JP2006183124A - バレルめっき装置及び電子部品の製造方法 - Google Patents

バレルめっき装置及び電子部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 小型化を進めた場合であっても、めっき膜を形成すべき部分に確実に所望の厚みのめっき膜を形成することを可能とするめっき装置を提供する。
【解決手段】 バレル2内に電子部品素体などの被めっき物を投入し、バレル2をめっき液22内に浸漬した状態でバレル2を回転させてめっきを施すバレルめっき装置であって、上記バレル2の軸方向が水平方向から傾斜した角度となるようにバレル2の軸方向を変化させる軸角度可変装置としての保持プレート15及びシリンダー19を有し、シリンダー19を駆動することにより上記軸角度を変化させ、バレル2を傾斜した状態でめっき液22に浸漬することを可能とするバレルめっき装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、筒状のバレルを用いたバレルめっき装置及び電子部品の製造方法に関し、より詳細には、バレルの向きを変化させる手段が設けられたバレルめっき装置及び該バレルめっき装置を用いた電子部品の製造方法に関する。
例えば積層コンデンサなどの積層セラミック電子部品では、外部電極表面にめっき膜が形成されることが多い。例えば、Ag、Ag−Pd合金もしくはCuなどを含有する導電ペーストの焼付けにより形成された下地電極層上に、Niめっき膜及びSnめっき膜をこの順序で形成することにより外部電極が形成されている。これは、Snめっき膜を最外層に形成することにより半田付け性を高め、かつNiめっき膜を形成することにより下地電極層の半田喰われを防止するためである。
ところで、上記めっき膜の形成に際しては、バレルめっき法が主として用いられている。下記の特許文献1には、この種のバレルめっき法及び該バレルめっき法に用いられるバレルめっき装置が開示されている。
特許文献1に記載のバレルめっき装置では、図7に示す筒状のバレル101が用いられる。筒状のバレル101内には、被めっき物として多数の積層セラミック電子部品素子が導電性メディアとともに収納されている。また、バレル101は、軸方向に延びる回転軸102を有している。この回転軸102が、図示しない回転駆動源に連結され、バレル101は軸方向周りに回転され得るように構成されている。筒状のバレル101は、軸方向が水平方向となるような向きでめっき液内に浸漬され、その状態でバレル内の陰極と、陽極との間に通電することによりめっきが行われている。
上記バレルめっき装置を用いた場合、一度に多数の積層セラミック電子部品にめっき膜を形成することができる。従って、外部電極形成工程における生産性を高めることができる。
特開2004−111534号公報
近年、電子部品の小型化が進んでいる。積層セラミック電子部品などにおいても、外部電極が形成されるセラミック焼結体の寸法は、0.6mm×0.3mm×0.3mmや、0.4mm×0.2mm×0.2mm程度にまで小さくなってきている。このような小型の電子部品にバレルめっき装置を用いてめっき膜を形成しようとした場合、従来とは異なり、必要な部分にめっき膜が形成されないものがあった。あるいは、必要な部分にめっき膜が形成されたとしても、膜厚が所望の膜厚に達しないものがあった。
すなわち、特許文献1に記載のような従来のバレルめっき装置を用いた場合、電子部品の小型化を進めると、必要な部分に所望の膜厚で確実にめっき膜を形成することができないものがあった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、被めっき物の小型化を進めた場合であっても、めっき膜を形成すべき部分に確実に所望の膜厚のめっき膜を形成することを可能とするバレルめっき装置、並びに該バレルめっき装置を用いた電子部品の製造方法を提供することにある。
本発明のある広い局面によれば、内部に複数の被めっき物が収容され、かつ内部と外部とを連通させる複数の貫通孔が少なくとも側面に形成されている筒状のバレルと、前記バレルが浸漬されるめっき液が収納されており、めっき液の液面の上方が開かれているめっき槽と、前記バレルの軸方向周りに該バレルを回転させるようにバレルに連結されている回転装置と、前記バレルに連結されており、該バレルがめっき液の上方に位置している第1の状態と、めっき液にバレルが浸漬されている第2の状態との間でバレルを上下方向に移動させるバレル移動装置とを備えるバレルめっき装置において、前記バレルの軸方向の水平方向に対する角度である軸角度を変化させるように、前記バレルに連結されている軸角度可変装置をさらに備えることを特徴とする、バレルめっき装置が提供される。
