JP2006193381A - 絶縁構造体とその製造方法並びにこれを用いた電界放射型ディスプレイ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 任意の抵抗値を必要とするセラミックス、金属、ガラス、樹脂製電子・電気部材を簡易に調整できる製造方法、構造体を提供する。
【解決手段】 任意のセラミックス、金属、ガラス、樹脂製基板にペルオキソ基を持つセラミックス前駆体を含浸または塗布し、任意の温度で焼成、結晶化させて任意の体積比抵抗と表面比抵抗を得る。即ち、基板にペルオキソ基を持つセラミックス前駆体を含浸または塗布し、前記セラミックス前駆体を結晶化させて、前記基板の体積比抵抗が108〜1012Ω・cmであると共に表面比抵抗が107〜1011Ω/□である表面抵抗層を形成した絶縁構造体である。このとき、基板の空孔率と焼成温度により体積比抵抗値を調整し、表面比抵抗値は主に焼成温度により調整することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】 任意のセラミックス、金属、ガラス、樹脂製基板にペルオキソ基を持つセラミックス前駆体を含浸または塗布し、任意の温度で焼成、結晶化させて任意の体積比抵抗と表面比抵抗を得る。即ち、基板にペルオキソ基を持つセラミックス前駆体を含浸または塗布し、前記セラミックス前駆体を結晶化させて、前記基板の体積比抵抗が108〜1012Ω・cmであると共に表面比抵抗が107〜1011Ω/□である表面抵抗層を形成した絶縁構造体である。このとき、基板の空孔率と焼成温度により体積比抵抗値を調整し、表面比抵抗値は主に焼成温度により調整することができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、任意の抵抗値を必要とするセラミックス、金属、ガラス、樹脂等の電子・電気部材に関し、例えば、薄型の大画面用カラー表示装置等に用いられる電界放射型ディスプレイ用のスペーサとして好適な絶縁構造体とその製造方法並びにこれを用いた電界放射型ディスプレイ装置に関するものである。
尚、本発明は体積比抵抗及び表面比抵抗を任意の値に制御できる絶縁構造体に関し、その適用技術分野は特定できるものではない。以下は一例として最近、脚光を浴びている薄型大画面用カラー表示装置を例に説明する。
尚、本発明は体積比抵抗及び表面比抵抗を任意の値に制御できる絶縁構造体に関し、その適用技術分野は特定できるものではない。以下は一例として最近、脚光を浴びている薄型大画面用カラー表示装置を例に説明する。
従来から画像表示装置として多用されてきたCRTは、容積及び重量が大である等の欠点から、近年のマルチメディアの浸透に伴い、情報のインターフェイスとして発光ダイオード(LED)や液晶(LCD)、或いは、プラズマアドレス液晶(PALC)、電界放射型ディスプレイ装置(FED)、プラズマディスプレイ(PDP)等の大型画面で高画質、その上、軽量薄型で設置場所を選ばない等の特長を有する平面画像表示装置が開発され、これらの利用範囲が拡大しつつある。
例えば、基板上に形成された電界放出素子から放出された電子により蛍光体を発光させる構造の電界放射型ディスプレイ装置(FED)が大型画面用カラー画像表示装置として近年特に注目されている。このようなFEDは、図5に示すように、RGBの各画素に対応するように、背面板3上に電子を放出する電界放射素子5を形成し、また前面板1上には電子線により発光を行う蛍光体4を形成し、この前面板1と背面板3をスペーサ2を介して所定の間隔になるように貼り合わせることで平板状の真空容器を形成し、前記電界放射素子5に所定の電圧を印加して電子を放出させることにより、画面上の所望の位置に所望の光点を表示し画像表示を行うものである。
