JP2006180093A - キャンセラ装置及びデータ伝送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】
回路規模の増大を抑え、サンプリングクロックに位相ずれがある場合にも、エコー/クロストークのキャンセルを行うキャンセラ装置の提供。
【解決手段】
入力アナログ信号を共通に入力し、互いに異なる位相のサンプリングクロック信号に応じてディジタル信号に変換して出力する複数のアナログデジタル変換回路101、102のサンプリングの位相ずれを補償するサブキャンセラ104と、サンプリング位相ずれが補償されたあとのエコー/クロストークをキャンセルするメインキャンセラ103と、サブキャンセラ104の位相ずれの補償範囲をメインキャンセラ103のタップ係数に基づき決定する補償範囲選択回路105とを有する。
【選択図】
図1

Description

本発明は、データ伝送システムに関し、特に、受信した信号からエコー及び/又はクロストークをキャンセルするキャンセラ装置に関する。
データ伝送システムについてその概略を説明しておく。図2は、エコーキャンセラを具備したデータ伝送システムの典型的な構成例を示す図である。図2には、本発明に係るキャンセラ回路が適用されるデータ伝送システムとして、ツイストペア(撚り線対)ケーブル等を用いた伝送システム(全二重伝送システム)の構成の一例が示されている。
図2を参照すると、このデータ伝送システムにおいて、送信装置では、それぞれの送信シンボル(ディジタル信号)をディジタル・アナログ変換器10、20にてアナログ信号に変換し、ドライバ回路11、21にて駆動出力し、ハイブリッド回路16、26、トランス17、27を介して伝送路30に送出される。また、対向装置から伝送路30に伝送された送信信号は、トランス17、27、ハイブリッド回路16、26を介して、受信装置で受信される。受信装置では、AD変換器12、22を用いて、受信アナログ信号をディジタル信号に変換した後に、波形等化器13、23にて波形等化が行われた後、不図示の識別器より、受信シンボルが出力される。伝送路30では、送信信号と受信信号が双方向に同時伝送される。エコーは、送信信号の受信信号への回り込みであり、トランス17、27、ハイブリッド回路16、17のミスマッチ、伝送路30のコネクタのミスマッチ等により発生する。エコーキャンセラ14、24では、それぞれ、送信対象の送信シンボルとAD変換器12、22の出力からエコーキャンセラ14、24の出力(エコーレプリカ)を減算器15、25で差し引いた誤差信号とを入力し、エコーのキャンセル及び近端漏話(near end crosstalk;「NEXT」という)等の雑音の抑圧処理(ノイズキャンセル)が行われる。
図2に示したようなデータ伝送システムの一具体例として、例えば「IEEE Standard 802.ab 1000 BASE-T」では、CAT−5ケーブル・システム上でのギガビット・イーサネット(登録商標)用の物理層(PHY)が規定されており、入力データバイトに、トレリス・エンコーダは125MBaud/sで4対のワイヤに4つのPAM−5シンボルを出力する。信号は、4つのワイヤ(図2の伝送路が4対)の各々について双方向で送信され、このため、各ワイヤでエコーを除去する必要がある。また他のワイヤからの近端クロストーク(NEXT)も、エコーのキャンセレーションと同様に除去される(非特許文献1(Runshengその他、ISSCC 2001 19-6 A DSP Based Receiver for 1000BASE-T PHY)参照)。非特許文献1には、図12に示すような、1000BASE−Tの物理層(PHY)用のDSPベース受信装置の構成が開示されている。なお、図12では、1つのチャネルのデータパスが示されているが、4チャネル分について同一の構成とされる。
図12を参照すると、9ビットパイプライン構成のAD変換器(A/D)607の前段のブロックとして、ハイブリッド(HYBRID)603、ベースラインワンダー補正回路604、プログラム可能な利得ステージ(GAIN)605、アンチエイリアシング低域通過フィルタ(LPF)606を備えている。ハイブリッド603は、受信波形から帯域制限波形の複製(レプリカ)を差し引くことで粗いエコー・キャンセルを行う。残留エコーは、ディジタル・エコーキャンセラ(ECHO&NEXT)610によって除去される。エコーの離散時間応答は、AD変換器607のタイミング位相に感応的(センシティブ)であり、タイミングジッタにより、ジッタ雑音をECHO&NEXTキャンセラ610は有する。LPF606は、エコーと近端クロストーク応答の高周波成分を除去することで、ジッタ雑音を低減している。ベースラインワンダー補正回路604は、トランスの低域遮断特性(高域通過特性)によって生じるベースライン歪みを除去するものであり、判定型適応ループによって制御される。FIFO(先入れ先出し回路)608は、4つの異なるワイヤの遅延スキューを補償する。AD変換器607の出力信号はADサンプリングクロックによって4チャネル別々の位相でFIFO608に書き込まれ、単一のクロック(全てのDSPブロックを駆動するクロック)で読み出される。