以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<電子写真感光体>
図1は、本発明の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2と、感光層3とから構成されている。感光層3は、導電性支持体2上に、下引層4、電荷発生層5及び電荷輸送層6がこの順序で積層された構造を有している。図1に示す電子写真感光体1では、電荷輸送層6が架橋構造を有する樹脂を含有する最表面層であり、かかる樹脂として少なくともジアリルフタレート化合物とアリル基を有する電荷輸送材料とを共重合成分として含有する共重合体を含む。
また、図2〜5はそれぞれ本発明の電子写真感光体の他の好適な実施形態を示す模式断面図である。図2〜3に示す電子写真感光体は、図1に示す電子写真感光体と同様に電荷発生層5と電荷輸送層6とに機能が分離された感光層3を備えるものである。また、図4〜5は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層8)に含有するものである。
図2に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、電荷発生層5、電荷輸送層6及び保護層7が順次積層された構造を有するものである。また、図3に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、電荷輸送層6、電荷発生層5、保護層7が順次積層された構造を有するものである。図2及び3に示す電子写真感光体1において、保護層7が架橋構造を有する樹脂を含有する最表面層であり、かかる樹脂として少なくともジアリルフタレート化合物及びアリル基を有する電荷輸送材料を共重合成分として含有する共重合体を含む。
また、図4に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、単層型感光層8が順次積層された構造を有するものであり、単層型感光層8が架橋構造を有する樹脂を含有する最表面層であり、かかる樹脂として少なくともジアリルフタレート化合物及びアリル基を有する電荷輸送材料を共重合成分として含有する共重合体を含む。
また、図5に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、単層型感光層8、保護層7が順次積層された構造を有するものであり、保護層7が架橋構造を有する樹脂を含有する最表面層であり、かかる樹脂として少なくともジアリルフタレート化合物及びアリル基を有する電荷輸送材料を共重合成分として含有する共重合体を含む。なお、電子写真感光体1においては、下引層4は必ずしも設けられなくともよい。
上記のように、本発明の電子写真感光体が備える感光層は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層に含有する単層型感光層、又は電荷発生材料を含有する層(電荷発生層)と電荷輸送材料を含有する層(電荷輸送層)とを別個に設けた機能分離型感光層のいずれであってもよい。機能分離型感光層の場合、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序はいずれが上層であってもよい。なお、機能分離型感光層の場合、それぞれの層がそれぞれの機能を満たせばよいという機能分離ができるため、より高い機能を実現できる。
以下、代表例として図2に示す電子写真感光体1に基づいて、各要素について説明する。
導電性支持体2としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、金属ベルト等が挙げられる。また、導電性支持体2としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等も使用できる。
導電性支持体2の表面は、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、中心線平均粗さRaで0.04μm〜0.5μmに粗面化することが好ましい。導電性支持体2の表面のRaが0.04μm未満であると、鏡面に近くなるので干渉防止効果が不十分となる傾向がある。他方、Raが0.5μmを越えると、被膜を形成しても画質が不十分となる傾向がある。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、導電性支持体2表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、又は回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が好ましい。
粗面化の方法としては、導電性支持体2表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる微粒子により粗面化する方法も好ましく用いられる。
上記陽極酸化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は、化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行う。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3〜15μmが好ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
また、導電性支持体2には、酸性水溶液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調整する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10〜11質量%の範囲、クロム酸が3〜5質量%の範囲、フッ酸が0.5〜2質量%の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5〜18質量%の範囲が好ましい。処理温度は42〜48℃が好ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚は、0.3〜15μmが好ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
ベーマイト処理は、90〜100℃の純水中に5〜60分間浸漬すること、又は90〜120℃の加熱水蒸気に5〜60分間接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚は、0.1〜5μmが好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
下引層4は、導電性支持体2上に形成される。下引層4は、有機金属化合物及び/又は結着樹脂を含有して構成される。
有機金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等の有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等が挙げられる。
有機金属化合物としては、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、特に有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物が好ましく使用される。
結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知のものが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、下引層4には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させてもよい。
また、下引層4中には、低残留電位化や環境安定性の観点から、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、酸化亜鉛又は酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。
また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、結着樹脂等で表面処理してもよい。