例えば、基板上に形成された電界放出素子から放出された電子により蛍光体を発光させる構造の電界放射型ディスプレイ装置(FED)が大型画面用カラー画像表示装置として近年特に注目されている。このようなFEDは、図5に示すように、RGBの各画素に対応するように、背面板3上に電子を放出する電界放射素子5を形成し、また前面板1上には電子線により発光を行う蛍光体4を形成し、この前面板1と背面板3をスペーサ2を介して所定の間隔になるように貼り合わせることで平板状の真空容器を形成し、前記電界放射素子5に所定の電圧を印加して電子を放出させることにより、画面上の所望の位置に所望の光点を表示し画像表示を行うものである。
このような前面板1と背面板3を一定に保持する為にスペーサ2が用いられたFEDにおいては、電界放射素子5から放出した電子が絶縁材から成るスペーサ2表面に帯電し、異常放電が発生してしまうという問題がある。そこでセラミックス、ガラス等の基材からなるスペーサの体積抵抗を調整する為に基材より抵抗値の低い、または高い異種材料を混合、添加し、体積抵抗値を調整することが行われている。例えば、特許文献1では、基材あるいは最外層を構成する成形体をガラス粉末と酸化クロムなどの金属酸化物を適宜含有する組成物でスペーサ層を形成し、その上下に剥離層を、さらにその上部に凹部成形層を形成し、その後、上部成形層に凹部を形成すると共にスペーサ部分には保護層を設け、このスペーサ保護部以外をサンドブラスト等により除去し、これらを一体焼成した後、剥離層からばらすことによりスペーサ構造体を得ると言うものである。こうして少なくとも最外層を酸化クロムを0.1重量%以上含有する金属酸化物とガラスの混合物から形成し、その体積固有抵抗値を108〜1014Ω・cmとなしたスペーサが開示されている。
また、スペーサの表面抵抗値を調整する手段としては、抵抗値を調整した異種材料を塗布、スパッタ、蒸着等により、表面に調整抵抗層を設けて表面比抵抗を調整することが行われ、もっとも簡易な方法としては、微粒子をバインダー等に分散、塗布した後、焼成によりバインダーを除去する方法がある。具体的には、帯電防止材として酸化クロムなどの金属酸化物を塗布、調整し必要とする表面抵抗値を得ることが行われている。
しかしながら、特許文献1のように基材より抵抗値の低い、または高い混合物により体積抵抗を調整する場合、一般には混合物の抵抗値、粒径、分散度などで体積比抵抗の値は大きく変化する。また、加熱が必要な材料によっては加熱時の変化も考慮しなくてはならず、任意の体積比抵抗値にすることは必ずしも容易ではない。さらに、前面板1と背面板3の電極と接する部分はより低抵抗であることが望ましいが、この場合部分的に抵抗値を制御することは困難である。
一方、表面抵抗を調整する場合には異種材料による被覆層を設けることが効果的である。しかしながら、例えばバインダーに分散させた微粒子を塗布し、表面抵抗値を調整する場合、バインダーが無くなった後、微粒子が脱落したり剥がれたりする可能性がある。また、分散が上手く行かない場合は表面抵抗値にバラツキを起こしやすくなると言う問題がある。かと言ってスパッタ法、蒸着法を用いると工程が複雑で、装置にも費用が掛かり、成膜コストが高いと言う問題がある。
また、蛍光体に到達しない電子ビームがスペーサにあたり、帯電して2次電子を放出して蛍光体を光らせてしまい、その結果画像中にムラが生じるという問題がある。このような問題に対しては、電子ビームが当たったときに電子を適度に逃がすだけの適度な導通性をスペーサに持たせることが必要である。この点から表面比抵抗及び/又は体積比抵抗を任意の値に調整できることが望ましいのである。
一方、表面抵抗を調整する場合には異種材料による被覆層を設けることが効果的である。しかしながら、例えばバインダーに分散させた微粒子を塗布し、表面抵抗値を調整する場合、バインダーが無くなった後、微粒子が脱落したり剥がれたりする可能性がある。また、分散が上手く行かない場合は表面抵抗値にバラツキを起こしやすくなると言う問題がある。かと言ってスパッタ法、蒸着法を用いると工程が複雑で、装置にも費用が掛かり、成膜コストが高いと言う問題がある。
また、蛍光体に到達しない電子ビームがスペーサにあたり、帯電して2次電子を放出して蛍光体を光らせてしまい、その結果画像中にムラが生じるという問題がある。このような問題に対しては、電子ビームが当たったときに電子を適度に逃がすだけの適度な導通性をスペーサに持たせることが必要である。この点から表面比抵抗及び/又は体積比抵抗を任意の値に調整できることが望ましいのである。
