以下、本発明の第1の実施の形態に係るタグ保持体としてのタグ付きボルト10ついて、図1から図4に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るタグ付きボルト10を示す斜視図である。また、図2は、本発明の第1の実施の形態に係るタグ付きボルト10を示す分解斜視図であり、図3は、図1のボルト本体20の側断面図である。また、図4は、蓋部材40にスティック状のICタグ30を取り付けた状態の側断面図である。なお、以下の説明では、図1から図4において一端側とは下方を指し、他端側とは上方を指すものとする。
図1および図2に示すように、タグ付きボルト10は、主に、ボルト11とICタグ30とから構成されている。ボルト11は、保持体となるボルト本体20と、タグ付きボルト10の頭部12を構成する部材でありかつICタグ30を保持する機能を有する蓋部材40とから主に構成されている。このタグ付きボルト10は、例えば、マンホールや壁などの目的とする場所や設備にネジ穴を設けて、そのネジ穴に螺入する形で配設される。
ボルト本体20は、金属製であり、図1から図3に示すように、本体頭部22と、この本体頭部22の外径より小径となる柱部としてのネジ部24とから構成されている。ネジ部24は、本体頭部22の下方平面22aの中心から一端側に突出して形成されている。本体頭部22の外形は、6角柱となっており、当該本体頭部22の上方平面22bの中心には、開口する形で円柱状の中空部26となる凹部が形成されている。また、図3に示すように、中空部26の中央からは、さらにネジ部24の軸線方向に沿ってかつ一端側に向かって、ネジ部24の径より小径となる、円柱状の小空間部28が形成されている。なお、ネジ部24の周側面にはネジ溝24aが形成されている。
本体頭部22の側面22cには、上方平面22bから下方平面22aに渡って、ボルト20の軸方向に沿ったスリット29が形成されている。図3に示すように、スリット29は、本体頭部22の中心方向に向かって形成されており、スリット29の上方平面22bから中空部26を形成する底面26aに渡る部分は、側面22cから中空部26まで貫通している。また、スリット29の底面26aから下方底面22aに渡る部分は、側面22cから中空部26を囲む周側面26bに渡って切り欠かれている。
ICタグ30は、ネジ部24の径より小径となる断面が円形となるスティック状のICタグであって、書き込み可能でかつ不揮発性の半導体メモリを有するRFID(Radio Frequency Identification)タグである。このRFIDは、13.56MHz対応となっている。このように距離の飛ばないRFIDを使用するのは、近距離の読み書きによって、確実にチェックしながら作業を進めることができるというメリットがあるためである。ICタグ30は、後述する蓋部材40に取り付けられ、その先端部は小空間部28の内部に配置される。なお、ICタグ30と、蓋部材40とで、ICタグ保有体が形成される。
蓋部材40は、アルミニウム、ステンレスまたは真鍮からなる金属性の部材であり、ボルト本体20の本体頭部22に嵌まり込むことで本体頭部22と一体化し、ボルト11の頭部12を構成することとなる。蓋部材40は、一端側の中心に円柱形状の開口部41を有し、他端側が塞がれた円筒体となっており、開口部41の内部空間42を形成する断面円形状の開口平面41aの中心部には、ICタグ30が取り付けられるための円柱状のICタグ取り付け部43が設けられている。ICタグ取り付け部43は、開口平面41aの中心から一端側に向かって突出するように設けられており、その突出側には円形凹部43aが設けられている。すなわち、ICタグ取り付け部43には、円柱状の空間部となる円形凹部43aが形成されていることとなる。そして、図4に示すように、ICタグ30は、円形凹部43aに嵌合される形で蓋部材40に保持されており、ICタグ30は蓋部材40の開口部41から一端側に向かって突出している。
また、蓋部材40には、図2に示すように、蓋部材40の中心部から周側面40aに渡ると共に軸線方向に伸びるスリットとなる切欠部44が形成されている。この切欠部44は、逆に言えば、頭部12の外周面からICタグ取り付け部43の外周部まで伸びていることになる。なお、蓋部材40の中心部とは、ICタグ取り付け部43が配置されている部分および、その部分から内部空間42を囲む円筒部45までの領域を言う。
図1は、ICタグ30が保持された蓋部材40を、本体頭部22の中空部26に嵌合した後の状態を示している。タグ付きボルト10では、蓋部材40は、蓋部材40に設けられた切欠部44が、本体頭部22に形成されたスリット29と周方向で同位置となるように中空部26に嵌合されている。また、ICタグ30の先端部は、蓋部材40の中空部26への嵌合に伴って小空間部28の内部に配置される。したがって、ICタグ30は、ボルト11の頭部12に配置されることとなる。
次に、図1に示すタグ付きボルト10の組み立て方法について説明する。
まず、ICタグ30の一端を、蓋部材40に設けられたICタグ取り付け部43の円形凹部43aに嵌合させる。これによって、ICタグ30は蓋部材40に保持され、蓋部材40と一体となり、ICタグ保有体となる。次に、切欠部44を挟んだ両側の周側面40aから押圧して蓋部材40を縮める。縮められた蓋部材40は、元の状態に復元しようとする復元力を有することとなる。そして、縮められた蓋部材40をボルト本体20の本体頭部22に形成された中空部26に嵌合させる。この際、ICタグ30の一端を小空間部28に挿入するように嵌合を行う。ICタグ30と蓋部材40は一体となっているため、ICタグ30の先端部は、小空間部28に配設されることとなる。また、嵌合の際、切欠部44が、本体頭部22に形成されたスリット29と同位置となるようにする。このようにして、ICタグ30はボルト11の頭部12の内部に配設される。
以上のような手順により、図1に示されるタグ付きボルト10が形成される。このタグ付きボルト10において、中空部26に嵌合された蓋部材40は、復元力を有しているため、中空部26を形成する周側面26bには常に蓋部材40からの復元力が働くこととなる。したがって、切欠部44の存在により、蓋部材40はより強固に中空部26に嵌合されることとなる。また、切欠部44がスリット29と周方向で同位置となるように蓋部材40を中空部26に嵌合させているため、ボルト11の頭部12全体に発生する渦電流をさらに効果的に遮断することができる。また、このタグ付きボルト10を所定の場所に嵌めこむ際に、頭部12と設置面との間に樹脂製のワッシャを介して嵌め込むようにする。このように樹脂製のワッシャを介してタグ付きボルト10を設置することで、本体頭部22の下方平面22aと設置面との摩擦によって、スリット29の間にばりが生じてしまうのを防止できる。なお、ばりが生じた場合、頭部12の周方向に渦電流が発生してしまうので、樹脂製のワッシャを介することでこの渦電流を防止できる。
