JP2006194810A - 磁歪式力センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の磁歪式力センサは、炭素を0.15%以上含み、加えられた力やトルクに対応して透磁率が変化する鉄合金製の起歪体11と、この起歪体の透磁率の変化を検出するために加える磁界印加手段と、透磁率の変化を検出する検出手段とからなり、磁界印加手段により起歪体に磁界が作用する表面部分の炭素濃度が0.05〜0.12%に低減された脱炭部12を有するものである。
【選択図】 図1
Description
起歪体としてはモータの回転軸や回転軸に連結した減速機が対象となる。磁性体回転軸の材質にマルエージング鋼が使用されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、減速機については鉄合金製減速機に磁性箔を接着してその磁性箔の透磁率の変化を検出しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
張力センサにおいては非磁性のステンレスシャフトにスパッタ法で磁性膜を形成した方式が見られる。
一方、波動歯車装置(減速機)に磁性箔を接着して使用する方式ではトルクの繰り返し印加により、また、過負荷のトルクが印加された場合に接着部が剥離するという信頼性の課題を生じた。非磁性シャフトに磁性膜を形成した張力センサにおいても同様に接着部の信頼性が課題となる。
請求項1に記載の発明は、炭素を0.15%以上含み、加えられた力やトルクに対応して透磁率が変化する鉄合金製の起歪体と、この起歪体の透磁率の変化を検出するために加える磁界印加手段と、透磁率の変化を検出する検出手段とからなる磁歪式力センサにおいて、 前記起歪体の少なくとも磁界が作用する部分は、表面部の炭素濃度が0.05〜0.12%に低減された脱炭部を有するものである。
請求項2に記載の発明は、前記表面部は、その最表面が炭素含有量0.15%以上の層を有する2層構造としたものである。
請求項3に記載の発明は、鉄合金製の起歪体を機械構造用炭素鋼もしくは合金鋼としたものである。
請求項4に記載の発明は、鉄合金製の起歪体をモータ出力軸あるいは減速機軸としたものである。
請求項2に記載の発明によると、最表面を復炭処理して炭素含有量0.15%以上とし、表面近傍内部を炭素含有量0.05〜0.12%にしたので、機械特性の確保による強度面の信頼度を向上させることができる。
請求項3に記載の発明によると、鉄合金製の起歪体を機械構造用炭素鋼もしくは合金鋼としたので、より強い力領域での力検出が可能となる。
請求項4に記載の発明によると、モータ出力軸や減速機軸に磁歪式トルクセンサを適用でき、ロボットや工作機などの実機モータへの組込みを可能とすることができる。
回転軸11は機械構造用炭素鋼S45C、ニッケルクロムモリブデン鋼SNCM625、ニッケルクロム鋼SNC836を用いている。脱炭部12は、機械加工により凹部122と凸部121を形成した後、一般に知られた脱炭処理方法を使用して作製した。脱炭処理は、SCM445を空気とRXガスとを混合しカーボンポテンシャルを低くして脱炭反応領域にした後、850℃で30分加熱した。脱炭深さは0.01mmである。他の材料も0.05〜0.01mmの範囲とした。
Bタイプの磁歪式トルクセンサを図2に示す。図2は、脱炭部22をシェブロンパターンとしたもので、21は回転軸、22は脱炭部、23は検出部のコイルである。脱炭部22は、市販の脱炭防止剤を使用してシェブロンパターン部だけを脱炭処理し、差動式構造をとっているものである。1つのパターンは幅1mm、長さ30mmである。
このようにして作製したトルクセンサのトルク出力特性を測定した。コイル13,14に流す電流の周波数を20kHz、印加最大トルクを50N・mとした。回転軸11,21への磁界の侵入深さはいずれも0.01mm以下である。
従来例と比較した結果を表1に示す。
この磁気特性は向上する理由は、透磁率は小さくなり歪に対する透磁率の変化が大きくなるためである。低消費電力で高感度高精度を有する磁歪式力センサとして使用するためには炭素含有量は0.12%以下が望ましい。一方、炭素含有量を低下させると強度の低下を引き起こす。従って、高強度が必要とされる鉄合金では0.15%以上の炭素を含む合金が使用される。ところで機械構造材における破壊の大半は最表面で発生するので最表面の炭素濃度だけで考えると最低でも0.05%以上が望ましい。
軸31はクロムモリブデン鋼SCM445からなり、その表面を0.01mmの深さまで脱炭した後、復炭を0.005mm行った。脱炭部32の拡大断面を図4に示す。復炭部34の炭素含有量は平均で0.45%、脱炭部32は0.05%である。脱炭や復炭法は通常取られている方法で行った。空気とRXガスの割合を変えてカーボンポテンシャルを調整すれば脱炭も復炭も行える。脱炭処理の深さは0.1mm以下が強度上のぞましい。
