JP2006183668A - 板金製ロッカーアームの製造方法 - Google Patents

板金製ロッカーアームの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】一体型の板金製ロッカーアームで、弁体の基端部を突き当てる係合部を構成する為の連結部となる部分の肉厚を十分に大きくして、この係合部の強度を高める。
【解決手段】上記連結部となるべき部分は、素板を構成する主部の一端縁部に形成した突出部を、この主部に向け面方向に押圧する事で造った厚肉部22とする。この厚肉部22の肉厚は、元々の肉厚の2倍程度にまで大きくできる為、上記課題を解決できる。
【選択図】図5

Description

この発明は、エンジンの動弁機構に組み込み、カムシャフトの回転を弁体(吸気弁及び排気弁)の往復運動に変換する為のロッカーアームのうち、金属板にプレス加工を施す事により造る、板金製ロッカーアームの製造方法の改良に関する。
レシプロエンジン(往復ピストンエンジン)には、一部の2サイクルエンジンを除き、クランクシャフトの回転と同期して開閉する吸気弁及び排気弁を設けている。この様なレシプロエンジンでは、上記クランクシャフトの回転と同期して(4サイクルエンジンの場合には1/2の回転速度で)回転するカムシャフトの動きを、ロッカーアームにより、上記吸気弁及び排気弁に伝達し、これら吸気弁及び排気弁をそれぞれの軸方向に往復運動させる。
従来は、この様なエンジンの動弁機構に組み込むロッカーアームを、鋳造品(鋳鉄品或はアルミニウムダイキャスト品)とする事が一般的であった。ところが、鋳造品は重量が嵩んだり(鋳鉄品の場合)、或は十分に強度を確保する為には容積が嵩張る(アルミニウムダイキャスト品の場合)。又、一般的にはロストワックス法により造る為、製造コストが嵩む事も避けられない。この為に近年、鋼板等の金属板にプレス加工を施す事により上記ロッカーアームを造る事が考えられ、一部で実施されている。
この様な事情で考えられた板金製ロッカーアームの製造方法として従来から、例えば特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された製造方法は、プレス加工により1枚の金属板からプレス加工を主体とする一体成形により、板金製ロッカーアームを造る。この為、得られた板金製ロッカーアームは、全面に亙りほぼ均一な厚さを有する。
これに対して従来から、それぞれを金属板にプレス加工を施す事により形成した、2個又は3個の部材を溶接により結合固定したロッカーアームも知られている。従来知られている構造では、これら各部材の板厚は総て同じであるが、この様に複数個の部材を組み合わせて成る板金製ロッカーアームの場合には、ピボット部及びバルブ係合部を含む連結部の厚さを、各側壁部の厚さよりも大きくできる。
上述した様な従来技術のうち、特許文献1に記載された、1枚の金属板から板金製ロッカーアームを一体に造る技術の場合には、造られた板金製ロッカーアームの厚さは、ほぼ全面に亙り均一になる為、使用時に大きな力を受けるバルブ係合部の近傍部分が他の部分に比べて、強度的に不利になり、剛性も低くなる場合がある。上記バルブ係合部の近傍部分の強度及び剛性を十分に確保すべく、板金製ロッカーアームを造る為の金属板の厚さを大きくすると、他の部分の厚さが、本来必要とする以上に大きくなり、板金製ロッカーアームの小型・軽量化を十分に図れないだけでなく、材料費も嵩む原因となる。
これに対して、それぞれを金属板にプレス加工を施す事により形成した2個又は3個の部材を溶接により結合固定した板金製ロッカーアームの場合には、バルブ係合部を含む連結部の厚さを、側壁部等他の部分の厚さよりも大きくできる反面、複数個の部材を別々に製造した後、これら各部材同士を組み付け、溶接により接合する必要がある。この為、加工工数が増大し、しかも部品管理の手間を要する。更に、各部材を組み付ける際の位置決め等の為に、複雑且つ精密な設備を必要とする為、加工工数の増大と部品管理の手間を要する事と合わせて、コストが嵩む事が避けられない。しかも、得られた板金製ロッカーアームの品質(精度)が、一体構造のものに比べると劣る場合が多い。
上述の様な問題を解決できる技術として、特願平11−63515号には、図14〜20に示す様な、板金製ロッカーアームとその製造方法とに関する発明が記載されている。この先発明に係る板金製ロッカーアーム1は、図14に示す様に、互いにほぼ平行な1対の側壁部2、2と、これら両側壁部2、2の幅方向一端縁同士を連結する連結部3及び第二の連結部4とを有する。又、これら両側壁部2、2の長さ方向中間部に1対の円孔5、5を、互いに同心に形成し、これら両円孔5、5に、カムと係合するローラを回転自在に支持する為の支持軸の両端部を支持自在としている。上記連結部3及び第二の連結部4のうち、連結部3の片面には、弁体の基端部を突き当てる為の係合部6を、第二の連結部4に、ラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の第二の係合部7を、それぞれ形成している。
上記係合部6と第二の係合部7とのうち、係合部6は、上記連結部3の幅方向中間部の片面に、この連結部3の幅方向中間部を厚さ方向に塑性変形させる事により、この連結部3の他の部分よりも凹んだ凹溝状に形成している。これに対して、上記第二の係合部7は、上記第二の連結部4の中央部を厚さ方向に塑性変形させる事により、球状凹面として成る。
上述の様な板金製ロッカーアーム1を造る場合、先ず第一工程で、図15に示す様な第一素板8を造る。即ち、この第一工程では、例えば3〜4mm程度の厚さを有する炭素鋼板等、十分な剛性を有する金属板(平板材若しくはコイル材)を、図示しないプレス装置の打抜き型と受型との間に供給し、これら両型同士の間で、上記第一素板8を打ち抜き形成する。
この第一素板8は、図15(A)に示す様に、角を丸めた菱形の長さ方向一端部{図15(A)の右端部}を切除した如き形状と、t8 なる厚さ{図15(B)}とを有する。この様な第一素板8の幅方向{図15(A)の上下方向}中央部の、図15(A)に記載した2本の鎖線α、αよりも少し内側部分(幅方向中央寄り部分)で幅W9 なる部分を、上記第一素板8の長さ方向{図15(A)の左右方向}に連続する基部9としている。そして、この基部9の幅方向の両側に、それぞれが略三角形である、1対の翼状部10、10を設けている。
上述の様な第一素板8の中央部には、続く第二工程で、図16(A)に示す様に透孔11を形成して、第二素板12とする。この透孔11の形状は、大略鼓形で、幅方向両側縁の長さ方向中央部に、互いに近づく方向に突出した、それぞれが部分円弧状である、1対の舌状部13、13を形成している。これら両舌状部13、13はそれぞれ、後述するローラを回転自在に支持する為の支持軸の両端部を支持する為の円孔5、5(図14、20参照)を形成する為に設ける。又、上記透孔11の四隅部分には、それぞれが略半円形である切り欠き部14、14を形成している。これら各切り欠き部14、14は、次の第三工程で、上記基部9を断面円弧状に湾曲させて湾曲部15(図17参照)を形成する際に、湾曲作業を行ない易くする為に形成する。
上述の様な第二素板12は、図示しないプレス加工装置に組み込んだ、プレス装置の打抜き型と受型との間に上記第一素板8を供給し、これら両型同士の間で上記透孔11を打ち抜く事により形成する。尚、前記第一素板8及び上記第二素板12の基部9の幅W9 は、次に述べる第三工程で形成する1対の側壁部2、2の外側面同士の間隔である、第一中間素材16の幅W16(図17参照)よりも大きくしている(W9 >W16)。この様に、基部9の幅W9 を第一中間素材16の幅W16よりも大きくした事に伴って、上記1対の舌状部13、13同士の間隔D13も大きくしている。
この様に、上記1対の舌状部13、13同士の間隔D13を大きくすると、上記透孔11を打ち抜く為の打抜き型の寿命を確保できる。即ち、透孔の中央部の幅が狭いと、この透孔を打抜き加工する為の打抜き型にかかる負担が大きく、この打ち抜き型の寿命が短くなる。これに対して、上記透孔11の中央部の幅である、上記1対の舌状部13、13同士の間隔D13を大きくすると、上記透孔11を形成する為の打抜き型の負担が軽減し、この打ち抜き型の耐久性を確保して、コスト低減を図れる。
尚、第二素板12を形成する順序は、上述した第二工程で行なうとした透孔11の打抜き形成を始めに行ない、次に、前述した第一工程で行なうとした、基部9及び翼状部10、10の打抜き形成を行なっても良い。更には、打ち抜き型及び受型の加工が可能で、プレス装置の容量が十分であれば、素材となる金属板から、直接図16に示す様な第二素板12を形成しても良い。
何れにしても、図16に示す様な形状に加工した、上記第二素板12は、続く第三工程で、図17に示す様な第一中間素材16とする。この第三工程では、上記第二素板12を、図示しないプレス装置に組み付けた押型と受型との間に供給して強く押圧し、上記第二素板12の基部9及び翼状部10、10に曲げ加工を施す。そして、上記第二素板12を、幅方向に関して左右1対の側壁部2、2と、これら両側壁部2、2の幅方向{図17(C)(D)の左右方向}端縁同士を連結する湾曲部15とから成る、上記第一中間素材16とする。この湾曲部15は、この第一中間素材16の長さ方向{図17(A)の左右方向}中間部で、上記透孔11に対応する部分が不連続な、半円筒状に形成されている。この様に、透孔11部分で2分割された上記湾曲部15のうち、一端側{図17(A)(B)の右端側}が弁体の基端部を突き当てる為の係合部6(図14、19、20参照)になり、他端側{図17(A)(B)の左端側}がラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の第二の係合部7(図14、19、20参照)となる。
