JP2006201023A - ガスセンサー素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 焼成時におけるガスセンサー素子の反りを抑制することができると共に、昇温速度が速いガスセンサー素子およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】 固体電解質層4の片面に検知電極5を形成し、他面に基準電極6を形成してなるセンサー部9と、前記基準電極6側の固体電解質層4と接面してセンサー部9と一体に形成され内部に発熱体2を埋設したヒーター部10とを備えたガスセンサー素子1であって、発熱体2の主面が前記センサー部9に対して直角ないし傾斜していることを特徴とするガスセンサー素子1およびその製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガスセンサー素子およびその製造方法に関し、詳しくは自動車排ガス中の酸素濃度検出等に用いられる板状のガスセンサー素子およびその製造方法に関する。
近年、環境問題がクローズアップされ、各業界にて地球環境を最優先とする取り組みがなされている。とりわけ、自動車業界においては、アメリカのカリフォルニア州の排ガス規制に代表されるように、排気ガス中のCO2、CO、HC、NOx量を年々低減していくことが世の中の流れになってきている。排ガス中の上記ガスを低減するためには、如何に効率よく燃料を燃焼させるかが重要であり、そのためには排ガス中の残存酸素量を瞬時に測定し、その情報を燃焼系に速くフィードバックすることができる酸素センサー等のガスセンサーの要望が高まりつつある。
ガスセンサーはこれまで、排気ガスの熱を利用して、コップ状のセンサーを昇温し、センサー機能を発現させてきた。しかし、センサー機能が出現するまでの間、排ガスは垂れ流しの状態にあり、昨今の厳しい排ガス規制には対応しきれなくなってきた。そこで、コップ状のセンサーを積極的にヒーターで加熱するガスセンサーが開発された。このようなガスセンサーを用いることで、センサー機能を速く発現できるようになり、レスポンス良く、情報をフィードバックできるようになった。
しかしながら、上記のようなコップ状のセンサーでは、サイズが大きくなり、しかもヒーターとセンサーとの間隔が大きくなるために、センサー機能の発現速度には限界があった。そこで、最近では、センサー部を板状にして小さくし、更にセンサー部とヒーターとを一体成形することで昇温速度を高め、より速くセンサー機能を発現できるようにした板状のセンサー素子を備えたガスセンサー(板状ガスセンサー)が開発されつつある。
特許文献1には、少なくとも1個の測定セル及び少なくとも1個の加熱素子を有し、該測定セル及び該加熱素子が所定の電気絶縁層を介して結合している、内燃機関の排ガス中の酸素含量を測定するための板状のセンサー素子が記載されている。このセンサー素子は、測定セルおよび加熱素子を積層して形成されている。
図3は、特許文献1に記載のような従来の(板状)酸素センサー素子を示す概略断面図である。図3に示すように、酸素センサー素子51は、固体電解質層52の両面にそれぞれ検知電極53および基準電極54が形成されたセンサー部55と、このセンサー部55を加熱するための発熱体56が基部57に埋設されたヒーター部58とで構成されており、これらが焼成により一体化され、基準大気と接するように中空にした空洞部59が形成されている。また、検知電極53の表面には、排気ガスによる検知電極53の被毒を防止する観点から、保護層60が設けられている。
この酸素センサー素子は、発熱体56が形成されたグリーンシート(図示せず)を内在した複数のグリーンシートを積層して形成したヒーター部58を、基準電極54側のセンサー部55に、センサー部55に対し、ヒーター部58における積層の方向が同一の方向となるように接合し、これを同時焼成することによって作製している。
しかしながら、密着条件や脱脂焼成条件等の選択が容易ではなく、焼成時に積層方向に反りが発生しやすいという問題があった。また、この反りに伴い、ガスセンサー素子の製造歩留まりが低下し、セラミック材料や電極材料等が無駄になり、コストアップにつながるという問題があった。さらに、反りにより、センサー部55とヒーター部58との密着性が低下し、昇温速度が低下するという問題があった。
特表2000−507359号公報
