JP2006180704A - 新規タンパクおよびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ベーチェット病などで発現する特異的なポリペプチドを検出し、同定することにより、ベーチェット病などの疾患の機能を調べることができ、さらにはベーチェット病を診断するための客観的な判断材料、さらにはベーチェット病などの治療剤のスクリーニングに使用することができる。
【解決手段】リバースザイモグラフィーによりベーチェット病の特異的ポリペプチドを検出する。
【選択図】なし
【解決手段】リバースザイモグラフィーによりベーチェット病の特異的ポリペプチドを検出する。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、N末端部の配列に配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が31kDaであることを特徴とするタンパクおよびそのDNA,該タンパクなどを用いることを特徴とするベーチェット病などの疾患のスクリーニング方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】
配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するタンパクとしては、例えば、酸性PRP−1で知られるヒト唾液腺プロリンリッチタンパクや、ヒト涙腺中のmRNAからエンコードしたpHL E1F1 プロリンリッチタンパク(分子量:15,097)が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
上記プロリンリッチタンパクのうち、ヒト唾液腺プロリンリッチタンパクについては歯と唾液との接点で作用し、リン酸カルシウム沈殿、結晶形成を規制し、連鎖状球菌ミュータンスなどの口内菌を結びつけるタンパクとして作用していることが分かっている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、上記プロリンリッチタンパクとベーチェット病との関係などについては未だ分かっていない。
【0003】
ベーチェット病とは多臓器侵襲性の炎症性疾患であり、原因は現在不明である。主症状として、
(1)口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、
(2)皮膚症状〔(a)結節性紅斑、(b)皮下の血栓性静脈炎、(c)毛嚢炎様皮疹など〕、
(3)眼症状〔(a)虹彩毛様体炎、(b)網膜ぶどう膜炎(網脈絡膜炎)など〕、(4)外陰部潰瘍、
および副症状として、
(1)変形や硬直を伴わない関節炎、
(2)副睾丸炎、
(3)回盲部潰瘍で代表される消化器病変、
(4)血管病変、
(5)中等度以上の中枢神経病変
を示す慢性再発性の全身性炎症性疾患をいう。
病型診断は上記症状の出現の仕方により、完全型、不完全型に分けられている。このようにベーチェット病は症状の種類によってのみ診断づけられているため診断が困難な場合があり、特にベーチェット病として疑わしい場合や、ベーチェット病とまぎらわしい所見を呈する疾患などの場合に、診断が困難であるというのが現状である。
また、ベーチェット病以外の原因のはっきりしない自己免疫疾患、例えば原田病などについても同様の困難さが認められている。
【0004】
ザイモグラフィーは電気泳動を利用する方法であり、あらかじめゼラチンやカゼインなどの酵素基質となるタンパク質を封入したゲルを用い、試料を電気泳動後、ゲルを酵素と酵素基質が反応する適当な溶液中でインキュベートした後、ゲルを適当なタンパク質の染色液中で染色すると、プロテアーゼによって基質が分解された部分は、透明なバンドとして検出され、その位置と抜けた度合いにより、プロテアーゼのおよその活性を測定できる方法である。またゲルとしてSDS−ポリアクリルアミドゲルを用いると、その活性と分子量が同時に測定できる方法である。一方リバースザイモグラフィーは、同様に基質含有ゲル上で電気泳動した後、酵素反応液中にプロテアーゼを添加してゲル中の基質を消化させる。分離タンパク質にそのプロテアーゼ阻害物質が存在すると、染色後のゲル全体は、基質が分解され白く抜けるが、酵素活性阻害物質が存在する部分は、基質が分解されないため染色されたバンドとして検出されるのでプロテアーゼ阻害剤の分析に利用されている。現在、このリバースザイモグラフィーは、癌転移の研究やマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤のスクリーニング方法などに活用されている(例えば、非特許文献2参照。)。
しかし、プロテアーゼとしてシステインプロテアーゼを使用して、プロテアーゼ阻害剤のスクリーニング方法として利用された報告は認めていない。
【0005】
【特許文献1】
特表2002−516997号公報
【非特許文献1】
ダグラス ピー.ディッキンソン(Douglas P. Dickinson)、他1名,インベスティゲイティブ オフサルモロジー & ビジュアル サイエンス(Investigative Ophthalmology & Visual Science),1995年,36巻,10号,p.2020−2031
【非特許文献2】
宮崎 香、他1名,生物物理化学,1998年,42巻,p.87−92
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ベーチェット病などの疾患において発現し、リバースザイモグラフィーの特質からシステインプロテアーゼ阻害タンパクに属し、優れた抗ベーチェット病剤などをスクリーニングするため等に用いることができるシステインプロテアーゼ阻害タンパクおよびそのDNAなどに関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、患者から採取した涙液、唾液、血液などの検体について、調査、研究を重ねたところ、ベーチェット病または原田病を発症したときに、特異的に検出されるタンパク、および検体中で濃度が増大するタンパクが存在することを見出し、さらに研究をすすめ本発明を完成した。したがって、検体中からこのような物質、すなわちこれら特異的なタンパクを検出し、同定することにより、ベーチェット病などの疾患の機能を調べることができ、さらにはベーチェット病などを診断するための客観的な判断材料、さらにはベーチェット病などの予防・治療剤のスクリーニングに使用することができる。
【0008】
すなわち、本発明は、
〔1〕N末端部の配列に配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が31kDaであることを特徴とするタンパク(本明細書において31kDaタンパクと記載することもある。)、
〔2〕上記〔1〕記載のタンパクをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
〔3〕DNAである上記〔2〕記載のポリヌクレオチド、
〔4〕配列番号:2で表わされる塩基配列を含有する上記〔3〕記載のDNA、
〔5〕上記〔2〕記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
〔6〕上記〔5〕記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
〔7〕上記〔6〕記載の形質転換体を培養し、上記〔1〕記載のタンパクを生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする上記〔1〕記載のタンパク、
〔8〕上記〔1〕記載のタンパクもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはそれらの塩を含有してなる組成物、
〔9〕上記〔2〕記載のポリヌクレオチドを含有してなる組成物、
〔10〕システインプロテアーゼ阻害剤である上記〔8〕または〔9〕記載の組成物、
〔11〕上記〔1〕記載のタンパクに対する抗体、
〔12〕上記〔1〕記載のタンパクの活性を不活性化する中和抗体である上記〔11〕記載の抗体、
〔13〕上記〔11〕記載の抗体を含有してなる組成物、
〔14〕ベーチェット病の予防・治療剤である上記〔13〕記載の組成物、
〔15〕上記〔11〕記載の抗体を含有してなる診断剤、
〔16〕ベーチェット病の診断剤である上記〔15〕記載の診断剤、
〔17〕上記〔2〕記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断剤、
〔18〕ベーチェット病の診断剤である上記〔17〕記載の診断剤、
〔19〕上記〔1〕記載のタンパクをコードするDNAに相補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、該タンパクの発現を抑制し得る作用を有するアンチセンスDNA、
〔20〕上記〔19〕記載のアンチセンスDNAを含有してなる組成物、
〔21〕ベーチェット病の予防・治療剤である上記〔20〕記載の組成物、
〔22〕リバースザイモグラフィーを用いることを特徴とするシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパクのスクリーニング方法、
〔23〕システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパクが上記〔1〕記載のタンパクである上記〔22〕記載のスクリーニング方法、
〔24〕システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパクがN末端部の配列に配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が65kDaであることを特徴とするタンパクである上記〔22〕記載のスクリーニング方法、
〔25〕上記〔1〕記載のタンパクを用いることを特徴とする上記〔1〕記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはそれらの塩のスクリーニング方法、
〔26〕N末端部の配列に配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が65kDaであるタンパクを用いることを特徴とする該タンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはそれらの塩のスクリーニング方法、
〔27〕機能がシステインプロテアーゼ阻害活性またはベーチェット病関連因子である上記〔25〕記載のスクリーニング方法、
〔28〕機能が原田病関連因子である上記〔26〕記載のスクリーニング方法、
〔29〕上記〔1〕記載のタンパクのシステインプロテアーゼ阻害活性を試験化合物の存在下および非存在下に測定し、比較することを特徴とする上記〔25〕記載のスクリーニング方法、
〔30〕上記〔1〕記載のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下および非存在下に培養し、それぞれの場合における当該タンパクのmRNAの発現量を測定し、比較することを特徴とする上記〔25〕記載のスクリーニング方法、
〔31〕上記〔1〕記載のタンパクのプロモーター領域およびエンハンサー領域、または上記〔1〕記載のタンパクのプロモーター領域をレポーター遺伝子の上流に連結させたDNAで形質転換した細胞を試験化合物の存在下および非存在下に培養し、それぞれの場合におけるレポーター遺伝子の発現量を測定することを特徴とする上記〔29〕記載のスクリーニング方法、
〔32〕上記〔1〕記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
〔33〕上記〔29〕記載のスクリーニング方法または上記〔32〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上記〔1〕記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩、
〔34〕上記〔29〕記載のスクリーニング方法または上記〔32〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上記〔1〕記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩を含有してなる組成物、
〔35〕上記〔29〕記載のスクリーニング方法または上記〔32〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上記〔1〕記載のタンパクの機能を阻害する活性を有する化合物またはその塩を含有してなるベーチェット病の予防・治療剤、および
〔36〕配列番号:4で表わされるアミノ酸配列であることを特徴とするポリペプチドに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の31kDaタンパクは、例えばベーチェット病などに関連して検出され、もしくは濃度の増大が確認される物質である。
本発明の31kDaタンパクは、N末端部の15merアミノ酸が配列番号:1で示される配列を示すことから、配列番号:1と同一のアミノ酸配列を含有するPRP−1またはpHL E1H1プロリンリッチタンパクのアミノ酸配列の76番目のアスパラギン酸から134番目のトリプトファンのアミノ酸配列との相同性をもつアミノ酸配列を少なくとも約50%以上、更には約60、70、75、80、85、90、95%以上有すると考えられる。
【0010】
本発明の31kDaタンパクは、ベーチェット病などの患者の涙液、血液、細胞または組織などから公知のタンパク分離精製方法によって製造することもできるし、本発明のタンパクをコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。
患者の涙液、血液、細胞または組織から製造する場合、例えば、涙液はそのまま逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができ、血液は遠心分離で血清または血漿を分離した後、上記クロマトグラフィーなどにより精製単離することができる。細胞または組織はホモジナイズなどした後、塩析や酸などで抽出または分画を行ない、該抽出液または画分を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
【0011】
本発明の31kDaタンパクを組換えDNA技術により製造する場合、例えば、上記タンパクをコードするDNAを調製し、これを発現用ベクターに挿入したものを大腸菌、枯草菌、放線菌、酵母等の宿主に導入して形質転換体とし、その培養物から本発明のタンパクを採取してもよい。
【0012】
従って本発明は、上記の本発明のタンパクをコードするヌクレオチド配列を含むDNAを提供することも含むものである。本発明において、特に、後述の形質転換大腸菌に保持されるプラスミドベクターに組み込まれているものが好適に使用しうる。別の観点として、本発明は、上記DNAを含む組換えベクターを提供する。本発明において、組換えベクターとしては、上記DNAにコードされるアミノ酸配列からなるペプチドの発現を可能ならしめるベクター中に組み込まれているものが好適に使用しうる。
【0013】
所望のヌクレオチド配列を有するDNAを調製する方法としては、例えば、該所望のDNAの部分配列ヌクレオチドであって、両端がオーバーラップするようなセンスおよびアンチセンスヌクレオチドを化学合成し、次いでポリメラーゼ連鎖反応[Saiki, R. K. et al (1988) Science 239, 487-491参照]等のDNAポリメラーゼ反応やリガーゼ反応を利用することにより、それら部分配列が連結したものを得る方法等が挙げられる。
【0014】
本発明のタンパクのアミノ酸配列をコードするDNAを好適なベクターに組み込むことにより、原核生物または真核生物の宿主細胞を形質転換させることができる。さらに、これらのベクターに適当なプロモーターおよび形質転換にかかわる配列を導入することにより、それぞれの宿主細胞において該DNAを発現させることができる。すなわち本発明はまた、本発明のタンパクの発現を可能ならしめるベクター中に本発明のDNAが組み込まれている組換えベクターを保持する宿主細胞に関する。
【0015】
原核細胞の宿主としては、例えば大腸菌(Escherichia coli)や枯草菌(Bacillus subtilis)等が挙げられる。目的の遺伝子をこれらの宿主細胞内で形質発現させるには、宿主と適合し得る種由来のレプリコン、すなわち複製起点および調節配列を含んでいるプラスミドベクターで宿主細胞を形質転換させればよい。またベクターは形質転換細胞に表現形質(表現型)の選択性を付与することができる配列を持つものが望ましい。
【0016】
大腸菌としてはE.coli K12株、JM109株等がよく用いられ、ベクターとしては一般にpBR322やpUC系のプラスミドがよく用いられるが、これらに限定されず、公知の各種の菌株およびベクターがいずれも利用できる。プロモーターとしては、大腸菌においてはトリプトファン(trp)プロモーター、ラクトース(lac)プロモーター、トリプトファン・ラクトース(tac)プロモーター、リポプロテイン(lpp)プロモーター、バクテリオファージ由来のラムダ(λ)PLプロモーター、ポリペプチド鎖伸長因子Tu(tufB)プロモーター、lacUV5プロモーター等が挙げられ、いずれのプロモーターも本発明のタンパクの産生に使用することができる。
【0017】
枯草菌としては、例えば207−25株が好ましく、ベクターとしてはpTUB228[Ohmura, K., et al. (1984) J. Biochem. 95, 87-93 参照]等が用いられるが、これに限定されるものではない。枯草菌用プロモーターとしては、枯草菌のα−アミラーゼ遺伝子の調節配列がよく用いられ、さらに必要によりα−アミラーゼのシグナルペプチド配列をコードするDNA配列を連結することにより、菌体外での分泌発現も可能となる。
【0018】
宿主細胞として大腸菌を用いる場合を例に挙げると、発現ベクターとしては、pBR322複製起点を有し、大腸菌において自立増殖が可能であり、さらに転写プロモーター、翻訳開始シグナルを備えたものを用いることができる。該発現ベクターはカルシウム−クロライド法[Mandel, M. and Higa, A. (1970) J. Mol. Biol. 53, 154参照]、Hanahan の方法[Hanahan, D. and Meselson, M. (1980) Gene 10, 63 参照]および電気パルス穿孔法[Neumann, E., et al. (1982)EMBO J. 1, 841-845 参照]等により大腸菌に取り込ませることができ、かくして所望のベクターが形質転換された細胞を得ることができる。