前述した通り、上記1対の側壁部2、2の外側面同士の間隔である、上記第一中間素材16の幅W16は、前述した第一、第二素板8、12の基部9の幅W9 より小さくしている。即ち、上記第一中間素材16に於いて、上記1対の側壁部2、2の幅方向端縁同士を連結する為の連結部としての役目を有する上記湾曲部15は、図17(C)(D)に示す様に、略半円筒状に形成している。この様に略半円筒状の湾曲部15を形成し、この湾曲部15の元となる、前述した平板状の基部9の幅W9 よりもこの湾曲部15の幅を小さくする為、この基部9の幅W9 を、上記第一中間素材16に設けられる左右1対の側壁部2、2である、上記第一中間素材16の幅W16よりも大きく(W9 >W16)でき、前述した舌状部13、13同士の間隔D13を大きくできる。上述した様な第三工程により得られる、図17に示す様な第一中間素材16を構成する上記湾曲部15の厚さt15は、前記第一素板8の厚さt8 とほぼ同じ(t15≒t8 )である。
尚、上記湾曲部15のうち、少なくとも弁体の基端部を突き当てる為の係合部6を構成する為の一端側部分には、次述する第四工程で押圧加工を施して、厚さを大きくする。又、上記第一中間素材16には、上記湾曲部15を形成すると同時に、左右1対の側壁部2、2も同時に形成する。即ち、上記湾曲部15を形成するのに伴って、前記第一、第二素板12、20の幅方向両端部に形成した翼状部10、10及び中央部の透孔11の内側縁部に設けた舌状部13、13を起立させて、互いにほぼ平行な、上記1対の側壁部2、2とする。
上述の様にして構成した、上記第一中間素材16には、続く第四工程で湾曲部15に押圧加工を施し、図18に示す様な第二中間素材17とする。即ち、上記第四工程では、上記湾曲部15を平板状に加工すると共に厚さを増大させて、図18に示す様に、上記第一素板8の厚さt8 {図15(B)参照}よりも大きな厚さt3 、t4 (t8 <t3 、t4 )を有する連結部3及び第二の連結部4とする。
上記第四工程は、上記第一中間素材16の湾曲部15を、押圧加工用の押型と受型との間に間にセットした状態で加圧する冷間鍛造により行ない、上記湾曲部15を塑性変形させる。この結果、平板状の上記連結部3及び第二の連結部4が形成される。この様に、湾曲部15を塑性変形させて連結部3及び第二の連結部4とする際、断面円弧状の湾曲部15が平板状の連結部3及び第二の連結部4になる分、厚さがt3 、t4 にまで増大する。尚、図示の例では、一端側に設けた連結部3だけでなく、他端側に設けた第二の連結部4も厚さを大きくしている。但し、板金製ロッカーアームの使用時に特に大きな応力が加わるのは、弁体の基端部を突き当てる係合部6を設ける、連結部3の側である。従って、上記第二の連結部4の他側は、必ずしも厚さを増大させる必要はない。
上記第四工程で、第一中間素材16に比較的厚肉の連結部3及び第二の連結部4を形成して第二中間素材17としたならば、次の第五工程でこれら連結部3及び第二の連結部4に塑性加工若しくは切削加工、更には必要とする研削加工を施す。即ち、図19に示す様に、上記連結部3に、図示しない弁体の基端部を突き当てる為の係合部6を形成する。又、上記第二の連結部4に、図示しないラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の第二の係合部7を形成する。この様な第五工程では、上記第二中間素材17の連結部3を、図示しない鍛造加工機の押型と受型との間にセットして、この連結部3に冷間鍛造を施す事により、図19(A)(B)(D)に示す様な、凹溝状でその底面が凸に湾曲した係合部6を形成する。又、上記第二の連結部4を、図示しない別の鍛造加工機の押型と受型との間にセットして、この第二の連結部4に冷間鍛造を施す事により、図19(A)(B)(C)に示す様な、球状凹孔である第二の係合部7を形成する。この様な第五工程により、前記第一素板8の厚さよりも大きな厚さを有する上記連結部3及び第二の連結部4に係合部6及び第二の係合部7を設けた、第三中間素材19となる。
この様にして得られた第三中間素材19には、次の第六工程で、1対の側壁部2、2の中間部で互いに整合する位置に、それぞれ円孔5、5を、プレス加工、或は旋削加工により形成して、図14、20に示す様な板金製ロッカーアーム1として完成する。これら両円孔5、5は、前述した様に、ローラを回転自在に支持する為の支持軸の両端部を支持する為のものである。即ち、上記両円孔5、5に両端部を支持した支持軸の中間部周囲にローラを回転自在に支持すると共に、このローラの外周面をカムの外周面に当接させて、カムシャフトの回転運動を上記板金製ロッカーアーム1の揺動運動に変換自在とする。
上述の様な先発明に係る板金製ロッカーアーム及びその製造方法は、ロッカーアームの強度や剛性の向上を図れるだけでなく、工数及び部品点数の削減により、コストの低減、精度の向上、設備の簡略化を図れる為、高品質の板金製ロッカーアームを低コストで実現できる。
但し、より出力の大きなエンジンへの組み付けを可能にすべく、より大きな強度を得る為には、弁体の基端部を突き当てる係合部6の厚さをより大きくする事が望まれており、この場合には、上記先発明に係る板金製ロッカーアームの製造方法では対応する事が難しい。
即ち、使用時に上記係合部6に加わる力は、エンジンの出力を高くすべく、この係合部にその基端部を突き当てた弁体を付勢するバルブスプリングの弾力を大きくする程大きくなる。従って、板金製ロッカーアームを高出力エンジンに組み込み、しかも十分な耐久性を確保する為には、上記係合部6の強度を向上させるべく、この係合部6の厚さを大きくする事が望まれる。
これに対して、上記先発明に係る製造方法の場合には、素板の厚さの5〜40%程度厚くするのが限度であり、例えば上記係合部6を構成する連結部3の厚さt3 を、1対の側壁部2、2の厚さt2 の2倍近く、若しくは2倍を越えて厚くする事は難しい。
特開平3−172506号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、高品質の板金製ロッカーア−ムを低コストで造れる板金製ロッカーアームの製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明の板金製ロッカーアームの製造方法により造る板金製ロッカーアームは、1枚の金属材を打ち抜き成形する事により、所定の外形及び透孔を有する素板を形成し、この素板にプレス加工に基づく曲げ加工を施す事により、互いにほぼ平行な1対の側壁部とこれら両側壁部の幅方向一端縁同士を連結する連結部とを形成して成り、これら両側壁部の互いに整合する位置に形成した少なくとも1対の通孔と、上記連結部の一部に設けた、少なくとも1個の係合部とを備える。そして、この連結部のうちでこの係合部を設けた部分の厚さを、上記両側壁部の厚さよりも大きくしている。
この様な板金製ロッカーアームを製造する、本発明の板金製ロッカーアームの製造方法は、上記素板の一部で上記係合部となるべき部分に隣接する端縁から突出した突出部を、この係合部となるべき部分に向け上記素板の面方向に押圧する事により、この係合部となるべき部分の厚さを増大させる。そして、この部分の厚さを増大させた後、この部分に係合部を形成する工程を有する。尚、本明細書で面方向とは、上記素板の表裏両面に平行な方向を言う。
又、好ましくは、請求項2に記載した様に、例えばアンコイラから送り出される長尺な金属板等の1枚の金属材を、この金属材の送り出しに同期して順次打ち抜き形成する等により、この金属材の幅方向中央部に位置する連続部と、この連続部の幅方向両端縁で長さ方向に関する位相が互いに一致する部分から互いに反対方向に延出した、互いに対となる上記素板とを形成する。その後、これら対となる素板の互いに反対側端縁から突出した突出部を、互いに近づく方向に押圧する事により、これら各素板の一部の厚さを増大させる。そして、この工程の後の何れかの工程で、これら各素板を上記連続部から切り離す。
又、好ましくは、請求項3に記載した様に、上記素板の一部で係合部となるべき部分の厚さを増大させてからこの素板の中央部に透孔を形成した後、上記素板の一部でこの透孔を挟む2個所位置を同方向に折り曲げて1対の側壁部を形成するのに先立って、上記素板を焼きなます焼鈍工程を行なう。
又、好ましくは、請求項4に記載した様に、上記素板の一部で係合部となるべき部分の厚さを増大させてからこの素板の中央部に透孔を、この厚さを増大させた部分とほぼ同じ幅で、且つ上記素板の幅方向に関する位相をこの厚さを増大させた部分と一致させた状態で形成する。その後、上記素板の一部でこの透孔を挟む2個所位置を、上記厚さを増大させた部分及び上記透孔の幅方向両端縁にほぼ一致する部分で同方向に折り曲げて1対の側壁部を形成する。そして、この様に各側壁部の形成する際の折り曲げ位置を、上記厚さを増大させた部分及び上記透孔の幅方向両端縁にほぼ一致する部分とする。
更に好ましくは、請求項5に記載した様に、板金製ロッカーアームを最終形状に加工してからこの板金製ロッカーアームの表面を硬化させる為の、浸炭焼き入れ等の熱処理を行なった後、この板金製ロッカーアームに、表面の粒界酸化層を除去する為の処理工程を施す。尚、この様な粒界酸化層を除去する為の処理は、ショットブラスト、バレル加工等、メディアの様な粒状物質を上記板金製ロッカーアームの表面に衝突させる方法により行なう事が好ましい。