DSPブロックの前段に、FIFO608を配置したことで、初期段階でレイテンシスキューを解消し、DSPブロックは、同一クロックドメインで動作する。各チャネルでのFIFO608の遅延は、スタートアップ時に4つのチャネルの全てでアイドルシンボルを照合することで見出される。FIFO608の遅延は最大スキューで決定される。ディジタル型ECHO&NEXTキャンセラ610は、ハイブリッドの残留エコーのみならず、NEXT(近端クロストーク)を除去する。各チャネルのECHO&NEXTキャンセラ610は、4つのFIR(有限インパルス応答)フィルタ(NEXT用に3つ(20×3タップ)、エコー用に1つ(160タップ))設けられ、FIRフィルタには、エンコーダ602からのローカルな送信データ(TX DATA)が入力される。ECHO&NEXTキャンセラ610の入力のディレイ回路(DELAY Adjust)611は、AD変換器607の入力からFIFO608の出力の遅延をマッチさせるものである。ECHO&NEXTキャンセラ610のFIRフィルタのタップは、適応型とされ、125M/sシンボルレートと比べてその応答変化は遅いため、ECHO&NEXTキャンセラ610のループゲインは小さな値とされ、勾配ノイズを縮減している。ECHO&NEXTキャンセラ610での学習はLMS(least mean square)アルゴリズムが用いられる。FIFO608の出力からECHO&NEXTキャンセラ610の出力(エコー&クロストーク・レプリカ)が差し引かれ、FFE(feed-forward equalizer)612に入力される。FFE612は、pre−cursor(プリカーソル)ISI(InterSymbol Interference;シンボル間干渉)をキャンセルするためのフィルタである。ゲインステージの出力は、DFSE(Descision Feedback Sequence Estimation;判定帰還型シーケンス推定)614に供給される。DFSE614は、トレリスコード復号器とDFE(判定帰還型推定器)を実装している。トレリスコードデコーダのブランチメトリックを生成するためにエラーの絶対値を用いている。DFSE614のゲインを比較するため、5レベルの閾値検出器が実装されている。ディジタル・タイミングリカバリ(不図示)は、AD変換器607のサンプリング位相を制御する。ディジタルタイミングリカバリは、各チャネルに位相ループを有し、4つのチャネルで共用される周波数ループを有する。なお、図12において、参照符号615、616、617、618は、エラー生成器、エラーモニタ、アダプテーション・アルゴリズム、コントロール回路をそれぞれ示しているが、本発明の主題に直接関係しないためその説明は省略する。
図13は、図12のECHO&NEXTキャンセラ610の構成を例示した図である(なお、図13は、本明細書の説明用に新たに作成したものである)。図13に示すように、送信シンボルペア1と残留エコーを入力としエコー・レプリカを出力するエコーキャンセラ702(例えば160タップのFIRフィルタ)と、3つのNEXTキャンセラ回路703、704、705(それぞれ20タップのFIRフィルタ)を備えている。4対のツイストペアのうち、ツイストペア1からの入力信号ペア1には、ツイストペア1からのエコー誤差信号、ツイストペア2からの近端クロストーク、ツイストペア3からの近端クロストーク、ツイストペア4からの近端クロストークが回りこんでいる。エコーキャンセラ702は、送信シンボルと誤差信号(残留エコー)を入力し、出力は、減算器706に入力され、AD変換器701の出力波形から差し引かれる。また、減算器707は、減算器706の出力(受信波形からエコー・レプリカを減算した波形)を入力し、NEXTキャンセラ回路703、704、705の出力を差し引いたものを、誤差信号として出力する。NEXTキャンセラ回路703、704、705は、送信シンボルペア2、3、4をそれぞれ入力し、さらに誤差信号を共通に入力し、LMSアルゴリズム等にしたがってタップ係数を適応制御してクロストーク・レプリカをそれぞれ生成出力する。なお、近端クロストーク(NEXT)は、同一ケーブル内の信号ペア(ツイストペア)間でのクロストークをいう。また、エコーは、同一ペア(ツイストペア)内でのクロストークといえる。
近時、伝送システムでは、伝送速度の高速化に伴い、図2等に示した受信装置では、AD変換器の高速化及び高精度化が要求されている。AD変換器の高速化は変換レート(サンプリング周波数)の高速化を意味し、またAD変換器の高精度化の実現には、高分解能、オフセット、直線性特性等のDC特性の向上のほか、例えばサンプリングクロックのスキューの低減等の動特性(AC特性)の改善も要求される。そして、高速のAD変換器の分解能は比較的粗く、1つのAD変換器で、高速・高精度化を実現することは難しく、価格の高騰をまねく。そこで、高速・高精度のAD変換を実現するために、複数のAD変換器を並置し、時分割にインターリーブ方式で各AD変換器を動作させる構成としたAD変換装置(「インターリーブ型AD変換装置」あるいは、「タイム・インターリーブ型AD変換装置」という)が、従来より、用いられている(例えば非特許文献2参照)。インターリーブ型AD変換装置は、アナログ入力端子に共通に接続された複数のAD変換器を互いに位相が異なる多相の分周クロックで駆動することで、個々のAD変換器の変換レートの上昇を抑えながら、高速化に対応可能としたものである。