以上のことから、本発明は絶縁構造体に適度な導電性を持たせるものであって、基体の表面比抵抗及び/又は体積比抵抗の値を任意に制御した抵抗値の低い絶縁構造体、また体積比抵抗値と表面比抵抗値の差を少なく出来るようになした絶縁構造体とその製造方法を提供することを目的とする。さらに、電界放射型ディスプレイ装置のスペーサとして好適な絶縁構造体を提供するものである。
本発明は、基板にペルオキソ基を持つセラミックス前駆体を含浸または塗布し、前記セラミックス前駆体を結晶化させて、前記基板の体積比抵抗が108〜1012Ω・cmであると共に表面比抵抗が107〜1011Ω/□である表面抵抗層を形成した絶縁構造体である。
ここで、基板の体積比抵抗が108Ω・cm未満であると導通が有りすぎて電子源からの電子ビームが基板(スペーサ)に流れやすく蛍光体に当たらず良好な輝度が得られない。1012Ω・cmを超えると電子源から逸れた電子ビームが基板(スペーサ)を帯電させ、その結果、2次電子を放出し、これが蛍光体に当たり無駄な発光を伴い良好な画質が得られない。また、表面比抵抗が108Ω/□未満であると、電子源からの電子ビームは基板(スペーサ)表面を伝わる様になりビームの集約が出来ず、蛍光体の良好な発光が不可能となる。1012Ω/□を超えると部分的に帯電し2次電子を放出させるか、絶縁破壊を起こし膜の損傷につながることがある。
ここで、基板の体積比抵抗が108Ω・cm未満であると導通が有りすぎて電子源からの電子ビームが基板(スペーサ)に流れやすく蛍光体に当たらず良好な輝度が得られない。1012Ω・cmを超えると電子源から逸れた電子ビームが基板(スペーサ)を帯電させ、その結果、2次電子を放出し、これが蛍光体に当たり無駄な発光を伴い良好な画質が得られない。また、表面比抵抗が108Ω/□未満であると、電子源からの電子ビームは基板(スペーサ)表面を伝わる様になりビームの集約が出来ず、蛍光体の良好な発光が不可能となる。1012Ω/□を超えると部分的に帯電し2次電子を放出させるか、絶縁破壊を起こし膜の損傷につながることがある。
本発明の絶縁構造体において、前記ペルオキソ基を持つセラミックス前駆体がペルオキソチタン酸溶液であることが望ましい。セラミックスの前駆体であるペルオキソチタン酸溶液は加熱する事により非晶質酸化チタンから結晶性酸化チタンに変化してゆく為に混合、分散の工程が省け、均一な特性のセラミックス膜が形成できるからである。また、ペルオキソチタン酸は水溶性ゾルの為、溶剤、バインダーの必要性がなく、また過酸化物であるペルオキソ基により基板との間に強固に密着し、焼成の過程で基板との強い密着性が得られる。尚、膜厚としては0.1〜1μm程度が望ましい。
本発明の絶縁構造体において、前記基板が電子の通る連続した空孔を有し、前記空孔中に前記セラミックス前駆体を含浸させることが望ましい。このようにして体積比抵抗を調整することが出来る。このとき空孔を有する基板としてはセラミックス、ガラス、樹脂を用いることが出来る。体積比抵抗を調整するには、微細な空孔の中に含浸されたセラミックス前駆体の抵抗値が体積抵抗値の調整に大きく寄与し、一定の空孔率のセラミックスにおいては、そこに含浸するペルオキソチタン酸の焼成温度により抵抗値は調整できる。尚、空孔率が0.5%以下であると空孔が連続しなくなったり、溶液が含浸することが困難になるという問題が大きくなる。また10%以上であると焼成による結晶化時に体積収縮の影響が大きくなり、空孔内を酸化チタンで満たすことが困難となり抵抗値が安定しないという問題が生じる。
また、本発明は絶縁構造体の製造方法にも関与する。即ち、体積比抵抗が1013Ω・cm以上の基板にペルオキソ基を持つセラミックス前駆体を含浸または塗布した後、100〜1000℃で焼成することにより、前記基板の体積比抵抗を108〜1012Ω・cmとすると共に表面比抵抗が107〜1011Ω/□の表面抵抗層を形成する絶縁構造体の製造方法である。