【0019】
真核生物の宿主細胞には、脊椎動物、昆虫、酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物細胞としては、例えばサルの腎細胞由来であるCOS細胞[Gluzman, Y. (1981) Cell23, 175-182 参照]やチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ヒトナマルバ細胞、ハムスターBHK細胞等がよく用いられるが、これらに限定されない。
【0020】
脊椎動物細胞の発現ベクターとしては、通常発現させようとする遺伝子の上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終結配列等を有するものを使用でき、これはさらに必要により複製起点を有してもよい。該発現ベクターの例としては、SV40の初期プロモーターを有するpSV2dhfr[Subramani, S., et al. (1981) Mol. Cell. Biol. 1, 854-864参照]等を例示できるが、これに限定されない。
【0021】
また真核微生物としては酵母が一般によく用いられており、その中でもサッカロミセス属酵母、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい。該酵母等の真核生物の発現ベクターとしては、例えばアルコール脱水素酵素遺伝子のプロモーター[Bennetzen, J. L. and Hall, B. D. (1982) J. Biol. Chem. 257, 3018-3025 参照]や酸性ホスファターゼ遺伝子のプロモーター[Miyanohara, A., et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80, 1-5参照]等を好ましく利用できる。
【0022】
宿主細胞として、COS細胞を用いる場合を例に挙げると、発現ベクターとしては、SV40複製起点を有し、COS細胞において自立増殖が可能であり、さらに転写プロモーター、転写集結シグナルおよびRNAスプライス部位を備えたものを用いることができる。該発現ベクターはDEAE−デキストラン法[Luthman, H. and Magnusson, G. (1983) Nucleic Acids Res. 11, 1295-1308 参照]、リン酸カルシウム−DNA共沈澱法[Graham, F. L. and van der Ed, A. J.(1973) Virology 52, 456-457 参照]および電気パルス穿孔法[Neumann, E., et al. (1982) EMBO J. 1, 841-845 参照]等によりCOS細胞に取り込ませることができ、かくして所望の形質転換細胞を得ることができる。また、宿主細胞としてCHO細胞を用いる場合には、発現ベクターとしてG418耐性マーカーとして機能するneo遺伝子を発現し得るベクター、例えばpRSVneo[Sambrook, J., et al. (1989) "Molecular Cloning: A Laboratory Manual" Cold Spring Harbor Laboratory, NY参照]やpSV2neo[Southern, P. J. and Berg, P. (1982) J. Mol. Appl. Genet. 1, 327-341 参照]等を使用し、G418耐性のコロニーを選択することにより本発明のタンパクを安定に産生する形質転換細胞を得ることができる。
【0023】
上記のように、本発明において、宿主細胞は本発明のタンパクを産生するように形質転換されたものであればいずれでも良く、特に制限されるものではない。
【0024】
上記で得られる所望の形質転換体は、常法に従い培養することができ、該培養により細胞内または細胞外に本発明のタンパクが生産される。該培養に用いられる培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択でき、例えば、大腸菌であればトリプトン−イースト培地(バクトトリプトン1.6%、イーストエキストラクト1.0%、塩化ナトリウム 0.5%(pH7.0))やペプトン培地(ディフコ社製)等を使用できる。また、上記COS細胞であればRPMI1640培地やダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)等の培地に必要に応じウシ胎児血清(FBS)等の血清成分を添加したものを使用できる。
【0025】
上記により、形質転換体の細胞内または細胞外に生産される本発明のタンパクは、該蛋白質の物理的性質や化学的性質等を利用した各種の公知の分離操作法により、分離・精製することができる。かかる方法としては、具体的には例えば通常の蛋白質沈澱剤による処理、限外ろ過、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の各種クロマトグラフィー、透析法、これらの組合せ等を例示できる。外来遺伝子を大腸菌等に導入して大量発現させた場合、産生されたペプチドが、封入体と呼ばれる水に不溶の集塊を形成することがある。そのような場合、グアニジンイソチオシアネート等の強力な変性剤を用いて該ペプチドを変性させることにより該ペプチドを可溶化することができる。
【0026】
さらに、本発明のタンパクは、かくして得られるポリペプチドに糖質やポリエチレングリコールを付加して得られる複合体としての形態、さらには、ポリペプチドをアセチル化、アミド化および/または多官能試薬により架橋重合させて得られる誘導体または重合体としての形態であってもよい。
【0027】
上記培養物から本発明のタンパクを分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。本発明のタンパクを培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりポリペプチドの粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、オクトキシノール(例えば、トリトンX−100など)などの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にポリペプチドが分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるポリペプチドの精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、分配クロマトグラフィーなどの溶解度の差を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
このようにして生成する本発明のタンパクの存在または活性は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
【0028】
本発明のタンパクは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。本発明のタンパクは、C末端が通常カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO−)、アミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)もしくはそれらの塩のいずれであってもよい。
【0029】
ここでエステルにおけるRとしては、C1−6アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど)、C6−12アリール基(例えばフェニル、1−ナフチルなど)などが用いられる。本発明のタンパクがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のタンパクに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。さらに、本発明のタンパクには、N末端のアミノ酸残基(例えば、メチオニン残基)のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アルカノイルなどのC1−6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成するN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えばヒドロキシ基、スルファニル基、アミノ基、イミダゾリル基、インドリル基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ポリペプチドなどの複合ポリペプチドなども含まれる。
【0030】
本発明のタンパクの塩としては、生理学的に許容される酸(例えば、無機酸、有機酸)や塩基(例えば、アルカリ金属塩)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
【0031】
本発明のアンチセンスDNAは修飾されたDNAであってもよい。修飾されたDNAの具体例としてはDNAの硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定されるものではない。本発明のアンチセンスDNAは、細胞内でより安定なものにするため、細胞透過性をより高めるため、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにするため、または毒性をより小さくするため、好ましく設計、修飾されうる。本発明のアンチセンスDNAは、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加された形態で与えられることができうる。このようなアンチセンスDNAに対する修飾としては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった疎水性のものが挙げられる。このような付加は、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。アンチセンスDNAの阻害活性は、本発明の形質転換体、あるいは本発明のタンパクの生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該DNAは、公知の各種の方法で細胞に適用できる。
【0032】
本発明のタンパクに対する抗体は、本発明のタンパクを認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよいが、モノクローナル抗体がより好ましい。本発明のタンパクに対する抗体は、本発明のタンパクまたは本発明のタンパクのアミノ酸配列の一部あるいはそのアミノ酸配列の一部を有する抗原性を有するポリペプチドを抗原として用い、公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
【0033】
上記抗原性を有するポリペプチドは、例えば、「固相法」または「液相法」として知られる慣用のペプチド合成法により調製することができる。例えば、社団法人日本生化学会編「新生化学実験講座」、第1巻、「タンパク質VI」、第3〜44頁、1992年、東京化学同人発行などにはペプチド合成の詳細が記載されている。また本発明に記載のタンパクのアミノ酸配列の一部あるいはそのアミノ酸配列の一部を有するポリペプチドは、ペプチド合成装置(島津製作所製)を用い、Fmoc (9-fluorenyl methyloxycarbonyl)固相合成法にて同装置のプロトコールに従って合成することができる。すなわち、合成する各ペプチドのC末端に相当するアミノ酸が導入されているFmoc-L-アミノ酸Wang樹脂(またはCl-Trt樹脂)を上記ペプチド合成装置の反応容器にセットし、デプロテクション溶液を用いてFmocを除く。デプロテクション溶液としては、ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)が好適に利用できる。さらにC末端から2番目のアミノ酸に相当するアミノ酸溶液とアクチベーター溶液を反応せしめ、反応後再びFmoc基のデプロテクションを行い、同様の操作を繰り返すことにより、目的とするペプチドを合成することができる。
【0034】
〔モノクローナル抗体の作製〕
上記抗原性を有するポリペプチドは、温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われることが好ましい。用いられる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙げられるが、好ましくはマウス、ラット、ウサギである。モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免疫された温血動物、例えばウサギから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、放射性物質や酵素などで標識した標識化ポリペプチドと抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔Nature、256、495 (1975)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
【0035】
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄腫細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、ポリペプチド抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例えば、、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる。)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したポリペプチドを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0036】
モノクローナル抗体の精製モノクローナル抗体の分離精製は、公知の方法、例えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例えば、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例えば、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
【0037】
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗原(本発明のタンパクに対し抗原性を有するもの)自体、あるいはそれとキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のタンパクに対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造することができる。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なわれる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。本発明のタンパクに対する抗体(以下、「本発明の抗体」と称することもある。)としては、例えば、ヒト唾液腺プロリンリッチタンパク(PRP−1)の部分アミノ酸配列であるGln-Gln-Arg-Pro-Pro-Arg-Arg-Gly-His-Arg-Gln-Leu-Ser-Leu-Pro-Arg-Phe-Pro-Ser-Val(配列番号:3)からなるポリペプチドを抗原とする抗体が挙げられる。
【0038】
本発明のタンパクは、電気泳動法を利用するリバースザイモグラフィー法によりペプチドの分離とその可視化を行うと、好適に検出を行うことができる。リバースザイモグラフィー法に用いられるゲルは、ポリアクリルアミドを含有していることが好ましく、該ポリアクリルアミドの含有量は、2〜30w/v%程度であることが好ましく、5〜15w/v%程度であることがより好ましい。また、リバースザイモグラフィー法に用いられるゲルは、SDS等の界面活性剤を含有していることが好ましく、該SDSの濃度は、0.0001〜15w/v%程度であることが好ましく、0.01〜5w/v%程度であることがより好ましい。また、リバースザイモグラフィー法に用いられるゲルは、例えばゼラチン、カゼイン、エラスチン、フィブリンなどの基質を含有していることが好ましく、特にゼラチンが好ましい。基質濃度は、例えばゼラチンの場合、0.01〜1w/v%程度が好ましく、0.05〜0.5w/v%程度がより好ましい。電気泳動後のゲルはトリトンX−100などを含む緩衝液中で洗浄し、システインプロテアーゼ添加溶液中でインキュベートした後ゲルを洗浄後、クーマシーブリリアントブルーなどでゲルを染色する。
システインプロテアーゼとしては、例えばパパイン、フィシン、ブロメライン、カテプシンB,H,Lおよびカルパインなどが好ましく、特にパパインが好ましい。
【0039】
本発明のタンパクは、少なくともベーチェット病や原田病などの発症時に、検出され、もしくは濃度の増大が確認される。本リバースザイモグラフィー法によれば検体を採取した生物で、本発明のタンパクが検出されると、ベーチェット病や原田病などの疾患時に特異的に発現するポリペプチドでありうるので、本発明のタンパクをベーチェット病や原田病の指標物質とすることができる。
このような物質を指標物質として用いると、患者から採取した検体(例えば、涙液、血液、唾液など)を検査することにより、特にベーチェット病として疑わしい場合や、ベーチェット病とまぎらわしい所見を呈する疾患などの場合に、的確な診断が行うことができるようになる。
【0040】
少なくともベーチェット病の発症時に、検出され、もしくは濃度の増大が確認される指標物質としては、例えば、本発明の31kDaタンパクが挙げられる。なお、「31kDaタンパク」とは、例えば、上記リバースザイモグラフィー法により指標物質の検出を行った場合に、31kDa近傍にバンドとして検出される物質をいう。
【0041】
