JP2006183113A - 食塩水電解槽の性能回復方法ならびに該方法により処理された陰極を用いた生産苛性ソーダ溶液および塩素の製造方法 - Google Patents

食塩水電解槽の性能回復方法ならびに該方法により処理された陰極を用いた生産苛性ソーダ溶液および塩素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食塩水電解槽の陰極の性能回復方法を提供する。また、該方法により処理された陰極を用いた生産苛性ソーダ溶液および塩素の製造方法を提供する。
【解決手段】食塩水電解槽の陰極室に可溶性白金族化合物を供給する工程を含む陰極の性能回復方法であって、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間が0.01〜0.17時間である陰極の性能回復方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、食塩水電解槽の性能回復方法ならびに該方法により処理された陰極を用いた生産苛性ソーダ溶液および塩素の製造方法に関する。
陽イオン交換膜を隔膜として有する電解槽を用いて、食塩水を電解して生産苛性ソーダ溶液と塩素を製造する方法は一般的に広く知られている。この食塩水電解において、長期間にわたって運転する場合には、陰極の水素過電圧が上昇し、その結果、電力原単位(1トンの苛性ソーダを製造するのに必要な電力値)も大きくなり、結果、製品コストが高くなるという問題があった。これは、例えば、陰極の表面に、水銀、鉛、鉄などの水素過電圧が高い物質が付着または電着すること、陰極活性部が金属または金属酸化物である場合に電解停止時または電解槽解体時における電極活性部の酸化または還元により活性点が減少すること、内部応力またはガスなどによる侵食・腐食を受け電極に亀裂が入ること、電気分解の進行に伴い、陰極室に残留する水素イオンが陰極表面に付着することなどによりおこる。このような性能が低下した陰極は、通常、新しい陰極と取り替えられたり、電解槽から取り外し、陰極表面に活性物質を再コーティング処理することなどが行われ、多大な費用を要することから、水素過電圧が増大した陰極の性能を回復させる技術が望まれている。
このような性能回復処理として、陰極室に可溶性白金族化合物を添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、陰極室内の流体の移動挙動については特に言及されていないため、これらの文献の方法では、陰極室内の可溶性白金族化合物が陰極室側壁下部および電極下部に付着して、陰極表面において白金族化合物の濃度分布ができてしまい、陰極表面の過電圧が、上部、中心部、下部でバラツキを生じることになり、陰極表面の充分な性能回復処理ができないことが予測される。
このように、水素過電圧が上昇した陰極を、通電を停止することなく、また電解槽から該陰極を取り外すことなく、陰極の充分な性能回復させる方法はいまだ存在しないのが現状である。
特開昭64−1198号公報 国際公開第03/082749号パンフレット
本発明は、食塩水電解槽の陰極の性能回復方法を提供する。また、該方法により処理された陰極を用いた生産苛性ソーダ溶液および塩素の製造方法を提供する。
すなわち、本発明は食塩水電解槽の陰極室に可溶性白金族化合物を供給する工程を含む陰極の性能回復方法であって、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間が0.01〜0.17時間である陰極の性能回復方法に関する。
可溶性白金族化合物が、白金化合物であることが好ましい。
陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間が0.02〜0.15時間であることが好ましい。
また、本発明は、前記性能回復方法により処理された陰極を有する電解槽の陽極室に食塩水を供給する工程、および該食塩水を電解する工程を含む生産苛性ソーダ溶液の製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記性能回復方法により処理された陰極を有する電解槽の陽極室に食塩水を供給する工程、および該食塩水を電解する工程を含む塩素の製造方法に関する。
本発明の性能回復方法は、陰極室に可溶性白金族化合物を供給し、さらに陰極室内の流体の流速を制御することにより、水素過電圧が増大した陰極の性能を回復させることができるものである。
