JP2006203216A - 異方性希土類磁石粉末および磁気異方性ボンド磁石 - Google Patents

異方性希土類磁石粉末および磁気異方性ボンド磁石 Download PDF

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千里 三嶋
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Abstract

【課題】 高温水素熱処理された希土類磁石粉末であって、かつ高い異方性を持つ異方性希土類磁石粉末および磁気異方性ボンド磁石を提供することを課題とする。
【解決手段】 高温水素熱処理され、異方性が0.65以上であり、イットリウム(Y)を含む希土類元素(以下、Rと称す)を原子百分率で11〜15at%と、ホウ素(B)を5〜8at%と、0〜25at%のコバルト(Co)と、それぞれ0.01〜1.0at%のガリウム(Ga)およびニオブ(Nb)と、合計が0.01〜3.0at%のジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、モリブデン(Mo)の1種または2種と、残部が鉄(Fe)と不可避な不純物と、からなることを特徴とする異方性希土類磁石粉末、もしくは、それを用いた磁気異方性ボンド磁石であること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた磁気特性を持つ異方性希土類磁石粉末および磁気異方性ボンド磁石に関する。
近年、永久磁石はますます高性能化が求められている。この要求に応える永久磁石として希土類磁石の開発が活発になされてきている。
特開昭62−23903号公報(特許文献1)には、RFeB系合金に水素の吸蔵による組織の順変態をし、粉砕した後、水素の脱離する逆変態を行う高温水素熱処理により保磁力(iHc)が398kA/m(5kOe)と高い永久磁石を製造する方法が開示されている。ここで、高温水素熱処理とは組織の変態を伴う熱処理をいい、組織の変態を伴わない水素の吸蔵、脱水素のみの低温水素熱処理とは区別される。
また、特開平7−68561号公報(特許文献2)には、Yを含む希土類元素(R)と、鉄(Fe)と、ホウ素(B)を主成分とする合金のインゴットまたは粉末を、水素ガス圧が10Torr(0.013atm)以上の水素ガス雰囲気または水素ガス分圧が10Torr以上の水素ガスと不活性ガスの混合雰囲気中で500〜1000℃以上に保持して該合金に水素を吸蔵させる順変態の後、連続的に水素ガス圧が1×10−1Torr以下の真空雰囲気になるまで500〜1000℃で脱水素処理する逆変態を行った後、冷却するRFeB系合金磁石粉末の高温水素熱処理による製造方法が開示されている。
また、このRFeB系合金磁石のFeの一部をCo、Ni、V、Nb、Ta、Cu、Cr、Mn、Mo、W、Ti、Al、Ga、In、Zr、Hf等の金属の1種あるいは2種以上の少量と置換してもよいとしてい、この置換の実施例として、Co、Pr、Dyの1種を少量置換したものをあげている。しかし、前記公報では、これら金属元素の置換による磁気特性の向上を示してはいない。
また、特開平3−129702号公報(特許文献3)には、RとFeとBを主成分としTi、V、Nb、Ta、Al、SiやGa、Zr、Hfを添加し、高温水素処理によって磁石特性を改善する異方性永久磁石粉末が開示されている。
さらに、特開平3−129703号公報には、上記と同様にRとFeとCoとBを主成分とし、Ti、V、Nb、Ta、Al、SiやGa、Zr、Hfを添加し、高温水素処理によって磁石特性を改善する異方性永久磁石粉末が開示されている。
しかしながら、前記公報では十分な高さまで異方性が向上してはいない。
特開昭62−23903号公報 特開平7−68561号公報 特開平3−129702号公報
従来は専ら異方性を強める合金元素を多量に使用し、異方性を高めてきており、本来、磁石粉末の主相の持つ磁気特性は損なわれていた。その結果高い磁気特性を得ることができなかった。
また、希土類磁石の水素吸蔵合金としての特色でもある水素の吸蔵による組織の順変態、脱水素による組織の逆変態を行う高温水素熱処理により結晶粒を微細化することによって残留磁束密度、保磁力などの磁気特性を高める高温水素熱処理による希土類磁石粉末を得る方法は、操作が比較的単純で製造コストが安いという利点があるが、磁気特性に優れた希土類磁石粉末が得られないという問題がある。特に異方性を付与することが極めて困難である。
本発明は、高温水素熱処理された異方性希土類磁石粉末であって、かつ高い異方性、すなわち、Br/Bsが0.65以上の高い異方性を持つ異方性希土類磁石粉末および磁気異方性ボンド磁石を提供することを課題とする。
第1発明は、高温水素熱処理された異方性が0.65以上である異方性希土類磁石粉末であり、11〜15at%のRと、5〜8at%のBと、25at%以下のCoと、それぞれ0.01〜1.0at%のGaおよびNbと、Zr、V、Mn、Ni、Cr、Cu、Al、Si、Moの1種あるいは2種の合計が0.01〜3.0at%と、残りがFeと不可避な不純物とからなる組成の異方性希土類磁石粉末である。
第2発明は、高温水素熱処理された異方性が0.65以上である異方性希土類磁石粉末であり、11〜15at%のRと、5〜8at%のBと、25at%以下のCoと、それぞれ0.01〜1.0at%のGaおよびNbと、Zr、V、Mn、Ni、Cr、Cu、Al、Si、Moの1種あるいは2種の合計が0.01〜3.0at%と、残りがFeと不可避な不純物とからなる組成の異方性希土類磁石粉末と熱硬化性樹脂とを圧縮成形した磁気異方性ボンド磁石である。
(発明の実施の形態)
本発明はRFeB系組成に、極力合金を添加しないで、異方性を付与することを検討した。その結果合金元素の添加を最小限におさえた磁石組成で、その添加元素の組成に適合した高温水素熱処理により、磁気特性に優れた異方性希土類磁石粉末が得られた。
なお、本発明における異方性の定義としては、異方性Br/Bs(Bsは1.6T(Bsは16kG))としたとき、このBr/Bsが0.5以下のものを完全等方性、0.5から0.65未満のものを等方性、0.65以上のものを異方性と定義する。