少なくとも原田病の発症時に、検出され、もしくは濃度の増大が確認される指標物質としては、例えば、N末端側のアミノ酸配列が配列番号:5であり、分子量約65kDaのシステインプロテアーゼ阻害物質などが挙げられる。なお、「配列番号:5であり、分子量約65kDaのシステインプロテアーゼ阻害物質」とは、例えば、上記リバースザイモグラフィー法により指標物質の検出を行った場合に、65kDa近傍にバンドとして検出される物質をいう。
【0042】
本発明のタンパクは上記リバースザイモグラフィーの特質から、プロテイン阻害活性を有する。したがって本発明のタンパクもしくはそれらのアミドもしくはエステルまたはそれらの塩は、システインプロテアーゼが関与する疾患、例えば骨粗鬆症などの治療・予防剤などの組成物として使用できる。
【0043】
本発明のタンパクをコードするDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動物に投与することができる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。本発明のタンパクを上記の治療・予防剤として使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
【0044】
本発明のタンパクもしくはそれらのアミドもしくはエステルまたはそれらの塩は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のタンパクを生理学的に認められる担体、賦形剤、防腐剤、安定剤、結合剤、甘味剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤などが用いられる。錠剤には、適当なコーティング剤(ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウなど)、腸溶性コーティング剤(例えば酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースなど)などで剤皮を施してもよい。カプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。また、カプセル剤は通常のカプセルの他、腸溶性コーティングカプセル、胃内抵抗性カプセル、放出制御カプセルとすることもできる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、ゴマ油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50など)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。本発明のDNAが挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用される。
【0045】
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、温血動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。本発明のタンパクの投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば骨粗鬆症の治療目的で本発明のタンパクを経口投与する場合、一般的に成人(60kgとして)においては、1日約0.1mg〜1000mg、好ましくは約1.0〜500mg投与する。
【0046】
本発明のタンパクまたは本発明のタンパクをコードするDNAは、本発明のタンパクの発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのためのプローブとしても有用である。すなわち、本発明は、本発明のタンパクを用いることを特徴とする本発明のタンパクの発現を促進または阻害する活性を有する化合物のスクリーニング方法などを提供する。具体的には、例えば、本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養し、本発明のタンパクをコードするDNAもしくはその相補的DNAまたはその部分DNAを用いて本発明のタンパクをコードするmRNAの量を測定することを特徴とする本発明のタンパクの発現を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞としては、例えば、本発明のタンパクの遺伝子を導入し形質転換した動物細胞などがあげられる。本発明のタンパクの遺伝子を導入し形質転換した動物細胞は上述の方法により製造できる。本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞の培養は、公知の動物細胞培養法と同様にして行われる。例えば、培地としては、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔Science,122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔Virology,8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔The Journal of the American Medical Association,199巻,519(1967)〕,199培地〔Proceeding of the Society for the Biological Medicine,73巻,1(1950)〕等が用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30〜40℃で約15〜60時間行ない必要に応じて継代培養をおこなってもよい。また、培養は必要に応じて通気や撹拌を加えてもよい。
【0047】
mRNAの発現量の比較をハイブリダイゼーション法によって行うには、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press,1989)に記載の方法等に従って行なうことができる。具体的には、本発明のタンパクをコードするmRNAの量の測定は、公知の方法に従って細胞から抽出したRNAと本発明のタンパクの遺伝子をコードするDNAの相補的DNAまたはその部分DNAとを接触させ、本発明のタンパクの遺伝子DNAの相補的DNAに結合したmRNAの量を測定することによって行われる。本発明のタンパクの遺伝子DNAの相補的DNAまたはその部分DNAを、例えば放射性同位元素、色素などで標識することによって、本発明のタンパクの遺伝子DNAの相補的DNAに結合したmRNAの量が容易に測定できる。放射性同位元素としては、例えば〔32P〕、〔3H〕などが用いられ、色素としては、例えばfluoresceinなどの蛍光色素が用いられる。また、本発明のタンパクのmRNAの量は、細胞から抽出したRNAを逆転写酵素によって相補的DNAに変換した後、本発明のタンパクの遺伝子をコードするDNAもしくはその相補的DNAまたはその部分DNAをプライマーとして用いるPCRによって、増幅される相補的DNAの量を測定することによって行うことができる。本発明のタンパクのmRNAの量の測定に用いられる本発明のタンパクの遺伝子DNAの相補的DNAとしては、本発明のタンパクの遺伝子DNA(上鎖)に相補的な配列を有するDNA(下鎖)があげられる。
【0048】
また、本発明は、本発明のタンパクの公知プロモーターやエンハンサー領域をゲノムDNAよりクローニングし、適当なレポーター遺伝子の上流に連結させたDNAで形質転換した細胞(例えば、脂肪細胞、マクロファージ、骨格筋細胞など)を試験化合物の存在下で培養し、本発明のタンパクの発現に代えてレポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする、本発明のタンパクの発現を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。レポーター遺伝子としては、例えば、lacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)などの染色マーカー遺伝子等などが用いられる。レポーター遺伝子産物(例えば、mRNA、ポリペプチド)の量を公知の方法を用いて測定することによって、レポーター遺伝子産物の量を増加させる試験化合物を本発明のタンパクの遺伝子の発現を促進する活性を有する化合物として、レポーター遺伝子産物の量を減少させる試験化合物を、本発明のタンパクの遺伝子の発現を阻害する化合物として選択できる。細胞の培養は、上記した公知の動物細胞培養と同様に行うことができる。
【0049】
さらに、本発明は(i)本発明のタンパクを例えば大腸菌に発現させ、それを精製した後、本発明のタンパクのシステインプロテアーゼ阻害活性と(ii) 本発明のタンパクと一緒に試験化合物を添加した場合のシステインプロテアーゼ阻害活性を、リバースザイモグラフィー法などを用いて測定し、比較を行うことを特徴とする、本発明のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0050】
さらに、本発明は、本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養し、本発明のタンパクの抗体を用いて本発明のタンパクの発現量を測定することを特徴とする本発明のタンパクの発現を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法、より具体的には、(i)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を培養した場合の本発明のタンパクの発現量と、(ii)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養した場合の本発明のタンパクの発現量とを本発明のタンパクの抗体を用いて測定し、比較することを特徴とする、本発明のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。本発明のタンパクの抗体は前記した方法により製造できる。細胞の培養は、上記した公知の動物細胞培養と同様に行うことができる。
【0051】
すなわち、より具体的には(i)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を培養し、本発明のタンパクの抗体と、該培養液(被検液)および標識化された本発明のタンパクとを競合的に反応させた場合と、(ii)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養し、本発明のタンパクの抗体と、該培養液(被検液)および標識化された本発明のタンパクとを競合的に反応させた場合との、該抗体に結合した標識化された本発明のタンパクの割合の比較を行うことを特徴とする、本発明のタンパクの発現または分泌を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法、(i)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を培養し、該培養液(被検液)と担体上に不溶化した本発明のタンパクの抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させた場合と、(ii)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養し、該培養液(被検液)と担体上に不溶化した本発明のタンパクの抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させた場合との不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする、本発明のタンパクの発現または分泌を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。上記の方法においては、一方の抗体が本発明のタンパクのN末端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のタンパクのC末端部に反応する抗体であることが望ましい。上記したスクリーニング方法において、試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
【0052】
本発明のスクリーニング用キットは、本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞、標識された本発明のタンパク、本発明のタンパクの抗体、本発明のタンパクをコードするDNA、または本発明のタンパクをコードするDNAの相補的DNAなどを含有するものである。
【0053】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物であり、本発明のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物である。該化合物の塩としては、前記した本発明のタンパクの塩と同様のものが用いられる。
【0054】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物をベーチェット病などの疾患の治療・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、前記した本発明のタンパクを含有する組成物と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとして、経口的または非経口的に投与することができる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、温血動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。該化合物またはその塩の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、ベーチェット病治療の目的で本発明のタンパクの機能を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。
【0055】
本発明のタンパクに対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)は、本発明のタンパクを特異的に認識することができるので、被検液中の本発明のタンパクの定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。すなわち、本発明は、(i)本発明の抗体と、被検液および標識化された本発明のタンパクとを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された本発明のタンパクの割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパクの定量法、および(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパクの定量法を提供する。上記(ii)の定量法においては、一方の抗体が本発明のタンパクのN末端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のタンパクのC末端部に反応する抗体であることが望ましい。
【0056】
また、本発明のタンパクに対するモノクローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と称する場合がある。)を用いて本発明のタンパクの定量を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本発明のタンパクの定量法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、ポリペプチド量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
【0057】
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常ポリペプチドあるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のタンパク量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本発明のサンドイッチ法による本発明のタンパクの測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、本発明のタンパクの結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパクのC末端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC末端部以外、例えばN末端部を認識する抗体が用いられる。
【0058】
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0059】
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のタンパクの測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D: Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。以上のようにして、本発明の抗体を用いることによって、本発明のタンパクを感度良く定量することができる。
【0060】
さらには、本発明の抗体を用いて本発明のタンパクの濃度を定量することによって、本発明のタンパクが検出された場合、例えば、ベーチェット病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタンパクを検出するために使用することができる。また、本発明のタンパクを精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のタンパクの検出、被検細胞内における本発明のタンパクの挙動の分析などのために使用することができる。
【0061】
