JP2006181587A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バルジングにともなう鋳片の内部割れを発生させることなく、中心偏析およびポロシティの発生を解消し、健全な鋳片を製造できる連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】(1)未凝固部を含む鋳片を、厚さ方向に5〜30mmの範囲内でバルジングさせた後に、圧下ロール対を用いてバルジング相当量を圧下する連続鋳造方法であって、鋳造方向に1または2以上の単位バルジング区間に分割し、該単位バルジング区間内で、鋳造方向に配置した複数のガイドロール対のロールキャビティを(4.0mm/m)以下の範囲で直線的に増加させ、鋳片厚さを鋳造方向に対して直線的または折れ線状に増加させる連続鋳造方法。(2)鋳造方向に実質的に同一のロールキャビティを有するロールセグメントごとに、ロールキャビティを(8.5mm/1ロールセグメント)以下の範囲で段階的に増加させ、鋳片の厚さを鋳造方向に対して段階的に増加させる連続鋳造方法。
【選択図】 図3
【解決手段】(1)未凝固部を含む鋳片を、厚さ方向に5〜30mmの範囲内でバルジングさせた後に、圧下ロール対を用いてバルジング相当量を圧下する連続鋳造方法であって、鋳造方向に1または2以上の単位バルジング区間に分割し、該単位バルジング区間内で、鋳造方向に配置した複数のガイドロール対のロールキャビティを(4.0mm/m)以下の範囲で直線的に増加させ、鋳片厚さを鋳造方向に対して直線的または折れ線状に増加させる連続鋳造方法。(2)鋳造方向に実質的に同一のロールキャビティを有するロールセグメントごとに、ロールキャビティを(8.5mm/1ロールセグメント)以下の範囲で段階的に増加させ、鋳片の厚さを鋳造方向に対して段階的に増加させる連続鋳造方法。
【選択図】 図3
Description
本発明は、炭素鋼、ステンレス鋼、高合金鋼などを対象として、バルジングさせたときに内部割れを発生させることなく、鋳片の中心部に発生する偏析およびポロシティを低減できる鋼の連続鋳造方法に関する。
連続鋳造方法により鋳片を製造する場合には、しばしば中心偏析やセンターポロシティ(以下、単に、「ポロシティ」とも記す)と呼ばれる内部欠陥の発生が問題となる。鋳片の未凝固部分を圧下することにより、上記の品質改善を図るに当たり、ロールの軸方向にわたってロール直径が同一の「平行ロール」を用いて圧下する場合には、鋳片の幅方向両端部の凝固部を圧下する必要があり、大きな圧下力を要するという問題があった。これに対し、鋳片の未凝固部分のみを選択的に圧下する意図で、ロールの軸方向に直径が異なる「異径ロール」による圧下技術が提案され、実施されているが、鋳片の幅方向中央部表面に凹部が残存するという問題があった。
一方、鋳片をバルジングさせた後に圧下する「バルジング圧下技術」の適用に際しては、バルジング量が大きくなるとバルジングに伴って鋳片に内部割れが発生するという問題があった。
連続鋳造法による鋳片の製造では、前記のとおり、厚さ中心部に中心偏析やポロシティと称する内部欠陥が発生し、このような鋳片を圧延した場合には、内部品質の良好な製品は得られない。中心偏析は、鋳片の最終凝固部である厚さ方向中心部においてC、S、P、Mnなどの溶質成分が濃化し、他の部分よりも成分濃度が高くなる正偏析を生じる現象であり、鋼材の靭性を低下させる原因となる。
例えば、硬鋼線材用のブルーム鋳片におけるポロシティは、熱間圧延後の線材の中心部に欠陥として残存する。このような線材を冷間で伸線加工すると、カッピー破断と称する断線事故が発生する。また、このような鋳片を熱間圧延して棒鋼に加工した場合においても、鋳片のポロシティは棒鋼の中心部に欠陥として残存する。この棒鋼を冷間にて押し出し加工する際には、シェブロンクラックといわれる欠陥が発生する。このような鋳片の厚さ中心部のポロシティは、鋳片の最終凝固部では溶鋼が流動しにくいことから、凝固時の体積収縮によって生じる狭い隙間に溶鋼が補給されないまま凝固が完了することにより発生する。