図11は、位相ずれによる雑音発生のモデルであり、2つのAD変換器よりなるインターリーブ型AD変換装置における2つのAD変換器間でのサンプリングクロックの位相ずれによる雑音発生の様子を模式的に説明するための図である。図11において、横軸は時間軸であり、縦軸は信号振幅を示している。また、図11において、位相1で示すタイミングは、第1のAD変換器のサンプリング位相を表しており、位相2は、位相2を基準としたときの、第2のAD変換器の理想サンプリング位相を表している。図11のアナログ信号は、2つのAD変換装置に入力信号として供給される時間連続のアナログ信号波形を表しており、アナログ信号波形と、位相1、位相2のタイミングにおける交点が、第1、第2のAD変換器による、時間離散のサンプル値(理想サンプル値)を表している。また、図11において、矢線(位相ずれ)で示すタイミングは、サンプリングクロックの位相ずれによって、第2のAD変換器のサンプリング位相がずれたタイミングを表している。
図11に示すように、位相ずれによって、第2のAD変換器のサンプリング位相がずれ、このため、位相ずれが存在する条件下でのサンプル値と、理想サンプル値(ADC2とアナログ信号との交点)との間にずれ(矢印で示す雑音参照)が生じる。ここで、サンプリング位相のずれをΔtとすると、雑音の大きさΔVは、ΔV=[df(t)/dt]Δt(ただし、f(t)は時間連続アナログ信号波形を表す)となり、その大きさは、位相ずれの値Δtに依存するとともに、信号波形の変化率であるf(t)の微分係数df(t)/dtの大きい箇所(スルーレートの大きい箇所)で大となる。
このような位相ずれに対応するため、従来のインターリーブ型AD変換装置では、位相ずれ調整を行うための補正回路が設けられている(例えば特許文献1参照)。
Runshengその他、 A DSP Based Receiver for 1000BASE-T PHY、2001 IEEE International Solid State Circuits Conference 19-6 Robert Taltその他、A 1.8V 1.6GS/s 8b Self-Calibrating Folding ADC with 7.26 ENOB at Nyquist Frequency 2004 IEEE International Solid State Circuits Conference 14.1 Simon Haykin著、鈴木博他訳、「適応フィルタ理論」、科学技術出版、第508頁等 米国特許第6522282号明細書(US6,522,282 B1 Fig.3)
上記したように、インターリーブ型AD変換装置において、高速、高精度を実現するには、位相ずれを補正するための補正回路が必要となる。この場合、データ伝送システムの受信装置における通常の適応等化器には不要な回路、処理、シーケンスを追加する必要があり、回路の小型化、処理の簡易化を著しく困難としている。
また、AD変換器のサンプリング位相ずれを補正した上で、エコーキャンセル等を行う必要があり、回路規模の増大、コストの上昇をもたらす。一方、高速化に伴い、位相ずれを事前に補正したサンプリングクロックを複数のAD変換器に供給することは、設計を困難なものとしている。
したがって、本発明は、上記問題点に鑑みて創案されたものであって、その目的は、インターリーブ型AD変換装置の位相ずれが発生した場合においても、回路規模の増大を抑止し、消費電力の増加を抑止しながら、エコー及び/又はクロストークのキャンセルを可能とするキャンセラ装置を提供することにある。
本願で開示される発明は、上記目的を達成するため、代表的には、概略以下の通りとされる。
本発明に係るキャンセラ装置は、 インタリーブ型アナログ・ディジタル変換回路のサンプリング位相ずれを補償する第1のキャンセラと、位相ずれが補償されたあとの信号から、エコー及び/又はクロストークをキャンセルする第2のキャンセラと、を備えている。
本発明においては、好ましくは、前記第2のキャンセラのタップ係数に基づき、前記第1のキャンセラの補償範囲を決定する補償範囲選択回路を備えている。
本発明において、前記第1のキャンセラと前記第2のキャンセラとが回路の一部を共有する構成としてもよい。
本発明によれば、インターリーブ型AD変換装置の位相ずれが発生した場合においても、回路規模の増大を抑止し、消費電力の増大を抑制しながら、エコー、近端クロストークのキャンセルを可能としている。
また、本発明によれば、サンプリング位相のずれを許容して、エコーと近端クロストークの抑制を実現可能としており、タイミングなどの遅延設計を容易化している。
上記した本発明について更に詳細に説述すべく、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について以下に説明する。はじめに、本発明の原理について説明しておく。図9は、図2、図3等に示したデータ伝送システムにおける、エコー孤立波の応答波形を示す図であり、横軸は時間軸(単位は1UI(Unit Interval))、縦軸は振幅である。エコー波形においては、遠端側の反射により、数百サンプル時間(数百UI)経った後にも、エコーのすそが残っている。
