JP2006193653A - 金属部材洗浄用の洗浄剤と洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
Description
2
(B)ベンジルアルコール:10〜30重量%
(C)下記一般式(1)で示される水溶性有機溶剤:20〜60重量%
(D)pH7.1〜11.0の弱アルカリ性水溶液:10〜40重量%
本発明に係る洗浄剤において、成分(A)の水溶性アミン化合物は、付着した汚れの乳化、剥離、洗浄剤溶液の均一可溶化の目的で使用される。この水溶性アミン化合物は、C2 〜C3 のアルキル残基を含むアルキルアミンおよび/またはヒドロキシアルキルアミンである。具体的には、(a−1)前記アルキルアミンが、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノn−プロピルアミン、ジn−プロピルアミン、トリn−プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミンより選ばれた1種または複数種よりなり、(a−2)前記ヒドロキシアルキルアミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノn−プロパノールアミン、ジn−プロパノールアミン、トリn−プロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンより選ばれた1種または複数種よりなる。(a−1)および(a−2)は、それぞれ単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。
成分(B)のベンジルアルコールは、付着した汚れの剥離促進の目的で使用される。洗浄剤組成物中におけるベンジルアルコール(成分(B))の含有率は、全成分〔(A)+(B)+(C)+(D)〕の総和100重量%に対し10〜30重量%とする。成分(B)のベンジルアルコールの含有率が10重量%未満では、付着物に対する脱脂・洗浄力、および油焼き付き除去性能における効果が発揮されず、また30重量%を超えると、ベンジルアルコールの水への溶解度が低いため、洗浄剤成分の均一溶液化(液安定化)が困難となる。このような観点から、より好ましい範囲は、15〜25重量%である。
成分(C)の水溶性有機溶剤に期待する(洗浄剤成分としての)性能としては、均一溶液化(液安定化)と同時に、いわゆる非イオン活性剤的作用(乳化、剥離作用)である。ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルは親水性基として、エーテル結合と、ヒドロキシ基の両方を有し、またアルキレンオキシドの付加モル数を多くすることで分子内エーテル結合を増やし水への溶解度を高める等、均一溶液化(液安定化)のコントロールがし易い点で有効(好適)である。
本発明洗浄剤において、成分(D)のpH7.1〜11.0の弱アルカリ性水溶液は、pHが指定の範囲内であれば特に限定はされないが、好適には水溶液中で重炭酸イオン、炭酸イオン、水酸化イオン等のマイナスイオンを発生するアルカリ性化合物の水溶液である。
本発明洗浄剤の製造に際して、各成分の配合順序や混合方法は特に限定されない。例えば、成分(A)の水溶性アミン化合物と成分(D)のpH7.1〜11.0の弱アルカリ性水溶液との混合液、および成分(B)のベンジルアルコールと成分(C)の水溶性有機溶剤との混合液をそれぞれ調整し、これらを混合撹拌することにより均一混合が可能である。
[実施例1〜11]
本発明洗浄剤における成分(A)の水溶性アミン化合物、成分(B)のベンジルアルコール、成分(C)の水溶性有機溶剤、成分(D)の弱アルカリ性水溶液を、下記表1に示すように配合した実施例1〜11の洗浄剤をそれぞれ作製した。これらの場合において、成分(A)の水溶性アミン化合物としてはモノイソプロパノールアミンを、成分(C)の水溶性有機溶剤としてはジエチレングリコールモノブチルエーテルを、成分(D)の弱アルカリ性水溶液としては、炭酸水素ナトリウムを電気分解してなる重曹電解液(ミズ株式会社製)を、それぞれ使用した。