本発明のYを含む希土類元素(R)は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Luから選ばれる1種あるいは2種以上が利用できる。なかでもNdを用いるのが特に好ましい。また、Bは正方晶Nd2Fe14B型結晶構造を安定して析出させるためには必須である。
本発明の異方性希土類磁石粉末は、高温水素処理され原子百分率でRが11以上15以下、Bが5以上8以下、GaおよびNbがそれぞれ0.01以上1.0以下、残りがFeと不可避な不純物、を有する。
Rが11at%以下ではα−Fe相が析出し、熱処理を行ってもα−Fe相が消失せず磁気特性を劣化させる。また一方でRが15at%以上であるとNdrich相が多くなり主相であるNd2Fe14B相が減少し、磁気特性を低下させる。
Bが5at%以下ではNd2Fe17相が析出し、このNd2Fe17相は軟磁性のため磁気特性が劣化する。またBが8at%以上ではBrich相、Nd1.1Fe4B4相が多くなり主相であるNd2Fe14B相が減少し磁気特性を低下させている。 添加されるNbはNd2Fe14BからFe2Bへの方位の転写の反応速度をコン
トロールしやすくする元素であり、0.01at%以下では転写をコントロールするのが難しく、1.0at%以上では保磁力を減少させる。Gaは保磁力をエンハンスする元素であり、0.01at%以下では保磁力をエンハンスする効果がない。また、1.0at%以上では保磁力を逆に減少させる。
本発明の異方性希土類磁石粉末は、高温水素処理され原子百分率でRが11以上15以下、Bが5以上8以下、Coが25以下、GaおよびNbがそれぞれ0.01以上1.0以下、残りがFeと不可避な不純物、を有する。
Coは特に必須の元素ではないが、添加することで方位の転写の反応速度をコントロールしやすくする元素であり、従来から知られているようにキュリ温度を上昇させるものであるが、磁気特性的には飽和磁化を減少させてしまっている。このため、25at%以上の添加は残留磁束密度が1.2T以下になり、磁気特性の低下を招く。
本発明の異方性磁石粉末は、高温水素処理され原子百分率でRが11以上15以下、Bが5以上8以下、Coが25以下、GaおよびNbがそれぞれ0.01以上1.0以下、Zr、V、Mn、Ni、Cr、Cu、Al、Si、Moの1種または2種の合計が0.01以上3以下、残りがFeと不可避な不純物とからなる。
本発明に添加されるZr、V、Mn、Ni、Cr、Cu、Al、Si、Moは、いずれも反応速度を制御する元素であるが、0.01at%以下ではその効果がみられない。また、3at%以上では逆に析出相などが存在し保磁力を低下させる。
本発明の希土類磁石粉末は、その異方性(Br/Bs、ただしBsは1.6T(16kG)とした)が0.65以上である。また、その他の磁気特性としては、Brは1.2〜1.5T(12〜15kG)、iHcは636〜1272kA/m(8.0〜16.0kOe)、(BH)maxは238〜358kJ/M3(30〜45MGOe)の特性を持つ。
また、本発明の異方性希土類磁石粉末および磁気異方性ボンド磁石は、以下の製造方法で製造できる。本発明の異方性希土類磁石粉末の製造方法は、原料調製工程において原料の調製方法は特に限定されないが、高純度の材料を用い、それぞれ所定の組成となるようにそれぞれを用意し、これらを混合して溶解炉等で溶解し、これを鋳造して合金のインゴットを作成し、これを原料とする。この原料インゴットを均質化処理して組成分布の偏りを減少させる。さらに、この均質化処理したインゴットを粉砕して粉末状とし、これを原料とすることもできる。
この均質化処理は、温度範囲が1000〜1150℃であり、1000℃より低いと均質化処理に長時間を要するため、生産性が低下する。また、1150℃を超えると、インゴットが溶融するので好ましくない。
本発明の合金に水素を吸蔵させる時の合金と水素の反応速度Vは
V=V0・(PH2/P)1/2・exp(−Ea/RT)
で表される。ここで、V0:頻度因子、PH2:水素ガス圧力(Pa)、P0:解
離圧力、Ea:活性化エネルギー(J/molK)、T:温度(K)である。この反応速度と組織の変態速度とは比例していると考えられるので、組織の変態速度をこの反応速度で評価する。
すなわち、組織の順変態反応の反応速度は、反応温度が830℃、水素ガス圧
力が0.1MPa(1atm)の時の反応速度VbをVb=1とする基準反応速度とし、この基準反応速度に基づく相対反応速度Vrで定義した。Vrは次の式で表すことができる。
Vr=(1/0.576)・(PH2)1/2・exp(−Ea/RT)
また、組織の逆変態については、反応温度が830℃、水素ガス圧力が0.001MPa(0.01atm)を基準反応速度とした。逆変態反応の相対反応速度も同様に求めることができる。
合金が水素を吸蔵する順変態反応は発熱反応であり、順変態の開始により反応温度が加速度的に高くなる。また、ここでいう反応温度は合金が水素を吸蔵して順変態を起こす温度であり、反応炉の管理温度ではない。従って、実際の反応温度は反応炉の管理温度と大きく異なる。また、水素吸蔵により水素ガス圧が大きく変動することも考えられる。例えば、水素ガスと不活性ガスとの混合ガス雰囲気では、水素が吸蔵され順変態を起こす合金の周囲の水素ガス濃度が大きく低下することもあり得る。異方性の高い磁石粉末とするためには、厳密な反応温度管理および水素ガス圧力管理を必要とする。
順変態の相対反応速度が0.25〜0.50の相対反応速度外となる場合には異方性が小さくなる。その理由とは、順変態の反応により、NdFeBの希土類合金を水素吸蔵させて順変態するときに、Nd2Fe14Bの結晶方位が順変態により生ずると考えられる多数の微細なFe2Bにより正確に転写されるためであろうと考えている。順変態の相対反応速度が0.25〜0.50の反応速度範囲外ではFe2Bへの転写が充分でなく、異方性が低くなる。このような場合、現状では、後の工程で異方性を高めることは不可能であると考えられる。
