JP2006201303A - 電気泳動表示素子 - Google Patents

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正浩 中西
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Abstract

【課題】 応答速度の高速化が可能な電気泳動表示素子を提供する。
【解決手段】 所定間隙を開けた状態に配置される一対の基板1,7と、一対の基板1,7の間隙に配置された隔壁部材4とにより囲まれた空間に配置された帯電粒子9の分布を、間隙に面して配置された第1電極2及び第2電極5間に生じる電界により変化させて表示を行う。さらに、第1電極2を一方の基板1に設けると共に、他方の基板7に略透明な移動規制部材8を設けることにより、空間のうち電界強度の弱い領域への帯電粒子9の進入を規制する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気泳動表示素子に関し、特に電気泳動表示素子の応答速度の高速化に関するものである。
近年、コンピューターの普及による情報化の進展により、より視認性がよく疲労の少ない表示装置が求められており、電気泳動表示装置はその候補技術のひとつとして各所で研究開発が行われている。
ここで、この電気泳動表示装置は、顔料もしくは染料で、例えば黒色に染色した直径数ミクロン以下の微粒子を、低誘電率の絶縁性液体中に分散し、かつ液中で微粒子に帯電性をもたせ、これを挟む一対の電極間に電界を印加して極性に応じた微粒子の泳動を生じさせることにより表示を行う電気泳動表示素子を備えており、トナーのような着色粒子を任意に移動させて画像を形成することから、その表示はレーザービームプリンタによる印刷物に近い、ペーパーライクな反射画像である特徴を有する。
ところで、このような電気泳動表示素子は、図10に示すように、第1基板101と、第1基板上に設けられた平面状の第1電極102と、第1基板101に対向して設けられた透明な第2基板107と、第1及び第2基板間に挟持され、無色の絶縁性液体及び同極性の帯電を持つ少なくとも1種の電気泳動粒子109を含む分散層114と、第2基板表面のうち分散層114と反対側の表面の周囲に設けられた不図示の遮蔽層と、第1及び第2の基板間の領域のうち、遮蔽層により隠蔽された範囲内に設けられた第2電極105とを具備するよう構成されている(例えば、特許文献1。)。
そして、このような電気泳動表示素子では、電気泳動粒子109を、第1電極102と第2電極105の間に形成される電界、即ち電気力線110に沿って電気泳動(移動)させることにより表示を行うことができる。例えば、黒色の電気泳動粒子109を使用した場合、図10の(a)のように電気泳動粒子109を第1電極102を覆うように移動させることによって黒表示がなされ、図10の(b)のように電気泳動粒子109を第2電極側に引き付けることによって白表示がなされる。
特開平9−211499号公報
ところで、このような従来の電気泳動表示素子においては、第1電極102と第2電極105との距離が近い領域では第1電極102から出た電気力線110はすぐに水平方向となって第2電極105へ向かうのに対し、第1電極102と第2電極105との距離が遠い領域、例えば第1電極2の中央近傍では第1電極102から出た電気力線110は、ほぼ第1電極面の法線方向に出て、電気泳動表示素子の外側で大きく弧を描いて第2電極105に向かう。
したがって、第1電極中央付近に位置する電気泳動粒子109は、第1電極102の電界の反発を受けると、図10の(c)に示すように、ほぼ垂直に第2基板107に向かって電気泳動する。なお、この後、第2基板107の中央部に到達した電気泳動粒子109は、さらに電気泳動表示素子の外に延びる電気力線110に沿って泳動しようとするが、この泳動は第2基板107により遮られる。
ここで、図10の(c)において、符号113で示す第2基板107の中央部を含む第2基板中央近傍領域は、電気力線110の密度が低い弱電界強度領域であることから、第2基板107の中央部に到達した電気泳動粒子109が、この後、電界の作用により第2電極側へ泳動するには長い時間がかかる。このため、電気泳動粒子109の移動が完了し、コントラストが安定するまでの応答速度が遅くなるという問題があった。
そこで、本発明は、このような現状に鑑みて為されたものであり、応答速度の高速化が可能な電気泳動表示素子を提供することを目的とするものである。
本発明は、所定間隙を開けた状態に配置される一対の基板と、前記一対の基板の間隙に配置された隔壁部材と、前記一対の基板と前記隔壁部材とに囲まれた空間に配置された帯電粒子と、前記間隙に面して配置された第1電極及び第2電極とを備え、前記第1電極及び第2電極の間に生じる電界により前記帯電粒子の分布を変化させて表示を行う電気泳動表示素子において、前記第1電極を前記一対の基板のうちの一方の基板に設け、前記一対の基板のうちの他方の基板に、前記空間のうち電界強度の弱い領域への前記帯電粒子の進入を規制する略透明な移動規制部材を突設することを特徴とするものである。
