JP2006193661A - 光学素子加工の研削液、光学素子の粗検索加工方法及び精研削加工方法、光学素子の心取加工方法、光学素子の洗浄方法及び光学素子 - Google Patents

光学素子加工の研削液、光学素子の粗検索加工方法及び精研削加工方法、光学素子の心取加工方法、光学素子の洗浄方法及び光学素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2006193661A
JP2006193661A JP2005008220A JP2005008220A JP2006193661A JP 2006193661 A JP2006193661 A JP 2006193661A JP 2005008220 A JP2005008220 A JP 2005008220A JP 2005008220 A JP2005008220 A JP 2005008220A JP 2006193661 A JP2006193661 A JP 2006193661A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical element
grinding
water
processing
soluble
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005008220A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideaki Ueki
英明 植木
Kenichiro Tajiri
憲一郎 田尻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2005008220A priority Critical patent/JP2006193661A/ja
Publication of JP2006193661A publication Critical patent/JP2006193661A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Grinding-Machine Dressing And Accessory Apparatuses (AREA)
  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

【課題】優れた加工性を発揮するとともに、作業環境の改善や環境への影響低減を図り、且つ、引火の危険性がない水溶性研削液とそれを使用した加工方法を提供する。
【解決手段】レンズ3等の光学素子の切削及び研削加工に供される研削液4は、上記加工に使用される研削液が、水溶性又は水性であり、その内容が脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸のうちの少なくとも1種類と、アルカノールアミンとから成るアルカノールアミン塩とアニオン系又はノニオン系の何れか1つの界面活性剤と合成潤滑剤を主成分として含有する。そして、前記主成分に、防錆剤及び消泡剤を添加する。
【選択図】図4

Description

本発明は、レンズ等の光学素子の切削及び研削加工に有効な水溶性研削液と、この研削液を用いた光学素子の加工方法に関する。
カメラやビデオ等に使用されるレンズ等の光学素子の切削加工及び研削加工で、これらに供される研削液は、従来、粗研削及び精研削加工においては水溶性研削液を、心取加工においては不水溶性研削油が使用されている。この光学素子の光学性能を決める球面又は非球面となる面部の形状を加工する第1工程の粗研削及び第2工程の精研削は、カップ型又は総型又は粒状ペレット等の形をした焼結砥石に、水溶性研削液を供給することで加工が行われる。
又、光学素子の面部を精研削又は研磨加工した後、光学素子の光軸に対し外周軸を合致させて基準面を作り、レンズ系に組上げた時の各光学素子の共軸性を得るために行う心取加工は、光学素子を該外周軸と光軸を同一軸上に合わせ保持し、その外周部を円盤状の形をした電着砥石に、加工能率や品質向上を目指した低粘度鉱物油やこれをベースとした不水溶性研削油を供給させながら真円に加工する。
しかし、上記各研削液において、先ず従来の水溶性研削液を用いた場合、不水溶性研削油に比べて加工面への濡れ性や浸透性、切粉の分散性が劣り、且つ、潤滑性も劣るために加工品質が劣る。そして、装置に対しても金属面に錆を誘発してしまう。更に、飛散した水溶性研削液が装置の駆動部や摺動部に付着すると、水分が蒸発し原液だけが堆積するが、原液の粘度が高いものが多くベタツキが強く動作不良を引き起こしてしまう。
又、不水溶性研削油を使用する場合、臭気やミスト化による作業環境の悪化や引火性が強いために火災発生の危険性が伴い管理上大きな問題となっている。