また、本発明のタンパクをコードするDNAに対する本発明のアンチセンスDNAを含有する組成物は、本発明のポリヌクレオチド(例えば、DNA)に相補的に結合し、ポリペプチドの発現を抑制することができる。本発明のアンチセンスDNAは低毒性であり、生体内における本発明のタンパクまたは本発明のポリヌクレオチドの発現を抑制することができるので、例えば、本発明のタンパクの過剰発現に起因する疾患、ベーチェット病や原田病などの予防・治療剤として用いることができる。上記アンチセンスDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合は、該アンチセンス・ポリヌクレオチドを、上記した本発明のポリヌクレオチドの場合と同様にして製剤化することができる。このようにして得られる製剤は低毒性であり、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。なお、該アンチセンス・ポリヌクレオチドは、そのままで、あるいは摂取促進用の補助剤などの生理学的に認められる担体とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与することもできる。該アンチセンス・ポリヌクレオチドの投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより異なるが、例えば、ベーチェット病の治療の目的で本発明のタンパクをコードするDNAに対するアンチセンス・ヌクレオチドを目などに局所投与する場合、成人(体重60kg)に対して、1日あたり約0.1〜100mgであることが好ましい。さらに、該アンチセンス・ポリヌクレオチドは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもできる。
【0062】
本発明のタンパクの活性を中和する作用を有する本発明の抗体は、例えば、本発明のタンパクの過剰発現に起因する疾患、例えばベーチェット病や原田病などの予防・治療薬などの組成物として使用することができる。本発明の抗体を含有する上記疾患の治療・予防剤は、そのまま液剤として、または適当な剤型の組成物として、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、成人に使用する場合には、本発明の抗体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができるが、症状に応じて増減してもよい。本発明の抗体は、それ自体または適当な組成物として投与することができる。上記投与に用いられる組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形として提供される。すなわち、例えば、経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組成物は公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
【0063】
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などの剤形を包含する。かかる注射剤は、公知の方法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。上記の経口用または非経口用組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞれの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜250mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
【0064】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA:デオキシリボ核酸
A:アデニン
T:チミン
G:グアニン
C:シトシン
RNA:リボ核酸
mRNA:メッセンジャーリボ核酸
DMF:ジメチルホルムアミド
PVDF:ポリビニリデンジフルオリド
TCA:トリクロロ酢酸
TFA:トリフルオロ酢酸
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
【0065】
Gly:グリシン
Ala:アラニン
Val:バリン
Leu:ロイシン
Ser:セリン
Glu:グルタミン酸
Asp:アスパラギン酸
Lys:リジン
Arg:アルギニン
His:ヒスチジン
Phe:フェニルアラニン
Trp:トリプトファン
Pro:プロリン
Gln:グルタミン
【0066】
また、本明細書中で汎用される置換基および保護基を下記の記号で表記する。
Trt:トリチル基
Pbf:2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルフォニル基
tBu:tert−ブチル基
OtBu:tert−ブトキシ基
Fmoc:9−フルオレニルメトキシカルボニル基
MCA:4−メチルクマリル−7−アミド基
Z:ベンジルオキシカルボニル基
【0067】
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕31kDaタンパクのN末端部のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕31kDaタンパクのN末端部のポリペプチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕PRP−1の91−110番目のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:4〕PRP−1の119−134番目のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:5〕本発明の65kDaタンパクのN末端部のアミノ酸配列を示す。
【0068】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0069】
実施例1 リバースザイモグラフィーによるタンパクの分離
涙液を、常温(20℃)のサンプルバッファー(0.125Mトリス塩酸(pH6.8)/4%SDS/20%グリセロール/0.02%ブロムフェノールブルー)で2倍希釈した。
次に、この電気泳動用緩衝液で希釈した涙液10−15μLを、基質としてゼラチンを含むポリアクリルアミドゲル(0.1%ゼラチン/0.1%SDS/10〜12%ポリアクリルアミド)、ランニングバッファー(0.025Mトリス塩酸/0.192Mグリシン/0.1%SDS)で電気泳動を行った。電気泳動終了後、ゲルはパパイン溶液(パパイン0.0075U)でインキュベートした。その後、ゲルを2.5%トリトンX−100および精製水で洗浄し、50mM酢酸−10mMシステイン緩衝液(pH6.0)で10時間インキュベートした。20%TCAに1分間、浸漬後、染色液(クマシーブリリアントブルー0.025%/メタノール40%/酢酸10%/水49.975%)に2時間以上浸して染色を行った。染色後、第1の洗浄液(メタノール40%/酢酸10%/水50%)でゲルを洗浄し、次いで第2の洗浄液(メタノール5%/酢酸7%/水88%)でゲルを洗浄した。
【0070】
(結果)
ベーチェット病患者および原田病患者の涙液のリバースザイモグラフィー法による結果を図1に示す。
図1に示すように、ベーチェット病患者の涙液には、正常人の涙液にはほとんど認められない、分子量31kDa付近に特異的な物質が発現することが確認され、原田病患者の涙液からは、65kDa付近の物質に著しい増加が見られた。
【0071】
実施例2 タンパクの単離
ベーチェット病患者涙液の31kDaタンパクの分離は、Fernandezらの方法〔Biotechniques. 12, 564-573 (1992)〕に従った。すなわち涙液(10−15μL)を同量のサンプルバッファー(0.125Mトリス/4%SDS/20%グリセリン/0.02%ブロモフェノールブルー、pH6.8)で希釈し、実施例1と同じ条件で電気泳動を行った後、ゲルは0.2Mイミダゾール溶液で10分間インキュベートした。その後、ゲルを0.2−0.3M硫酸亜鉛溶液に1分間浸漬した。31kDaタンパク部のゲルをカットし、緩衝液で抽出した。
【0072】
実施例3 N末端部のアミノ酸配列の決定
タンパクのN末端部のアミノ酸配列はHPG1005A protein sequencing system(Hewlett-Packard, Palo Alto, CA) を用いて決定した。すなわち、実施例1の電気泳動後、染色バンドはPVDF膜に転写し、マジマらの方法〔E. Majima, et al., J.Biol. Chem. 276(13), 9792-9799 (1991)〕を使用するアミノ酸シークエンス分析器に付した。
【0073】
(結果)
31kDaタンパクのN末端側のアミノ酸配列は配列番号:1に示すものであった。本配列は、公知のPRP−1およびpHL E1H1プロリンリッチタンパクの76−90番目のアミノ酸配列と100%の相同性を示した。このことは、PRP−1およびpHL E1H1プロリンリッチタンパクの91番以降のアミノ酸配列についても少なくとも50%以上の相同性を示すものと考えられる。
【0074】
実施例4 配列番号:3のポリペプチドの合成
ポリペプチドのC末端残基に相当するアミノ酸(Val)が導入されているFmoc-Trp-Wang樹脂をジメチルホルムアミド(DMF)で膨潤させた後、ペプチド合成機(島津製作所製)の反応器に入れた.上記樹脂をピペリジン/DMFで処理しFmoc基を除去してアミノ酸を遊離させ、DMFで洗浄した。このアミノ基に次のアミノ酸に相当するFmoc-Ser(tBu)をHOBt/PyBop法で縮合した。以後同様に、Fmoc-Pro、Fmoc-Phe、Fmoc-Arg(Pbf) 、Fmoc-Pro、Fmoc-Leu、Fmoc-Ser(tBu)、Fmoc-Leu、Fmoc-Gln(Trt)、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-His(Trt)、Fmoc-Gly、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Pro、Fmoc-Pro、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Gln(Trt) 、Fmoc-Gln(Trt)を順次縮合し、反応を完了した。樹脂を乾燥した後、常法に従いトリフルオロ酢酸(TFA)を含む溶液にて5時間処理し、ペプチドを樹脂から切り離すと共にペプチド保護基を除去した。この脱保護ペプチドをジエチルエーテルで洗浄し乾燥した。これを常法に従い、アセトニトリル/TFAを含む溶液を溶解し、HPLC装置にてグラジエント溶出し,精製した。この精製ペプチド分画を集め、凍結乾燥し、白色粉末を得た。
【0075】
実施例5 配列番号:4のポリペプチドの合成
ポリペプチドのC末端残基に相当するアミノ酸(Trp)が導入されているFmoc-Trp-Wang樹脂をDMFで膨潤させた後、ペプチド合成機(島津製作所製)の反応器に入れた.上記樹脂をピペリジン/DMFで処理しFmoc基を除去してアミノ酸を遊離させ、DMFで洗浄した。このアミノ基に次のアミノ酸に相当するFmoc-LeuをHOBt/PyBop法で縮合した。以後同様に、Fmoc-Pro、Fmoc-Gln(Trt)、Fmoc-Glu(OtBu)、Fmoc-Gln(Trt)、Fmoc-Pro、Fmoc-His(Trt)、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Ala、Fmoc-Pro、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Asp(OtBu)、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Gln(Trt)を順次縮合し、反応を完了した。樹脂を乾燥した後、常法に従いTFAを含む溶液にて5時間処理し、ペプチドを樹脂から切り離すと共にペプチド保護基を除去した。この脱保護ペプチドをジエチルエーテルで洗浄し乾燥した。これを常法に従い、アセトニトリル/TFAを含む溶液を溶解し、HPLC装置にてグラジエント溶出し,精製した。この精製ペプチド分画を集め、凍結乾燥し、白色粉末を得た。
【0076】
実施例6 ウサギポリクローナル抗体の作製
実施例4で合成したポリペプチドにKLH(キーホールリンベットヘモシアン)を結合した。作製したポリペプチド・KLH複合体を抗原としてウサギポリクローナル抗体を作製した。免疫動物は日本白色ウサギ(雄、2.5〜3kg)一羽を用い、感作はアジュバンド(1回目:コンプリート、2,3回目:インコンプリート)懸濁液を用い、背部に皮内注射により行い14日毎に4回繰り返した。最終感作7日後に麻酔下頚動脈採血を行い、血清を得た。このようにして得られた血清をポリクローナル抗体とした。抗血清中の抗体価の上昇はエンザイムノアッセイにて確認した。
【0077】
実施例7 ウエスタンブロッティング
検体は、5w/v%2−メルカプトエタノール存在下、15〜25w/v%濃度勾配ポリアクリルアミドゲルを使用し、SDS−電気泳動を行った。SDS−電気泳動はLaemmliの変法〔K.U. Laemmli, Nature, 227, 680-685 (1920)〕によった。タンパクはPVDF転写膜(Millipore, Bedford, MA)に電気的に転写した。抗原抗体反応は、一次抗体として実施例6で作製したウサギポリクローナル抗体を使用した。〕2次抗体としてヤギ抗ウサギIgG接合を使用した。アルカリフォスファターゼの反応は、ニトロブルーテトラゾリウムと5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェートを用いて膜上で行った。分子量マーカーとして、SDS-PAGE low-range standard(Bio-Rad Laboratories, CA)を使用した。
【0078】
(結果)
実施例6のウサギポリクローナル抗体は31kDaタンパクを認識することが確認された。本ポリクローナル抗体は、公知のPRP−1の91−110番目のアミノ酸配列に相当するタンパクに対する抗体であるので、本結果は、31kDaタンパクの部分配列として、PRP−1およびpHL E1H1プロリンリッチタンパクの91番以降のアミノ酸配列との相同性がより高い配列を有していることを示していると考えられる。
【0079】
実施例8 システインプロテアーゼ阻害活性の測定
システインプロテアーゼ阻害活性の測定はBarrettの方法〔J.A. Barrett et al., Methods in Enzymology, 80, 535-561 (1981)〕に基づいた。すなわち、85mM酢酸緩衝液(pH5.5)、2mMジチオスレイトール、1mMEDTA,パパイン(0.0075U)および被験物質を含む溶液を15分間プレインキュベートした後、基質としてZ-Phe-Arg-MCA(80nM)を添加し反応を開始した。37℃、10分間反応させた後、酢酸緩衝液(pH4.0)を添加し、反応を停止させた。遊離した4−メチル−7−アミノクマリンの量を蛍光光度計を用いて、励起波長360nm、蛍光波長440nmで測定した。被験物質無添加で同様に処理したものをコントロール値、パパイン無添加のものをブランク値とし、IC50を求めた。
【0080】
(結果)
31kDaタンパクのパパインに対する阻害活性のIC50は、10−6Mであった。また、実施例5で合成したポリペプチドのそれは、10−4Mであった。
【0081】
【発明の効果】
本発明のタンパクはベーチェット病や原田病などの疾患時に発現する特異なタンパクであるので、例えば、ベーチェット病や原田病の診断を正確に効率良く行うことができる。
【0082】
【配列表】
【0083】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ベーチェット病患者、原田病患者および正常人の涙液のリバースザイモグラフィーを示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、N末端部の配列に配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が31kDaであることを特徴とするタンパクおよびそのDNA,該タンパクなどを用いることを特徴とするベーチェット病などの疾患のスクリーニング方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】
配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するタンパクとしては、例えば、酸性PRP−1で知られるヒト唾液腺プロリンリッチタンパクや、ヒト涙腺中のmRNAからエンコードしたpHL E1F1 プロリンリッチタンパク(分子量:15,097)が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
上記プロリンリッチタンパクのうち、ヒト唾液腺プロリンリッチタンパクについては歯と唾液との接点で作用し、リン酸カルシウム沈殿、結晶形成を規制し、連鎖状球菌ミュータンスなどの口内菌を結びつけるタンパクとして作用していることが分かっている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、上記プロリンリッチタンパクとベーチェット病との関係などについては未だ分かっていない。
【0003】
ベーチェット病とは多臓器侵襲性の炎症性疾患であり、原因は現在不明である。主症状として、
(1)口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、
(2)皮膚症状〔(a)結節性紅斑、(b)皮下の血栓性静脈炎、(c)毛嚢炎様皮疹など〕、
(3)眼症状〔(a)虹彩毛様体炎、(b)網膜ぶどう膜炎(網脈絡膜炎)など〕、(4)外陰部潰瘍、
および副症状として、
(1)変形や硬直を伴わない関節炎、
(2)副睾丸炎、
(3)回盲部潰瘍で代表される消化器病変、
(4)血管病変、
(5)中等度以上の中枢神経病変
を示す慢性再発性の全身性炎症性疾患をいう。
病型診断は上記症状の出現の仕方により、完全型、不完全型に分けられている。このようにベーチェット病は症状の種類によってのみ診断づけられているため診断が困難な場合があり、特にベーチェット病として疑わしい場合や、ベーチェット病とまぎらわしい所見を呈する疾患などの場合に、診断が困難であるというのが現状である。
また、ベーチェット病以外の原因のはっきりしない自己免疫疾患、例えば原田病などについても同様の困難さが認められている。
【0004】