本発明のように、所定間隙を開けた状態に配置される一対の基板のうちの一方の基板に第1電極を設けると共に、他の基板に略透明な移動規制部材を設け、一対の基板と隔壁部材とに囲まれた空間のうち電界強度の弱い領域への帯電粒子の進入を規制することにより、応答速度の高速化が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電気泳動表示素子の概略構成を示す図であり、図1に示すように、この電気泳動表示素子は、所定間隙を空けた状態に配置された一対の基板である第1及び第2基板1,7と、これらの基板1,7の間隙を形成するための隔壁部材である隔壁4と、第1及び第2基板1,7と隔壁4に囲まれた空間内に配置され、無色の絶縁性液体及び同極性の帯電を持つ少なくとも1種の電気泳動粒子9を含む分散層14と、第1基板上に配置された第1電極2と、隔壁4に配置された第2電極5とを備えている。
ここで、隔壁4は隣接する画素間での電気泳動粒子9の移動を防止する機能を併せ持っている。また、第1電極2の表面は、絶縁性液体よりも小さい比誘電率を有する第1絶縁層3によって被覆されている。つまり、第1電極2と絶縁性液体の間には第1絶縁層3が設けられている。なお、この第1絶縁層3は白色の反射層も兼ねている。
一方、第2電極5の表面、即ち第2電極5と絶縁性液体の間には、絶縁性液体よりも大きい比誘電率を有する第2絶縁層6が配置されている。なお、本実施の形態において、第2電極5は、隔壁4の側面に設けられているが、第2電極5は隔壁4の内部、隔壁4と第2基板7の間、隔壁4と第1基板2の間のいずれかに配置されても良い。
ここで、この電気泳動表示素子は、第1電極2及び第2電極5との間に電圧を印加することによって第1電極2及び第2電極5との間に生じる電界により、電気泳動粒子9を第1電極面及びその近傍と、隔壁4側面及びその近傍間を移動させることによって表示を行うように構成されている。
例えば、第2電極5を隔壁4の側面に形成すると共に第1電極面(第1絶縁層3)を白色に着色してマイナス帯電の黒色の帯電泳動粒子9を使用した場合、第1電極2にプラスの電圧を、第2電極5にマイナスの電圧を印加すると、図1の(a)のように電気泳動粒子9は第1電極2を覆うように分布する。この場合、上部の第2基板表面の法線方向から眺めると、画素全体が黒色に見える。
また、第1電極2にマイナスの電圧を、第2電極5にプラスの電圧を印加すると、図1の(b)のように、電気泳動粒子9は第2電極5に沿って分布する。したがって、これを第2基板表面の法線方向から眺めると、画素全体は白色に見える。さらに、電圧をスイッチすると、黒と白の状態を変えることができる。また、適当な中間の電圧にすると、黒と白の中間の状態のいずれかに変えることができ、グレーを表示する。
なお、このような電気泳動表示素子の構成部品の形成材料等は、以下の通りである。
第1基板1は、全体を支える役割を果たすものであり、基板材料としては、ガラス基板、ステンレスやアルミ合金などに代表される金属基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)などに代表されるプラスチック基板を使用することができる。なお、図1では省略しているが、駆動のための電気要素として薄膜トランジスタ(TFT)を形成する場合がある。
第2基板7は表示を視認するために、上記第1基板形成用材料から可視光線の透過率が高いものを選択することができる。
第1電極2及び第2電極5を形成する電極材料としては、アルミ、チタン、銅、インジウム錫酸化物(ITO)、有機導電材料などを使用することができる。
第1絶縁層3及び第2絶縁層6の材料としては、酸化シリコン、窒化シリコンなどに代表される無機材料、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などに代表される有機材料を使用することができる。なお、これら絶縁材料のうち、第1電極上に形成する第1絶縁層3は反射層として白色にする必要があるため、絶縁材料中に酸化チタンや酸化錫などの白色顔料を添加したり、あるいは絶縁材料を一度塗布した後に、さらに白色の絶縁材料を塗布する。
隔壁4は、第1及び第2基板1,7の間隔を一定に保つこと及び表示の画素区画を区切ることを目的として、各種樹脂材料で形成されるが、その形成方法としては、感光性樹脂を使いフォトリソグラフィで形成したり、型を使ってインジェクションやエンボス加工により形成するなどの方法がある。
第1及び第2基板1,7と隔壁4とで形成される画素区画に封入される分散層14は、絶縁性液体、着色された電気泳動粒子9及び必要に応じて添加された分散剤、帯電制御剤などの薬剤からなる。
ここで、分散媒である絶縁性液体としては低誘電率であればよく、イソパラフィン系炭化水素などの脂肪族炭化水素類、シリコーンオイル類、高純度石油類、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブアセテート、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、エチルカルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、などの多価アルコールおよびその誘導体、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、ピロリドン及びそれらの誘導体等の親水性分散媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフテン酸系炭化水素などの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、パラフィン系炭化水素溶媒などが使用できる。