鋳片の中心偏析やポロシティの発生防止方法としては、以下のような技術が開示されている。
特許文献1には、凝固シェルに、積極的にバルジング力を作用させて、鋳片内未凝固層の厚さを増大させ、次いで、液相線クレータエンドと固相線クレータエンドとの間の鋳片に圧下を加え、中心偏析の発生を低減する連続鋳造方法が開示されている。しかし、特許文献1においては、バルジングの具体的方法については記載されておらず、バルジング時における鋳片の内部割れの発生が避けられない。
特許文献2には、変形抵抗の大きい鋳片両端部の凝固部の圧下を避け、圧下力を効率的に付与する方法が開示されている。すなわち、鋳片の凝固完了点より前の未凝固部に電磁攪拌などの作用を加えて凝固完了点近傍の未凝固部を等軸晶化し、凝固完了点の直前の鋳片中央の未凝固部に、キャメル・クラウン・ロールと呼ばれるロールの軸方向中央部に突出部を設けた段付きロールにより圧下率2%以上の圧下を加えて強制的に凝固完了点を形成させる連続鋳造方法が開示されている。しかし、ここで開示された方法は、段付きロールにより鋳片の幅方向中央部を局部的に圧下することから、鋳片表面に凹部が形成され、これが、その後の圧延工程で寸法不良や平坦度不良を発生させる原因となる。
さらに、特許文献3には、鋳型下方の鋳片未凝固域に対応する位置の鋳片長辺側を支持する複数の開閉可能な鋳片ガイドのうち、後方の少なくとも1対以上、或いは全てのガイドを鋳片厚み以上に開いて設置し鋳造することにより、ロール間バルジングによる鋳造方向の凝固シェルの凹凸および凝固収縮による溶鋼吸引により発生する濃化溶鋼の封じ込みを防止する連続鋳造方法が開示されている。しかし、特許文献3には、鋳片の圧下は記載されていない。
そして、特許文献4には、鋳型直下から引き抜き方向に配列されたガイドロールの鋳片厚さ方向の間隔を段階的に増加させて、鋳片の中心部固相率が0.1以下の位置でバルジングを生じさせ、鋳片の最大厚さを鋳型短辺長さよりも20〜100mm厚くし、凝固完了点直前にて少なくとも1対の圧下ロールにより前記バルジング量相当分を圧下する連続鋳造方法が開示されている。しかしながら、この方法においても、バルジングのさせ方次第では、凝固界面にバルジングに伴う内部割れの発生することが判明した。
上述のとおり、異径ロールを用いた鋳片圧下技術あるいは鋳片をバルジングさせた後圧下するバルジング圧下技術のいずれを用いるにしろ、鋳片の中心偏析やポロシティの発生を防止するためには、なお、解決されねばならない問題が残されている。
上述のとおり、異径ロールを用いた鋳片圧下技術あるいは鋳片をバルジングさせた後圧下するバルジング圧下技術のいずれを用いるにしろ、鋳片の中心偏析やポロシティの発生を防止するためには、なお、解決されねばならない問題が残されている。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、未凝固部を含む鋳片のバルジング圧下技術において、バルジングにともなう鋳片の内部割れを発生させることなく、中心偏析およびポロシティの発生を解消し、健全な鋳片を製造することのできる連続鋳造方法を提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、バルジング圧下技術を用いた中心偏析およびポロシティの発生解消方法について検討を行い、下記の(a)〜(c)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)鋳片をバルジングさせる場合に、鋳片厚さを鋳造方向に対して増加させる区間を単位バルジング区間に分割し、単位バルジング区間内のロールキャビティを鋳造方向長さ1m当たり4.0mm以下の範囲で直線的に増加させ、鋳片厚さを鋳造方向に対して直線的にまたは折れ線状に増加させることにより、鋳片の内部割れを防止することができる。
(b)鋳片をバルジングさせる場合に、複数のガイドロール対を鋳造長さ方向に配置し集合させたロールセグメントごとに、ロールキャビティを1ロールセグメント当たり8.5mm以下の範囲で段階的に増加させることにより、鋳片の内部割れを防止することができる。