反応に伴って加速度的に早くなる順変態の相対反応速度を0.25〜0.50の相対反応速度範囲内に管理することは通常の炉では不可能である。そのため新しい熱処理炉として、反応時の発熱を相殺する吸熱手段を持った炉を開発して使用した。この吸熱手段は、水素吸蔵合金を管内に配置し、この管を炉内に入れ、反応による発熱とは逆に管内の水素ガス圧力を減圧し、脱水素反応を進めて、吸熱させ、反応による発熱を吸収して相殺するものである。これにより炉の管理温度と反応温度とをほぼ等しくできる。
この順変態の反応は理想的には30分程度で終わるが、工業的には反応時間は処理量に依存する。順変態の終了後、順変態を起こした温度で少なくとも1時間加熱処理を継続することにより得られる磁石粉末の保磁力が向上する。これは順変態により生じた内部ゆがみが緩和除去されることと関連していると考えている。内部ゆがみが残存していると逆変態後に組織が不均一化して保磁力が低下するものと考えている。
この後、吸蔵した水素を脱水素して逆変態を起こさせる。この逆変態はFe2Bの結晶方位を生成するNd2Fe14Bの結晶方位に転写するものである。
この逆変態時にFe2Bの方位を転写するためには、0.1〜0.4の相対反応速度範囲内で起こさせるのが好ましい。具体的にはこの逆変態は、前記順変態の水素ガス圧力の1/100以下の水素ガス圧力に維持して行うことにより達成される。なお、逆変態は順変態とは反対の吸熱反応であり、逆変態の開始により反応温度が加速度的に低下する。従って、実際の反応温度を780〜840℃に保つためには、順変態時と同様に反応を制御できる炉が必要となる。
この逆変態は理論的には10分以内で終わり、工業的には処理量に依存する。この逆変態終了後には逆変態の温度で少なくとも25分以上保持し、生成したNd2Fe14B結晶を持つ希土類磁石粉末に含まれる水素を除去するのが好ましい。これにより保磁力が向上する。解離した水素が合金内に残存していると保磁力を著しく損なうためである。この後冷却し、本発明の異方性磁石粉末が得られる。冷却は少なくとも5℃/min.の冷却速度で行うことが望ましい。
インゴット上の原料を用いたとき、得られるインゴット上の希土類磁石は乳鉢等で容易に粉砕することができる。また、粉末状の原料を用いた場合、凝集等により固化することもあるが、乳鉢等で容易に粉砕することができる。
本発明の希土類磁石粉末を用いた磁気異方性ボンド磁石は、得られた希土類磁石粉末と、この磁石粉末のバインダーとなる樹脂と、を用いて製造される。この時、バインダー樹脂としてはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができ、所定の着磁用の磁場のもとで、この樹脂と磁石粉末とを混合して得られた混合物を加圧成形等により成形した後、熱処理して樹脂を硬化し、異方性の磁気異方性ボンド磁石を形成することができる。
(発明の作用)
本発明の異方性磁石粉末は、Br/Bs(ここでBsは1.6T(16kG))が0.65以上と大きな異方性を持つ。また、残留磁束密度および保磁力はそれぞれ1.2T(12kG)、636kA/m(8kOe)以上で磁気特性に優れる。また、これらの磁石粉末を用いた異方性ボンド磁石は135kJ/m3(17MGOe)以上の高い(BH)maxを持つ。
また、上述した異方性希土類磁石粉末の製造方法は高温水素熱処理の順変態反応及び逆変態反応の相対反応速度を制御することで、異方性の大きい希土類磁石粉末を容易に得ることができる。
本発明の異方性希土類磁石粉末は異方性(Br/Bs、ただしBsは1.6T(16kG)とした)が0.65以上である希土類磁石粉末である。この異方性希土類磁石粉末を用いることにより高い(BH)maxを持つ異方性ボンド磁石とすることができる。
以下、実施例により具体的に説明する。
(参考例1)
Rの主成分としてNdを用い、R、Pr、B、Ga、Nb、Feを表1に示される組成で混合物とし、その混合物をボタンアーク溶解炉にて溶解、鋳造して組成の異なる合金インゴット試料1〜12および32〜36を作成した。なお、表1では、各元素の含量を原子百分率で示しており、合金全体で100at%とし、Feはその残りであることを示している。
均質化処理が施された試料を15gと極めて少なくし石英管中に入れ、この石英管のなかの水素ガス圧を管理できるように導管でガス圧制御装置に結んだ。加熱炉は赤外線炉を、温度測定には熱伝対を使用し、試料と雰囲気の温度を測定し、これらの温度に基づいて炉を制御した。
石英管のなかに表2に示す順変態相対反応速度の水素ガス圧となるように水素ガスを導入し、この状態で加熱しおよそ60分で反応温度まで昇温させた。そして反応の開始で試料の温度が雰囲気の温度を超えると直ちに加熱を中止し、放熱による冷却で雰囲気温度を下げ、反応による発熱を吸収し、目的の反応温度の+5℃以内に試料温度が保たれるようにした。試料が15gと少なく、かつ赤外線炉を使用しているため石英管内の雰囲気温度は比較的容易に制御できる。
この後820℃、水素ガス圧0.03MPa(0.3atm)で3時間加熱処理を行った。
その後、逆変態相対速度が0.26となるように石英管内の水素ガスを放出して脱水素をはかり、逆変態反応を進めた。この脱水素による逆変態反応では、水素ガス圧を微妙に制御し、温度が吸熱反応により下がり始めると水素ガス圧の減圧を停止し、温度が所定の温度に戻ると再び減圧を再開するといった制御方法により制御をし、目的とする温度の−5℃の範囲で制御し、水素ガス吸蔵時の水素ガス圧力の1/100以下の0.0001MPa(0.001atm)とした。
この脱水素による逆変態反応の開始から30分後まで、所定温度の熱処理を続けた。この後冷却し、水素処理を終えた。これにより希土類磁石粉末を製造した。
得られた希土類磁石粉末の残留磁束密度、固有保磁力、(BH)maxを測定し、異方化率を求めた。水素処理条件と合わせて表2に示す。
また、得られた磁石粉末を用い、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を磁石粉末100gに対して3g使用し、型内で圧縮成形してボンド磁石を得た。このボンド磁石の(BH)maxも測定し、表2に示した。
Figure 2006203216

















