JP2006199728A - ラジカル重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遷移金属錯体を重合触媒としてモノマー成分を原子移動ラジカル重合により重合するラジカル重合体の製造方法、特に、メタアクリル系重合体ブロックおよびアクリル系重合体ブロックを含有するブロック共重合体の製造方法において、スケールアップが容易で生産能力の向上、原料費および設備費の製造コストダウン、環境への負荷低減を目的として、新しい重合停止方法を確立する。
【解決手段】不活性ガス雰囲気下で、ラジカル的に移動可能な原子又は基を有する開始剤および遷移金属錯体である触媒存在下に、モノマー成分を原子移動ラジカル重合させる重合体の製造方法において、最後に反応系中に加えたモノマー成分が所望の転化率となった時に酸素ガスを系内に導入することによって重合を停止させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、遷移金属錯体を重合触媒として単量体成分を原子移動ラジカル重合により重合するラジカル重合体の製造方法に関する。
リビングラジカル重合は、重合末端の活性が失われることなく維持されるラジカル重合であり、特に、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合は、制御の容易さなどから工業化に適した重合法として注目されている。この方法は一般的に非常に重合速度が大きく、また、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いMw/Mn=1.1〜1.5程度の重合体が得られるという利点を有する。また、その分子量を単量体成分の量と開始剤の仕込み比によって自由にコントロールすることができるという利点を有する。
また、この重合方法によれば、例えば、あらかじめある単量体成分から成る重合体を合成した後、この重合体を高分子開始剤として異なる単量体成分から成る次のブロックを重合することにより、ブロック共重合体を製造することができる。
このようにして重合を行い、所望の重合体を得たあと重合を停止させる方法として、従来は、重合系の温度を下げる方法(a)、重合系に適当な溶媒を投入して反応速度を下げる方法(b)、重合系に貧溶媒を投入してブロック共重合体を沈殿させる、あるいは触媒を沈殿させる方法(c)、高分子成長末端の炭素−ハロゲン結合と反応する塩基、求核置換反応剤、ヒドロキノンに代表されるラジカル重合禁止剤、または銅を中心金属とする金属錯体等の第3物質を投入する方法(d)などがある。(特許文献1)
しかし、これらの方法には、以下に述べるような課題がある。方法(a)はジャケット、コイル、リフラックスコンデンサー等によって反応系の温度を下げることにより重合を停止させるが、反応槽をスケールアップするにつれて、反応系全体の温度を所定の温度まで下げるために必要な除熱能力(伝熱面積)が大きくなり、反応槽のスケールアップに限界があった。また、重合が停止する温度まで下がるまでに反応が進み、所望の転化率の重合体が得られないという問題もある。また、方法(b)および方法(c)では、反応終了後に重合停止のため反応系中に溶媒を加えるため、重合槽で1回当りに生産できる量がこの溶媒の量だけ少なくなる。すなわち重合槽の使用効率が低下することによって、生産能力が低下する。さらに溶媒を使用することによって原料費が高くなるだけでなく、希釈溶媒の重合体からの分離、回収のための設備費、廃棄にかかる費用など製造コストが高くなる、また廃棄物が増加することによる環境への負荷が増大するなどの課題が存在する。方法(d)では、添加する第3物質が、重合工程の次に行われる精製あるいは製品化工程の阻害物質になったり、製品に残留することにより製品の着色や物性の発現を阻害するなどの様々な問題を引き起こす原因になる可能性があるため、除去が必要となる事が多い。このため、添加する第3物質の原料費だけでなく重合体からの分離、回収のための設備にかかる費用、さらに廃棄にかかる費用などによって製造コストが高くなる課題がある。さらに除去した第3物質は廃棄物となるため廃棄物が増加することによる環境への負荷も高いという課題もある。
このため、スケールアップが容易で生産能力が高く、製造コストが低く、環境負荷の小さい新しい重合停止法の開発が重要となっている。
特開2001−200026号公報
本発明は、遷移金属錯体を重合触媒としてモノマー成分を原子移動ラジカル重合により重合させるラジカル重合体の製造方法、特に、メタアクリル系重合体ブロックおよびアクリル系重合体ブロックを含有するブロック共重合体を製造する方法において、スケールアップが容易で生産能力の向上、原料費および設備費の製造コストダウン、環境への負荷低減を目的として、新しい重合停止方法を確立することを課題とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、遷移金属錯体を重合触媒として一以上のモノマー成分を原子移動ラジカル重合により重合させるラジカル重合体の製造方法において、最後に反応系中に添加したモノマー成分が所望の転化率となった時に酸素ガスを系内に導入することによって重合を停止させることにより、上述の課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、不活性ガス雰囲気下で、ラジカル的に移動可能な原子又は基を有する開始剤および遷移金属錯体である触媒存在下に、一以上のモノマー成分を原子移動ラジカル重合させる重合体の製造方法において、最後に反応系中に添加したモノマー成分が所望の転化率となった時に酸素ガスを系内に導入することによって重合を停止させる重合体の製造方法に関する(請求項1)。
この製造方法において、酸素ガスの導入量が、重合体溶液1Kgに対して0.01から1molであるのが好ましく(請求項2)、
酸素ガスを重合体溶液中に通気導入することにより酸素ガスの導入を行うのが好ましく(請求項3)、
反応をバッチ式で行う場合において、気相部に酸素ガスを導入するとともに、溶液を攪拌混合して酸素ガスと重合体溶液を接触させるのが好ましく(請求項4)、