本発明の課題は、焼成時におけるガスセンサー素子の反りを抑制することができると共に、昇温速度が速いガスセンサー素子およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ヒーター部とセンサー部とを接合するにあたり、該センサー部に対し、ヒーター部におけるグリーンシートの積層方向を直角ないし傾斜する方向とする場合には、焼成時における前記ヒーター部中のセラミック基部と発熱体との熱膨張の差による生じる反りを抑制することができ、さらにヒーター部の積層方向と略直角方向は反りが少ないため、その面とセンサー部を接合することにより、得られるガスセンサー素子の長手方向上下面の反りを抑制することができ、その結果、センサー部とヒーター部とを一体成形することによる昇温速度を高めることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明におけるガスセンサー素子およびその製造方法は、以下の構成からなる。
(1)固体電解質層の片面に検知電極を形成し、他面に基準電極を形成してなるセンサー部と、前記基準電極側の固体電解質層と接面してセンサー部と一体に形成され内部に発熱体を埋設したヒーター部とを備えたガスセンサー素子であって、
前記発熱体の主面が前記センサー部に対して直角ないし傾斜していることを特徴とするガスセンサー素子。
(2)前記ヒーター部は、断面がコ字状で構成され、前記センサー部と一体に形成したとき、基準大気を導入する空気導入孔を形成し、前記発熱体を前記空気導入孔の両側に位置するように前記ヒーター部に埋設した前記(1)記載のガスセンサー素子。
(3)酸素センサー素子である前記(1)または(2)記載のガスセンサー素子。
(4)発熱体パターンをグリーンシートに形成する工程と、前記グリーンシートを内在した複数のグリーンシートを積層してヒーター部形成用積層体を形成する工程と、固体電解質層用グリーンシートの両面にそれぞれ検知電極パターンおよび基準電極パターンを形成する工程と、前記ヒーター部形成用積層体を、前記基準電極パターン側の固体電解質層用グリーンシートに、該グリーンシートに対し、前記積層体の積層方向が直角ないし傾斜する方向となるように接合する工程と、接合した前記ヒーター部形成用積層体と固体電解質層用グリーンシートとを同時焼成する工程とを含むことを特徴とするガスセンサー素子の製造方法。
上記(1)によれば、発熱体を形成したグリーンシートを内在した複数のグリーンシートを積層して形成したヒーター部を、板状のセンサー部に、該センサー部に対し、前記積層の方向が所定の方向となるように接合し、焼成により一体成形するので、得られるガスセンサー素子の長手方向上下面の反りを抑制することができ、その結果、センサー部とヒーター部とを一体成形することによる昇温速度を高めることができるという効果がある。上記(2)によれば、センサー部と発熱体を接近させることができるので、昇温速度をより高めることができる。上記(3)によれば、上記反りを抑制でき、上記昇温速度を高めた酸素センサー素子を得ることができる。上記(4)によれば、製造歩留まりが向上すると共に、ヒーター部、センサー部および複数枚のグリーンシートを同時焼成するので焼成回数が1回で済み、コストダウンを図ることができる。
以下、本発明のガスセンサー素子およびその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
<ガスセンサー素子>
図1は、本発明の一実施形態にかかる酸素センサー素子を示す概略断面図でありる。図1に示すように、本実施形態の酸素センサー素子1は、酸素濃度を検知する機能を有するセンサー部9と、このセンサー部9を加熱するための断面がコ字状のヒーター部10とを備えており、これらが焼成により一体化され、基準大気と接するように中空にした空洞部7が形成されている。
センサー部9は、酸素イオン導電性を有する固体電解質層4と、この固体電解質層4の上面に設けられた検知電極5と、固体電解質層4の下面に設けられた基準電極6とを備えている。また、検知電極5の表面には、排気ガスによる検知電極5の被毒を防止する観点から、電極保護層として保護層8が設けられている。前記検知電極5、基準電極6は各々、リード部およびパッドを介して、電気信号を制御系へ伝達する構造となっている。
ヒーター部10は、発熱体2がセラミック絶縁層である基部3中に埋設されている。この実施形態では、発熱体2は、空洞部7の両側に位置するようにヒーター部10に埋設されている。これにより、センサー部9と発熱体2を接近させることができる。また、発熱体2は、発熱体2の主面がセンサー部9に対して直角ないし傾斜して埋設されている。これにより、焼成時におけるガスセンサー素子の反りを抑制することができる。