本発明に係るバレルめっき装置のある特定の局面では、前記軸角度可変装置が、前記バレルの軸方向一端側を他端側に比べて上方に引き上げ得るように、前記バレルの前記一端側に連結されているシリンダーにより構成されている。
本発明に係るバレルめっき装置の他の特定の局面では、前記バレルを回転可能に支持するように設けられているバレル支持部材がさらに備えられており、該バレル支持部材が、前記バレルの一端側から他端側に向かって延びる部分を有し、該バレル支持部材の前記バレルの一端側に位置している部分に前記シリンダーが連結されている。
本発明に係る電子部品の製造方法は、本発明に従って構成されたバレルめっき装置を用いた電子部品の製造方法であって、上記第1の状態とされているバレル内に複数の被めっき物としての複数の電子部品素体と、複数の導電性メディアとを投入する工程と、前記バレルの軸を前記軸角度可変装置により水平方向に対して傾斜させるように軸角度を変化させる工程と、前記バレルの軸方向が傾斜された状態で、前記バレル移動装置により前記バレルを下降し、該バレルを前記第2の状態としてめっき液に浸漬する工程と、前記めっき液にバレルが浸漬された状態でバレルを回転させ、バレルめっきを行う工程とを備える、電子部品の製造方法である。
本発明に係る電子部品の製造方法のある特定の局面では、前記バレルの軸角度を傾斜させる工程において、前記バレルの軸角度が5°〜20°の範囲となるように軸角度が変化される。
本発明に係る電子部品の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記バレルをめっき液に浸漬する工程の次に、めっき液中でバレルの軸角度が0°となるようにバレルの軸方向を水平方向に戻す工程がさらに備えられており、バレルの軸方向を水平方向に沿うように戻した後に、前記バレルめっき工程が行われる。
本発明に係るバレルめっき装置では、バレルの軸方向の水平方向に対する角度である軸角度を変化させるようにバレルに軸角度可変装置が連結されている。従って、バレルめっきに際し、上記軸角度を変化させることができる。
本発明のバレルめっき装置を用いた場合、上記のように軸角度可変装置によりバレルの軸角度を変化させることができるので、それによってバレルをめっき液に浸漬する前にバレルの軸角度を変化させ、バレルの一端側を他端側に対して上方に引き上げて、その状態でめっき液に浸漬することができる。そのため、バレル内の空気を効率良く、かつ確実にバレル外に排出させることができる。従って、バレル内に残存する空気を低減することができる。よって、後述の具体的な実験例から明らかなように、上記空気に由来するめっき不良を低減することができ、めっき膜を形成すべき部分に確実に所望の膜厚のめっき膜を形成することが可能となる。
上記軸角度可変装置が、バレルの軸方向一端側部分を他端側部分に比べて上方に引き上げるようにバレルに連結されたシリンダーである場合には、往復駆動源であるシリンダーを駆動するだけで、バレルの軸角度を容易に変化させることができる。また、シリンダーのストロークにより、変化される軸角度が決定されるため、バレルの軸角度を所望の角度となるように確実に変化させることができる。
上記バレルを回転可能に支持する支持部材が備えられており、支持部材のバレルの軸方向一端側においてシリンダーが連結されている場合には、バレルの回転を阻害することなく、バレルの軸角度をシリンダーにより変化させることができる。
本発明に係る電子部品の製造方法では、バレル内に複数の電子部品素体及び導電性メディアを投入した後に、軸角度可変装置によりバレルの軸が傾けられる。そして、バレルの軸が傾けられた状態でバレルがめっき液に浸漬されるため、バレル内の空気が、軸方向が水平方向を向いている場合に比べて、円滑にかつ効率良く排出される。従って、バレルめっき工程において、バレル内に残存している空気が少ないため、該空気に由来するめっき不良を軽減することができる。すなわち、電子部品素体の小型化を進めた場合であっても、めっき膜が形成されるべき部分に所望の膜厚のめっき膜を確実に形成することが可能となる。
本発明に係る電子部品の製造方法において、バレルの軸角度を5°〜20°となるようにバレルの軸を傾斜させた場合には、電子部品の小型化を進めた場合であっても、めっき膜形成部分により一層確実に所望のめっき膜を形成することができる。