重合体が、アクリル系単量体をモノマー成分の主成分とするアクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系単量体をモノマー成分の主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(b)を含有するアクリル系ブロック共重合体(A)であるのが好ましい(請求項5)。
本発明にかかる方法によれば、遷移金属錯体を重合触媒としてモノマー成分を原子移動ラジカル重合するラジカル重合体の製造方法、特に、メタアクリル系重合体ブロックおよびアクリル系重合体ブロックを含有するブロック共重合体の製造において、酸素ガスによる重合の停止を可能にすることによって、スケールアップを容易にし、重合槽の使用効率を向上させることによる生産能力の向上、原料費、設備費及び廃棄にかかる費用などを省くことによる製造コストの低減、また廃棄物が減量することによる環境への負荷を低減させることが可能である。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。なお、以下においては、アクリル系単量体をモノマー成分の主成分とするアクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系単量体をモノマー成分の主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(b)を含有するアクリル系ブロック共重合体(A)を製造する場合を例に挙げて説明を行うが、本願発明は、遷移金属錯体を重合触媒としてモノマー成分を原子移動ラジカル重合することにより重合体を製造する場合に広範に適用することが可能であって、アクリル系ブロック共重合体(A)を製造する場合に限るものではない。
前記アクリル系ブロック共重合体は、いずれの線状ブロック構造のものであってもかまわないが、その物性または組成物にした場合の物性の点から、アクリル系ブロック共重合体(A)を構成するアクリル系重合体ブロック(a)(以下、いずれも重合体ブロック(a)またはブロック(a)ともいう)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)(以下、重合体ブロック(b)またはブロック(b)ともいう)が、アクリル系重合体ブロック(a)をa、メタアクリル系重合体ブロック(b)をb、と表した時、一般式:(a−b)n、一般式:b−(a−b)n、一般式:(a−b)n−a(nは1〜3の整数)で表わされるブロック共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種のブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でも、加工時の取扱い容易性や、組成物にした場合の物性の点から、a−b型のジブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体またはこれらの混合物が好ましい。
アクリル系ブロック共重合体(A)の数平均分子量は特に限定されないが、好ましくは30000〜500000、さらに好ましくは50000〜400000である。
前記ブロック共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)も特に限定されないが、好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。Mw/Mnが1.8を超えるとブロック共重合体の均一性が低下する場合がある。
ブロック共重合体(A)のメタアクリル系重合体ブロック(b)とアクリル系重合体ブロック(a)の組成比は、メタアクリル系重合体ブロック(b)が5〜90重量%、アクリル系重合体ブロック(a)が95〜10重量%である。成型時の形状の保持およびエラストマーとしての弾性の観点から、組成比の好ましい範囲は、メタアクリル系重合体ブロック(b)が10〜80重量%、アクリル系重合体ブロック(a)が90〜20重量%であり、さらに好ましくは、メタアクリル系重合体ブロック(b)が20〜50重量%、アクリル系重合体ブロック(a)が80〜50重量%である。
以上に示したアクリル系ブロック共重合体以外にもアクリル系重合体等、リビングラジカル重合で合成される重合体にも本願発明は適用可能である。
<アクリル系ブロック共重合体(A)の製造方法>
本発明に係る方法は、線状ブロック共重合体、分岐状(星状)ブロック共重合体のいずれを製造する際にも適用することが可能である。アクリル系ブロック共重合体(A)の構造は、必要とされるアクリル系ブロック共重合体(A)の物性に応じて適宜選択される。
アクリル系ブロック共重合体(A)の重合方法としては、後述するように、アクリル系重合体ブロック(a)を得る工程(1)、メタアクリル系重合体ブロック(b)を得る工程(2)において、リビングアニオン重合、連鎖移動剤を用いるラジカル重合および近年開発されたリビングラジカル重合等の制御重合を用いる。このうち、リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに架橋性官能基を有する単量体を共重合できる点から好ましい。
リビング重合とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続ける重合のことを示すが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にある擬リビング重合も含まれ、本発明におけるリビングラジカル重合は、重合末端が活性化されたものと不活性化されたものが平衡状態で維持されるラジカル重合であり、近年様々なグループで積極的に研究がなされている。
その例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体(Journal of American Chemical Society,1994,116,7943)やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの(Macromolecules,1994,27,7228)、有機ハロゲン化物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などをあげることができる。本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、制御の容易さなどから原子移動ラジカル重合が好ましい。