(c)鋳片をバルジングさせた後、鋳片の横断面形状をバルジング前の元の矩形形状に戻すように、バルジング相当量の圧下を加える方法が適切である。
本発明では、上記(a)のバルジング方法を「テーパー型バルジング」と称し、上記(b)のバルジング方法を「段階的バルジング」と称することとする。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)および(2)に示す連続鋳造方法にある。
(1)未凝固部を含む鋳片を、その厚さ方向に5〜30mmの範囲内でバルジングさせた後に、少なくとも一対の圧下ロール対を用いてバルジング相当量を圧下する連続鋳造方法であって、鋳片の厚さを鋳造方向に対して増加させる区間を鋳造方向に1または2以上の単位バルジング区間に分割し、鋳造方向に配置した該単位バルジング区間内の複数のガイドロール対のロールキャビティを、該単位バルジング区間内において鋳造方向長さ1m当たり4.0mm以下の範囲で直線的に増加させ、さらに、隣接する単位バルジング区間との間ではロールキャビティを連続的に変化させて、鋳片の厚さを鋳造方向に対して増加させる連続鋳造方法(以下、「第1発明」と称する)。
(2)未凝固部を含む鋳片を、その厚さ方向に5〜30mmの範囲内でバルジングさせた後に、少なくとも一対の圧下ロール対を用いてバルジング相当量を圧下する連続鋳造方法であって、鋳片の厚さを鋳造方向に対して増加させる区間において、実質的に同一のロールキャビティを有する複数のガイドロール対を鋳造長さ方向に配置し集合させたロールセグメントごとに、ロールキャビティを1ロールセグメント当たり8.5mm以下の範囲で段階的に増加させ、鋳片の厚さを鋳造方向に対して段階的に増加させる連続鋳造方法(以下、「第2発明」と称する)。
本発明において、「隣接する単位バルジング区間との間ではロールキャビティを連続的に変化させる」とは、隣接する単位バルジング区間の端部間において、ロールキャビティの値が連続しており、ロールキャビティの増加状況が直線的または折れ線状になるように変化させることを意味する。
「実質的に同一のロールキャビティ」とは、ロールセグメント内における装置的な寸法公差の範囲内で同一のロールキャビティを有することを意味する。
「段階的に増加させる」とは、隣接するロールセグメントの端部間おいて、ロールキャビティの値が不連続であることを意味する。
また、「1ロールセグメント当たり」とは、1ロールセグメントの鋳造方向長さ当たりを意味し、その鋳造方向長さは、スラブ連続鋳造機の場合においては、およそ1.5〜2.1mの範囲であり、また、ブルーム連続鋳造機の場合では、およそ1.7〜2.8mである。
本発明の連続鋳造方法によれば、炭素鋼、ステンレス鋼、高合金鋼などの連続鋳造において、バルジングに伴う鋳片の内部割れを発生させることなく、中心偏析およびポロシティを防止することができ、内部品質の良好な鋳片を製造することができる。また、本発明の方法により製造した鋳片を素材として熱間圧延することにより、内部品質に優れた線材、棒鋼、鋼管、厚板などを供給することができる。
本発明は、前記のとおり、未凝固部を含む鋳片を、その厚さ方向にバルジングさせた後に、圧下ロール対を用いてバルジング相当量を圧下する連続鋳造方法であって、全バルジング区間を鋳造方向に1または2以上の単位バルジング区間に分割し、鋳造方向に配置した単位バルジング区間内の複数のガイドロール対のロールキャビティを、単位バルジング区間内において鋳造方向長さ1m当たり4.0mm以下の範囲で直線的に増加させ、かつ、隣接する単位バルジング区間との間ではロールキャビティを連続的に変化させて、鋳片の厚さを鋳造方向に対して増加させる連続鋳造方法である。また、実質的に同一のロールキャビティを有する複数のガイドロール対を鋳造長さ方向に配置し集合させたロールセグメントごとに、ロールキャビティを1ロールセグメント当たり8.5mm以下の範囲で段階的に増加させ、鋳片の厚さを鋳造方向に対して段階的に増加させる連続鋳造方法でもある。