図10は、エコー孤立波の応答波形から、エコー孤立波の応答波形を例えば0.05UIだけずらしたものを差し引いた波形を示す図である。図10においても、横軸は時間軸(単位は1UI(Unit Interval))、縦軸は振幅である。図10からも判るように、AD変換器のサンプリング位相のずれの影響は、エコー孤立波応答(図9参照)の振幅の大きな部分だけを補償することで、抑圧することができることがわかる。また、他のワイヤ等からの近端クロストーク(NEXT)も、エコーのキャンセレーションと同様にして抑圧することができる。
本発明は、上記知見に基づき創案されたものであって、インターリーブ型のAD変換器のサンプリング位相のずれを補償するためのキャンセラ(図1の104)を用意し、この位相ずれ補正用のキャンセラとは別に、サンプリング位相補償後のエコー及び/又はクロストーク(「エコー/クロストーク」と略記する)を抑圧するためのキャンセラ(図1の103)を備えている。さらに、本発明は、サンプリング位相ずれ補償位置を選択する補償範囲選択回路(図1の105)を備え、位相補償後のエコー/クロストークを抑圧するキャンセラ(図1の103)のタップ係数に基づき、位相ずれの補償を行う必要があるタップ位置を推定することで、位相ずれ補正用のキャンセラ(図1の104)のタップ係数を制御する。
位相ずれ補正用のキャセラ(図1の104)において、位相ずれの補償を行う必要があるタップ以外は、タップを用意する必要がないため、位相ずれ補正用のキャセラ(図1の104)のタップの乗算器、加算器の個数を削減することができる。また、メインキャンセラにおいて、エコー/クロストークを抑圧し、サブキャンセラでは、差分だけを補償するため、演算語長の削減が可能となる。
比較例として、例えば、インタリーブ型のAD変換装置を構成する複数のAD変換器の各々に対して、エコーの孤立波の応答長分のタップ数を設けた場合、回路規模が増大する。
本発明によれば、AD変換器のサンプリングクロックに位相ずれがある場合にも、位相ずれを補償するキャンセラ(図1の104)で該位相ずれを補償しておき、別のキャンセラ(図1の103)で、位相ずれ補償後のエコー/クロストークをキャンセルする構成としたことにより、たとえ、サンプリング位相にずれがあった場合にも、特性の劣化を抑えることができる。また、サンプリング位相にずれの存在を容認した設計を可能とすることで、タイミング設計を容易化し、高速化に対応可能としている。以下、実施例に即して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施例の受信装置の構成をシグナルダイヤグラムにて示す図である。なお、以下の示す実施例は、例えば図2又は図12等に示した受信装置として用いられる。
図1を参照すると、本実施例の受信装置は、入力される受信アナログ信号を入力に受け、互いに位相の異なるサンプリングクロック(不図示)に応答してディジタル信号に変換して出力する2つのAD変換器101、102と、受信信号からエコー/近端クロストーク(NEXT)をキャンセルするメインキャンセラ103と、位相ずれ補正用のサブキャンセラ104と、2つのAD変換器101、102から出力されるディジタル信号から、サブキャンセラ104の出力(レプリカ)を減算する減算器106、107と、減算器106、107の出力を、時間軸上交互に多重化して出力するパラレルシリアル変換回路(マルチプレクサ)108と、パラレルシリアル変換回路108の多重化出力からメインキャンセラ103の出力(レプリカ)を減算する減算器109とを備え、さらに、補償範囲選択回路105と、シリアルパラレル変換回路110、111を備えている。
メインキャンセラ103は、減算器109から出力される誤差信号と、送信シンボル(ディジタル送信信号)とを入力し、エコー/近端クロストーク(NEXT)をキャンセルする適応フィルタよりなる。このメインキャンセラ103は、AD変換器101、102のサンプリング位相ずれ補償後のエコー/近端クロストーク(NEXT)をキャンセルする。
誤差信号は、シリアルパラレル変換回路(デ・マルチプレクサ)110で2つに分離され、サブキャンセラ104に入力される。補償範囲選択回路105は、メインキャンセラ103のタップ係数に基づき、サブキャンセラ104におけるサンプリング位相のずれの範囲を選択する。
サブキャンセラ104は、送信シンボルを入力しデマルチプレクスして出力するシリアルパラレル変換回路111からの2つの出力と、シリアルパラレル変換回路110から並列に出力される誤差信号とを入力として受け、さらに補償範囲選択回路105からの制御のもと、タップを可変制御する適応フィルタよりなり、エコー/近端クロストークのレプリカを減算器106、107にそれぞれ出力する。
AD変換器101、102の出力より、サブキャンセラ104の2つの出力をそれぞれ減算する減算器106、107からは、AD変換器101、102のサンプリング位相ずれが補正された受信信号(ディジタル信号)が出力される。これは、図9、図10を参照して説明した、本発明の原理に従う。そして、メインキャンセラ103は、サンプリング位相ずれが補正された状態の受信信号から(すなわち、減算器106、107の出力から)、エコー/近端クロストークをキャンセルする。