ザイモグラフィーは電気泳動を利用する方法であり、あらかじめゼラチンやカゼインなどの酵素基質となるタンパク質を封入したゲルを用い、試料を電気泳動後、ゲルを酵素と酵素基質が反応する適当な溶液中でインキュベートした後、ゲルを適当なタンパク質の染色液中で染色すると、プロテアーゼによって基質が分解された部分は、透明なバンドとして検出され、その位置と抜けた度合いにより、プロテアーゼのおよその活性を測定できる方法である。またゲルとしてSDS−ポリアクリルアミドゲルを用いると、その活性と分子量が同時に測定できる方法である。一方リバースザイモグラフィーは、同様に基質含有ゲル上で電気泳動した後、酵素反応液中にプロテアーゼを添加してゲル中の基質を消化させる。分離タンパク質にそのプロテアーゼ阻害物質が存在すると、染色後のゲル全体は、基質が分解され白く抜けるが、酵素活性阻害物質が存在する部分は、基質が分解されないため染色されたバンドとして検出されるのでプロテアーゼ阻害剤の分析に利用されている。現在、このリバースザイモグラフィーは、癌転移の研究やマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤のスクリーニング方法などに活用されている(例えば、非特許文献2参照。)。
しかし、プロテアーゼとしてシステインプロテアーゼを使用して、プロテアーゼ阻害剤のスクリーニング方法として利用された報告は認めていない。
【0005】
【特許文献1】
特表2002−516997号公報
【非特許文献1】
ダグラス ピー.ディッキンソン(Douglas P. Dickinson)、他1名,インベスティゲイティブ オフサルモロジー & ビジュアル サイエンス(Investigative Ophthalmology & Visual Science),1995年,36巻,10号,p.2020−2031
【非特許文献2】
宮崎 香、他1名,生物物理化学,1998年,42巻,p.87−92
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ベーチェット病などの疾患において発現し、リバースザイモグラフィーの特質からシステインプロテアーゼ阻害タンパクに属し、優れた抗ベーチェット病剤などをスクリーニングするため等に用いることができるシステインプロテアーゼ阻害タンパクおよびそのDNAなどに関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、患者から採取した涙液、唾液、血液などの検体について、調査、研究を重ねたところ、ベーチェット病または原田病を発症したときに、特異的に検出されるタンパク、および検体中で濃度が増大するタンパクが存在することを見出し、さらに研究をすすめ本発明を完成した。したがって、検体中からこのような物質、すなわちこれら特異的なタンパクを検出し、同定することにより、ベーチェット病などの疾患の機能を調べることができ、さらにはベーチェット病などを診断するための客観的な判断材料、さらにはベーチェット病などの予防・治療剤のスクリーニングに使用することができる。
【0008】
すなわち、本発明は、
〔1〕N末端部の配列に配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が31kDaであることを特徴とするタンパク(本明細書において31kDaタンパクと記載することもある。)、
〔2〕上記〔1〕記載のタンパクをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
〔3〕DNAである上記〔2〕記載のポリヌクレオチド、
〔4〕配列番号:2で表わされる塩基配列を含有する上記〔3〕記載のDNA、
〔5〕上記〔2〕記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
〔6〕上記〔5〕記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
〔7〕上記〔6〕記載の形質転換体を培養し、上記〔1〕記載のタンパクを生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする上記〔1〕記載のタンパク、
〔8〕上記〔1〕記載のタンパクもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはそれらの塩を含有してなる組成物、
〔9〕上記〔2〕記載のポリヌクレオチドを含有してなる組成物、
〔10〕システインプロテアーゼ阻害剤である上記〔8〕または〔9〕記載の組成物、
〔11〕上記〔1〕記載のタンパクに対する抗体、
〔12〕上記〔1〕記載のタンパクの活性を不活性化する中和抗体である上記〔11〕記載の抗体、
〔13〕上記〔11〕記載の抗体を含有してなる組成物、
〔14〕ベーチェット病の予防・治療剤である上記〔13〕記載の組成物、
〔15〕上記〔11〕記載の抗体を含有してなる診断剤、
〔16〕ベーチェット病の診断剤である上記〔15〕記載の診断剤、
〔17〕上記〔2〕記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断剤、
〔18〕ベーチェット病の診断剤である上記〔17〕記載の診断剤、
〔19〕上記〔1〕記載のタンパクをコードするDNAに相補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、該タンパクの発現を抑制し得る作用を有するアンチセンスDNA、
〔20〕上記〔19〕記載のアンチセンスDNAを含有してなる組成物、
〔21〕ベーチェット病の予防・治療剤である上記〔20〕記載の組成物、
〔22〕リバースザイモグラフィーを用いることを特徴とするシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパクのスクリーニング方法、
〔23〕システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパクが上記〔1〕記載のタンパクである上記〔22〕記載のスクリーニング方法、
〔24〕システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパクがN末端部の配列に配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が65kDaであることを特徴とするタンパクである上記〔22〕記載のスクリーニング方法、
〔25〕上記〔1〕記載のタンパクを用いることを特徴とする上記〔1〕記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはそれらの塩のスクリーニング方法、
〔26〕N末端部の配列に配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が65kDaであるタンパクを用いることを特徴とする該タンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはそれらの塩のスクリーニング方法、
〔27〕機能がシステインプロテアーゼ阻害活性またはベーチェット病関連因子である上記〔25〕記載のスクリーニング方法、
〔28〕機能が原田病関連因子である上記〔26〕記載のスクリーニング方法、
〔29〕上記〔1〕記載のタンパクのシステインプロテアーゼ阻害活性を試験化合物の存在下および非存在下に測定し、比較することを特徴とする上記〔25〕記載のスクリーニング方法、
〔30〕上記〔1〕記載のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下および非存在下に培養し、それぞれの場合における当該タンパクのmRNAの発現量を測定し、比較することを特徴とする上記〔25〕記載のスクリーニング方法、
〔31〕上記〔1〕記載のタンパクのプロモーター領域およびエンハンサー領域、または上記〔1〕記載のタンパクのプロモーター領域をレポーター遺伝子の上流に連結させたDNAで形質転換した細胞を試験化合物の存在下および非存在下に培養し、それぞれの場合におけるレポーター遺伝子の発現量を測定することを特徴とする上記〔29〕記載のスクリーニング方法、
〔32〕上記〔1〕記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
〔33〕上記〔29〕記載のスクリーニング方法または上記〔32〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上記〔1〕記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩、
〔34〕上記〔29〕記載のスクリーニング方法または上記〔32〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上記〔1〕記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩を含有してなる組成物、
〔35〕上記〔29〕記載のスクリーニング方法または上記〔32〕記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、上記〔1〕記載のタンパクの機能を阻害する活性を有する化合物またはその塩を含有してなるベーチェット病の予防・治療剤、および
〔36〕配列番号:4で表わされるアミノ酸配列であることを特徴とするポリペプチドに関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の31kDaタンパクは、例えばベーチェット病などに関連して検出され、もしくは濃度の増大が確認される物質である。
本発明の31kDaタンパクは、N末端部の15merアミノ酸が配列番号:1で示される配列を示すことから、配列番号:1と同一のアミノ酸配列を含有するPRP−1またはpHL E1H1プロリンリッチタンパクのアミノ酸配列の76番目のアスパラギン酸から134番目のトリプトファンのアミノ酸配列との相同性をもつアミノ酸配列を少なくとも約50%以上、更には約60、70、75、80、85、90、95%以上有すると考えられる。
【0010】
本発明の31kDaタンパクは、ベーチェット病などの患者の涙液、血液、細胞または組織などから公知のタンパク分離精製方法によって製造することもできるし、本発明のタンパクをコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。
患者の涙液、血液、細胞または組織から製造する場合、例えば、涙液はそのまま逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができ、血液は遠心分離で血清または血漿を分離した後、上記クロマトグラフィーなどにより精製単離することができる。細胞または組織はホモジナイズなどした後、塩析や酸などで抽出または分画を行ない、該抽出液または画分を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
【0011】
本発明の31kDaタンパクを組換えDNA技術により製造する場合、例えば、上記タンパクをコードするDNAを調製し、これを発現用ベクターに挿入したものを大腸菌、枯草菌、放線菌、酵母等の宿主に導入して形質転換体とし、その培養物から本発明のタンパクを採取してもよい。
【0012】
従って本発明は、上記の本発明のタンパクをコードするヌクレオチド配列を含むDNAを提供することも含むものである。本発明において、特に、後述の形質転換大腸菌に保持されるプラスミドベクターに組み込まれているものが好適に使用しうる。別の観点として、本発明は、上記DNAを含む組換えベクターを提供する。本発明において、組換えベクターとしては、上記DNAにコードされるアミノ酸配列からなるペプチドの発現を可能ならしめるベクター中に組み込まれているものが好適に使用しうる。
【0013】
所望のヌクレオチド配列を有するDNAを調製する方法としては、例えば、該所望のDNAの部分配列ヌクレオチドであって、両端がオーバーラップするようなセンスおよびアンチセンスヌクレオチドを化学合成し、次いでポリメラーゼ連鎖反応[Saiki, R. K. et al (1988) Science 239, 487-491参照]等のDNAポリメラーゼ反応やリガーゼ反応を利用することにより、それら部分配列が連結したものを得る方法等が挙げられる。
【0014】
本発明のタンパクのアミノ酸配列をコードするDNAを好適なベクターに組み込むことにより、原核生物または真核生物の宿主細胞を形質転換させることができる。さらに、これらのベクターに適当なプロモーターおよび形質転換にかかわる配列を導入することにより、それぞれの宿主細胞において該DNAを発現させることができる。すなわち本発明はまた、本発明のタンパクの発現を可能ならしめるベクター中に本発明のDNAが組み込まれている組換えベクターを保持する宿主細胞に関する。
【0015】
原核細胞の宿主としては、例えば大腸菌(Escherichia coli)や枯草菌(Bacillus subtilis)等が挙げられる。目的の遺伝子をこれらの宿主細胞内で形質発現させるには、宿主と適合し得る種由来のレプリコン、すなわち複製起点および調節配列を含んでいるプラスミドベクターで宿主細胞を形質転換させればよい。またベクターは形質転換細胞に表現形質(表現型)の選択性を付与することができる配列を持つものが望ましい。
【0016】
大腸菌としてはE.coli K12株、JM109株等がよく用いられ、ベクターとしては一般にpBR322やpUC系のプラスミドがよく用いられるが、これらに限定されず、公知の各種の菌株およびベクターがいずれも利用できる。プロモーターとしては、大腸菌においてはトリプトファン(trp)プロモーター、ラクトース(lac)プロモーター、トリプトファン・ラクトース(tac)プロモーター、リポプロテイン(lpp)プロモーター、バクテリオファージ由来のラムダ(λ)PLプロモーター、ポリペプチド鎖伸長因子Tu(tufB)プロモーター、lacUV5プロモーター等が挙げられ、いずれのプロモーターも本発明のタンパクの産生に使用することができる。
【0017】
枯草菌としては、例えば207−25株が好ましく、ベクターとしてはpTUB228[Ohmura, K., et al. (1984) J. Biochem. 95, 87-93 参照]等が用いられるが、これに限定されるものではない。枯草菌用プロモーターとしては、枯草菌のα−アミラーゼ遺伝子の調節配列がよく用いられ、さらに必要によりα−アミラーゼのシグナルペプチド配列をコードするDNA配列を連結することにより、菌体外での分泌発現も可能となる。
【0018】
宿主細胞として大腸菌を用いる場合を例に挙げると、発現ベクターとしては、pBR322複製起点を有し、大腸菌において自立増殖が可能であり、さらに転写プロモーター、翻訳開始シグナルを備えたものを用いることができる。該発現ベクターはカルシウム−クロライド法[Mandel, M. and Higa, A. (1970) J. Mol. Biol. 53, 154参照]、Hanahan の方法[Hanahan, D. and Meselson, M. (1980) Gene 10, 63 参照]および電気パルス穿孔法[Neumann, E., et al. (1982)EMBO J. 1, 841-845 参照]等により大腸菌に取り込ませることができ、かくして所望のベクターが形質転換された細胞を得ることができる。
【0019】
真核生物の宿主細胞には、脊椎動物、昆虫、酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物細胞としては、例えばサルの腎細胞由来であるCOS細胞[Gluzman, Y. (1981) Cell23, 175-182 参照]やチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ヒトナマルバ細胞、ハムスターBHK細胞等がよく用いられるが、これらに限定されない。
【0020】
脊椎動物細胞の発現ベクターとしては、通常発現させようとする遺伝子の上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終結配列等を有するものを使用でき、これはさらに必要により複製起点を有してもよい。該発現ベクターの例としては、SV40の初期プロモーターを有するpSV2dhfr[Subramani, S., et al. (1981) Mol. Cell. Biol. 1, 854-864参照]等を例示できるが、これに限定されない。
【0021】
また真核微生物としては酵母が一般によく用いられており、その中でもサッカロミセス属酵母、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい。該酵母等の真核生物の発現ベクターとしては、例えばアルコール脱水素酵素遺伝子のプロモーター[Bennetzen, J. L. and Hall, B. D. (1982) J. Biol. Chem. 257, 3018-3025 参照]や酸性ホスファターゼ遺伝子のプロモーター[Miyanohara, A., et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80, 1-5参照]等を好ましく利用できる。
【0022】
宿主細胞として、COS細胞を用いる場合を例に挙げると、発現ベクターとしては、SV40複製起点を有し、COS細胞において自立増殖が可能であり、さらに転写プロモーター、転写集結シグナルおよびRNAスプライス部位を備えたものを用いることができる。該発現ベクターはDEAE−デキストラン法[Luthman, H. and Magnusson, G. (1983) Nucleic Acids Res. 11, 1295-1308 参照]、リン酸カルシウム−DNA共沈澱法[Graham, F. L. and van der Ed, A. J.(1973) Virology 52, 456-457 参照]および電気パルス穿孔法[Neumann, E., et al. (1982) EMBO J. 1, 841-845 参照]等によりCOS細胞に取り込ませることができ、かくして所望の形質転換細胞を得ることができる。また、宿主細胞としてCHO細胞を用いる場合には、発現ベクターとしてG418耐性マーカーとして機能するneo遺伝子を発現し得るベクター、例えばpRSVneo[Sambrook, J., et al. (1989) "Molecular Cloning: A Laboratory Manual" Cold Spring Harbor Laboratory, NY参照]やpSV2neo[Southern, P. J. and Berg, P. (1982) J. Mol. Appl. Genet. 1, 327-341 参照]等を使用し、G418耐性のコロニーを選択することにより本発明のタンパクを安定に産生する形質転換細胞を得ることができる。