前記のとおり、鋳片をバルジングさせた後に圧下する鋳造方法は試みられていたが、バルジング量が過大な場合や、バルジング方法が適正でない場合には、例えば、鋳片横断面内において短辺コーナー部を鈍角に変形させる力が作用し、短辺部の凝固界面に引張歪みが加わるなどして、内部割れが発生するという問題があった。
これに対し、発明者らは、バルジングさせた場合にも内部割れが発生しないバルジング方法について試験を重ねた結果、鋳片厚さを鋳造方向に対して所定の勾配の範囲内で直線的に増加させて、テーパー状にバルジングさせるか、または、1回当たりのバルジング量を所定量以下として、段階的にバルジングさせることにより、鋳片に内部割れを発生させることなくバルジングさせることができる方法を見出した。
バルジング後の鋳片の圧下については、従来より、異径ロールにより圧下する方法がある。しかし、この方法は、鋳片の圧下に必要な圧下力を低減できるものの、圧下後の鋳片の横断面形状が凹凸を伴い、矩形形状にはならないという問題を有する。そこで、本発明においては、鋳造された鋳片の圧下後の横断面形状を矩形形状に維持し、かつ、圧下力も低減できる圧下方法を検討した結果、鋳片をバルジングさせた後、鋳片の横断面形状をバルジング前の元の矩形形状に戻す量だけ圧下する方法が適切であることが判明した。
本発明者らは、後述する試験結果から、本発明の裏付けとなる下記の知見を得て、本発明を完成させた。
1)鋳片をバルジングさせる場合に、鋳片厚さを鋳造方向に対して増加させる区間を1または2以上の単位バルジング区間に分割し、単位バルジング区間内のロールキャビティを鋳造方向長さ1m当たり4.0mm以下の範囲で直線的に増加させ、鋳片厚さを鋳造方向に対して直線的にまたは折れ線状に増加させることにより、鋳片の内部割れを防止することができる。
2)鋳片をバルジングさせる場合に、実質的に同一のロールキャビティを有する複数のガイドロール対を鋳造長さ方向に配置し集合させたロールセグメントごとに、ロールキャビティを1ロールセグメント当たり8.5mm以下の範囲で段階的に増加させることにより、鋳片の内部割れを防止することができる。
3)鋳片をバルジングさせた後の圧下については、バルジング相当量の圧下を加えて鋳片の横断面形状をバルジング前の元の矩形形状に戻す方法が、鋳片表面の幅方向の凹凸を発生させない点で適切である。
以下に、本発明の裏付けとなった試験結果につき、図を用いて説明する。
図1は、本発明の方法を実施するための連続鋳造装置の例について縦断面を模式的に示す図である。タンディッシュから浸漬ノズル1を経て鋳型2内に注入された溶鋼3は、鋳型2および鋳型の直下に設けられた図示しない二次冷却装置により冷却されて、凝固殻5を形成する。凝固殻5は、複数のガイドロール対4により案内されながら徐々にその厚さを増し、未凝固部6を含む鋳片7となる。複数のガイドロール対により構成され、メニスカスから所定の位置に配置されたロールセグメントから、ロールキャビティを増加し始め(ロールキャビティを開放し始め)、バルジングさせた鋳片は、圧下ロール8により圧下され、ピンチロール9により鋳造方向下流側に引き抜かれる。
なお、図1では、1対の圧下ロールにより圧下する例を示したが、複数のロール対により段階的に圧下してもよい。圧下量については、鋳片の横断面形状が矩形形状の鋳片を得る観点から、バルジング量相当分を圧下するのが適切である。
圧下ロール対を1対とした前記図1に示す構成の連続鋳造装置を用いて、内部割れの発生しやすい高炭素鋼である1.0%C含有鋼により、幅600mm、厚さ350mmの鋳片を鋳造し、内部割れの発生の有無におよぼすバルジング条件の影響を調査した。