また、電気泳動粒子9としては、二酸化チタン、黒鉛、カーボンブラック、シリカ、アルミナなど無機粒子を用いることができる。なお、これらの無機粒子は、造粒法、粉砕法、ゾルゲル法から得られたものを分級することにより用いることができるが、その製法は特に前記方法に限定されない。また、電気泳動粒子が高分子樹脂粒子の場合には、懸濁重合法、分散重合法、シード重合、あるいは乳化重合法などの公知の方法から得ることができるが、これらの方法に限定されるものではない。前述した無機粒子あるいは高分子樹脂粒子は、顔料もしくは染料などで着色して使用する。
なお、着色剤としては特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、硫酸バリウム、ニグロシン、鉄黒、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーン・オキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・ブルー、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、ブリリアントカーミン3B、ファストバイオレッドB、メチルバイオレッドレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、キナクリドン、ローダミンB、ファーストスカイブルー、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の顔料、あるいはValifast Red、Valifast Yellow、Oplas Red、Oil Scarlet〔オリエント化学社製〕、Oil Blue V、Oil Green、Bright Green、SudanIV、SudanIII〔大和化工社製〕、Sumiplast Blue、Sumiplast Red HFG、Sumiplast Red HF4G、Sumiplast Yellow、WhiteflourB〔住友化学工業社製〕、Macrolex Red GS〔バイエル・ジャパン社製〕、Microlis Blue、Microlis Green、〔日本チバガイギー社製〕等の油性染料、Orient Oil Black〔オリエント化学社製〕、Sumikaron Brilliant Blue、Sumikaron Violet〔住友化学工業社製〕、Kayacryl Black、Kayalon Polyester Blue、Kayaron Polyester Red〔日本化薬社製〕等の染料が挙げられる。
また、分散剤、帯電制御剤などの薬剤は分散媒に必要に応じて微量添加してもよい。これらは分散媒に可溶であるならば特に限定されないが、例えば、帯電制御剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤、脂肪族アミン塩およびその4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム縁などの陽イオン界面活性剤、カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などの両性界面活性剤、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型の非イオン性界面活性剤、金属石鹸、弗素系界面活性剤、反応性界面活性剤、ブロック型ポリマー、グラフト型ポリマー、などが使用できる。
また、分散剤としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリジメチルシロキサン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ポリブテン、スチレンブタジエン共重合体、スチレンイソプレン共重合体、スチレン無水マレイン酸共重合体、弗素高分子、ノルボルネン樹脂、ポリエチレンワックス、各種鹸化度および分子量のポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンなどの高分子、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物やドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の界面活性剤、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー等の弗素系界面活性剤、等を用いることができる。また、これらはいずれも単独あるいは2種類以上混合して用いても良い。
ところで、本実施の形態おいては、図1に示すように、第2基板中央には略透明な移動規制部材8が突設されており、このように移動規制部材8を第2基板中央に突設することにより、電気泳動粒子9が、既述した図10の(c)に示す電界強度の弱い弱電界領域113に進入しないようにすることができる。なお、この移動規制部材8は、視認性に影響しない略透明なものであれば無機材料、有機材料を問わず使用できる。
ここで、このような移動規制部材8を設けた場合、例えば第1電極2にマイナスの電圧が、また第2電極5にプラスの電圧が印加され、これに伴い第1電極上の電気泳動粒子9が第1電極2と第2電極5の間に形成された電気力線10に沿って泳動を開始すると、第1電極2を離れた電気泳動粒子9は、特に第1電極中央付近に存在した電気泳動粒子は図2に示すように移動規制部材8に突き当たる。なお、図2では、ひとつの粒子の軌跡を模式的に表示している。