本発明における前記「主面」とは、発熱体2を構成する面のうち、最も広い面積を有する面を意味する。また、前記「傾斜」とは、ヒーター部10における基部3と発熱体2との熱膨張の差による生じる反りを抑制することができ、得られるガスセンサー素子の反りを抑制することができる角度のことを意味する。具体的には、前記主面がセンサー部9に対して90±20°程度傾斜した角度であるのが好ましい。
発熱体2を構成する材料としては、公知の導電性金属材料を用いることができ、例えば白金、タングステンあるいは白金とロジウム、パラジウム、ルテチウムおよび金からなる群より選ばれる1種との合金などが使用可能である。発熱体2は、前記導電材料に加えて共材を併用してもよく、共材としては、例えばアルミナ、フォルステライト、ジルコニア、ムライト、チタニア、窒化珪素、炭化珪素等が挙げられる。共材は、前記導電材料および共材の総量に対して20〜60体積%の割合で発熱体2に含有されるのが好ましい。
検知電極5,基準電極6を構成する電極材料としては、白金とロジウム、パラジウム、ルテチウムおよび金からなる群より選ばれる1種との合金などが使用可能である。特に、発熱体2および電極材料としては、固体電解質層4および基部3と同時に焼成できる点で、白金、タングステン等が好適である。上記した導電材料の平均粒径は0.1〜2.0μmであるのが好ましい。また、検知電極5,基準電極6には、前記した共材を併用してもよい。保護層8は、例えばジルコニア、アルミナ、マグネシア、スピネル等からなるセラミック多孔質層等が挙げられる。また、前記したリード部、パッドは各々、検知電極5,基準電極6を構成する電極材料、共材を使用できる。
セラミック絶縁層である基部3の材料としては、絶縁性を有したセラミックスであれば特に限定されず、例えばアルミナ、フォルステライト、ジルコニア、ムライト、チタニア等を使用することができる。前記材料の平均粒径は、0.1〜2.0μmであるのが好ましい。また、基部3の材料を、前記導電材料の共材として用いてもよい。
固体電解質層4を構成する材料としては、ジルコニア、チタニア系セラミックス等の固体電解質を用いることができる。前記固体電解質の平均粒径は、0.1〜2.0μmであるのが好ましい。前記固体電解質としては、安定化剤としてY23、Yb23、Sc23、Sm23、Nd23、Dy23などの希土類酸化物を酸化物換算で3〜15モル%含有する部分安定化ZrO2または安定化ZrO2、アルカリ土類元素を固溶させたZrO2などを用いてもよい。
本実施形態の酸素センサー素子は、発熱体2に通電して固体電解質層4を400〜1000℃程度に加熱した状態で、空洞部7に基準大気(酸素)が導入され、検知電極5が排ガス等の測定雰囲気中に配置される。そして、検知電極5と基準電極6との間で発生する起電力を測定して、排気ガス中の酸素濃度を測定する。なお、測定方式としては、例えば検知電極5と基準電極6との間で発生する起電力を測定して排気ガス中の酸素濃度を測定する濃淡電池型、一定電圧を印加し電流を検出して酸素濃度を測定する限界電流型などが挙げられる。
<ガスセンサー素子の製造方法>
次に本実施形態にかかる酸素センサー素子の製造方法の一例を、図2の分解斜視図をもとに説明する。なお、図2では電極接続用のスルーホール等は省略してある。
(ヒーター部形成用積層体)
前記した基部を構成するセラミックス材料と、ブチラール樹脂等の有機バインダー、有機溶剤およびメディア等をそれぞれ混合してスラリーを調製し、このスラリーを、例えばドクターブレード法を用いたテープ成形等の公知の成形方法によって成形、乾燥して(ヒーター部用)グリーンシート20,21,22,23,24,25,26,27を得る。これらのグリーンシートのうち、グリーンシート23,24は、基準大気と接するような形状に金型で打ち抜いて、溝付きのグリーンシートに形成する。なお、グリーンシート20,…,27の厚さは、50〜500μmであるのが好ましい。
ついで、前記した発熱体を構成する導電材料を用いて発熱体用の印刷ペーストを作製する。このペーストを作成する際には、ブチラール樹脂等の有機バインダー、テレピネオール等の有機溶剤を用いるのが好ましい。また、混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば3本ロール等のロール混合、ミルを用いたミル混合等を用いることができる。
上記で作成した発熱体用の印刷ペーストをグリーンシート22,25の片面にそれぞれスクリーン印刷等の方法で印刷し、発熱体パターン28,28を形成する。その後、発熱体パターン28,28が形成されたグリーンシート22,25およびヒーター部を形成するためのグリーンシート20,21,26,27および基準大気と接するような形状に金型で打ち抜いたグリーンシート23,24を位置決めして積層し、ヒーター部形成用積層体29を得ることができる。ここで、グリーンシート20,…,27の積層方向は、後述するセンサー部34に対して、直角ないし傾斜する方向となるように積層することが本発明の大きな特徴である。
