JP2006182114A - 車両用電動送風機システム - Google Patents

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卓洋 岩崎
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Abstract

【課題】 長寿命化を図りつつ、ラジエータおよびコンデンサに加えて他の車載部品も冷却する。
【解決手段】 車両用電動送風機システムは、ラジエータ100と、コンデンサ110とに冷却風を流通させるものであり、ブラシレスモータ12の稼働により冷却風を通風させる電動送風機10と、ブラシ付きモータ22の稼働により冷却風を通風させる電動送風機20と、エンジン冷却水の温度に基づいて、電動送風機20に比べて電動送風機10の方を優先的に稼働させる電子制御装置40と、を備えており、電動送風機10は、ラジエータ100およびコンデンサ110以外の他の車載部品、具体的には、ECUボックス41をも冷却風により冷却するようになっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電動送風機を用いて冷却風を発生させる車両用電動送風機システムに関する。
従来、車両用電動送風機システムとしては、エンジン冷却水を冷却するラジエータ、および車両空調用のコンデンサ(放熱器)に向けて電動送風機により冷却風を流通させてラジエータおよびコンデンサを冷却させるものがある。
一方、タクシーや公用車などの電動送風機の使用頻度の高い自動車においては、十分な送風量、ラジエータに対する送風分布の適正化、電動モータの長寿命化、及びコスト低減を図ることが要求される。
そこで、本出願人は、ブラシレスモータの稼働により冷却風を通風させる第1の電動送風機と、ブラシ付きモータの稼働により冷却風を通風させる第2の電動送風機とを備えており、ラジエータを循環する冷却水温度などに基づいて、ブラシレスモータおよびブラシ付きモータを制御して送風量を調整する車両用電動送風機システムについて出願した(特願2003−273458)。
このものにおいては、第1閾値よりも冷却水温度が高くなると、第1の電動送風機だけを稼働して、冷却水温度が第1閾値よりも更に高い第2閾値(>第1閾値)を越えると、第1、第2の電動送風機の双方を稼働させる。このため、冷却水温度に基づいて、第2の電動送風機に比べて第1の電動送風機を優先的に稼働させることになる。このため、第2の電動送風機の摩耗、すなわち、ブラシ付きモータの摩耗を抑制して、長寿命化を図るようにしている。
ところで、近年の自動車のエンジンコンパートメント内において、ラジエータ、コンデンサ以外の、電子制御装置、ヘッドランプ、エンジンマウントゴムなどの他の車載部品でも、冷却が要求されている。しかし、上述のブラシレスモータおよびブラシ付きモータを用いる車両用電動送風機システムでは、他の車載部品を冷却することを考慮していなかった。
本発明は、上記点に鑑み、長寿命化を図りつつ、ラジエータ、コンデンサに加えて、他の車載部品を冷却できるようにした車両用電動送風機システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
車両走行用の水冷エンジン内を循環する冷却水を冷却するラジエータ(100)と、冷凍サイクル装置内を循環する冷媒を冷却する放熱器(110)とに冷却風を流通させる車両用電動送風機システムであって、
前記ラジエータおよび前記放熱器に対してブラシレスモータの稼働により冷却風を通風させる第1の電動送風機(10)と、
前記ラジエータおよび前記放熱器に対してブラシ付きモータの稼働により冷却風を通風させる第2の電動送風機(20)と、
前記冷却水および前記冷媒のうちいずれか一方の状態に基づいて、前記第2の電動送風機に比べて前記第1の電動送風機の方を優先的に稼働させる制御手段(40)と、を備えており、
前記第1の電動送風機は、前記ラジエータおよび前記放熱器以外の他の車載部品(41、31、200)をも冷却風により冷却するようになっていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、第2の電動送風機に比べて第1の電動送風機の方を優先的に稼働させるので、第2の電動送風機の摩耗、すなわち、ブラシ付きモータが摩耗することを抑制することができる。さらに、第1の電動送風機によりラジエータおよび放熱器以外の他の車載部品をも冷却風により冷却するようになっているので、長寿命化を図りつつ、他の車載部品を冷却できる。