【0023】
上記のように、本発明において、宿主細胞は本発明のタンパクを産生するように形質転換されたものであればいずれでも良く、特に制限されるものではない。
【0024】
上記で得られる所望の形質転換体は、常法に従い培養することができ、該培養により細胞内または細胞外に本発明のタンパクが生産される。該培養に用いられる培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される各種のものを適宜選択でき、例えば、大腸菌であればトリプトン−イースト培地(バクトトリプトン1.6%、イーストエキストラクト1.0%、塩化ナトリウム 0.5%(pH7.0))やペプトン培地(ディフコ社製)等を使用できる。また、上記COS細胞であればRPMI1640培地やダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)等の培地に必要に応じウシ胎児血清(FBS)等の血清成分を添加したものを使用できる。
【0025】
上記により、形質転換体の細胞内または細胞外に生産される本発明のタンパクは、該蛋白質の物理的性質や化学的性質等を利用した各種の公知の分離操作法により、分離・精製することができる。かかる方法としては、具体的には例えば通常の蛋白質沈澱剤による処理、限外ろ過、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の各種クロマトグラフィー、透析法、これらの組合せ等を例示できる。外来遺伝子を大腸菌等に導入して大量発現させた場合、産生されたペプチドが、封入体と呼ばれる水に不溶の集塊を形成することがある。そのような場合、グアニジンイソチオシアネート等の強力な変性剤を用いて該ペプチドを変性させることにより該ペプチドを可溶化することができる。
【0026】
さらに、本発明のタンパクは、かくして得られるポリペプチドに糖質やポリエチレングリコールを付加して得られる複合体としての形態、さらには、ポリペプチドをアセチル化、アミド化および/または多官能試薬により架橋重合させて得られる誘導体または重合体としての形態であってもよい。
【0027】
上記培養物から本発明のタンパクを分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。本発明のタンパクを培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりポリペプチドの粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、オクトキシノール(例えば、トリトンX−100など)などの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にポリペプチドが分泌される場合には、培養終了後、公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるポリペプチドの精製は、公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、分配クロマトグラフィーなどの溶解度の差を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
このようにして生成する本発明のタンパクの存在または活性は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
【0028】
本発明のタンパクは、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。本発明のタンパクは、C末端が通常カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO−)、アミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)もしくはそれらの塩のいずれであってもよい。
【0029】
ここでエステルにおけるRとしては、C1−6アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど)、C6−12アリール基(例えばフェニル、1−ナフチルなど)などが用いられる。本発明のタンパクがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のタンパクに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。さらに、本発明のタンパクには、N末端のアミノ酸残基(例えば、メチオニン残基)のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アルカノイルなどのC1−6アシル基など)で保護されているもの、生体内で切断されて生成するN末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えばヒドロキシ基、スルファニル基、アミノ基、イミダゾリル基、インドリル基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ポリペプチドなどの複合ポリペプチドなども含まれる。
【0030】
本発明のタンパクの塩としては、生理学的に許容される酸(例えば、無機酸、有機酸)や塩基(例えば、アルカリ金属塩)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
【0031】
本発明のアンチセンスDNAは修飾されたDNAであってもよい。修飾されたDNAの具体例としてはDNAの硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定されるものではない。本発明のアンチセンスDNAは、細胞内でより安定なものにするため、細胞透過性をより高めるため、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにするため、または毒性をより小さくするため、好ましく設計、修飾されうる。本発明のアンチセンスDNAは、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加された形態で与えられることができうる。このようなアンチセンスDNAに対する修飾としては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった疎水性のものが挙げられる。このような付加は、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。アンチセンスDNAの阻害活性は、本発明の形質転換体、あるいは本発明のタンパクの生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該DNAは、公知の各種の方法で細胞に適用できる。
【0032】
本発明のタンパクに対する抗体は、本発明のタンパクを認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよいが、モノクローナル抗体がより好ましい。本発明のタンパクに対する抗体は、本発明のタンパクまたは本発明のタンパクのアミノ酸配列の一部あるいはそのアミノ酸配列の一部を有する抗原性を有するポリペプチドを抗原として用い、公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
【0033】
上記抗原性を有するポリペプチドは、例えば、「固相法」または「液相法」として知られる慣用のペプチド合成法により調製することができる。例えば、社団法人日本生化学会編「新生化学実験講座」、第1巻、「タンパク質VI」、第3〜44頁、1992年、東京化学同人発行などにはペプチド合成の詳細が記載されている。また本発明に記載のタンパクのアミノ酸配列の一部あるいはそのアミノ酸配列の一部を有するポリペプチドは、ペプチド合成装置(島津製作所製)を用い、Fmoc (9-fluorenyl methyloxycarbonyl)固相合成法にて同装置のプロトコールに従って合成することができる。すなわち、合成する各ペプチドのC末端に相当するアミノ酸が導入されているFmoc-L-アミノ酸Wang樹脂(またはCl-Trt樹脂)を上記ペプチド合成装置の反応容器にセットし、デプロテクション溶液を用いてFmocを除く。デプロテクション溶液としては、ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)が好適に利用できる。さらにC末端から2番目のアミノ酸に相当するアミノ酸溶液とアクチベーター溶液を反応せしめ、反応後再びFmoc基のデプロテクションを行い、同様の操作を繰り返すことにより、目的とするペプチドを合成することができる。
【0034】
〔モノクローナル抗体の作製〕
上記抗原性を有するポリペプチドは、温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われることが好ましい。用いられる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙げられるが、好ましくはマウス、ラット、ウサギである。モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免疫された温血動物、例えばウサギから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、放射性物質や酵素などで標識した標識化ポリペプチドと抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔Nature、256、495 (1975)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
【0035】
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄腫細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、ポリペプチド抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例えば、、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる。)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したポリペプチドを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0036】
モノクローナル抗体の精製モノクローナル抗体の分離精製は、公知の方法、例えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例えば、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例えば、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
【0037】
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗原(本発明のタンパクに対し抗原性を有するもの)自体、あるいはそれとキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のタンパクに対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造することができる。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なわれる。ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。本発明のタンパクに対する抗体(以下、「本発明の抗体」と称することもある。)としては、例えば、ヒト唾液腺プロリンリッチタンパク(PRP−1)の部分アミノ酸配列であるGln-Gln-Arg-Pro-Pro-Arg-Arg-Gly-His-Arg-Gln-Leu-Ser-Leu-Pro-Arg-Phe-Pro-Ser-Val(配列番号:3)からなるポリペプチドを抗原とする抗体が挙げられる。
【0038】
本発明のタンパクは、電気泳動法を利用するリバースザイモグラフィー法によりペプチドの分離とその可視化を行うと、好適に検出を行うことができる。リバースザイモグラフィー法に用いられるゲルは、ポリアクリルアミドを含有していることが好ましく、該ポリアクリルアミドの含有量は、2〜30w/v%程度であることが好ましく、5〜15w/v%程度であることがより好ましい。また、リバースザイモグラフィー法に用いられるゲルは、SDS等の界面活性剤を含有していることが好ましく、該SDSの濃度は、0.0001〜15w/v%程度であることが好ましく、0.01〜5w/v%程度であることがより好ましい。また、リバースザイモグラフィー法に用いられるゲルは、例えばゼラチン、カゼイン、エラスチン、フィブリンなどの基質を含有していることが好ましく、特にゼラチンが好ましい。基質濃度は、例えばゼラチンの場合、0.01〜1w/v%程度が好ましく、0.05〜0.5w/v%程度がより好ましい。電気泳動後のゲルはトリトンX−100などを含む緩衝液中で洗浄し、システインプロテアーゼ添加溶液中でインキュベートした後ゲルを洗浄後、クーマシーブリリアントブルーなどでゲルを染色する。
システインプロテアーゼとしては、例えばパパイン、フィシン、ブロメライン、カテプシンB,H,Lおよびカルパインなどが好ましく、特にパパインが好ましい。
【0039】
本発明のタンパクは、少なくともベーチェット病や原田病などの発症時に、検出され、もしくは濃度の増大が確認される。本リバースザイモグラフィー法によれば検体を採取した生物で、本発明のタンパクが検出されると、ベーチェット病や原田病などの疾患時に特異的に発現するポリペプチドでありうるので、本発明のタンパクをベーチェット病や原田病の指標物質とすることができる。
このような物質を指標物質として用いると、患者から採取した検体(例えば、涙液、血液、唾液など)を検査することにより、特にベーチェット病として疑わしい場合や、ベーチェット病とまぎらわしい所見を呈する疾患などの場合に、的確な診断が行うことができるようになる。
【0040】
少なくともベーチェット病の発症時に、検出され、もしくは濃度の増大が確認される指標物質としては、例えば、本発明の31kDaタンパクが挙げられる。なお、「31kDaタンパク」とは、例えば、上記リバースザイモグラフィー法により指標物質の検出を行った場合に、31kDa近傍にバンドとして検出される物質をいう。
【0041】
少なくとも原田病の発症時に、検出され、もしくは濃度の増大が確認される指標物質としては、例えば、N末端側のアミノ酸配列が配列番号:5であり、分子量約65kDaのシステインプロテアーゼ阻害物質などが挙げられる。なお、「配列番号:5であり、分子量約65kDaのシステインプロテアーゼ阻害物質」とは、例えば、上記リバースザイモグラフィー法により指標物質の検出を行った場合に、65kDa近傍にバンドとして検出される物質をいう。
【0042】
本発明のタンパクは上記リバースザイモグラフィーの特質から、プロテイン阻害活性を有する。したがって本発明のタンパクもしくはそれらのアミドもしくはエステルまたはそれらの塩は、システインプロテアーゼが関与する疾患、例えば骨粗鬆症などの治療・予防剤などの組成物として使用できる。
【0043】
本発明のタンパクをコードするDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまたは温血動物に投与することができる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。本発明のタンパクを上記の治療・予防剤として使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
【0044】
本発明のタンパクもしくはそれらのアミドもしくはエステルまたはそれらの塩は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のタンパクを生理学的に認められる担体、賦形剤、防腐剤、安定剤、結合剤、甘味剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤などが用いられる。錠剤には、適当なコーティング剤(ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウなど)、腸溶性コーティング剤(例えば酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースなど)などで剤皮を施してもよい。カプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。また、カプセル剤は通常のカプセルの他、腸溶性コーティングカプセル、胃内抵抗性カプセル、放出制御カプセルとすることもできる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、ゴマ油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50など)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。本発明のDNAが挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用される。
【0045】
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、温血動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。本発明のタンパクの投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば骨粗鬆症の治療目的で本発明のタンパクを経口投与する場合、一般的に成人(60kgとして)においては、1日約0.1mg〜1000mg、好ましくは約1.0〜500mg投与する。
【0046】