めっき液に浸漬する工程の次に、めっき液中でバレルの軸をほぼ水平に戻す工程をさらに備える場合には、空気がバレルから円滑にかつ確実に排出された後に、バレル軸がほぼ水平に戻されてめっきが行われる。従って、めっきに際してのバレルの回転は、バレルの軸方向が水平方向となるように行われるので、安定にバレルを回転させることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより本発明を明らかにする。
図4は、本発明の一実施形態に係るバレルめっき装置を説明するための略図的正面図である。バレルめっき装置1は、筒状のバレル2を有する。バレル2は、図7に示した従来のバレルめっき装置のバレル101と同様に、筒状の形状を有する。本実施形態では、バレル2は、六角筒状の形状を有する。もっとも、バレル2の横断面形状は六角形に限定されず、他の多角形であってもよい。
バレル2の外周側面、すなわち6つの側面には、複数の貫通孔2aが形成されている。貫通孔2aは、バレル2の内部とバレル2の外部とを連通させるために設けられている。
なお、貫通孔2aは、少なくとも側面に形成されておればよい。従って、貫通孔2aはバレル2の6つの側面の両端に位置している一対の端面にも形成されていてもよい。
他方、バレル2は、支持部材3に回転可能に支持されている。支持部材3は、一対の支持板4,5を有する。支持板4,5は、上下方向に延びるように配置されている。また、支持板4,5には、バレル2を回転可能に支持するために、スリーブ4a,5aが設けられている。スリーブ4a,5aにより、バレル2が回転可能に支持されている。
バレル2は、その軸方向が支持板4,5を結ぶ方向に延びるように配置されている。図4に示すように、初期状態では、支持板4,5は、上下方向に延び、従ってバレル2の軸方向は水平方向に一致している。
他方、スリーブ4aには、陰極端子6が取り付けられている。陰極端子6は、スリーブ6を経てバレル2内に延ばされている。この陰極端子6は、めっきに際し陽極からの電流を通電させるために設けられており、陰極端子6のバレル内に延びている部分が陰極を構成している。
支持板4とバレル3との間には、歯車7が配置されている。歯車7は、バレル2と一体に回転するようにバレル2に取り付けられており、かつバレル2の軸方向中心を中心にバレル2とともに回転する。また、支持板4,5間には、ロッド8が回転可能に取り付けられている。このロッド8と一体に歯車9が設けられている。歯車9はロッド8とともに回転するように構成されており、かつ前述した歯車7と噛み合わされている。
また、支持板4,5間には、回転装置を構成するモーター11が取り付けられている。モーター11の回転軸12に歯車13が一体に設けられている。歯車13は、前述した歯車9に噛み合わされている。従って、モーター11を動作させ、回転軸12を回転させた場合、それにともなってバレル2が軸方向周りに回転され得る。
なお、バレル2をその軸方向周りに回転するための回転装置は上記モーター11、並びに歯車7,9,13を組み合わせた構造に限定されるものではない。例えば、モーター11の回転軸を直接バレル2に連結してもよく、また複数の歯車に代えて、無端ベルトなどの動力伝達機構を用いてモーターとバレル2とを連結してもよい。
図4に示すように、上記支持板4,5の上方には、支持板4,5を連結する連結バー14が架け渡されている。連結バー14の上方に保持プレート15が配置されている。保持プレート15の下面に脚部15a,15bが一体に設けられている。脚部15aが支持板4側に、脚部15bが支持板5側に配置されている。また、連結バー14は、脚部15a,15bに固定されている。
他方、保持プレート15は、上下方向に延びる保持ロッド17にピン16を中心に回転可能に連結されている。保持ロッド17は、略図的に示す往復駆動源18に連結されており、往復駆動源18を駆動することにより、上下方向に移動し得るように構成されている。すなわち、保持ロッド17及び往復駆動源18からなるバレル移動装置により、支持部材4,5に支持されたバレル2は、図4に示されている上方に位置している第1の状態と、後述するように下方のめっき液に浸漬された第2の状態との間で移動され得るように構成されている。
往復駆動源18は、モーターなどの回転駆動源と、回転駆動力を往復駆動力に変化する動力変換機構とを組み合わせたもの、あるいは油圧シリンダーやエアーシリンダーなどの往復駆動源により構成され得る。すなわち、往復駆動源18の機構は特に限定されるものではない。