前記積層は、30〜50MPa程度で圧着するのが好ましく、圧着しながら加熱してもよい。これにより、グリーンシートの接合不良の発生を抑制することができる。また、ヒーター部の厚さを調整するために、発熱体パターン28が印刷されていないグリーンシートを上記積層体29にさらに積層させてもよい。なお、積層体29の下面には、発熱体パターン28,28への電圧印加のためのヒーターパッド41,41が印刷により形成されている。このヒーターパッド41は、積層体29の側面に形成されていてもよく、その場合は、ヒーターパッド41と発熱体パターン28とを電気的に接続するために、グリーンシートを貫通するようにスルーホール導体を形成すればよい。
(センサー部)
グリーンシート20,…,27と同様の成形法により、前記した固体電解質層を構成するセラミックス材料を用いて、固体電解質層用グリーンシート33を得る。この固体電解質層用グリーンシート33の厚さは、50〜500μmであるのが好ましい。また、前記した発熱体用の印刷ペーストと同様の調製方法により、前記した検知電極、基準電極を構成する導電材料、および保護層を構成する材料を用いて、電極ペーストおよび保護層ペーストを作製する。
上記で作成した電極ペーストを用いて、前記発熱体パターン28と同様の方法で、固体電解質層用グリーンシート33の片面に検知電極パターン31を形成し、他面に基準電極パターン32を形成してセンサー部34を得ることができる。センサー部34の検知電極パターン31の表面には、保護層ペーストを用いて保護層30が形成されている。この保護層30は、検知電極を排ガス中の被毒物質等から保護するために形成されている。なお、積層体29と同様に、センサー部34の厚さを調整するために、複数枚の固体電解質層用グリーンシート33を積層して所定の厚さとした上で、このグリーンシート上に検知電極パターン等を形成してセンサー部34を構成してもよい。
(ガスセンサー素子)
積層体29を、センサー部34を形成する基準電極パターン32側の固体電解質層用グリーンシート33に、グリーンシート33に対し、積層体29の積層方向が直角ないし傾斜する方向となるように密着接合して、酸素センサーグリーン体(積層体)を形成する。前記密着接合は、積層体29とセンサー部34との接合面に密着液を塗布して接合すればよく、前記密着液としては、積層体29とセンサー部34とを密着して接合できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば各種の公知の接着剤等を用いることができる。また前記接着剤としては、グリーンシートを溶解可能な有機溶剤を好適に用いることができ、セラミック粉を混合してもよい。
そして、前記酸素センサーグリーン体を同時焼成して酸素センサー素子(ガスセンサー素子)を得る。これにより、焼成工程を一回にすることができ、コストダウンを図ることができる。なお、焼成温度は、セラミック材料および電極材料等との関係により適宜選択することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明のガスセンサー素子およびその製造方法について、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ガスセンサー素子の作製>
(グリーンシート)
部分安定化ジルコニア粉末(Y235モル添加、平均粒径0.3μm)に対して、ブチラール系バインダー、溶剤およびメディアを混合し、48時間撹拌して、スラリーを得た。その後、ドクターブレード成形にて前記スラリーを成形、乾燥させて、厚さ230μmの固体電解質層用グリーンシートを作製した。
平均粒径0.3μmのアルミナ粉末に対して、ブチラール系バインダー、溶剤およびメディアを混合し、48時間撹拌して、スラリーを得た。その後、ドクターブレード成形にて前記スラリーを成形、乾燥させて、厚さ200μmの(ヒーター部用)グリーンシートを作製した。なお、基準大気と接する空洞部に位置する溝付きのグリーンシートは、上記で得られたヒーター部用グリーンシートを金型にて空洞部の高さが0.8mmの溝形状に打ち抜いて作製した。
(電極・発熱体用の印刷ペースト)
次に、平均粒径1μmの白金粉末60体積%と前記アルミナ粉末40体積%の混合物に対して、ブチラール系バインダーおよびテルピネオールを調合し、3本ロールにて10回パス混合した後、テルピネオールにて希釈し、粘度調整して電極用および発熱体用の印刷ペーストをそれぞれ得た。