比較例1〜9として、下記表2に示すような組成を有する洗浄剤を作製した。これらの比較例の洗浄剤は、主として以下に述べるような点で、本発明(請求項1)の範囲を逸脱しているものである。
上記実施例および比較例で得られた各洗浄剤について、以下に述べるような試験を行って性能を評価した。
真空拡散ポンプ :シンクロン社製=型式 HD−700−1型
使用真空ポンプ油:ライオン拡散ポンプ油−S(合成系)
汚れ状態 :Dクラス(A<B<C<D)
約2年間の連続運転による激しい焼き付き、炭化状付着物のもの
(1)液安定性:溶液である洗浄剤自身の液安定性を評価。
・「○」・・・透明均一可溶化
・「○〜△」・・・やや濁りあり
・「△」・・・濁りあり
・「×」・・・分離(※分離したもの(×)は、以後の評価を行わない。)
(2)洗浄、脱脂力:ウエスで拭き取り後の油膜有無で評価。
・「○」・・・油膜無
・「×」・・・油膜有
(3)油焼付き物に対する除去性:ウエスで拭き取った後の除去程度で評価。
・「○」>「○〜△」>「×」(「○」が最も除去程度大)
(4)金属(アルミニウム)への腐食性:腐食の程度で評価。
・「○」・・・腐食無
・「×」・・・腐食有
表3および表4に各実施例および各比較例の評価結果をそれぞれ示す。
〈作業内容〉
真空拡散ポンプの油焼け、炭化付着物(焦げ)等の汚れ洗浄作業。
〈供試試料〉
・対象ポンプ;シンクロン社製 型式HDD−550−1型、真空チャンバー《蒸着加工》。
・使用真空ポンプ油;ライオン拡散ポンプ油−S《合成系》。
・ポンプの状態;約2年間メンテナンス無し、連続運転。
・汚れ状態;Dクラス(A<B<C<D)の激しい汚れ。
以下のようにして上記対象ポンプの洗浄作業を行った。
(1)ポンプ本体を架台から取り外し、ポンプ本体(鉄製)からジェット部位(アルミニウム製)を取り外す。
(2)ポンプ本体(円筒状部材=シリンダ)より真空ポンプ油を抜き取り、ウエスで油分を拭き取る。ここまでは現状の洗浄作業工程と同じである。
(3)上記実施例1に係る洗浄剤(以下、この実施例で「本発明洗浄剤」という)をポンプ本体上部より張り込み(18リットル)、この状態で1時間放置した。
(4)他方、分解されたジェット部位を、本発明洗浄剤を張り込んだ槽に浸漬し、同様に1時間放置した。
※(1)〜(4)までの作業(所要)時間:約20分(作業員2〜3名)
(5)1時間浸漬後、ポンプ本体とジェット部位とに分けて洗浄作業を行った(要した作業時間は約30分)。
・ポンプ本体内壁の汚れはウエス拭きで除去できた。
・ジェット部位についても浸漬引き上げ後、ウエス拭き取りで完全に除去できた。
・その他の部品は、浸漬引き上げ後、ウエス拭きして完了。
※(1)〜(5)の全工程の作業(所要)時間:2〜3時間(作業員2〜3名)。
従来から行われている方法により上記対象ボンプの洗浄作業を行った。具体的な工程は下記に示す通りであるが、これは現状の洗浄作業工程でもある。使用した洗浄剤は、フルオロカーボン、例えばHCFC141b(1, 1−ジクロロ−1−フルオロエタン)ベースの混合溶剤系、メチレンクロライドベースの混合溶剤系、イソプロピルアルコール(IPA)、アセトン等の速乾性、揮発性溶剤(現状の洗浄作業工程で使用されているもの)である。
(1)ポンプを架台から取り外し、ポンプ本体からジェット部位を取り外す(実施例12と同様)。
(2)ポンプ本体より真空ポンプ油を抜き取り、ウエスで油分を拭き取る。一方で、ジェット部位は分解して各部位に分け、それぞれの洗浄溶剤の洗浄層に浸漬する。
(3)ポンプ本体内部(シリンダー内部)の汚れを各種溶剤を振りかけながら、ナイロン研磨布(スリーM社製「スコッチライト7448R」)で擦り洗いする。場合により、電動サンダーで炭化状付着物を削り落とす。
(4)ジェット部位は同様に研磨布で磨き洗いする。
(5)それぞれの洗浄剤ですすぎ洗いし、ウエス拭きして完了。
※(1)〜(5)までの全工程の作業(所要)時間:約8時間(1日)(作業員2〜3名)。