次に、タグ付きボルト10に対するデータの読み書きについて説明する。
ICタグ30内のデータは、リーダとの間で電波または電磁波により非接触にて読み書きされる。したがって、土地等に嵌め込まれたタグ付きボルト10の頭部12にリーダを近づけて、リーダから電波または電磁波による信号を無線ICタグとなるICタグ30に送信することにより、ICタグ30に対するデータの読み書きが行われる。ICタグ30とリーダとの間での通信方式としては磁気結合式あるいはブルートゥースなどが採用される。また、赤外線によってICタグ30とリーダとの通信を行うようにしても良い。
以上のように構成されたタグ付きボルト10では、ICタグ30が蓋部材40に保持され、ICタグ保有体となっているため、蓋部材40を有するICタグ保有体を中空部26に嵌合することで、ICタグ30は、ボルト11の中空部26と小空間部28の内部に配置されることとなり、ICタグ30をボルト11の頭部12に配置させることが可能となる。したがって、タグ保持体としてのタグ付きボルト10が所定の場所に嵌め込まれた場合、ボルト11の頭部12は設置面から突出するため、ICタグ30は設備内部や地面下ではなく、地面等の設置面付近に配置されることとなる。よって、リーダを本体頭部22に近づけた場合、リーダとICタグ30の距離は近くなり、リーダから発せられる電波がICタグ30に確実に送信され、リーダとICタグ30の通信が正確に行われることとなる。また、蓋部材40を樹脂材等の非導電体によって形成した場合、非導電体は電波を透過させるため、リーダとICタグ30との間の交信がさらに確実に行われることとなる。
また、タグ付きボルト10では、蓋部材40は円筒体となっているため、容易に蓋部材40を中空部に嵌合させることができることとなる。また、他端側の開口部41に面する開口平面41aにICタグ取り付け部43が設けられているため、ICタグ30を、蓋部材40においてより他端側に近い位置にて保持することができることとなる。よって、蓋部材40を中空部26に嵌合させ、リーダでICタグ30のデータを読み書きする場合、リーダとICタグ30との間の距離が縮められることとなり、リーダとICタグ30との通信がより正確に行われることとなる。
また、タグ付きボルト10では、頭部12は、柱部としてのネジ部24と一体の大径部となる本体頭部22と、この本体頭部22に入れられる小径の蓋部材40とから構成されている。したがって、蓋部材40にICタグ30を保持させ、蓋部材40を本体頭部22に入れるという簡単な作業でタグ付きボルト10を完成させることができる。なお、柱部としてのネジ部24をネジとせず、画鋲の先のように尖った柱部としても良い。
また、タグ付きボルト10では、本体頭部22と蓋部材40の側面には、ボルト11の軸線方向に沿ったスリット29および切欠部44が周方向で同位置に設けられている。したがって、蓋部材40を、スリットとなる切欠部44を挟んだ両側から縮めた場合には、蓋部材40は、中空部26に嵌合されやすくなると共に、蓋部材40は復元力を有することとなる。よって、蓋部材40を中空部26に嵌合した場合、中空部26を囲む周側面26bには常に復元力が働くこととなり、蓋部材40の中空部26に対する嵌合強度が向上すこととなる。また、本体頭部22に設けられたスリット29と蓋部材40に設けられた切欠部44の位置を周方向で同位置とすることで、ボルト11の頭部12の周方向に沿って生じる渦電流を効率よく遮断または減少させることができ、リーダから送信される電波が渦電流により弱められることが防止され、ICタグ30とリーダの通信が正確に行われることとなる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るタグ保持体としてのタグ付きボルト60ついて、図5から図8に基づいて説明する。図5は、本発明の第2の実施の形態に係るタグ付きボルト60を示す斜視図である。また、図6は、本発明の第2の実施の形態に係るタグ付きボルト60を示す分解斜視図であり、図7は、図5のボルト本体20の側断面図である。また、図8は、蓋部材70にスティック状のICタグ30を取り付けた状態の側断面図である。なお、以下の説明では、図5から図8において一端側とは下方を指し、他端側とは上方を指すものとする。また、第1の実施の形態と同一の部材、同一の部分には同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
図5および図6に示すようにタグ付きボルト60は、主に、ボルト61とICタグ30とから構成される。ボルト61は、金属製のボルト本体20と、タグ付きボルト60の頭部62を構成する部材であり、かつICタグ30を保持する機能を有する蓋部材70とから主に構成されている。このタグ付きボルト60は、第1の実施の形態の場合と同様、例えば、マンホールや壁などの目的とする場所や設備にネジ穴を設けて、そのネジ穴に螺入する形で配設される。ここで、ICタグ30と蓋部材70とで、ICタグ保有体が構成される。
ボルト本体20は、第1の実施の形態の場合と同様、本体頭部22と、この本体頭部22の外径より小径となる柱部としてのネジ部24とから構成されている。ネジ部24は、本体頭部22の下方平面22aの中心から一端側に突出して形成されている。本体頭部22の外形は、6角柱となっており、当該本体頭部22の上方平面22bの中心には、円柱状の中空部26となる凹部が形成されている。また、中空部26の中央からは、さらにネジ部24の軸線方向に沿って、かつ一端側に向かって、円柱状の小空間部28が形成されている。なお、ネジ部24の周側面にはネジ溝24aが形成されている。なお、柱部としてのネジ部24をネジとせず、画鋲の先のように尖った柱部としても良い。
本体頭部22の側面22cには、第1の実施形態の場合と同様、ボルト本体20の軸線方向に沿ったスリット29が形成されている。スリット29は、スリット29の上方平面22bから中空部26を形成する底面26aに渡る部分は、側面22cから中空部26まで貫通している。また、スリット29の底面26aから下方底面22aに渡る部分は、側面22cから中空部26を形成する周側面26bに渡って切り欠かれている。