電子輸送性顔料は多すぎると下引層4の強度を低下させ、塗膜欠陥の原因となるため、下引層4の固形分全量を基準として好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下で使用される。
また、下引層4には、電気特性の向上や光散乱性の向上等の目的により、各種の有機化合物の微粉末若しくは無機化合物の微粉末を添加することが好ましい。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が有効である。
添加微粉末の粒径は、0.01〜2μmのものが好ましい。微粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引層4の固形分全量を基準として、10〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。
下引層4は上述した各構成材料を含有する下引層形成用塗布液を用いて形成される。下引層形成用塗布液に使用される有機溶剤としては、有機金属化合物や結着樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合及び/又は分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常のものが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
各構成材料の混合及び/又は分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、振動ボールミル、コロイドミル、ペイントシェーカー超音波等を用いる常法が適用される。混合及び/又は分散は有機溶剤中で行われる。
下引層4を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
乾燥は、通常、溶剤を蒸発させ、成膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った導電性支持体2は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引層4を形成することが好ましい。
下引層4の膜厚は、好ましくは0.01〜30μm、より好ましくは0.05〜30μm、さらに好ましくは0.1〜30μm、特に好ましくは0.2〜25μmである。
電荷発生層5は、電荷発生材料、さらには必要に応じて結着樹脂を含んで構成される。
電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や三方晶セレン、酸化亜鉛等の無機顔料等公知のものを使用することができる。電荷発生材料としては、特に、380〜500nmの露光波長の光源を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料、三方晶セレン、ジブロモアントアントロン等が好ましい。その中でも、特開平5−263007号公報及び特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報及び特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報及び特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。
結着樹脂としては、好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層5は、電荷発生材料を蒸着により、又は電荷発生材料及び結着樹脂を含有する電荷発生層形成用塗布液により形成される。電荷発生層5を電荷発生層形成用塗布液を用いて形成する場合、電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。
電荷発生層形成用塗布液に、上記各構成材料を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができる。この際、分散によって顔料の結晶型が変化しない条件が必要とされる。さらにこの分散の際、粒子を好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層形成用塗布液を用いて電荷発生層5を形成する際には、塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷発生層5の膜厚は、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2.0μmである。
電荷輸送層6は、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して構成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、電荷輸送材料としては、モビリティーの観点から、下記一般式(CT−a)、(CT−b)又は(CT−c)で示される化合物が好ましい。
ここで、上記式(CT−a)中、R
3は、水素原子又はメチル基を、kは1又は2を、Ar
1及びAr
2はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基、−C
6H
4−C(R
4)=C(R
5)(R
6)、又は−C
6H
4−CH=CH−CH=C(Ar)
2を表し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。また、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を、Arは置換又は未置換のアリール基を示す。
ここで、上記式(CT−b)中、R
7及びR
7’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を、R
8、R
8’、R
9及びR
9’はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C
6H
4−C(R
10)=C(R
11)(R
12)、又は、−C
6H
4−CH=CH−CH=C(Ar)
2を、R
10、R
11及びR
12はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を、Arは置換又は未置換のアリール基を示す。m及びnはそれぞれ独立に0〜2の整数を示す。
ここで、上記式(CT−c)中、R
13は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリール基、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)
2を示す。Arは、置換又は未置換のアリール基を示す。R
14、R
14’、R
15’、及びR
15はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。
電荷輸送層6に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1〜1:5が好ましい。
高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましいものである。
高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層6の構成材料として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層6は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。
電荷輸送層形成用塗布液の溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは1種を単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層6の膜厚は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
感光層3には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、又は光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、感光層3には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