原子移動ラジカル重合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として重合される(例えば、Matyjaszewskiら,Journal of American Chemical Society,1995年,第117巻,5614頁、Macromolecules,1995年,第28巻,7901頁、Science,1996年,第272巻,866頁、またはSawamotoら,Macromolecules,1995年,第28巻,1721頁)。
これらの方法によると一般的に非常に重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどの停止反応が起こりやすいラジカル重合でありながら、重合がリビング的に進行し、分子量分布の狭いMw/Mn=1.1〜1.5程度の重合体が得られ、分子量はモノマーと開始剤の仕込み時の比率によって自由にコントロールすることができる。
原子移動ラジカル重合法において、開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物としては、一官能性、二官能性、または、多官能性の化合物を使用できる。これらは目的に応じて使い分けることができる。ジブロック共重合体を製造する場合は、一官能性化合物が好ましい。a−b−a型のトリブロック共重合体、b−a−b型のトリブロック共重合体を重合する場合は二官能性化合物を使用することが好ましい。分岐状ブロック共重合体を重合する場合は多官能性化合物を使用することが好ましい。
一官能性化合物としては、たとえば、以下の化学式で表される化合物などをあげることができる。
65−CH2
65−CHX−CH3
65−C(CH32
1−CHX−COOR2
1−C(CH3)X−COOR2
1−CHX−CO−R2
1−C(CH3)X−CO−R2
1−C64−SO2
式中、C64はフェニレン基を表す。フェニレン基は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでもよい。R1は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表わす。R2は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。
二官能性化合物としては、たとえば、以下の化学式で表される化合物などをあげることができる。
X−CH2−C64−CH2−X
X−CH(CH3)−C64−CH(CH3)−X
X−C(CH32−C64−C(CH32−X
X−CH(COOR3)−(CH2n−CH(COOR3)−X
X−C(CH3)(COOR3)−(CH2n−C(CH3)(COOR3)−X
X−CH(COR3)−(CH2n−CH(COR3)−X
X−C(CH3)(COR3)−(CH2n−C(CH3)(COR3)−X
X−CH2−CO−CH2−X
X−CH(CH3)−CO−CH(CH3)−X
X−C(CH32−CO−C(CH32
X−CH(C65)−CO−CH(C65)−X
X−CH2−COO−(CH2n−OCO−CH2−X
X−CH(CH3)−COO−(CH2n−OCO−CH(CH3)−X
X−C(CH32−COO−(CH2n−OCO−C(CH32−X
X−CH2−CO−CO−CH2−X
X−CH(CH3)−CO−CO−CH(CH3)−X
X−C(CH32−CO−CO−C(CH32−X
X−CH2−COO−C64−OCO−CH2−X
X−CH(CH3)−COO−C64−OCO−CH(CH3)−X
X−C(CH32−COO−C64−OCO−C(CH32−X
X−SO2−C64−SO2−X
式中、R3は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。C64はフェニレン基を表す。フェニレン基は、オルト置換、メタ置換およびパラ置換のいずれでもよい。C65はフェニル基を表す。nは0〜20の整数を表す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表す。
多官能性化合物としては、たとえば、以下の化学式で表される化合物などをあげることができる。
63(CH2X)3
63(CH(CH3)−X)3
63(C(CH32−X)3
63(OCO−CH2X)3
63(OCO−CH(CH3)−X)3
63(OCO−C(CH32−X)3
63(SO2X)3
式中、C63は三置換フェニル基を表す。三置換フェニル基は、置換基の位置は1位〜6位のいずれでもよい。Xは塩素、臭素またはヨウ素を表す。
これらの開始剤として用いられる有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物は、ハロゲンが結合している炭素が、更にカルボニル基、フェニル基などと結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。使用する開始剤の量は、必要とするブロック共重合体の分子量に応じて、単量体との比から適宜決定すればよい。すなわち、開始剤1分子あたり、何分子の単量体を使用するかによって、ブロック共重合体の分子量を制御することができる。
原子移動ラジカル重合の触媒として用いられる遷移金属錯体としてはとくに限定はないが、好ましいものとして、1価および0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケルの錯体をあげることができる。これらの中でも、コストや反応制御の点から銅の錯体が好ましい。
1価の銅化合物としては、たとえば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅などをあげることができる。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために、2,2′−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミンなどを配位子として添加することもできる。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒として使用することができる。
ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類を添加することもできる。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh32)、および、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu32)も触媒として使用できる。使用する触媒、配位子および活性化剤の量は、特に限定されないが、使用する開始剤、単量体および溶媒の量に応じて適宜設定する。
前記原子移動ラジカル重合は、無溶媒(塊状重合)または各種溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒などをあげることができ、これらはそれぞれ単独で、又は二以上を混合して用いることができる。溶媒種や溶媒量を適宜選択することで、重合反応を任意に制御することが可能である。また、溶媒を使用する場合、その使用量は、系全体の粘度と必要とする撹拌効率の関係から適宜決定することができる。
原子移動ラジカル重合を行う際は、酸素の混入により、重合活性が著しく低下することとなるため、重合準備から重合終了まで重合触媒の活性低下の原因となる酸素の混入を避ける必要がある。触媒および配位子を適宜追加して触媒活性を高めることも可能であるが、触媒および配位子の必要以上の添加は、重合反応終了後の触媒除去工程を煩雑化させるだけでなく、リビング重合性を著しく低下させるために、得られたアクリル系およびメタアクリル系重合体ブロックは分子量分布が増大して製品の品質を低下させる。従って、製造原料および反応機を事前に十分に窒素置換して原子移動ラジカル重合を行うことが、製品の品質的にもコスト的にも好ましい。
原子移動ラジカル重合は、室温〜200℃で行うのが好ましく、50〜150℃の範囲で行うのがより好ましい。原子移動ラジカル重合温度が室温より低いと、粘度が高くなり過ぎて反応速度が遅くなる場合があり、200℃を超えると安価な重合溶媒を使用できない場合がある。
ブロック共重合体を原子移動ラジカル重合により重合する方法としては、単量体を逐次添加する方法や、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤としてつぎのブロックを重合する方法、別々に重合した重合体を反応により結合する方法などをあげることができる。これらの方法は、目的に応じて使い分けることができる。重合工程の簡便性の点から、あらかじめ合成した重合体を高分子開始剤としてつぎのブロックを重合する方法が好ましい。
<(1)アクリル系重合体ブロックの重合工程>
アクリル系重合体ブロック(a)は、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、例えば、アクリル酸エステルおよびこれと共重合可能なビニル系単量体とからなるものが挙げられる。
アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−アミノエチル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。これらは単独で又は二以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、メタアクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物などをあげることができる。
メタアクリル酸エステルとしては、たとえば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−t−ブチル、メタアクリル酸−n−ペンチル、メタアクリル酸−n−ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸−n−ヘプチル、メタアクリル酸−n−オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ノニル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸ドデシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸トルイル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸−2−メトキシエチル、メタアクリル酸−3−メトキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸グリシジル、メタアクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタアクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタアクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、メタアクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタアクリル酸パーフルオロメチル、メタアクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタアクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどをあげることができる。
芳香族アルケニル化合物としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどをあげることができる。シアン化ビニル化合物としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどをあげることができる。共役ジエン系化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレンなどをあげることができる。ハロゲン含有不飽和化合物としては、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどをあげることができる。ケイ素含有不飽和化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどをあげることができる。不飽和ジカルボン酸化合物としては、たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステルなどをあげることができる。ビニルエステル化合物としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどをあげることができる。マレイミド系化合物としては、たとえば、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどをあげることができる。