上述の様な本発明の板金製ロッカーアームの製造方法は、前述した先発明に係る板金製ロッカーアームの製造方法と同様に、板金製ロッカーアーム全体を1枚の金属板により一体に成形できる為、互いに別々に造った複数個の部材同士を結合する手間が不要で、工数の削減を図ると同時に、製造コストの高騰や精度の悪化を防止し、しかも、組立や位置決めの為に複雑な設備を設ける必要をなくして、高品質の板金製ロッカーア−ムを低コストで造れる。
特に、本発明の板金製ロッカーアームの場合には、係合部を設ける連結部の厚さを両側壁部の厚さよりも大幅に大きくできる。この為、厚さが均一な1枚の金属板からロッカーアームを一体成形するにも拘らず、係合部を含む連結部の厚さを、1対の側壁部の厚さよりも大幅に大きくできる。従って、この係合部を含む連結部に作用する応力を大幅に低減して、無駄な重量増大を招来する事なく、板金製ロッカーアームの強度並びに剛性を確保できる。又、上記両側壁部の厚さは、これら両側壁部に要求される強度並びに剛性を確保できるものであれば良く、必要以上に大きくする必要がない。従って、これら両側壁部の外側面同士の間隔である、上記板金製ロッカーアームの幅を小さくできて、この板金製ロッカーアームを、エンジン内部の限られた空間内に組み込む為の設計が容易になる。
この為、軽量且つ低コストで造れ、しかも十分な耐久性を有する板金製ロッカーアームの製造方法を実現して、ロッカーアームを組み込んだエンジンのコスト低減と高性能化とを図れる。
又、請求項2に記載した様に、連続部を介して互いに連結された1対の素板の互いに反対側端縁から突出した突出部を互いに近づく方向に押圧する事により、これら各素板の一部の厚さを増大させれば、この押圧作業時に上記両素板に加える力を相殺させる事ができる。この為、この押圧作業時に加えられる力を受ける部分の剛性を小さくできて、設備の簡略化、低廉化を図れる。
又、請求項3に記載した様に、素板の一部を折り曲げて1対の側壁部を形成する前にこの素板を焼きなます焼鈍工程を行なうと、上記押圧作業等に伴う加工硬化により硬くなった部分を軟化させると共に、残留応力を除去できる。この為、上記各側壁部の形成作業を容易に行なう事ができるだけでなく、折り曲げ部に亀裂等の損傷が発生するのを有効に防止できる。
又、請求項4に記載した様に、上記素板の一部で係合部となるべき厚さを増大させた部分と透孔との幅方向に関する位相及び幅を一致させると共に、上記各側壁部の形成する際の折り曲げ位置を、上記厚さを増大させた部分及び上記透孔の幅方向両端縁にほぼ一致する部分とすれば、やはり上記各側壁部の形成作業を容易に行なう事ができるだけでなく、折り曲げ部に亀裂等の損傷が発生するのを有効に防止できる。
更に、請求項5に記載した様に、板金製ロッカーアームの表面を硬化させる熱処理を行なった後、この板金製ロッカーアームに、表面の粒界酸化層を除去する為の処理工程を施せば、亀裂等の損傷の原因となる微小溝を除去して、上記板金製ロッカーアームの耐久性の向上を図れる。この場合に、粒界酸化層を除去する為の処理は、ショットブラスト、バレル加工等、メディアの様な粒状物質を上記板金製ロッカーアームの表面に衝突させる方法により行なえば、この板金製ロッカーアームの表面層部分に残留圧縮応力を生じさせて、上記亀裂等の損傷の発生を、より一層有効に防止できる。
図1〜13は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本発明の特徴は、連結部3aの片面に設けた係合部6a(図10〜11)にその基端部を突き当てた弁体を付勢するバルブスプリングの弾力を大きくし、上記係合部6aに加わる力が大きくなった場合でも、上記連結部3aの耐久性を十分に確保すべく、上記係合部6aの強度を向上させる為、上記連結部3aの厚さt3aを十分に大きくする為の方法にある。本発明の製造方法により造られる板金製ロッカーアームのその他の部分の構成は、前述の図14、20に示した先発明の板金製ロッカーアーム1と同様であるから、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
本発明の製造方法により板金製ロッカーアームを造る場合、先ず第一工程で、図1に示す様な第一素板18を造る。即ち、この第一工程では、例えば3〜4mm程度の厚さを有する炭素鋼板等、十分な剛性を有する金属板(平板材若しくはコイル材)を、図示しないプレス装置の打抜き型と受型との間に供給し、これら両型同士の間で、上記第一素板18を打ち抜き形成する。この第一素板18は、図1(A)に示す様に、正方形若しくは矩形の主部19の一端(図1の上端)縁の中央部に、正方形若しくは矩形の突出部20を形成して成る。この突出部20は、上記第一素板18の一部で、上記係合部6aとなるべき部分、即ち、図1(A)で上記主部19の上端中央部に隣接する端縁から突出している。
上述の様な第一素板18には、続く第二工程で、本発明の特徴である、据え込み加工(upsetting )と呼ばれる増圧加工を施す事により、図2に示す様な第二素板21とする。この増圧加工は、上記図1に示した突出部20を、上記係合部6aとなるべき上記主部19の一端部に向け、上記第一素板18の面方向(図1〜2の下方向)に押圧する事により行なう。即ち、上記第一素板18の主部19を、上記第二素板21の形状に見合う形状を有する、図示しない受型内にセットした状態で、上記突出部20を、やはり図示しない押型により、上記主部19に向け押圧する。上記受型は、上記主部19を密に内嵌自在で、上記係合部6aに見合う部分の空間の厚さのみ、この係合部6aの厚さ寸法に見合う分だけ大きくなっている。この様な受型内に上記第一素板18の主部19をセットした状態で、上記突出部20を上記押型によりこの主部19に強く押圧すれば、上記係合部6aとなるべき部分である、この主部19の一端中央部の厚さが増大して、図2に示す様な第二素板21を得られる。この第二素板21は、上記主部19の一端中央部で上記係合部6aとなるべき部分に、他の部分よりも厚さ寸法が大きくなった、厚肉部22が形成されたものである。
尚、上記上記第二工程で上記突出部20を上記主部19に向けて強く押圧する際に、図3に示す様に、1対の第一素板18、18の互いに反対側端縁から突出した突出部20、20を、互いに近づく方向に押圧すれば、この押圧作業時に加えられる力を受ける部分、即ち上記受型を支持する部分の剛性を小さくできて、設備の簡略化、低廉化を図れる。
即ち、図示しないアンコイラから送り出される長尺な1枚の金属材を、この金属材の送り出しに同期して順次打ち抜き形成する事により、この金属材の幅方向中央部に位置する連続部23と、この連続部23の幅方向(図3の左右方向)両端縁で長さ方向(図3の上下方向)に関する位相が互いに一致する部分から互いに反対方向に突出した、互いに対となる上記第一素板18、18とを形成する。その後、これら対となる第一素板18、18の互いに反対側端縁から突出した突出部20、20を、互いに近づく方向に押圧する事により、これら各第一素板18、18の一部の厚さを増大させて、上記第二素板21、21とする。そして、この厚さを増大させる工程の後に行なわれる何れかの工程で、これら各第二素板21、21を、上記連続部23から切り離す。
この様にして上記各第一素板18、18を上記各第二素板21、21に加工すれば、これら各第一素板18、18の主部19、19をセットする受型の支持剛性を低くしても、これら各受型が動かない様にできる。即ち、これら各受型同士を、直接又は他の結合部材を介して互いに突き合わせておけば、上記各押型から上記各第一素板18、18を介して上記各受型に伝わった力が互いに相殺される。従って、前述した通り、上記各受型を支持する部分の剛性を小さくできて、設備の簡略化、低廉化を図れる。尚、この様な技術は、板金製ロッカーアームの製造に限らず、据え込み加工により金属板の一部の厚さを大きくして各種物品を製作する、各種物品の製造方法に適用できる。又、1対の素板が連結部等の結合部の両側に互いに対称に設けられていれば良く、必ずしもアンコイラから送り出された長尺な金属板を打ち抜いたものである必要はない。
何れにしても、上述の様にして造った、図2に示す様な第二素板21には、続く第三工程でプレスによる打ち抜き加工(ピアス加工)を施して、図4に示す様な第三素板24とする。即ち、上記第三工程では、上記第二素板21の中央部に鼓形の透孔11を、前記厚肉部22とほぼ同じ幅で、且つ上記第二素板21の幅方向に関する位相をこの厚肉部22と一致させた状態で形成する。
上述の様にして造った、上記第三素板24は、上記透孔11の周縁部に存在するバリを除去する為の面押し加工(チャンファリング)を施した後、続く第四工程で、上記主部19の周縁部の余分な部分を除去する切除加工(トリミング・カットオフ)を施し、図5に示す様な第四素板25とする。この第四素板25の形状は、既に前記係合部6aとなるべき連結部3aの肉厚が大きくなっている以外、前述の先発明に於ける第二素板12(図16)の形状とほぼ同じである。
以上の工程を行なう為のプレス加工装置の構造は、特に限定しないが、加工能率を高める面からは、図1に示した第一素板18を図5に示した第四素板25にまで加工する工程を、順送プレスにより行なう事が好ましい。複数の工程分を一体にした型を使用する順送プレスの場合には、工程の進行に伴う被加工物の送り量を少なくできる為、加工能率を向上させる事ができる。これに対して、後述する図6〜13に示した曲げ加工は、トランスファプレスにより行なう事が好ましい。各工程に使用する型を互いに別体とするトランスファプレスは、工程の進行に伴う被加工物の送り量が多くなる為、加工能率を高くする事が難しくなる代わりに、型の製造が容易となり、設備費の低廉化によるコスト低減を図れる。