ここで、移動規制部材8に突き当たった電気泳動粒子9は、それ以上電気力線10に沿って泳動することができないが、弱電界領域113に進入しないため、言い換えれば、比較的電界密度の高い領域に引き続き存在するようになるため、電界の作用により移動規制部材8の底面に沿って徐々に第2電極5に向かって移動する。そして、この後、移動規制部材8の端部を通過すると、再び泳動可能な状態になり、電気力線10に沿って第2電極5に向かって泳動する。
このように、一対の基板1,7のうち一方の基板である第1基板1に第1電極2を設け、他方の基板である第2基板7に略透明な移動規制部材8を設け、空間のうち電界強度の弱い領域への電気泳動粒子9の進入を規制することにより、応答速度の高速化が可能となり、またコントラストの改善を図ることができる。
ところで、第1電極2と第2電極5の間に電圧を印加した際、移動規制部材8の誘電率が高いと、電気力線10が移動規制部材8の中を通ろうとするため電気力線10が垂直に近くなり、第1電極2から第2電極5へ泳動する際、移動規制部材底面へ衝突する電気泳動粒子9の数が多くなる。
ここで、このように移動規制部材底面に衝突した場合、電気泳動粒子9の運動が定まらないことから、移動規制部材8に衝突する電気泳動粒子9の数が多くなると、応答速度やコントラストの低下を招くようになる。したがって、移動規制部材8は低誘電率であることが望ましい。さらに、この移動規制部材8の誘電率は絶縁性液体(分散媒)と同等、あるいはそれ以下の低誘電率にするのが好ましい。
そして、このように移動規制部材8を低誘電率材料で形成することにより、形成される電気力線を移動規制部材以外に集中させることができ、応答速度の高速化が可能となり、コントラストも改善される。
なお、このように移動規制部材8を低誘電率とするためには、移動規制部材8を形成するための材料を低誘電率なものにするほか、移動規制部材8を、図3に示すように中空にして内部に低誘電率材料11を充填するようにすれば良い。なお、内部に充填する低誘電率材料11は、必ずしも固体でなくとも良く、例えば空気や窒素、アルゴンなど気体、あるいは低誘電率液体を使用することができる。
また、移動規制部材8を低誘電率とするためには、移動規制部材8を低密度材料である、例えば電気泳動粒子9が入り込まない程度の小さい微細な孔が多数ある多孔質材料、あるいは分散媒によって膨潤する材料などで形成しても良い。そして、このような材料を使用することにより、移動規制部材内部に気体あるいは低誘電率の分散媒を含むようになり、その含有割合が高いほど誘電率の低い移動規制部材8が得られる。
また、既述したように第1電極中央部に近くなると、電気力線はほぼ電極面の法線方向に伸びるので、この付近の等電位面は移動規制部材8の底面と平行になる。したがって、移動規制部材底面に電気泳動粒子9が弾性衝突した場合、電気泳動粒子9の電気泳動は停止する。
実際には、完全な弾性衝突ではないので電気泳動粒子9は、衝突後、いずれかに移動するが、この若干の停止が応答速度に影響することから、移動規制部材8の第1電極2に臨む面を、第1電極2に対して平行とならないよう、例えば移動規制部材底面に勾配をつけたり、図4に示すように移動規制部材底面を第1電極側に膨らんだ曲面とすることにより、等電位面と平行な面をなくすことができる。これにより、電気泳動粒子9は移動規制部材8に衝突した後も停止することなく、電気泳動を継続するため応答速度が改善される。
一方、このような移動規制部材8は、既述したように電気泳動粒子9が弱電界領域に進入するのを防ぐために形成されるが、このような移動規制部材8を形成するには、弱電界領域を決定する必要がある。なお、この弱電界領域の決定は、経験的に行っても十分効果的であるが、さらに精度を高めるために、例えば以下のような方法で弱電界領域を決定し、この決定結果に応じて移動規制部材8の形成位置を決定する。
1.電界シミュレーション
実際に使用している部材の誘電率を測定し、電気泳動表示素子の画素の寸法とともに、電界シミュレーションに入力して計算することによって、電界強度分布を可視化することができる。このとき、電界が何V/cm以下の領域を弱電界領域と定義することで、弱電界領域の位置が決まる。そして、これに基づき移動規制部材8の位置や寸法を決定すればよい。なお、電界シミュレーションとしては、たとえば日本総研のJMAG Worksなどが利用できる。
2.泳動速度の観察
第1電極2と第2電極5間に電圧を印加し、これを交番することで電気泳動粒子9の電気泳動が連続的に起こる。このときの電気泳動粒子9の泳動を顕微鏡にて観察すると、弱電界領域では粒子の泳動速度が遅い。
したがって泳動速度が何mm/s以下なのかを定義することで、弱電界領域の位置が決まる。これに基づき、移動規制部材8の位置や寸法を決定すればよい。なお、電気泳動粒子9の泳動速度観察には、高速度カメラと画像認識装置を併用するとなお簡便である。
次に、移動規制部材8の形成方法について説明する。
以下、いずれも第2基板7に移動規制部材8を形成する方法について述べる。なお、いずれの方法も説明の都合上、天地を逆にしている。
まず、感光性樹脂を使って移動規制部材8を形成するフォトリソによる形成方法を説明する。