図3は、図1に示したメインキャンセラ103の構成の一例を示す図である。図3を参照すると、適応等化器は、FIR(Finite Impulse Response;有限インパルス応答)フィルタよりなるフィルタ部200と、FIRフィルタ部200のフィルタ係数を更新するタップ更新部210とを有する適応フィルタとして構成されている。特に制限されないが、図3には、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いた適応フィルタの構成の一例が示されている。フィルタ次数をMとして、入力信号(離散時間ディジタル信号)をx、出力信号をy、識別誤差をe、時刻nにおけるフィルタ係数208〜206をb0、n、b1、n、…bM、nとすると、
yn=b0,nxn+ b1,nxn-1 + …+ bM,nxn-M …(1)
で与えられる。ただし、xn−1は遅延素子で入力信号を1単位時間遅延させた信号、
n−MはM段の遅延素子でM単位時間遅延させた信号である。
ベクトルBn=Col[b0,n,b1,n,…,bN,n]、
Xn=Col[xn,xn-1,…,xn-M](ただし、Colは行を列とする演算子)とすると、
yn=Bn TXn …(2)
で表され、タップ更新として、よく知られているB.WidrowによるLMSアルゴリズムによれば、時刻n+1のフィルタ係数Bn+1は、
Bn+1=Bn+venXn …(3)
で与えられる。
すなわち、図3において、タップ更新部210は、現在の時刻nのフィルタ係数Bを、乗算器208〜206に供給するとともに、記憶素子(D型レジスタ)220、…、217、214に記憶しておき、次の時刻n+1のフィルタ係数Bn+1として、Xn=Col[xn,xn-1,…,xn-M]にゲインvと誤差enを乗算器218、…、215、212で乗算したものと、記憶素子(D型レジスタ)220、…、217、214の値Bn=[b0,n,b1,n,…,bN,n]を、それぞれ加算器219、…、216、213で加算した値に、更新する。このLMSアルゴリズムは、最適タップ利得に、少しずつ近づいていく。なお、RLS(Recursive Least Squares)アルゴリズム等により、フィルタ係数を可変制御するようにしてもよいことは勿論である。また、図3では、簡単のため、直線位相特性のFIRフィルタを用いた例に即して説明したが、FIRフィルタに限定されるものでないことは勿論である。さらに、適応等化器として、時間領域での等化器を例に説明したが、周波数領域で適応等化を行う等化器にも適用できる(例えば非特許文献3参照)。時間領域での畳み込み演算(上式(1)参照)は周波数領域での乗算となるため、周波数領域で適応等化を行う構成とした場合、高速化に適している。
図4は、図1の位相ずれ補正用のサブキャンセラ104の構成の一例を示す図である。特に制限されないが、図4に示す例では、サブキャンセラ104は、MIMO(多入力多出力)型のフィルタで構成されている。図1のシリアルパラレル変換回路111でシリアルパラレル変換された後のデータ1と、図1のシリアルパラレル変換回路110でシリアルパラレル変換された後の誤差信号1とを受ける第1の適応等化器301の出力と、図1のシリアルパラレル変換回路111でシリアルパラレル変換された後のデータ2と、誤差信号1を受ける第2の適応等化器302の出力と、を加算器305で加算した結果が、図1の減算器106に供給される。また図1のシリアルパラレル変換回路111でシリアルパラレル変換された後のデータ1と、図1のシリアルパラレル変換回路110でシリアルパラレル変換された後の誤差信号2とを受ける第3の適応等化器303の出力と、図1のシリアルパラレル変換回路111でシリアルパラレル変換された後のデータ2と、誤差信号2とを受ける第4の適応等化器304の出力と、を加算器306で加算した結果が、図1の減算器107に供給される。なお、各適応等化器は、図3に示した適応フィルタ(例えばFIRフィルタ)よりなる。
再び図1を参照すると、補償範囲選択回路105は、メインキャンセラ103のタップ係数(図3のD型レジスタ214〜220の値)を受け取り、サブキャンセラ104における位相ずれ補正用のタップ位置を算出する。
本実施例において、キャンセラ103、104のフィルタの各タップ係数のトレーニング手順として以下の手法を用いることができる。
(A1)メインキャンセラ103のタップ係数をトレーニングする(タップ係数のトレーニングは継続する)。
(A2)メインキャンセラ103のタップ係数の大きさから、サブキャンセラ104の位相を補償するタップ位置を決定する。
(A3)サブキャンセラ104のタップ係数のトレーニングを行う。
(A4)サブキャンセラ104の補償範囲を可変としない場合には、サブキャンセラ104とメインキャンセラ103は、同時に、それぞれのタップ係数のトレーニングを行ってもよい。
図5は、補償範囲選択回路105による、位相ずれ補正用のサブキャセラ104の補償範囲の設定手順を示す図である。
まずメインキャンセラ103(XC1)のアダプテーションを行う(ステップS1)。次に、アダプテーション終了か否か判定する(ステップS2)。この判定のとき、アダプテーションは止める必要はない。また、アダプテーション終了をタイマーのタイムアウト発生によって判定するようにしてもよい。