上述の様にして造った、上記第四素板25には、外周縁部に存在するバリを除去する為の面押し加工を施した後、この第四素板25を焼きなます焼鈍工程を施す。この第四素板25にこの様な焼鈍工程を施せば、上記厚肉部22を形成する為の押圧作業等に伴う加工硬化により硬くなった部分を軟化させると共に、この押圧作業等に伴って上記第四素板25内に生じた残留応力を除去できる。この為、続く工程で各側壁部2、2(図8〜13)の形成作業を容易に行なう事ができるだけでなく、折り曲げ部に亀裂等の損傷が発生するのを有効に防止できる。尚、上記第四素板25には、必要に応じ、上記焼鈍工程に加えて、友ずり(複数の第四素板同士の擦り合わせ)、バレル加工等を施して、焼鈍加工に伴って表面に生じたスケールを落とすと共に、縁部に残留しているバリを除去する。
上述の様に、上記第四素板25を焼きなましたならば、前述した先発明の場合と同様に、この第四素板25の幅方向両端部を同方向に向け折り曲げて、互いに平行な1対の側壁部2、2を形成する。この折り曲げ加工は、前述した様に、図示しないトランスファプレスにより、図6〜7に示す様に行なう。この折り曲げ加工の際、折り曲げ位置(折り曲げの内周側隅角部)を、上記第四素板25の一部で前記透孔11を挟む2個所位置、即ち、図8に鎖線α´、α´で示す、この透孔11及び上記厚肉部22の幅方向両端縁にほぼ一致する位置とする。即ち、上記第四素板25の幅方向両端部を、上記両鎖線α´、α´を内周側角部として同方向に折り曲げて上記1対の側壁部2、2を形成し、図7に示す様な第一中間素材26とする。
この第一中間素材26を造る際に、上述の様に上記各側壁部2、2の形成する際の折り曲げ位置を、上記図8の鎖線α´、α´に示す様に、上記透孔11及び厚肉部22の幅方向両端縁にほぼ一致する位置としている為、上記各側壁部2、2の形成作業を容易に行なう事ができるだけでなく、折り曲げ部に亀裂等の損傷が発生するのを有効に防止できる。
又、得られた上記第一中間素材26のうち、上記厚肉部22に対応する連結部3aの幅W3aは、図9(A)に示す様に、上記第一中間素材26を構成する1対の側壁部2、2同士の間隔D2 よりも大きく、この第一中間素材26の幅W26以下(W26≧W3a>D2 )となる。この様に連結部3aの幅W3aを1対の側壁部2、2同士の間隔D2 よりも大きくする事で、この連結部3aに形成した係合部6aの厚さ方向に大きな力が作用しても、この係合部6aに亀裂等の損傷が発生しにくくできる。これに対して、上記各側壁部2、2を曲げ加工した後、上記連結部3aに対応する部分に据え込み加工による増圧加工を施すと、図9(B)に示す様に、厚肉部22aの幅が1対の側壁部2、2同士の間隔D2 よりも小さくなる為、この厚肉部22aに形成した係合部に大きな力が加わった場合に、十分な耐久性を確保しにくくなる。
上述の様な第一中間素材26の連結部3aには、図10〜11に示す様にして係合部6aを形成して第二中間素材27とすると共に、図12〜13に示す様にして第二の連結部4に第二の係合部7を形成して第三中間素材28とする。係合部6aを形成する作業と第二の係合部7を形成する作業との前後は問わない。又、上記1対の側壁部2、2の互いに整合する位置に円孔5、5(図14、20)を形成して、板金製ロッカーアームの最終形状とする。
この様にして板金製ロッカーアームを最終形状に加工してから、この板金製ロッカーアームの表面を硬化させる為の、浸炭焼き入れ等の熱処理を行なう。そして、この熱処理の後、この板金製ロッカーアームに、表面の粒界酸化層を除去する為の処理工程を施す。この様な粒界酸化層を除去する為の処理は、ショットブラスト、バレル加工等、メディアの様な粒状物質を上記板金製ロッカーアームの表面に衝突させる方法により行なう。
この様に、板金製ロッカーアームの表面を硬化させる熱処理を行なった後、この板金製ロッカーアームに、表面の粒界酸化層を除去する為の処理工程を施せば、亀裂等の損傷の原因となる微小溝を除去して、上記板金製ロッカーアームの耐久性の向上を図れる。即ち、上記粒界酸化層の表面には微小溝が存在する為、この粒界酸化層をそのまま残した場合には、使用時にこの微小溝から亀裂等の損傷が発生し易くなる。そこで、上記処理により上記粒界酸化層と共に上記微小溝を除去して、上記損傷が発生しにくくする。尚、粒界酸化層を除去する為の処理を、ショットブラスト、バレル加工等、メディアの様な粒状物質を上記板金製ロッカーアームの表面に衝突させる方法により行なえば、この板金製ロッカーアームの表面層部分に残留圧縮応力を生じさせて、上記亀裂等の損傷の発生を、より一層有効に防止できる。
この様にして造った板金製ロッカーアームには、使用時に弁体の基端部を突き当てる前記係合部6aの表面、及び使用時にラッシュアジャスタの先端部を突き当てる前記第二の係合部7の表面に、研摩等の必要な仕上加工を施した後、枢軸及びローラを組み付ける。尚、本発明の特徴である増厚方法によれば、バルブ係合部だけでなく、他の係合部も板厚を大きくできる。従って、ピボット係合部にねじ孔を設けると共にこのねじ孔にアジャストねじを螺合させる、メカニカルアジャスト型の板金製ロッカーアームで、上記ねじ孔とアジャストねじとの螺合長さを確保して、当該部分の強度を大きくできる。
本発明の実施の形態の1例の最初の工程で造られる第一素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)の側方から見た図。 続く工程で造られる第二素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)の側方から見た図。 第二素板を加工する状態の別例を示す平面図。 続く工程で造られる第三素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)の側方から見た図。 続く工程で造られる第四素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)の側方から見た図。 続く工程で第一中間素材を造る途中の状態を示す端面図。 得られた第一中間素材を示しており、(A)は端面図、(B)は側面図。 第四素板から第一中間素材を造る際の折り曲げ位置を示す平面図。 折り曲げ加工と増圧加工との前後が厚肉部の幅に及ぼす影響を示す為の、第一中間素材の端面図。 第二中間素材を得る途中の状態を示す端面図。 得られた第二中間素材を示す端面図。 第三中間素材を得る途中の状態を示す断面図。 得られた第三中間素材を示しており、(A)は断面図、(B)は側面図。 先発明に係る板金製ロッカーアームの斜視図。 先発明の第一工程により得られる第一素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第二工程により得られる第二素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第三工程により得られる第一中間素材を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第四工程により得られる第二中間素材を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第五工程により造られる第三中間素材を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第六工程を経て完成した板金製ロッカーアームを示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。
符号の説明
1 板金製ロッカーアーム
2 側壁部
3、3a 連結部
4 第二の連結部
5 円孔
6、6a 係合部
7 第二の係合部
8 第一素板
9 基部
10 翼状部
11 透孔
12 第二素板
13 舌状部
14 切り欠き部
15 湾曲部
16 第一中間素材
17 第二中間素材
18 第一素板
19 主部
20 突出部
21 第二素板
22、22a 厚肉部
23 連続部
24 第三素板
25 第四素板
26 第一中間素材
27 第二中間素材
28 第三中間素材
この発明は、エンジンの動弁機構に組み込み、カムシャフトの回転を弁体(吸気弁及び排気弁)の往復運動に変換する為のロッカーアームのうち、金属板にプレス加工を施す事により造る、板金製ロッカーアームの製造方法の改良に関する。
レシプロエンジン(往復ピストンエンジン)には、一部の2サイクルエンジンを除き、クランクシャフトの回転と同期して開閉する吸気弁及び排気弁を設けている。この様なレシプロエンジンでは、上記クランクシャフトの回転と同期して(4サイクルエンジンの場合には1/2の回転速度で)回転するカムシャフトの動きを、ロッカーアームにより、上記吸気弁及び排気弁に伝達し、これら吸気弁及び排気弁をそれぞれの軸方向に往復運動させる。
従来は、この様なエンジンの動弁機構に組み込むロッカーアームを、鋳造品(鋳鉄品或はアルミニウムダイキャスト品)とする事が一般的であった。ところが、鋳造品は重量が嵩んだり(鋳鉄品の場合)、或は十分に強度を確保する為には容積が嵩張る(アルミニウムダイキャスト品の場合)。又、一般的にはロストワックス法により造る為、製造コストが嵩む事も避けられない。この為に近年、鋼板等の金属板にプレス加工を施す事により上記ロッカーアームを造る事が考えられ、一部で実施されている。
この様な事情で考えられた板金製ロッカーアームの製造方法として従来から、例えば特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された製造方法は、プレス加工により1枚の金属板からプレス加工を主体とする一体成形により、板金製ロッカーアームを造る。この為、得られた板金製ロッカーアームは、全面に亙りほぼ均一な厚さを有する。