ここで、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の車両用電動送風機システムにおいて、制御手段は、前記冷却水および前記冷媒のうちいずれか一方の状態と前記他の車載部品の温度との双方に基づいて、第1の電動送風機による冷却風の送風量を決定するため、他の車載部品、ラジエータ、および放熱器を適切に冷却することが可能になる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
図1に、本発明に係る車両用電動送風機システムの一実施形態を示す。図1は、自動車のエンジンコンパートメント内の部分的構成を示す図である。
車両用電動送風機システムは、図1に示すように、電動送風機10、20を備えており、電動送風機10、20は、エンジンコンパートメント内おいて走行用の水冷エンジン30の前側にて左右方向に並べて配置されている。電動送風機10は、羽根車と、この羽根車を回転駆動するブラシレスモータとから構成されており、電動送風機20は、羽根車と、羽根車を回転駆動するブラシ付きモータとから構成されている。
一方、電動送風機10、20の車両前側には、ラジエータ100およびコンデンサ110が前後方向に並列に並べて配置されており、電動送風機10、20は、ラジエータ100およびコンデンサ110に対して冷却風を通風させてラジエータ100およびコンデンサ110を冷却させる役割を果たす。
ここで、ラジエータ100は、水冷エンジン30内を循環する冷却水を冷却するための熱交換器であり、コンデンサ110は、冷凍サイクルにて車室内を空調する自動車用空調装置(冷凍サイクル装置)の一構成要素であって、自動車用空調装置内を循環する冷媒を冷却するための放熱器である。
また、エンジンコンパートメント内おいて走行用の水冷エンジン30の左側には、ECUボックス(ECU−BOX)41が配置されている。ECUボックス41は、走行用エンジンを制御するためのエンジン制御用の電子制御装置40を収納するためのものである。
次に、本実施形態の車両用電動送風機システムの電気的概略構成について図2を用いて説明する。図2は、車両用電動送風機システムの電気的概略構成を示すブロック図である。
車両用電動送風機システムは、図2に示すように、電子制御装置(E/G−ECU)40を備えており、電子制御装置40は、マイクロコンピュータ、メモリ、および周辺回路等から構成されたもので、水冷エンジン30を構成する各電動アクチュエータを制御する。さらに、電子制御装置40は、走行用エンジンの冷却水の温度を検出する温度センサ60の検出出力に基づいて、電動送風機10、20を制御する。温度センサ60は、ラジエータ100の冷却水出口付近やエンジン30の冷却水出口付近の冷却水の温度を検出するものである。
ここで、本実施形態においては、電子制御装置40により電動送風機10、20を制御するに際して、温度センサ60の以外に、ECUボックス(ECU−BOX)41の表面温度を部品温度として検出する温度センサ61の検出出力を用いている。
また、車両用電動送風機システムは、電動ファン駆動回路50を備えており、この電動ファン駆動回路50は、制御部51、ブラシ付きモータ用ドライバ52、およびブラシレスモータ用ドライバ53から構成されている。制御部51は、電子制御装置40から指令される制御指令値に基づいて、ブラシ付きモータ用ドライバ52、およびブラシレスモータ用ドライバ53を制御する。
ブラシ付きモータ用ドライバ52は、直流電源Baから給電されて、電動送風機20に対して電圧を付与して回転数を制御する。具体的には、ブラシ付きモータ用ドライバ52は、電動送風機20を構成するブラシ付きモータ22に与える電圧値を調整することにより、ブラシ付きモータ22の回転数、ひいては、電動送風機20による送風量を調整する。ブラシ付きモータ22は、周知の電動直流モータから構成されている。
一方、ブラシレスモータ用ドライバ53は、直流電源Baから給電されて、ブラシレスモータ12に供給する三相交流電力を発生する3相全波ブリッジ回路としての周知のインバータ回路と、このインバータ回路に対してPWM(Pulse Width Modulation)制御してブラシレスモータ12に供給する三相交流電力量をインバータ回路からブラシレスモータ12に出力させる制御回路と、を備えている。ブラシレスモータ12は三相同期機器モータから構成される。
次に、本実施形態の作動について図3、図4を用いて説明する。図3は、電子制御装置40による送風機制御処理を示すフローチャートである。電子制御装置40は、図3に示すフローチャートにしたがって、予め記憶されるコンピュータプログラムを実行する。