メインキャンセラ103(XC1)のアダプテーション終了時(ステップS3)、メインキャンセラ103(XC1)のタップ係数(図3のD型レジスタ214〜220)の値を例えば降順にソートし(ステップS4)、用意されているサブキャンセラ(XC2)104のタップ係数まで、大きい順に、タップを選択する(ステップS5)。
次に、サブキャンセラ104(XC2)のアダプテーションを行い(ステップS6)、その後、メインキャンセラ103(XC1)、サブキャンセラ104(XC2)は通常動作する(ステップS7)。
あるいは、メインキャンセラ103のアダプテーション終了時、メインキャンセラ103のタップ係数(図3のD型レジスタ214〜220)を先頭からサーチし、タップ係数を予め定められた閾値と比較し、閾値を超えるタップについて、サブキャンセラ104(XC2)のタップとするようにしてもよい。図6は、この手順を示す流れ図である。図6において、ステップS11、S12、S13は、図5のステップS1、S2、S3と同一である。
メインキャンセラ103(XC1)のアダプテーション終了時、メインキャンセラ103(XC1)のタップ係数(図3のD型レジスタ214〜220)を先頭から読み出し(ステップS14)、読み出したタップ係数を閾値と比較し(ステップS15)、閾値よりも大の場合(ステップS15のYes分岐)、サブキャンセラ(XC2)104の使用タップ係数として選択する(ステップS16)。
使用するタップ係数の数が、サブキャンセラ(XC2)104に用意されたタップ係数を越えた場合(ステップS17のYes分岐)、サブキャンセラ(XC2)104のアダプテーションを行う(ステップS18)。その後、メインキャンセラ(XC1)103、サブキャンセラ(XC2)104は通常動作を行う(ステップS19)。
次に、本発明の別の実施例について説明する。本実施例のシグナルダイアグラムは、図1に示したものと同一とされる。本実施例においては、図1のメインキャンセラ103とサブキャンセラ104とが回路の一部を共有する構成としたものである。
図7は、本実施例の構成を示す図であり、図1のメインキャンセラ103とサブキャンセラ104と補償範囲選択回路105の構成が示されている。図7を参照すると、遅延回路401〜405よりなるシフトレジスタ(遅延回路列)400と、遅延回路401〜405の出力と入力されるタップ係数とをそれぞれ乗算する乗算器406〜410と、加算器411〜414よりなるFIRフィルタは、図1のメインキャンセラ103を構成している。また、遅延回路401〜405よりなるシフトレジスタ(遅延回路列)400のうちタップセレクタ420で選択された遅延回路の出力と入力されるタップ係数をそれぞれ乗算する乗算器421〜423と、加算器424〜425よりなるFIRフィルタは、位相ずれ用のサブキャンセラ104を構成している。メインキャンセラ103とサブキャンセラ104とは、それぞれのFIRフィルタを構成するシフトレジスタ(遅延回路列)400を共有している。タップセレクタ420は、図1の補償範囲選択回路105を構成しており、図5又は図6を参照して説明した処理手順にしたがって、サブキャンセラ104のタップを選択する。タップセレクタ420は、メインキャンセラ103のアダプテーション後のタップ係数の値に基づき、サブキャンセラ104の使用タップを選択する。一具体例として、乗算器421〜423において、非使用タップには、乗算器は割り当てず、使用タップにのみ乗算器を割り振る。
図8は、本発明のさらに別の実施例の構成を示す図であり、図1のメインキャンセラ103とサブキャンセラ104との回路の一部を共有する構成としたものである。本実施例は、適応フィルタをメモリとDSP(ディジタルシグナルプロセッサ)で実現したものであり、より詳しくは、図1のキャンセラ103とサブキャンセラ104を、メモリと累算器(積和演算器)で構成し、キャンセラ103とサブキャンセラ104とが、データメモリを共用したものである。本実施例において、キャンセラ103とサブキャンセラ104は、例えばDSPとその制御ソフトウェアで実現される。
図8を参照すると、図1のメインキャンセラ103は、メインキャンセラ103のタップ係数を格納したメモリ(「XC1係数メモリ」という)502と、XC1係数メモリ502から読み出されたタップ係数と、データメモリ504から読み出された送信データとを乗算する乗算器505と、乗算器505の出力を累算する累算器(加算器506と、遅延回路(D型レジスタ)507で構成される)よりなる。また、図1のサブキャンセラ104は、サブキャンセラ104のタップ係数を格納したメモリ(「XC2係数メモリ」という)503と、XC2係数メモリ503から読み出されたタップ係数とデータメモリ504から読み出された送信データを乗算する乗算器508と、乗算器508の出力を累算する累算器(加算器509と、遅延回路(D型レジスタ)510で構成される)よりなる。さらに、XC1係数メモリ502とXC2係数メモリ503の読み出しアドレス、及び、データメモリ504の読み出しアドレスを生成するリードアドレス生成器501が配設されている。本実施例において、XC2係数メモリ503は、サブキャンセラ104のタップのうち、図1の補償範囲選択回路105で非使用とされたタップに対して、値0を乗算回路508に出力する。