これらはそれぞれ単独で又は二以上を組み合わせて用いることができ、いずれを用いるかおよびその組み合わせは、アクリル系重合体ブロック(a)に要求されるガラス転移温度や耐油性、メタアクリル系重合体ブロック(b)との相溶性などを考慮して適宜選択される。
アクリル系重合体ブロック(a)を重合する工程(1)について以下に具体的に示す。
本発明におけるアクリル系重合体ブロック(a)の重合工程では、反応機に撹拌型耐圧反応機を用いて、反応機内を十分に窒素置換し酸素を取り除いた状態にして、アクリル系単量体成分、重合触媒である遷移金属触媒、重合溶媒および重合開始剤をそれぞれ所定量順次添加し、前記の温度範囲で所定量の触媒配位子を添加してラジカル重合を開始する方法(前記制御重合)にてアクリル系重合体ブロックが製造される。
アクリル系重合体ブロック(a)の重合における反応機の種類は、特に限定されないが、低粘性から高粘性に至る条件における重合体溶液の十分な混合と重合体溶液の迅速な昇温および冷却と重合反応中の重合体溶液からの発熱の除去が必要となることから、撹拌型反応機を使用することが製法上有利である。
アクリル系重合体ブロック(a)の重合における原料の添加順序は、特に限定されないが、溶液中に遷移金属触媒を十分に分散させることが重合反応の安定性に著しく寄与することから、触媒を最も良く分散できる順序で添加することが肝要である。この場合、触媒は、最初に添加するよりも、溶液が反応機に仕込まれた状態で添加することが好ましく、撹拌している状態の溶液に添加することがより好ましい。また、重合溶媒として触媒を凝集させる性質を持つ溶液を使用する場合には、触媒を添加した後、触媒を凝集させる溶液を添加することが好ましい。
触媒配位子を添加してラジカル重合を開始する際の溶液温度は、重合活性を十分に発現し得る温度となる60℃以上で、かつラジカル重合特有の強い初期発熱を抑えるためには85℃以下とすることが製造上有利となる。従って、本発明においては重合開始時の溶液温度は60℃〜85℃であることが好ましく、重合反応の安定化には70℃〜80℃がより好ましい。
アクリル系重合体ブロック(a)の重合を行う工程(1)においては、アクリル系単量体の転化率が99%を超えると、ラジカル同士のカップリング、不均化などの副反応により反応のリビング性が損なわれ、設計通りの重合体が得られない場合がある。一方、アクリル系単量体の転化率を90%以下として終了すると、未反応アクリル系単量体が次の重合工程に混入して製品物性を低下させたりする。従って、アクリル系単量体の転化率は90%〜99%とすることが好ましく、コンタミ低減、副反応の低減のためには94〜99%とすることがより好ましい。
アクリル系重合体ブロック(a)の重合反応時間は、アクリル系単量体の重合転化率の追跡を可能にし、目標の転化率で重合を終了させるために1時間以上とし、また生産性から8時間以下となるように設定することが好ましく、重合コントロールのし易さから3〜6時間となるように設定することがより好ましい。また重合中の重合体溶液温度は、重合反応速度を安定させることを目的に、目標温度から±10℃以内に制御することが好ましく、精度向上のためには±5℃以内とすることがより好ましい。なお、反応時間の制御は、反応温度を調節する以外に、触媒量や配位子の量等を調節することにより行うことができる。
重合終了後は、アクリル系重合体ブロックの重合進行を抑制するために、可能な限り迅速に工程(2)の実施に移るのが望ましい。
<(2)メタアクリル系重合体ブロックの重合工程>
メタアクリル系重合体ブロック(b)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、例えば、メタアクリル酸エステル50〜100重量%およびこれと共重合可能なビニル系単量体0〜50重量%とからなるブロックが挙げられる。
メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成するメタアクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体として前述されたメタアクリル酸エステルと同様の単量体が挙げられる。
メタアクリル系重合体ブロック(b)を構成するメタアクリル酸エステルと共重合可能なビニル系単量体としては、たとえば、アクリル酸エステル、芳香族アルケニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド化合物などをあげることができる。
アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル系重合体ブロック(a)を構成するアクリル酸エステルとして例示されたアクリル酸エステルと同様の単量体が挙げられる。
芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン系化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、マレイミド系化合物としては、アクリル系重合体ブロック(a)を構成する単量体として例示したものと同様の単量体をあげることができる。
これらはそれぞれ単独で又は二以上を組み合わせて用いることができる。これらのビニル系単量体は、メタアクリル系重合体ブロック(b)に要求されるガラス転移温度の調整、アクリル系重合体ブロック(a)との相容性などの観点から好ましいものを選択することができる。
メタアクリル系重合体ブロックの重合工程(2)の具体例を以下に示す。
前記工程(1)のごとく、アクリル系重合体ブロック体を製造したのち、工程(1)の項で記載した重合溶媒、重合触媒である遷移金属触媒、およびメタアクリル系単量体をそれぞれ所定量順次添加する。その後、所定の温度範囲で所定量の触媒配位子を添加することによりラジカル重合が開始される。