本発明は、食塩水電解槽の陰極室に可溶性白金族化合物を供給する工程を含む陰極の性能回復方法であって、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間が0.01〜0.17時間である陰極の性能回復方法に関する。ここで、陰極室内の流体の長さLを移動する平均時間とは、時間当たりの陰極室直前に供給される希釈苛性ソーダの供給量F(m3/h)、陰極室の水平方向の断面積S(m2)、および陰極の高さ方向の長さLとの関係から求めることができる。陰極室に挿入される苛性ソーダの挿入方向と陰極高さ方向が平行にない場合には、希釈苛性ソーダの陰極室挿入直前の量から求められる陰極高さ方向のベクトル成分により求める。なお、前記供給量Fは、電解槽の陰極室入り口近傍の希釈苛性ソーダ供給配管に取り付けられたローターメータ15を用いて測定する。
本発明で用いられる食塩水電解槽は、通常食塩水電解に用いられるものであれば、特に限定されないものであり、例えば、陽イオン交換膜で区画した陽極室と陰極室を有する食塩水電解槽であればよい。また、単極式であっても複極式であってもよい。
本発明で使用する陽イオン交換膜としては、一般的に食塩水電解に使用されているものであれば特に限定されるものではなく、イオン交換膜のポリマー構造および膜厚に関しても、本発明の目的が達成できるものであれば、特に制限されるものではない。陽イオン交換膜としては、例えば、補強材、高含水率層、低含水率層から構成されるイオン交換膜であるものがあげられる。補強材としては、PTFE繊維などがあげられ、高含水率層、低含水率層は、スルホン酸基やカルボン酸基を有するフッ素系ポリマーからなるものがあげられる。
電極としては、通常食塩水電解に用いられるものであれば特に限定されるものではないが、陽極としては、RuO2系材料(チタン基体状に20g・m-2程度の酸化ルテニウムを熱分解コーティングしたもの)が好ましく、陰極としては、Ni化合物被覆膜陰極、多孔質Ni陰極、Raney Ni合金陰極などが好ましく用いられる。
本発明の性能回復方法で使用する可溶性白金族化合物は、水または水酸化アルカリ金属水溶液に可溶な白金族化合物であれば特に限定されるものではないが、たとえば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、硝酸パラジウム、過塩素酸ロジウム、硝酸ロジウム、硫酸ロジウム、三塩化ロジウム、三臭化ロジウム、三塩化イリジウム、三臭化イリジウム、三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウム、ルテニウム酸カリウム、四塩化オスミウム、オスミウム酸カリウム、ヘキサフルオロ白金酸塩、テトラクロロ白金酸塩、ヘキサヒドロキソ白金酸塩、ビスオキサラト白金酸塩、ヘキサアンミン白金酸塩、ジクロロジアンミン白金、テトラクロロジアンミン白金、ビスグリシナト白金、ジクロロビス(エチレンジアミン)白金塩、ジアンミンジニトロ白金、テトラニトロ白金酸塩、テトラクロロパラジウム酸塩、ヘキサクロロパラジウム酸塩、テトラアンミンパラジウム塩、ジクロロエチレンジアミンパラジウム、ジアンミンジニトロパラジウム、ヘキサフルオロロジウム酸塩、ヘキサアンミンロジウム塩、クロロペンタアンミンロジウム塩、ヒドリドペンタアンミンロジウム硫酸塩、ジクロロビス(エチレンジアミン)ロジウム塩、トリス(オキサラト)ロジウム酸カリウム、ヘキサシアノロジウム酸カリウム、ヘキサクロロイリジウム酸塩、ヘキサクロロイリジウム酸塩、ヘキサアンミンイリジウム塩、クロロペンタアンミンイリジウム塩、クロロペンタアンミンイリジウム塩、ペンタアンミンアクアイリジウム塩、トリス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム塩、μ−オキソ−ビス(ペンタクロロルテニウム)酸カリウム、ヘキサシアノルテニウム酸塩、ペンタクロロアクアルテニウム酸塩、ペンタクロロニトロシルルテニウム酸塩、ヘキサクロロオスミウム酸塩、ペンタクロロニトリドオスミウム酸塩などがあげられ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、入手性、経済性、水素過電圧の回復度合いの点から、白金を含む白金化合物であることが好ましく、ヘキサクロロ白金酸塩がより好ましい。
ここで、可溶性とは、白金族化合物の水または水酸化アルカリ金属水溶液に対する溶解度が10-6モル/L以上のものをいう。