これに対して従来から、それぞれを金属板にプレス加工を施す事により形成した、2個又は3個の部材を溶接により結合固定したロッカーアームも知られている。従来知られている構造では、これら各部材の板厚は総て同じであるが、この様に複数個の部材を組み合わせて成る板金製ロッカーアームの場合には、ピボット部及びバルブ係合部を含む連結部の厚さを、各側壁部の厚さよりも大きくできる。
上述した様な従来技術のうち、特許文献1に記載された、1枚の金属板から板金製ロッカーアームを一体に造る技術の場合には、造られた板金製ロッカーアームの厚さは、ほぼ全面に亙り均一になる為、使用時に大きな力を受けるバルブ係合部の近傍部分が他の部分に比べて、強度的に不利になり、剛性も低くなる場合がある。上記バルブ係合部の近傍部分の強度及び剛性を十分に確保すべく、板金製ロッカーアームを造る為の金属板の厚さを大きくすると、他の部分の厚さが、本来必要とする以上に大きくなり、板金製ロッカーアームの小型・軽量化を十分に図れないだけでなく、材料費も嵩む原因となる。
これに対して、それぞれを金属板にプレス加工を施す事により形成した2個又は3個の部材を溶接により結合固定した板金製ロッカーアームの場合には、バルブ係合部を含む連結部の厚さを、側壁部等他の部分の厚さよりも大きくできる反面、複数個の部材を別々に製造した後、これら各部材同士を組み付け、溶接により接合する必要がある。この為、加工工数が増大し、しかも部品管理の手間を要する。更に、各部材を組み付ける際の位置決め等の為に、複雑且つ精密な設備を必要とする為、加工工数の増大と部品管理の手間を要する事と合わせて、コストが嵩む事が避けられない。しかも、得られた板金製ロッカーアームの品質(精度)が、一体構造のものに比べると劣る場合が多い。
上述の様な問題を解決できる技術として、特願平11−63515号には、図14〜20に示す様な、板金製ロッカーアームとその製造方法とに関する発明が記載されている。この先発明に係る板金製ロッカーアーム1は、図14に示す様に、互いにほぼ平行な1対の側壁部2、2と、これら両側壁部2、2の幅方向一端縁同士を連結する連結部3及び第二の連結部4とを有する。又、これら両側壁部2、2の長さ方向中間部に1対の円孔5、5を、互いに同心に形成し、これら両円孔5、5に、カムと係合するローラを回転自在に支持する為の支持軸の両端部を支持自在としている。上記連結部3及び第二の連結部4のうち、連結部3の片面には、弁体の基端部を突き当てる為の係合部6を、第二の連結部4に、ラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の第二の係合部7を、それぞれ形成している。
上記係合部6と第二の係合部7とのうち、係合部6は、上記連結部3の幅方向中間部の片面に、この連結部3の幅方向中間部を厚さ方向に塑性変形させる事により、この連結部3の他の部分よりも凹んだ凹溝状に形成している。これに対して、上記第二の係合部7は、上記第二の連結部4の中央部を厚さ方向に塑性変形させる事により、球状凹面として成る。
上述の様な板金製ロッカーアーム1を造る場合、先ず第一工程で、図15に示す様な第一素板8を造る。即ち、この第一工程では、例えば3〜4mm程度の厚さを有する炭素鋼板等、十分な剛性を有する金属板(平板材若しくはコイル材)を、図示しないプレス装置の打抜き型と受型との間に供給し、これら両型同士の間で、上記第一素板8を打ち抜き形成する。
この第一素板8は、図15(A)に示す様に、角を丸めた菱形の長さ方向一端部{図15(A)の右端部}を切除した如き形状と、t8 なる厚さ{図15(B)}とを有する。この様な第一素板8の幅方向{図15(A)の上下方向}中央部の、図15(A)に記載した2本の鎖線α、αよりも少し内側部分(幅方向中央寄り部分)で幅W9 なる部分を、上記第一素板8の長さ方向{図15(A)の左右方向}に連続する基部9としている。そして、この基部9の幅方向の両側に、それぞれが略三角形である、1対の翼状部10、10を設けている。
上述の様な第一素板8の中央部には、続く第二工程で、図16(A)に示す様に透孔11を形成して、第二素板12とする。この透孔11の形状は、大略鼓形で、幅方向両側縁の長さ方向中央部に、互いに近づく方向に突出した、それぞれが部分円弧状である、1対の舌状部13、13を形成している。これら両舌状部13、13はそれぞれ、後述するローラを回転自在に支持する為の支持軸の両端部を支持する為の円孔5、5(図14、20参照)を形成する為に設ける。又、上記透孔11の四隅部分には、それぞれが略半円形である切り欠き部14、14を形成している。これら各切り欠き部14、14は、次の第三工程で、上記基部9を断面円弧状に湾曲させて湾曲部15(図17参照)を形成する際に、湾曲作業を行ない易くする為に形成する。
上述の様な第二素板12は、図示しないプレス加工装置に組み込んだ、プレス装置の打抜き型と受型との間に上記第一素板8を供給し、これら両型同士の間で上記透孔11を打ち抜く事により形成する。尚、前記第一素板8及び上記第二素板12の基部9の幅W9 は、次に述べる第三工程で形成する1対の側壁部2、2の外側面同士の間隔である、第一中間素材16の幅W16(図17参照)よりも大きくしている(W9 >W16)。この様に、基部9の幅W9 を第一中間素材16の幅W16よりも大きくした事に伴って、上記1対の舌状部13、13同士の間隔D13も大きくしている。
この様に、上記1対の舌状部13、13同士の間隔D13を大きくすると、上記透孔11を打ち抜く為の打抜き型の寿命を確保できる。即ち、透孔の中央部の幅が狭いと、この透孔を打抜き加工する為の打抜き型にかかる負担が大きく、この打ち抜き型の寿命が短くなる。これに対して、上記透孔11の中央部の幅である、上記1対の舌状部13、13同士の間隔D13を大きくすると、上記透孔11を形成する為の打抜き型の負担が軽減し、この打ち抜き型の耐久性を確保して、コスト低減を図れる。
尚、第二素板12を形成する順序は、上述した第二工程で行なうとした透孔11の打抜き形成を始めに行ない、次に、前述した第一工程で行なうとした、基部9及び翼状部10、10の打抜き形成を行なっても良い。更には、打ち抜き型及び受型の加工が可能で、プレス装置の容量が十分であれば、素材となる金属板から、直接図16に示す様な第二素板12を形成しても良い。
何れにしても、図16に示す様な形状に加工した、上記第二素板12は、続く第三工程で、図17に示す様な第一中間素材16とする。この第三工程では、上記第二素板12を、図示しないプレス装置に組み付けた押型と受型との間に供給して強く押圧し、上記第二素板12の基部9及び翼状部10、10に曲げ加工を施す。そして、上記第二素板12を、幅方向に関して左右1対の側壁部2、2と、これら両側壁部2、2の幅方向{図17(C)(D)の左右方向}端縁同士を連結する湾曲部15とから成る、上記第一中間素材16とする。この湾曲部15は、この第一中間素材16の長さ方向{図17(A)の左右方向}中間部で、上記透孔11に対応する部分が不連続な、半円筒状に形成されている。この様に、透孔11部分で2分割された上記湾曲部15のうち、一端側{図17(A)(B)の右端側}が弁体の基端部を突き当てる為の係合部6(図14、19、20参照)になり、他端側{図17(A)(B)の左端側}がラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の第二の係合部7(図14、19、20参照)となる。
前述した通り、上記1対の側壁部2、2の外側面同士の間隔である、上記第一中間素材16の幅W16は、前述した第一、第二素板8、12の基部9の幅W9 より小さくしている。即ち、上記第一中間素材16に於いて、上記1対の側壁部2、2の幅方向端縁同士を連結する為の連結部としての役目を有する上記湾曲部15は、図17(C)(D)に示す様に、略半円筒状に形成している。この様に略半円筒状の湾曲部15を形成し、この湾曲部15の元となる、前述した平板状の基部9の幅W9 よりもこの湾曲部15の幅を小さくする為、この基部9の幅W9 を、上記第一中間素材16に設けられる左右1対の側壁部2、2である、上記第一中間素材16の幅W16よりも大きく(W9 >W16)でき、前述した舌状部13、13同士の間隔D13を大きくできる。上述した様な第三工程により得られる、図17に示す様な第一中間素材16を構成する上記湾曲部15の厚さt15は、前記第一素板8の厚さt8 とほぼ同じ(t15≒t8 )である。
尚、上記湾曲部15のうち、少なくとも弁体の基端部を突き当てる為の係合部6を構成する為の一端側部分には、次述する第四工程で押圧加工を施して、厚さを大きくする。又、上記第一中間素材16には、上記湾曲部15を形成すると同時に、左右1対の側壁部2、2も同時に形成する。即ち、上記湾曲部15を形成するのに伴って、前記第一、第二素板8、12の幅方向両端部に形成した翼状部10、10及び中央部の透孔11の内側縁部に設けた舌状部13、13を起立させて、互いにほぼ平行な、上記1対の側壁部2、2とする。
上述の様にして構成した、上記第一中間素材16には、続く第四工程で湾曲部15に押圧加工を施し、図18に示す様な第二中間素材17とする。即ち、上記第四工程では、上記湾曲部15を平板状に加工すると共に厚さを増大させて、図18に示す様に、上記第一素板8の厚さt8 {図15(B)参照}よりも大きな厚さt3 、t4 (t8 <t3 、t4 )を有する連結部3及び第二の連結部4とする。