また、保持プレート15の上面には、エアーシリンダー19のシリンダーロッド19aの下端が連結されている。エアーシリンダー19を駆動することにより、図4に示した初期状態からシリンダーロッド19aの一部をシリンダー本体19b内に引き込んだ状態とすることができる。
図1に示すように、シリンダーロッド19aが引き込まれた状態とされると、保持プレート15がシリンダー本体19b側に寄せられる。その結果、保持プレート15が保持ロッド17に、ピン16を介して連結されているので、保持プレート15が、シリンダーロッド19a側において上方に移動し、保持プレート15の脚部15b側が上方に引き上げられる。すなわち、保持ロッド17は上下方向に延びており、保持プレート15の主面との間の角度θが90°よりも小さくなる。これにともなって、支持板4,5もまた傾斜し、支持板4,5間に支持されているバレル2の軸方向は、水平方向と角度α=(90°−θ)だけ傾斜されることになる。このバレル2の軸方向と水平方向となす角度αを軸角度とする。本実施形態では、この軸角度αが0°よりも大きくなるように、すなわちバレル2の軸方向が水平方向に対して傾斜されることにより、後述するよりにバレル2内の空気を円滑にかつ確実にバレル外に排出させることができる。なお、好ましくは、上記軸角度は5°〜20°の範囲とされる。軸角度が5°以上の場合には、5°未満の場合に比べて空気を効率良く排出することができる。軸角度が20°を超えると、空気の排出が悪く、残留する空気量が多くなることがある。
上記支持部材3の下方には、めっき槽21が配置されている。めっき槽21内には、めっき液22が注入されている。なお、めっき槽21内には図示しない陽極が配置されている。めっき液22の液面の上方が開かれており、該めっき液22の上方に上記支持部材3が配置されている。
次に、図1及び図4と、図2,図3並びに図5,図6を参照して、本実施形態のバレルめっき装置を用いて電子部品を製造する方法を説明する。
本実施形態の電子部品の製造方法では、図2に示す電子部品素体31にめっき膜を形成する。電子部品素体31は、積層セラミックコンデンサを構成する焼結体32を有する。焼結体32内には、内部電極33a〜33iがセラミック層を介して重なり合うように配置されている。内部電極33a,33c,33e,33g,33iが端面32aに引き出されており、内部電極33b,33d,33f,33hが端面32bが引き出されている。端面32,32aを覆うように、Agペーストの焼付けにより形成された下地電極層34a,35aが形成されている。
多数の電子部品素体31が前述したバレル2内に投入される。また、上記電子部品素体31に加えて複数の導電性メディア、例えばスチールボールがバレル2に投入される。他方、電子部品素体31及び導電性メディアが投入されたバレル2は、初期の第1の状態では、図4に示すように、めっき液22の上方に配置される。この状態では、支持板4,5は上下方向に延びるように配置されており、バレル2の軸方向の前述した軸角度は0°である。すなわち、バレル2の軸方向は水平方向に延びている。
次に、シリンダー19を駆動し、シリンダーロッド19aの一部を引き込み、保持プレート15を図1に示すように傾ける。その結果、バレル2の軸角度が0°よりも大きくなるようにバレル2が傾斜される。
次に、往復駆動源18を駆動し、保持ロッド17を下方に移動させ、バレル2を下方に移動し、第2の状態とする。
なお、上記バレル2の軸角度を0°よりも大きくなるようにバレル2を傾斜させる工程は、往復駆動源18によるバレル2の下方への移動に先立って行われている。もっとも、往復駆動源18によりバレル2を下方に移動させるに際し、同時にシリンダー18を駆動し、バレル2を傾斜させてもよい。いずれにしても、バレル2がめっき液22に浸漬される前に、バレル2の軸角度が変化されておればよい。その結果、図5に示すように、バレル2は傾斜された状態でめっき液2に浸漬される。
傾斜された状態でめっき液22にバレル2が浸漬されると、バレル2内の空気は上方に移動し、貫通孔2aから外部に排出される。この場合、バレル2が傾斜されていると、図5に示す位置において、バレル2の内、側面の上方に位置する側面部分2bが水平方向に対して傾斜しているため、矢印Aで略図的に示すように空気が傾斜している側面部分2bの内側を移動し易くなり、側面部分2bに開口している貫通孔2aから速やかに排出される。
すなわち、側面部分2bが水平方向に延ばされている場合には、側面部分2bの内面に接触している気泡が移動し難くなり、残存するおそれがある。これに対して、側面部分2bが傾斜していると、空気が側面部分2bの内面を伝って移動し易くなり、貫通孔2aから外部に容易に排出される。
