるのと比較して、明らかに熱損失を小さくすることができて昇温性が向上する。またベース4の外殻部8の上面部8aの薄肉化と補強リブ9を設けることとでベース4の樹脂による成形時にヒケ等が生じても断熱材5や面状発熱ヒータ6等により人体の触れる便座表面には現れず、意匠性への影響をなくすことができる。
次に図2に示す例について述べる。本例の場合も、図2に示すように樹脂成形品からなるベース4の上に断熱材5を積層し、断熱材5の上には面状発熱ヒータ6を積層し、面状発熱ヒータ6の上には樹脂成形品からなる薄膜の表面膜7を積層して暖房便座を形成してあるが、本例の場合、断熱材5として断熱性が高い強度の弱い断熱材層5aと断熱性が低いが強度が強い断熱材層5bとを重ねて同時に設けている。このように断熱材層5aと断熱材層5bとを同時に設けると、断熱性能と強度のバランスが取れ、断熱性を向上しながら便座の強度を向上できる。
この図2に示す暖房便座の具体的な構造について述べると以下の通りである。面状発熱ヒータ6の着座面側と反対の裏側に断熱材5を設けて断熱構造を形成し、断熱材5より人体の接触面と反対側に補強リブ9が形成されているが、この断熱材5の部分が異なる熱伝導率の材料を組み合わせて構成されている。例えば、着座面側に近い側の断熱材層5aは厚さ1mmの発泡倍率が5倍のPPとし、着座面側に遠い側の断熱材層5bは厚さ1mmの発泡倍率が2倍のPPとしてあり、断熱材層5aと断熱材層5bとを接する形で積層してある。このようにベース4の上面に、まずは断熱性が低いが強度の強い断熱材層5bを積層し、その上に断熱性が高いが強度の弱い断熱材層5aを積層することで、1種類の断熱材5で形成するよりも、断熱性能と強度のバランスが取れた便座とすることが可能となる。
次に図3に示す例について述べる。本例の場合も、図3に示すように樹脂成形品からなるベース4の上に断熱材5を積層し、断熱材5の上には面状発熱ヒータ6を積層し、面状発熱ヒータ6の上には樹脂成形品からなる薄膜の表面膜7を積層して暖房便座を形成してあるが、断熱材5とベース4との間に空気層10を設けてある。このように断熱材5とベース4との間に空気層10を設けることにより断熱材5とベース4との間での熱伝導を小さくすることができ、断熱効果を向上させることができて便座表面の昇温性を向上させることができる。また空気層10の空気の移動を防止する壁11がベース4に形成されている。このように空気の移動を防止する壁11を設けることにより、空気層10内の空気の対流による熱損失を減らすことができ、更に便座表面の昇温性を向上することができる。
図3に示す暖房便座の具体的な構造について述べると以下の通りである。面状発熱ヒータ6の着座面側に対して裏側に断熱材5の断熱構造を形成し、断熱材5より着座面側と反対側には補強リブ9が形成されているが、ベース4の外殻部8の上面部8aと断熱材5との間に空気層10が形成されている。この空気層10は断熱材5とベース4の上面部8aとの間の一部または全面に形成さており、断熱材5で十分に断熱されなかった熱をこの空気層10で断熱可能になっている。例えば、この空気層10はベース4と断熱材5との間で1mmの隙間をもって形成されている。また空気層10の空気の移動を防止する壁11がベース4と一体に設けられており、壁11にて空気層10内を仕切っている。このように空気層10を壁11で仕切ることにより対流による熱伝達を減少させることができる。またこの壁11を補強リブ9の直上に設けることにより着座時の便座の強度を増すことができる。
本発明の暖房便座の実施の形態の一例の要部の断面図である。 同上の他の例の要部の断面図である。 同上の他の例の要部の断面図である。 暖房便座装置の全体を示す斜視図である。 従来例の便座上部の斜視図である。
符号の説明
4 ベース
5 断熱材
6 面状発熱ヒータ
7 表面膜
8 外殻部
9 補強リブ
10 空気層
11 壁

Claims (4)

  1. 樹脂成形品のベースの上面に断熱材を積層すると共にその上面に面状発熱ヒータを積層し、その上面に樹脂成形品の薄膜の表面膜を積層した暖房便座であって、樹脂成形品のベースは外面に面する部分は肉厚を薄くした外殻部となり、外殻部を外殻部内の補強リブで補強したことを特徴とする暖房便座。
  2. 断熱材として強度の弱い断熱材層と強度の強い断熱材層とを重ねて同時に設けたことを特徴とする請求項1記載の暖房便座。
  3. 断熱材とベースとの間に一部或いは全体に空気層が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の暖房便座。
  4. 空気層の空気の移動を防止する壁がベースに形成されたことを特徴とする請求項3記載の暖房便座。
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