陰極室に添加する可溶性白金族化合物の量は、陰極投影面積1m2当たり、白金族金属の添加量が、7×10-6〜1.6×10-3モルとなるように添加することが好ましく、5.3×10-4〜1.0×10-3モルとなるように添加することがより好ましい。
可溶性白金族化合物の添加量が、この範囲にあることで、陰極の水素過電圧が充分回復されるため好ましい。また、可溶性白金族化合物が前記範囲をこえて添加しても、充分な回復が期待できるが、回復による電力のメリットより添加する白金族化合物の価格の方が高くなるため、製品のコストが高くなる傾向がある。
前記可溶性白金族化合物は、固体状であっても、水溶液状であってもよいが、陰極室への供給の容易性から、水溶液状であることが好ましい。可溶性白金族化合物水溶液を用いる場合には、たとえば0.0001〜1.0モル/Lの濃度範囲の水溶液として用いることができる。可溶性白金族化合物水溶液を、各々の電解槽の陰極に挿入する方法は特に限定されないが、希釈苛性ソーダ配管に取り付けた別配管より定量ポンプで添加することが好ましい。
また、実施例1のような装置であれば、陰極室内の流体の線速度(単位面積あたりの流速)は、1.5〜6.0m/hrが好ましく、2.0〜5.5m/hrであることがより好ましく、3.5〜5.0m/hrであることがさらに好ましい。ここで、線速度F/Sは、陰極室を通過する希釈苛性ソーダ量の通過速度であり、苛性ソーダ供給量F(m3/h)を陰極室の断面積S(m2)で割って求めることができる。
また、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間Tは0.01〜0.17時間であるが、好ましくは0.02〜0.15時間、より好ましくは0.05〜0.12時間である。この範囲内であれば、陰極の最下部から最上部まで一定以上の電圧回復をさせることができる。ここで、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間Tは、陰極の長さLを線速度F/Sで割って求めることができる。
また、みかけの陰極室通過時間(みかけの平均滞留時間)は、本発明の効果を奏する範囲であれば特に制限はなく、電解槽の形状、容積などによっても変動する。ここで、みかけの陰極室通過時間(みかけの平均滞留時間)は、陰極室容積Vを陰極室に供給される希釈苛性ソーダの単位時間当たりの供給量Fで割って求めることができる。
本発明の性能回復方法は、通常行なわれる食塩水電解において、陰極の水素過電圧が増大した場合に電解操作を停止することなく、電解中に適宜行なうことができる。通常の食塩水電解について図1を用いて説明する。具体的には、図1に示すように、陽イオン交換膜6で、陽極3を有する陽極室2と陰極9を有する陰極室8とに区画された電解槽10の陽極室2に食塩水1を供給し、陰極室8に希釈苛性ソーダ溶液7bまたは苛性ソーダ溶液7aを供給して電解を行なうと、陽極室2からは塩素ガス5が発生し、陰極室8からは、生産苛性ソーダ溶液11と水素ガス12が発生する。また、電気分解後に陽極室2から未分解食塩水である淡塩水4が排出される。また、陰極室8で生成する苛性ソーダ濃度31〜35重量%の生産苛性ソーダ溶液11は、一部製品として陰極室8から抜き取られ、抜き取った後の残りは苛性ソーダ溶液7aとなる。苛性ソーダ溶液7aに純水13を加え希釈した希釈苛性ソーダ溶液7b、または希釈しないままの苛性ソーダ溶液7aを陰極室8に供給して、食塩水電解を行なうことができる。
希釈苛性ソーダ溶液7bの供給量は、ローターメータ15で測定する。
本発明の性能回復方法は、このような食塩水電解において、陰極の水素過電圧が増大した場合に、可溶性白金族化合物または可溶性白金族化合物水溶液14を苛性ソーダ溶液7aまたは希釈苛性ソーダ溶液7bとともに、陰極室8に供給する。可溶性白金族化合物または可溶性白金族化合物水溶液14を供給する場合は、陰極室8内の流体の移動平均時間Tを前記範囲内にしなければならない。
可溶性白金族化合物または可溶性白金族化合物水溶液14を添加することで過電圧が減少した場合は、適宜、可溶性白金族化合物または可溶性白金族化合物水溶液14の供給を停止し、通常の食塩水電解を行なう。
本発明の性能回復方法において、陰極室に可溶性白金族化合物または可溶性白金族化合物水溶液14を供給する方法は、特に限定されず連続的および断続的に供給してもよい。
性能回復の処理における電解槽の温度は、通常の食塩水電解時と同様の温度であればよく、性能回復時に特に設定する必要はない。