次に、図6に示すようにめっき液22にバレル2が浸漬されている第2の状態においてシリンダー19を駆動し、ピストンロッド19aを当初の状態に復帰させる。その結果、バレル2の軸方向が水平方向に延びるように戻される。そして、この状態で、給電端子6とめっき液に浸漬されている陰極との間に電流を流すことにより、めっきを行うことができる。上記バレル2内の空気の残留が生じ難いため、めっきにより、めっきしたい部分に確実にかつ所望の厚みのめっき膜を形成することができる。
このようにして、図3に示すNiめっき膜34b,35bを形成する。しかる後、めっき液を交換することにより、Niめっき膜34b,35b上に、Snめっき膜34c,35cを形成する。従って、図3に示すように、下地電極層34a,35a上に、Niめっき膜34b,35b及びSnめっき膜34c,35cが積層された外部電極34,35が形成される。このようにして、積層セラミックコンデンサ37が得られる。
なお、上記実施形態では、バレルを傾斜させる手段として、シリンダーで一端を引き上げているが、これに限定されるものではない。例えば、サーボモータとボールねじの組み合わせやカム等を用いることが可能である。また、本発明においてめっき膜が形成される電子部品素体は、図2に示した積層セラミックコンデンサ用電子部品素体31に限定されず、様々な積層セラミック電子部品、あるいは積層セラミック電子部品以外の電子部品を構成する電子部品素体を用いることができる。
さらに、本発明は、下地電極層上に2層のめっき膜を形成する方法に限定されず、電子部品本体の外表面に1層のめっき膜のみが形成されてもよく、3層以上のめっき膜が積層されてもよい。
次に、具体的な実験例につき説明する。図2に示した電子部品素体31として、0.6mm×0.3mm×0.3mmの寸法のセラミック焼結体を500個用意した。このセラミック焼結体500個と、直径5mmの絶縁性粒体750個と、直径0.45mmの球状の導電性メディア1000個とをバレル2に投入した。使用したバレル2は、横断面が正六角形であり、該正六角形の一辺が45mmであり、軸方向長さが140mmである正六角筒状のバレルである。
上記寸法のバレル2を有するバレルめっき装置において、バレル2をNiめっき液に上記軸角度が下記の表1に示す値となるように浸漬し、しかる後、浸漬後にバレル2の軸方向を水平となるように、すなわち軸角度を0°となるようにし、次にバレルを回転しつつ150分通電した。このようにして、目標膜厚3.0μmのNiめっき膜の形成を試みた。
上記浸漬に際しての軸角度を下記の表1に示すように種々変更して、上記のようにしてNiめっき膜を形成し、得られた積層セラミックコンデンサにめっき不良が発生しているか否かを評価した。めっき不良の評価に際しては、得られた積層セラミックコンデンサにおいてNiめっき膜が下地電極層を確実に被覆しているように形成されているか否かを確認することにより行った。下記の表1においては、500個の積層セラミックコンデンサにおいて、めっき不良が生じた数の割合を示した。
また、上記めっき不良評価に先立ち、浸漬に際しての軸角度を種々変化させてめっきを行った場合、浸漬されているバレル2内の残存している空気の量を測定した。この残存している空気のバレル容積に対する比率をバレル内空気比率として下記の表1に併せて示す。
Figure 2006183124
表1から明らかなように、バレル2を浸漬するに際し、上記軸角度を有するようにすなわちバレル2を傾斜させて浸漬させた場合には、軸角度が0°の場合に比べて、残存している空気を少なくし得ることがわかる。そして、この空気比率が低い場合には、得られた積層セラミックコンデンサにおけるめっき不良も発生していなかった。
これに対して、軸角度が0°の場合には、バレル内空気比率が1.1%と高く、めっき不良が2ppmの割合で発生した。これは、空気がバレル内に残存した状態でバレル2が回転されるため、投入されている多数の積層セラミックコンデンサの一部には、空気の気泡が付着し、めっき液が付着し難い状態となり、それによってめっき不良が生じたものと考えられる。
従って、上記実験例からも明らかなように、バレル2の軸角度を0°より大きくすることにより、電子部品素体の小型化を進めた場合でも、めっき不良を確実に抑制し得ることがわかる。特に、上記浸漬に際しての軸角度を5°〜20°の範囲とした場合には、残存空気比率をより一層低めることができ、従ってめっき不良の発生をより効果的に抑制し得ることがわかる。