上記のように作業員2〜3名で洗浄作業完了までに要した時間は、比較例10では約8時間(1日)であったのに対し、本発明の実施例12では2〜3時間(作業員2〜3名)であった。こうして、本発明の洗浄方法によれば、従来(現状)の洗浄方法(比較例10)に比べて大幅に作業時間を短縮できることが確認された。また、従来行われている洗浄方法である比較例10に係る方法では、上述したような揮発性の高い速乾性の有機溶剤を使用しているため作業者の健康管理上あるいは労働安全衛生上の問題があるが、本発明の実施例12では、先の実施例1の洗浄剤を使用しているため、そのような問題も解消することができる。
Claims (7)
- 成分(A)の水溶性アミン化合物は、C2 〜C3 のアルキル残基を含むアルキルアミンおよび/またはヒドロキシアルキルアミンであり、
(a−1)前記アルキルアミンが、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノn−プロピルアミン、ジn−プロピルアミン、トリn−プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミンより選ばれた1種または複数種よりなり、
(a−2)前記ヒドロキシアルキルアミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノn−プロパノ−ルアミン、ジn−プロパノ−ルアミン、トリn−プロパノ−ルアミン、モノイソプロパノ−ルアミン、ジイソプロパノ−ルアミン、トリイソプロパノ−ルアミンより選ばれた1種または複数種よりなり、
前記(a−1)および(a−2)がそれぞれ単独でまたは併せて用いられる、請求項1記載の金属部材洗浄用の洗浄剤。 - 成分(C)の水溶性有機溶剤が、C1 〜C4 の脂肪族アルコールにC2 〜C3 のアルキレンオキシドを1〜2モル付加したモノアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物もしくはジアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物より選ばれた1種または複数種よりなる、請求項1または2記載の金属部材洗浄用の洗浄剤。
- 成分(D)の弱アルカリ性水溶液は、純水100重量%またはイオン交換水100重量%に対し、炭酸水素ナトリウム、又はこれを主成分とするアルカリ性混合物(水溶液が重炭酸イオン、炭酸イオン、及び水酸化イオンを発生する化合物)を0.1〜7.0重量%含ませてなる、請求項1ないし3のいずれかに記載の金属部材洗浄用の洗浄剤。
- 成分(A)の水溶性アミン化合物がモノイソプロパノ−ルアミンであり、成分(C)の水溶性有機溶剤がジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルである、請求項1ないし4のいずれかに記載の金属部材洗浄用の洗浄剤。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載した洗浄剤を使用して、金属部材の表面に強固に付着している油焼付き物や油汚れ等の付着物を除去する金属部材洗浄用の洗浄方法であって、
請求項1ないし5のいずれかに記載した洗浄剤を収容した容器内に、前記金属部材を浸漬し、その状態で所定時間放置しておくことにより、前記金属部材表面の付着物を軟化させ、次いで当該付着物を拭き取って除去することを特徴とする金属部材洗浄用の洗浄方法。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載した洗浄剤を使用して、本体内に金属部材を備えた装置の前記金属部材の表面に強固に付着している油焼付き物や油汚れ等の付着物を除去する金属部材洗浄用の洗浄方法であって、
前記本体内に、請求項1ないし5のいずれかに記載した洗浄剤を注入して張り込み、その状態で所定時間放置しておくことにより、前記金属部材表面の付着物を軟化させ、次いで当該付着物を拭き取って除去することを特徴とする金属部材洗浄用の洗浄方法。
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2005
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