先ず、温度センサ60から冷却水の温度(水温)を読み込むとともに、温度センサ61から部品温度としてECUボックス41の表面温度を読み込む。そして、冷却水の温度(水温)が閾値Tw以上であるか否かを判定する(ステップS100)。
ここで、冷却水の温度(水温)が閾値Tw未満であるとき(冷却水の温度≦Tw)、NOと判定する。すなわち、電動送風機10によりラジエータ100およびコンデンサ110を冷却する必要がないと判定されたことになる。
さらに、部品温度としてのECUボックス41の表面温度が閾値Ta以上であるか否かを判定する(ステップS110)。そして、部品温度が閾値Ta以上であるときには(部品温度≧Ta)、YESと判定する。すなわち、電動送風機10によりECUボックス41、すなわち電子制御装置40自体を冷却する必要があると判定されたことになる。
この場合、次のように、予めメモリに記憶された制御パターンAに基づいて電動送風機10によりECUボックス41を冷却するのに必要なファン回転数(すなわち、送風量)を制御指令値として算出する。ここで、制御パターンAは、図4に示すように、横軸を部品温度、縦軸をファン回転数とし、ファン回転数と部品温度とが1対1で特定される特性グラフである。
ここで、制御パターンAでは、部品温度が中間温度帯内に収まっている場合には、部品温度が高くなるにつれてファン回転数が高くなる。そして、部品温度が中間温度帯未満である場合にはファン回転数が零で一定値になる。すなわち、電動送風機10がOFFすることになる。一方、部品温度が中間温度帯以上である場合にはファン回転数が一定値になる。
そして、このような制御パターンAに基づいて、温度センサ61から読み込まれた検出温度(部品温度)に対応するファン回転数を決定するとともに、この決められたファン回転数を制御パルス信号のデューティ比として電動ファン駆動回路50の制御部51に出力する。
一方、制御部51は、制御パルス信号のデューティ比に基づいて、ブラシレスモータ用ドライバ53を駆動するため、ブラシレスモータ用ドライバ53は、デューティ比に対応する三相交流電力量を電動送風機10のブラシレスモータ12に供給する。
ここで、デューティ比が大きくなるにつれて三相交流電力量が大きくなり、デューティ比が小さくなるにつれて三相交流電力量が小さくなる。このため、デューティ比が大きくなるにつれてブラシレスモータ12の回転数が高くなり、デューティ比が小さくなるにつれてブラシレスモータ12の回転数が低くなる。
以上のように、ブラシレスモータ12の回転数が制御されるので、部品温度に対応して電動送風機10のファン回転数が制御されることになる。
一方、電動送風機10は、エンジンコンパートメント内で右側に配置されて、
電動送風機10の羽根車は右回転するので、羽根車による送風空気は図1中の矢印Y1の如く、走行用エンジン30の右側に流れる。このため、走行用エンジン30の右側空間の気圧は高くなり、それと相対的に走行用エンジン30の左側空間(すなわち、ECUボックス41の周辺)の気圧は低くなる。
したがって、左側空間には車両前方から矢印Y2の如く外気が流れ込む。ここで、左側空間にはECUボックス41(すなわち、電子制御装置40)が配置されているので、ECUボックス41は、車両前方から流れ込む外気により冷却されることになる。
その後、ステップS180に移行して、電動送風機20の作動状態を制御パターンCに基づいて決定する。この制御パターンCは、図5に示すように、横軸を冷却水温度、縦軸を電動送風機20の作動状態とし、電動送風機20の作動状態と冷却水温度とが1対1で特定される特性グラフである。
具体的には、制御パターンCでは、電動送風機20の作動状態の制御ハッチングを避けるために冷却水温度と作動状態との間でヒステリシスが設定されており、冷却水温度が温度Tyより高くなると電動送風機20がON状態になる。一方、冷却水温度が温度Tx(<Ty)より低くなると、電動送風機20がOFF状態になる。
このような制御パターンCに基づいて、温度センサ60から読み込まれた冷却水温度に対応する電動送風機20の作動状態を決定するとともに、この決められた作動状態を制御パルス信号のデューティ比として電動ファン駆動回路50の制御部51に出力する。
ここで、作動状態としてON状態を決定したときには、デューティ比dnを決定し、作動状態としてOFF状態を決定したときには、デューティ比df(≠dn)を決定する。
