JP2006195350A - 光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006195350A
JP2006195350A JP2005008962A JP2005008962A JP2006195350A JP 2006195350 A JP2006195350 A JP 2006195350A JP 2005008962 A JP2005008962 A JP 2005008962A JP 2005008962 A JP2005008962 A JP 2005008962A JP 2006195350 A JP2006195350 A JP 2006195350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
rth
group
optical
liquid crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005008962A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4551775B2 (ja
Inventor
Hiroyuki Kawanishi
弘之 川西
Iemi Satake
舎巳 佐竹
Ikuko Okaru
郁子 大軽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2005008962A priority Critical patent/JP4551775B2/ja
Publication of JP2006195350A publication Critical patent/JP2006195350A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4551775B2 publication Critical patent/JP4551775B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】光学的異方性が小さく実質的に光学的等方性であり、光学的異方性の湿度依存性が小さく、波長分散が小さく、さらには光学的なムラが少ないセルロースアシレートフィルムの提供、このフィルムにより作製した視野角特性に優れる光学補償フィルムや偏光板などの提供、およびこれらを用いた液晶表示装置の提供。
【解決手段】透明フィルム(b)の上に複屈折層(a)が積層され、かつ複屈折層(a)は特定の条件を満たし、しかも25℃10%RH環境下で測定したReレターデーション値及びRthレターデーション値と25℃80%RH環境下で測定したReレターデーション値及びRthレターデーション値の差異が、それぞれ20nm以内、50nm以内である光学フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示装置に有用なセルロースアシレートフィルムおよび光学フィルム、その光学フィルムを積層した積層偏光板、それらを用いた液晶表示装置に関する。
セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として優れており、これまで偏光子の保護フィルムや、斜め方向からの見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
液晶表示装置用の部材のひとつである偏光板には偏光子の少なくとも片側に偏光子の保護フィルムが貼合によって形成されている。一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素または二色性色素で染色することにより得られる。
多くの場合、偏光子の保護フィルムとしてはPVAに対して直接貼り合わせることができる、セルロースアシレートフィルム、なかでもトリアセチルセルロースフィルムが用いられている。この偏光子の保護フィルムは、光学的等方性に優れることが重要であり、偏光子の保護フィルムの光学特性が偏光板の特性を大きく左右する。
最近の液晶表示装置においては、視野角特性の改善がより強く要求されるようになっており、偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、より光学的に等方性であることが求められている。光学的に等方性であるとは、光学フィルムの複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値が小さいことが重要である。とりわけ、斜め方向からの表示良化のためには、正面方向のレターデーション(Re)だけでなく、膜厚方向のレターデーション(Rth)を小さくする必要がある。具体的には光学透明フィルムの光学特性を評価した際に、フィルム正面から測定したReが小さく、角度を変えて測定してもそのReが変化しないことが要求される。
これまでに、正面のReを小さくしたセルロースアシレートフィルムはあったが、角度によるRe変化が小さい、すなわちRthが小さいセルロースアシレートフィルムは作製が難しかった。そこでセルロースアシレートフィルムの代わりにポリカーボネート系フィルムや熱可塑性シクロオレフィンフィルムを用いて、Reの角度変化の小さい光学透明フィルムの提案がされている(例えば、特許文献1,2,製品としてはZEONOR(日本ゼオン社製)や、ARTON(JSR社製)など)。しかし、これらの光学透明フィルムは、偏光子の保護フィルムとして使用する場合、フィルムが疎水的なためにPVAとの貼合性に問題がある。またフィルム面内全体の光学特性が不均一である問題も残っている。
この解決法として、PVAへの貼合適正に優れるセルロースアシレートフィルムを、より光学的異方性を低下させて改良することが強く望まれている。具体的には、セルロースアシレートフィルムの正面のReをほぼゼロとし、またレターデーションの角度変化も小さい、すなわちRthもほぼゼロとした、光学的に等方性である光学透明フィルムである。
セルロースアシレートフィルムの製造において、一般的に製膜性能を良化するため可塑剤と呼ばれる化合物が添加される。可塑剤の種類としては、リン酸トリフェニル、リン酸ビフェニルジフェニルのようなリン酸トリエステル、フタル酸エステル類などが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。これら可塑剤の中には、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果を有するものが知られており、例えば、特定の脂肪酸エステル類が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、従来知られているこれらの化合物を用いたセルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果は十分とはいえない。
また、最近の液晶表示装置においては、表示色味の改善も要求されるようになっている。そのため偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、波長400〜800nmの可視領域でReやRthを小さくするだけでなく、波長によるReやRthの変化、すなわち波長分散を小さくする必要がある。
また、液晶表示装置の表示品質が高いことや、液晶表示装置の表示品質が、使用する環境湿度の影響を受けないことも求められるため、保護フィルムも、光学的なムラがなく、光学性能が湿度に依存しないことが求められている。
また、従来、各種液晶表示装置には、光学補償を目的として位相差板が使用されている。このような位相差板としては、例えば、光学的二軸位相差板があげられ、これらは主に、ロール間引張り延伸法、ロール間圧縮延伸法、テンター横一軸延伸法等の各種ポリマーフィルム延伸法等や(例えば、特許文献4参照。)、二軸延伸により異方性を持たせる方法等によって作製することができる(例えば、特許文献5参照。)。また、この他にも、正の光学異方性を持つ一軸延伸ポリマーフィルムと、面内の位相差値が小さい負の光学異方性を持つ二軸延伸ポリマーフィルムとを併用した位相差板や(特許文献6参照。)、前述のような延伸方法ではなく、例えば、ポリイミドの性質により、基板上で可溶性ポリイミドをフィルム化することによって、負の一軸性が付与された位相差板もある(例えば、特許文献7参照。)。
前述のようなフィルム延伸技術等によれば、形成される延伸フィルムには、例えば、nx>ny>nzという光学特性を付与することができる。ここで、nx、ny、nzとは、前記フィルムにおけるX軸、Y軸およびZ軸の屈折率をそれぞれ示し、X軸とは、フィルム面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。このような光学特性を有する複屈折性フィルムは、例えば、液晶表示装置の液晶セルと偏光子との間に配置すれば、前記液晶表示装置の表示特性を広視野角化できるため、前記液晶セルの視角補償フィルムとして有用である。
特開2001−318233号公報 特開2002−328233号公報 特開2001−247717号公報 特開平3−33719号公報 特開平3−24502号公報 特開平4−194820号公報 特表平8−511812号公報 プラスチック材料講座、第17巻、日刊工業新聞社、「繊維素系樹脂」、121頁(昭和45年)
本発明の第1の課題は、光学的異方性(Re、Rth)が小さく実質的に光学的等方性であり、光学的異方性(Re、Rth)の湿度依存性が小さく、波長分散が小さく、さらには光学的なムラが少ないセルロースアシレートフィルムを提供することである。
本発明の第2の課題は、光学的異方性が小さく、湿度依存性が小さく、波長分散が小さく、光学的なムラの少ないセルロースアシレートフィルムにより作製した光学補償フィルムや偏光板などの光学材料が視野角特性に優れるものであることを示すこと、およびこれらを用いた液晶表示装置を提供することにある。
光学的異方性が小さく、湿度依存性が小さく、波長分散が小さく、光学的なムラが小さいセルロースアシレートフィルムを偏光板の保護フィルムに用いることによって、偏光板の光学特性を良化できる。また光学補償フィルムの支持体として用いると、光学補償フィルムそのものの光学性能を引き出すことができる。これらの偏光板や光学補償フィルムを液晶表示装置に用いることによってコントラストの良化、色味を改良することができる。
また、前述のような光学特性のフィルムであっても、液晶表示装置に使用した場合に、例えば、広い視野角におけるコントラストが優れるという効果を奏するが、一方では、虹ムラが発生するという問題もあった。
そこで、本発明は、例えば、液晶表示装置等の各種表示装置に使用した際に、虹ムラの発生等を防止し、より一層優れた表示特性を示す、負の複屈折性を有する光学フィルムの提供を目的とする。
本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、光学フィルムの湿度依存性、波長分散性、Re、Rthの変動を小さくすることで、表示品質に優れた液晶表示装置が達成できることを見出した。
本発明によれば、下記の光学フィルム、偏光板、液晶表示装置が提供され、上記課題が解決される。
1.透明フィルム(b)の上に複屈折層(a)が積層された光学フィルムであって、かつ複屈折層(a)は下記数式(I)、(II)の条件を満たし、かつ25℃10%RH環境下で測定したReレターデーション値及びRthレターデーション値と25℃80%RH環境下で測定したReレターデーション値及びRthレターデーション値の差異が、それぞれ20nm以内、50nm以内であることを特徴とする光学フィルム。
数式(I):1<(nx−nz)/(nx−ny)
数式(II):0.0005≦Δn(a)≦0.5
(数式(II)において、Δn(a)は、下記数式で表される複屈折層(a)の複屈折率であり、数式(I)および下記数式において、nx、nyおよびnzは、それぞれ複屈折層(a)におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示す。ここで、X軸は複屈折層(a)の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は前記面内において、X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸はX軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。
Δn(a)=[(nx+ny)/2]−nz)
2.Re(λ)およびRth(λ)が下記数式(I')をみたすことを特徴とする上記1に記載の光学フィルム。
数式(I'):|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
(式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
3.Re及びRthの面内ばらつきが下記数式(III)及び(IV)を満たすことを特徴とする上記1または2に記載の光学フィルム。
(III):|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3
(IV) :|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
(式中、Re(MAX)、Rth(MAX)は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。)
4.Re(λ)およびRth(λ)が、下記数式(V)及び(VI)をみたすセルロースアシレートフィルムとの積層体であることを特徴とする上記1乃至3のいずれかに記載の光学フィルム。
数式(V) :0≦Re(630)≦10、かつ|Rth(630)|≦25
数式(VI):|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
(式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
5.セルロースアシレートフィルムが、フィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記数式(VII)及び(VIII)をみたす範囲で少なくとも一種含有することを特徴とする上記4に記載の光学フィルム。
数式(VII):(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
数式(VIII) :0.01≦A≦30
(ここで、Rth(A)はRthを低下させる化合物をA%含有したフィルムのRth(nm)を表し、Rth(0)はRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)を表す。なお、Aはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。)
6.セルロースアシレートフィルムが、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートに、Re(λ)およびRth(λ)を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする上記4に記載の光学フィルム。
7.セルロースアシレートフィルムが、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする上記4に記載の光学フィルム。
8.セルロースアシレートフィルムが、フィルムの膜厚が10〜120μmであることを特徴とする上記4に記載の光学フィルム。
9.透明フィルム(b)上に、直接、複屈折層(a)が積層されていることを特徴とする上記1乃至8のいずれかに記載の光学フィルム。
10.複屈折層(a)を形成する材料が、非液晶性材料であることを特徴とする上記1乃至9のいずれかに記載の光学フィルム。
11.非液晶性材料が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一種のポリマー材料であることを特徴とする上記11に記載の光学フィルム。
12.収縮性を有する透明フィルム(b)上に、直接、複屈折層(a)の形成材料を塗工して塗工膜を形成し、透明フィルム(b)の収縮に伴い前記塗工膜を収縮させることにより得られることを特徴とする上記9乃至11のいずれかに記載の光学フィルム。
13.加熱により透明フィルム(b)を収縮させることを特徴とする上記12に記載の光学フィルム。
14.透明フィルム(b)上に、直接、複屈折層(a)の形成材料を塗工して塗工膜を形成し、透明フィルム(b)と塗工膜とを共に延伸することによって得られることを特徴とする上記9乃至13のいずれかに記載の光学フィルム。
15.さらに、接着剤層および粘着剤層の少なくとも一方を含む上記9乃至15のいずれかに記載の光学フィルム。
16.最外層に、接着剤層および粘着剤層の少なくとも一方が積層された上記9乃至15のいずれかに記載の光学フィルム。
17.上記1乃至8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、又は上記9乃至16のいずれかに記載の光学フィルムを少なくとも1枚、偏光子の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
18.液晶セルおよび光学部材を含み、液晶セルの少なくとも一方の表面に光学部材が配置された液晶パネルであって、光学部材が、上記1乃至16のいずれかに記載の光学フィルムまたは上記17に記載の偏光板であることを特徴とする液晶パネル。
19.液晶パネルを含む液晶表示装置であって、液晶パネルが上記18記載の液晶パネルであることを特徴とする液晶表示装置。
20.上記1〜16に記載の光学フィルム及び上記17に記載の偏光板、のいずれかを有することを特徴とする液晶表示装置。
21.上記1〜16のいずれかに記載の光学フィルム及び上記17に記載の偏光板、のいずれかを有することを特徴とするVA液晶表示装置。
22.液晶セルの上下両側に偏光板を有する上記21に記載のVA液晶表示装置において、少なくとも片側の偏光板のセル側に上記1〜16のいずれかに記載の光学フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、光学的異方性(Re、Rth)が小さく実質的に光学的等方性であり、光学的異方性(Re、Rth)の湿度依存性が小さく、波長分散が小さく、さらには光学的なムラが少ないセルロースアシレートフィルムにより作製された光学補償フィルムや偏光板などの光学材料が視野角特性に優れるものであることが示され、これらを用いた偏光板及び液晶表示装置が提供される。
発明の光学補償フィルム、偏光板を使用すれば、斜めからの色味変化が少なく、画面上のムラが少なく、さらには表示性能の湿度依存性にも優れ、また、虹ムラの発生も抑制された表示品位に優れる薄型の液晶表示装置が実現できる。さらに、サーモ後のパネルムラも低減した表示品位に優れる薄型の液晶表示装置が実現できる。
以下、まず本発明の光学フィルムについて詳しく説明する。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造され、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートについて記載する。本発明のセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも好ましく用いることができる。本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
上述のように本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることが好ましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることが好ましく、2.85〜3.00であることがより好ましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族のアシル基でも芳香族のアシル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらに好ましくは2.65〜3.00である。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明のセルロースアシレートフィルムの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率を上記範囲にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明のセルロースアシレートは、置換基、置換度、重合度、分子量分布などが前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートへの添加剤]
本発明のセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期は、ドープ作製工程において何れの添加剤を添加しても良く、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
セルロースアシレート溶液は、本発明のセルロースアシレートフィルムの光学的異方性、とくにフィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記数式(ii)、(iii)をみたす範囲で少なくとも一種含有することが好ましい。
数式(ii) :(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
数式(iii):0.01≦A≦30
上記数式(ii)、(iii)は
数式(ii) :(Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
数式(iii):0.05≦A≦25
であることがより好ましく、
数式(ii) :(Rth(A)−Rth(0))/A≦−3.0
数式(iii):0.1≦A≦20
であることがさらに好ましい。
ここで、Rth(A)は、Rthを低下させる化合物をA%含有したフィルムのRth(nm)であり、