ICタグ30は、断面が円形となるスティック状のICタグであって、書き込み可能でかつ不揮発性の半導体メモリを有するRFIDタグである。ICタグ30は、後述する蓋部材70に取り付けられ、小空間部28の内部に配置される。
蓋部材70はアルミニウム、ステンレスまたは真鍮からなる金属性の部材であり、ボルト本体20の本体頭部22に嵌まり込むことで本体頭部22と一体化し、ボルト61の頭部62を構成することとなる。蓋部材70は、その中心に断面円形状の貫通孔72を有する円柱体となっており、当該貫通孔72にはICタグ30が嵌合される。そして、図8に示すように、ICタグ30は、貫通孔72に嵌合される形で蓋部材70に保持されており、ICタグ30は蓋部材70の一端側から突出している。また、ICタグ30は、ICタグ30の他端が蓋部材70の他端側の平面70aと同一平面上に位置するように貫通孔72へ嵌合される。そして、ICタグ30が貫通孔72に嵌合された状態で、ICタグ30の他端には樹脂等によるシーリング73が施される。
図5は、ICタグ30が保持された蓋部材70を、本体頭部22の中空部26に嵌合した後の状態を示している。ICタグ30は、蓋部材70に保持されているため、蓋部材70の中空部26への嵌合に伴い、ICタグ30の先端部は、小空間部28の内部に配置される。したがって、ICタグ30は、ボルト61の頭部62に配置されることとなる。
次に、図5に示すタグ付きボルト60の組み立て方法について説明する。
まず、ICタグ30の他端を、蓋部材70の貫通孔72に嵌合させる。これによって、ICタグ30は蓋部材70によって保持され、ICタグ30は、蓋部材70と一体となり、ICタグ保有体となる。次に、一体となったICタグ30と蓋部材70のうちICタグ30の他端側の表面にシーリング73を施す。次に、蓋部材70をボルト61の頭部62に形成された凹部となる中空部26に嵌合させる。この際、嵌合と同時にICタグ30の一端を小空間部28に挿入する。ICタグ30と蓋部材70は一体となっているため、ICタグ30の先端部は、小空間部28に配設されることとなる。このようにして、ICタグ30は頭部62の内部に配設される。以上のような手順により、図5に示されるタグ保持体としてのタグ付きボルト60が形成される。また、このタグ付きボルト60を所定の場所に嵌めこむ際も、第1の実施の形態の場合と同様、頭部62と設置面との間に樹脂製のワッシャを介して嵌め込むようにする。また、タグ付きボルト60に対するデータの読み書きについては、第1の実施の形態の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成されたタグ付きボルト60では、ICタグ30が蓋部材70に保持されているため、蓋部材70を中空部26に嵌合することで、ICタグ30は、蓋部材70と小空間部28の内部に配置されることとなり、ICタグ30を頭部62に配置させることが可能となる。したがって、タグ付きボルト60が地上等所定の場所に嵌め込まれた場合、ボルト61の頭部62は地上等の設置面から突出するため、ICタグ30は地面下ではなく、地上等の設置面付近に配置されることとなる。よって、リーダを頭部62に近づけた場合、リーダとICタグ30の距離は近くなり、リーダから発せられる電波がICタグ30に確実に送信され、リーダとICタグ30の通信が正確に行われることとなる。また、蓋部材70を樹脂材等の非導電体によって形成した場合、非導電体は電波を透過させるため、リーダとICタグ30との間の交信が確実に行われることとなる。
また、タグ付きボルト60では、蓋部材70は円柱体となっているため、容易に蓋部材70を中空部26に嵌合させることができることとなる。また、ICタグ30を貫通孔72に嵌合させることで、ICタグ30の他端が、蓋部材70の他端側の平面70aと同一平面上となるように、ICタグ30を蓋部材70に保持することができることとなる。よって、蓋部材70を中空部26に嵌合させ、リーダでICタグ30のデータを読み書きする場合、リーダとICタグ30との間の距離が最も縮められることとなり、リーダとICタグ30との通信が正確に行われることとなる。
また、タグ付きボルト60では、頭部62の側面(具体的には本体頭部22の側面)には、ボルト61の軸線方向に沿ったスリット29が設けられている。したがって、頭部62の周方向に沿って生じる渦電流を減少させることができ、リーダから送信される電波が渦電流により大幅に弱められることが防止され、ICタグ30とリーダの通信が今まで以上に正確に行われることとなる。なお、蓋部材70を金属製とせず樹脂製等として渦電流を発生させない材料で形成した場合は、このスリット29は正確な通信を行う上では大変有利となる。一方、ICタグ30が強力なものである場合は、ICタグ30が頭部62から直接露出またはシールド73を介して露出しているため、スリット29を設けないようにしても良い。
また、タグ付きボルト60では、一体となったICタグ30と蓋部材70のうちICタグ30の他端側の表面にシーリング73が施されている。したがって、ICタグ30の他端がむき出しになることで、ICタグ30が傷つけられるのを防止することが可能となる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係るタグ保持体としてのタグ付きボルト80ついて、図9から図12に基づいて説明する。図9は、本発明の第3の実施の形態に係るタグ付きボルト80を示す斜視図である。また、図10は、本発明の第3の実施の形態に係るタグ付きボルト80を示す分解斜視図であり、図11は、図9のボルト本体85の側断面図である。また、図12は、蓋部材95に円盤状のICタグ90を嵌合させた状態の側断面図である。なお、以下の説明では、図9から図12において一端側とは下方を指し、他端側とは上方を指すものとする。また、第1の実施の形態と同一の部材、同一の部分には同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
図9および図10に示すようにタグ付きボルト80は、主にボルト81とICタグ90とから構成される。ボルト81は、保持体としての金属製のボルト本体85と、ボルト81の頭部82を構成する部材であり、かつICタグ90を保持する機能を有する蓋部材95とから主に構成されている。このタグ付きボルト80は、第1の実施の形態の場合と同様、例えば、マンホールや壁などの目的とする場所等にネジ穴を設けて、そのネジ穴に螺入する形で配設される。なお、ICタグ90と蓋部材95とで、ICタグ保有体が形成される。