次に、心取加工の終わった加工品は洗浄工程を経て次工程に送られる。この洗浄は、加工品に付着した研削液等の油分や切粉及び汚れを除去するために有機溶剤系のものが用いられる。
しかし、これに用いられる有機溶剤系の洗浄液は、健康への害や大気汚染等の環境への影響が問題となっている。又、洗浄工程が増えたり煩雑になったりしてコスト高の懸念もある。
更に、加工に供された不水溶性研削油や切粉を含んだ廃油の廃棄処理は、それ専用の廃棄処理業者に処分管理してもらうが、環境管理の責任や処理費負担増の問題がある。
そこで、従来使用の水溶性研削液や鉱物油を主成分とした不水溶性研削油は、上記の内容から代替品が待たれている。
そんな中、従来タイプの水溶性研削液や不水溶性研削油に替えて、新たな水溶性研削液が徐々に開発されてきている。例えば特許文献1には、有機又は無機ベントナイトと水とアルカノールアミンと高級脂肪酸とを反応させて脂肪酸アミンとの均一混合物を主成分とした水溶液が提案されている。
これにより、従来タイプの水溶精研削液や不水溶性研削油に纏わる各問題を解決し、且つ、加工品質の改善に効果があるとされている。
特開平8−057847号公報
上記の従来技術によれば、レンズ等の光学素子の切削及び研削加工において、従来からある水溶性研削液は、潤滑性、濡れ性、浸透性、切粉の分離性、耐久性が劣り、金属材料等への防錆作用も無く直ぐに腐食してしまう。更には乾燥時のベタツキが強いものもあって加工品質や装置への影響が大き過ぎた。
又、このベタツキや切粉の分離性の無さが災して、砥石加工面に研削液や切粉等の異物が付着したりして目詰り現象を起し、よって切れ味低下を招き、加工レンズが割れたり求める形状精度通りの加工ができなくなったりと安定加工ができなくなる欠点がある。特に、心取加工は、光学素子の光軸と外周軸の合致させる心出し作用において、潤滑性が劣るためにベルクランプによる心出し方式での光学素子のクランプ面と保持具の保持面との間の摩擦の低減が図れず、光学素子が保持具上を滑り難くなり、心が出難くなって心精度が悪化してしまい加工ができなくなってしまう問題がある。
更に、滑りが悪いと光学素子が保持具上に均等な位置に保持されなかったり、滑らない保持具面上を強制的に滑らす力が働いたりすることで、光学素子保持面上に保持具の接触部によるキズを入れてしまう等の問題もある。
そんな上記の理由から心取加工においては、心出し精度の維持向上並びに保持具によるキズ防止を可能とする潤滑性に優れた不水溶性研削油を使用してきた。これは他に、装置の金属材料部の腐食防止や切粉の排出作用としての分離性にも優れる等、機械の保守の容易化や砥石の寿命延長にも効果があった。
しかし、この不水溶性研削油は、物油を主成分としているために引火による危険性があり、又、加工後の洗浄においては有機溶剤等を使用した重洗浄を必要とするが、この有機溶剤は環境への影響が大きく、又、洗浄装置の高度化や洗浄工程の増加や煩雑さによるコスト高を招く等多くの問題がある。更に、加工においても品質面から研削速度を従来条件の倍以上に上げて加工時間を半分以下に短縮し効率アップを図ろうとしても、加工品に大きな欠けが発生してしまい加工能率の面からも問題である。
又、前記特許文献1に開示された水溶性切削液は、加工対象が大径のシリコン単結晶等のインゴット切断を目的とした切削加工を主眼にしており、光学素子の精密加工を目的とした研削加工とは追求する加工精度が異なり使えない。特に、潤滑性を必要とする心取加工とは相反する摩擦係数低下を狙っていることが異なる。
本発明は上記の従来の水溶性研削液及び不水溶性研削油の有する問題に鑑みてなされたものであって、優れた加工性を発揮するとともに、作業環境の改善や環境への影響低減を図り、且つ、引火の危険性がない水溶性研削液とそれを使用した加工方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の光学素子加工の研削液及び加工方法は、レンズ等の光学素子の切削及び研削加工において、上記加工に使用される研削液が、水溶性又は水性であり、その内容が脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸のうちの少なくとも1種類と、アルカノールアミンとからなるアルカノールアミン塩とアニオン系又はノニオン系の何れか1つの界面活性剤と合成潤滑剤を主成分として含有することを特徴とする。
前記主成分に、防錆剤及び消泡剤を添加したことを特徴とする。
前記水溶性研削液において、配合比率全体を100重量%とした時、液を構成する各成分の割合はカルボン酸の含有量が5〜20重量%、アルカノールアミンが10〜50重量%、合成潤滑剤が1〜10重量%、界面活性剤が0.1〜1重量%、その他の防錆剤と消泡剤が各0.1〜1重量%、残りが水となっていることを特徴とする光学素子加工の研削液である。