本発明のタンパクまたは本発明のタンパクをコードするDNAは、本発明のタンパクの発現を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニングのためのプローブとしても有用である。すなわち、本発明は、本発明のタンパクを用いることを特徴とする本発明のタンパクの発現を促進または阻害する活性を有する化合物のスクリーニング方法などを提供する。具体的には、例えば、本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養し、本発明のタンパクをコードするDNAもしくはその相補的DNAまたはその部分DNAを用いて本発明のタンパクをコードするmRNAの量を測定することを特徴とする本発明のタンパクの発現を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞としては、例えば、本発明のタンパクの遺伝子を導入し形質転換した動物細胞などがあげられる。本発明のタンパクの遺伝子を導入し形質転換した動物細胞は上述の方法により製造できる。本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞の培養は、公知の動物細胞培養法と同様にして行われる。例えば、培地としては、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔Science,122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔Virology,8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔The Journal of the American Medical Association,199巻,519(1967)〕,199培地〔Proceeding of the Society for the Biological Medicine,73巻,1(1950)〕等が用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30〜40℃で約15〜60時間行ない必要に応じて継代培養をおこなってもよい。また、培養は必要に応じて通気や撹拌を加えてもよい。
【0047】
mRNAの発現量の比較をハイブリダイゼーション法によって行うには、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press,1989)に記載の方法等に従って行なうことができる。具体的には、本発明のタンパクをコードするmRNAの量の測定は、公知の方法に従って細胞から抽出したRNAと本発明のタンパクの遺伝子をコードするDNAの相補的DNAまたはその部分DNAとを接触させ、本発明のタンパクの遺伝子DNAの相補的DNAに結合したmRNAの量を測定することによって行われる。本発明のタンパクの遺伝子DNAの相補的DNAまたはその部分DNAを、例えば放射性同位元素、色素などで標識することによって、本発明のタンパクの遺伝子DNAの相補的DNAに結合したmRNAの量が容易に測定できる。放射性同位元素としては、例えば〔32P〕、〔3H〕などが用いられ、色素としては、例えばfluoresceinなどの蛍光色素が用いられる。また、本発明のタンパクのmRNAの量は、細胞から抽出したRNAを逆転写酵素によって相補的DNAに変換した後、本発明のタンパクの遺伝子をコードするDNAもしくはその相補的DNAまたはその部分DNAをプライマーとして用いるPCRによって、増幅される相補的DNAの量を測定することによって行うことができる。本発明のタンパクのmRNAの量の測定に用いられる本発明のタンパクの遺伝子DNAの相補的DNAとしては、本発明のタンパクの遺伝子DNA(上鎖)に相補的な配列を有するDNA(下鎖)があげられる。
【0048】
また、本発明は、本発明のタンパクの公知プロモーターやエンハンサー領域をゲノムDNAよりクローニングし、適当なレポーター遺伝子の上流に連結させたDNAで形質転換した細胞(例えば、脂肪細胞、マクロファージ、骨格筋細胞など)を試験化合物の存在下で培養し、本発明のタンパクの発現に代えてレポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする、本発明のタンパクの発現を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。レポーター遺伝子としては、例えば、lacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)などの染色マーカー遺伝子等などが用いられる。レポーター遺伝子産物(例えば、mRNA、ポリペプチド)の量を公知の方法を用いて測定することによって、レポーター遺伝子産物の量を増加させる試験化合物を本発明のタンパクの遺伝子の発現を促進する活性を有する化合物として、レポーター遺伝子産物の量を減少させる試験化合物を、本発明のタンパクの遺伝子の発現を阻害する化合物として選択できる。細胞の培養は、上記した公知の動物細胞培養と同様に行うことができる。
【0049】
さらに、本発明は(i)本発明のタンパクを例えば大腸菌に発現させ、それを精製した後、本発明のタンパクのシステインプロテアーゼ阻害活性と(ii) 本発明のタンパクと一緒に試験化合物を添加した場合のシステインプロテアーゼ阻害活性を、リバースザイモグラフィー法などを用いて測定し、比較を行うことを特徴とする、本発明のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0050】
さらに、本発明は、本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養し、本発明のタンパクの抗体を用いて本発明のタンパクの発現量を測定することを特徴とする本発明のタンパクの発現を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法、より具体的には、(i)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を培養した場合の本発明のタンパクの発現量と、(ii)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養した場合の本発明のタンパクの発現量とを本発明のタンパクの抗体を用いて測定し、比較することを特徴とする、本発明のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。本発明のタンパクの抗体は前記した方法により製造できる。細胞の培養は、上記した公知の動物細胞培養と同様に行うことができる。
【0051】
すなわち、より具体的には(i)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を培養し、本発明のタンパクの抗体と、該培養液(被検液)および標識化された本発明のタンパクとを競合的に反応させた場合と、(ii)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養し、本発明のタンパクの抗体と、該培養液(被検液)および標識化された本発明のタンパクとを競合的に反応させた場合との、該抗体に結合した標識化された本発明のタンパクの割合の比較を行うことを特徴とする、本発明のタンパクの発現または分泌を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法、(i)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を培養し、該培養液(被検液)と担体上に不溶化した本発明のタンパクの抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させた場合と、(ii)本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下に培養し、該培養液(被検液)と担体上に不溶化した本発明のタンパクの抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させた場合との不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする、本発明のタンパクの発現または分泌を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。上記の方法においては、一方の抗体が本発明のタンパクのN末端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のタンパクのC末端部に反応する抗体であることが望ましい。上記したスクリーニング方法において、試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
【0052】
本発明のスクリーニング用キットは、本発明のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞、標識された本発明のタンパク、本発明のタンパクの抗体、本発明のタンパクをコードするDNA、または本発明のタンパクをコードするDNAの相補的DNAなどを含有するものである。
【0053】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから選ばれた化合物であり、本発明のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物である。該化合物の塩としては、前記した本発明のタンパクの塩と同様のものが用いられる。
【0054】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物をベーチェット病などの疾患の治療・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、前記した本発明のタンパクを含有する組成物と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などとして、経口的または非経口的に投与することができる。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、温血動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して投与することができる。該化合物またはその塩の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、ベーチェット病治療の目的で本発明のタンパクの機能を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。
【0055】
本発明のタンパクに対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)は、本発明のタンパクを特異的に認識することができるので、被検液中の本発明のタンパクの定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。すなわち、本発明は、(i)本発明の抗体と、被検液および標識化された本発明のタンパクとを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された本発明のタンパクの割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパクの定量法、および(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパクの定量法を提供する。上記(ii)の定量法においては、一方の抗体が本発明のタンパクのN末端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のタンパクのC末端部に反応する抗体であることが望ましい。
【0056】
また、本発明のタンパクに対するモノクローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と称する場合がある。)を用いて本発明のタンパクの定量を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本発明のタンパクの定量法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、ポリペプチド量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
【0057】
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常ポリペプチドあるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のタンパク量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本発明のサンドイッチ法による本発明のタンパクの測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、本発明のタンパクの結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパクのC末端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC末端部以外、例えばN末端部を認識する抗体が用いられる。
【0058】
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0059】
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のタンパクの測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D: Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。以上のようにして、本発明の抗体を用いることによって、本発明のタンパクを感度良く定量することができる。
【0060】
さらには、本発明の抗体を用いて本発明のタンパクの濃度を定量することによって、本発明のタンパクが検出された場合、例えば、ベーチェット病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタンパクを検出するために使用することができる。また、本発明のタンパクを精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のタンパクの検出、被検細胞内における本発明のタンパクの挙動の分析などのために使用することができる。
【0061】
また、本発明のタンパクをコードするDNAに対する本発明のアンチセンスDNAを含有する組成物は、本発明のポリヌクレオチド(例えば、DNA)に相補的に結合し、ポリペプチドの発現を抑制することができる。本発明のアンチセンスDNAは低毒性であり、生体内における本発明のタンパクまたは本発明のポリヌクレオチドの発現を抑制することができるので、例えば、本発明のタンパクの過剰発現に起因する疾患、ベーチェット病や原田病などの予防・治療剤として用いることができる。上記アンチセンスDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合は、該アンチセンス・ポリヌクレオチドを、上記した本発明のポリヌクレオチドの場合と同様にして製剤化することができる。このようにして得られる製剤は低毒性であり、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。なお、該アンチセンス・ポリヌクレオチドは、そのままで、あるいは摂取促進用の補助剤などの生理学的に認められる担体とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与することもできる。該アンチセンス・ポリヌクレオチドの投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより異なるが、例えば、ベーチェット病の治療の目的で本発明のタンパクをコードするDNAに対するアンチセンス・ヌクレオチドを目などに局所投与する場合、成人(体重60kg)に対して、1日あたり約0.1〜100mgであることが好ましい。さらに、該アンチセンス・ポリヌクレオチドは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもできる。
【0062】
本発明のタンパクの活性を中和する作用を有する本発明の抗体は、例えば、本発明のタンパクの過剰発現に起因する疾患、例えばベーチェット病や原田病などの予防・治療薬などの組成物として使用することができる。本発明の抗体を含有する上記疾患の治療・予防剤は、そのまま液剤として、または適当な剤型の組成物として、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、成人に使用する場合には、本発明の抗体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができるが、症状に応じて増減してもよい。本発明の抗体は、それ自体または適当な組成物として投与することができる。上記投与に用いられる組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形として提供される。すなわち、例えば、経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組成物は公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
【0063】
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などの剤形を包含する。かかる注射剤は、公知の方法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。上記の経口用または非経口用組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞれの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜250mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