ボルト本体85は、図9から図11に示すように、本体頭部86とネジ部87とから構成されている。ネジ部87は、本体頭部86の下方平面86aの中心から一端側に突出して形成されている。本体頭部86の外形は、6角柱となっており、当該本体頭部86の上方平面86bの中心には、開口する形で円柱状の中空部26となる凹部が形成されている。なお、ネジ部87の周側面にはネジ溝87aが形成されている。また、柱部としてのネジ部87をネジとせず、画鋲の先のように尖った柱部としても良い。
本体頭部86の側面86cには、第1の実施の形態の場合と同様に、上方平面86bから底面26aに渡って、ボルト本体85の軸線方向に沿ったスリット89が形成されている。すなわち、スリット89の上方平面86bから中空部26を形成する底面26aに渡る部分は、側面86cから中空部26まで貫通している。なお、スリット89は、底面26aから下方底面86aに渡る部分であって、側面86cから中空部26を形成する周側面26bに渡る部分までは切り欠かれていないが、切り欠くようにしても良い。
ICタグ90は、円盤状のICタグであって、書き込み可能でかつ不揮発性の半導体メモリを有するRFIDタグである。このRFIDは、13.56MHz対応となっている。このように距離の飛ばないRFIDを使用するのは、近距離の読み書きによって、確実にチェックしながら作業を進めることができるというメリットがあるためである。ICタグ90は、後述する蓋部材95に嵌合され、中空部26の内部に配置される。
蓋部材95はアルミニウム、ステンレスまたは真鍮からなる金属製の部材であり、図12に示すように、一端側の中心に円柱形状の開口部96を有し、他端側が塞がれた円筒体となっている。そして、開口部96の内部空間97を形成する断面円形状の開口平面96aには、ICタグ90が嵌合する形で取り付けられている。したがって、ICタグ90は蓋部材90の内部空間97内に保持されることとなる。
また、蓋部材90に設けられた開口部96の円筒部95aには、図10に示すように、その周方向に対して垂直方向に3つのスリット99が120度間隔で設けられている。3つのスリット99は、蓋部材95の内部空間97を囲む円筒部95aに設けられ、底面部95bまでは至ってない。しかし、底面部95bの一部も切り欠かれるようにしたり、第1の実施の形態のように、蓋部材95のほぼ中心まで切り欠かれるようにしても良い。また、スリット99は、1つだけにしたり、180度間隔で2つ設けたり、90度間隔で4つ設けるようにしても良い。
図9は、ICタグ90が保持された蓋部材95を、本体頭部86の中空部26に嵌合した後の状態を示している。タグ付きボルト80では、蓋部材95は、蓋部材95に設けられた3つのスリット99の一方が、本体頭部86に形成されたスリット89と周方向で同位置となるように中空部26に嵌合されている。また、ICタグ90は、蓋部材95の開口部96に嵌合されているため、蓋部材95の中空部26への嵌合に伴い、ICタグ90は、中空部26に配置される。したがって、ICタグ90は、ボルト81の頭部82に配置されることとなる。
次に、図9に示すタグ付きボルト80の組み立て方法について説明する。
まず、ICタグ90を、蓋部材95の開口部96に嵌合させる。これによって、ICタグ90は蓋部材95に保持され、蓋部材95と一体となり、ICタグ保有体となる。次に、スリット99を挟んだ円筒部95aを押圧して蓋部材95を縮める。縮められた蓋部材95は、元の状態に復元しようとする復元力を有することとなる。そして、縮められた蓋部材95をボルト本体85の本体頭部86に形成された中空部26に嵌合させる。ICタグ90と蓋部材95は一体となっているため、ICタグ90は、中空部26に配設されることとなる。また、嵌合の際、スリット99の一つが、本体頭部86に形成されたスリット89と周方向で同位置となるようにする。このようにして、ICタグ90は、頭部82の内部に配設される。
以上のような手順により、図9に示されるタグ付きボルト80が形成される。このタグ付きボルト80において、中空部26に嵌合された蓋部材95は、復元力を有しているため、中空部26を形成する周側面26bには常に蓋部材95からの復元力が働くこととなる。したがって、スリット99の存在により、蓋部材95はより強固に中空部26に嵌合されることとなる。また、このタグ付きボルト80を所定の場所に嵌めこむ際も、第1の実施の形態の場合と同様、頭部82と設置面との間に樹脂製のワッシャを介して嵌め込むようにする。また、タグ付きボルト80に対するデータの読み書きについては、第1の実施の形態の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成されたタグ付きボルト80では、ICタグ90が蓋部材95に保持されているため、蓋部材95を中空部26に嵌合することで、ICタグ90を、ボルト81の頭部82に配置させることが可能となる。したがって、タグ付きボルト80が地上等所定の場所に嵌め込まれた場合、頭部82は地上等から突出し、または設置面付近に位置することとなるため、ICタグ90は地面下等の内部ではなく、地上や設置面付近に配置されることとなる。よって、リーダを頭部82に近づけた場合、リーダとICタグ90の距離は近くなり、リーダから発せられる電波がICタグ90に確実に送信され、リーダとICタグ90の通信が正確に行われることとなる。また、蓋部材95を樹脂材等の非導電体によって形成した場合、非導電体は電波を透過させるため、リーダとICタグ90との間の交信が確実に行われることとなる。
また、タグ付きボルト80では、蓋部材95は円筒体となっているため、容易にICタグ90を中空部26に嵌合させることができることとなる。また、開口平面96aと密着するようにICタグ90が蓋部材95に保持されているため、ICタグ90は、頭部82において、より他端側に近い位置、すなわち外側に近い位置にて保持されることとなる。よって、リーダでICタグ90のデータを読み書きする場合、リーダとICタグ90との間の距離が近くなり、リーダとICタグ90との通信が正確に行われることとなる。
また、タグ付きボルト80では、頭部82は、ネジ部87と一体の大径部と、この大径部となる本体頭部86に入れられる小径の蓋部材95とから構成されている。したがって、蓋部材95にICタグ90を保持させ、本体頭部86の内部に蓋部材95を配置させることで、頭部82にICタグ90を配置させることができることとなる。