体積比抵抗は上記したように基体の空孔率と焼成温度により制御が可能となる。他方、表面比抵抗を調整する場合には主に焼成温度に依存する。即ち、基板に塗布するペルオキソチタン酸溶液は同じでも塗布後に施す熱処理の温度により塗布した膜の結晶性が制御でき、結晶性によって膜の抵抗値が決定される。よって、任意の表面比抵抗を得ることが可能となる。
体積比抵抗は上記したように基体の空孔率と焼成温度により制御が可能となる。他方、表面比抵抗を調整する場合には主に焼成温度に依存する。即ち、基板に塗布するペルオキソチタン酸溶液は同じでも塗布後に施す熱処理の温度により塗布した膜の結晶性が制御でき、結晶性によって膜の抵抗値が決定される。よって、任意の表面比抵抗を得ることが可能となる。
本発明の絶縁構造体は、絶縁体、導電体の間の体積比抵抗値、表面比抵抗値を任意に調整でき、必要とされる抵抗値でセラミックス、金属、ガラス、樹脂などの電子・電気部材を作製できる。そして、電界放射型ディスプレイ装置のスペーサとして好適に利用できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、体積比抵抗値、表面比抵抗値を任意に調整できるペルオキソチタン酸溶液の調整方法および含浸、塗布方法について説明する。ペルオキソチタン酸溶液は、図1に示す様な構造を呈し、その特徴的な構造から多くの酸素原子、水酸基を持つ。この酸素原子、水酸基が加熱焼成の時に水と酸素となり蒸発、脱酸される。この過程を図2に示す。約100℃の乾燥、焼成時に生成する物質は、ペルオキソチタン酸から生じた酸化チタンではあるが温度が低いために結晶化しておらず、非晶質の酸化チタン(アモルファス酸化チタン)膜が生成されている。非晶質の酸化チタンは結晶構造を取っていない為、電子が投射された時には妨げる物が少ないために自由に動き回る事が出来る。すなわち電流が流れることが可能な為に抵抗値は低い膜が形成できる。
まず、体積比抵抗値、表面比抵抗値を任意に調整できるペルオキソチタン酸溶液の調整方法および含浸、塗布方法について説明する。ペルオキソチタン酸溶液は、図1に示す様な構造を呈し、その特徴的な構造から多くの酸素原子、水酸基を持つ。この酸素原子、水酸基が加熱焼成の時に水と酸素となり蒸発、脱酸される。この過程を図2に示す。約100℃の乾燥、焼成時に生成する物質は、ペルオキソチタン酸から生じた酸化チタンではあるが温度が低いために結晶化しておらず、非晶質の酸化チタン(アモルファス酸化チタン)膜が生成されている。非晶質の酸化チタンは結晶構造を取っていない為、電子が投射された時には妨げる物が少ないために自由に動き回る事が出来る。すなわち電流が流れることが可能な為に抵抗値は低い膜が形成できる。
本発明において使用されるペルオキソチタン酸溶液は、例えば次のようにして調整することができる。四塩化チタンTiCl4の50%溶液(住友シチィックス株式会社製)を蒸留水で70倍に希釈したものと、水酸化アンモニウムNH4OHの25%溶液(高杉製薬株式会社製)を蒸留水で10倍に希釈したものとを、容量比7:1に混合し、中和反応を行う。中和反応後pHを6.5〜6.8に調整し、しばらく放置した後、上澄液を捨てる。さらに残ったTi(OH)4のゲル量の約4倍の蒸留水を加え十分に攪拌し放置する。その後に硝酸銀でチェックし、上澄液中の塩素イオンが検出されなくなるまで水洗を繰り返し、最後に上澄液を捨ててゲルのみを残す。場合によっては遠心分離により脱水処理を行うことができる。この淡青味白色の水酸化チタンTi(OH)43,600mlに、35%過酸化水素水210mlを30分毎2回に分けて添加し、約5℃で一晩攪拌すると黄色透明のアモルファス型ペルオキソチタン酸溶液ゾル約2,500mlが得られる。なお、上記の工程において、発熱を抑えないとメタチタン酸等の水に不溶な物質が析出する可能性があるので、全ての工程は発熱を抑えて行うのが望ましい。
次に、濃度調整したペルオキソチタン酸溶液を含浸させ体積抵抗値を調整するための基板について説明する。
任意の体積抵抗を得るための基板は開口された空孔を持つものでなければならない。何故ならば体積抵抗を決定する任意の抵抗体が空孔の中に含浸されていたとしても、周りを目的とする抵抗値とは異なる基板材料で遮蔽されていると電子の通り道がなくなり体積抵抗値が変化しない現象となる。このような微孔質体は一般的にはセラミックス、金属粉末焼結体などの粉末冶金法により製作される事が多いが、それ以外でも微孔質なガラスや樹脂製基板でも同様の現象となる。