メタアクリル系重合体ブロック(b)の重合における原料の添加順序は、特に限定されないが、遷移金属触媒を添加するにあたり、重合体溶液中に触媒を十分に分散させることが反応の安定化に必要であることから、重合溶媒を添加して重合体溶液を低粘性とした後に遷移金属触媒を添加することが好ましい。また遷移金属触媒を添加後は、アクリル系重合体ブロックのカップリング反応等の副反応を低減するために、速やかにメタアクリル系単量体を添加することが好ましい。
メタアクリル系重合体ブロック(b)の重合反応時間は、アクリル系重合体ブロック重合工程と同様にメタアクリル系単量体の重合転化率の追跡を可能にし、目標の転化率で重合を終了させるために1時間以上とし、また生産性から8時間以下となるように設定することが好ましく、重合コントロールのし易さから3〜6時間となるように設定することがより好ましい。また重合中の重合体溶液温度も、アクリル系重合体ブロック重合工程と同様に重合反応速度を安定させることを目的に、目標温度から±10℃以内に制御することが好ましく、精度向上のためには±5℃以内とすることがより好ましい。なお、反応時間の制御は、反応温度を調節する以外に、触媒量や配位子の量等を調節することにより行うことができる。
メタアクリル系重合体ブロック(b)の重合を行う工程(2)においては、未反応メタアクリル系単量体が多量に残った状態で重合を終了するとコスト的に不利となるため、90%を超える高転化率とするのが望ましい。一方、転化率が99%を超えると、ラジカル同士のカップリング、不均化などの副反応により反応のリビング性が損なわれ、設計通りの重合体が得られない場合があるため、実用的にはメタアクリル系単量体の転化率は90〜99%であることが好ましく、副反応の抑制のためには94〜99%がより好ましい。
また、メタアクリル系単量体の重合を高転化率とするためには、重合体溶液中の重合溶媒の重量をメタアクリル系重合体ブロック100重量部に対して300重量部以下とすることが重要であり、より重合活性を高めるには、重合体溶液中のメタアクリル系単量体の濃度を高くするのがよい。しかしながら、重合溶媒量が10重量部以下となると、60%を超える転化率になった時に、重合体溶液粘度が著しい増加を示し、反応活性を維持するために添加するポリアミン化合物の重合体溶液中への混合・拡散が著しく悪化する。このために、高転化率を実現できない場合がある。従って、メタアクリル系重合体ブロックの重合工程において、メタクリル系単量体の転化率が85〜98%となるようにするためには、重合溶媒の量を、(b)メタアクリル系重合体ブロック100重量部に対して10〜300重量部とすることが好ましく、混合・拡散および反応活性のアップのためには、(b)メタアクリル系重合体ブロック100重量部に対して150〜250重量部とすることがより好ましい。
重合開始剤に対する遷移金属触媒の添加量は、可能な限り削減することが原料費のコストダウンから望ましい。開始剤のハロゲン基に対して遷移金属添加量が0.1倍モル未満では、反応活性が低いばかりでなく発現しない場合も見られる。また、20倍モルを超える触媒添加は、反応活性向上に寄与しないばかりでなく、重合反応終了後の触媒除去工程を煩雑化させる場合がある。従って、遷移金属触媒の添加量は、重合開始剤に対して0.1〜20倍モルにすることが好ましく、充分な反応性と制御性を確保するためには0.5〜10倍モルとするのがより好ましい。
触媒活性の制御には、ポリアミン化合物の添加量も重要である。錯体形成における必要量以上のポリアミン化合物の添加は、分子量分布を増大させるだけでなく、触媒除去工程にも悪影響を及ぼすため、ポリアミン化合物の量は可能な限り削減するのが望ましい。遷移金属錯体として銅化合物を使用する場合には、通常の原子移動ラジカル重合の条件では、ポリアミン化合物の添加量は遷移金属の配位座の数と、配位子の配位する基の数から決定され、ほぼ等しくなるように設定される。たとえば、通常、2,2’−ビピリジルおよびその誘導体を銅化合物に対して加える量がモル比で2倍であり、ペンタメチルジエチレントリアミンの場合はモル比で1倍であり、金属原子が配位子に対して過剰になる方が好ましい。本発明の場合は、ポリアミン化合物量が原子移動ラジカル重合反応時に加える重合開始剤に対して、0.1倍モル未満では十分な重合活性が得られず、重合開始剤に対して4倍モルを超えると重合反応が速すぎて制御できない場合がある。また、遷移金属触媒錯体へのポリアミン化合物の過剰な配位により、反応が進行しなくなるなどの問題が生じる場合がある。以上のことから、好ましいポリアミン化合物の添加量は重合開始剤に対して0.1〜4倍モルが好ましく、充分な反応性と制御性を確保するためには0.2〜3倍モルがより好ましい。
<(3)重合停止工程>
重合反応の停止工程について、アクリル系重合体ブロック(b)の重合停止工程(3)を例に挙げて示す。前記工程(1)のようにしてアクリル系重合体ブロック体を製造したのち、前記工程(2)のようにしてメタアクリル系重合体ブロック体を製造したのち、酸素ガスを所定量反応系中に混合することによってラジカル重合を停止させる。
ここで、原子移動ラジカル重合はリビング重合であり、1次反応として反応速度定数を整理することができる。すなわち、単量体の重合体への転化率を用いて整理すると、Ln値=ln(100/(100−転化率))と時間の関係をプロットした場合Ln値と時間は直線関係をとり、この時の傾きが、重合反応の反応速度定数を表す。本願では、この反応速度定数を用いて重合の停止の判断をおこなった。なお、本願では、酸素ガス導入前後の反応速度定数の比が0.15以下となった時、重合反応が停止したとする。
本発明においては、モノマー成分が所望の転化率となった時(上記方法によりアクリル系ブロック共重合体(A)を得る場合においては、アクリル系重合体ブロック(b)を構成するモノマー成分が所望の転化率となった時)に、酸素ガスを反応系内に導入する。これにより、アクリル系重合体ブロック(b)の重合を速やかに停止することができる。これは、触媒によって生成したラジカルと酸素が反応し、ラジカルが速やかに消失することによる。