性能回復に要する時間および可溶性白金族化合物または可溶性白金族化合物水溶液14の添加方法は、特に限定されるものではなく、陰極の水素過電圧の増加量により適宜選択することができる。可溶性白金族化合物または可溶性白金族化合物水溶液14は、連続的に添加することも、断続的に添加することもできるが、断続的に添加する場合には、たとえば36時間以内であることが好ましい。
また、陰極を取り替えるまでに本発明の性能回復方法を実施する回数は制限されるものではなく、何回でも実施することができる。
本発明の性能回復処理方法により、食塩水電解中に過電圧が増大した陰極を、取り外すことなく、過電圧を低下させることができ、さらに陰極内の流体の線速度を特定の速度にすることで、陰極表面における過電圧が減少するものである。本発明は、このように過電圧が上昇した陰極の性能を回復することができ、その結果、電力原単位も小さくなり製品コストが下がるものである。
性能回復処理中に生産計画などにより電解電量を増減させる場合がある。食塩水は電解電流に応じて食塩の分解率を一定に保つために増減させるが、陰極に挿入するヘキサクロロ白金酸水溶液を含む希釈苛性ソーダ溶液は増減させず、一定量を継続して陰極回復処理を行うことが好ましい。
また、本発明は、前記性能回復方法により処理された陰極を有する電解槽の陽極室に食塩水を供給する工程、および該食塩水を電解する工程を含む生産苛性ソーダ溶液の製造方法、および同工程を含む塩素の製造方法に関する。
本発明の生産苛性ソーダ溶液の製造方法は、陰極を本発明の処理方法で処理した電解槽を用いて、前記した方法で食塩水電解を行なえばよい。
本発明の製造方法で用いる食塩水としては、原料塩を溶解し、1次精製および2次精製工程で不純物を除去したものであることが好ましい。食塩水の食塩濃度としては、270〜320g/Lであることが好ましく、300〜310g/Lであることがより好ましい。食塩水の食塩濃度が270〜320g/Lであることにより、イオン交換膜の収縮を抑制できるため、溶液が膜内に充分に浸透することができる。また、電気分解後に陽極室から排出される未分解食塩水(淡塩水)の食塩濃度としては、150〜230g/Lであることが好ましく、190〜210g/Lであることがより好ましい。未分解食塩水(淡塩水)の食塩濃度が150〜230g/Lであることで、イオン交換膜の膨張を抑制でき、皺の発生や傷の発生を防止することができる。
また、陰極室に供給する苛性ソーダ溶液としては、電気分解によって製造された生産苛性ソーダ溶液の一部を製品として抜き取った後の残りの生産苛性ソーダ溶液に純水を加え希釈したもの、または希釈しないままの生産苛性ソーダ溶液を用いることができる。その苛性ソーダ濃度は、電流密度1〜7kA/m2である場合、30〜34重量%であることが好ましく、31〜32重量%であることがより好ましい。苛性ソーダ濃度が30〜34重量%であると、イオン交換膜の収縮を抑制することができるため、溶液が膜内に充分に浸透することができる。さらに、イオン交換膜の膨張も抑制することができるため、陽極からのNaClの移行量が増加して生産苛性ソーダ溶液中の食塩濃度が上昇することを防ぐことができ、製品の品質を向上することができる。
電解時の陽極室、陰極室の温度は、特に限定されるものではなく、通常用いられる温度であればよいが、膜性能を最大限発揮するために電流密度に応じた温度範囲に設定することが好ましい。該温度範囲は、膜の種類によって若干異なるが、例えば、電流密度が1.0〜4kA/m2では、温度は68〜88℃が好ましい。また、イオン交換膜は電解槽の温度が上昇または低下することで、物理的に伸縮し、膜の性能に影響を与える傾向がある。例えば、温度の上昇とともに膜は膨張し、膜抵抗が下がり電解電圧が低下する傾向があるが、過度に高い温度では、膜に皺を発生させたり、膜が膨張することで、膜と電極が接触して膜に傷が発生し、その結果、膜抵抗が上がり電解電圧を上昇させる傾向がある。また、90℃をこえると膜、ガスケットの寿命に影響をおよぼす傾向がある。逆に、温度が低下すると、膜は温度の低下とともに収縮し、一旦電流効率は上昇するが、さらに温度が下がると電流効率は大幅に低下する傾向がある。さらに、過度に低い温度では、膜内への溶液の浸透を妨げ、膜にダメージを与える傾向がある。
電解時には、陰極面で水素(H2)が発生するとともに、水酸化物イオン(OH-)が発生する。一方陽極面では、塩素(Cl2)が発生するとともに、ナトリウムイオン(Na+)が発生する。このナトリウムイオンが、陽イオン交換膜を通って、陽極室から陰極室へ移動し、陰極室の水酸化物イオンと結合し、陰極室では苛性ソーダ濃度31〜35重量%の生産苛性ソーダ溶液が製造されるものである。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