前記水溶液は、PHが8.0〜9.5に調整されていることを特徴とする光学素子加工の研削液である。
上記アルカノールアミン塩は、カルボン酸や鉱物油等水に溶け難い成分をアミン類と反応させることで水に可溶化する作用を持たせる。アルカノールアミン塩は、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸のうちの少なくとも1種類とアルカノールアミンとから成る塩であり、各脂肪酸と各アルカノールアミンを配合して組成物とし、アミン塩を生成する。
このアミン塩は、アミン石鹸とも呼び、効果として界面活性剤としての洗浄性、濡れ性と浸透性を発揮するとともに、金属物や加工物に吸着、被覆し防錆、潤滑、腐敗防止の役目も併せ持っている。
前記記載の水溶性研削液を用いて、レンズ等の光学素子の球面又は非球面となる面部を、カップ型又は総型又は粒状ペレット等の形状をした焼結砥石により、材料を大まかな形状に荒取り研削することを特徴とする光学素子の粗研削加工方法。
前記記載の水溶性研削液を用いて、レンズ等の光学素子の球面又は非球面となる面部を、カップ型又は総型又は粒状ペレット等の形状をした焼結砥石により、粗研削加工後の工程であり、且つ、研磨加工に必要な形状精度や表面粗度に向上させるための研削をすることを特徴とする光学素子の精研削加工方法である。
前記記載の水溶性研削液を用いて、レンズ等の光学素子をこの光学素子の球面又は非球面となる面部の加工後又は加工途中に、光軸と回転中心軸を合致させて保持し、その光学素子の外周面を円盤状でその外周部にダイヤモンド砥粒を電着メッキした電着砥石を回転させながら切込、真円に研削していくことを特徴とする光学素子の心取加工方法である。
前記水溶性研削液を用いたレンズ等の光学素子の切削及び研削加工の後で、次工程に移る前に活性剤と水との簡易洗浄にて、加工した光学素子に付着した水溶性研削液等の汚れを洗い落とすことを特徴とする光学素子の洗浄方法である。
本発明の水溶性研削液及びそれを使用した加工方法は、水溶性であるために引火の危険性がなく、加工後の洗浄において汚れ等を水で洗浄することができるので環境への影響がなく、且つ、複雑な洗浄工程を必要としないのでコスト低減にもなる。
又、界面活性剤や合成潤滑剤を主成分に追加することから潤滑性、濡れ性、浸透性、切粉の分離性及び耐久性の向上が可能となり、加工の安定化が図れることから、品質や能率の向上が目指せる。
更に、装置を構成する金属材料等への腐食防止として、アミン塩による吸着又は被覆により防錆作用があり、装置自体を特別な対策を施さなくても問題なくく加工ができる等、光学素子の切削及び研削の加工に大きく貢献できる。
本発明によれば、レンズ等の光学素子を、先ず光学性能を決める球面又は非球面となる面部の形状を創成する第1工程の荒研削加工及び第2工程の精研削加工において、加工に供する研削液を、潤滑性、濡れ性、浸透性、切粉の分離性及び耐久性が劣るため、加工精度や品質の向上、
安定が望めない上に、装置を構成する金属材料等への腐食を防止する防錆作用のない従来の水溶性研削液や、光学素子の光軸と回転中心軸を合致させて外周面を研削し真円に加工する心取加工における研削液を、引火のある危険性や加工後の洗浄工程の重洗浄による液の環境への影響大やコスト高、更に加工品質や効率向上の望めない不水溶性研削油を、アルカノールアミン塩とアニオン系又はノニオン系等の界面活性剤と合成潤滑剤を主成分とする水溶性研削液に変えることで、火災等の危険性や環境への影響低減が図られ、更に加工精度や品質及び効率の向上が図られる。
更に、防錆作用により既存の従来加工装置に対して、錆止め等の特別な対策を講じなくとも問題なく加工することができる。
この水溶精研削液の主成分と比率は、配合比率全体を100重量%とすると、各成分はカルボン酸が5〜20重量%、アルカノールアミンが10〜50重量%、合成潤滑剤が1〜10重量%、アニオン系又はノニオン系の何れか1つの界面活性剤が0.1〜1重量%、防製剤が0.1〜1重量%、消泡剤が0.1〜1重量%、残りを水とする組成の液である。又、PHを8.0〜9.5のアルカリ性の液として調整する。
この水溶性研削液を用いた光学素子の切削及び研削加工において、水溶性の冷却効果、浸透性や切粉の分離性向上と相俟って従来の水溶性研削液や不水溶性研削油よりも研削能力の向上が望めて加工時間の短縮が行え、且つ、そのときの加工面に従来発生していた欠けや割れ等が低減できるように、加工能率や品質が大幅に向上が図れる。
更に、この水溶性研削液で加工することで、加工品に付着する研削液や切粉、汚れ等を洗浄除去するのに、従来の不水溶性研削油では油分の脱脂含め有機溶剤使用での重洗浄に対して、水溶性研削液では、水による洗い流しで洗浄が可能であり、後工程の洗浄工程を大幅に簡略化することができる。