保護層7は、本実施形態の電子写真感光体では、架橋構造を有する樹脂を含有する最表面層である。更に、かかる樹脂は、ジアリルフタレート化合物と、アリル基を有する電荷輸送材料とを共重合成分として含有する共重合体である。
上記のジアリルフタレート化合物としては、例えば、下記一般式(IV)で示される化合物を挙げることができる。
ここで、式(IV)中、R
16は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基或いはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、水酸基、カルボキシル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子を表す。
上記一般式(IV)のベンゼン環におけるアリルエステル基の置換位置は、オルト位、メタ位およびパラ位のいずれであってもよいが、電荷輸送材料との相溶性および耐摩耗性の観点から、メタ位であることがより好ましい。
共重合成分として含まれる上記ジアリルフタレート化合物は、1種であってもよく、又は2種以上であってもよい。
また、共重合成分として含まれる上記ジアリルフタレート化合物として、ジアリルフタレート化合物のオリゴマー又はプレポリマー(ジアリルフタレートプレポリマー)が挙げられる。これらのオリゴマー及びプレポリマーは、上記したジアリルフタレート化合物とともに共重合体成分として含有されることが好ましい。これにより保護層7は、形成時の成膜性に優れ、その膜厚の制御が容易なものとなる。
ジアリルフタレートプレポリマーの重量平均分子量は、50000以下であることが好ましく、40000以下であることがより好ましい。かかる重量平均分子量が50000以下であれば、後述する、保護層を形成するための塗布液を調製する際に有機溶剤への溶解が容易となる。
上記のアリル基を有する電荷輸送材料としては、例えば、下記一般式(I)で示される化合物が挙げられる。
F−[(Z)n1G]n2 …(I)
ここで、式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Zはアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを、Gはアリル基を、n1は0又は1を、n2は1〜4の整数を示す。また、Zがアルキレン基である場合、その炭素数は1〜15が好ましく、1〜10がより好ましい。
上記一般式(I)で示される化合物における正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基Fとしては、下記一般式(V)で示される化合物が好ましい。
ここで、上記式(V)中、Ar
1、Ar
2、Ar
3及びAr
4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、Ar
5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、且つAr
1〜Ar
5のうち1〜4個は、上記式(I)で示される化合物における−[(Z)
n1G]、で示される部位と結合手を有する。
一般式(V)で示される化合物におけるAr1〜Ar4で示される置換又は未置換のアリール基としては、具体的には、下記式(V−1)〜(V−7)に示されるアリール基が好ましい。
上記式(V−7)で示されるアリール基におけるArとしては、下記式(V−8)又は(V−9)で示されるアリール基が好ましい。
また、上記式(V−7)で示されるアリール基におけるZとしては、下記式(V−10)〜(V−17)で示される2価の基が好ましい。
ここで、上記式(V−1)〜(V−17)中、R6は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を、R7〜R13はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基又はハロゲン原子を、m及びsはそれぞれ独立に0又は1を、q及びrはそれぞれ独立に1〜10の整数を、tはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。
また、上記式(V−1)〜(V−7)中、Xは上記式(I)で示される化合物における−[(Z)n1G]で示される部位を示す。
また、上記式(V−16)〜(V−17)中、Wは下記式(V−18)〜(V−26)で示される2価の基を示す。なお、式(V−25)中、uは0〜3の整数を示す。
また、上記一般式(V)におけるAr5の具体的構造としては、k=0の時は上記Ar1〜Ar4の具体的構造におけるm=1の構造が、k=1の時は上記Ar1〜Ar4の具体的構造におけるm=0の構造が挙げられる。
上記一般式(I)で示されるアリル基を有する化合物の具体例としては、下記化合物(I−1)〜(I−40)、を挙げることができる。
保護層7中に含まれる、架橋構造を有する樹脂の共重合成分としてのアリル基を有する電荷輸送材料は、保護層全体の質量を100質量部とした場合、上記したアリル基を有する電荷輸送材料の質量に換算して、20〜70質量部であることが好ましく、30〜60質量部であることがより好ましい。
また、保護層7には、保護層の平滑性や耐傷性、電気特性などの物性を制御するために、さらに下記一般式(II)で示される電荷輸送材料を含有させることが好ましい。
F−[D−Si(R1)(3−a)Qa]b …(II)
ここで、式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Dは可とう性を有する2価の基を、R1は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、aは1〜3の整数を、bは1〜4の整数を示す。
また、上記可とう性を有する2価の基Dとしては、具体的には、光電特性を付与するためのFの部位と、3次元的な無機ガラス質ネットワークの構築に寄与する置換ケイ素基とを結びつける働きを担う2価の基である。また、Dは、堅い反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークの部分に適度な可とう性を付与し、膜としての機械的強靱さを向上させる働きを担う有機基構造を表す。Dとして具体的には、−CαH2α−、−CβH2β−2−、−CγH2γ−4−で表わされる2価の炭化水素基(ここで、αは1〜15の整数を表し、βは2〜15の整数を表し、γは3〜15の整数を表す)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C6H4−、−N=CH−、−(C6H4)−(C6H4)−、及び、これらの特性基を任意に組み合わせた構造を有する特性基、更にはこれらの特性基の構成原子を他の置換基と置換したもの等が挙げられる。また、上記加水分解性基Qとしては、アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜15のアルコキシ基がより好ましい。
保護層7における上記一般式(II)の電荷輸送材料の含有量は、上記共重合体の共重合体成分として含有される一般式(I)で示される電荷輸送材料と、一般式(II)で示される電荷輸送材料との合計量に対して、0.1〜50質量%の割合であることが好ましく、0.1〜20質量%の割合であることがより好ましい。一般式(II)の電荷輸送材料の含有割合が0.1質量%に満たない場合は、耐傷性を向上させる効果が得られ難くなる傾向にあり、他方、50質量%を越える場合は、電気特性に悪影響を与えたり、光透過性が不良となったり、均一な硬化ができなかったり、塗膜表面の平滑性が失われる傾向がある。
また、上記一般式(II)で示される電荷輸送材料としては、より具体的には、下記化合物(III−1)〜(III−61)が挙げられる。なお、下記化合物(III−1)〜(III−61)は、一般式(V)で示される化合物のAr1〜Ar5及びkを下記の表に示されるように組み合わせ、且つ、アルコキシシリル基(s)を下記の表に示される特定のものとしたものである。
また、保護層7には、残留電位を下げるために導電性粒子を添加してもよい。導電性粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも、金属又は金属酸化物がより好ましい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は保護層7の透明性の観点から、0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。