Rth(0)は、Rthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)であり、
Aは、フィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)
である。
[セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物の構造的特徴]
セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる化合物について説明する。 本発明者らは、鋭意検討した結果、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させ、Re及びRthがゼロに近くなるようにした。このためには光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
(LogP値)
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(LogP値)が0ないし7である化合物が好ましい。LogP値が上記範囲であると、セルロースアシレートとの相溶性が十分ありフィルムの白濁や粉吹きが生じない、親水性が適度でありフィルムが耐水性を有する等の利点がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1ないし6であり、特に好ましい範囲は1.5ないし5である。
オクタノール−水分配係数(LogP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のLogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
[光学的異方性を低下する化合物の物性]
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有しても良いし、含有しなくても良い。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることがさらに好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学異方性を低下させる化合物は、好ましくは25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートの0.01ないし30質量%であることが好ましく、1ないし25質量%であることがより好ましく、5ないし20質量%であることが特に好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
光学異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80−99%である。本発明の化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の具体例を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。
本発明に記載のlogPの値は、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)により求めたものである。
一般式(13)の化合物について説明する。
一般式(13)
Figure 2006195350
[式中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R1、R2およびR3の炭素原子数の総和は10以上であることが特に好ましい。]
1、R2およびR3の置換基としては、フッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。
また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1乃至25のものが好ましく、6乃至25のものがより好ましく、6乃至20のものが特に好ましい。アルキル基の好ましい具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、アミル、イソアミル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t-オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシルが挙げられる。
アリール基としては炭素原子数が6乃至30のものが好ましく、6乃至24のもの、例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニルが特に好ましい。
一般式(13)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
一般式(2):
Figure 2006195350
一般式(2)中、R31はアルキル基又はアリール基を表し、R32及びR33はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。アリール基は炭素原子数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。
上記のアルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素など)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基である。
以下に、一般式(2)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
[波長分散調整剤]
セルロースアシレートフィルムの波長分散を低下させる化合物(以下波長分散調整剤ともいう)について説明する。本発明のセルロースアシレートフィルムのRthの波長分散を良化させるためには、下記式(iv)で表されるRthの波長分散ΔRthを低下させる化合物を、下記数式(v)、(vi)を満たす範囲で少なくとも一種含有することが好ましい。
数式(iv):ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)
数式(v) :(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
数式(vi):0.01≦B≦30
上記数式(v)、(vi)は
数式(v):(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
数式(vi):0.05≦B≦25
であることがより好ましく、
数式(v):(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
数式(vi):0.1≦B≦20
であることがさらに好ましい。
ここで、
Rth(400)は、400nmにおけるRth(nm)を意味し、
Rth(700)は、700nmにおけるRth(nm)を意味し、
ΔRth(B)は、ΔRthを低下させる化合物をB質量%含有したフィルムのΔRth(nm)を意味し、
ΔRth(0)は、ΔRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのΔRth(nm)を意味し、
Bは、フィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)
である。
上記の波長分散調整剤は、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことによってセルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整した。
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
したがって上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調製することができる。このためには波長分散を調整する化合物はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが要求される。このような化合物の紫外領域の吸収帯範囲は200〜400nmが好ましいが、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、分光透過率が優れていることが要求される。本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることが好ましい。
上述のような、本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01ないし30質量%であることが好ましく、0.1ないし20質量%であることがより好ましく、0.2ないし10質量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
またこれら波長分散調整剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明に好ましく用いられる波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系化合物としては一般式(101)で示されるものが本発明の波長分散調整剤として好ましく用いられる。
一般式(101):Q1−Q2−OH
(式中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環を、Q2は芳香族環を表す。)
1は含窒素芳香族へテロ環を表わし、好ましくは5乃至7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5ないし6員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等が挙げられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特に好ましくは、ベンゾトリアゾールである。
1で表される含窒素芳香族ヘテロ環は更に置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
2で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
2であらわされる芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q2は更に置換基を有してもよく、下記の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては、例えば、
アルキル基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。〕、
アルケニル基〔好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。〕、
アルキニル基〔好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。〕、
アリール基〔好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。〕、
置換又は未置換のアミノ基〔好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。〕、
アルコキシ基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。〕、
アリールオキシ基〔好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。〕、
アシル基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。〕、
アルコキシカルボニル基〔好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。〕、
アリールオキシカルボニル基〔好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。〕、
アシルオキシ基〔好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。〕、
アシルアミノ基〔好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。〕、
アルコキシカルボニルアミノ基〔好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。〕、
アリールオキシカルボニルアミノ基〔好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。〕、
スルホニルアミノ基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。〕、
スルファモイル基〔好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。〕、
カルバモイル基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。〕、
アルキルチオ基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。〕、
アリールチオ基〔好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。〕、
スルホニル基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。〕、
スルフィニル基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。〕、
ウレイド基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。〕、
リン酸アミド基〔好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。〕、
ヘテロ環基〔好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。〕、
シリル基〔好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる〕、
その他、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子〔例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子〕、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基などが挙げられる。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(101)として好ましくは下記一般式(101−A)で表される化合物である。
一般式(101−A)
Figure 2006195350
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基ととしては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2、およびR4として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、C1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
5およびR8として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、C1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
6およびR7として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
一般式(101)としてより好ましくは下記一般式(101−B)で表される化合物である。
一般式(101−B)
Figure 2006195350
(式中、R1、R3、R6およびR7は一般式(101−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
以下に一般式(101)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006195350
Figure 2006195350
以上例にあげたベンゾトリアゾール系化合物の中でも、分子量が320以下のものを含まずに本発明のセルロースアシレートフィルムを作製した場合、保存性の点で有利であることが確認された。
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるベンゾフェノン系化合物としては一般式(102)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(102)
Figure 2006195350
一般式(102)中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。XはNR(Rは水素原子または置換基を表す。)、酸素原子または硫黄原子を表す。
1およびQ2で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
1およびQ2で表される芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2で表される芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のどれかひとつを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2で表される芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換または無置換のベンゼン環である。
1およびQ2は、更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
Xは、NR(Rは水素原子または置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。)、酸素原子または硫黄原子を表し、Xとして好ましくは、NR(Rとして好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい。)、または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
置換基Tとしては、前述した一般式(101)の置換基Tがそのまま適用されるが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(102)で表される化合物として、好ましくは下記一般式(102−A)で表される化合物である。
一般式(102−A)
Figure 2006195350
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R3、R4、R5、R6、R8およびR9として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
2として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ基である。
7として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数0〜20のアミノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくはメチル基)であり、特に好ましくはメチル基、水素原子である。
一般式(102)としてより好ましくは下記一般式(102−B)で表される化合物である。
一般式(102−B)
Figure 2006195350
(式中、R10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表す。)
10は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアリール基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。
10として好ましくは置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20の置換または無置換のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数5〜12の置換または無置換のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12の置換または無置換のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
一般式(102)で表される化合物は特開平11−12219号公報記載の公知の方法により合成できる。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
また本発明に用いられる波長分散調整剤のひとつであるシアノ基を含む化合物としては一般式(103)で示されるものが好ましく用いられる。
一般式(103)
Figure 2006195350
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。)
1およびQ2で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
1およびQ2で表される芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
1およびQ2は更に置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