ここで、重合反応を速やかに、かつ効率よく停止させるには、酸素ガスの導入量は、重合体溶液1Kgに対して0.01〜1molとするのが望ましい。1mol以下とすることにより、モノマーなどの有機溶剤を使用する重合系であっても、安全に反応停止工程を行うことが可能である。なお、酸素量が0.01molより少ないと、反応速度定数の低下が不十分となり、重合は停止しない。ここで、重合停止に寄与するのは、重合体溶液中に溶存する酸素であるが、重合体溶液中の溶存酸素量の測定をリアルタイムで測定するのは非常に困難であり、工業的に管理指標とするのは非現実的である。そこで、本発明者は、系内に添加する酸素のモル量は重合体溶液中の溶存酸素のモル量とほぼ比例関係にあると考え、重合体溶液の重量に対する酸素のモル量により重合停止に必要な酸素量を規定した。
使用する酸素ガスは、純粋な酸素ガスでも不活性ガスとの混合ガスあるいは空気でもよい。ただし、重合体溶液はモノマー等の有機溶剤を含むため、酸素を導入する際は、酸素濃度およびその取り扱いに十分留意する必要があり、重合反応の停止工程には、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスを用いるのが好ましい。この時の不活性ガスは、窒素、希ガスなどが挙げられるが、コストの面より安価な窒素を用いるのがさらに好ましい。
酸素ガスの系内への導入方法であるが、重合体溶液中に直接バブリングする方法でも気相部に酸素ガスを導入し、酸素ガスとの気液接触のために重合体溶液を攪拌混合する方法あるいはこれら2つの方法を同時に実施してもよく、重合体溶液と酸素ガスの気液接触が行われる限りにおいては、どのような方法を用いてもよい。例えば、重合体溶液中に直接酸素ガスをバブリングする場合は、以下の方法が挙げられる。バッチ式反応槽を用いる場合は、単孔ノズル、多孔板等より気泡を発生させ、必要ならば攪拌翼で混合することによって重合停止が実施できる。連続式で実施する場合は、標準気泡塔、ドラフトチューブ付気泡塔、攪拌翼付気泡塔等の気液接触装置を用いて酸素ガスを吹き込むことによって重合停止が実施できる。また、バッチ式の重合反応槽の気相部に酸素ガスを導入する場合は、撹拌機などによって重合体溶液と酸素ガスの気液接触を行うことによって重合を停止させることができる。
反応槽の1例として、撹拌機つきのバッチ式反応槽に酸素ガスを導入する方法の概略図を図1に示す。図1のバッチ式反応装置10は、底部および上部にそれぞれ酸素導入口14を備えており、これらの酸素導入口14から、重合体溶液13中および気相部12に所定量の酸素ガスが導入される。また、反応装置10は撹拌機11を備えており、これを所定の速度で回転させることにより、重合体溶液13中に効率よく酸素を供給することが可能になる。なお、反応装置10は、温度調節装置(ジャケットやコイル)を備えているのが望ましい。
以上のように重合体溶液の状態や装置の形式によって最適な気液接触方法を選択することができるためスケールアップも容易に行うことができる。
反応をバッチ式で行う場合は、重合停止時のバッチ式反応槽内の重合体溶液の液量を考慮する必要はなく、本発明に係る方法によれば、重合槽を満液にして重合を実施できる。このことにより重合槽の使用効率が向上し、生産能力を向上させることが可能である。
酸素ガスを導入するときの重合体の温度は特に限定されないが、前工程(2)と同じ温度範囲、室温〜200℃であることが、操作上好ましい。
以上のように、本発明に係る方法では、酸素を用いて重合反応を停止させるため従来に比べて安価に重合体を製造することが可能である。また、重合体から酸素を除去する必要があっても重合停止後に重合槽内を窒素で置換するだけでよいため、専用の除去設備の設置や新たな廃棄物の増加はない。更には、本発明によると、重合体の製造の際、所望の転化率で酸素ガスを導入することによって重合を速やかに停止させることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。なお、実施例におけるEA、BA、MEA、MMA、TBMA、TBAは、それぞれエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メチルメタアクリレート、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレートを意味する。
<転化率の測定法>
本実施例中の転化率の測定にはガスクロマトグラフィーを用い、重合溶媒を内部標準物質として、重合開始前のモノマーと溶媒の面積比の数値と、任意の時間でサンプリングされたモノマーと溶媒の面積比の数値を比較し、その数値の減少の割合より転化率を算出した。システム:島津製作所製GC−14B、カラム:Agilent Technologies製DB−17
<反応速度定数の計算方法>
上記の方法で求めた転化率よりLn値=ln(100/(100−転化率))を各反応時間ごとに計算した。このLn値と時間の関係の傾きが反応速度定数であるが、本発明では反応速度定数=(Ln値(サンプリングA)−Ln値(サンプリングAから1回前のサンプリング))/((サンプリングAの反応時間)−(サンプリングAから1回前のサンプリングの反応時間))と定義した。具体的には60分間ごとにサンプリングを行ったとき、180分のときの反応速度定数=(Ln値(180分)−Ln値(120分))/(180−120)で表すことができる。この反応速度定数を酸素を導入する前後でそれぞれ求め、その比が0.15以下となった時は、重合が停止したと判断した。
(実施例1)
アクリル系ブロック共重合体を製造するために以下の操作を行った。15Lの耐圧反応機内を十分に窒素置換した後、BA1150.8g(8.978mol)を加えた。さらに臭化銅10.04g(0.07mol)と開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル14.00g(0.039mol)を量り取り、アセトニトリル100.9gを加えた。30分間68〜80℃で加熱撹拌した後、内温を75℃として、配位子ジエチレントリアミン1.46ml(0.007mol)を加えて重合を開始した。さらに15分後にジエチレントリアミン1.46ml(0.007mol)を加えた。重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mlを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBAの転化率を決定した。BAの転化率が97%の時点で、トルエン1490.47g、塩化銅6.93g(0.07mol)を量り取り、MMA684.4g(6.836mol)とBA115.64g(0.902mol)、ジエチレントリアミン1.46ml(0.007mol)を加えて重合を開始した。45分毎ジエチレントリアミン1.46ml(0.007mol)を加えて、同様にしてMMAの転化率を決定した。