図5の(a)に示すように、まず第2基板7の上に感光性樹脂8aを塗布し、プリベークした後、図5の(b)に示すように移動規制部材領域を決めるためフォトマスク15を介して紫外線16による露光を行い、この後、現像を行う。これにより、図5の(c)に示すように移動規制部材8が形成された第2基板が得られる。
次に、インジェクション成型方法、即ち加熱成型による形成方法を説明する。
図6の(a)に示すように、予め移動規制部材に相当する窪み17aをもった型17に第2基板7を当てた後、注入孔18を通して図6の(b)に示すように窪み17aに熱可塑性樹脂19を流し込む。そして、熱可塑性樹脂19が固まった後、型17から第2基板7をはがすと、図6の(c)に示すように移動規制部材8が形成された第2基板7が得られる。
次に、エンボス加工による形成方法を説明する。
まず、図7の(a)に示すように、インジェクション成型の時と同じように予め移動規制部材に相当する窪み17aを備えた型17を用意し、この型17の窪み17aに熱可塑性樹脂を充填した後、第2基板7をあて、この後、図7の(b)に示すように、他の型17Aにより加熱しながら圧力をかけて、移動規制部材に相当する凸形状を第2基板7に形成する。そして、この後、型17からはずすと、図7の(c)に示すように、移動規制部材8が形成された第2基板7が得られる。
また、既述した図3に示すように移動規制部材8を中空にする場合は、エンボス加工によって第2基板7を凹ませることにより、中空の移動規制部材8を形成するようにしてもよい。この場合は、例えば、図8の(a)に示すように、インジェクション成型の時と同じように予め移動規制部材に相当する窪み17aをもった型17に第2基板7を当てた後、図8の(b)に示すように移動規制部材の窪み8aに相対する位置に凸部が設けられている他の型17Bを第2基板7に押し付け、第2基板7の一部を型17の窪み17aの中に押し込む。
そして、この後、他の型17Bを外すと、図8の(c)に示すように、中空の移動規制部材8が形成された第2基板7が得られる。ここで、このように中空を構成する凹部を備えた第2基板7は、そのまま使ってもよいし、凹部に気体や液体を入れた後、別の基板と合わせて封入して使ってもよい。
なお、電気泳動表示素子は、このような第2基板以外の部分を予め作成しておき、最後に電気泳動粒子と分散媒からなる分散液を注入し、このように作成した移動規制部材付第2基板を搭載して封止することにより、形成される。
以下、本実施の形態を実施例を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
本実施例1では、図1に示す構造の電気泳動表示素子を作製した。即ち、水平な第1電極1と、隔壁4に沿って形成された第2電極5を備え、これら各電極1,5はそれぞれ第1及び第2絶縁層3,6で覆われている。なお、第1絶縁層3は白色の反射層も兼ねている。また、内部に黒色の電気泳動粒子9を低誘電率絶縁性液体に分散させた分散液を注入し、第2基板7を乗せて封止している。そして、この第2基板中央には矩形状の移動規制部材8が突設されている。
次に、このような電気泳動表示素子の作成方法を説明する。
まず、第1基板1としてガラス基板を用い、この第1基板上に第1電極2を形成した。なお、この第1電極1はアルミ電極を0.1ミクロンの厚みにスパッタ蒸着し、所望の形状にエッチングしてパターニングした。次に、第1絶縁層3として、酸化チタンを混合したアクリル樹脂を塗布し200℃で固化した。
続いて第1絶縁層上に高さ20ミクロン、幅5ミクロンの隔壁4を、感光性エポキシ樹脂により形成し、さらに隔壁4の上から全体にアルミ電極をスパッタ蒸着し、隔壁側面を残してエッチングして第2電極5とした。続いて透明なアクリル樹脂を第2電極5に塗布して第2絶縁層6とした。
一方、第2基板7としてガラス基板を用い、第2基板上の、第1電極2に対向する位置にアクリル樹脂で移動規制部材8を形成した。そして、先に作成した第1基板1及び隔壁等からなる凹部に電気泳動分散液を注入し、この後、移動規制部材8を設けた第2基板7を搭載した後、封止して電気泳動表示素子を作成した。
なお、電気泳動分散液は、以下のように作成した。
まず電気泳動粒子9としては、スチレン樹脂に対しカーボンブラックを10重量%混練したものをジェットミルで粉砕し、直径3ミクロン前後の黒色粒子を分取した。そして、イソパラフィン系炭化水素であるアイソパーH(エクソン社製)を分散媒とし、これに対して、この電気泳動粒子を2重量%加える一方、分散剤兼帯電制御剤としてコハク酸ポリイミドの1種であるOLOA−1200(シェブロンオロナイト社製)を0.5重量%添加した後、数時間攪拌して電気泳動分散液を作成した。なお、大塚電子製のゼータ電位測定装置で、電気泳動粒子9のゼータ電位を測定したところ、平均−50mVが得られた。
続いて、このように作製した電気泳動表示素子を用いて、応答速度ならびにコントラストの確認を行った。なお、このとき第2電極5を0Vの共通電極とし、第1電極2に電圧±20V、周波数1Hzの矩形波を印加した。
ここで、本実施例で作製した電気泳動粒子9は負極性に帯電しているため、第1電極2に+20Vの電圧を印加した場合には、図1の(a)に示すように第1電極上に速やかに移動した。このとき、第2基板7の法線方向上部から観察すると、電気泳動粒子9の黒色の表示を示した。このときの反射率は3%であった。