1およびX2は水素原子または置換基を表し、少なくともどちらか1つはシアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環を表す。X1およびX2で表される置換基は前述の置換基Tを適用することができる。また、X1およびX2はで表される置換基は更に他の置換基によって置換されてもよく、X1およびX2はそれぞれが縮環して環構造を形成してもよい。
1およびX2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として好ましくは下記一般式(103−A)で表される化合物である。
一般式(103−A)
Figure 2006195350
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。X1およびX2は一般式(103)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用できる。またこれらの置換基は更に別の置換基によって置換されてもよく、置換基同士が縮環して環構造を形成してもよい。
1、R2、R4、R5、R6、R7、R9、およびR10として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、C1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
3およびR8として、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、より好ましくは水素原子、C1〜20のアルキル基、C0〜20のアミノ基、C1〜12のアルコキシ基、C6〜12アリールオキシ基、ヒドロキシ基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、C1〜12アルコキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
一般式(103)としてより好ましくは下記一般式(103−B)で表される化合物である。
一般式(103−B)
Figure 2006195350
(式中、R3およびR8は一般式(103−A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。X3は水素原子、または置換基を表す。)
3は水素原子、または置換基を表し、置換基としては前述の置換基Tが適用でき、また、可能な場合は更に他の置換基で置換されてもよい。X3として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基、芳香族ヘテロ環であり、更に好ましくはシアノ基、カルボニル基であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基(−C(=O)OR(Rは:炭素数1〜20アルキル基、炭素数6〜12のアリール基およびこれらを組み合せたもの)である。
一般式(103)として更に好ましくは一般式(103−C)で表される化合物である。
一般式(103-C)
Figure 2006195350
(式中、R3およびR8は一般式(103−A)におけるそれらと同義であり、また、好ましい範囲も同様である。R21はC1〜20のアルキル基を表す。)
3およびR8が両方水素の場合には、R21として好ましくはC2〜12のアルキル基であり、より好ましくはC4〜12のアルキル基であり、更に好ましくは、C6〜12のアルキル基であり、特に好ましくは、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基であり、最も好ましくは2−エチルへキシル基である。
3およびR8が水素以外の場合には、R21としては一般式(103−C)で表される化合物の分子量が300以上になり、かつ炭素数20以下の炭素数のアルキル基が好ましい。
本発明の一般式(103)で表される化合物は、Journal of American Chemical Society 63巻 3452頁(1941)記載の方法によって合成できる。
以下に一般式(103)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
上記の光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45%であることが好ましい。より好ましくは10〜40%であり、さらに好ましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する(フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよびエーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良く、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
その他、本発明のセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876、特開平12−95877、特開平10−324774、特開平8−152514、特開平10−330538、特開平9−95538、特開平9−95557、特開平10−235664、特開平12−63534、特開平11−21379、特開平10−182853、特開平10−278056、特開平10−279702、特開平10−323853、特開平10−237186、特開平11−60807、特開平11−152342、特開平11−292988、特開平11−60752、特開平11−60752などの公開公報に記載されている。これらの公開公報によると、本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
[溶解工程]
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
[フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
本発明のセルロースアシレートフィルムの面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRe値の差ΔRe(=Re10%RH−Re80%RH)が0〜20nmであることが好ましい。より好ましくは0〜15nmであり、さらに好ましくは0〜10nmである。また、Rth値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜30nmである。
[フィルムの平衡含水率]
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。4%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
[フィルムの透湿度]
本発明の光学補償シートに用いるセルロースアシレートフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。 また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求めた。
[延伸前後における正面レターデーション変化、遅相軸の検出]
試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)または垂直方向(TD方向)に延伸を行った。延伸前後における各試料の正面レターデーションは自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)としたときに、|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0を満たすことが好ましく、|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3を満たすことがさらに好ましい。
[遅相軸を有する方向]
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光子の保護フィルムに用いる場合、偏光子が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍またはTD近傍にあることが好ましい。遅相軸が偏光子と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
[本発明のセルロースアシレートフィルムの評価方法]
本発明のセルロースアシレートフィルムの評価に当たって、以下の方法で測定して実施した。
(面内のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re(λ)は自動複屈折計〔KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)〕において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。また、Rth(λ)は前記Re(λ)と、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°としてサンプルを10°ごとに50°まで傾斜させて波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値を基に、KOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。セルロースアシレートの平均屈折率は1.48である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
(Re、Rthの波長分散測定)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、波長を変えてエリプソメーターM−150(日本分光(株)製)において同様に測定した。
(分子配向軸)
試料70mm×100mmを、25℃、65%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA−21DH、王子計測(株))にて、垂直入射における入射角を変化させた時の位相差より分子配向軸を算出した。
(軸ズレ)
自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸ズレ角度を測定した。幅方向に全幅にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求めた。遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の平均の差をとったものである。
[セルロースアシレートフィルムのレターデーションの面内ばらつき]
本発明のセルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことが好ましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3、かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)は、任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は、最小値である。]
[フィルムの残留溶剤量]
本発明のセルロースアシレートフィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などが挙げられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[アルカリ鹸化処理によるフィルム表面の接触角]
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることが好ましい。より好ましくは50°以下であり、45°以下であることがさらに好ましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
[機能層]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、前述のように、複屈折層(a)と透明フィルム(b)とを含む光学フィルムであって、透明フィルム(b)の上に複屈折層(a)が積層されており、かつ、前記数式(I)から(II)の全ての条件を満たすことを特徴とする。
また、本発明において、前記複屈折層(a)は、前記数式(I)を満たすことが必要である。本発明の光学フィルムの前記複屈折層(a)が、1<(nx−nz)/(nx−ny)を満たせば、厚み方向における複屈折率が、フィルム面内の複屈折率よりも大きくなるため、例えば、液晶セルの光学補償に優れたものとなる。また、好ましくは、1<(nx−nz)/(nx−ny)≦100の範囲である。前記値が100以下であれば、例えば、本発明の光学フィルムを液晶表示装置に用いた場合に、十分なコントラスト比を得ることができ、視野角特性がより一層優れるからである。さらに、前記(nx−nz)/(nx−ny)の値は、光学補償に優れることから、例えば、1<(nx−nz)/(nx−ny)≦80の範囲がより好ましく、さらに好ましくは、1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦50である。また、垂直配向(VA)モードの液晶表示装置に使用する場合には、1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦30であることが特に好ましい。
なお、図1の概略図に、複屈折層(a)10における屈折率(nx,ny,nz)の光軸方向を矢印で示す。屈折率nx,ny,nzは、前述のように、それぞれX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、図示のように、前記X軸とは面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は、前記面内において前記X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸は、前記X軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。
さらに、本発明において、複屈折層(a)は、数式(II)の条件を満たすことが必要である。Δn(a)が、0.0005未満であれば、光学フィルムが厚型化し、0.5を超えると、光学フィルムの位相差制御が困難になるからである。屈折率Δn(a)は、より好ましくは0.005≦Δn(a)≦0.2であり、特に好ましくは0.02≦Δn(a)≦0.15である。
本発明において、複屈折層(a)の厚みは、特に限定されないが、液晶表示装置の薄型化を図り、また、視角補償機能に優れ、かつ位相差が均一な光学フィルムを提供できることから、0.1〜50μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmである。一方、透明フィルム(b)の厚みは、使用目的等に応じて適宜決定できるが、例えば、強度や薄層化等の点から、5〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは15〜150μmの範囲である。
複屈折層(a)は、例えば、透明フィルム(b)の片面または両面に積層されてもよく、その積層数は、1層でもよいし、2層以上でもよい。また、透明フィルム(b)は、例えば、単層体でもよく、2層以上の積層体でもよい。透明フィルム(b)が積層体の場合、例えば、強度、耐熱性、複屈折層の密着性の向上等、その目的に応じて、同種ポリマー層から構成されてもよいし、異種ポリマー層の積層体であってもよい。
複屈折層(a)の形成材料としては、最終的に、本発明の前記各条件を満たすものであれば特に制限されない。
形成材料としては、例えば、非液晶性材料、特に非液晶性ポリマーであることが好ましい。このような非液晶性材料は、例えば、液晶性材料とは異なり、基板の配向性に関係なく、それ自身の性質によりnx>nz、ny>nzという光学的一軸性を示す膜を形成する。このため、例えば、使用する基板としては、配向基板に限定されることもなく、例えば、未配向基板であっても、その表面に配向膜を塗布する工程や配向膜を積層する工程等を省略することができる。
非液晶性ポリマーとしては、例えば、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のポリマーが好ましい。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、例えば、ポリアリールエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以上の混合物として使用してもよい。このようなポリマーの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
ポリマーの分子量は、特に制限されないが、例えば、質量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは2,000〜500,000の範囲である。
ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000-511296号公報に開示された、9,9-ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記一般式(1)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが使用できる。
一般式(1)
Figure 2006195350
一般式(1)中、R3〜R6は、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC1〜10アルキル基(ここで、「C1〜10アルキル基」は、「炭素数1から10のアルキル基」を意味する。以後同様である。)で置換されたフェニル基、およびC1〜10アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R3〜R6は、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子またはC1〜10アルキル基で置換されたフェニル基、およびC1〜10アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基である。
前記一般式(1)中、Zは、例えば、C6〜20の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、または、下記一般式(2)で表される基である。
一般式(2)
Figure 2006195350
一般式(2)中、Z’は、例えば、共有結合、C(R72基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C252基、または、NR8基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。また、wは、1から10までの整数を表す。R7は、それぞれ独立に、水素またはC(R93である。R8は、水素、炭素原子数1〜約20のアルキル基、またはC6〜20アリール基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。R9は、それぞれ独立に、水素、フッ素、または塩素である。
多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはアントラセンから誘導される4価の基が挙げられる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C1〜10のアルキル基、そのフッ素化誘導体、およびFやCl等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基が挙げられる。
この他にも、例えば、特表平8−511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記一般式(3)または(4)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記一般式(5)で示されるポリイミド等が挙げられる。なお、下記一般式(5)のポリイミドは、下記式(3)のホモポリマーの好ましい形態である。
一般式(3)
Figure 2006195350
一般式(4)
Figure 2006195350
一般式(5)
Figure 2006195350
一般式(3)〜(5)中、GおよびG’は、例えば、共有結合、CH2基、C(CH32基、C(CF32基、C(CX32基(ここで、Xは、ハロゲンである。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(CH2CH32基、および、N(CH3)基からなる群から、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。
一般式(3)および一般式(5)中、Lは、置換基であり、dおよびeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、C1〜3アルキル基、C1〜3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1〜3アルキル基、およびC1〜3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基が挙げられる。また、前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素が挙げられる。dは、0から2までの整数であり、eは、0から3までの整数である。
一般式(3)〜(5)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、および置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子または基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基が挙げられる。また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基が挙げられる。fは、0から4までの整数であり、gおよびhは、それぞれ0から3および1から3までの整数である。また、gおよびhは、1より大きいことが好ましい。