任意の体積抵抗を得るための基板は開口された空孔を持つものでなければならない。何故ならば体積抵抗を決定する任意の抵抗体が空孔の中に含浸されていたとしても、周りを目的とする抵抗値とは異なる基板材料で遮蔽されていると電子の通り道がなくなり体積抵抗値が変化しない現象となる。このような微孔質体は一般的にはセラミックス、金属粉末焼結体などの粉末冶金法により製作される事が多いが、それ以外でも微孔質なガラスや樹脂製基板でも同様の現象となる。
一般的な微孔質なセラミックス基板の代表的な製造方法は原料であるセラミックス粉末を樹脂等のバインダーと混合し、任意の成形方法によって成形し、焼成前にバインダーを蒸発、または燃焼させて除去した後に焼結させ完成される。この時、セラミックス成形体より除去されるバインダーは基板の外部へと出る時に原料であるセラミックス粉末の間を通り除去される。この除去する時に発生する空孔は開口された空孔となるはずであり、閉口された空孔からはバインダーは出ることが出来ない。故にバインダーが除去された成形体は開口された空孔を全て持つことになる。ただし、バインダーを用いないHIPやSIPなどの高圧力成形ではこのバインダーが抜ける開口された空孔は発生しにくいため、本発明では好ましくない。
この様にバインダーを抜く脱脂工程で出来る開口された空孔も、セラミックスの焼結時には原料の粉末同士の融合により小さくなり、時には閉口されることもある。そこで本発明では空孔率と、この空孔にペルオキソチタン酸溶液を含浸した後の基板との体積比抵抗値の相関を明らかにし、実用化した。
同じように微孔質基板として金属粉末をプレス成形して作成する金属粉末焼結体でも同様のことが分かっている。金属粉末焼結体の空孔率は金属粉末の粒径、成形圧力、添加剤により異なる。また、異形体を作成できるMIM法では粉末と混合するバインダーの量、種類でも空孔率は異なる。しかしながら空孔率が同じであれば、本発明で得られる体積比抵抗値は前記のセラミックス微孔質体と同様の結果が得られる。
尚、体積比抵抗を調整する場合に開口した空孔率が0.5%程度以下に小さいと、ある程度の粘度を持つペルオキソチタン酸溶液が空孔内に入らずに体積抵抗が下がらない場合がある。この場合は微孔質基板をペルオキソチタン酸溶液中に浸し、溶液全体を減圧することにより、空孔内部までペルオキソチタン酸溶液を含浸させることが出来る。この様にしてペルオキソチタン酸溶液を含浸した微孔質基板を任意の抵抗値になる温度で焼成することにより、任意の体積比抵抗を持つ構造体を得ることが可能となる。
同じように微孔質基板として金属粉末をプレス成形して作成する金属粉末焼結体でも同様のことが分かっている。金属粉末焼結体の空孔率は金属粉末の粒径、成形圧力、添加剤により異なる。また、異形体を作成できるMIM法では粉末と混合するバインダーの量、種類でも空孔率は異なる。しかしながら空孔率が同じであれば、本発明で得られる体積比抵抗値は前記のセラミックス微孔質体と同様の結果が得られる。
尚、体積比抵抗を調整する場合に開口した空孔率が0.5%程度以下に小さいと、ある程度の粘度を持つペルオキソチタン酸溶液が空孔内に入らずに体積抵抗が下がらない場合がある。この場合は微孔質基板をペルオキソチタン酸溶液中に浸し、溶液全体を減圧することにより、空孔内部までペルオキソチタン酸溶液を含浸させることが出来る。この様にしてペルオキソチタン酸溶液を含浸した微孔質基板を任意の抵抗値になる温度で焼成することにより、任意の体積比抵抗を持つ構造体を得ることが可能となる。
この様に空孔率を調整した微孔質体にペルオキソチタン酸溶液を含浸させ、任意の空孔率で任意の温度で焼成した時の体積比抵抗値を図3に示す。
ここでは基体にセラミックであるアルミナ(Al2O3)を用いており、空孔率が0.2%、0.5%、0.8%、1.0%の場合の未焼成〜1000℃までの焼成温度による体積比抵抗の変化を示している。この結果より、焼成温度を上げることにより体積比抵抗値は上昇し、このときの傾斜は空孔率により異なることが分かった。従って、空孔率と焼成温度を適宜調整することで体積比抵抗値を制御することが可能である。
ここでは基体にセラミックであるアルミナ(Al2O3)を用いており、空孔率が0.2%、0.5%、0.8%、1.0%の場合の未焼成〜1000℃までの焼成温度による体積比抵抗の変化を示している。この結果より、焼成温度を上げることにより体積比抵抗値は上昇し、このときの傾斜は空孔率により異なることが分かった。従って、空孔率と焼成温度を適宜調整することで体積比抵抗値を制御することが可能である。
一方、表面比抵抗の場合は焼成温度により調整することが出来る。表面比抵抗の場合は、基板内部の状態は表面抵抗に殆ど関係しないため、基板の空孔率や密度はこれに影響を与えない。ただし、あまりに空孔率が高すぎて内部にペルオキソチタン酸溶液がしみ込み、表面に抵抗膜が均一に作製出来ない場合はこの限りではない。よって、あまり大きな、例えば10%以上の空孔率の基板は好ましくない。
表面比抵抗値の変化については、空孔率0.5%のセラミックス基板にペルオキソチタン酸溶液を塗布し、任意の温度で焼成した時の表面比抵抗値の変化を図4に示している。図より、焼成温度を上げることにより表面比抵抗値は上昇し、焼成温度を適宜調整することで表面比抵抗値を制御することが可能であることが分かる。
表面比抵抗値の変化については、空孔率0.5%のセラミックス基板にペルオキソチタン酸溶液を塗布し、任意の温度で焼成した時の表面比抵抗値の変化を図4に示している。図より、焼成温度を上げることにより表面比抵抗値は上昇し、焼成温度を適宜調整することで表面比抵抗値を制御することが可能であることが分かる。
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[体積比抵抗の調整]
セラミックス基板材料としてアルミナ粉末(酸化アルミニュウム:Al2O3)を適宜なバインダーと混合し、ドクターブレード法により0.2mmの厚さに成形してグリーンシートとした。成形したグリーンシートを混合したバインダーが抜ける様に大気中で500℃の温度で脱脂処理を行い、次に1200℃の高温で焼結させ含浸用の基板とした。
この基板の空孔率は平均粒径2μmのアルミナ粉末にバインダーの量を変えて、空孔率が0.5%のものを作製した。空孔率は粉末種類、粉末粒径、バインダー量、脱脂温度、焼結温度によって異なるが、本例では空孔率を任意の値にする為に主にバインダーの量で調整した。
焼結したセラミックス基板を約40℃に加温した前記した濃度0.8%に調整したペルオキソチタン酸溶液に浸し、溶液ごと、減圧可能な容器に入れ減圧し、約20Paで1時間放置後、セラミックス基板表面より気泡が発生しなくなった事を確認した後、取り出し、約60℃で1時間乾燥させた。
乾燥したペルオキソチタン酸溶液を厚さは0.5μm程度に塗布したセラミックス基板を任意の体積抵抗とする為に図3に示す焼成温度を参照し、大気中で焼成した。
本実施例では、1011Ω・cmの体積比抵抗が必要な電子部材のため、100℃で約2時間保持させ、焼成した。アルミナの体積比抵抗は1013Ω・cmのため、本発明の実施により約102Ω・cmの低抵抗化が可能となった。
[体積比抵抗の調整]
セラミックス基板材料としてアルミナ粉末(酸化アルミニュウム:Al2O3)を適宜なバインダーと混合し、ドクターブレード法により0.2mmの厚さに成形してグリーンシートとした。成形したグリーンシートを混合したバインダーが抜ける様に大気中で500℃の温度で脱脂処理を行い、次に1200℃の高温で焼結させ含浸用の基板とした。
この基板の空孔率は平均粒径2μmのアルミナ粉末にバインダーの量を変えて、空孔率が0.5%のものを作製した。空孔率は粉末種類、粉末粒径、バインダー量、脱脂温度、焼結温度によって異なるが、本例では空孔率を任意の値にする為に主にバインダーの量で調整した。
焼結したセラミックス基板を約40℃に加温した前記した濃度0.8%に調整したペルオキソチタン酸溶液に浸し、溶液ごと、減圧可能な容器に入れ減圧し、約20Paで1時間放置後、セラミックス基板表面より気泡が発生しなくなった事を確認した後、取り出し、約60℃で1時間乾燥させた。