また第1電極に−20Vの電圧を印加した場合には、電気泳動粒子9は図1の(b)に示すように第2電極上に速やかに移動した。このとき、第2基板7の法線方向上部から観察すると、第1絶縁層3の白色の表示を示した。このときの反射率は42%であった。
図1の(a)の状態を反射率0%、図1の(b)の状態を反射率100%として規格化した反射率10%から90%に変化する時間を応答速度と定義して測定したところ、応答速度としては35ミリ秒という値が得られた。また100ミリ秒後の反射率は40%、コントラストは13が得られた。
(実施例2)
本実施例2では、図3に示す構造の電気泳動表示素子を作製した。即ち、水平な第1電極2と、隔壁4に沿って形成された第2電極5を備え、これら各電極1,5はそれぞれ第1及び第2絶縁層3,6で覆われている。なお、第1絶縁層3は白色の反射層も兼ねている。また、内部に黒色の電気泳動粒子9を低誘電率絶縁性液体に分散させた分散液を注入し、第2基板7を乗せて封止している。そして、この第2基板中央には中空、即ち気体が入った移動規制部材8が設けられている。
次に、このような電気泳動表示素子の作成方法を説明する。
まず、第1基板1としてガラス基板を用い、この第1基板上に第1電極2を形成した。なお、この第1電極1はアルミ電極を0.1ミクロンの厚みにスパッタ蒸着し、所望の形状にエッチングしてパターニングした。次に、第1絶縁層3として、酸化チタンを混合したアクリル樹脂を塗布し200℃で固化した。
続いて第1絶縁層上に高さ20ミクロン、幅5ミクロンの隔壁4を、感光性エポキシ樹脂により形成し、さらに隔壁4の上から全体にアルミ電極をスパッタ蒸着し、隔壁側面を残してエッチングして第2電極5とした。続いて透明なアクリル樹脂を第2電極5に塗布して第2絶縁層6とした。
一方、第2基板としてPETフィルムを用い、第2基板上の、第1電極2に対向する位置に移動規制部材となる凸形状が形成されるよう、金型を使ってエンボスを形成した。そして、先に作成した第1基板1及び隔壁等からなる凹部に電気泳動分散液を注入し、移動規制部材8を設けた第2基板7を搭載し、封止して電気泳動表示素子を作成した。さらに、第2基板7の上に平らなPETフィルムをラミネートした。
なお、電気泳動分散液は、以下のように作成した。
まず電気泳動粒子9としては、スチレン樹脂に対しカーボンブラックを10重量%混練したものを、ジェットミルで粉砕し、直径3ミクロン前後の黒色粒子を分取した。そして、イソパラフィン系炭化水素であるアイソパーH(エクソン社製)を分散媒とし、これに対して、この電気泳動粒子を2重量%加える一方、分散剤兼帯電制御剤として、コハク酸ポリイミドの1種であるOLOA−1200(シェブロンオロナイト社製)を0.5重量%添加した後、数時間攪拌して電気泳動分散液を作成した。なお、大塚電子製のゼータ電位測定装置で、電気泳動粒子9のゼータ電位を測定したところ平均−50mVが得られた。
続いて、このように作製した電気泳動表示素子を用いて、応答速度ならびにコントラストの確認を行った。なお、このとき第2電極5を0Vの共通電極とし、第1電極2に電圧±20V、周波数1Hzの矩形波を印加した。
ここで、本実施例で作製した電気泳動粒子3は負極性に帯電しているため、第1電極2に+20Vの電圧を印加した場合には、図3の(a)に示すように第1電極上に速やかに移動した。このとき、第2基板7の法線方向上部から観察すると電気泳動粒子9の黒色の表示を示した。このときの反射率は3%であった。
また、第1電極2に−20Vの電圧を印加した場合には、電気泳動粒子9は図3の(b)に示すように第2電極上に速やかに移動した。このとき、第2基板の法線方向上部から観察すると第1絶縁層3の白色の表示を示した。このときの反射率は42%であった。
図3の(a)の状態を反射率0%、図3の(b)の状態を反射率100%として規格化した反射率10%から90%に変化する時間を応答速度と定義して測定したところ、応答速度としては28ミリ秒という値が得られた。また100ミリ秒後の反射率は36%、コントラストは12が得られた。
(実施例3)
本実施例3では、図9に示す構造の電気泳動表示素子を作製した。即ち、水平な第1電極2と、隔壁4に沿って形成された第2電極5を備え、これら各電極1,5はそれぞれ第1及び第2絶縁層3,6で覆われている。なお、第1絶縁層3は白色の反射層も兼ねている。また、内部に黒色の電気泳動粒子9を低誘電率絶縁性液体に分散させた分散液を注入し、第2基板7を乗せて封止している。そして、この第2基板中央には中空の移動規制部材が設けられている。
次に、このような電気泳動表示素子の作成方法を説明する。
まず、第1基板1としてガラス基板を用い、この第1基板上に第1電極2を形成した。なお、第1電極1としてアルミ電極を0.1ミクロンの厚みにスパッタ蒸着し、所望の形状にエッチングしてパターニングした。次に、第1絶縁層3として、酸化チタンを混合したアクリル樹脂を塗布し200℃で固化した。
続いて第1絶縁層上に高さ20ミクロン、幅5ミクロンの隔壁4を、感光性エポキシ樹脂により形成し、さらに隔壁4の上から全体にアルミ電極をスパッタ蒸着し、隔壁側面を残してエッチングして第2電極5とした。続いて透明なアクリル樹脂を第2電極5に塗布して第2絶縁層6とした。
一方、第2基板としてPETフィルムを用い、第2基板上の、第1電極2に対向させる位置に移動規制部材となる凸形状が形成されるよう、金型を使ってエンボスを形成した。そして、エンボスを設けた第2基板7は、もう1枚の平らなPETフィルムと、低誘電率液体12としてアイソパーH(エクソン社製)を間に入れてラミネートした。ちょうど移動規制部材の内部をアイソパーHで満たした。この後、先に作成した第1基板1および隔壁4等からなる凹部に、電気泳動分散液を注入し、移動規制部材を設けた第2基板を搭載し、封止して、電気泳動表示素子を作成した。