一方、制御部51は、制御パルス信号のデューティ比に基づいて、ブラシ付きモータ用ドライバ52を駆動するので、ブラシ付きモータ用ドライバ52は、デューティ比に対応するように電動送風機20のブラシ付きモータ22を制御することになる。
ここで、デューティ比dnの場合には、ブラシ付きモータ用ドライバ52は、ブラシ付きモータ22に対して一定電圧を供給するため、ブラシ付きモータ22は一定回転数で回転する。このため、電動送風機20は、一定回転数のファン回転数にて作動するため、ラジエータ100およびコンデンサ110は、電動送風機20からの送風空気により冷却される。
一方、デューティ比dfの場合には、ブラシ付きモータ用ドライバ52は、ブラシ付きモータ22に対して電圧の供給を停止するので、電動送風機20は、ファン回転の作動を停止する。
また、上述のステップS100で、冷却水の温度(水温)が閾値Tw以上であるときには(冷却水の温度>Tw)、Yesと判定する。すなわち、電動送風機10によりラジエータ100およびコンデンサ110を冷却する必要があると判定されたことになる。
次に、ステップS140に移行して、予めメモリに記憶された制御パターンBに基づいて電動送風機10によりラジエータ100およびコンデンサ110を冷却するのに必要なファン回転数(すなわち、送風量)を制御指令値として算出する。ここで、制御パターンBは、図6に示すように、横軸を冷却水温度、縦軸をファン回転数とし、ファン回転数と冷却水温度とが1対1で特定される特性グラフである。
ここで、制御パターンBでは、冷却水温度が中間温度帯内に収まっている場合には、冷却水温度が高くなるにつれてファン回転数が高くなる。そして、冷却水温度が中間温度帯未満である場合にはファン回転数が零で一定値になる。すなわち、電動送風機10がOFF状態になる。一方、冷却水温度が中間温度帯以上である場合にはファン回転数が一定値になる。
そして、このような制御パターンBに基づいて、温度センサ60から読み込まれた検出温度(冷却水温度)に対応するファン回転数(以下、ファン回転数Kbという)を決定する。
次に、部品温度(ECUボックス41の表面温度)が閾値Ta以上であるか否かを判定する(ステップS150)。そして、部品温度が閾値Ta未満であるときには(部品温度<Ta)、NOと判定する。すなわち、電動送風機10によりECUボックス41、すなわち電子制御装置40自体を冷却する必要がないと判定されたことになる。
この場合、上述の如く、制御パターンBに基づいて決定されるファン回転数Kbを制御パルス信号のデューティ比として電動ファン駆動回路50の制御部51に出力する。
このため、制御部51は、制御パルス信号のデューティ比Kbに基づいて、ブラシレスモータ用ドライバ53を駆動するため、ブラシレスモータ用ドライバ53は、デューティ比に対応する三相交流電力量を電動送風機10のブラシレスモータ12に供給する。
ここで、デューティ比Kbに対応するようにブラシレスモータ12の回転数が制御されるので、冷却水温度に対応して電動送風機10のファン回転数が制御されることになる。そして、電動送風機10による送風によりラジエータ100およびコンデンサ110が冷却されることになる。
ここで、制御パターンB、Cの関係について説明すると、制御パターンBにおいては、冷却水温度が温度TSBよりも高いとブラシレスモータ12がON状態になり、冷却水温度が温度TSBよりも低いとブラシレスモータ12がOFF状態になる。
一方、制御パターンCでは、冷却水温度が温度Tyより高くなると電動送風機20がON状態になり、冷却水温度が温度Txより低くなると電動送風機20がOFF状態になる。
そして、温度TSBに比べて温度Tx、Tyの方が高く設定されているため、冷却水温度が低温域では電動送風機10だけが稼働して、冷却水温度が高温域になると電動送風機10、20も双方が稼働することになる。このため、電動送風機20の稼働頻度に比べて電動送風機10の稼働頻度の方が高くなる。すなわち、電動送風機20に比べて、電動送風機10の方が優先的に稼働されることになる。
ところで、上述のステップS150において、部品温度が閾値Ta以上であるとき(部品温度≧Ta)、YESと判定する。すなわち、電動送風機10によりECUボックス41、すなわち電子制御装置40自体を冷却する必要があると判定されたことになる。
この場合、上述のステップS130の制御処理と同様に、制御パターンAと部品温度に基づいて電動送風機10のファン回転数(以下、ファン回転数Kaという)を決定する(ステップS160)。そして、ファン回転数Ka、Kbのうち高い値の方を選択して、この選択されたファン回転数Kcを制御パルス信号のデューティ比として電動ファン駆動回路50の制御部51に出力する(ステップS170)。