Figure 2006203216
(参考例2)
Rの主成分としてNdを用い、R、Pr、B、Co、Ga、Nb、Feを表3に示される組成で混合物とし、その混合物をボタンアーク溶解炉にて溶解、鋳造して組成の異なる合金インゴット試料13〜20、37を作成した。なお、表3では、各元素の含量を原子百分率で示しており、合金全体で100at%とし、Feはその残りであることを示している。
表4に示す水素処理条件で参考例1と同様の方法で希土類磁石粉末を製造した。
得られた希土類磁石粉末の残留磁束密度、固有保磁力、(BH)maxを測定し、異方化率を求めた。水素処理条件と合わせて表4に示す。
また、得られた磁石粉末を用いたボンド磁石を得た。このボンド磁石の(BH)maxも測定し、表4に示す。
Figure 2006203216


























Figure 2006203216
(実施例)
Rの主成分としてNdを用い、R、Pr、B、Co、Ga、Nb、Fe、Zr、V、Mn、Ni、Cr、Cu、Al、Si、Moを表5に示される組成で混合物とし、その混合物をボタンアーク溶解炉にて溶解、鋳造して組成の異なる合金インゴット試料21〜31、38を作成した。なお、表5では、各元素の含量を原子百分率で示しており、合金全体で100at%とし、Feはその残りであることを示している。
表6に示す水素処理条件で参考例1と同様の方法で希土類磁石粉末を製造した。
得られた希土類磁石粉末の残留磁束密度、固有保磁力、(BH)maxを測定し、異方化率を求めた。水素処理条件と合わせて表6に示す。
また、得られた磁石粉末を用いたボンド磁石を得た。このボンド磁石の(BH)maxも測定し、その値も表6に示す。
Figure 2006203216