なお、電気泳動分散液は、以下のように作成した。
まず電気泳動粒子9としては、スチレン樹脂に対しカーボンブラックを10重量%混練したものを、ジェットミルで粉砕し、直径3ミクロン前後の黒色粒子を分取した。そして、イソパラフィン系炭化水素であるアイソパーH(エクソン社製)を分散媒とし、これに対して、この電気泳動粒子を2重量%加える一方、分散剤兼帯電制御剤として、コハク酸ポリイミドの1種であるOLOA−1200(シェブロンオロナイト社製)を0.5重量%添加した後、数時間攪拌して電気泳動分散液を作成した。なお、大塚電子製のゼータ電位測定装置で、電気泳動粒子9のゼータ電位を測定したところ平均−50mVが得られた。
続いて、このように作製した電気泳動表示素子を用いて、応答速度ならびにコントラストの確認を行った。なお、このとき第2電極を0Vの共通電極とし、第1電極に電圧±20V、周波数1Hzの矩形波を印加した。
ここで、本実施例で作製した電気泳動粒子9は負極性に帯電しているため、第1電極2に+20Vの電圧を印加した場合には、図9の(a)に示すように第1電極上に速やかに移動した。このとき、第2基板7の法線方向上部から観察すると電気泳動粒子9の黒色の表示を示した。このときの反射率は3%であった。
また、第1電極2に−20Vの電圧を印加した場合には、電気泳動粒子9は図9の(b)に示すように第2電極上に速やかに移動した。このとき、第2基板7の法線方向上部から観察すると第1絶縁層3の白色の表示を示した。このときの反射率は42%であった。
図9の(a)の状態を反射率0%、図9の(b)の状態を反射率100%として規格化した反射率10%から90%に変化する時間を応答速度と定義して測定したところ、応答速度としては30ミリ秒という値が得られた。また100ミリ秒後の反射率は40%、コントラストは13が得られた。
(実施例4)
本実施例では、図4に示す構造の電気泳動表示素子を作製した。即ち、水平な第1電極2と、隔壁4に沿って作られた第2電極を備え、これら各電極1,5はそれぞれ第1及び第2絶縁層3,6で覆われている。なお、第1絶縁層3は白色の反射層も兼ねている。また、内部に黒色の電気泳動粒子9を低誘電率絶縁性液体に分散させた分散液を注入し、第2基板7を乗せて封止している。そして、この第2基板中央には中空の移動規制部材が設けられている。
次に、このような電気泳動表示素子の作成方法を説明する。
まず、第1基板1としてガラス基板を用い、この第1基板上に第1電極2を形成した。なお、第1電極1としてアルミ電極を0.1ミクロンの厚みにスパッタ蒸着し、所望の形状にエッチングしてパターニングした。次に、第1絶縁層3として、酸化チタンを混合したアクリル樹脂を塗布し200℃で固化した。
続いて第1絶縁層上に高さ20ミクロン、幅5ミクロンの隔壁4を、感光性エポキシ樹脂により形成し、さらに隔壁4の上から全体にアルミ電極をスパッタ蒸着し、隔壁側面を残してエッチングして第2電極5とした。続いて透明なアクリル樹脂を第2電極5に塗布して第2絶縁層とした。
一方、第2基板7としてガラスを用い、第2基板上の、第1電極2に対向させる位置にTMR−P10レジスト(東京応化社製)で移動規制部材となる矩形形状を形成した。続いて200℃にて熱処理を行い、矩形形状からドーム型の形状に変化させた。そして、先に作成した第1基板1および隔壁4等からなる凹部に電気泳動分散液を注入し、移動規制部材を設けた第2基板7を搭載し、封止して、電気泳動表示素子を作成した。
なお、電気泳動分散液は、以下のように作成した。
まず電気泳動粒子9としては、スチレン樹脂に対しカーボンブラックを10重量%混練したものを、ジェットミルで粉砕し、直径3ミクロン前後の黒色粒子を分取した。そして、イソパラフィン系炭化水素であるアイソパーH(エクソン社製)を分散媒とし、これに対して前述の電気泳動粒子を2重量%加える一方、分散剤兼帯電制御剤として、コハク酸ポリイミドの1種であるOLOA−1200(シェブロンオロナイト社製)を0.5重量%添加した後、数時間攪拌して電気泳動分散液を作成した。なお、大塚電子製のゼータ電位測定装置で、電気泳動粒子のゼータ電位を測定したところ、平均−50mVが得られた。
続いて、このように作製した電気泳動表示素子を用いて、応答速度ならびにコントラストの確認を行った。なお、このとき第2電極を0Vの共通電極とし、第1電極に電圧±20V、周波数1Hzの矩形波を印加した。
ここで、本実施例で作製した電気泳動粒子9は負極性に帯電しているため、第1電極2に+20Vの電圧を印加した場合には、図4の(a)に示すように第1電極上に速やかに移動した。このとき、第2基板7の法線方向上部から観察すると電気泳動粒子9の黒色の表示を示した。このときの反射率は3%であった。
また、第1電極2に−20Vの電圧を印加した場合には、電気泳動粒子9は図4の(b)に示すように第2電極上に速やかに移動した。このとき、第2基板7の法線方向上部から観察すると第1絶縁層3の白色の表示を示した。このときの反射率は42%であった。
図4の(a)の状態を反射率0%、図4の(b)の状態を反射率100%として規格化した反射率10%から90%に変化する時間を応答速度と定義して測定したところ、応答速度として28ミリ秒という値が得られた。また、100ミリ秒後の反射率は41%、コントラストは13が得られた。