一般式(4)中、R10およびR11は、水素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、および置換アルキル基からなる群から、それぞれ独立に選択される基である。その中でも、R10およびR11は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(5)中、M1およびM2は、同一であるかまたは異なり、例えばハロゲン、C1〜3アルキル基、C1〜3ハロゲン化アルキル基、フェニル基、または、置換フェニル基である。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C1〜3アルキル基、およびC1〜3ハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基が挙げられる。
前記一般式(3)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記式(6)で表されるもの等が挙げられる。
Figure 2006195350
さらに、ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーが挙げられる。
酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2’-置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ピロメリト酸二無水物としては、例えば、ピロメリト酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリト酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリト酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリト酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリト酸二無水物等が挙げられる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。前記2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物)、4,4’−[4,4’−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2’−ビス(トリハロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンがあげられ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、およびその他の芳香族ジアミンが挙げられる。
ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−およびp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼンおよび1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等が挙げられる。前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、および3,3’−ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、および1,5−ジアミノナフタレン等が挙げられる。前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、および2,4−ジアミノ−S−トリアジン等が挙げられる。
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
複屈折層(a)の形成材料である前記ポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載され、下記一般式(7)で表されるポリアリールエーテルケトンが挙げられる。
一般式(7)
Figure 2006195350
一般式(7)中、Xは置換基を表し、qはその置換数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、または、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子およびヨウ素原子があげられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級アルキル基としては、例えば、C1〜6の直鎖または分岐鎖を有する低級アルキル基が好ましく、より好ましくはC1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、および、tert−ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アルキル基のハロゲン化物が挙げられる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、C1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくはC1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、および、tert−ブトキシ基が、さらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基およびエトキシ基である。前記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物が挙げられる。
前記一般式(7)中、qは、0から4までの整数である。前記一般式(7)においては、q=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。
また、一般式(7)中、R1は、下記式(8)で表される基であり、mは0または1の整数である。
式(8)
Figure 2006195350
式(8)中、X’は置換基を表し、例えば、前記一般式(7)におけるXと同様である。式(8)において、X’が複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。q’は、X’の置換数を表し、0から4までの整数であって、q’=0が好ましい。また、pは、0または1の整数である。
式(8)中、R2は、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、m−もしくはp−フェニレン基、または、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−もしくはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等が挙げられる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、前記R2としては、下記式(9)〜(15)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
Figure 2006195350
式(7)中、前記R1としては、下記式(16)で表される基が好ましく、下記式(16)において、R2およびpは前記式(8)と同義である。
式(16)
Figure 2006195350
さらに、前記式(7)中、nは重合度を表し、例えば、2〜5000の範囲であり、好ましくは、5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合でもよい。
さらに、前記式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記一般式(17)で表すことができる。なお、下記式において、nは前記式(7)と同様の重合度を表す。
Figure 2006195350
一般式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記式(18)〜(21)で表されるもの等があげられ、下記各式において、nは、一般式(7)と同様の重合度を表す。
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
Figure 2006195350
また、これらの他に、前記複屈折層(a)の形成材料である前記ポリアミドまたはポリエステルとしては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミドやポリエステルがあげられ、それらの繰り返し単位は、例えば、下記一般式(22)で表すことができる。
一般式(22)
Figure 2006195350
一般式(22)中、Yは、OまたはNHである。また、Eは、例えば、共有結合、C2アルキレン基、ハロゲン化C2アルキレン基、CH2基、C(CX32基(ここで、Xはハロゲンまたは水素である。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基、および、N(R)基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の基であり、それぞれ同一でもよいし異なってもよい。前記Eにおいて、Rは、C1〜3アルキル基およびC1−3ハロゲン化アルキル基の少なくとも一種類であり、カルボニル官能基またはY基に対してメタ位またはパラ位にある。
また、一般式(22)中、AおよびA’は、置換基であり、tおよびzは、それぞれの置換数を表す。また、pは、0から3までの整数であり、qは、1から3までの整数であり、rは、0から3までの整数である。
前記Aは、例えば、水素、ハロゲン、C1〜3アルキル基、C1〜3ハロゲン化アルキル基、OR(ここで、Rは、前記定義のものである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、C1〜9アルコキシカルボニル基、C1〜9アルキルカルボニルオキシ基、C1〜12アリールオキシカルボニル基、C1〜12アリールカルボニルオキシ基およびその置換誘導体、C1〜12アリールカルバモイル基、ならびに、C1〜12アリールカルボニルアミノ基およびその置換誘導体からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。前記A’は、例えば、ハロゲン、C1〜3アルキル基、C1〜3ハロゲン化アルキル基、フェニル基および置換フェニル基からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるかまたは異なる。置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン、C1〜3アルキル基、C1〜3ハロゲン化アルキル基およびこれらの組み合わせが挙げられる。tは0から4までの整数であり、zは0から3までの整数である。
前記一般式(22)で表されるポリアミドまたはポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記一般式(23)で表されるものが好ましい。
一般式(23)
Figure 2006195350
前記一般式(23)中、A、A’およびYは、前記一般式(22)で定義したものであり、vは0から3の整数、好ましくは、0から2の整数である。xおよびyは、それぞれ0または1であるが、共に0であることはない。
つぎに、本発明の光学フィルムの製造方法について説明する。本発明の光学フィルムは、前記条件(I)及び(II)の条件を満たすものであれば、その製造方法は特に制限されないが、例えば、以下に示す第1の製造方法および第2の製造方法が挙げられる。
第1の製造方法は、面内において一方向に収縮性を示す透明基板上に、直接、複屈折層の形成材料を塗工して塗工膜を形成し、透明基板の収縮に伴い塗工膜を収縮させる方法である。このような方法によって、収縮した透明基板は透明フィルム(b)となり、収縮した塗工膜は複屈折層(a)となって、透明フィルム(b)上に、複屈折層(a)が直接固定化された本発明の光学フィルムが得られる。このように、透明フィルム(b)上に、複屈折層(a)が直接積層され、かつ条件(I)及び(II)を全て満たす本発明の光学フィルムは、例えば、従来のように透明フィルム上の複屈折層を他の基板に転写してから使用する必要がなく、そのまま視覚補償フィルム等として使用することができる。なお、基板の収縮性は、例えば、基板に予め加熱処理を施すこと等によって付与することができる。
この方法によれば、まず、ポリイミドのような非液晶ポリマーは、その性質上、透明基板の配向の有無に関わらず、nx=ny>nzの光学特性を示すため、ポリマーから形成された塗工膜は、光学的一軸性を示す。つまり、厚み方向にのみ位相差を示す。そして、透明基板の収縮性によって、透明基板上の塗工膜も共に面方向において収縮するため、塗工膜は、さらに面内において屈折差が生じ、光学的二軸性(nx>ny>nz)を示すようになるのである。
このように、非液晶ポリマーは光学的一軸性を示す性質を有することから、基板の配向性を利用する必要がない。このため、透明基板としては、配向性基板、非配向性基板の両方が使用できる。また、例えば、複屈折による位相差を生じるものでもよいし、複屈折による位相差を生じないものでもよい。複屈折による位相差を生じる透明基板としては、例えば、延伸フィルム等があげられ、厚み方向の屈折率が制御されたもの等も使用できる。 屈折率の制御は、例えば、ポリマーフィルムを熱収縮性フィルムと接着し、さらに加熱延伸する方法等によって行うことができる。
透明基板は、面内において一方向に収縮性を持たせるため、例えば、面内のいずれか一方向に延伸しておくことが好ましい。このように、予め延伸しておくことによって、延伸方向と反対方向に収縮力が発生する。この透明基板の面内の収縮差を利用して、塗工膜の非液晶材料に面内の屈折率差を付与するのである。具体的な条件を以下に示す。
延伸前の透明基板の厚みは、特に制限されないが、例えば、10〜200μmの範囲であり、好ましくは20〜150μmの範囲であり、特に好ましくは30〜100μmの範囲である。そして、延伸倍率に関しては、延伸後の透明基板上に形成される複屈折層が光学的二軸性(nx>ny>nz)を示す範囲であれば特に限定されない。
透明基板上に、複屈折層の形成材料を塗工する方法としては、特に限定されないが、例えば、前述のような非液晶性ポリマーを加熱溶融して塗工する方法や、非液晶ポリマーを溶媒に溶解させたポリマー溶液を塗工する方法等が挙げられる。その中でも、作業性に優れることから、ポリマー溶液を塗工する方法が好ましい。
ポリマー溶液におけるポリマー濃度は特に制限されないが、例えば、塗工が容易な粘度となることから、溶媒100質量部に対して、例えば、非液晶性ポリマー5〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜40質量部である。
ポリマー溶液の溶媒としては、非液晶性ポリマー等の形成材料を溶解できれば特に制限されず、形成材料の種類に応じて適宜決定できる。具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、バラクロロフェノール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が挙げられる。これらの溶媒は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
ポリマー溶液は、例えば、必要に応じて、さらに、安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤を配合してもよい。
また、ポリマー溶液は、例えば、形成材料の配向性等が著しく低下しない範囲で、異なる他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂、およびAS樹脂等が挙げられる。エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。 熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、および液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。
このように、他の樹脂等を前記ポリマー溶液に配合する場合、その配合量は、例えば、ポリマー材料に対して、例えば、0〜50質量%であり、好ましくは、0〜30質量%である。
ポリマー溶液の塗工方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。また、塗工に際しては、必要に応じて、ポリマー層の重畳方式も採用できる。
そして、透明基板上の塗工膜に、加熱処理を施すことによって、透明基板を収縮させる。この透明基板の収縮に伴って、塗工膜が収縮することによって、複屈折層(a)が形成されるのである。加熱処理の条件としては、特に制限されず、例えば、透明基板の材料の種類等によって適宜決定できるが、例えば、加熱温度は、25〜300℃の範囲であり、好ましくは50〜200℃の範囲であり、特に好ましくは60〜180℃の範囲である。
加熱処理後において、複屈折層(a)中に残存するポリマー溶液の溶媒は、その量に比例して光学フィルムの光学特性を経時的に変化させるおそれがあるため、その残存量は、例えば、5%以下が好ましく、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは0.2%以下である。
一方、第2の製造方法は、透明基板上に、直接、複屈折層の形成材料を塗工して塗工膜を形成し、透明基板と塗工膜とを共に延伸する方法である。このような方法によって、延伸した透明基板は透明フィルム(b)となり、同様に延伸した塗工膜は複屈折層(a)となって、透明フィルム(b)上に複屈折層(a)が直接固定化された本発明の光学フィルムが得られる。この光学フィルムも、第1の製造方法によって得られる光学フィルムと同様の効果が得られる。なお、この製造方法において、複屈折層(a)の形成材料の塗工は、前記第1の製造方法と同様にして行うことができる。
この方法によれば、第1の製造方法と同様に、ポリイミドのような非液晶ポリマーは、その性質上、透明基板の配向の有無に関わらず、nx=ny>nzの光学特性を示すため、ポリマーから形成された塗工膜は、光学的一軸性を示す。そして、透明基板と塗工膜との積層体を面内の一方向に共に延伸することによって、塗工膜はさらに面内において屈折差を生じ、光学的二軸性(nx>ny>nz)を示すようになるのである。
透明基板と塗工膜との積層体の延伸方法は、特に制限されないが、例えば長手方向に一軸延伸する自由端縦延伸、フィルムの長手方向を固定した状態で、幅方向に一軸延伸する固定端横延伸、長手方向および幅方向の両方に延伸を行う逐次または同時二軸延伸等の方法が挙げられる。
そして、積層体の延伸は、例えば透明基板と塗工膜との両方を共に引っ張ることによって行ってもよいが、以下の理由から透明基板のみを延伸することが好ましい。透明基板のみを延伸した場合、この延伸により透明基板に発生する張力によって、透明基板上の塗工膜が間接的に延伸される。そして、積層体を延伸するよりも、単層体を延伸する方が、通常、均一な延伸となるため、前述のように透明基板のみを均一に延伸すれば、これに伴って、透明基板上の塗工膜も均一に延伸できるためである。
延伸の条件としては、特に制限されず、例えば、透明基板や複屈折層の形成材料の種類等に応じて適宜決定できる。具体例としては、延伸倍率は、1倍より大きく5倍以下が好ましく、より好ましくは、1倍より大きく4倍以下であり、特に好ましくは1倍より大きく3倍以下である。
この第2の製造方法によって光学フィルムを製造する場合においても、例えば、透明基板の形成材料と複屈折層(a)の形成材料とを、前述のように選択すること等によって、条件(I)を満たすことができる。
第1および第2の製造方法以外にも、本発明の光学フィルムを製造する方法としては、例えば、面内の一方向に応力を加えた透明基板上で、複屈折層(a)の形成材料を薄層化する方法がある。
また、この他にも、例えば、一方向から風等を吹き付けて、透明フィルム(b)上で形成材料を薄層化する方法、異方性を持たせた透明フィルム(b)上に形成材料を塗工する方法等がある。
光学フィルムの特性は以下の方法で評価した。
(位相差値Δnd、配向軸精度の測定)
位相差計(王子計測機器社製、商品名KOBRA21ADH)を用いて測定した。
(屈折率の測定)
王子計測機器社製の商品名KOBRA21ADHを用いて、590nmにおける屈折率を測定した。
(膜厚測定)
アンリツ製商品名デジタルマイクロメーターK−351C型を使用して測定した。
[光学フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
本発明の光学フィルムは面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthはともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRe値と25℃80%RHにおけるRe値の差ΔRe(=Re10%RH−Re80%RH)が0〜20nmであることが好ましい。より好ましくは0〜15nmであり、さらに好ましくは0〜10nmである。
また、Rth値の差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましく、より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜30nmである。
これは、使用するセルロースアシレートフィルムの湿度依存性を良化させることで達成できる。