MMAの転化率が90%の時点で、酸素量として重合体溶液1Kgに対して0.01molの酸素/窒素混合ガス(酸素濃度6%)を耐圧反応機内の気相部に加え、1時間攪拌した。酸素導入前の反応速度定数は0.0156min-1であり、酸素導入後1時間攪拌後の反応速度定数は0.0010min-1であった。反応速度定数の比は0.07であり、酸素の導入により、重合反応は停止した。
(実施例2)
アクリル系ブロック共重合体を製造するために以下の操作を行った。15Lの耐圧反応機内を十分に窒素置換した後、BA989.19g(7.718mol)、TBA21.53g(0.168mol)を加えた。さらに臭化銅8.61g(0.06mol)と開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル12.00g(0.033mol)を量り取り、アセトニトリル88.67gを加えた。30分間68〜80℃で加熱撹拌した後、内温を75℃として、配位子ジエチレントリアミン1.25ml(0.006mol)を加えて重合を開始した。さらに15分後にジエチレントリアミン1.25ml(0.006mol)を加えた。重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mlを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBAの転化率を決定した。BAの転化率が99%の時点で、トルエン1328.69g、塩化銅5.94g(0.06mol)を量り取り、MMA616.8g(6.161mol)とEA99.91g(0.998mol)、ジエチレントリアミン1.25ml(0.006mol)を加えて重合を開始した。45分毎ジエチレントリアミン1.25ml(0.006mol)を加えて、同様にしてMMAの転化率を決定した。 MMAの転化率が95%の時点で、酸素量として重合体溶液1Kgに対して0.02molの酸素/窒素混合ガス(酸素濃度6%)を耐圧反応機内の液相部に導入し、30分間攪拌した。酸素導入前の反応速度定数は0.0160min-1であり、酸素導入後30分間攪拌後の反応速度定数は0.0019min-1であった。反応速度定数の比は0.12であり、酸素の導入により、重合反応は停止した。
(比較例1)
アクリル系ブロック共重合体を製造するために以下の操作を行った。15Lの耐圧反応機内を十分に窒素置換した後、BA1029.1g(8.029mol)を加えた。さらに臭化銅8.61g(0.06mol)と開始剤2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル12.00g(0.033mol)を量り取り、アセトニトリル90.3gを加えた。30分間68〜80℃で加熱撹拌した後、内温を75℃として、配位子ジエチレントリアミン1.25ml(0.006mol)を加えて重合を開始した。さらに15分後にジエチレントリアミン1.25ml(0.006mol)を加えた。重合開始から一定時間ごとに、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mlを抜き取り、サンプリング溶液のガスクロマトグラム分析によりBAの転化率を決定した。BAの転化率が97%の時点で、トルエン1474.73g、塩化銅5.94g(0.06mol)を量り取り、MMA585.3g(5.846mol)とBA149.08g(1.163mol)、TBMA52.12g(0.367mol)ジエチレントリアミン1.25ml(0.006mol)を加えて重合を開始した。45分毎ジエチレントリアミン1.25ml(0.006mol)を加えて、同様にしてMMAの転化率を決定した。 MMAの転化率が90%の時点で、酸素量として重合体溶液1Kgに対して0.003molの酸素/窒素混合ガス(酸素濃度6%)を耐圧反応機内の液相部に吹き込み、30分間攪拌した。酸素導入前の反応速度定数は0.0151min-1であり、酸素導入後30分間攪拌後の反応速度定数は0.0057min-1であった。反応速度定数の比は0.37であり、少量の酸素の導入では、重合反応は停止しなかった。
バッチ式反応槽に酸素を導入する方法の一実施例を表した図。 重合時間とLn値の関係を表した図。
符号の説明
10…撹拌機つき反応装置
11…撹拌機
12…気相部
13…重合体溶液
14…酸素導入口

Claims (5)

  1. 不活性ガス雰囲気下で、ラジカル的に移動可能な原子又は基を有する開始剤および遷移金属錯体である触媒存在下に、一以上のモノマー成分を原子移動ラジカル重合させる重合体の製造方法において、最後に反応系中に添加したモノマー成分が所望の転化率となった時に酸素ガスを系内に導入することによって重合を停止させることを特徴とするラジカル重合体の製造方法。
  2. 酸素ガスの導入量が、重合体溶液1Kgに対して0.01〜1molであることを特徴とする請求項1に記載のラジカル重合体の製造方法。
  3. 酸素ガスを重合体溶液中に通気導入することにより酸素ガスの導入を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のラジカル重合体の製造方法。
  4. 反応をバッチ式で行う場合において、気相部に酸素ガスを導入するとともに、重合体溶液を攪拌混合して酸素ガスと重合体溶液を接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載のラジカル重合体の製造方法。
  5. 重合体が、アクリル系単量体をモノマー成分の主成分とするアクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系単量体をモノマー成分の主成分とするメタアクリル系重合体ブロック(b)を含有するアクリル系ブロック共重合体(A)である特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のラジカル重合体の製造方法。
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