【0064】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA:デオキシリボ核酸
A:アデニン
T:チミン
G:グアニン
C:シトシン
RNA:リボ核酸
mRNA:メッセンジャーリボ核酸
DMF:ジメチルホルムアミド
PVDF:ポリビニリデンジフルオリド
TCA:トリクロロ酢酸
TFA:トリフルオロ酢酸
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
【0065】
Gly:グリシン
Ala:アラニン
Val:バリン
Leu:ロイシン
Ser:セリン
Glu:グルタミン酸
Asp:アスパラギン酸
Lys:リジン
Arg:アルギニン
His:ヒスチジン
Phe:フェニルアラニン
Trp:トリプトファン
Pro:プロリン
Gln:グルタミン
【0066】
また、本明細書中で汎用される置換基および保護基を下記の記号で表記する。
Trt:トリチル基
Pbf:2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルフォニル基
tBu:tert−ブチル基
OtBu:tert−ブトキシ基
Fmoc:9−フルオレニルメトキシカルボニル基
MCA:4−メチルクマリル−7−アミド基
Z:ベンジルオキシカルボニル基
【0067】
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕31kDaタンパクのN末端部のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕31kDaタンパクのN末端部のポリペプチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕PRP−1の91−110番目のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:4〕PRP−1の119−134番目のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:5〕本発明の65kDaタンパクのN末端部のアミノ酸配列を示す。
【0068】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0069】
実施例1 リバースザイモグラフィーによるタンパクの分離
涙液を、常温(20℃)のサンプルバッファー(0.125Mトリス塩酸(pH6.8)/4%SDS/20%グリセロール/0.02%ブロムフェノールブルー)で2倍希釈した。
次に、この電気泳動用緩衝液で希釈した涙液10−15μLを、基質としてゼラチンを含むポリアクリルアミドゲル(0.1%ゼラチン/0.1%SDS/10〜12%ポリアクリルアミド)、ランニングバッファー(0.025Mトリス塩酸/0.192Mグリシン/0.1%SDS)で電気泳動を行った。電気泳動終了後、ゲルはパパイン溶液(パパイン0.0075U)でインキュベートした。その後、ゲルを2.5%トリトンX−100および精製水で洗浄し、50mM酢酸−10mMシステイン緩衝液(pH6.0)で10時間インキュベートした。20%TCAに1分間、浸漬後、染色液(クマシーブリリアントブルー0.025%/メタノール40%/酢酸10%/水49.975%)に2時間以上浸して染色を行った。染色後、第1の洗浄液(メタノール40%/酢酸10%/水50%)でゲルを洗浄し、次いで第2の洗浄液(メタノール5%/酢酸7%/水88%)でゲルを洗浄した。
【0070】
(結果)
ベーチェット病患者および原田病患者の涙液のリバースザイモグラフィー法による結果を図1に示す。
図1に示すように、ベーチェット病患者の涙液には、正常人の涙液にはほとんど認められない、分子量31kDa付近に特異的な物質が発現することが確認され、原田病患者の涙液からは、65kDa付近の物質に著しい増加が見られた。
【0071】
実施例2 タンパクの単離
ベーチェット病患者涙液の31kDaタンパクの分離は、Fernandezらの方法〔Biotechniques. 12, 564-573 (1992)〕に従った。すなわち涙液(10−15μL)を同量のサンプルバッファー(0.125Mトリス/4%SDS/20%グリセリン/0.02%ブロモフェノールブルー、pH6.8)で希釈し、実施例1と同じ条件で電気泳動を行った後、ゲルは0.2Mイミダゾール溶液で10分間インキュベートした。その後、ゲルを0.2−0.3M硫酸亜鉛溶液に1分間浸漬した。31kDaタンパク部のゲルをカットし、緩衝液で抽出した。
【0072】
実施例3 N末端部のアミノ酸配列の決定
タンパクのN末端部のアミノ酸配列はHPG1005A protein sequencing system(Hewlett-Packard, Palo Alto, CA) を用いて決定した。すなわち、実施例1の電気泳動後、染色バンドはPVDF膜に転写し、マジマらの方法〔E. Majima, et al., J.Biol. Chem. 276(13), 9792-9799 (1991)〕を使用するアミノ酸シークエンス分析器に付した。
【0073】
(結果)
31kDaタンパクのN末端側のアミノ酸配列は配列番号:1に示すものであった。本配列は、公知のPRP−1およびpHL E1H1プロリンリッチタンパクの76−90番目のアミノ酸配列と100%の相同性を示した。このことは、PRP−1およびpHL E1H1プロリンリッチタンパクの91番以降のアミノ酸配列についても少なくとも50%以上の相同性を示すものと考えられる。
【0074】
実施例4 配列番号:3のポリペプチドの合成
ポリペプチドのC末端残基に相当するアミノ酸(Val)が導入されているFmoc-Trp-Wang樹脂をジメチルホルムアミド(DMF)で膨潤させた後、ペプチド合成機(島津製作所製)の反応器に入れた.上記樹脂をピペリジン/DMFで処理しFmoc基を除去してアミノ酸を遊離させ、DMFで洗浄した。このアミノ基に次のアミノ酸に相当するFmoc-Ser(tBu)をHOBt/PyBop法で縮合した。以後同様に、Fmoc-Pro、Fmoc-Phe、Fmoc-Arg(Pbf) 、Fmoc-Pro、Fmoc-Leu、Fmoc-Ser(tBu)、Fmoc-Leu、Fmoc-Gln(Trt)、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-His(Trt)、Fmoc-Gly、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Pro、Fmoc-Pro、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Gln(Trt) 、Fmoc-Gln(Trt)を順次縮合し、反応を完了した。樹脂を乾燥した後、常法に従いトリフルオロ酢酸(TFA)を含む溶液にて5時間処理し、ペプチドを樹脂から切り離すと共にペプチド保護基を除去した。この脱保護ペプチドをジエチルエーテルで洗浄し乾燥した。これを常法に従い、アセトニトリル/TFAを含む溶液を溶解し、HPLC装置にてグラジエント溶出し,精製した。この精製ペプチド分画を集め、凍結乾燥し、白色粉末を得た。
【0075】
実施例5 配列番号:4のポリペプチドの合成
ポリペプチドのC末端残基に相当するアミノ酸(Trp)が導入されているFmoc-Trp-Wang樹脂をDMFで膨潤させた後、ペプチド合成機(島津製作所製)の反応器に入れた.上記樹脂をピペリジン/DMFで処理しFmoc基を除去してアミノ酸を遊離させ、DMFで洗浄した。このアミノ基に次のアミノ酸に相当するFmoc-LeuをHOBt/PyBop法で縮合した。以後同様に、Fmoc-Pro、Fmoc-Gln(Trt)、Fmoc-Glu(OtBu)、Fmoc-Gln(Trt)、Fmoc-Pro、Fmoc-His(Trt)、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Ala、Fmoc-Pro、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Asp(OtBu)、Fmoc-Arg(Pbf)、Fmoc-Gln(Trt)を順次縮合し、反応を完了した。樹脂を乾燥した後、常法に従いTFAを含む溶液にて5時間処理し、ペプチドを樹脂から切り離すと共にペプチド保護基を除去した。この脱保護ペプチドをジエチルエーテルで洗浄し乾燥した。これを常法に従い、アセトニトリル/TFAを含む溶液を溶解し、HPLC装置にてグラジエント溶出し,精製した。この精製ペプチド分画を集め、凍結乾燥し、白色粉末を得た。
【0076】
実施例6 ウサギポリクローナル抗体の作製
実施例4で合成したポリペプチドにKLH(キーホールリンベットヘモシアン)を結合した。作製したポリペプチド・KLH複合体を抗原としてウサギポリクローナル抗体を作製した。免疫動物は日本白色ウサギ(雄、2.5〜3kg)一羽を用い、感作はアジュバンド(1回目:コンプリート、2,3回目:インコンプリート)懸濁液を用い、背部に皮内注射により行い14日毎に4回繰り返した。最終感作7日後に麻酔下頚動脈採血を行い、血清を得た。このようにして得られた血清をポリクローナル抗体とした。抗血清中の抗体価の上昇はエンザイムノアッセイにて確認した。
【0077】
実施例7 ウエスタンブロッティング
検体は、5w/v%2−メルカプトエタノール存在下、15〜25w/v%濃度勾配ポリアクリルアミドゲルを使用し、SDS−電気泳動を行った。SDS−電気泳動はLaemmliの変法〔K.U. Laemmli, Nature, 227, 680-685 (1920)〕によった。タンパクはPVDF転写膜(Millipore, Bedford, MA)に電気的に転写した。抗原抗体反応は、一次抗体として実施例6で作製したウサギポリクローナル抗体を使用した。〕2次抗体としてヤギ抗ウサギIgG接合を使用した。アルカリフォスファターゼの反応は、ニトロブルーテトラゾリウムと5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェートを用いて膜上で行った。分子量マーカーとして、SDS-PAGE low-range standard(Bio-Rad Laboratories, CA)を使用した。
【0078】
(結果)
実施例6のウサギポリクローナル抗体は31kDaタンパクを認識することが確認された。本ポリクローナル抗体は、公知のPRP−1の91−110番目のアミノ酸配列に相当するタンパクに対する抗体であるので、本結果は、31kDaタンパクの部分配列として、PRP−1およびpHL E1H1プロリンリッチタンパクの91番以降のアミノ酸配列との相同性がより高い配列を有していることを示していると考えられる。
【0079】
実施例8 システインプロテアーゼ阻害活性の測定
システインプロテアーゼ阻害活性の測定はBarrettの方法〔J.A. Barrett et al., Methods in Enzymology, 80, 535-561 (1981)〕に基づいた。すなわち、85mM酢酸緩衝液(pH5.5)、2mMジチオスレイトール、1mMEDTA,パパイン(0.0075U)および被験物質を含む溶液を15分間プレインキュベートした後、基質としてZ-Phe-Arg-MCA(80nM)を添加し反応を開始した。37℃、10分間反応させた後、酢酸緩衝液(pH4.0)を添加し、反応を停止させた。遊離した4−メチル−7−アミノクマリンの量を蛍光光度計を用いて、励起波長360nm、蛍光波長440nmで測定した。被験物質無添加で同様に処理したものをコントロール値、パパイン無添加のものをブランク値とし、IC50を求めた。
【0080】
(結果)
31kDaタンパクのパパインに対する阻害活性のIC50は、10−6Mであった。また、実施例5で合成したポリペプチドのそれは、10−4Mであった。
【0081】
【発明の効果】
本発明のタンパクはベーチェット病や原田病などの疾患時に発現する特異なタンパクであるので、例えば、ベーチェット病や原田病の診断を正確に効率良く行うことができる。
【0082】
【配列表】
【0083】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ベーチェット病患者、原田病患者および正常人の涙液のリバースザイモグラフィーを示す図である。
Claims (36)
- N末端部の配列に配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が31kDaであることを特徴とするタンパク。
- 請求項1記載のタンパクをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
- DNAである請求項2記載のポリヌクレオチド。
- 配列番号:2で表わされる塩基配列を含有する請求項3記載のDNA。
- 請求項2記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
- 請求項5記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
- 請求項6記載の形質転換体を培養し、請求項1記載のタンパクを生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする請求項1記載のタンパク。
- 請求項1記載のタンパクもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはそれらの塩を含有してなる組成物。
- 請求項2記載のポリヌクレオチドを含有してなる組成物。
- システインプロテアーゼ阻害剤である請求項8または9記載の組成物。
- 請求項1記載のタンパクに対する抗体。
- 請求項1記載のタンパクの活性を不活性化する中和抗体である請求項11記載の抗体。
- 請求項11記載の抗体を含有してなる組成物。
- ベーチェット病の予防・治療剤である請求項13記載の組成物。
- 請求項11記載の抗体を含有してなる診断剤。
- ベーチェット病の診断剤である請求項15記載の診断剤。
- 請求項2記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断剤。
- ベーチェット病の診断剤である請求項17記載の診断剤。
- 請求項1記載のタンパクをコードするDNAに相補的または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有し、該タンパクの発現を抑制し得る作用を有するアンチセンスDNA。
- 請求項19記載のアンチセンスDNAを含有してなる組成物。
- ベーチェット病の予防・治療剤である請求項20記載の組成物。
- リバースザイモグラフィーを用いることを特徴とするシステインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパクのスクリーニング方法。
- システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパクが請求項1記載のタンパクである請求項22記載のスクリーニング方法。
- システインプロテアーゼ阻害活性を有するタンパクがN末端部の配列に配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が65kDaであることを特徴とするタンパクである請求項22記載のスクリーニング方法。
- 請求項1記載のタンパクを用いることを特徴とする請求項1記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはそれらの塩のスクリーニング方法。
- N末端部の配列に配列番号:5で表されるアミノ酸配列を有し、かつ分子量が65kDaであるタンパクを用いることを特徴とする該タンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはそれらの塩のスクリーニング方法。
- 機能がシステインプロテアーゼ阻害活性またはベーチェット病関連因子である請求項25記載のスクリーニング方法。
- 機能が原田病関連因子である請求項26記載のスクリーニング方法。
- 請求項1記載のタンパクのシステインプロテアーゼ阻害活性を試験化合物の存在下および非存在下に測定し、比較することを特徴とする請求項25記載のスクリーニング方法。
- 請求項1記載のタンパクの遺伝子を発現する能力を有する細胞を試験化合物の存在下および非存在下に培養し、それぞれの場合における当該タンパクのmRNAの発現量を測定し、比較することを特徴とする請求項25記載のスクリーニング方法。
- 請求項1記載のタンパクのプロモーター領域およびエンハンサー領域、または請求項1記載のタンパクのプロモーター領域をレポーター遺伝子の上流に連結させたDNAで形質転換した細胞を試験化合物の存在下および非存在下に培養し、それぞれの場合におけるレポーター遺伝子の発現量を測定することを特徴とする請求項29記載のスクリーニング方法。
- 請求項1記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
- 請求項29記載のスクリーニング方法または請求項32記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、請求項1記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩。
- 請求項29記載のスクリーニング方法または請求項32記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、請求項1記載のタンパクの機能を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩を含有してなる組成物。
- 請求項29記載のスクリーニング方法または請求項32記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、請求項1記載のタンパクの機能を阻害する活性を有する化合物またはその塩を含有してなるベーチェット病の予防・治療剤。
- 配列番号:4で表わされるアミノ酸配列であることを特徴とするポリペプチド。
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WO2004078975A1 (ja) | 2004-09-16 |
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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