さらに、光学フィルムを液晶表示装置に使用する場合、長期間使用することの強制評価として、湿熱サーモを行うことが多いが、これまではサーモ取り出し後にパネル画面内に不均一なムラが発生することが多かった。ところが、本発明の、面内のレターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの湿度による変化が小さい光学フィルムを使用すると、サーモ取り出し後にもムラが発生しないことがわかった。これはサーモ中、および前後での湿度変化があっても、光学フィルムのRe、Rthの変化が少ないためであると考えられる。
(Re、Rthの波長分散測定)
セルロースアシレートフィルムの場合と同様、Re、Rthの波長分散を測定した。
|Re(400)−Re(700)|≦10かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
であることが好ましく、
さらには|Re(400)−Re(700)|≦8かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦30
であることが好ましい。
[式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
これは、使用するセルロースアシレートフィルムの波長分散性を制御することで達成できる。
前述のように、光学フィルムを使用したパネルを湿熱サーモすると、これまではサーモ取り出し後でパネル画面の色味が変化している場合があった。ところが、本発明の、波長分散が制御された光学フィルムを用いると、サーモ取り出し後でも色味変化が起こらなくなった。
[光学フィルムのレターデーションの面内ばらつき]
本発明の光学フィルムは次の式を満たすことが好ましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3、かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
さらに好ましくは、
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦2、かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦4
であることが好ましい。
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
これも、使用するセルロースアシレートフィルムのレターデーションの面内ばらつきを小さくすることで達成できる。
本発明の光学フィルムは、さらに、接着剤層および粘着剤層の少なくとも一方を有することが好ましい。これによって、本発明の光学フィルムと、他の光学層や液晶セル等の他部材との接着が容易になるとともに、本発明の光学フィルムの剥離を防止することができるからである。したがって、接着剤層や粘着剤層は、光学フィルムの最外層に積層されることが好ましく、また、光学フィルムの一方の最外層でもよいし、両方の最外層に積層されてもよい。
接着層の材料としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製感圧接着剤や、ゴム系感圧接着剤等が使用できる。また、これらの材料に、微粒子を含有させて光拡散性を示す層としてもよい。これらの中でも、例えば、吸湿性や耐熱性に優れる材料が好ましい。このような性質であれば、例えば、液晶表示装置に使用した場合に、吸湿による発泡や剥離、熱膨張差等による光学特性の低下や、液晶セルの反り等を防止でき、高品質で耐久性にも優れる表示装置となる。
本発明の光学フィルムは、前述のように、単独で使用してもよいし、必要に応じて他の光学部材と組合せて積層体として、各種光学用途に供することができる。具体的には、光学補償用部材として、特に視覚補償部材として有用である。他の光学部材としては、特に制限されないが、例えば、以下に示す偏光子等が挙げられる。
本発明の偏光板は、光学フィルムと偏光子とを含む積層偏光板であって、光学フィルムが、本発明の光学フィルムであることを特徴する。
このような偏光板の構成は、本発明の光学フィルムを有していれば、特に制限されないが、例えば、図2または図3に示すようなものが例示できる。図2および図3は、それぞれ本発明の積層偏光板の例を示す断面図であり、両図において同一部分には同一符号を付している。なお、本発明の偏光板は、以下の構成に限定されるものではなく、さらに他の光学部材等を含んでいてもよい。
図2に示す積層偏光板20は、本発明の光学フィルム1、偏光子2および二つの透明保護層3を有し、偏光子2の両面に透明保護層3がそれぞれ積層されており、一方の透明保護層3にさらに光学フィルム1が積層されている。なお、光学フィルム1は、前述のように複屈折層(a)と透明フィルム(b)との積層体であるため、いずれの表面が透明保護層3に面してもよい。
なお、透明保護層は、同図に示すように偏光子の両側に積層してもよいし、いずれか一方の面のみに積層してもよい。また、両面に積層する場合には、例えば、同じ種類の透明保護層を使用しても良いし、異なる種類の透明保護層を使用しても良い。
一方、図3に示す積層偏光板30は、本発明の光学フィルム1、偏光子2および透明保護層3を有し、偏光子2の両面に光学フィルム1および透明保護層3がそれぞれ積層されている。
そして、光学フィルム1は、前述のように複屈折層(a)と透明フィルム(b)との積層体であるため、いずれの表面が偏光子に面してもよいが、例えば、以下のような理由から、光学フィルム1の透明フィルム(b)側が偏光子2に面するように配置することが好ましい。このような構成であれば、光学フィルム1の透明フィルム(b)を、積層偏光板における透明保護層として兼用できるからである。すなわち、偏光子の両面に透明保護層を積層する代わりに、偏光子の一方の面には透明保護層を積層し、他方の面には、透明フィルムが面するように光学フィルムを積層することによって、透明フィルムが偏光子の他方の透明保護層の役割も果たすのである。このため、より一層薄型化された偏光板を得ることができる。
偏光子としては、特に制限されず、例えば、従来公知の方法により、各種フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて染色し、架橋、延伸、乾燥することによって調製したもの等が使用できる。この中でも、自然光を入射させると直線偏光を透過するフィルムが好ましく、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。
二色性物質を吸着させる各種フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等があげられ、これらの他にも、例えば、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、好ましくはPVA系フィルムである。 また、偏光フィルムの厚みは、通常、1〜80μmの範囲であるが、これには限定されない。
保護層としては、特に制限されず、従来公知の透明フィルムを使用できるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。このような透明保護層の材質の具体例としては、トリアセチルセルロール等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この中でも、偏光特性や耐久性の点から、表面をアルカリ等でケン化処理したTACフィルムが好ましい。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムが挙げられる。このポリマー材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有す熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチレンマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。なお、ポリマーフィルムは、例えば、樹脂組成物の押出成形物であってもよい。
本発明においては、偏光板保護層の少なくとも一方が、本発明のセルロースアシレートであることが好ましい。
また、保護層は、例えば、色付きが無いことが好ましい。具体的には、下記式で表されるフィルム厚み方向の位相差値(Rth)が、−90nm〜+75nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは−80nm〜+60nmであり、特に好ましくは−70nm〜+45nmの範囲である。位相差値が−90nm〜+75nmの範囲であれば、十分に保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)を解消できる。なお、下記式において、nx,ny,nzは、前述と同様であり、dは、その膜厚を示す。
Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d
また、透明保護層は、さらに光学補償機能を有するものでもよい。このように光学補償機能を有する透明保護層としては、例えば、液晶セルにおける位相差に基づく視認角の変化が原因である、着色等の防止や、良視認の視野角の拡大等を目的とした公知のものが使用できる。具体的には、例えば、前述した透明樹脂を一軸延伸または二軸延伸した各種延伸フィルムや、液晶ポリマー等の配向フィルム、透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を配置した積層体等が挙げられる。これらの中でも、良視認の広い視野角を達成できることから、液晶ポリマーの配向フィルムが好ましく、特に、ディスコティック系やネマチック系の液晶ポリマーの傾斜配向層から構成される光学補償層を、前述のトリアセチルセルロースフィルム等で支持した光学補償位相差板が好ましい。このような光学補償位相差板としては、例えば、富士写真フィルム(株)製「WVフィルム」等の市販品が挙げられる。なお、光学補償位相差板は、位相差フィルムやトリアセチルセルロースフィルム等のフィルム支持体を2層以上積層させることによって、位相差等の光学特性を制御したもの等でもよい。
透明保護層の厚みは、特に制限されず、例えば、位相差や保護強度等に応じて適宜決定できるが、通常、500μm以下であり、好ましくは5〜300μm、より好ましくは5〜150μmの範囲である。
透明保護層は、例えば、偏光フィルムに各種透明樹脂を塗布する方法、偏光フィルムに透明樹脂製フィルムや光学補償位相差板等を積層する方法等の従来公知の方法によって適宜形成でき、また市販品を使用することもできる。
また、透明保護層は、さらに、例えば、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキングの防止や拡散、アンチグレア等を目的とした処理等が施されたものでもよい。ハードコート処理とは、偏光板表面の傷付き防止等を目的とし、例えば、透明保護層の表面に、硬化型樹脂から構成される、硬度や滑り性に優れた硬化被膜を形成する処理である。硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等が使用でき、処理は従来公知の方法によって行うことができる。スティッキングの防止は、隣接する層との密着防止を目的とする。反射防止処理とは、偏光板表面での外光の反射防止を目的とし、従来公知の反射防止層等の形成により行うことができる。
アンチグレア処理とは、偏光板表面において外光が反射することによる、偏光板透過光の視認妨害を防止すること等を目的とし、例えば、従来公知の方法によって、透明保護層の表面に、微細な凹凸構造を形成することによって行うことができる。このような凹凸構造の形成方法としては、例えば、サンドブラスト法やエンボス加工等による粗面化方式や、前述のような透明樹脂に透明微粒子を配合して透明保護層を形成する方式等が挙げられる。
透明微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等があげられ、この他にも導電性を有する無機系微粒子や、架橋または未架橋のポリマー粒状物等から構成される有機系微粒子等を使用することもできる。透明微粒子の平均粒径は、特に制限されないが、例えば、0.5〜20μmの範囲である。また、透明微粒子の配合割合は、特に制限されないが、一般に、前述のような透明樹脂100質量部あたり2〜70質量部の範囲が好ましく、より好ましくは5〜50質量部の範囲である。
透明微粒子を配合したアンチグレア層は、例えば、透明保護層そのものとして使用することもでき、また、透明保護層表面に塗工層等として形成されてもよい。さらに、アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視覚補償機能等)を兼ねるものであってもよい。
なお、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、アンチグレア層等は、透明保護層とは別個に、例えば、これらの層を設けたシート等から構成される光学層として、偏光板に積層してもよい。
各構成層同士(光学フィルム、偏光子、透明保護層等)の積層方法は、特に制限されず、従来公知の方法によって行うことができる。一般には、前述と同様の粘着剤や接着剤等が使用でき、その種類は、各構成物の材質等によって適宜決定できる。接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着剤等が挙げられる。また、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤等も使用できる。前述のような粘着剤、接着剤は、例えば、湿度や熱の影響によっても剥がれ難く、光透過率や偏光度にも優れる。具体的には、偏光子がPVA系フィルムの場合、例えば、接着処理の安定性等の点から、PVA系接着剤が好ましい。これらの接着剤や粘着剤は、例えば、そのまま偏光子や透明保護層の表面に塗布してもよいし、接着剤や粘着剤から構成されたテープやシートのような層を表面に配置してもよい。また、例えば、水溶液として調製した場合、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。なお、接着剤を塗布する場合は、例えば、接着剤水溶液に、さらに、他の添加剤や、酸等の触媒を配合してもよい。このような接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1nm〜500nmであり、好ましくは10nm〜300nmであり、より好ましくは20nm〜100nmである。特に限定されず、例えば、アクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマー等の接着剤等を使用した従来公知の方法が採用できる。また、湿度や熱等によっても剥がれにくく、光透過率や偏光度に優れる偏光板を形成できることから、さらに、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のPVA系ポリマーの水溶性架橋剤を含む接着剤が好ましい。これらの接着剤は、例えば、その水溶液を各構成物表面に塗工し、乾燥すること等によって使用できる。
水溶液には、例えば、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合できる。これらの中でも、接着剤としては、PVAフィルムとの接着性に優れる点から、PVA系接着剤が好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、前述のような偏光子の他にも、例えば、各種位相差板、拡散制御フィルム、輝度向上フィルム等、従来公知の光学部材と組合せて使用することもできる。位相差板としては、例えば、ポリマーフィルムを一軸延伸または二軸延伸したもの、Z軸配向処理したもの、液晶性高分子の塗工膜等が挙げられる。拡散制御フィルムとしては、例えば、拡散、散乱、屈折を利用したフィルムが挙げられ、これらは、例えば、視野角の制御や、解像度に関わるギラツキや散乱光の制御等に使用することができる。輝度向上フィルムとしては、例えば、コレステリック液晶の選択反射と1/4波長板(λ/4板)とを用いた輝度向上フィルムや、偏光方向による異方性散乱を利用した散乱フィルム等が使用できる。また、光学フィルムは、例えば、ワイヤーグリッド型偏光子と組合せることもできる。
本発明の積層偏光板は、実用に際して、本発明の光学フィルムの他に、さらに他の光学層を含んでもよい。光学層としては、例えば、以下に示すような偏光板、反射板、半透過反射板、輝度向上フィルム等、液晶表示装置等の形成に使用される、従来公知の各種光学層が挙げられる。これらの光学層は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよく、また、一層でもよいし、二層以上を積層してもよい。このような光学層をさらに含む積層偏光板は、例えば、光学補償機能を有する一体型偏光板として使用することが好ましく、例えば、液晶セル表面に配置する等、各種画像表示装置への使用に適している。
以下に、このような一体型偏光板について説明する。
まず、反射型偏光板または半透過反射型偏光板の一例について説明する。反射型偏光板は、本発明の積層偏光板にさらに反射板が、半透過反射型偏光板は、本発明の積層偏光板にさらに半透過反射板が、それぞれ積層されている。
反射型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)等に使用できる。このような反射型偏光板は、例えば、バックライト等の光源の内蔵を省略できるため、液晶表示装置の薄型化を可能にする等の利点を有する。
反射型偏光板は、例えば、弾性率を示す偏光板の片面に、金属等から構成される反射板を形成する方法等、従来公知の方法によって作製できる。具体的には、例えば、偏光板における透明保護層の片面(露出面)を、必要に応じてマット処理し、面に、アルミニウム等の反射性金属からなる金属箔や蒸着膜を反射板として形成した反射型偏光板等が挙げられる。
また、前述のように各種透明樹脂に微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした透明保護層の上に、その微細凹凸構造を反映させた反射板を形成した、反射型偏光板等も挙げられる。その表面が微細凹凸構造である反射板は、例えば、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制できるという利点を有する。このような反射板は、例えば、透明保護層の凹凸表面に、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式等、従来公知の方法により、直接、金属箔や金属蒸着膜として形成することができる。
また、前述のように偏光板の透明保護層に反射板を直接形成する方式に代えて、反射板として、透明保護フィルムのような適当なフィルムに反射層を設けた反射シート等を使用してもよい。反射板における反射層は、通常、金属から構成されるため、例えば、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続や、透明保護層の別途形成を回避する点等から、その使用形態は、反射層の反射面がフィルムや偏光板等で被覆された状態であることが好ましい。
一方、半透過型偏光板は、反射型偏光板において、反射板に代えて、半透過型の反射板を有するものである。半透過型反射板としては、例えば、反射層で光を反射し、かつ、光を透過するハーフミラー等が挙げられる。
半透過型偏光板は、通常、液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置等を比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射して画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置等に使用できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、一方、比較的暗い雰囲気下においても、内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置等の形成に有用である。
つぎに、本発明の積層偏光板に、さらに輝度向上フィルムが積層された偏光板の一例を説明する。
輝度向上フィルムとしては、特に限定されず、例えば、誘電体の多層薄膜や、屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のような、所定偏光軸の直線偏光を透過して、他の光は反射する特性を示すもの等が使用できる。このような輝度向上フィルムとしては、例えば、3M社製の商品名「D−BEF」等が挙げられる。また、コレステリック液晶層、特にコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの等が使用できる。
これらは、左右一方の円偏光を反射して、他の光は透過する特性を示すものであり、例えば、日東電工社製の商品名「PCF350」、Merck社製の商品名「Transmax」等が挙げられる。
以上のような本発明の各種偏光板は、例えば、本発明の積層偏光板と、さらに2層以上の光学層とを積層した光学部材であってもよい。
このように2層以上の光学層を積層した光学部材は、例えば、液晶表示装置等の製造過程において、順次別個に積層する方式によっても形成できるが、予め積層した光学部材として使用すれば、例えば、品質の安定性や組立作業性等に優れ、液晶表示装置等の製造効率を向上できるという利点がある。なお、積層には、前述と同様に、粘着層等の各種接着手段を用いることができる。
前述のような各種偏光板は、例えば、液晶セル等の他の部材への積層が容易になることから、さらに粘着剤層や接着剤層を有していることが好ましく、これらは、偏光板の片面または両面に配置することができる。粘着層の材料としては、特に制限されず、アクリル系ポリマー等の従来公知の材料が使用でき、特に、吸湿による発泡や剥離の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、例えば、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層となることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等でもよい。偏光板表面への粘着剤層の形成は、例えば、各種粘着材料の溶液または溶融液を、流延や塗工等の展開方式により、偏光板の所定の面に直接添加して層を形成する方式や、同様にして後述するセパレータ上に粘着剤層を形成させて、それを偏光板の所定面に移着する方式等によって行うことができる。なお、このような層は、偏光板のいずれの表面に形成してもよく、例えば、偏光板における位相差板の露出面に形成してもよい。