<過電圧の測定方法>
陰極の下から40mm、125mm、220mmの点をそれぞれ陰極下部、中心部、上部とし、それぞれの部位の過電圧を測定した。過電圧の測定方法は、カレントインターラプター法にて、白金黒線と陰極の電位差をオシロスコープで測定した。
実施例1
表面積2.5dm2(0.025m2、横10cm×縦25cm)の電極を陰極と陽極に設置したラボ電解槽(容量:0.799dm3、極間:2mm、陰極室の水平方向の断面積:0.00292m2)の陽極室に300g/Lの食塩水を、陰極室に苛性ソーダ濃度32重量%の苛性ソーダ溶液を6.62×10-33/hの速度で供給し、食塩水電解を行なった(電流密度:3.2kA/m2、電解電流:80A、測定温度:74〜77℃)。電解槽陰極の水素過電圧は運転開始当初は115mVであり、270日後には135mVに到達した。このとき、ヘキサクロロ白金酸H2PtCl6・6H2Oを1.46×10-2ミリモル(0.007566g、陰極単位面積あたり5.8×10-4モル/m2)を供給し、陰極室の流体の線速度を2.27m/hrとした。このとき、陰極室通過時間は0.12時間、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間は0.11時間であった。陰極上の上部、中心部、下部の過電圧は全て115mVであり、白金族化合物の添加前後での過電圧差は、それぞれ、上部20mV、中心部20mV、下部20mVであり、陰極内でのバラツキがなくなり、過電圧も低下した。
実施例2
表面積2.5dm2(0.025m2、横10cm×縦25cm)の電極を陰極と陽極に設置したラボ電解槽(容量:0.799dm3、極間:2mm、陰極室の水平方向の断面積:0.00292m2)の陽極室に300g/Lの食塩水を、陰極室に苛性ソーダ濃度32重量%の苛性ソーダ溶液を1.022×10-23/hの速度で供給し、食塩水電解を行なった(電流密度:3.2kA/m2、電解電流:80A、測定温度:74〜77℃)。電解槽陰極の水素過電圧は運転開始当初は120mVであり、75日後には130mVに到達した。このとき、ヘキサクロロ白金酸H2PtCl6・6H2Oを1.46×10-2ミリモル(0.007566g、陰極単位面積あたり5.8×10-4モル/m2)を供給し、陰極室の流速を3.50m/hrとした。このとき、陰極室通過時間は0.078時間、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間は0.071時間であった。陰極上の上部、中心部、下部の過電圧は全て110mVであり、白金族化合物の添加前後での過電圧差は、それぞれ、上部20mV、中心部20mV、下部20mVであり、陰極内でのバラツキがなくなり、過電圧も低下した。
比較例1
表面積2.5dm2(0.025m2、横10cm×縦25cm)の電極を陰極と陽極に設置したラボ電解槽(容量:0.799dm3、極間:2mm、陰極室の水平方向の断面積:0.00292m2)の陽極室に300g/Lの食塩水を、陰極室に苛性ソーダ濃度32重量%の苛性ソーダ溶液を1.022×10-23/hの速度で供給し、食塩水電解を行なった(電流密度:3.2kA/m2、電解電流:80A、測定温度:74〜77℃)。電解槽陰極の水素過電圧は運転開始当初は120mVであり、2.5〜3年程度で190mVを超え、3〜4年でほぼ一定の195mVを示し、この間電解電圧(mV)も上昇した。
比較例2
表面積2.5dm2(0.025m2、横10cm×縦25cm)の電極を陰極と陽極に設置したラボ電解槽(容量:0.799dm3、極間:2mm、陰極室の水平方向の断面積:0.00292m2)の陽極室に300g/Lの食塩水を、陰極室に苛性ソーダ濃度32重量%の苛性ソーダ溶液を3.97×10-33/hの速度で供給し、食塩水電解を行なった(電流密度:3.2kA/m2、電解電流:80A、測定温度:74〜77℃)。電解槽陰極の水素過電圧は運転開始当初は115mVであり、100日後には130mVに到達した。このとき、ヘキサクロロ白金酸H2PtCl6・6H2Oを1.46×10-2ミリモル(0.007566g、陰極単位面積あたり5.8×10-4モル/m2)を供給し、陰極室の流体の線速度を1.36m/hrとした。このとき、陰極室通過時間は0.20時間、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間は0.18時間であった。陰極上の上部、中心部、下部の過電圧はそれぞれ、120mV、115mV、110mVであり、白金族化合物の添加前後での過電圧差は、それぞれ、上部10mV、中心部15mV、下部20mVであり、陰極表面内でのバラツキが見られた。