上記した本実施例によれば、インタリーブされるサンプリング位相毎に、エコー/近端クロストークのレプリカ信号を生成することで、AD変換器のサンプリング位相に位相ずれがあった場合でも、エコー/クロストークを抑圧することができる。図9、図10を参照して説明したように、例えばエコー孤立波の応答波形において、位相のずれの影響は、振幅の大きな部分だけを補償することで抑圧することができる。本実施例によれば、補償範囲選択回路105において、位相補償後のエコー/クロストークを抑圧するメインキャンセラ103のタップ係数に基づき、位相ずれの補償を行う必要があるタップ位置を推定することで、位相ずれ補正用のサブキャンセラ104のタップ係数を制御する構成としたことにより、位相ずれを補償した上でエコー/クロストークを補償することができる。また、サブキャンセラ104におけるタップ数の個数、加算器の個数を削減することができ、回路規模、消費電力の低減等に資する。
なお、本発明は、応用システムにしたがって、
・受信信号から除去すべきノイズ信号として、エコーのみをキャンセルするキャンセラ装置、
・受信信号から除去すべきノイズ信号として、クロストークのみをキャンセルするキャンセラ装置、
・受信信号から除去すべきノイズ信号として、エコー及びクロストークをキャンセルするキャンセラ装置
のうちの任意の装置として用いることができる。
以上、本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は、上記実施例の構成にのみ限定されるものでなく、本発明の原理に準ずる各種変形、修正を含むことは勿論である。
本発明の一実施例の構成を示す図である。 本発明が適用されるシステムの構成を示す図である。 本発明の一実施例における適応フィルタ(等化器)の構成を示す図である。 本発明のサブキャンセラの構成を示す図である。 本発明の一実施例の補償範囲選択回路の処理を示す流れ図である。 本発明の一実施例の補償範囲選択回路の処理を示す流れ図である。 本発明の一実施例のメイン、サブキャンセラの構成を示す図である。 本発明の一実施例のメイン、サブキャンセラの構成を示す図である。 エコー応答波形を示す図である。 エコー応答波形の差分波形を示す図である。 インターリーブ型AD変換器における位相ずれと雑音の関係を示す図である。 非特許文献1に記載される受信装置の構成を示す図である。 図12のECHO&NEXTの構成を説明するための図である。
符号の説明
10、20 DA変換器
11、21 ドライバ
12、22 AD変換器
13、23 波形等化器
14、24 エコーキャンセラ
15、25 減算器
16、26 ハイブリッド回路
17、27 トランス
30 伝送路
101、102 AD変換器
103 メインキャンセラ
104 サブキャンセラ
105 補償範囲選択回路
106、107、109 減算器
108 パラレルシリアル変換器
110、111 シリアルパラレル変換器
200 FIRフィルタ部
201、203、205、401、402、403、404、405 遅延素子(D型レジスタ)
202、204、411、412、413、414、424、425 加算器
206、207、208、406、407、408、409、410、421、422、423 乗算器
210 タップ更新部
213、216、219 加算器
211、212、215、218 乗算器
214、217、220 記憶素子(D型レジスタ)
221、222、223 遅延素子(D型レジスタ)
301、302、303、304 適応等化器
305、306 加算器
400 シフトレジスタ
420 タップセレクタ
501 リードアドレス生成器
502 メインキャンセラ係数メモリ(XC1係数メモリ)
503 サブキャンセラ係数メモリ(XC2係数メモリ)
504 データメモリ
505、508 乗算器
506、509 加算器
507、510 遅延回路
601 送信回路
602 エンコーダ
603 ハイブリッド
604 ベースラインワンダ補正
605 ゲイン
606 LPF
607 AD変換器
608 FIFO
609 減算器
610 ECHO&NEXT
611 ディレイ回路
612 FFE
613 ゲイン
614 DFSE
615 エラー生成回路
616 エラーモニタ
617 アダプテーションアルゴリズム
618 コントロール
701 AD変換器
702 エコーキャンセラ
703、704、705 クロストークキャンセラペア用回路
706、707 減算器

Claims (17)

  1. インタリーブ型アナログ・ディジタル変換回路のサンプリング位相ずれを補償する第1のキャンセラと、
    サンプリング位相ずれが補償されたあとの信号からエコー及び/又はクロストークをキャンセルする第2のキャンセラと、
    を備えている、ことを特徴とするキャンセラ装置。
  2. 前記第2のキャンセラのタップ係数に基づき、前記第1のキャンセラの補償範囲を決定する補償範囲選択回路をさらに備えている、ことを特徴とする請求項1記載のキャンセラ装置。