また、タグ付きボルト80では、本体頭部86と蓋部材95の側面には、タグ付きボルト80の軸線方向に沿ったスリット89,99が設けられている。したがって、蓋部材95を、スリット99を挟んだ状態から縮めた場合には、蓋部材95は中空部26に嵌合しやすくなると共に、復元力を有することとなる。よって、蓋部材95を中空部26に嵌合させた場合、中空部26を囲む周側面26bには常に復元力が働くこととなり、蓋部材95の中空部26に対する嵌合強度が向上すこととなる。また、本体頭部86のスリット89と蓋部材95に形成された3つのスリット99のうちの一つを周方向で同位置とすることで、頭部82の周方向に沿って生じる渦電流を効率よく遮断または減少させることができ、リーダから送信される電波が渦電流により弱められることが防止され、ICタグ90とリーダの通信が正確に行われることとなる。
次に、本発明の第4の実施の形態に係るタグ保持体としてのタグ付きボルト100について、図13および図14に基づいて説明する。図13は、本発明の第4の実施の形態に係るタグ付きボルト100を示す分解斜視図である。また、図14は、本発明の第4の実施の形態に係るタグ付きボルト100に使用されるICタグ保有体101の断面図である。なお、以下の説明では、図13および図14において一端側とは下方を指し、他端側とは上方を指すものとする。また、第1の実施の形態等と同一の部材、同一の部分には、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
第4の実施の形態に係るタグ付きボルト100は、ICタグ保有体101と、ステンレスからなる金属製のボルト本体102とから構成されている。ICタグ保有体101は、図14に示すように、蓋部材を兼ね防水機能を果たす樹脂部103と、円盤状のICタグ90と、ノイズ抑制用の電磁シールド部材104とから構成されている。
樹脂部103は、ICタグ90の周囲(下面は電磁シールド部材104を介して)を覆うと共にICタグ90と一体不可分となるようにICタグ90に固定されている。この樹脂部103は、ICタグ90等をインサート成型して得られるもので、非常に固い材質とされている。ICタグ90は、軸方向中心にICチップを有し、そのチップを中心としてアンテナコイルがらせん状に巻回される構造となっている。電磁シールド部材104は、電磁波をシールドすることで通信データに含まれるノイズを抑制するものである。この実施の形態では、円盤状の鉄材を使用しているが、材質としては軟磁性シールドとしたり、フェライト焼結体としたり、炭素繊維紙としたり、シールド機能を有するアルミニウム製の導電テープ等としても良い。
ボルト本体102は、ステンレス製で、その全体形状は第1の実施の形態に係るボルト本体20と同様であるが、スリット29が存在せず、代わりにネジ部24の先端からICタグ保有体101が嵌合する中空部26に通ずる貫通孔105が設けられている。この貫通孔105は、ネジ部24の先端から棒状の物体を挿入し、中空部26に嵌合しているICタグ保有体101の底を押すことで、ICタグ保有体101をボルト本体102から取り外すために使用される。なお、柱部としてのネジ部24をネジとせず、画鋲の先のように尖った柱部としても良い。
ボルト本体102の中空部26にICタグ保有体101が嵌合されることで、タグ付きボルト100が完成する。その嵌合の際、中空部26の底面またはICタグ保有体101の中空部26側のいずれかまたは両者の面に接着剤を塗布しておくと、嵌合後の外れがより防止される。なお、電磁シールド部材104は、ネジ部24側に向くように設置するが、この設置の際のミスを防止するため、ICタグ保有体101の円形平面となる表裏面の色を異ならせるのが好ましい。
次に、本発明の第5の実施の形態に係るタグ保持体としてのタグ付きボルト110について、図15に基づいて説明する。図15(A)は、本発明の第5の実施の形態に係るタグ付きボルト110のボルト本体112を示す斜視図である。図15(B)は、タグ付きボルト110に使用されるICタグ保有体111の断面図である。なお、以下の説明では、図15において一端側とは下方を指し、他端側とは上方を指すものとする。また、第1の実施の形態等と同一の部材、同一の部分には、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
第5の実施の形態に係るタグ付きボルト110は、平板で四角形状のICタグ保有体111と、純鉄等鉄製のボルト本体112とから構成されている。ICタグ保有体111は、図15(B)に示すように、蓋部材を兼ね防水機能を果たす平板かつ四角形の樹脂部113と、平板かつ四角形のICタグ114と、樹脂部113と同形状のノイズ抑制用の電磁シールド部材115とから構成されている。ICタグ114は、内部に13.56MHz対応のRFIDを有している。このように距離の飛ばないRFIDを使用するのは、近距離の読み書きによって、確実にチェックしながら作業を進めることができるというメリットがあるためである。
樹脂部113は、ICタグ114の表面を覆うと共にICタグ114と一体不可分となるようにICタグ114に固定されている。この樹脂部113は、ICタグ114の表面に貼着されるもので、やわらかい材質とされている。ICタグ114は、軸方向中心にICチップを有し、そのチップを中心としてアンテナコイルがらせん状または四角状に巻回される構造となっている。電磁シールド部材115は、電磁波をシールドすることで通信データに含まれるノイズを抑制するものである。この実施の形態では、材質としては四角状の軟磁性シールドとしているが、板状の鉄材を使用したり、フェライト焼結体としたり、炭素繊維紙としたり、シールド機能を有するアルミニウム製の導電テープ等としたも良い。このICタグ保有体111は、人の手で簡単に曲げることができるものとなっていると共に、各部材間には接着剤が入っており、その接着剤で一体化されている。
ボルト本体112は、第1の実施の形態に係るボルト本体20と異なり、スリット29が存在せず、代わりに中空部26の底面が外部に通ずる貫通孔116が設けられている。この貫通孔116は、ボルト本体112の底側から棒状の物体を挿入し、中空部26に嵌合しているICタグ保有体111の底を押すことで、ICタグ保有体111をボルト本体112から取り外すために使用される。