上記第四工程は、上記第一中間素材16の湾曲部15を、押圧加工用の押型と受型との間にセットした状態で加圧する冷間鍛造により行ない、上記湾曲部15を塑性変形させる。この結果、平板状の上記連結部3及び第二の連結部4が形成される。この様に、湾曲部15を塑性変形させて連結部3及び第二の連結部4とする際、断面円弧状の湾曲部15が平板状の連結部3及び第二の連結部4になる分、厚さがt3 、t4 にまで増大する。尚、図示の例では、一端側に設けた連結部3だけでなく、他端側に設けた第二の連結部4も厚さを大きくしている。但し、板金製ロッカーアームの使用時に特に大きな応力が加わるのは、弁体の基端部を突き当てる係合部6を設ける、連結部3の側である。従って、上記第二の連結部4の他側は、必ずしも厚さを増大させる必要はない。
上記第四工程で、第一中間素材16に比較的厚肉の連結部3及び第二の連結部4を形成して第二中間素材17としたならば、次の第五工程でこれら連結部3及び第二の連結部4に塑性加工若しくは切削加工、更には必要とする研削加工を施す。即ち、図19に示す様に、上記連結部3に、図示しない弁体の基端部を突き当てる為の係合部6を形成する。又、上記第二の連結部4に、図示しないラッシュアジャスタの先端部を突き当てる為の第二の係合部7を形成する。この様な第五工程では、上記第二中間素材17の連結部3を、図示しない鍛造加工機の押型と受型との間にセットして、この連結部3に冷間鍛造を施す事により、図19(A)(B)(D)に示す様な、凹溝状でその底面が凸に湾曲した係合部6を形成する。又、上記第二の連結部4を、図示しない別の鍛造加工機の押型と受型との間にセットして、この第二の連結部4に冷間鍛造を施す事により、図19(A)(B)(C)に示す様な、球状凹孔である第二の係合部7を形成する。この様な第五工程により、前記第一素板8の厚さよりも大きな厚さを有する上記連結部3及び第二の連結部4に係合部6及び第二の係合部7を設けた、第三中間素材19となる。
この様にして得られた第三中間素材19には、次の第六工程で、1対の側壁部2、2の中間部で互いに整合する位置に、それぞれ円孔5、5を、プレス加工、或は旋削加工により形成して、図14、20に示す様な板金製ロッカーアーム1として完成する。これら両円孔5、5は、前述した様に、ローラを回転自在に支持する為の支持軸の両端部を支持する為のものである。即ち、上記両円孔5、5に両端部を支持した支持軸の中間部周囲にローラを回転自在に支持すると共に、このローラの外周面をカムの外周面に当接させて、カムシャフトの回転運動を上記板金製ロッカーアーム1の揺動運動に変換自在とする。
上述の様な先発明に係る板金製ロッカーアーム及びその製造方法は、ロッカーアームの強度や剛性の向上を図れるだけでなく、工数及び部品点数の削減により、コストの低減、精度の向上、設備の簡略化を図れる為、高品質の板金製ロッカーアームを低コストで実現できる。
但し、より出力の大きなエンジンへの組み付けを可能にすべく、より大きな強度を得る為には、弁体の基端部を突き当てる係合部6の厚さをより大きくする事が望まれており、この場合には、上記先発明に係る板金製ロッカーアームの製造方法では対応する事が難しい。
即ち、使用時に上記係合部6に加わる力は、エンジンの出力を高くすべく、この係合部にその基端部を突き当てた弁体を付勢するバルブスプリングの弾力を大きくする程大きくなる。従って、板金製ロッカーアームを高出力エンジンに組み込み、しかも十分な耐久性を確保する為には、上記係合部6の強度を向上させるべく、この係合部6の厚さを大きくする事が望まれる。
これに対して、上記先発明に係る製造方法の場合には、素板の厚さの5〜40%程度厚くするのが限度であり、例えば上記係合部6を構成する連結部3の厚さt3 を、1対の側壁部2、2の厚さt2 の2倍近く、若しくは2倍を越えて厚くする事は難しい。
特開平3−172506号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、高品質の板金製ロッカーア−ムを低コストで造れる板金製ロッカーアームの製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明の板金製ロッカーアームの製造方法により造る板金製ロッカーアームは、1枚の金属材を打ち抜き成形する事により、所定の外形及び透孔を有する素板を形成し、この素板にプレス加工に基づく曲げ加工を施す事により、互いにほぼ平行な1対の側壁部とこれら両側壁部の幅方向一端縁同士を連結する連結部とを形成して成り、これら両側壁部の互いに整合する位置に形成した少なくとも1対の通孔と、上記連結部の一部に設けた、少なくとも1個の係合部とを備える。そして、この連結部のうちでこの係合部を設けた部分の厚さを、上記両側壁部の厚さよりも大きくしている。
この様な板金製ロッカーアームを製造する、本発明の板金製ロッカーアームの製造方法は、上記素板の一部で上記係合部となるべき部分に隣接する端縁から突出した突出部を、この係合部となるべき部分に向け上記素板の面方向に押圧する事により、この係合部となるべき部分の厚さを増大させる。そして、この部分の厚さを増大させた後、この素板に透孔を形成する工程と、この部分の厚さを増大させた後、この部分に係合部を形成する工程を有する。尚、本明細書及び特許請求の範囲で面方向とは、上記素板の表裏両面に平行な方向を言う。
上述の様な本発明の板金製ロッカーアームの製造方法は、前述した先発明に係る板金製ロッカーアームの製造方法と同様に、板金製ロッカーアーム全体を1枚の金属板により一体に成形できる為、互いに別々に造った複数個の部材同士を結合する手間が不要で、工数の削減を図ると同時に、製造コストの高騰や精度の悪化を防止し、しかも、組立や位置決めの為に複雑な設備を設ける必要をなくして、高品質の板金製ロッカーア−ムを低コストで造れる。
特に、本発明の板金製ロッカーアームの場合には、係合部を設ける連結部の厚さを両側壁部の厚さよりも大幅に大きくできる。この為、厚さが均一な1枚の金属板からロッカーアームを一体成形するにも拘らず、係合部を含む連結部の厚さを、1対の側壁部の厚さよりも大幅に大きくできる。従って、この係合部を含む連結部に作用する応力を大幅に低減して、無駄な重量増大を招来する事なく、板金製ロッカーアームの強度並びに剛性を確保できる。又、上記両側壁部の厚さは、これら両側壁部に要求される強度並びに剛性を確保できるものであれば良く、必要以上に大きくする必要がない。従って、これら両側壁部の外側面同士の間隔である、上記板金製ロッカーアームの幅を小さくできて、この板金製ロッカーアームを、エンジン内部の限られた空間内に組み込む為の設計が容易になる。
この為、軽量且つ低コストで造れ、しかも十分な耐久性を有する板金製ロッカーアームの製造方法を実現して、ロッカーアームを組み込んだエンジンのコスト低減と高性能化とを図れる。
図1〜13は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本発明の特徴は、連結部3aの片面に設けた係合部6a(図10〜11)にその基端部を突き当てた弁体を付勢するバルブスプリングの弾力を大きくし、上記係合部6aに加わる力が大きくなった場合でも、上記連結部3aの耐久性を十分に確保すべく、上記係合部6aの強度を向上させる為、上記連結部3aの厚さt3aを十分に大きくする為の方法にある。本発明の製造方法により造られる板金製ロッカーアームのその他の部分の構成は、前述の図14、20に示した先発明の板金製ロッカーアーム1と同様であるから、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
本発明の製造方法により板金製ロッカーアームを造る場合、先ず第一工程で、図1に示す様な第一素板18を造る。即ち、この第一工程では、例えば3〜4mm程度の厚さを有する炭素鋼板等、十分な剛性を有する金属板(平板材若しくはコイル材)を、図示しないプレス装置の打抜き型と受型との間に供給し、これら両型同士の間で、上記第一素板18を打ち抜き形成する。この第一素板18は、図1(A)に示す様に、正方形若しくは矩形の主部19の一端(図1の上端)縁の中央部に、正方形若しくは矩形の突出部20を形成して成る。この突出部20は、上記第一素板18の一部で、上記係合部6aとなるべき部分、即ち、図1(A)で上記主部19の上端中央部に隣接する端縁から突出している。
上述の様な第一素板18には、続く第二工程で、本発明の特徴である、据え込み加工(upsetting )と呼ばれる増圧加工を施す事により、図2に示す様な第二素板21とする。この増圧加工は、上記図1に示した突出部20を、上記係合部6aとなるべき上記主部19の一端部に向け、上記第一素板18の面方向(図1〜2の下方向)に押圧する事により行なう。即ち、上記第一素板18の主部19を、上記第二素板21の形状に見合う形状を有する、図示しない受型内にセットした状態で、上記突出部20を、やはり図示しない押型により、上記主部19に向け押圧する。上記受型は、上記主部19を密に内嵌自在で、上記係合部6aに見合う部分の空間の厚さのみ、この係合部6aの厚さ寸法に見合う分だけ大きくなっている。この様な受型内に上記第一素板18の主部19をセットした状態で、上記突出部20を上記押型によりこの主部19に強く押圧すれば、上記係合部6aとなるべき部分である、この主部19の一端中央部の厚さが増大して、図2に示す様な第二素板21を得られる。この第二素板21は、上記主部19の一端中央部で上記係合部6aとなるべき部分に、他の部分よりも厚さ寸法が大きくなった、厚肉部22が形成されたものである。
尚、上記第二工程で上記突出部20を上記主部19に向けて強く押圧する際に、図3に示す様に、1対の第一素板18、18の互いに反対側端縁から突出した突出部20、20を、互いに近づく方向に押圧すれば、この押圧作業時に加えられる力を受ける部分、即ち上記受型を支持する部分の剛性を小さくできて、設備の簡略化、低廉化を図れる。