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
表1に本発明の水溶性研削液の原料成分及び組成の標準的内容を示す。
表2には本実施例及び比較例の組成及び配合割合を示す。又、割合は重量%を示す。
Figure 2006193661
Figure 2006193661
この表において、実施例の水溶性研削液の構成をさし得る主成分の各構成比率は、カルボン酸が15%、アミン類が50%、合成潤滑剤が5%、ノニオン系の界面活性剤が1%、防腐剤が0.5%、消泡剤が0.1%、残りが水で28.5%となっている。
各成分の特性は、カルボン酸はそのままでは水に溶け難いためアミン類と反応させて可溶化させる。そして、このとき、このカルボン酸は脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸の少なくとも1種類とアルカノールアミンとを反応させてアルカノールアミン塩を生成させる。
そして、このアミン塩は界面活性剤と共に、洗浄性、濡れ性、浸透性を発揮し、又、金属や加工物に吸着、被覆し、防錆、潤滑、腐敗防止の役割を有する。
その他の成分として、合成潤滑剤は潤滑・浸透性、界面活性剤は濡れ・分散性,防腐剤は水の防腐作用、消泡剤は界面活性剤による発泡作用を防止する泡消しを特性として持たせる。
表2に示す実施例の性能を明確にするために表3に示す9つの評価項目について試験を行った。又、その結果についても表3に示す。
Figure 2006193661
ここで行った各試験項目について説明する。
切粉の分離性は、ビーカー等のガラス容器に試験液を予め入れておき、その後に或る一定量のガラス切粉を混ぜ沈殿するまで放置する。沈殿した後にガラス容器壁面に付着した切粉の量を目視にて観察し、それが多いほど分離性が悪いと判断する。濡れ、浸透性は、#500〜1000の目の揃った砂を試験管に一定量入れ、そこに一定量の試験液を添加したとき、液が砂全体に染み渡るまでの時間を測定し濡れ、浸透性を評価する。この評価では浸透時間が短い方が良いと判断する。
装置動作影響は、装置の加工物を保持するために前後動作するワーク保持軸を切粉を混入させた試験液を、動軸に掛け流しながら動作を繰返し連続させたとき、その軸を保持する摺動部への液の混入等によるかじり発生等による動作不良や不具合の発生の有無を確認し評価する。
摩擦係数は、摩擦測定器を使用して試験液を添付した摩擦試験片にて測定し評価し、係数の小さい方が良好と判断する。腐食評価は、金属の切削加工等で発生した切屑を一定量シャーレに取り、そこに一定量の試験液を入れ切粉を浸し、一定時間経過後試験液を排除した後切粉を室温状態で乾燥放置し、錆発生の有無や発生するまでの時間を測定し、発生無し又は時間の長い方を良しと判断する。
加工品質評価は、試験液にて後述する心取加工装置で実際に加工を行い、光学素子の心が規格内に出ているか、キズ等が入っていないか、研削面はむしれや滑り等なく削れているか、更には液により加工物への侵食や汚れ等の付着がないか等を確認しこれらが発生していなければ良しと判断する。
研削能力向上は、或る条件下の研削速度で前記心取加工を行い、加工物の品質を確認した後、研削速度を上げていったとき加工品質への影響ない状態でどこまで速く加工することが可能なのか加工テストを基に評価し加工時間の短縮が図れるのもを良しと判断する。心出し精度は、後述する心取加工の中の加工物を保持するワーク軸によるベルクランプ方式でのクランプ心出し作用にて、加工物である光学素子の光軸とそれの回転中心軸とを合致させようとした時のどのくらいズレてしまったかを光学偏心測定にて測定することで評価しズレ量が小さい方を良しと判断する。
上記評価項目による評価の結果は、表3に示すように、本実施例の水溶性研削液が、加工性や品質、装置への影響等で優れている従来使用の不水溶性研削油に近い良好な結果得られた。又、本実施例の水溶性研削液は引火点がなく火災の危険性がない。
本実施例の特徴は、水溶性研削液の比較例1及び2との大きな違いとして、潤滑・浸透のための合成潤滑剤、濡れ・分散性の為の界面活性剤が入ることにある。これが全く入っていない比較例1では、当初は光学偏心精度も含めて加工品質が良好なのが連続加工による耐久性を見てみると、加工中に出てくる切粉が次第に悪影響を及ぼし、先ず光学偏心精度を含むか高品質を悪くし始めて品質が安定しなくなる。更に、切粉が装置の隙間から動作部や摺動部に液と共に浸入し動きを悪くし、最悪は動けなうしてしまう。又、比較例2は潤滑作用を持たせるための成分が追加されているが、やはり濡れ・分散性の機能がないため、切粉が徐々に装置の主要部に付着してしまい、比較例1と同様な結果に終始してしまう。
又、本実施例の各成分の組成比率において、合成潤滑剤が10重量%を超えると滑りが発生して砥石が加工物への砥粒の食いつきが悪くなったり、目詰りを誘発したりして加工できなくなる。逆に1重量%未満では潤滑性が無くなり、光学素子の心出し作用が弱まってしまう。