このため、制御部51は、制御パルス信号のデューティ比Kcに基づいて、ブラシレスモータ用ドライバ53を駆動するため、ブラシレスモータ用ドライバ53は、デューティ比に対応する三相交流電力量を電動送風機10のブラシレスモータ12に供給する。
ここで、デューティ比Kcに対応するようにブラシレスモータ12の回転数が制御されるので、冷却水温度および部品温度に対応して電動送風機10のファン回転数が制御されることになる。そして、電動送風機10による送風によりラジエータ100、コンデンサ110およびECUボックス41(電子制御装置40)の全てが冷却されることになる。
その後、ステップS180に移行して、ブラシ付きモータ22の制御処理を行う。なお、ステップS110において、部品温度が閾値Ta未満であるときには(部品温度<Ta)、NOと判定して、電動送風機10の作動を禁止して、ステップS180に移行する。
以下、本実施形態の作用効果につき述べる。すなわち、本実施形態の車両用電動送風機システムは、車両走行用の水冷エンジン30内を循環する冷却水を冷却するラジエータ100と、車両用空調装置内を循環する冷媒を冷却するコンデンサ110とに冷却風を流通させるものであり、ラジエータ100およびコンデンサ110に対してブラシレスモータ12の稼働により冷却風を通風させる電動送風機10と、ラジエータ100およびコンデンサ110に対してブラシ付きモータ22の稼働により冷却風を通風させる電動送風機20と、エンジン冷却水の温度に基づいて、電動送風機20に比べて電動送風機10の方を優先的に稼働させる電子制御装置40と、を備えており、電動送風機10は、ラジエータ100およびコンデンサ110以外のECUボックス41(すなわち、電子制御装置40)をも冷却風により冷却するようになっていることを特徴とする。
本実施形態によれば、電動送風機20に比べて電動送風機10の方を優先的に稼働させるので、電動送風機20の摩耗、すなわち、ブラシ付きモータ22が摩耗することを抑制することができる。さらに、電動送風機10によりラジエータ100およびコンデンサ110以外の他の車載部品としてのECUボックス41をも冷却風により冷却するようになっている。したがって、長寿命化を図りつつ、ECUボックス41(他の車載部品)を冷却することができる。
ここで、電子制御装置40は、ECUボックス41の表面温度およびエンジン冷却水温度の双方に基づいて、電動送風機10のファン回転数(送風量)を決定するため、ラジエータ100、コンデンサ110およびECUボックス41(すなわち、電子制御装置40)が適切に冷却され得る。
また、本実施形態では、走行用の水冷エンジン30および車体の間においては、水冷エンジン30の四隅に各エンジンマウントゴム31が配設されている。各エンジンマウントゴム31は、水冷エンジン30の振動を車体に伝導するのを抑制する役割を果たす。
ここで、各エンジンマウントゴム31は高温状態になると特性劣化が生じるため、冷却が要求されるものの、電動送風機10からの送風空気が図1中矢印Y1如く流れるため、右側の各エンジンマウントゴム31については、電動送風機10からの送風空気により冷却されることになる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、電動送風機10、20の制御に際して走行用エンジン30の冷却水温度を用いた例について説明したが、これに限らず、冷媒温度、或いは、冷媒圧力を用いてよい。さらには、冷却水温度、冷媒温度、および、冷媒圧力のうちいずれかを組み合わせて用いるようにしてもよい。
上述の実施形態では、電動送風機10の送風をECUボックス41に直接的に当てないで、ECUボックス41の周辺の気圧は低くして、車両前方から流れ込む外気によりECUボックス41を冷却するようにした例について説明したが、これに代えて、電動送風機10の送風をECUボックス41に直接的に当ててECUボックス41を冷却するようにしてもよい。
上述の実施形態では、他の車載部品としてECUボックス41を採用して、このECUボックス41の表面温度を検出しその検出温度を用いて電動送風機10の回転数を制御した例について説明したが、これに代えて、他の車載部品としてヘッドランプ、或いはエンジンマウントゴム31を採用して、これらの温度を検出してこの検出温度を用いて電動送風機10の回転数を制御してもよい。