即ち、図示しないアンコイラから送り出される長尺な1枚の金属材を、この金属材の送り出しに同期して順次打ち抜き形成する事により、この金属材の幅方向中央部に位置する連続部23と、この連続部23の幅方向(図3の左右方向)両端縁で長さ方向(図3の上下方向)に関する位相が互いに一致する部分から互いに反対方向に突出した、互いに対となる上記第一素板18、18とを形成する。その後、これら対となる第一素板18、18の互いに反対側端縁から突出した突出部20、20を、互いに近づく方向に押圧する事により、これら各第一素板18、18の一部の厚さを増大させて、上記第二素板21、21とする。そして、この厚さを増大させる工程の後に行なわれる何れかの工程で、これら各第二素板21、21を、上記連続部23から切り離す。
この様にして上記各第一素板18、18を上記各第二素板21、21に加工すれば、これら各第一素板18、18の主部19、19をセットする受型の支持剛性を低くしても、これら各受型が動かない様にできる。即ち、これら各受型同士を、直接又は他の結合部材を介して互いに突き合わせておけば、上記各押型から上記各第一素板18、18を介して上記各受型に伝わった力が互いに相殺される。従って、前述した通り、上記各受型を支持する部分の剛性を小さくできて、設備の簡略化、低廉化を図れる。尚、この様な技術は、板金製ロッカーアームの製造に限らず、据え込み加工により金属板の一部の厚さを大きくして各種物品を製作する、各種物品の製造方法に適用できる。又、1対の素板が連結部等の結合部の両側に互いに対称に設けられていれば良く、必ずしもアンコイラから送り出された長尺な金属板を打ち抜いたものである必要はない。
何れにしても、上述の様にして造った、図2に示す様な第二素板21には、続く第三工程でプレスによる打ち抜き加工(ピアス加工)を施して、図4に示す様な第三素板24とする。即ち、上記第三工程では、上記第二素板21の中央部に鼓形の透孔11を、前記厚肉部22とほぼ同じ幅で、且つ上記第二素板21の幅方向に関する位相をこの厚肉部22と一致させた状態で形成する。
上述の様にして造った、上記第三素板24は、上記透孔11の周縁部に存在するバリを除去する為の面押し加工(チャンファリング)を施した後、続く第四工程で、上記主部19の周縁部の余分な部分を除去する切除加工(トリミング・カットオフ)を施し、図5に示す様な第四素板25とする。この第四素板25の形状は、既に前記係合部6aとなるべき連結部3aの肉厚が大きくなっている以外、前述の先発明に於ける第二素板12(図16)の形状とほぼ同じである。
以上の工程を行なう為のプレス加工装置の構造は、特に限定しないが、加工能率を高める面からは、図1に示した第一素板18を図5に示した第四素板25にまで加工する工程を、順送プレスにより行なう事が好ましい。複数の工程分を一体にした型を使用する順送プレスの場合には、工程の進行に伴う被加工物の送り量を少なくできる為、加工能率を向上させる事ができる。これに対して、後述する図6〜13に示した曲げ加工は、トランスファプレスにより行なう事が好ましい。各工程に使用する型を互いに別体とするトランスファプレスは、工程の進行に伴う被加工物の送り量が多くなる為、加工能率を高くする事が難しくなる代わりに、型の製造が容易となり、設備費の低廉化によるコスト低減を図れる。
上述の様にして造った、上記第四素板25には、外周縁部に存在するバリを除去する為の面押し加工を施した後、この第四素板25を焼きなます焼鈍工程を施す。この第四素板25にこの様な焼鈍工程を施せば、上記厚肉部22を形成する為の押圧作業等に伴う加工硬化により硬くなった部分を軟化させると共に、この押圧作業等に伴って上記第四素板25内に生じた残留応力を除去できる。この為、続く工程で各側壁部2、2(図8〜13)の形成作業を容易に行なう事ができるだけでなく、折り曲げ部に亀裂等の損傷が発生するのを有効に防止できる。尚、上記第四素板25には、必要に応じ、上記焼鈍工程に加えて、友ずり(複数の第四素板同士の擦り合わせ)、バレル加工等を施して、焼鈍加工に伴って表面に生じたスケールを落とすと共に、縁部に残留しているバリを除去する。
上述の様に、上記第四素板25を焼きなましたならば、前述した先発明の場合と同様に、この第四素板25の幅方向両端部を同方向に向け折り曲げて、互いに平行な1対の側壁部2、2を形成する。この折り曲げ加工は、前述した様に、図示しないトランスファプレスにより、図6〜7に示す様に行なう。この折り曲げ加工の際、折り曲げ位置(折り曲げの内周側隅角部)を、上記第四素板25の一部で前記透孔11を挟む2個所位置、即ち、図8に鎖線α´、α´で示す、この透孔11及び上記厚肉部22の幅方向両端縁にほぼ一致する位置とする。即ち、上記第四素板25の幅方向両端部を、上記両鎖線α´、α´を内周側角部として同方向に折り曲げて上記1対の側壁部2、2を形成し、図7に示す様な第一中間素材26とする。
この第一中間素材26を造る際に、上述の様に上記各側壁部2、2の形成する際の折り曲げ位置を、上記図8の鎖線α´、α´に示す様に、上記透孔11及び厚肉部22の幅方向両端縁にほぼ一致する位置としている為、上記各側壁部2、2の形成作業を容易に行なう事ができるだけでなく、折り曲げ部に亀裂等の損傷が発生するのを有効に防止できる。
又、得られた上記第一中間素材26のうち、上記厚肉部22に対応する連結部3aの幅W3aは、図9(A)に示す様に、上記第一中間素材26を構成する1対の側壁部2、2同士の間隔D2 よりも大きく、この第一中間素材26の幅W26以下(W26≧W3a>D2 )となる。この様に連結部3aの幅W3aを1対の側壁部2、2同士の間隔D2 よりも大きくする事で、この連結部3aに形成した係合部6aの厚さ方向に大きな力が作用しても、この係合部6aに亀裂等の損傷が発生しにくくできる。これに対して、上記各側壁部2、2を曲げ加工した後、上記連結部3aに対応する部分に据え込み加工による増圧加工を施すと、図9(B)に示す様に、厚肉部22aの幅が1対の側壁部2、2同士の間隔D2 よりも小さくなる為、この厚肉部22aに形成した係合部に大きな力が加わった場合に、十分な耐久性を確保しにくくなる。
上述の様な第一中間素材26の連結部3aには、図10〜11に示す様にして係合部6aを形成して第二中間素材27とすると共に、図12〜13に示す様にして第二の連結部4に第二の係合部7を形成して第三中間素材28とする。係合部6aを形成する作業と第二の係合部7を形成する作業との前後は問わない。又、上記1対の側壁部2、2の互いに整合する位置に円孔5、5(図14、20)を形成して、板金製ロッカーアームの最終形状とする。
この様にして板金製ロッカーアームを最終形状に加工してから、この板金製ロッカーアームの表面を硬化させる為の、浸炭焼き入れ等の熱処理を行なう。そして、この熱処理の後、この板金製ロッカーアームに、表面の粒界酸化層を除去する為の処理工程を施す。この様な粒界酸化層を除去する為の処理は、ショットブラスト、バレル加工等、メディアの様な粒状物質を上記板金製ロッカーアームの表面に衝突させる方法により行なう。
この様に、板金製ロッカーアームの表面を硬化させる熱処理を行なった後、この板金製ロッカーアームに、表面の粒界酸化層を除去する為の処理工程を施せば、亀裂等の損傷の原因となる微小溝を除去して、上記板金製ロッカーアームの耐久性の向上を図れる。即ち、上記粒界酸化層の表面には微小溝が存在する為、この粒界酸化層をそのまま残した場合には、使用時にこの微小溝から亀裂等の損傷が発生し易くなる。そこで、上記処理により上記粒界酸化層と共に上記微小溝を除去して、上記損傷が発生しにくくする。尚、粒界酸化層を除去する為の処理を、ショットブラスト、バレル加工等、メディアの様な粒状物質を上記板金製ロッカーアームの表面に衝突させる方法により行なえば、この板金製ロッカーアームの表面層部分に残留圧縮応力を生じさせて、上記亀裂等の損傷の発生を、より一層有効に防止できる。
この様にして造った板金製ロッカーアームには、使用時に弁体の基端部を突き当てる前記係合部6aの表面、及び使用時にラッシュアジャスタの先端部を突き当てる前記第二の係合部7の表面に、研摩等の必要な仕上加工を施した後、枢軸及びローラを組み付ける。尚、本発明の特徴である増厚方法によれば、バルブ係合部だけでなく、他の係合部も板厚を大きくできる。従って、ピボット係合部にねじ孔を設けると共にこのねじ孔にアジャストねじを螺合させる、メカニカルアジャスト型の板金製ロッカーアームで、上記ねじ孔とアジャストねじとの螺合長さを確保して、当該部分の強度を大きくできる。