それから前記カルボン酸の添加量を調整してPH値を8.0〜9.5の範囲内のあるカル性とすうことで防錆作用を更に強化させる。
次に、上記実施例の水溶性研削液を使用した光学素子の切削及び研削加工について、従来の水溶性研削液及び不水溶性研削油と比較した結果について説明する。
先ず、光学素子の光学性能を決める球面又は非球面となる面部の形状を加工する第1工程の粗研削及び第2工程の精研削には、カップ型又は総型又は粒状ペレット等何れかの形をした焼結砥石に、水溶性研削液を供給しながら加工が行われる。
その前に光学素子の荒及び精研削加工方法について述べる。
図4(a)〜(c)に示すような方式で加工が行われる。(a)のカップ型の砥石による粗及び精研削加工は、カーブジェネレータ等の研削加工装置(以下、CG加工機と称する)を用いる。カップ型の円筒状の先端形状を持ったメタル又はレジン等のボンドにダイヤモンド砥粒を混ぜて焼結したCG砥石7は、砥石スピンドル5の砥石軸8に取り付けられ、加工レンズ3はワークスピンドル1に取付けられたコレットチャック2に挟持させ、両者の位置を幾何学的に配置した姿で、CG砥石7の先端部の加工面7aを加工レンズ3の被加工面に当接させながら両者を回転駆動し、且つ、ワークスピンドル1を砥石7側に押し付ける方向に前進させて強制切込を与える。この加工においては同時にノズル4からレンズ3と砥石7の間の加工面に研削液を或る一定量で連続掛け流しを行う。上記加工形態により所望の球面或はその他の形状に創成加工する。特に、精研削加工の場合は、表面粗さと形状精度を高めていく。
又、図4(b)の総型砥石又は(c)の粒状ペレット砥石による粗及び精研削加工は、両者の加工形態が同じため、特に断りがない限り(b)の総型砥石を例に説明を行い、砥石の項のみその違いを述べる。
この加工は、加工する曲率半径を持ったメタル又はレジン等のボンドにダイヤモンド砥粒を混ぜて焼結した総型球面形状の粗又は精研削砥石16は、砥石装着工具17装着され更に図示していない加工装置の下軸に取り付けられ、該工具軸上に一体に取付けられた回転モータ18を含む回転機構により回転駆動する。上軸に取付けられたレンズホルダー14に保持された加工レンズ15は、下軸の総型砥石16の接触する加工面の摩擦により加工レンズ15は連れ回りし、更に上軸の加工レンズ15は、それを保持するレンズホルダー14を支えるカンザシ12を介して、加工に供する圧力を加工レンズ15に与える。
更に、該カンザシ12はこれを支えるカンザシ揺動アーム11に連動して、図示していない揺動機構により加工レンズ15が、加工工具である総型砥石の加工面上をカンザシ12に誘導されながら曲率半径の円弧上に沿って揺動されながら擦り合わせを行い、所望の球面或はその他の形状に創成加工する。この加工時にノズル13より加工レンズ15と総型砥石16の間の加工面に研削液を或る一定量で連続掛け流しを行う。特に、精研削加工の場合は、表面粗さと形状精度を高めていく。
又、図4(c)の粒状ペレット砥石の工具は、前記(b)の総型砥石の加工部のみを或る小さな直径の円筒状で同内容の焼結をしたペレット砥石を、加工する曲率半径からペレット砥石の厚味分を増減した曲率半径を持った台がねに複数固接着して、加工する曲率半径に成形して前記総型砥石と同等の加工工具とする。加工方法は前記(b)の総型砥石と同様である。
上記の光学素子の粗及び精研削加工で、本実施例の水溶性研削液と従来使用の水溶性研削液とで、加工精度、
品質、 研削速度について比較を行った結果、本実施例の水溶性研削液の方が、従来の水溶性研削液より加工精度や品質において有効であることが確認できた。特に、この工程で問題とされる加工面部の加工後の表面粗度を、次工程での取代増大や削り残しによる不良を減らすために、少しでも細かくすることが必要になってくる。
そのような表面粗度をRZDIN(平均表面粗度)で比較をしてみると、粗研削加工では、従来品の7〜10μmに対して本実施例は5〜7μmとなり、又、精研削加工では、従来品の0.5〜0.8μmに対して本実施例は0.3〜0.4μmとなり、何れの加工においても細かくなっていた。
このことは、従来の水溶性研削液に比べて加工面への濡れ性や浸透性及び潤滑性の機能が良くなったことにより、砥石の目詰りを防ぎ、適度な砥粒の新陳代謝を促すことで研削能力を向上させることができるようになったと予測される。
又、加工装置への影響としても、鋳物を含む金属材料を多用している一般機に対して、本実施例の水溶性研削液がアミン塩を成分にあることで、その機能として吸着又は被覆による保護膜作用が期待できるため、腐食等を引き起こさない防錆作用を持っている。よって、装置に錆止め等の特別対策を施さなくてもそのまま使用ができる。