  3. 前記第1のキャンセラと前記第2のキャンセラとが回路の一部を共有する、ことを特徴とする請求項1記載のキャンセラ装置。
  4. 前記第1及び第2のキャンセラを構成する第1及び第2の適応フィルタが、データを遅延させる遅延回路列を共有する、ことを特徴とする請求項3記載のキャンセラ装置。
  5. 前記第1及び第2のキャンセラを構成する第1及び第2の適応フィルタが、ディジタルシグナルプロセッサから構成され、
    前記第1及び第2の適応フィルタは、データを遅延させるデータメモリを共有する、ことを特徴とする請求項3記載のキャンセラ装置。
  6. アナログ受信信号を共通に入力し互いに異なる位相のサンプリングクロック信号に応答して前記アナログ受信信号をディジタル信号に変換する複数のアナログ・ディジタル変換回路の出力信号から所定の学習アルゴリズムに基づき、エコー及び/又はクロストークをキャンセルするキャンセラ装置であって、
    ディジタル送信信号と誤差信号とを入力して、エコー及び/又はクロストークのレプリカを出力し、前記複数のアナログ・ディジタル変換回路のサンプリング位相のずれを補償する第1のキャンセラと、
    前記ディジタル送信信号と前記誤差信号とを入力とし、サンプリングの位相ずれが補償された信号から、エコー及び/又はクロストークをキャンセルする第2のキャンセラと、
    前記第1のキャンセラにおけるサンプリング位相ずれの補償位置を選択する制御を行う補償範囲選択回路と、
    を備え、
    前記補償範囲選択回路は、トレーニング後の前記第2のキャンセラのタップ係数に基づき、位相ずれの補償を行う必要があるタップ位置を推定し、前記第1のキャンセラの使用タップを選択する、ことを特徴とするキャンセラ装置。
  7. 前記複数のアナログ・ディジタル変換回路の出力から、前記第1のキャンセラの複数の出力をそれぞれ差し引く第1群の減算器と、
    前記第1群の減算器の複数の出力を多重化して出力する多重化回路と、
    前記多重化回路の出力より前記第2のキャンセラの出力を差し引く第2の減算器と、
    を備え、
    前記第2の減算器の出力が、前記誤差信号として、前記第1及び第2のキャンセラに供給される、ことを特徴とする請求項6記載のキャンセラ装置。
  8. 前記第1のキャンセラは、前記複数のアナログ・ディジタル変換回路の出力に対応する複数の誤差信号を入力し、前記複数の誤差信号と前記ディジタル送信信号から、前記第1群の減算器に生成したレプリカをそれぞれ出力する複数入力複数出力型の適応フィルタよりなる、ことを特徴とする請求項7記載のキャンセラ装置。
  9. 前記補償範囲選択回路は、前記第2のキャンセラのタップ係数の値をソートし、前記第1のキャンセラで用意されている数のタップ係数まで、降順にタップを選択する、ことを特徴とする請求項6記載のキャンセラ装置。
  10. 前記補償範囲選択回路は、前記第2のキャンセラのタップ係数の値について予め定められた閾値と比較し、前記閾値を超えるタップに対応する、前記第1のキャンセラのタップを選択する、ことを特徴とする請求項6記載のキャンセラ装置。
  11. 前記第1のキャンセラと前記第2のキャンセラのそれぞれ構成する適応フィルタが、データを遅延させる遅延回路列を共有する、ことを特徴とする請求項6記載のキャンセラ装置。
  12. 前記第1の適応フィルタにおいて予め用意された複数のタップには、前記補償範囲選択回路で選択されたタップが割り振られる、ことを特徴とする請求項6記載のキャンセラ装置。
  13. 前記第1のキャンセラと前記第2のキャンセラとをそれぞれ構成する第1及び第2の適応フィルタとして、
    前記ディジタル送信信号を一時的に蓄積し遅延させて出力するデータメモリと、
    それぞれのタップ係数を格納した第1及び第2の係数メモリと、
    前記第1及び第2の係数メモリ、前記データメモリの読み出しアドレスを生成する読出しアドレス生成回路と、
    前記データメモリの出力と、前記第1及び第2の係数メモリの出力をそれぞれ乗算する第1及び第2の乗算器と、
    前記第1及び第2の乗算器の出力を累算する累算器と、
    を備え、
    前記第1及び第2の適応フィルタは、前記データメモリを共用する、ことを特徴とする請求項6記載のキャンセラ装置。
  14. 前記第2の適応フィルタにおいて、前記第2の係数メモリからは、非選択のタップに対応するタップ係数として、値0が、前記第2の乗算器に出力される、ことを特徴とする請求項13記載のキャンセラ装置。
  15. インタリーブ型アナログ・ディジタル変換回路のサンプリング位相ずれを補償する第1のキャンセラと、
    サンプリング位相ずれが補償されたあとの信号波形からノイズ信号をキャンセルする第2のキャンセラと、
    を備えている、ことを特徴とするキャンセラ装置。
  16. 全二重通信を行うデータ伝送システムの受信装置が、請求項1乃至15のいずれか一に記載のキャンセラ装置を備えた、ことを特徴とする受信装置。
  17. 受信装置が、請求項1乃至15のいずれか一に記載のキャンセラ装置を備えた、ことを特徴とするデータ伝送システム。
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