図2は、本発明におけるバルジング方法を模式的に示す図であり、同図(a)はテーパー型バルジングの例を示し、同図(b)は段階的バルジングの例を示す図である。調査試験では、同図(a)および(b)に示されるとおり、各ケースにおいて、ロール対を構成するガイドロール4の間隔、すなわちロールキャビティを変化させて、ロールキャビティの増加量を変化させながらバルジング試験を行った。なお、同図(b)の段階的バルジングにおいては、ロールセグメント10ごとにロールキャビティを増加させた。鋳造後の鋳片から内部調査用の鋳片を採取して、その横断面のサルファープリントにより内部割れの発生状況を調査した。
図3は、前記図2(a)で示したテーパー型バルジングにおいて、ロールキャビティ増加区間の長さおよび総バルジング量が内部割れの発生の有無に及ぼす影響を示した図である。同図の結果から、総バルジング量によらず、ロールキャビティ増加区間において、鋳造方向長さ1m当たりロールキャビティを4.0mm以下の範囲で直線的に増加させる、すなわち、ロールキャビティの増加勾配が4.0mm/m以下となるようにロールキャビティを増加させて鋳片をバルジングさせれば、バルジングに伴う内部割れは発生しないことが判明した。
図4は、前記図2(b)で示した段階的バルジングにおいて、第1段のバルジング量および第2段のバルジング量が内部割れの発生の有無に及ぼす影響を示した図である。同図の結果によれば、第1段および第2段のバルジング量がともに8.5mm以下であれば、バルジングに伴う内部割れ発生しないことが明らかである。上記の結果から、鋳造方向の3以上の区間に分割して複数段に分けてバルジングさせる場合においても、1段当たりのバルジング量を8.5mm以下とすることにより、バルジングに伴う内部割の発生を防止できることが判明した。
下記に、本発明を前記の範囲に限定した理由、および本発明の好ましい範囲について説明する。
a)総バルジング量:5〜30mm
バルジングは、中心偏析およびセンターポロシテを効果的に低減させるために行うものであり、総バルジング量が5mm未満ではその効果を得ることができない。一方、鋳片の総バルジング量が30mmを超えて大きくなると、長いゾーンにわたってバルジングさせる必要があり、また、凝固界面における引張応力の増大が避けられなくなって、内部割れを発生するおそれが生じる。そこで、総バルジング量の適正範囲を5〜30mmとした。
バルジングは、中心偏析およびセンターポロシテを効果的に低減させるために行うものであり、総バルジング量が5mm未満ではその効果を得ることができない。一方、鋳片の総バルジング量が30mmを超えて大きくなると、長いゾーンにわたってバルジングさせる必要があり、また、凝固界面における引張応力の増大が避けられなくなって、内部割れを発生するおそれが生じる。そこで、総バルジング量の適正範囲を5〜30mmとした。
b)ロールキャビティの増加勾配≦4.0mm/m
鋳造方向長さ1m当たりロールキャビティを4.0mm以下の範囲で直線的に増加させれば、鋳片の内部割れは発生しないことから、ロールキャビティの増加勾配の適正範囲を4.0mm/m以下とした。なお、ロールキャビティの増加区間において、ロールキャビティの増加パターンが複数の単位区間における直線から構成され、かつ各単位区間ごとの直線を連結した折れ線形状となる場合は、各単位区間におけるロールキャビティの増加勾配を全て4.0mm/m以下とすればよい。なお、さらに好ましいロールキャビティの増加勾配は、3.0mm/m以下である。
鋳造方向長さ1m当たりロールキャビティを4.0mm以下の範囲で直線的に増加させれば、鋳片の内部割れは発生しないことから、ロールキャビティの増加勾配の適正範囲を4.0mm/m以下とした。なお、ロールキャビティの増加区間において、ロールキャビティの増加パターンが複数の単位区間における直線から構成され、かつ各単位区間ごとの直線を連結した折れ線形状となる場合は、各単位区間におけるロールキャビティの増加勾配を全て4.0mm/m以下とすればよい。なお、さらに好ましいロールキャビティの増加勾配は、3.0mm/m以下である。
c)1段当たりのバルジング量≦8.5mm