次に、上記実施例の水溶性研削液を使用した光学素子の心取加工にて、従来の不水溶性件研削油と比較して研削力向上による加工時間の短縮が図れることについて説明する。
その前に光学素子の心取加工方法について述べる。
図5に示すように、心取加工装置により心取加工が行われる。加工する光学素子であるレンズR0を、加工のために保持するクランプ軸111及び121の両先端に取り付けたクランプホルダー101,102により挟持される。これは、先ずレンズR0を固定側クランプ軸のホルダー101に真空圧等で吸着仮保持し、その後、可動側クランプ軸のホルダー102が固定軸側へ移動してきてレンズR0を挟む。その後、仮保持のための吸着が切れて、定圧のクランプ圧でレンズを挟むことで両ホルダーの中でフリーとなったレンズR0は、レンズR0がずれ分をクランプ軸の挟持力とホルダーとレンズ間の摩擦力との兼ね合いで動き、安定した位置でレンズR0を挟持する。
更に、それだけではレンズがずれ切らない場合、クランプ軸がその回転中心軸を中心に高速回転させて、レンズを強制的に心出しさせるといったベルクランプ方式である。因に、心出しとは、レンズの光軸と回転中心軸とをメカ的作用で合致させることである。そして、心出し動作が完了したら、加工に絶え得る挟持力にクランプ圧力を高圧に切り替え、レンズR0をクランプ軸の回転中心軸上でゆっくりと回転させながら。円盤状で外周面にダイヤモンド砥粒を電着メッキした電着砥石である1201をその回転中心軸に沿って高速に回転させながら、レンズR0の外周面に当接させ切り込んでいくための矢印1251の方向にある設定して切込速度で切り込み、所定の外径まで切り込んだら砥石1201は出発位置へ戻って加工終了となり、レンズR0を心を揃えた姿で真円に研削する。この研削工程時図示していない研削液噴射装置にて、レンズR0と砥石加工面とが当接している間に或る一定量で掛け流しをする。
上記の光学素子の心取加工で、本実施例の水溶性研削液と従来使用の不水溶性研削油とで、研削速度向上による加工時間短縮テストを行った結果、表4に示すように水溶性研削液の方が、不水溶性研削油より研削速度を速めて加工時間短縮を図ることが可能であることが確認できた。
Figure 2006193661
この表4の内容を説明する。
先ず、電着砥石がレンズ外径を切込ながら研削していくときの砥石の研削抵抗を測定したところ、不水溶精研削油の方が水溶精研削液より研削抵抗が高いことが明らかになった。最初の切込速度での加工時間をAとし、切込速度を倍に上げた時の加工時間をA/2とし、この2つの加工条件で研削抵抗を比較したところ、最初の加工時間Aの段階で不水溶性研削油は脂溶性研削液より2割以上高く、更に加工時間半分のA/2の条件にしたときの水溶性研削液の研削抵抗値と倍の加工時間であるAの時の不水溶性研削油のそれとがほぼ同等であった。そして、加工時間A/2のときの不水溶性研削油の研削抵抗は、加工時間Aの時の水溶精研削液のそれの実に倍の値を示していた。
これらの条件時の加工品質との相関の結果を同じ表4に示したが、研削抵抗が大きくなると特に加工品の光学素子欠けを大きくいれてしまい、且つ、加工面の表面粗度も粗くしてしまうことから砥石の切れ味を変化させてしまうことが分かった。
このことから、本実施例の水溶精研削液は従来使用の不水溶性研削油と同等の加工品質が得られるばかりでなく、加工能率向上としての研削速度向上による加工時間短縮においては、不水溶精研削液より優れた能力があることを示している。
ここで、欠けについて図1を基にに説明を行う。図1のように欠けとは、加工した光学素子の一部にそれを構成する材料が割れて脱落し、凹みやひびが入っている状態である。
これは、砥石の切れ味が影響していると考えられ切削能力が切込速度に追い付かなくなるとこのような現象が起きてしまう。
次に、上記実施例の水溶精研削液で加工した光学素子の加工品を次工程の加工に入る前に行う洗浄について図2及び図3を用いて説明する。
心取加工した加工品には、研削液や切粉、その他汚れ等が付着しているため、それらを洗浄除去する必要がある。その洗浄工程の流れを図2に示す。これでは、先ず薄濃度の活性剤で汚れを洗い落とした後、一般水及び純水で活性剤を濯ぎ最後に乾燥させて完了する。
それに比べて、不水溶性研削油で加工した場合、上記汚れと同時に油分も一緒に洗い落とさなければならない。その洗浄工程を図3に示す。この場合先ず有機溶剤系の溶剤で脱脂を行う、そして、この溶剤を除去し、その後で活性剤で汚れの洗浄、水等での注ぎ、乾燥となり、洗浄工程が複雑且つコスト高になるばかりか、脱脂のための溶剤が環境汚染も引き起こす可能性も大である。
よって、本実施例等の水溶性研削液を使用することで、レンズ等の光学素子の心取加工、
洗浄工程の改善を可能としている。
本発明は、レンズ等の光学素子の心取加工に使用する研削液及びこれを使用した加工方法に利用される。