本発明の実施の形態の1例の最初の工程で造られる第一素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)の側方から見た図。 続く工程で造られる第二素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)の側方から見た図。 第二素板を加工する状態の別例を示す平面図。 続く工程で造られる第三素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)の側方から見た図。 続く工程で造られる第四素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)の側方から見た図。 続く工程で第一中間素材を造る途中の状態を示す端面図。 得られた第一中間素材を示しており、(A)は端面図、(B)は側面図。 第四素板から第一中間素材を造る際の折り曲げ位置を示す平面図。 折り曲げ加工と増圧加工との前後が厚肉部の幅に及ぼす影響を示す為の、第一中間素材の端面図。 第二中間素材を得る途中の状態を示す端面図。 得られた第二中間素材を示す端面図。 第三中間素材を得る途中の状態を示す断面図。 得られた第三中間素材を示しており、(A)は断面図、(B)は側面図。 先発明に係る板金製ロッカーアームの斜視図。 先発明の第一工程により得られる第一素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第二工程により得られる第二素板を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第三工程により得られる第一中間素材を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第四工程により得られる第二中間素材を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第五工程により造られる第三中間素材を示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。 同第六工程を経て完成した板金製ロッカーアームを示しており、(A)は平面図、(B)は(A)のa−a断面図、(C)は(A)のb−b断面図、(D)は(A)のc−c断面図。
符号の説明
1 板金製ロッカーアーム
2 側壁部
3、3a 連結部
4 第二の連結部
5 円孔
6、6a 係合部
7 第二の係合部
8 第一素板
9 基部
10 翼状部
11 透孔
12 第二素板
13 舌状部
14 切り欠き部
15 湾曲部
16 第一中間素材
17 第二中間素材
18 第一素板
19 主部
20 突出部
21 第二素板
22、22a 厚肉部
23 連続部
24 第三素板
25 第四素板
26 第一中間素材
27 第二中間素材
28 第三中間素材
本発明の板金製ロッカーアームの製造方法により造る板金製ロッカーアームは、1枚の金属材を打ち抜き成形する事により、所定の外形及び透孔を有する素板を形成し、この素板にプレス加工に基づく曲げ加工を施す事により、互いにほぼ平行な1対の側壁部とこれら両側壁部の幅方向一端縁同士を連結する連結部とを形成して成り、これら両側壁部の互いに整合する位置に形成した少なくとも1対の通孔と、上記連結部の一部に設けた、少なくとも1個の係合部とを備える。
特に、本発明の板金製ロッカーアームの場合には、係合部の厚さを大きくできる。この為、厚さが均一な1枚の金属板からロッカーアームを一体成形するにも拘らず、係合部の厚さを、1対の側壁部の厚さよりも大幅に大きくできる。従って、この係合部を含む連結部に作用する応力を大幅に低減して、無駄な重量増大を招来する事なく、板金製ロッカーアームの強度並びに剛性を確保できる。又、上記両側壁部の厚さは、これら両側壁部に要求される強度並びに剛性を確保できるものであれば良く、必要以上に大きくする必要がない。従って、これら両側壁部の外側面同士の間隔である、上記板金製ロッカーアームの幅を小さくできて、この板金製ロッカーアームを、エンジン内部の限られた空間内に組み込む為の設計が容易になる。
この為、軽量且つ低コストで造れ、しかも十分な耐久性を有する板金製ロッカーアームの製造方法を実現して、ロッカーアームを組み込んだエンジンのコスト低減と高性能化とを図れる。
図1〜13は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の特徴は、連結部3aの片面に設けた係合部6a(図10〜11)にその基端部を突き当てた弁体を付勢するバルブスプリングの弾力を大きくし、上記係合部6aに加わる力が大きくなった場合でも、上記連結部3aの耐久性を十分に確保すべく、上記係合部6aの強度を向上させる為、上記連結部3aの厚さt3aを十分に大きくする為の方法にある。本発明の製造方法により造られる板金製ロッカーアームのその他の部分の構成は、前述の図14、20に示した先発明の板金製ロッカーアーム1と同様であるから、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
本例の製造方法により板金製ロッカーアームを造る場合、先ず第一工程で、図1に示す様な第一素板18を造る。即ち、この第一工程では、例えば3〜4mm程度の厚さを有する炭素鋼板等、十分な剛性を有する金属板(平板材若しくはコイル材)を、図示しないプレス装置の打抜き型と受型との間に供給し、これら両型同士の間で、上記第一素板18を打ち抜き形成する。この第一素板18は、図1(A)に示す様に、正方形若しくは矩形の主部19の一端(図1の上端)縁の中央部に、正方形若しくは矩形の突出部20を形成して成る。この突出部20は、上記第一素板18の一部で、上記係合部6aとなるべき部分、即ち、図1(A)で上記主部19の上端中央部に隣接する端縁から突出している。
上述の様な第一素板18には、続く第二工程で、本発明の特徴である、据え込み加工(upsetting )と呼ばれる増厚加工を施す事により、図2に示す様な第二素板21とする。この増厚加工は、上記図1に示した突出部20を、上記係合部6aとなるべき上記主部19の一端部に向け、上記第一素板18の面方向(図1〜2の下方向)に押圧する事により行なう。即ち、上記第一素板18の主部19を、上記第二素板21の形状に見合う形状を有する、図示しない受型内にセットした状態で、上記突出部20を、やはり図示しない押型により、上記主部19に向け押圧する。上記受型は、上記主部19を密に内嵌自在で、上記係合部6aに見合う部分の空間の厚さのみ、この係合部6aの厚さ寸法に見合う分だけ大きくなっている。この様な受型内に上記第一素板18の主部19をセットした状態で、上記突出部20を上記押型によりこの主部19に強く押圧すれば、上記係合部6aとなるべき部分である、この主部19の一端中央部の厚さが増大して、図2に示す様な第二素板21を得られる。この第二素板21は、上記主部19の一端中央部で上記係合部6aとなるべき部分に、他の部分よりも厚さ寸法が大きくなった、厚肉部22が形成されたものである。
又、得られた上記第一中間素材26のうち、上記厚肉部22に対応する連結部3aの幅W3aは、図9(A)に示す様に、上記第一中間素材26を構成する1対の側壁部2、2同士の間隔D2 よりも大きく、この第一中間素材26の幅W26以下(W26≧W3a>D2 )となる。この様に連結部3aの幅W3aを1対の側壁部2、2同士の間隔D2 よりも大きくする事で、この連結部3aに形成した係合部6aの厚さ方向に大きな力が作用しても、この係合部6aに亀裂等の損傷が発生しにくくできる。これに対して、上記各側壁部2、2を曲げ加工した後、上記連結部3aに対応する部分に据え込み加工による増厚加工を施すと、図9(B)に示す様に、厚肉部22aの幅が1対の側壁部2、2同士の間隔D2 よりも小さくなる為、この厚肉部22aに形成した係合部に大きな力が加わった場合に、十分な耐久性を確保しにくくなる。

Claims (5)

  1. 1枚の金属材を打ち抜き成形する事により、所定の外形及び透孔を有する素板を形成し、この素板にプレス加工に基づく曲げ加工を施す事により、互いにほぼ平行な1対の側壁部とこれら両側壁部の幅方向一端縁同士を連結する連結部とを形成して成り、これら両側壁部の互いに整合する位置に形成した少なくとも1対の通孔と、上記連結部の一部に設けた、少なくとも1個の係合部とを備え、この連結部のうちでこの係合部を設けた部分の厚さを、上記両側壁部の厚さよりも大きくした板金製ロッカーアームを製造する板金製ロッカーアームの製造方法であって、上記素板の一部で上記係合部となるべき部分に隣接する端縁から突出した突出部を、この係合部となるべき部分に向け上記素板の面方向に押圧する事により、この係合部となるべき部分の厚さを増大させた後、この部分に係合部を形成する工程を有する板金製ロッカーアームの製造方法。
  2. 1枚の金属材を打ち抜き形成する事により、この金属材の中央部に位置する連続部から互いに反対方向に延出した、互いに対となる素板を形成した後、これら対となる素板の互いに反対側端縁から突出した突出部を、互いに近づく方向に押圧する事により、これら各素板の一部の厚さを増大させる工程の後に、これら各素板を上記連続部から切り離す、請求項1に記載した板金製ロッカーアームの製造方法。
  3. 素板の一部で係合部となるべき部分の厚さを増大させてからこの素板の中央部に透孔を形成した後、上記素板の一部でこの透孔を挟む2個所位置を同方向に折り曲げて1対の側壁部を形成するのに先立って、上記素板を焼きなます焼鈍工程を行なう、請求項1〜2の何れかに記載した板金製ロッカーアームの製造方法。
  4. 素板の一部で係合部となるべき部分の厚さを増大させてからこの素板の中央部に透孔を、この厚さを増大させた部分とほぼ同じ幅で、且つ上記素板の幅方向に関する位相をこの厚さを増大させた部分と一致させた状態で形成した後、上記素板の一部でこの透孔を挟む2個所位置を、上記厚さを増大させた部分及び上記透孔の幅方向両端縁にほぼ一致する部分で同方向に折り曲げて1対の側壁部を形成する際の折り曲げ位置を、上記厚さを増大させた部分及び上記透孔の幅方向両端縁にほぼ一致する部分とした、請求項1〜3の何れかに記載した板金製ロッカーアームの製造方法。
  5. 板金製ロッカーアームを最終形状に加工してからこの板金製ロッカーアームの表面を硬化させる熱処理を行なった後、この板金製ロッカーアームに、表面の粒界酸化層を除去する為の処理工程を施す、請求項1〜4の何れかに記載した板金製ロッカーアームの製造方法。
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