上記で得られた電極用の印刷ペーストを用いて、前記固体電解質層用グリーンシートに各種電極パターンをスクリーン印刷にて形成し、その後、乾燥させて、電極パターンが形成された固体電解質層用グリーンシート(センサー部)を得た。ついで、前記電極パターンの形成と同様にして、発熱体パターンが形成されたグリーンシートを作製した。得られた発熱体パターンが形成されたグリーンシート、溝付きのグリーンシートおよびその他のヒーター部用グリーンシートを位置決めして密着積層し、加圧プレスしてヒーター部形成用積層体を得た。
(酸素センサー素子)
上記で得られた積層体のセンサー部に接合する面に、スクリーン印刷にて前記アルミナ粉末と有機溶剤からなる密着液を塗布した。ついで、この積層体を、センサー部を形成する基準電極パターン側の固体電解質層用グリーンシートに、該グリーンシートに対し、前記積層体の積層方向が直角ないし傾斜する方向となるように密着接合し、酸素センサーグリーン体(積層体)を作製した。この酸素センサーグリーン体を1450℃にて2時間焼成して、酸素センサー素子を作製した。
<酸素センサー素子の反りおよび昇温速度の評価>
上記で得られた酸素センサー素子について、表面粗さ計(小坂研究所製の「Surfcorder SE−2300」)にて酸素センサー素子のセンサー部表面における長手方向25mmの反りを測定した。また、20V印加時に検知電極中央部に相当するセンサー部表面が900℃に達するまでの時間(秒)で、昇温速度を測定した。各評価は上記で得られた酸素センサー素子50個について行い、その平均値で表した結果を表1に示す。
[比較例1]
空洞部を形成する溝付きグリーンシートは、ヒーター部用のグリーンシートを金型にて幅1.6mmを有する溝形状に打ち抜いて作製し、ヒーター部形成用積層体とセンサー部とを接合するにあたり、該センサー部に対し、ヒーター部におけるグリーンシートの積層方向を図3に示したように、同一の方向となるように接合した以外は、実施例1同様にして酸素センサー素子を作製した。ついで、得られた酸素センサー素子50個について、実施例1と同様にして、酸素センサー素子の反りおよび昇温速度を評価した。その結果を表1に併せて示す。
Figure 2006201023
表1から、実施例1は反りが小さく、昇温速度は速いのがわかる。一方、比較例1では、実施例1に対し反りが大きく、昇温速度は遅い結果であった。
本発明の一実施形態にかかる酸素センサー素子を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態にかかる酸素センサー素子の製造方法を示す分解斜視図である。 従来の酸素センサー素子を示す概略断面図である。
符号の説明
1 酸素センサー素子
2 発熱体
3 基部
4 固体電解質層
5 検知電極
6 基準電極
7 空洞部
8 保護層
9,34 センサー部
10 ヒーター部
20,21,22,23,24,25,26,27 グリーンシート
28 発熱体パターン
29 ヒーター部形成用積層体
30 保護層
31 検知電極パターン
32 基準電極パターン
33 固体電解質層用グリーンシート
41 ヒーターパッド

Claims (4)

  1. 固体電解質層の片面に検知電極を形成し、他面に基準電極を形成してなるセンサー部と、前記基準電極側の固体電解質層と接面してセンサー部と一体に形成され内部に発熱体を埋設したヒーター部とを備えたガスセンサー素子であって、
    前記発熱体の主面が前記センサー部に対して直角ないし傾斜していることを特徴とするガスセンサー素子。
  2. 前記ヒーター部は、断面がコ字状で構成され、前記センサー部と一体に形成したとき、基準大気を導入する空気導入孔を形成し、前記発熱体を前記空気導入孔の両側に位置するように前記ヒーター部に埋設した請求項1記載のガスセンサー素子。
  3. 酸素センサー素子である請求項1または2記載のガスセンサー素子。
  4. 発熱体パターンをグリーンシートに形成する工程と、前記グリーンシートを内在した複数のグリーンシートを積層してヒーター部形成用積層体を形成する工程と、固体電解質層用グリーンシートの両面にそれぞれ検知電極パターンおよび基準電極パターンを形成する工程と、前記ヒーター部形成用積層体を、前記基準電極パターン側の固体電解質層用グリーンシートに、該グリーンシートに対し、前記積層体の積層方向が直角ないし傾斜する方向となるように接合する工程と、接合した前記ヒーター部形成用積層体と固体電解質層用グリーンシートとを同時焼成する工程とを含むことを特徴とするガスセンサー素子の製造方法。
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