レンズに入った欠けの示す図である。 水溶性研削液加工での洗浄工程を示す図である。 不水溶精研削油加工での洗浄工程を示す図である。 粗研削及び精研削加工を示す概略図である。 心取加工する装置の概略図である。
符号の説明
1 ワークスピンドル
2 コレットチャック
3 レンズ
4 ノズル及び研削液
5 砥石スピンドル
6 砥石加工面
7 カップ型砥石
8 砥石軸
11,21 カンザシ揺動アーム
12,22 カンザシ
13,23 ノズル及び研削液
15,25 レンズ
16 総型砥石
26 粒状ペレット砥石
17,27 砥石装着工具
18,28 主軸モータ
R0 レンズ
101 レンズ軸側ベルホルダ
102 可動軸側ベルホルダ
103 第1回転駆動部
105 可動軸駆動部
107 第2回転駆動部
111 レンズ軸
111a 中空部
111b ニップル
112,122 軸受
121 可動軸
123 シール
130,170 モータ
131,171 モータ軸ギア
132,172 モータ軸伝達ギア
133 可動軸伝達ギア
134 回転軸
150 シリンダー
152 ロッド
153 連結棒
154 移動伝達部材
157 ボールネジ
160 駆動モータ
161 制御装置

Claims (9)

  1. レンズ等の光学素子の切削及び研削加工において、上記加工に使用される研削液が、水溶性又は水性であり、その内容が脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸のうちの少なくとも1種類と、アルカノールアミンとから成るアルカノールアミン塩とアニオン系又はノニオン系の何れか1つの界面活性剤と合成潤滑剤を主成分として含有することを特徴とする光学素子加工の研削液。
  2. 前記主成分に、防錆剤及び消泡剤を添加したことを特徴とする請求項1記載の光学素子加工の研削液。
  3. 配合比率全体を100重量%としたとき、液を構成する各成分の割合はカルボン酸の含有量が5〜20重量%、アルカノールアミンが10〜50重量%、合成潤滑剤が1〜10重量%、界面活性剤が0.1〜1重量%、その他の防錆剤と消泡剤が各0.1〜1重量%、残りが水となっていることを特徴とする請求項1又は2記載の光学素子加工の研削液。
  4. 前記水溶液は、PHが8.0〜9.5に調整されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子加工の研削液。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の水溶性研削液を用いて、レンズ等の光学素子の球面又は非球面となる面部を、カップ型又は総型又は粒状ペレット等の形状をした焼結砥石により、材料を大まかな形状に粗取り研削することを特徴とする光学素子の粗研削加工方法。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の水溶性研削液を用いて、レンズ等の光学素子の球面又は非球面となる面部を、カップ型又は総型又は粒状ペレット等の形状をした焼結砥石により、請求項5記載の粗研削加工後の工程であり、且つ、研磨加工に必要な形状精度や表面粗度に向上させるための研削することを特徴とする光学素子の精研削加工方法。
  7. 請求項1〜4の何れかに記載の水溶性研削液を用いて、レンズ等の光学素子をこの光学素子の球面又は非球面となる面部の加工後又は加工途中に、光軸と外周回転中心軸を合致させて保持し、その光学素子の外周面を円盤状でその外周部にダイヤモンド砥粒を電着メッキした電着砥石を回転させながら切込、真円に研削していくことを特徴とする光学素子の心取加工方法。
  8. 前記水溶性研削液を用いたレンズ等の光学素子の切削及び研削加工の後で、次工程に移る前に活性剤と水との簡易洗浄にて、加工した光学素子に付着した水溶性研削液等の汚れを洗い落とすことを特徴とする光学素子の洗浄方法。
  9. 請求項1〜4の何れかに記載の水溶性研削液を用いて、レンズ等の光学素子の切削且つ研削加工を行い所望の光学精度を創出したことを特徴とする光学素子。
JP2005008220A 2005-01-14 2005-01-14 光学素子加工の研削液、光学素子の粗検索加工方法及び精研削加工方法、光学素子の心取加工方法、光学素子の洗浄方法及び光学素子 Withdrawn JP2006193661A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005008220A JP2006193661A (ja) 2005-01-14 2005-01-14 光学素子加工の研削液、光学素子の粗検索加工方法及び精研削加工方法、光学素子の心取加工方法、光学素子の洗浄方法及び光学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005008220A JP2006193661A (ja) 2005-01-14 2005-01-14 光学素子加工の研削液、光学素子の粗検索加工方法及び精研削加工方法、光学素子の心取加工方法、光学素子の洗浄方法及び光学素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006193661A true JP2006193661A (ja) 2006-07-27