比較例3
表面積2.5dm2(0.025m2、横10cm×縦25cm)の電極を陰極と陽極に設置したラボ電解槽(容量:0.799dm3、極間:2mm、陰極室の水平方向の断面積:0.00292m2)の陽極室に300g/Lの食塩水を、陰極室に苛性ソーダ濃度32重量%の苛性ソーダ溶液を3.97×10-33/hの速度で供給し、食塩水電解を行なった(電流密度:3.2kA/m2、電解電流:80A、測定温度:74〜77℃)。電解槽陰極の水素過電圧は運転開始当初は115mVであり、1年後には160mVに到達した。このとき、ヘキサクロロ白金酸H2PtCl6・6H2Oを1.46×10-2ミリモル(0.007566g、陰極単位面積あたり5.8×10-4モル/m2)を供給し、陰極室の流体の線速度を1.36m/hrとした。このとき、陰極室通過時間は0.20時間、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間は0.18時間であった。陰極上の上部、中心部、下部の過電圧はそれぞれ、146mV、143mV、140mVであり、白金族化合物の添加前後での過電圧差は、それぞれ、上部14mV、中心部17mV、下部20mVであり、陰極表面内でのバラツキが見られた。
実施例3
表面積2.5dm2(0.025m2、横10cm×縦25cm)の電極を陰極と陽極に設置したラボ電解槽(容量:0.799dm3、極間:2mm、陰極室の水平方向の断面積:0.00292m2)の陽極室に300g/Lの食塩水を、陰極室に苛性ソーダ濃度32重量%の苛性ソーダ溶液を1.168×10-23/hの速度で供給し、食塩水電解を行なった(電流密度:3.2kA/m2、電解電流:80A、測定温度:74〜77℃)。電解槽陰極の水素過電圧は運転開始当初は115mVであり、100日後には130mVに到達した。このとき、ヘキサクロロ白金酸H2PtCl6・6H2Oを1.46×10-2ミリモル(0.007566g、陰極単位面積あたり5.8×10-4モル/m2)を供給し、陰極室の流速を4.00m/hrとした。このとき、陰極室通過時間は0.068時間、陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間は0.063時間であった。陰極上の上部、中心部、下部の過電圧はそれぞれ110mV、110mV、110mVであり、白金族化合物の添加前後での過電圧差は、それぞれ、上部20mV、中心部20mV、下部20mVであり、陰極内でのバラツキがなくなり、過電圧も低下した。
電解槽の構成を示す図である。
符号の説明
1 食塩水
2 陽極室
3 陽極
4 淡塩水
5 塩素ガス
6 イオン交換膜
7a 苛性ソーダ溶液
7b 希釈苛性ソーダ溶液
8 陰極室
9 陰極
10 電解槽
11 生産苛性ソーダ溶液
12 水素ガス
13 純水
14 可溶性白金族化合物または可溶性白金族化合物水溶液
15 ローターメータ

Claims (5)

  1. 食塩水電解槽の陰極室に可溶性白金族化合物を供給する工程を含む陰極の性能回復方法であって、
    陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間が0.01〜0.17時間である陰極の性能回復方法。
  2. 可溶性白金族化合物が、白金化合物である請求項1記載の陰極の性能回復方法。
  3. 陰極室内の流体が陰極最下部から陰極最上部までの長さLを移動する平均時間が0.02〜0.15時間である請求項1または2記載の陰極の性能回復方法。
  4. 請求項1、2または3記載の性能回復方法により処理された陰極を有する電解槽の陽極室に食塩水を供給する工程、および該食塩水を電解する工程を含む生産苛性ソーダ溶液の製造方法。
  5. 請求項1、2または3記載の性能回復方法により処理された陰極を有する電解槽の陽極室に食塩水を供給する工程、および該食塩水を電解する工程を含む塩素の製造方法。
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