ボルト本体112の四角状の中空部26にICタグ保有体111が嵌合されることで、タグ付きボルト110が完成する。その嵌合の際、中空部26の底面またはICタグ保有体111の中空部26側のいずれかまたは両者の面に接着剤を塗布しておくと、嵌合後の外れがより防止される。なお、電磁シールド部材115は、ネジ部24側に向くように設置するが、この設置の際のミスを防止するため、ICタグ保有体111の角形平面となる表裏面の色を異ならせるのが好ましい。なお、柱部としてのネジ部24をネジとせず、画鋲の先のように尖った柱部としても良い。
次に、本発明の第6の実施の形態に係るタグ保持体としてのタグ付きボルト120について、図16に基づいて説明する。図16は、本発明の第6の実施の形態に係るタグ付きボルト120を示す分解斜視図である。なお、第1の実施の形態等と同一の部材、同一の部分には、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
第6の実施の形態に係るタグ付きボルト120は、ICタグ保有体121と、金属製のボルト本体112とから構成されている。ICタグ保有体121は、図14に示すような構造のもの、または図15(B)に示すような構造のもののいずれか一方となっている。
ボルト本体122は、第1の実施の形態に係るボルト本体20と異なり、スリット29が存在せず、代わりに第5の実施の形態と同様に、中空部26の底面が外部に通ずる貫通孔123が設けられている。この貫通孔123は、ボルト本体122の底側から棒状の物体を挿入し、中空部26に嵌合しているICタグ保有体121の底を押すことで、ICタグ保有体121をボルト本体122から取り外すために使用される。
ボルト本体122の中空部26にICタグ保有体121が嵌合されることで、タグ付きボルト120が完成する。その嵌合の際、中空部26の底面またはICタグ保有体121の中空部26側のいずれかまたは両者の面に接着剤を塗布しておくと、嵌合後の外れがより防止される。なお、電磁シールド部材104,115は、ネジ部24側に向くように設置するが、この設置の際のミスを防止するため、ICタグ保有体121の円形平面となる表裏面の色を異ならせるのが好ましい。なお、柱部としてのネジ部24をネジとせず、画鋲の先のように尖った柱部としても良い。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
上述の各実施の形態では、ボルト本体20,85および蓋部材40,70,95を金属製としたが、これに限らず、ポリエチレン系またはポリプロピレン系等の樹脂製または木製等、別の材質としても良い。このようにすることで、頭部12,62,82に発生する渦電流の影響を減少させることができ、リーダとICタグ30,90との通信を確実なものとすることができる。
また、上述の各実施の形態では、本体頭部22,86の外形の形状は6角柱等となっているが、これに限らず、円柱形状としてもよいし8角柱等他の角数の角柱としても良い。また、本体頭部22,86に設けられている中空部26の形状は円柱形となっているが、これに限らず4角柱、8角柱等の他の多角柱形状としても良い。このような形状とした場合、蓋部材40,70,95やICタグ保有体101,111,121の形状を中空部の形状と対応させた角柱形状とする必要がある。
また、上述の第1から第3の各実施の形態では、スリット29やスリット89の数を1つとしたが、2つ以上としても良い。また、スリット29,89をボルト10,60,80の軸線方向と平行に形成しているが、これに限らず、スリット29,89をタグ付きボルト10,60,80の軸線方向に対して斜めに形成するようにしても良い。同様に、切欠部44をタグ付きボルト10,60,80の軸線方向に対して斜めとなるように形成しても良い。
また、上述の第1から第3の各実施の形態では、渦電流の遮断手段としてのスリット29,44,89,99を空隙としたが、スリット29,44,89,99に樹脂等の絶縁性部材を嵌合配置するようにしても良い。また、強力なICタグ30,90を使用する等通信データにノイズが入らない環境下では、スリット29,44,89,99を設けないようにしても良い。
また、上述の第1、第2の実施の形態では、スリット29は、ボルト本体20の本体頭部22の側面22cにのみ形成されているが、これに限らず、図17に示す第1の変形例のように、ボルト本体20の上方平面22bからネジ部24の先端に渡って、本体頭部22の側面22cおよびボルト本体20のネジ部24の側面にスリット29Aを設けるようにしても良い。
また、上述の第1および第2の実施の形態では、スティック状のICタグ30の断面形状は円形となっているが、これに限ることなく、楕円形、四角形、六角形等の他の形状としても良い。なお、このような形状とした場合は、小径空間部28の断面形状もそれぞれの変形例に対応させた形状とする必要がある。
また、上述の第1および第2の実施の形態では、小空間部28は中空部26の底面26aからネジ部24の一部に渡って形成されているが、図18に示す第2変形例のように、ネジ部24を貫通した貫通孔105のように、小空間部28を形成しても良い。また、上述の第3の実施の形態においても、中空部26の底面26aからネジ部87の先端に渡ってネジ部87を貫通する貫通孔105のようなものを設けるようにしてもよい。このように構成することにより、ネジ部24,87の先端から小空間部28および貫通孔の径より小径となる棒状の物体を小空間部28または貫通孔に挿入し、中空部26に嵌合している蓋部材40,70,95をボルト11,61,81の頭部12,62,82より他端側に押すことによって、蓋部材40,70,95をボルト11,61,81の頭部12,62,82から容易に取り外すことができることとなる。なお、小空間部28を設けないようにしたり、貫通孔105のようにネジ部24,87を貫通する孔や貫通孔116のように底面を貫通する孔を設けないようにしても良い。たとえば、図13に示すタグ付きボルト100において、貫通孔105を有さない形状としても良い。
また、上述の第1の実施の形態では、蓋部材40には、その中央部から周側面40aに渡ってスリットとなる切欠部44が形成されているが、中央部からに限らず蓋部材40における他の部位から周側面40a渡って切欠部を形成するようにしても良いし、周側面40aのみに切欠部を形成するようにしても良い。また、切欠部44を1つのみではなく2つや3つのように複数個設けるようにしても良い。この場合、それぞれの切欠部を互いに平行となるように形成すると中空部26への嵌合がさらに容易となる。