Family

ID=36799987

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005008220A Withdrawn JP2006193661A (ja) 2005-01-14 2005-01-14 光学素子加工の研削液、光学素子の粗検索加工方法及び精研削加工方法、光学素子の心取加工方法、光学素子の洗浄方法及び光学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006193661A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011063466A (ja) * 2009-09-16 2011-03-31 Neos Co Ltd 水溶性ガラス加工液組成物
JPWO2011105181A1 (ja) * 2010-02-26 2013-06-20 住友電気工業株式会社 マグネシウム合金板の表面加工方法およびマグネシウム合金板

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011063466A (ja) * 2009-09-16 2011-03-31 Neos Co Ltd 水溶性ガラス加工液組成物
JPWO2011105181A1 (ja) * 2010-02-26 2013-06-20 住友電気工業株式会社 マグネシウム合金板の表面加工方法およびマグネシウム合金板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8568201B2 (en) Method and apparatus for grinding axial workpieces
CN102102008A (zh) 一种水基玻璃磨削液及其使用方法
JP6025662B2 (ja) 水溶性切削研削油剤
JP2006193661A (ja) 光学素子加工の研削液、光学素子の粗検索加工方法及び精研削加工方法、光学素子の心取加工方法、光学素子の洗浄方法及び光学素子
JP2006278773A (ja) 水性砥粒分散媒組成物及び加工用水性スラリー並びにそれらを用いた加工方法
US20070238397A1 (en) Finishing process
JPH03181598A (ja) 切断加工用油剤
CN107312595B (zh) 一种钢球磨削液及其制备方法
JP4974150B2 (ja) 水溶性加工油剤
CN100497510C (zh) H62黄铜抛光液及其制备方法
CN111944431A (zh) 一种晶片研磨油及其制备方法
Li et al. Generating mechanism of surface morphology finished by abrasive jet with grinding wheel as restraint
JP2003326223A (ja) ボールベアリングの洗浄方法および各種部品の洗浄方法
JP4401855B2 (ja) バレル研磨・洗浄用組成物
JP5121304B2 (ja) 研磨方法、研磨装置
Ohnishi et al. Grinding
US6277793B1 (en) Liquid clarifier additive for machine tool coolants
JP4076635B2 (ja) 超硬合金加工用水溶性油剤
CN104152107A (zh) 陶瓷材料用研磨剂
JP2002249796A (ja) 水溶性油剤組成物
CN103909477B (zh) 机械研磨修整轮的加工方法
KR101751323B1 (ko) 웨이퍼 절삭용 환경 친화적 수용성 절삭유 및 이를 포함한 수용성 웨이퍼 절삭액 조성물
JP2004174673A (ja) レンズ加工方法
Pettigrew et al. Aqueous cleaning of manufactured parts/components: establishing the role of solution quality
JP2017075247A (ja) 洗浄剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080401