このように偏光板に設けた粘着剤層等の表面が露出する場合は、粘着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的として、セパレータによって表面をカバーすることが好ましい。このセパレータは、透明保護フィルム等のような適当なフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを一層以上設ける方法等によって形成できる。
粘着剤層等は、例えば、単層体でもよいし、積層体でもよい。積層体としては、例えば、異なる組成や異なる種類の単層を組合せた積層体を使用することもできる。また、偏光板の両面に配置する場合は、例えば、それぞれ同じ粘着剤層でもよいし、異なる組成や異なる種類の粘着剤層であってもよい。
粘着剤層の厚みは、例えば、偏光板の構成等に応じて適宜に決定でき、一般には、1〜500μmである。
粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性や接着性の粘着特性を示すものが好ましい。具体的な例としては、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム等のポリマーを適宜ベースポリマーとして調製された粘着剤等が挙げられる。
粘着剤層の粘着特性の制御は、例えば、粘着剤層を形成するベースポリマーの組成や分子量、架橋方式、架橋性官能基の含有割合、架橋剤の配合割合等によって、その架橋度や分子量を調節するというような、従来公知の方法によって適宜行うことができる。
以上のような本発明の光学フィルムや偏光板、各種光学部材(光学層を積層した各種偏光板)を形成する偏光フィルム、透明保護層、光学層、粘着剤層等の各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で適宜処理することによって、紫外線吸収能を持たせたものでもよい。
本発明の光学フィルムや偏光板は、前述のように、液晶表示装置等の各種装置の形成に使用することが好ましく、例えば、本発明の光学フィルムや偏光板を液晶セルの片側または両側に配置して液晶パネルとし、反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置に用いることができる。
液晶表示装置を形成する液晶セルの種類は、任意で選択でき、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のもの等、種々のタイプの液晶セルが使用できる。これらの中でも、本発明の光学フィルムや偏光板は、特にVA(垂直配向;Vertical Alighned)セルの光学補償に非常に優れているので、VAモードの液晶表示装置用の視角補償フィルムとして非常に有用である。
また、液晶セルは、通常、対向する液晶セル基板の間隙に液晶が注入された構造であって、液晶セル基板としては、特に制限されず、例えば、ガラス基板やプラスチック基板が使用できる。なお、プラスチック基板の材質としては、特に制限されず、従来公知の材料が挙げられる。
また、液晶セルの両面に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じ種類のものでもよいし、異なっていてもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライト等の適当な部品を、適当な位置に1層または2層以上配置することができる。
さらに、本発明の液晶表示装置は、液晶パネルを含み、液晶パネルとして、本発明の液晶パネルを使用する以外は、特に制限されない。光源を含む場合、特に制限されないが、例えば、光のエネルギーが有効に使用できることから、例えば、偏光を出射する平面光源であることが好ましい。
図4の断面図に、本発明の液晶パネルの一例を示す。図示のように、液晶パネル40は、液晶セル21、光学フィルム1、偏光子2および透明保護層3を有しており、液晶セル21の一方の面に光学フィルム1が積層されており、光学の他方の面に、偏光子2および透明保護層が、この順序で積層されている。液晶セルは、二枚の液晶セル基板の間に、液晶が保持された構成となっている(図示せず)。また、光学フィルム1は、前述のように複屈折層(a)と透明フィルム(b)の積層体であり、複屈折層側が液晶セルに面しており、透明フィルム側が偏光子2に面している。
本発明の液晶表示装置は、視認側の光学フィルム(偏光板)の上に、例えば、さらに拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護層や保護板を配置したり、または液晶パネルにおける液晶セルと偏光板との間に補償用位相差板等を適宜配置することもできる。
なお、本発明の光学フィルムや偏光板は、前述のような液晶表示装置には限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、PDP、FED等の自発光型表示装置にも使用できる。自発光型フラットディスプレイに使用する場合は、例えば、本発明の複屈折性光学フィルムの面内位相差値Δndをλ/4にすることで、円偏光を得ることができるため、反射防止フィルターとして利用できる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(セルロースアセテート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
(セルロースアセテート溶液A組成)
酢化度2.86のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
(マット剤溶液の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記のマット剤溶液組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
(マット剤溶液組成)
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート溶液D 10.3質量部
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。光学的異方性を低下する化合物および波長分散調整剤については下記表4に示すものを用いた。
(添加剤溶液組成)
光学的異方性を低下する化合物 49.3質量部
波長分散調整剤 7.6質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液A 12.8質量部
(セルロースアセテートフィルム試料1の作製)
上記セルロースアセテート溶液Aを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成で光学的異方性を低下する化合物および波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ12%、1.8%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させセルロースアセテートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアセテートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。
(セルロースアセテートフィルム試料2〜18の作製)
添加剤溶液中の光学的異方性を低下する化合物および波長分散調整剤の種類及び量を表1の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアセテートフィルム試料2〜18を作製した。表1には試料1作製の溶液組成も記入した。これら試料の相対湿度10%と相対湿度80%での膜厚方向のレターデーションの差ΔRth(=Rth10%RH−Rth80%RH)を測定したところ、本発明の光学的異方性低下剤を添加していない比較試料15、16および光学的異方性低下剤の代わりに可塑剤ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)を添加した比較試料17、18においてはΔRthが30nm以下にならず光学的異方性の湿度依存性が大きかった。
一方、本発明の光学的異方性低下剤を含む試料2〜14においてはΔRthが0〜30nmの範囲にあり、湿度依存性が低下していることを確認した。さらに、Re、Rthの幅方向の分布も小さく、光学ムラの少ないものであった。またこれら試料の25℃80%RHにおける平衡含水率を測定したところ、比較試料15以外においてはいずれも4%以下であり本発明の光学的異方性低下剤や波長分散調整剤の添加によりセルロースアシレートフィルムが疎水化されていることが確認できた。さらに、これら試料の60℃、95%RH、24hrの透湿度(80μm換算)を測定したところ、比較試料15以外においてはいずれも400g/m2・24hr以上2000g/m2・24hr以下であり、また比較試料16、17と比較して本発明の光学的異方性低下剤や波長分散調整剤を添加した試料1〜14はいずれも透湿度が良化していることが確認できた。また、比較試料18以外の試料ではいずれもフィルムの白濁はなく、十分に透明なフィルムが作成できたが、比較試料18は添加化合物の総量がセルロースアシレートに対して49%と高く、5〜45%の範囲を超えており、この場合はフィルムが白濁して化合物が析出し(泣き出し)、透明性を持ったセルロースアシレートフィルムとしては評価できなかった。
また、試料12と13においては、80℃、90%RHの条件に48時間放置した際の質量変化を測定したところ、試料12は−0.12%、試料13は−0.02%であった。 波長分散調整剤としてベンゾトリアゾール系化合物であるUV−21、UV−22、UV−23を用いたが、分子量が320以下であるUV−23(分子量315.5)を含まない試料123の方が試料12よりも保留性の点で有利であることが確認できた。
Figure 2006195350
本発明の光学的異方性を低下する化合物を用いた試料1〜14は、これらの化合物を用いていない比較試料15、16および一般的な可塑剤でLogPが7.3と本発明想定外である、ビフェニル−ジフェニルフォスフェート(BDP)を用いた比較試料17に比較して、いずれもRe(630)、Rth(630)ともに十分な低下が見られ、光学的にほぼ等方性に近づいている。また本発明の波長分散を調整する化合物を併用した試料は、比較試料に対していずれの試料も|Re(400)−Re(700)|、|Rth(400)−Rth(700)|ともに十分な低下が見られ、波長分散がゼロに近づいている。
(実施例2)
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)とから合成された下記式(6)で表される質量平均分子量(Mw)70,000のポリイミドを、シクロヘキサノンに溶解して、15質量%のポリイミド溶液を調製した。なお、ポリイミドの調製等は、文献(F. Li et al. Polymer40 (1999) 4571−4583)の方法を参照した。一方、実施例1の、厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム1を、固定端横延伸によって175℃で1.3倍の横延伸して、厚み75μmの延伸TACフィルムを作製した。そして、この延伸TACフィルム上にポリイミド溶液を塗工し、これを100℃で10分間乾燥した。その結果、完全透明で平滑な、厚み75μm、Δn(b)約0.0006の延伸TACフィルム(透明フィルム(b))の上に、厚み6μm、Δn(a)約0.04のポリイミドフィルム(複屈折層(a))が積層された光学フィルムが得られた。この光学フィルムは、湿度依存性、波長分散性に優れ、光学性能の面内ばらつきが小さいものであった。また、nx>ny>nzの光学特性を持つ複屈折層を有する光学フィルムであった。
また、フィルム1のかわりに実施例1のフィルム2乃至14を用いた場合についても同様であった。
Figure 2006195350
(実施例3)
下記式(18)で表されるポリエーテルケトン(Mw:500,000)をメチルイソブチルケトンに溶解し、20質量%のワニスを調製した。このワニスを、実施例2と同様の延伸TACフィルム1上に塗工し、これを100℃で10分間乾燥した。その結果、完全透明で平滑な、厚み75μm、Δn(b)約0.0006の延伸TACフィルム(透明フィルム(b))の上に、厚み10μm、Δn(a)約0.02のポリエーテルケトンフィルム(複屈折層(a))が積層された光学フィルムが得られた。この光学フィルムは、湿度依存性、波長分散性に優れ、光学性能の面内ばらつきが小さいものであった。また、nx>ny>nzの光学特性を持つ複屈折層を有する光学フィルムであった。また、フィルム1のかわりに実施例1のフィルム2乃至14を用いた場合についても同様であった。
式(18)
Figure 2006195350
(実施例4)
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物と、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルとから合成されたポリイミド(Mw:30,000)を、シクロペンタノンに溶解して、20質量%ポリイミド溶液を調製した。この溶液を、実施例1の厚み80μmの未延伸TACフィルム1上に塗布し、130℃で5分乾燥した後、150℃で縦一軸延伸により10%の延伸を行った。その結果、完全透明で平滑な、厚み80μm、Δn(b)約0.0006のTACフィルム(透明フィルム(b))の上に、厚み5μm、Δn(a)約0.025のポリイミドフィルム(複屈折層(a))が積層された光学フィルムが得られた。この光学フィルムは、湿度依存性、波長分散性に優れ、光学性能の面内ばらつきが小さいものであった。また、nx>ny>nzの光学特性を持つ複屈折層を有する光学フィルムであった。また、フィルム1のかわりに実施例1のフィルム2乃至14を用いた場合についても同様であった。
(実施例5)
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルとから合成されたポリイミド(Mw:100,000)をシクロヘキサノンに溶解し、15質量%ポリイミド溶液を調製した。この溶液を、実施例1の厚み80μmの未延伸TACフィルム1上に塗布し、130℃で5分乾燥した後、150℃で縦一軸延伸により10%の延伸を行った。その結果、完全透明で平滑な、厚み80μm、Δn(b)約0.0006のTACフィルム(透明フィルム(b))の上に、厚み6μm、Δn(a)約0.04のポリイミドフィルム(複屈折層(a))が積層された光学フィルムが得られた。この光学フィルムは、湿度依存性、波長分散性に優れ、光学性能の面内ばらつきが小さいものであった。また、nx>ny>nzの光学特性を持つ複屈折層を有する光学フィルムであった。また、フィルム1のかわりに実施例1のフィルム2乃至14を用いた場合についても同様であった。
(実施例6)
実施例1と同様のポリイミドを、メチルイソブチルケトンに溶解して、25質量%のポリイミド溶液を調製した。この溶液を、実施例1と同様の実施例1の延伸TACフィルム1上に塗工し、160℃で5分間乾燥を行った。その結果、完全透明で平滑な、厚み75μm、Δn(b)約0.0006の延伸TACフィルム(透明フィルム(b))の上に、厚み6μm、Δn(a)約0.04のポリイミドフィルム(複屈折層(a))が積層された光学フィルムが得られた。この光学フィルムは、湿度依存性、波長分散性に優れ、光学性能の面内ばらつきが小さいものであった。また、nx>ny>nzの光学特性を持つ複屈折層を有する光学フィルムであった。また、フィルム1のかわりに実施例1のフィルム2乃至14を用いた場合についても同様であった。
(実施例7)
実施例1と同様のポリイミド溶液を、実施例1の厚み80μmの未延伸TACフィルム1上に塗工し、100℃で10分間乾燥した。その結果、完全透明で平滑な、厚み80μm、Δn(b)約0.0006のTACフィルム(透明フィルム(b))の上に、厚み4μm、Δn(a)約0.025のポリイミドフィルム(複屈折層(a))が積層された光学フィルムが得られた。このフィルムは、湿度依存性、波長分散性に優れ、光学性能の面内ばらつきが小さいものであった。また、nx≒ny>nzの光学特性を持つ複屈折層を有する光学フィルムであった。また、フイルム1のかわりに実施例1のフィルム2乃至14を用いた場合についても同様であった。
(比較例1)
TACフィルムを実施例1で作製した比較試料フィルム15乃至18にした以外は実施例2と同様にして、光学フィルムを作製した。
(比較例2)
TACフィルムを実施例1で作製した比較試料フィルム15乃至18にした以外は実施例3と同様にして、光学フィルムを作製した。
(比較例3)
TACフィルムを実施例1で作製した比較試料フィルム15乃至18にした以外は実施例4と同様にして、光学フィルムを作製した。
(比較例4)
TACフィルムを実施例1で作製した比較試料フィルム15乃至18にした以外は実施例5と同様にして、光学フィルムを作製した。
(比較例5)
TACフィルムを実施例1で作製した比較試料フィルム15乃至18にした以外は実施例6と同様にして、光学フィルムを作製した。
(比較例6)
TACフィルムを実施例1で作製した比較試料フィルム15乃至18にした以外は実施例7と同様にして、光学フィルムを作製した。
表2に、作製した光学フィルムの性能を示す。(代表的な例として、フィルム1とフィルム15を使用した場合についての値を示す)
Figure 2006195350
表3に、作製した複屈折層(a)に関しての評価結果を示す。
Figure 2006195350
(表示特性の評価)
そして、実施例1〜7および比較例1〜6で得られた光学フィルムを、市販の偏光板(日東電工(株)製、商品名「HEG1425DU」)と、アクリル系粘着剤を介して積層し、光学補償層一体型の積層偏光板を作製した。なお、偏光板と、光学フィルムの透明フィルム(b)基材とが面するように積層した。さらに、この積層偏光板を液晶セルのバックライト側に、偏光板が外側になるように接着して液晶表示装置を作製した。
そして、これらの液晶表示装置の表示特性を評価した。その結果、各実施例の光学フィルムを用いた場合、斜めから見た場合でも正面から見た場合と色味の差が小さいこと、また、画面内にムラが少ないことが示された。
(斜めから見た色味変化)
ほとんど正面と色味が同じ :○
視認できるほど色味が異なる :△
色味が異なり鑑賞しにくい :×
(画面内のムラ)
3cm四方以下の薄いムラが1点以下ある :○
3cm四方以下の薄いムラが1点以上3点以下ある :△
3cm四方以上のムラが3点以上ある :×
結果より、波長分散性に優れた実施例のフィルムを使用した液晶表示装置は斜めから見ても色味変化しないことが確認できた。また、Re、Rthの光学ムラの小さい実施例のフィルムを使用した液晶表示装置は、画面内のムラも少ないことが確認できた。さらに、実施例では、正面と斜視の広い視野角範囲において、コントラストと表示の均質性に優れるだけでなく、さらに虹ムラの発生も抑制された。各実施例の中でも、特に、条件(II)が100以下である実施例1〜実施例6の光学フィルムの場合は、虹ムラの発生が十分に回避され、極めて優れた表示品位を示した。
また、作製した液晶表示装置を、25℃10%RH、25℃80%RHの雰囲気下に24時間放置後、表示性能を確認し、湿度によって表示性能に違いがあるかないかを確認した。
(表示性能の湿度依存性)
湿度による表示性能に差が感じられない :○
表示性能に差があるが、気にならない :△
表示性能に大きく差があり、非常に気になる :×
湿度による、Re、Rthの性能に差が小さい実施例のフィルムを用いた液晶表示装置は、25℃10%RHの雰囲気下と25℃80%RHの雰囲気下での表示性能に差が小さく、比較例のフィルムを使用した場合より優れていることが確認できた。
また、作製した液晶表示装置を、60℃90%RHの雰囲気下に120時間放置後、25℃60%RH雰囲気下に24時間静置した後、表示性能を確認し、湿熱サーモによって表示性能が変質しないか確認した。
(湿熱サーモによる表示性能の変化)
湿熱サーモしても表示ムラ(光漏れ・色ムラ等)がない :○
画面の一部に3cm四方以下の光漏れ・色ムラがある :△
画面全体に3cm四方以上の光漏れ・色ムラがある :×
湿度による、Re、Rthの性能に差が小さい実施例のフィルムを用いた液晶表示装置は、湿熱サーモしても表示ムラがなく、比較例のフィルムを使用した場合より優れていることが確認できた。
これらの結果を表4に示す。代表例として、実施例2乃至7はフィルム1を、比較例1乃至6はフィルム15を使用した場合の結果を示す。フィルム2乃至14を使用した場合も、フィルム1を使用した場合同様、表示性能に優れた液晶表示装置を作製できた。また、フィルム16乃至18を使用した場合は、フィルム15同様、実施例に比較すると表示性能に劣るものであったが、波長分散性、湿度依存性に劣る、フィルム15を使用した場合が、斜めからの色味変化、表示性能の湿度依存性、湿熱サーモ後の表示性能ともに実施例に劣るものであった。
Figure 2006195350
以上のように、本発明のフィルムを用いて作製した光学フィルム、偏光板を使用すれば、斜めからの色味変化が少なく、画面上のムラが少なく、さらには表示性能の湿度依存性にも優れ、また、虹ムラの発生も抑制された表示品位に優れる薄型の液晶表示装置が実現できる。
本発明における光軸方向を示す斜視図である。 本発明の積層偏光板の一例の断面図である。 本発明の積層偏光板のその他の一例の断面図である。 本発明の液晶パネルの一例を示す断面図である。
符号の説明
1 光学フィルム
2 偏光子
3 保護層
10複屈折率層(a)
20,30積層偏光板
21液晶セル
40液晶パネル