また、上述の第2の実施の形態では、蓋部材70には、ボルト61の軸線方向に沿ったスリットとなる切欠部を設けていないが、切欠部を設けるようにしても良い。
また、上述の第3の実施の形態では、蓋部材95の内部空間97に円盤状のICタグ90のみを配置させているが、ICタグ90の上方または下方に、アモルファス等の軟磁性材料の粉末またはフレークとプラスチックとの複合材からなるシートを、例えば接着剤等により接着させて配置するようにしても良い。上記シートは磁性を有するため、当該シートをICタグ90の上方または下方に配置させる2層構造とすることにより、ICタグ90は、より電波を受信しやすくなる。また、ICタグ90と同様に上記シートは防水性を有しているので、雨等により水がタグ付きボルト90の内部まで侵入した場合でも、上記シートの機能は害されないこととなる。
また、上述の第3の実施の形態では、スリット99は、蓋部材95に設けられた開口部96の円筒部95aの周方向に対して垂直方向に設けられているが、垂直方向に限らず、周方向に対して斜めに設けるようにしても良い。この場合、3つのスリットは平行となるようにするのが好ましい。また、蓋部材95の中央部からその周側面95aに渡ってスリットを形成するようにしても良い。
また、上述の第3の実施の形態では、蓋部材95を円筒体の他端が塞がれた部材とし、蓋部材95の内部空間97にICタグ90を保持させ、中空部26に配置させているが、これに限ることなく、中空部26に直接ICタグ90を配置させて、その上方から円板状の蓋部材等を中空部26に嵌合させてICタグ90を中空部26内で固定するようにしても良い。
また、図19の第3変形例に示すように、ボルト本体112,122のネジ部24とは反対側となる面に外周に行く程、厚さが薄くなるテーパー面131を設けても良い。このテーパー面131は衝突時の逃げ対策となるものであり、他のボルト本体20,85,102にも適用することができる。また、図19に示す第3変形例では、2つの貫通孔132,132が設けられている。このように、貫通孔105,116,123を、それぞれ2つ以上設けても良い。
また、図20および図21に示すように、第4変形例のタグ付きボルト140や第5変形例のタグ付きボルト150のボルト本体142,152のネジ部24側の面を半円筒面状(図20参照)としたり、半球状(図21参照)としても良い。これらの構成は、他のタグ付きボルトにも採用可能である。タグ付きボルト140の場合、ICタグ保有体141は、ICタグ保有体101,111の構造のいずれかを採用し、形状は平板な四角状とされているが、ICタグ保有体101のような円板形状としても良い。
さらに、図22の第6変形例に示すように、タグ付きボルト160のボルト本体161にネジ部24の軸方向と直交する方向に伸びる貫通穴162を2個設けるようにしても良い。この貫通穴162は、このタグ付きボルト160を他の物体等に取り付けるためのワイヤを通す穴である。この貫通穴162は、1個でも3個以上としても良い。また、図23の第7変形例に示すように、タグ付きボルト170のボルト本体171の外周面にワイヤ用の凹部172を設けるようにしても良い。
また、上述の各実施の形態では、ICタグ30,90,114を蓋部材40,70,95,103,113に保持させることによって、ボルト本体20,85,102,112,122,142,152,161,171に配置させているが、ICタグ30,90を蓋部材40,70,95,103,113に保持させることなく、直接、ボルト本体に配置するようにしても良い。また、頭部12,62,82を本体頭部22,86と蓋部材40,70,95,103,113の2部材で構成するのではなく、ネジ部24,87と一体的な1つの部材として構成しても良い。また、蓋部材40,70,95やICタグ保有体101,111,121,141を入れ込み形成にするのではなく、本体頭部22,86が蓋部材の中に入り込む構成、すなわち本体頭部22,86がオス型となり、蓋部材がメス型となる構造としても良い。
また、各実施の形態や変形例において、ネジ部24,87などの小径の柱部を設けず、本体頭部22,86またはスリット29,89を有さない本体頭部22,86のみの構成としても良い。たとえば、図24に示す第8変形例のタグ保持体180のように、金属製でスリットや貫通孔のない円形皿状の本体頭部22に、ICタグ保有体101を入れ、接着固定する構成としても良い。この場合、樹脂材で周りが覆われたICタグ保有体101に代えて、ICタグ保有体111が使用されるときは、本体頭部22に設けられた中空部26にICタグ保有体111が入れられ接着固定された後、防水のためのシールドを施すのが好ましい。このシールドは、本体頭部22の円形縁部22dとICタグ保有体111との隙間に、水が入り込むのを防止するもので、その隙間を橋渡しするように樹脂材を塗布するか、その隙間を埋めるように樹脂材を充填する。また、ICタグ保有体101,111の表面全体と円形縁部22dとをカバーするように、樹脂剤などで防水膜を形成しても良い。この構成とする場合は、ICタグ保有体101,111の接着固定を防水膜が兼ねるようにして、事前の固定を省略するようにしても良い。
また、第8変形例をさらに変形した、図25に示す第9変形例のタグ保持体190のようにしても良い。この第9変形例においては、ネジ部を有さず、しかも、金属製でスリットや貫通孔のない円形皿状の本体から周囲に伸びた袴部22eを有する本体頭部22に、ICタグ保有体101またはICタグ保有体111を入れ、接着固定する構成としている。この場合も、樹脂材で周りが覆われたICタグ保有体101ではなく、ICタグ保有体111が使用されるときは、本体頭部22に設けられた中空部26にICタグ保有体111が入れられ接着固定された後、防水のためのシールドを施すのが好ましい。このシールドは、第8変形例と同様に処理される。この第9変形例では、袴部22eに、ネジなどの固定部材が入り込む孔22fが設けられており、ネジやリベットなどで固定される。なお、第8変形例のタグ保持体180や第9各変形例のタグ保持体190において、貫通孔116のような底面を貫通する孔を設けるようにしても良い。
このように、本体頭部22,86のみとした場合、固定物等への設置は、たとえば、相手が金属部材のときは、金属接着剤やネジ等の固定部材を使用するのが好ましい。金属接着剤としては、第2世代アクリル系接着剤、たとえば2液主剤型タイプの変性アクリレート系構造用接着剤が利用でき、また2液型エポキシ接着剤やウレタン系も使用できる。タイルやレンガにつけるときは、エポキシ系接着剤が好ましく、発泡スチロールへの固定には、発砲スチロール専用の接着剤が好ましい。また、革やゴムにつけるときは、合成ゴム系の接着剤が好ましい。