例えば、ヘッドランプ200(具体的には、発光ダイオードを用いたヘッドランプ)を冷却する場合には、図7に示すように、電動送風機10からヘッドランプ200に送風空気を送風するためのダクトD1、D2を採用してもよい。
上述の実施形態では、制御パターンCに従って、冷却水温度が温度Tyより高くなると電動送風機20がON状態になり、冷却水温度が温度Txより低くなると電動送風機20がOFF状態になる例について説明したが、これ限らず、冷却水温度が温度Taより低くなっても、ブラシ付きモータ22の摩耗が生じない程度ならば、電動送風機20を回転させてもよい。
上述の実施形態では、電動送風機20の作動状態としてON状態およびOFF状態のうち一方を冷却水温度に基づいて決めるようにした例について説明したが、これに限らず、冷却水温度が高くなるにつれて電動送風機20のファン回転数を徐々に上昇させて、冷却水温度が低くなるにつれて電動送風機20のファン回転数を徐々に低下させるようにしてもよい。
この場合、制御パターンB、Cの関係は、図8に示すようになる。すなわち、制御パターンBに比べて、制御パターンCの傾きは小さくし、ブラシ付きモータ22に供給される電力の方が、ブラシレスモータ12に供給される電力に比べて低く設定してあれば、ブラシ付きモータ22の稼働頻度に比べてブラシレスモータ12の稼働頻度の方が高くなる。
すなわち、ブラシレスモータ12の方をブラシ付きモータ22に比べて優先的に稼働させることになる。したがって、ブラシレスモータ12の電気的な摩耗に比べて、ブラシ付きモータ22の電気的な摩耗が小さくできる。これに伴い、電動送風機10に比べて電動送風機20の電気的な摩耗を抑制できるので、長寿命化を図ることができる。
上述の実施形態では、電動送風機10(ブラシレスモータ12)を右側に配置して、かつ、電動送風機20(ブラシ付きモータ22)を左側に配置した例について説明したが、これに限らず、電動送風機10(ブラシレスモータ12)を左側に配置して、かつ、電動送風機20(ブラシ付きモータ22)を右側に配置してもよい。
また、本発明の実施にあたり、電動送風機10、20のファン回転方向は、任意に設定してもよく、また、冷却が要求される他の車載部品(例えば、ECUボックス41)の配置も任意に設定してもよい。
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、電子制御装置40が制御手段に相当する。
本発明の車両用電動送風機システムの一実施形態を示す概略構成図である。 図1の車両用電動送風機システムの電気的概略構成を示す図である。 図2の電子制御装置による制御処理を示すフローチャートである。 図3の電子制御装置によって電動送風機の送風量を決定するためのグラフである。 図3の電子制御装置によって電動送風機の送風量を決定するためのグラフである。 図3の電子制御装置によって電動送風機の送風量を決定するためのグラフである。 本発明の車両用電動送風機システムの一実施形態の変形例を示す概略構成図である。 本発明の車両用電動送風機システムの一実施形態の変形例において、電動送風機の送風量を決定するためのグラフである。
符号の説明
100…ラジエータ、110…コンデンサ、12…ブラシレスモータ、
22…ブラシ付きモータ、10、20…電動送風機、40…電子制御装置。

Claims (2)

  1. 車両走行用の水冷エンジン内を循環する冷却水を冷却するラジエータ(100)と、冷凍サイクル装置内を循環する冷媒を冷却する放熱器(110)とに冷却風を流通させる車両用電動送風機システムであって、
    前記ラジエータおよび前記放熱器に対してブラシレスモータの稼働により冷却風を通風させる第1の電動送風機(10)と、
    前記ラジエータおよび前記放熱器に対してブラシ付きモータの稼働により冷却風を通風させる第2の電動送風機(20)と、
    前記冷却水および前記冷媒のうちいずれか一方の状態に基づいて、前記第2の電動送風機に比べて前記第1の電動送風機の方を優先的に稼働させる制御手段(40)と、を備えており、
    前記第1の電動送風機は、前記ラジエータおよび前記放熱器以外の他の車載部品(41、31、200)をも冷却風により冷却するようになっていることを特徴とする車両用電動送風機システム。
  2. 前記制御手段は、前記冷却水および前記冷媒のうちいずれか一方の状態と前記他の車載部品の温度との双方に基づいて、前記第1の電動送風機による冷却風の送風量を決定することを特徴とする請求項1に記載の車両用電動送風機システム。
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