Claims (22)

  1. 透明フィルム(b)の上に複屈折層(a)が積層された光学フィルムであって、かつ複屈折層(a)は下記数式(I)、(II)の条件を満たし、かつ25℃10%RH環境下で測定したReレターデーション値及びRthレターデーション値と25℃80%RH環境下で測定したReレターデーション値及びRthレターデーション値の差異が、それぞれ20nm以内、50nm以内であることを特徴とする光学フィルム。
    数式(I):1<(nx−nz)/(nx−ny)
    数式(II):0.0005≦Δn(a)≦0.5
    (数式(II)において、Δn(a)は、下記数式で表される複屈折層(a)の複屈折率であり、数式(I)および下記数式において、nx、nyおよびnzは、それぞれ複屈折層(a)におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示す。ここで、X軸は複屈折層(a)の面内において最大の屈折率を示す軸方向であり、Y軸は前記面内において、X軸に対して垂直な軸方向であり、Z軸はX軸およびY軸に垂直な厚み方向を示す。
    Δn(a)=[(nx+ny)/2]−nz)
  2. Re(λ)およびRth(λ)が下記数式(I')をみたすことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
    数式(I'):|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
    (式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
  3. Re及びRthの面内ばらつきが下記数式(III)及び(IV)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルム。
    (III):|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3
    (IV) :|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
    (式中、Re(MAX)、Rth(MAX)は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。)
  4. 積層体を構成する透明フィルム(b)のRe(λ)及びRth(λ)が、下記数式(V)及び(VI)を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学フィルム。
    数式(V) :0≦Re(630)≦10、かつ|Rth(630)|≦25
    数式(VI) :|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ|Rth(400)−Rth(700)|≦35
    (式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
  5. セルロースアシレートフィルムが、フィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記数式(VII)及び(VIII)をみたす範囲で少なくとも一種含有することを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
    数式(VII):(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
    数式(VIII) :0.01≦A≦30
    (ここで、Rth(A)はRthを低下させる化合物をA%含有したフィルムのRth(nm)を表し、Rth(0)はRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)を表す。なお、Aはフィルム原料ポリマーの質量を100としたときの化合物の質量(%)である。)
  6. セルロースアシレートフィルムが、アシル置換度が2.85〜3.00のセルロースアシレートに、Re(λ)およびRth(λ)を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
  7. セルロースアシレートフィルムが、フィルムの|Re(400)−Re(700)|および|Rth(400)−Rth(700)|を低下させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート固形分に対して0.01〜30質量%含むことを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
  8. セルロースアシレートフィルムが、フィルムの膜厚が10〜120μmであることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
  9. 透明フィルム(b)上に、直接、複屈折層(a)が積層されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光学フィルム。
  10. 複屈折層(a)を形成する材料が、非液晶性材料であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の光学フィルム。
  11. 非液晶性材料が、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドからなる群から選択される少なくとも一種のポリマー材料であることを特徴とする請求項11に記載の光学フィルム。
  12. 収縮性を有する透明フィルム(b)上に、直接、複屈折層(a)の形成材料を塗工して塗工膜を形成し、透明フィルム(b)の収縮に伴い前記塗工膜を収縮させることにより得られることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の光学フィルム。
  13. 加熱により透明フィルム(b)を収縮させることを特徴とする請求項12に記載の光学フィルム。
  14. 透明フィルム(b)上に、直接、複屈折層(a)の形成材料を塗工して塗工膜を形成し、透明フィルム(b)と塗工膜とを共に延伸することによって得られることを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の光学フィルム。
  15. さらに、接着剤層および粘着剤層の少なくとも一方を含む請求項9乃至15のいずれかに記載の光学フィルム。
  16. 最外層に、接着剤層および粘着剤層の少なくとも一方が積層された請求項9乃至15のいずれかに記載の光学フィルム。
  17. 請求項1乃至8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム、又は請求項9乃至16のいずれかに記載の光学フィルムを少なくとも1枚、偏光子の保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
  18. 液晶セルおよび光学部材を含み、液晶セルの少なくとも一方の表面に光学部材が配置された液晶パネルであって、光学部材が、請求項1乃至16のいずれかに記載の光学フィルムまたは請求項17に記載の偏光板であることを特徴とする液晶パネル。
  19. 液晶パネルを含む液晶表示装置であって、液晶パネルが請求項18記載の液晶パネルであることを特徴とする液晶表示装置。
  20. 請求項1〜16に記載の光学フィルム及び請求項17に記載の偏光板、のいずれかを有することを特徴とする液晶表示装置。
  21. 請求項1〜16のいずれかに記載の光学フィルム及び請求項17に記載の偏光板、のいずれかを有することを特徴とするVA液晶表示装置。
  22. 液晶セルの上下両側に偏光板を有する請求項21に記載のVA液晶表示装置において、少なくとも片側の偏光板のセル側に請求項1〜16のいずれかに記載の光学フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
JP2005008962A 2005-01-17 2005-01-17 光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Expired - Fee Related JP4551775B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005008962A JP4551775B2 (ja) 2005-01-17 2005-01-17 光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005008962A JP4551775B2 (ja) 2005-01-17 2005-01-17 光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006195350A true JP2006195350A (ja) 2006-07-27
JP4551775B2 JP4551775B2 (ja) 2010-09-29