乾燥したペルオキソチタン酸溶液を厚さは0.5μm程度に塗布したセラミックス基板を任意の体積抵抗とする為に図3に示す焼成温度を参照し、大気中で焼成した。
本実施例では、1011Ω・cmの体積比抵抗が必要な電子部材のため、100℃で約2時間保持させ、焼成した。アルミナの体積比抵抗は1013Ω・cmのため、本発明の実施により約102Ω・cmの低抵抗化が可能となった。
[表面比抵抗の調整]
表面比抵抗の調整については、セラミックス基板の空孔率、焼結密度は関係なく、体積抵抗調整で示したセラミックス基板以外の方法で作成されたものでも同じ効果が得られた。実施例では1011Ω/□の表面比抵抗値が必要な電子部材であった為、図4より焼成温度は600℃とした。アルミナの表面抵抗値は1013Ω/□であるために102Ω/□の低抵抗値化が可能となった。
表面比抵抗の調整については、セラミックス基板の空孔率、焼結密度は関係なく、体積抵抗調整で示したセラミックス基板以外の方法で作成されたものでも同じ効果が得られた。実施例では1011Ω/□の表面比抵抗値が必要な電子部材であった為、図4より焼成温度は600℃とした。アルミナの表面抵抗値は1013Ω/□であるために102Ω/□の低抵抗値化が可能となった。
以上のように体積比抵抗と表面比抵抗を任意に調整した絶縁構造体を図5に示した電界放射型ディスプレイ(FED)用のスペーサに用いることが好適である。即ち、前面板1と背面板3を一定に保持するスペーサ2としてこの任意の体積比抵抗値と表面比抵抗値を有する絶縁構造体を用いことにより、帯電防止や2次電子による画像ムラ等の不都合を解消することができるものである。
本発明に係る絶縁構造体は、電界放射型ディスプレイ(FED)用のスペーサに用いる他に、電子管、真空管構造材、プラズマディスプレィ構成部品への利用が可能である。
1:前面板
2:スペーサ
3:背面板
4:蛍光体
5:電界放射素子
2:スペーサ
3:背面板
4:蛍光体
5:電界放射素子
Claims (6)
- 基板にペルオキソ基を持つセラミックス前駆体を含浸または塗布し、前記セラミックス前駆体を結晶化させて、前記基板の体積比抵抗が108〜1012Ω・cmであると共に表面比抵抗が107〜1011Ω/□である表面抵抗層を形成したことを特徴とする絶縁構造体。
- 前記ペルオキソ基を持つセラミックス前駆体がペルオキソチタン酸溶液であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁構造体。
- 前記基板が連続した空孔を有し、前記空孔中に前記セラミックス前駆体を含浸させることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁構造体。
- 前記基板がセラミックス、金属、ガラス、樹脂で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の絶縁構造体。
- 体積比抵抗が1013Ω・cm以上の基板にペルオキソ基を持つセラミックス前駆体を含浸または塗布した後、100〜1000℃で焼成することにより、前記基板の体積比抵抗を108〜1012Ω・cmとすると共に表面比抵抗が107〜1011Ω/□の表面抵抗層を形成することを特徴とする絶縁構造体の製造方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載の絶縁構造体を前面板と背面板を所定の間隔に保持するスペーサに用いたことを特徴とする電界放射型ディスプレイ装置。
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JP2005007708A JP2006193381A (ja) | 2005-01-14 | 2005-01-14 | 絶縁構造体とその製造方法並びにこれを用いた電界放射型ディスプレイ装置 |
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