なお、図26に示す第10変形例のタグ保持体200のような構成の場合は、固定物等への設置は、シール201をはがすことでなされる。すなわち、タグ保持体200は、ICタグ保有体111を台紙部202に載せ、樹脂材からなる防水部203で封止する。一方、台紙部202は、その下面には、接着剤204が塗布され、その接着剤204をシール201が覆うように構成されている。このタグ保持体200は、全体が扁平な四角形状とされ、厚さが厚い四角状の突出部200aと、その突出部200aを囲み、かつ厚さが薄い四角状の薄肉部200bとで形成される。なお、突出部200aは、円形状など他の形状としても良く、また薄肉部200bも同様に、外形を円形状、楕円状などの各種の円状としたり、三角状、五角状、六角状などの種々の角状としても良い。
このタグ保持体200は、シール201をはがし、接着剤204を露出させ、金属製などの固定物等に押し当てることで、シール201がはがされたタグ保持体200が固定物等に接着固定される。なお、接着剤204とシール201を設けないようにしても良い。その場合の固定は、固定物やタグ保持体200に接着剤を塗布したり、両面テープを利用したりして行われる。タグ保持体200は、全体が扁平形状で、しかもある程度の曲げ力(図26(A)の上下方向の力)に対応できるものとなっているので、固定物が曲面形状であっても、その曲面に沿わせて固定させることができる。また、薄肉部200bをはさみなどで切ることが可能であり、希望に沿う外形とすることができる。
また、上述の各実施の形態では、タグ付きボルト10,60,80,100,110,120,130,140,150,160,170やタグ保持体180,190,200内にICタグ30,90やICタグ保有体101,111,121,141のみを配置させて情報の読み書きを行っているが、管理対象の初期情報を有する一次元コードや二次元コードをタグ付きボルト10,60,80,100,110,120,140,150,160,170やタグ保持体180,190,200に配置させて、当該一次元コードや二次元コードが有する初期情報に対応した追加情報をICタグ30,90,114に読み込ませるようにして情報の読み書きを行うようにしても良い。
一次元コードとは、異なる幅のバーが所定方向に並列されているもので、代表的な構成例は、スタートキャラクタ、データキャラクタ、チェックデジット、ストップキャラクタ及びこれらの前後に付くクワイエットゾーンから構成されている。二次元コードとしては、たとえば、QRコード(登録商標)、DataMatrix(DataCode)、MaxiCode、AztecCodeのようなマトリックス型二次元シンボルや、従来の一次元のバーコードを積み上げた形のスタック型二次元コードが使用される。また、上述の各実施の形態では、一次元コードの場合、1cm程度の長さのシールに印刷し、二次元コードの場合、約5mm四方のシールの表面に印刷し、それぞれ、蓋部材40,70,95の裏側に貼り付けることでタグ付きボルト10,60,80内に配置させたり、蓋部材40,70,95,103,113の外部空間に面している側に配置させるようにするのが好適である。
また、ICタグ30,90,114として、13.56MHz対応のRFIDを有するRFIDタグを示したが、他のICタグ、例えば、3〜30MHzの短波帯域のいずれかの周波数や長波帯中の125〜135KHzやUHF帯(300MHz〜3GHzで、たとえば800MHz、915MHzや2.45GHz)やマイクロ波の周波数を用いてデータを送受信可能なICタグとしたり、光や赤外線を用いてデータを送受信可能なICチップを備えたICタグとしても良い。なお、2.45GHz帯域は、マイクロ波(3〜30GHz)に近く、これを利用するものとしては、たとえばミューチップと呼ばれているものがあり、これは2.45GHzのマイクロ波のエネルギを直流電源電圧に変換するとともに、128ビットの識別番号を格納したROMを内蔵しているものであり、このミューチップを採用しても良い。
また、タグ保持体の本体部分が金属製であると、錆の発生という問題が生じる危険性があるが、この問題に対しては、亜鉛メッキを外周全体または外部露出部分に施すことで対応可能となる。亜鉛メッキとしては、たとえば亜鉛含有量96%の亜鉛メッキスプレーを利用して行うことができる。
さらに、ICタグ保有体40,70,95,101,111,121,141を組み込み、タグ保持体とする場合には、圧入のみ、接着剤のみ、圧入と接着剤の併用、その3種類のいずれか1つと他の接合方法との併用、または他の接合方法の5方法がある。これらの中で、接着剤を使用する場合は、接着面積をかせぐため、接着剤が施される部分を荒らし、多数の小さい凹凸面を形成するのが好ましい。凹凸面形成の方法としては、コロナ放電処理、科学的な梨地処理、サンドペーパーでこする処理など各種の方法が採用される。
また、圧入や接着剤などを使用しても、タグ保持体の本体と、ICタグ保有体40,70,95,101,111,121,141との間に隙間が生ずることがある。その場合は、その隙間から水やゴミなどが進入する危険がある。このため、その隙間を塞ぐように、隙間部分をシールドしたり、その隙間部分を含め露出する外周面全体をシールドするのが好ましい。
また、部品をリサイクルする場合などでは、製品や部品を高温で処理することがある。このような高温処理への対策として、ICタグ30,90,114の周囲に樹脂が形成されている場合、その樹脂の外周、少なくとも露出部分に、耐熱性の高い他の樹脂を施すのが好ましい。たとえば、PPS(Polyphenylene Sulfide)のように、連続耐熱温度が120度程度であるが固くできるものをICタグ30,90,114を囲む樹脂とした場合、外部に露出する面(各図では上面)に、200度で100時間以上耐えられる樹脂などを付加して樹脂の積層構造とする。このような長期間の高温に耐えられる耐熱樹脂としては、フェノール樹脂と炭化ホウ素を練り混ぜて成型した素材や、ポリエーテルケトン(PEK)や、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などが存在する。なお、樹脂の積層2重構造とせず、ICタグの周囲に直接、高耐熱樹脂を施すようにしても良い。また、このような高耐熱樹脂は、急冷にも耐え得るものとするのが好ましい。