Family

ID=36801465

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005008962A Expired - Fee Related JP4551775B2 (ja) 2005-01-17 2005-01-17 光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4551775B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008242172A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Fujifilm Corp 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2011227429A (ja) * 2009-06-19 2011-11-10 Nitto Denko Corp 光学フィルムの製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
US9581747B2 (en) 2009-06-19 2017-02-28 Nitto Denko Corporation Method for producing optical film, optical film, laminated polarizing plate, and image display

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004315605A (ja) * 2003-04-14 2004-11-11 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルム、その製造方法、偏光板保護膜、液晶表示装置、及びハロゲン化銀写真感光材料
JP2004333702A (ja) * 2003-05-02 2004-11-25 Nitto Denko Corp 光学フィルム、その製造方法、およびそれを用いた偏光板

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004315605A (ja) * 2003-04-14 2004-11-11 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルム、その製造方法、偏光板保護膜、液晶表示装置、及びハロゲン化銀写真感光材料
JP2004333702A (ja) * 2003-05-02 2004-11-25 Nitto Denko Corp 光学フィルム、その製造方法、およびそれを用いた偏光板

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008242172A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Fujifilm Corp 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2011227429A (ja) * 2009-06-19 2011-11-10 Nitto Denko Corp 光学フィルムの製造方法、光学フィルムおよび画像表示装置
US8900656B2 (en) 2009-06-19 2014-12-02 Nitto Denko Corporation Method for producing optical film, optical film, and image display
US9581747B2 (en) 2009-06-19 2017-02-28 Nitto Denko Corporation Method for producing optical film, optical film, laminated polarizing plate, and image display

Also Published As

Publication number Publication date
JP4551775B2 (ja) 2010-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5919347B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、液晶表示装置、及び光学フィルムの製造方法
JP4740604B2 (ja) 光学補償フィルム、その製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP4055861B2 (ja) 透明フイルムおよびそれを用いた液晶表示装置
JP4689286B2 (ja) 液晶表示装置
JP4404735B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、それを用いた光学補償フィルム、偏光板
JP2006301570A (ja) 透明フィルム、透明フィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP4491353B2 (ja) 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2006293255A (ja) 光学フィルム、光学補償フィルム、偏光板、液晶表示装置、および自発光型表示装置
JP2006291186A (ja) セルロースアシレートフィルム及びその製造方法、光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2006285169A (ja) 光学補償偏光板、画像表示装置、及び液晶表示装置
JP4142691B2 (ja) 液晶表示装置
JP2005338815A (ja) 偏光板一体型光学補償フィルム、その製造方法、及び液晶表示装置
JP4619108B2 (ja) 液晶表示装置
JP2006206826A (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板、および液晶表示装置
JP4551775B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP4694848B2 (ja) 液晶表示装置
JP2006265288A (ja) 透明フィルム、透明フィルムの製造方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2006220971A (ja) 光学補償シート、偏光板およびこれを用いた液晶表示装置
JP3976328B2 (ja) Vaモード液晶表示装置用光学フィルムの製造方法
JP4551773B2 (ja) 光学補償シート、偏光板、及び液晶表示装置
JP2006194923A (ja) ベンド配向モードの液晶表示装置
JP4737993B2 (ja) ベンド配向モードの液晶表示装置
JP2006317922A (ja) セルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、これらの製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP5587391B2 (ja) 液晶表示装置
JP2006195205A (ja) 液晶表示装置及び偏光板

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061124

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070621

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071108

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071115

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100406

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100604

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100622

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4551775

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130716

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees