JP2006186876A - マイクロ波導入器、プラズマ発生装置及びプラズマ処理装置 - Google Patents

マイクロ波導入器、プラズマ発生装置及びプラズマ処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 プラズマ密度に依存しないインピーダンスを有するマイクロ波導入器、これを備えたプラズマ発生装置及びこれを備えたプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 プラズマを生成する空間を有するチャンバに取り付けられるマイクロ波導入器であって、前記チャンバの壁面から前記プラズマを生成する空間に向けて突出する誘電体の導波体を備え、前記導波体は、先端に向けて直径が小さくなる略円錐台状であることを特徴とするマイクロ波導入器を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波導入器、プラズマ発生装置及びプラズマ処理装置に関し、特に、プラズマ発生室の内部に高い効率でマイクロ波を導入可能なマイクロ波導入器、およびこれを備えたプラズマ発生装置、エッチング装置などのプラズマ処理装置に関する。
プラズマを利用したドライプロセスは、半導体製造装置、金属部品の表面硬化、プラスチック部品の表面活性化、無薬剤殺菌など、幅広い技術分野において活用されている。例えば、半導体や液晶ディスプレイなどの製造に際しては、アッシング、ドライエッチング、薄膜堆積あるいは表面改質などの各種のプラズマ処理が用いられている。プラズマを利用したドライプロセスは、低コストで、高速であり、薬剤を用いないために環境汚染を低減できる点でも有利である。
このようなプラズマ処理を行う装置の代表的なものして、周波数が100メガヘルツ〜数10ギガヘルツのマイクロ波によりプラズマを励起する「マイクロ波励起型」のプラズマ処理装置がある。マイクロ波励起型のプラズマ源は、高周波プラズマ源などに比べてプラズマ電位が低いので、ダメージ無しのレジスト・アッシング(resist ashing)や、バイアス電圧を印加した異方性エッチングなどに広く使われる。
マイクロ波励起型のプラズマ処理装置においては、マイクロ波を真空チャンバ内に導入する必要がある。例えば、大面積の誘電体窓を用いる方法(例えば、特許文献1)と、小面積の誘電体窓を用いる方法(例えば、特許文献2)と、がある。大面積の誘電体窓を用いる場合、その寸法は、マイクロ波の波長よりも大きくし、小面積の誘電体窓を用いる場合は、その寸法をマイクロ波の波長よりも小さくする。
プラズマプロセスにおいて用いるマイクロ波の周波数はいくつかの範囲に限定されており、最もよく用いられるものは、2.45ギガヘルツである。2.45ギガヘルツで使われる導波管は、JIS規格のWRJ−2(断面内径寸法:109.22×54.61ミリメータ、周波数範囲:1.70〜2.60ギガヘルツ)と、WRJ−2.6(断面内径寸法:86.36×43.18ミリメータ、周波数範囲:2.20〜3.30ギガヘルツ)の2種類に限られている。これら導波管WRJ−2、WRJ−2.6を含めて、全てのJIS−WRJシリーズ導波管の寸法比率は、(H面長さ):(E面長さ)=2:1に決められている。これら導波管を伝搬してきたマイクロ波をチャンバ内に導入する部分は、「導入器(applicator)」と呼ばれる。導入器の重要な役割は、導波管のインピーダンスとプラズマのインピーダンスとを整合(matching:マッチング)させることである(例えば、特許文献3、非特許文献1〜3)。マッチングが不十分な場合には、マイクロ波発振器と導入器との間に、自動または手動の整合器(matcher:マッチャー)を設けて整合をとる必要がある。
特開平10−255999号公報 特開2003−124193号公報 特開2003−264099号公報 Ivan Ghanashev, Masaaki Nagatsu, Ge Xu and Hideo Sugai, Jpn. J. Appl. Phys., vol. 36, Part 1, No. 7B (July 1997), pp. 4704-4710 Ivan Ghanashev, Shin Morita, Naoki Toyoda, Masaaki Nagatsu and Hideo Sugai, Jpn. J. Appl. Phys., vol. 38, Part 1, No. 7B (July 1999), pp. 4313-4320 I. Ghanashev, H. Sugai, Physics of Plasmas, vol. 7 (July 2000), pp. 3051-3061
しかし、従来の導入器の場合、プラズマの密度が変わると、導入器のインピーダンスも変化する。導入器のインピーダンスの変化が大きくなると、プラズマプロセスに際して必要とされる連続的なプラズマ密度制御が、手動の整合器では対応できなくなり、高価な自動整合器が必要となる。また、導入器のインピーダンスの変化がさらに大きくなると、自動整合器でもマッチングをとることが困難となり、非線形な現象による不連続的な電子密度・インピーダンスのジャンプが発生して、連続的なプロセス制御が困難になる。
本発明者は、これに対して、マイクロ波の入口から先端までの間の何処かにおいて、カットオフ状態となるように形成された導波体を提案した(特許文献3)。本発明者は、その後、さらに独自の検討試作を重ねることにより、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、プラズマ密度に依存しないインピーダンスを有するマイクロ波導入器、これを備えたプラズマ発生装置及びこれを備えたプラズマ処理装置を提供する。
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
プラズマを生成する空間を有するチャンバに取り付けられるマイクロ波導入器であって、
前記チャンバの壁面から前記プラズマを生成する空間に向けて突出する誘電体の導波体を備え、
前記導波体は、先端に向けて直径が小さくなる略円錐台状であることを特徴とするマイクロ波導入器が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、
プラズマを生成する空間を有するチャンバに取り付けられるマイクロ波導入器であって、
前記チャンバの壁面から前記プラズマを生成する空間に向けて突出する誘電体の導波体を備え、
前記導波体は、先端に向けて直径が小さくなる略円錐台の対向する側面をそれぞれ切り落とした形状であることを特徴とするマイクロ波導入器が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、
チャンバと、
前記チャンバに取り付けられた上記のいずれかのマイクロ波導入器と、
を備え、
前記導波体を介して導入されるマイクロ波により前記プラズマを生成する空間においてプラズマを生成可能としたことを特徴とするプラズマ発生装置が提供される。
また、本発明のさらに他の一態様によれば、
前記のプラズマ発生装置を備え、
前記生成された前記プラズマによって被処理物のプラズマ処理を実施可能としたことを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
以上詳述したように、本発明によれば、プラズマ密度に依存しないインピーダンスを有するマイクロ波導入器、これを備えたプラズマ発生装置及びこれを備えたプラズマ処理装置を提供することができ、産業上のメリットは多大である。
以下、本発明の実施の形態について、具体例を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の具体例にかかるマイクロ波導入器の要部基本構成を説明するための概念図である。
すなわち、本具体例は、減圧プラズマ発生装置に用いることができるマイクロ波導入器を例示する。このマイクロ波導入器は、誘電体からなる導波体100を有する。導波体100は、プラズマを発生させるためのチャンバ300の壁面からチャンバ300の内側の減圧空間に向けて突出するように取り付けられる。この導波体100には、チャンバ300の外側から、導波管200を介してマイクロ波Mが供給される。図1に表した具体例の場合、チャンバ300の内部(同図の右側)の減圧状態を維持するために、導波体100の根元に、導波体100よりも外径の大きい導波体根110が設けられ、Oリング320により気密を確保している。ただし、この導波体根110は本発明において必須ではなく、他の方法により気密を確保してもよい。
導波体100の形状は、円錐台状とされている。すなわち、導波体100の根元(導波管200に近い側)においては断面寸法が大きく、先端(導波管200から遠い側)に近づくに従って断面寸法が小さくなる。一般に、誘電体を介してマイクロ波Mのパワーがプラズマに効率的に供給されるためには、両者がカップリングする必要がある。マイクロ波Mが誘電体の中で励起できるモードは、誘電体のサイズが大きいほど増える。従って、プラズマの密度が高い場合には、サイズの大きな誘電体を介してマイクロ波Mを供給することが望ましい。一方、プラズマの密度が低い場合には、サイズが小さく、励起モードが抑制された誘電体を介してマイクロ波を供給することが望ましい。
図1に例示した如く、本実施形態においては、先端に向けて径が縮小する導波体100を設ける。一般に、プラズマの密度は、マイクロ波の供給源から遠ざかるにつれて低下する。
図2は、プラズマの密度の変化を説明するための模式図である。同図に表したように、L1からL4の方向にプラズマが遠ざかるにつれてその密度は低下する。これに対して、導波体60の径も順次縮小し、誘電体の中でマイクロ波が励起できるモードの数も減少する。
すなわち、プラズマの密度が高いときはL1に近い側においてカップリングが生じ、プラズマの密度が低い時はL4に近い側でカップリングさせることができる。つまり、本実施形態においては、プラズマの密度に応じて必ず最適なマイクロ波とのカップリングを生じさせることができる。
チャンバ300の内部では、例えば、そのガス流や圧力の分布、あるいは内部構造物の配置関係などにより、プラズマの点火条件や維持条件は必ずしも同一ではない場合も多い。これに対して、本実施形態によれば、チャンバ300の内部に向けて突出した円錐台状の導波体100を設けることにより、どのような条件下においても、プラズマを確実に点火させ、また安定的に維持させることができる。
また、本具体例のマイクロ波導入器においては、導波体100の中心軸C1と、導波管200の中心軸C2とがほぼ一致している。さらに、導波体100の根元(導波管200に近い側)の断面寸法は、導波管200の内径に近いサイズにされている。このようにすると、導波管200を伝搬したマイクロ波Mが導波体100に入力される時の反射波の発生を抑制できる。その結果として、マイクロ波Mの損失を抑制し、高い効率でプラズマを生成できる。
本発明者は、導波体100の具体的な形状や寸法について定量的な検討を行った。この際に考慮した点は、以下の如くである。
まず第1に、サイズの問題がある。すなわち、チャンバ300の大型化などを防ぐためには、導波体100はできるだけ短いほうがよい。しかし、逆に、幅広いプラズマ密度範囲において完全にマイクロ波を救出させるためには、ある程度長くて断面寸法の変化が連続的且つ滑らかであり、マイクロ波吸収率の高い導波体が必要である。実用的なサイズを考慮すると、マイクロ波の吸収率が50〜60パーセントでも、できるだけ短い(長さ5〜10センチメータ程度)導波体が望ましい。
第2に、再現性の問題がある。すなわち、導波体の中に複数のマイクロ波モードが存在する場合、実際に励起されているモードを予め予測することは困難となる。導波体の周囲環境の変化(例えば、ガス圧などのプロセス条件の変化)によりマイクロ波のモードが変化する可能性もある。プラズマの再現性や安定性の点からは、できるだけ限定された唯一のモードで励起される導波体とすることが望ましい。導波体の断面寸法を大きくすると、励起できるモード数が多くなる。モード数を1にするためには、導波体の断面寸法を小さくしなければならない。その反面で、マイクロ波とプラズマとの相互作用(interaction)を強くするためには、導波体のサイズを大きくすることが望ましい。
つまり、短い導波体の中でのマイクロ波のモード数を1に近づけるためには、大面積化に限りがあり、複数の導波体によりプラズマを生成することが有利となる。ただし、この場合でも、複数の導波体にマイクロ波パワーを均等に分配するためには、インピーダンスの変動が小さいマイクロ波導入器が必要とされる。
第3に、導波管とのマッチングの問題がある。すなわち、導波体に入力されたパワーを完全に反射せずにプラズマに吸収させる導波体であっても、マイクロ波をこの導波体に標準の導波管から導入しなければならないので、導波体と導波管のマッチングが良好であることが必要である。従って、例えば、前述したJIS規格のJIS−WRJシリーズの導波管とのマッチングが良好な導波体とすることが望ましい。
図3は、本発明者が検討した導波体のサイズを説明するための模式図である。
ここでは、導波体100の材料として、誘電率3.8の石英を用いた場合について説明する。導波体100は、円錐台状であり、その先端の直径をA、チャンバ内壁から突出する長さをL、チャンバ内壁における直径をB、チャンバ内壁を貫通する部分105の厚みと導波体根110の厚みをそれぞれD、導波体根110の直径をC、マイクロ波Mの自由空間での波長をλとしたときに、概ね以下の範囲が望ましいことが判明した。

A<0.3λ
B<0.499λ
C=0.656λ
D=(5〜10)ミリメータ
L=(0.40〜1.7)×λ

導波体100のサイズを上記の範囲内とすると、導波体100において許容されるマイクロ波の励起モードを、TE11モードと、TM01モードのみに制限できる。
図4は、TE11モードを表す模式図である。
すなわち、円錐台状の導波体100の中において、図4(a)に表したように垂直分極する場合と、同図(b)に表したように水平分極する場合とがあり得る。
これらTE11モードのカットオフ直径は、0.3λである。すなわち、導波体100の直径がマイクロ波の波長の0.3倍の部分において、TE11モードのマイクロ波からプラズマにパワーが高い効率で入力される。従って、TE11モードのカップリングを生じさせるためには、導波体100の先端の直径Aを0.3λよりも小さくすることが望ましい。本発明者の試作検討の結果によれば、直径Aは、(0.13〜0.41)λの範囲とすると良好な結果が得られた。
次に、図5は、TM01モードを表す模式図である。
すなわち、TM01モードにおいては、導波体100の中心から周囲に均等に広がる分極が形成される。
このTM01モードのカットオフ直径は、0.393λである。すなわち、導波体100の直径がマイクロ波の波長の0.393倍の部分において、TM01モードのマイクロ波からプラズマにパワーが高い効率で入力される。
一方、TE11モードとTM01モード以外のモードのカットオフ直径は、0.499λよりも大きい。すなわち、導波体100の直径をマイクロ波の波長の0.499倍よりも大きくしない限り、TE11モードとTM01モード以外のモードのマイクロ波がプラズマに作用することはない。従って、導波体100の直径Bは、0.499λよりも小さい範囲でできるだけ大きくすることが望ましい。マイクロ波の吸収面積をできるだけ大きくするためである。この観点からは、直径Bを例えば、0.492λ程度とするとよい。
また一方、導波管200としてJIS規格の導波管を用いた場合、その縦横幅の比率が1:2であるために、導波管200において励起されるマイクロ波のモードが制限される。 図6は、導波管200において励起されるマイクロ波のモードを表す模式図である。
すなわち、マイクロ波は、導波管200をその断面から眺めた時に、短辺に対して平行な方向に分極するモードに励起される。このため、図4(b)に表した水平分極のTE11モードと、図5に表したTM01モードは励起されず、図4(a)に表した垂直分極のTE11モードのみが導波体100に励起されることとなる。
以上説明したように、導波体100の直径を0.499λよりも小さくし、且つ、0.3λとなる部分があるように形成すると、垂直分極のTE11モードのみを導波体100に励起でき、且つ、高い効率でプラズマにパワーを供給できる。単一のモードのみを励起可能とすることにより、高い再現性と高い安定性でプラズマを生成できる。
次に、本発明の第2の具体例について説明する。
図7は、本発明の第2の具体例のマイクロ波導入器の要部を例示する模式図である。すなわち、同図(a)は、導波体を側面から眺めた模式図であり、同図(b)は導波体をその先端側から眺めた模式図である。
本具体例においては、円錐台状の誘電体の両側面を切り落とした形状が与えられている。すなわち、導波体100は、その円錐台の側面に沿って対向した一対の切り落とし部108を有する。このようにすると、導波体100において励起可能なマイクロ波のモードをより確実にひとつのモードのみに限定できる。
図8は、本具体例におけるマイクロ波の励起モードを表す模式図である。
本具体例によれば、同図に表したように、マイクロ波の励起モードを垂直分極のTE11モードのみに限定できる。すなわち、JIS規格の導波管200において励起されるモードと同方向のモードのみを励起させることができる。
図3乃至図6に関して前述した第1の具体例においては、導波管、導波体、プラズマの全てが対称である場合には、図4(a)に表した垂直分極のTE11モードのみが導波体100に励起される。しかし、例えばプラズマの分布が非対称となった場合など、マイクロ波の分極方向が導波体100の中で回転して、図4(b)に表した水平分極のTE11モードが励起されることもあり得る。また、同様に、導波体100の中でマイクロ波の分極方向が変化して図5に表したTM01モードが励起されることもあり得る。
つまり、導波体100の中で複数のモードが励起可能となり、モードジャンプが発生する場合もあり得る。導波体100の直径をTM01モードのカットオフ直径である0.393λよりも小さくすると、TM01モードの発生は防げる。しかし、導波体100の直径を小さくすると、導波面積が小さくなり、効率が低下する。また、導波体100の直径を小さくしても、図4(b)に表した水平分極のTE11モードの励起を完全に防ぐことは困難である。
これに対して、本具体例によれば、導波体の両側面に切り落とし部108を設けることにより、導波管200の中の励起モードに対応した垂直分極のTE11モードを安定的に励起させ、水平分極のTE11モードやTM01モードの励起を確実に防ぐことができる。
本発明者が本具体例の導波体100の寸法について定量的な検討を実施した結果、導波体100を誘電率3.8の石英により形成し、導波体100の先端の直径をA、チャンバ内壁から突出する長さをL、チャンバ内壁における直径をB、チャンバ内壁を貫通する部分105の厚みと導波体根110の厚みをそれぞれD、導波体根110の直径をC、一対の切り落とし部108の先端における間隔をa、一対の切り落とし部108のチャンバ内壁における間隔をb、マイクロ波Mの自由空間での波長をλ、としたときに、概ね以下の範囲が望ましいことが判明した。
A=0.31λ
B=0.492λ
a=0.205λ
b=0.41λ
C=0.656λ
D=(5〜10)ミリメータ
L=0.41λ
導波体100のサイズを上記の範囲内とすると、導波体100において許容されるマイクロ波の励起モードを、垂直分極のTE11モードのみに制限でき、高い効率でプラズマを励起できる。
以下、第1の具体例及び第2の具体例に関して本発明者が実施した実施例について説明する。
すなわち、本発明者は、第1の実施例(図3参照)と第2の実施例(図7参照)のマイクロ波導入器を用いた場合と、特許文献2に記載されている誘電体窓を用いた場合と、のそれぞれについて、マイクロ波プラズマを生成し、マイクロ波導入器のパワー反射率を測定した。それぞれの導波体の構造パラメータは以下の如くである。
実施例1(図3参照):
A=29mm
B=60mm
C=80mm
D=10mm
L=100mm
実施例2(図7参照):
A=38mm
B=60mm
a=35mm
b=50mm
C=80mm
D=10mm
L=50mm
比較例(特許文献2):
直径80mm、厚み10mm、チャンバ内部への突出量がゼロの石英板

いずれの場合も、ガスは酸素(O)、圧力は120パスカル、マイクロ波パワーは150〜500ワット、周波数は2.45ギガヘルツ、導波管はJIS規格のWRJ−2を用いた。得られた結果は、以下の如くである。

最大パワー吸収率 最初パワー吸収率 パワー吸収率の変化率
実施例1: 96% 89% 1.08
実施例2: 96% 58% 1.66
比較例 : 10% 2% 5.0
生成されたプラズマの密度はおよそ1012cm−3とかなり高く、比較例の場合にはマイクロ波パワーの殆ど(90パーセント)は反射されてしまう。これに対して、本発明のマイクロ波導入器を用いた場合には、100パーセントに近いパワー吸収率が得られた。マイクロ波のパワーを150ワットから500ワット(3.3倍)に増やすと、電子密度もおよそ3.3倍上昇する。この密度変化により、比較例の場合には、吸収率の急激な低下(5倍)が生ずる。これに対して、実施例2の場合には、吸収率の低下率は66パーセントに抑制され、実施例1の場合には、吸収率の低下率はわずか8パーセントに過ぎない。
ここで、実施例2のメリットのひとつは、小型化にある。すなわち、実施例1と比べると、反射率や吸収率変化の点ではやや劣るが、長さ(L)を半分にすることができ、このマイクロ波導入器を搭載したプラズマ生成装置やプラズマ処理装置のチャンバを小型化できる点で有利である。特に、本発明のマイクロ波導入器は、チャンバに複数設ける場合が多いため、小型化のメリットも重要である。
次に、本発明のマイクロ波導入器を用いたプラズマ生成装置及びプラズマ処理装置について説明する。
図9は、本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置の要部基本構成を説明するための概念図である。
また、図10は、チャンバ300の上方から眺めた時のマイクロ波導入器の配置を例示する模式平面図である。
本実施形態のプラズマ処理装置は、減圧状態でプラズマ処理を実施可能としたものであり、チャンバ300と、これに取り付けられた導波体100と、を有する。導波体100は、図1乃至図8に関して前述した本発明の実施の形態にかかるマイクロ波導入器の導波体である。この導波体100は、例えば、図10に例示したように、チャンバ300の中心軸からみて同一円周上に等間隔に配置することができる。これら導波体100には、導波管200からマイクロ波Mが導入される。
一方、チャンバ300は、真空排気手段Eによりその内部を減圧状態に維持可能とされている。ステージ330の上に被処理物Wを載置し、図示しないガス導入系を介して、所定のガスを導入した状態で、マイクロ波Mをチャンバ内に導入することによりプラズマPを生成する。このプラズマにより、ガスが適宜分解あるいは活性化され、ラジカルなどの活性種や分解種Rが被処理物Wに作用する。このようにして、エッチングやアッシング、堆積、表面改質、ドーピングなどの各種のプラズマ処理を実施できる。
本発明によれば、このようなプラズマ処理装置において、図1乃至図8に関して前述したマイクロ波導入器を設けることにより、高い効率でマイクロ波を導入して安定した高密度のプラズマPを生成できる。また、マイクロ波導入器のインピーダンスがプラズマの密度に依存しにくいため、プロセス条件が変化したり変動した場合でも、所定の密度のプラズマを安定して生成・維持できる。
また、図2に関して前述したように、プラズマの密度が高い状態においても、低い状態においても、導波体100でカップリングさせることができる。つまり、本実施形態においては、プラズマの密度に応じて必ず最適なマイクロ波とのカップリングを生じさせることができる。
チャンバ300の内部では、例えば、そのガス流や圧力の分布、あるいは内部構造物の配置関係などにより、プラズマの点火条件や維持条件は必ずしも同一ではない場合も多い。これに対して、本実施形態によれば、複数の導波体100を設けることにより、どの導波体100においても、プラズマを確実に点火させ、また安定的に維持させることができる。
以上具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
例えば、本発明は、減圧空間でプラズマを生成しプラズマ処理する減圧プラズマ発生装置及び減圧プラズマ処理装置には限定されず、大気圧空間でプラズマを生成しプラズマ処理する大気圧プラズマ発生装置及び大気圧プラズマ処理装置に用いても、同様の作用効果が得られ、これらも本発明の範囲に包含される。
また、本発明において用いる導波体100、導波管200、チャンバ300やこれらに付設される要素は、図示した形状、サイズのものには限定されず、その断面形状、壁面厚、開口の形状やサイズ、材質などは本発明の範囲内において適宜変更して同様の作用効果が得られ、これらも本発明の範囲に包含される。
導波管は完全な方形である必要はなく、また同軸導入部や同軸変換部も完全な円筒状である必要はない。
また、チャンバ300の形状やサイズ、あるいはその内部の配置関係についても、図示したものには限定されず、プラズマ処理の内容や条件などを考慮して適宜決定することができる。例えば、プラズマ発生部はプラズマ処理室の上面でなく、側面や下面に付設してもよく、または、これらを組み合わせてもよい。つまり、ひとつのチャンバに複数のプラズマ発生部を付設してもよい。このようにすれば、被処理物の形状やサイズに合わせて均一あるいは所定の密度分布を有する大面積のプラズマを形成することが可能となる。