実質的に同一のロールキャビティを有する複数のガイドロールで構成されるロールセグメントごとにロールキャビティを段階的に増加させる場合は、1段当たりのバルジング量を8.5mm以下とすることにより、バルジングにともなう内部割の発生を防止できる。そこで、1段当たりのバルジング量を8.5mm以下とした。なお、1段当たりのバルジング量は、7.0mm以下とすることが好ましい。ここで、「1ロールセグメント当たり」の鋳造方向長さは、スラブ連続鋳造機の場合では、およそ1.5〜2.1mであり、また、ブルーム連続鋳造機の場合では、およそ1.7〜2.8mである。
実質的に同一のロールキャビティを有する複数のガイドロールで構成されるロールセグメントごとにロールキャビティを段階的に増加させる場合は、1段当たりのバルジング量を8.5mm以下とすることにより、バルジングにともなう内部割の発生を防止できる。そこで、1段当たりのバルジング量を8.5mm以下とした。なお、1段当たりのバルジング量は、7.0mm以下とすることが好ましい。ここで、「1ロールセグメント当たり」の鋳造方向長さは、スラブ連続鋳造機の場合では、およそ1.5〜2.1mであり、また、ブルーム連続鋳造機の場合では、およそ1.7〜2.8mである。
本発明の連続鋳造方法の効果を確認するため、下記の連続鋳造試験を行い、その結果を評価した。
(実施例1)
図1に示される連続鋳造装置を用いて、高炭素鋼(C:1.0%、Si:0.2〜0.3%、Mn:0.3〜0.45%、P:0.015〜0.08%、S:0.008〜0.05%)を鋳造し、前記図2(a)に示したとおり、ガイドロール対のロールキャビティを増加させつつ、テーパー型バルジングを付与後、圧下ロールによりバルジング相当量の圧下を行って、幅600mm、厚さ350mmの鋳片を製造した。鋳造方法は、前記図1について説明した内容と同様の方法とし、鋳造速度は0.45〜0.60m/minの範囲とした。
図1に示される連続鋳造装置を用いて、高炭素鋼(C:1.0%、Si:0.2〜0.3%、Mn:0.3〜0.45%、P:0.015〜0.08%、S:0.008〜0.05%)を鋳造し、前記図2(a)に示したとおり、ガイドロール対のロールキャビティを増加させつつ、テーパー型バルジングを付与後、圧下ロールによりバルジング相当量の圧下を行って、幅600mm、厚さ350mmの鋳片を製造した。鋳造方法は、前記図1について説明した内容と同様の方法とし、鋳造速度は0.45〜0.60m/minの範囲とした。
表1に、試験条件および試験結果を示した。
同表において、バルジングゾーン長さは、ガイドロール対のロールキャビティ増加区間の長さを表し、また、バルジングテーパー量は、前記ロールキャビティの増加勾配を表す。
鋳造後の鋳片から内部調査用に長さ800mmの鋳片を採取し、長手方向に等間隔に5
枚の横断サンプルを採取し、そのサルファープリントにより内部割れの発生の有無を調査
した。内部割れは、長さ5mm以上の場合を「内部割れ有り」とし、それ未満の場合を「
内部割れ無し」とした。また、ポロシティについては、サルファープリントにより調査し
、直径2mm以上の場合を「ポロシティ残存有り」とし、それ未満の場合を「ポロシティ
残存無し」とした。
枚の横断サンプルを採取し、そのサルファープリントにより内部割れの発生の有無を調査
した。内部割れは、長さ5mm以上の場合を「内部割れ有り」とし、それ未満の場合を「
内部割れ無し」とした。また、ポロシティについては、サルファープリントにより調査し
、直径2mm以上の場合を「ポロシティ残存有り」とし、それ未満の場合を「ポロシティ
残存無し」とした。
また、炭素濃度中心偏析比は、鋳片の厚さ方向中心部に相当する位置の26箇所から7mmピッチで直径2mmのドリル刃により切り粉を採取し、その分析値C(%)を取鍋分析値Co(%)で除して、C/Coを求め、これらの平均値を算出して中心偏析比とした。
試験番号1−1〜1−3は、第1発明の範囲を満足する本発明例についての試験であり、試験番号1−4〜1−6は、第1発明で規定する条件の少なくとも1つが満たされない比較例についての試験である。