次に、比較例について説明する。
本比較例では、実施例1に示した構成と同一で、移動規制部材のない電気泳動表示素子を作製し、応答速度ならびにコントラストの確認を行った。なお、このとき第2電極を0Vの共通電極とし、第1電極に電圧±20V、周波数1Hzの矩形波を印加した。
ここで、本比較例で作製した電気泳動粒子は負極性に帯電しているため、第1電極に+20Vの電圧を印加した場合には、電気泳動粒子9は第1電極上に移動した。このとき第2基板の法線方向上部から観察すると電気泳動粒子の黒色の表示を示した。このときの反射率は飽和状態で5%であった。
また、第1電極に−20Vの電圧を印加した場合には、電気泳動粒子は第2電極上に移動したが反射率が飽和するのが遅かった。このとき、第2基板の法線方向上部から観察すると第1絶縁層の白色の表示ではなくグレーを示した。このときの反射率は24%であった。
黒表示の状態を反射率0%、白表示の状態を反射率100%として規格化した反射率10%から90%に変化する時間を応答速度と定義して測定したところ、応答速度として550ミリ秒という値が得られた。また、100ミリ秒後の反射率は20%、コントラストは4が得られた。
本発明の実施の形態に係る電気泳動表示素子の概略構成及び表示動作を説明する図。 上記電気泳動表示素子の電圧印加時における第1電極中央付近に存在した電気泳動粒子の軌跡を模式的に示した図。 上記電気泳動表示素子に設けられた移動規制部材の他の構成及び表示動作を説明する図。 上記電気泳動表示素子に設けられた移動規制部材の他の構成及び表示動作を説明する図。 上記移動規制部材の形成方法の一例を示す図。 上記移動規制部材の形成方法の他の例を示す図。 上記移動規制部材の形成方法の他の例を示す図。 上記移動規制部材の形成方法の他の例を示す図。 本発明の実施例3で作成された電気泳動表示素子の概略構成及び表示動作を説明する図。 従来の電気泳動表示素子の概略構成及び表示動作を説明する図。
符号の説明
1 第1基板
2 第1電極
3 第1絶縁層
4 隔壁
5 第2電極
6 第2絶縁層
7 第2基板
8 移動規制部材
8a 感光性樹脂
9 電気泳動粒子
10 電気力線
11 気体
12 液体
13 弱電界領域
14 分散層
15 フォトマスク
16 紫外線
17 型
17A 型
17B 型
19 熱可塑性樹脂

Claims (10)

  1. 所定間隙を開けた状態に配置される一対の基板と、前記一対の基板の間隙に配置された隔壁部材と、前記一対の基板と前記隔壁部材とに囲まれた空間に配置された帯電粒子と、前記間隙に面して配置された第1電極及び第2電極とを備え、前記第1電極及び第2電極の間に生じる電界により前記帯電粒子の分布を変化させて表示を行う電気泳動表示素子において、
    前記第1電極を前記一対の基板のうちの一方の基板に設け、前記一対の基板のうちの他方の基板に、前記空間のうち電界強度の弱い領域への前記帯電粒子の進入を規制する略透明な移動規制部材を突設することを特徴とする電気泳動表示素子。
  2. 前記空間の電界強度の弱い領域は前記帯電粒子の移動速度により決定され、前記移動規制部材は前記帯電粒子の移動速度により決定された電界強度の弱い領域に設けられることを特徴とする請求項1記載の電気泳動表示素子。
  3. 前記空間の電界強度の弱い領域は、前記空間の寸法と前記移動規制部材の誘電率から計算された等電位線によって決定され、前記移動規制部材は前記計算された等電位線によって決定された電界強度の弱い領域に設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の電気泳動表示素子。
  4. 前記移動規制部材の前記第1電極に臨む面を、前記第1電極に対して平行とならないように形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気泳動表示素子。
  5. 前記一対の基板と前記隔壁部材とに囲まれた空間に前記帯電粒子を分散させる分散媒を充填すると共に、前記移動規制部材の誘電率を前記分散媒と同じ、あるいはそれ以下とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気泳動表示素子。
  6. 前記移動規制部材の誘電率を前記分散媒と同じ、あるいはそれ以下とするよう前記移動規制部材に中空部を設け、前記中空部に低誘電率材料を充填することを特徴とする請求項5記載の電気泳動表示素子。
  7. 前記中空部に充填する低誘電率材料は気体、あるいは液体であることを特徴とする請求項6記載の電気泳動表示素子。
  8. 前記移動規制部材は感光性樹脂によって作成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気泳動表示素子。
  9. 前記移動規制部材は加熱成型によって作成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気泳動表示素子。
  10. 前記移動規制部材は型冶具に押し当てる成型によって作成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気泳動表示素子。
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