なお、軸角度が20°を超えると、残存空気比率が高くなり、やはりめっき不良が生じるおそれがある。従って、好ましくは、上記軸角度は5°〜25°の範囲とすることが望ましく、より好ましくは5°〜20°の範囲とすることが望ましい。
本発明の一実施形態に係るバレルめっき装置においてバレルを水平方向に対して傾斜させた状態を示す略図的正面断面図。 本発明の一実施形態でめっき膜が形成される電子部品素体を説明するための正面断面図。 本発明の一実施形態においてめっき膜が形成された電子部品としての積層セラミックコンデンサを示す正面断面図。 本発明の一実施形態に係るバレルめっき装置において、バレルが傾斜される前の状態を示す正面断面図。 本発明の一実施形態の電子部品の製造方法において、バレルをめっき液に傾斜させた状態で浸漬する工程を説明するための正面断面図。 本発明の一実施形態において、めっき液内においてバレルの軸角度を0に戻しめっきを行う工程を説明するための正面断面図。 従来のバレルめっき装置に用いられるバレルを示す略図的斜視図。
符号の説明
1…バレルめっき装置
2…バレル
2a…貫通孔
2b…側面
3…支持部材
4,5…支持板
4a,5a…スリーブ
7…歯車
8…ロッド
9…歯車
11…モーター
12…回転軸
13…歯車
14…連結バー
15…保持プレート
15a,15b…脚部
16…ピン
17…保持ロッド
18…移動装置
19…シリンダー
19a…シリンダーロッド
19b…シリンダー本体
21…めっき槽
22…めっき液
31…電子部品素体
32…セラミック焼結体
32a,32b…端面
33a〜33i…内部電極
34,35…外部電極
34a,35a…下地電極層
34b,35b…Niめっき膜
34c,35c…Snめっき膜
37…積層セラミックコンデンサ

Claims (6)

  1. 内部に複数の被めっき物が収容され、かつ内部と外部とを連通させる複数の貫通孔が少なくとも側面に形成されている筒状のバレルと、
    前記バレルが浸漬されるめっき液が収納されており、めっき液の液面の上方が開かれているめっき槽と、
    前記バレルの軸方向周りに該バレルを回転させるようにバレルに連結されている回転装置と、
    前記バレルに連結されており、該バレルがめっき液の上方に位置している第1の状態と、めっき液にバレルが浸漬されている第2の状態との間でバレルを上下方向に移動させるバレル移動装置とを備えるバレルめっき装置において、
    前記バレルの軸方向の水平方向に対する角度である軸角度を変化させるように、前記バレルに連結されている軸角度可変装置をさらに備えることを特徴とする、バレルめっき装置。
  2. 前記軸角度可変装置が、前記バレルの軸方向一端側を他端側に比べて上方に引き上げ得るように、前記バレルの前記一端側に連結されているシリンダーである、請求項1に記載のバレルめっき装置。
  3. 前記バレルを回転可能に支持するように設けられているバレル支持部材をさらに備え、該バレル支持部材が、前記バレルの一端側から他端側に向かって延びる部分を有し、該バレル支持部材の前記バレルの一端側に位置している部分に前記シリンダーが連結されている、請求項2に記載のバレルめっき装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のバレルめっき装置を用いた電子部品の製造方法であって、
    前記第1の状態とされている前記バレル内に複数の被めっき物としての複数の電子部品素体と、複数の導電性メディアとを投入する工程と、
    前記バレルの軸を前記軸角度可変装置により水平方向に対して傾斜させるように軸角度を変化させる工程と、
    前記バレルの軸方向が傾斜された状態で、前記バレル移動装置により前記バレルを下降し、該バレルを前記第2の状態としてめっき液に浸漬する工程と、
    前記めっき液にバレルが浸漬された状態でバレルを回転させ、バレルめっきを行う工程とを備える、電子部品の製造方法。
  5. 前記バレルの軸角度を変化させる工程において、前記バレルの軸角度が5°〜20°の範囲となるように軸角度を変化させることを特徴とする、請求項4に記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記バレルをめっき液に浸漬する工程の次に、めっき液中でバレルの軸角度が0°となるようにバレルの軸方向を水平方向に戻す工程をさらに備え、バレルの軸方向を水平方向に沿うように戻した後に、前記バレルめっき工程を行う、請求項4または5に記載の電子部品の製造方法。
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