さらにまた、上述した具体例においては、プラズマ発生装置及びプラズマ処理装置の要部構成のみ説明したが、本発明は、このようなプラズマ発生装置を有する全てのプラズマ処理装置を包含し、例えば、エッチング装置、アッシング装置、薄膜堆積装置、表面処理装置、プラズマドーピング装置などとして実現したプラズマ処理装置のいずれもが本発明の範囲に包含される。
本発明の第1の具体例にかかるマイクロ波導入器の要部基本構成を説明するための概念図である。 プラズマの密度の変化を説明するための模式図である。 本発明者が検討した導波体のサイズを説明するための模式図である。 TE11モードを表す模式図である。 TM01モードを表す模式図である。 導波管200において励起されるマイクロ波のモードを表す模式図である。 本発明の第2の具体例のマイクロ波導入器の要部を例示する模式図である。 本発明の具体例におけるマイクロ波の励起モードを表す模式図である。 本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置の要部基本構成を説明するための概念図である。 チャンバ300の上方から眺めた時のマイクロ波導入器の配置を例示する模式平面図である。
符号の説明
100 導波体
105 貫通する部分
108 切り落とし部
110 導波体根
200 導波管
300 チャンバ
320 Oリング
330 ステージ
M マイクロ波
P プラズマ
R 活性種や分解種

Claims (9)

  1. プラズマを生成する空間を有するチャンバに取り付けられるマイクロ波導入器であって、
    前記チャンバの壁面から前記プラズマを生成する空間に向けて突出する誘電体の導波体を備え、
    前記導波体は、先端に向けて直径が小さくなる略円錐台状であることを特徴とするマイクロ波導入器。
  2. 前記導波体の先端における直径をA、前記チャンバ内壁における前記導波体の直径をB、マイクロ波の自由空間での波長をλとしたときに、
    A<0.3λ
    B<0.499λ
    なる条件が満たされることを特徴とする請求項1記載のマイクロ波導入器。
  3. 前記A、B及びλは、
    A=(0.13〜0.41)×λ
    B=0.492λ
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項2記載のマイクロ波導入器。
  4. プラズマを生成する空間を有するチャンバに取り付けられるマイクロ波導入器であって、
    前記チャンバの壁面から前記プラズマを生成する空間に向けて突出する誘電体の導波体を備え、
    前記導波体は、先端に向けて直径が小さくなる略円錐台の対向する側面をそれぞれ切り落とした形状であることを特徴とするマイクロ波導入器。
  5. 前記導波体の先端における直径をA、前記チャンバ内壁における前記導波体の直径をB、前記導波体の先端における前記切り落とした部分の間隔をa、前記チャンバ内壁における前記切り落とした部分の間隔をb、マイクロ波の自由空間での波長をλとしたときに、
    A=0.31λ
    B=0.492λ
    a=0.205λ
    b=0.41λ
    なる条件を満たすことを特徴とする請求項4記載のマイクロ波導入器。
  6. チャンバと、
    前記チャンバに取り付けられた請求項1〜5のいずれか1つに記載のマイクロ波導入器と、
    を備え、
    前記導波体を介して導入されるマイクロ波により前記プラズマを生成する空間においてプラズマを生成可能としたことを特徴とするプラズマ発生装置。
  7. 前記チャンバの外側に設けられ、前記導波体にマイクロ波を供給する導波管をさらに備えたことを特徴とする請求項6記載のプラズマ発生装置。
  8. 前記導波管の中心軸と、前記導波体の中心軸と、が略同軸とされたことを特徴とする請求項7記載のプラズマ発生装置。
  9. 請求項6〜8のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置を備え、
    前記生成された前記プラズマによって被処理物のプラズマ処理を実施可能としたことを特徴とするプラズマ処理装置。

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