試験番号1−1〜1−3は、いずれも、総バルジング量が5〜30mmの範囲を満足し、バルジングテーパー量も4.0mm/m以下の範囲を満たすことから、内部割れの発生およびポロシティの残存はなく、鋳片の品質は良好であった。これに対して、試験番号1−4および1−5は、バルジングテーパー量が大きく、内部割れが発生した。また、試験番号1−6では、内部割れの発生は認められなかったものの、総バルジング量が4.0mmと少なかったことから、ポロシティが残存し、偏析低減効果もみられなかった。
(実施例2)
実施例1と同様に、高炭素鋼を鋳造し、前記図2(b)に示した方法により、ガイドロール対のロールキャビティをロールセグメントごとに段階的に増加させつつ、段階的バルジングを付与後、圧下ロールによりバルジング相当量の圧下を行って幅600mm、厚さ350mmの鋳片を製造した。
実施例1と同様に、高炭素鋼を鋳造し、前記図2(b)に示した方法により、ガイドロール対のロールキャビティをロールセグメントごとに段階的に増加させつつ、段階的バルジングを付与後、圧下ロールによりバルジング相当量の圧下を行って幅600mm、厚さ350mmの鋳片を製造した。
表2に、試験条件および試験結果を示した。
同表において、第1段、第2段および第3段バルジングを行わせるロールセグメントの鋳造方向長さは、それぞれ、3.3m、5.7m、および8.8mである。
試験番号2−1〜2−3は、いずれも、第2発明の範囲を満足する本発明例についての試験であり、試験番号2−4〜2−6は、第2発明で規定する条件の少なくとも1つが満足されない比較例についての試験である。
試験番号2−1〜2−3は、総バルジング量が5〜30mmの範囲を満足し、1段当たりのバルジング量も8.5mm以下の範囲を満たすことから、内部割れの発生およびポロシティの残存はなく、鋳片の品質は良好であった。これに対して、試験番号2−4〜2−6は、1段当たりのバルジング量が大きいことに起因して、内部割れが発生した。
本発明の連続鋳造方法によれば、炭素鋼、ステンレス鋼、高合金鋼などの連続鋳造において、バルジングに伴う鋳片の内部割れを発生させることなく、中心偏析およびポロシティを防止することができ、内部品質の良好な鋳片を製造することができる。また、本発明の方法により製造した鋳片を素材として熱間圧延することにより、内部品質に優れた線材、棒鋼、鋼管、厚板などを供給することができる。したがって、本発明は、内部品質に優れた各種製品の素材用鋳片を製造するための連続鋳造方法として、広範に適用できる。
1:浸漬ノズル、 2:鋳型、 3:溶鋼、 4:ガイドロール対、 5:凝固殻、
6:未凝固部、 7:鋳片、 8:圧下ロール、 9:ピンチロール、
10:ロールセグメント
6:未凝固部、 7:鋳片、 8:圧下ロール、 9:ピンチロール、
10:ロールセグメント
Claims (2)
- 未凝固部を含む鋳片を、その厚さ方向に5〜30mmの範囲内でバルジングさせた後に、少なくとも一対の圧下ロール対を用いてバルジング相当量を圧下する連続鋳造方法であって、鋳片の厚さを鋳造方向に対して増加させる区間を鋳造方向に1または2以上の単位バルジング区間に分割し、鋳造方向に配置した該単位バルジング区間内の複数のガイドロール対のロールキャビティを、該単位バルジング区間内において鋳造方向長さ1m当たり4.0mm以下の範囲で直線的に増加させ、かつ、隣接する単位バルジング区間との間ではロールキャビティを連続的に変化させて、鋳片の厚さを鋳造方向に対して増加させることを特徴とする連続鋳造方法。
- 未凝固部を含む鋳片を、その厚さ方向に5〜30mmの範囲内でバルジングさせた後に、少なくとも一対の圧下ロール対を用いてバルジング相当量を圧下する連続鋳造方法であ
って、鋳片の厚さを鋳造方向に対して増加させる区間において、実質的に同一のロールキャビティを有する複数のガイドロール対を鋳造長さ方向に配置し集合させたロールセグメントごとに、ロールキャビティを1ロールセグメント当たり8.5mm以下の範囲で段階的に増加させ、鋳片の厚さを鋳造方向に対して段階的に増加させることを特徴とする連続鋳造方法。
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