コイル34に流す電流の周波数を10kHzとして最大2000kgfの張力をかけて出力特性を調べた。マルエージング鋼を使用した場合と比較して感度で2倍、精度は3倍向上した。また、消費電力は半減した。
外歯歯車42は波動発生器43によって楕円形に撓められて、その楕円形状の長軸方向の両端部分にある外歯が内歯歯車41の内周面に形成した内歯にかみあっている。波動発生器がモータ回転軸に連結されて回転すると両歯車のかみ合い位置が円周方向に移動する。内歯と外歯の歯数は2N(Nは正の整数)だけ差があるのでこの歯数差に応じた相対回転が両歯車の間に発生する。一般的には内歯歯車41の側が固定されるので外歯歯車42の側から両歯車の歯数差に応じて大幅に減速された回転が出力される。
ダイヤフラム423は、ニッケルクロムモリブデン鋼SNCM447から構成されており、その形状を図7に示す。図において、425は脱炭部である。脱炭部425の炭素含有量は0.06%である。脱炭部425の近傍に励磁・検出用コイル426を配置して周波数30kHzの電流を流した状態で、定格30N・mのトルクを繰返し印加してトルクセンサ特性の変化を調べた。従来例である磁性箔を接着した方式に比べて2倍以上の繰返し回数でも特性の劣化は見られなかった。従来例が特性の低下を起こしたのは接着剤の剥離が原因であった。
11 回転軸
12 脱炭部
121 凹部
122 凸部
13 コイル
2 磁歪式トルクセンサ(Bタイプ)
21 回転軸
22 脱炭部(シェブロンパターン部)
23 コイル
3 張力センサ
31 軸
32 脱炭部
33 復炭部
34 コイル
4 波動歯車装置
41 内歯歯車
42 外歯歯車
421 胴部
422 円筒状歯部
423 ダイヤフラム
424 ボス
425 脱炭部
426 コイル
43 波動発生器
Claims (4)
- 炭素を0.15%以上含み、加えられた力やトルクに対応して透磁率が変化する鉄合金製の起歪体と、この起歪体の透磁率の変化を検出するために加える磁界印加手段と、透磁率の変化を検出する検出手段とからなる磁歪式力センサにおいて、
前記起歪体の少なくとも磁界が作用する部分は、表面部の炭素濃度が0.05〜0.12%に低減された脱炭部を有することを特徴とする磁歪式力センサ。 - 前記表面部は、その最表面が炭素含有量0.15%以上の層を有する2層構造であることを特徴とする請求項1記載の磁歪式力センサ。
- 前記起歪体が機械構造用炭素鋼もしくは合金鋼であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁歪式力センサ。
- 前記起歪体がモータ出力軸あるいは減速機軸であることを特徴とする請求項1記載の磁歪式力センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005008662A JP2006194810A (ja) | 2005-01-17 | 2005-01-17 | 磁歪式力センサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005008662A JP2006194810A (ja) | 2005-01-17 | 2005-01-17 | 磁歪式力センサ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2006194810A true JP2006194810A (ja) | 2006-07-27 |
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ID=36800999
Family Applications (1)
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JP2005008662A Pending JP2006194810A (ja) | 2005-01-17 | 2005-01-17 | 磁歪式力センサ |
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JP (1) | JP2006194810A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016008827A (ja) * | 2014-06-23 | 2016-01-18 | 株式会社ロボテック | トルク検出器 |
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2005
- 2005-01-17 JP JP2005008662A patent/JP2006194810A/ja active Pending
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