Figure 2006203216





表からわかるように本発明の水素処理時の相対反応速度を制御した磁石粉末は、異方化率が0.79以上と高い異方性を示し、Brが1.2〜1.5T(12〜15kG)、iHcが636〜1272kA/m(8.0〜16kOe)、(BH)maxが238〜358kJ/m3(30〜45MGOe)とすぐれた磁気特性を有する磁石粉末であることがわかる。
また、上記異方性磁石粉末を使用した磁気異方性ボンド磁石は、(BH)maxが優れた磁気特性を有するボンド磁石であることがわかる。
また、試料32〜38の磁石粉末からわかるように、相対反応速度を制御しても、原料合金の組成が本発明の組成範囲をはずれると磁気特性が低下する。すなわち、Rの量が少なくなると異方性が0.37と低下し、異方性が失われることで磁気特性が大きく低下し、逆にRが多くなると(BH)maxが低くなる。Ga量が2.0at%と多くなるとiHcが低下し、Bが多いことで磁気特性が低下している。Nbが多いことでもiHcが減少し、Coが多くなるとiHcが減少し、磁気特性が低下する。また、Niを5.0at%と大量に添加することでiHcが減少し、磁気特性を低下させる。

Claims (3)

  1. 高温水素熱処理され、異方性(Br/Bs、ただしBsは1.6T(16kG)とした)が0.65以上であり、イットリウム(Y)を含む希土類元素(以下、Rと称す)を原子百分率で11〜15at%と、ホウ素(B)を5〜8at%と、0〜25at%のコバルト(Co)と、それぞれ0.01〜1.0at%のガリウム(Ga)およびニオブ(Nb)と、合計が0.01〜3.0at%のジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、モリブデン(Mo)の1種または2種と、残部が鉄(Fe)と不可避な不純物と、からなることを特徴とする異方性希土類磁石粉末。
  2. 残留磁束密度(Br)が1.2〜1.5T(12〜15kG)、固有保磁力(iHc)が636〜1272kA/m(8.0〜16kOe)、(BH)maxが238〜358kJ/m3(30〜45MGOe)である請求項1記載の希土類磁石粉末。
  3. 高温水素熱処理され、異方性(Br/Bs、ただしBsは1.6T(16kG)とした)が0.65以上であり、イットリウム(Y)を含む希土類元素(以下、Rと称す)を原子百分率で11〜15at%と、ホウ素(B)を5〜8at%と、0〜25at%のコバルト(Co)と、それぞれ0.01〜1.0at%のガリウム(Ga)およびニオブ(Nb)と、合計が0.01〜3.0at%のジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、モリブデン(Mo)の1種または2種と、残部が鉄(Fe)と不可避な不純物と、からなる異方性希土類磁石粉末と熱硬化性樹脂とを圧縮成形した磁気異方性ボンド磁石。
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