また、保護層7には、保護層7の強度、膜抵抗等の種々の物性をコントロールするために、下記一般式(XII−1)で示される化合物を添加することもできる。
Si(R30)(4−c)Qc (XII−1)
ここで、式(XII−1)中、R30は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、cは1〜4の整数を示す。
上記一般式(XII−1)で示される化合物の具体例としては、以下のようなシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の四官能性アルコキシシラン(c=4);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の三官能性アルコキシシラン(c=3);ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等の二官能性アルコキシシラン(c=2);トリメチルメトキシシラン等の1官能アルコキシシラン(c=1)等を挙げることができる。膜の強度を向上させるためには3及び4官能のアルコキシシランが好ましく、可とう性、成膜性を向上させるためには1及び2官能のアルコキシシランが好ましい。
また、主にこれらのカップリング剤より作製されるシリコン系ハードコート剤も用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、及びAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。
また、保護層7には、その強度を高めるために、一般式(XII−2)に示すような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも好ましい。
B−(Si(R31)(3−d)Qd)2 (XII−2)
ここで、式(VII−2)中、Bは2価の有機基を、R31は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、aは1〜3の整数を示す。
上記一般式(XII−2)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(XII−2−1)〜(XII−2−16)が好ましいものとして挙げることができる。
また、保護層7には、ポットライフの延長、膜特性のコントロール、トルク低減、塗布膜表面の均一性向上のため、下記一般式(XII−3)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物、若しくはその化合物からの誘導体を含有させることもできる。
ここで、式(XII−3)中、A
1及びA
2は、それぞれ独立に一価の有機基を示す。
上記一般式(XII−3)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物としては、市販の環状シロキサンを挙げることができる。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素原子含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等を挙げることができる。これらの環状シロキサン化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
更に、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬度等を制御するために、各種微粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、2種以上を併用してもよい。
微粒子の一例として、ケイ素原子含有微粒子を挙げることができる。ケイ素原子含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素原子含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径が好ましくは1〜100nm、より好ましくは10〜30nmであり、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、或いはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。保護層7中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性、電気特性、強度の面から保護層7の固形分全量を基準として好ましくは0.1〜50質量%の範囲、より好ましくは0.1〜30質量%の範囲で用いられる。
ケイ素原子含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状で、平均粒子径が好ましくは1〜500nm、より好ましくは10〜100nmであり、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子及びシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。
シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。保護層7中のシリコーン微粒子の含有量は、保護層7の固形分全量を基準として好ましくは0.1〜30質量%の範囲であり、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。
また、その他の微粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や”第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される様な、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物を挙げることができる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。これらは、保護層形成用塗布液に予め添加してもよいし、感光体を作製後、減圧、或いは加圧下等で含浸処理してもよい。
また、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。保護層7にはヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することができ、環境変動時の電位安定性・画質の向上に効果的である。
酸化防止剤としては以下のような化合物が挙げられる。例えば、ヒンダートフェノール系としては、「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」以上住友化学社製、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」以上チバスペシャリティーケミカルズ社製、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」以上旭電化製。ヒンダートアミン系としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」、「スミライザーTPS」、チオエーテル系としては、「スミライザーTP−D」、ホスファイト系としては、「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」が挙げられ、特にヒンダートフェノール、ヒンダートアミン系酸化防止剤が好ましい。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋反応可能な例えばアルコキシシリル基等の置換基で変性してもよい。
また、保護層7には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を含有させてもよい。この場合、絶縁性樹脂は、所望の割合で添加することができ、これにより、電荷輸送層6との接着性、ハジキによる塗布膜欠陥等を抑制することができる。
保護層7は、上述した構成材料を含有する保護層形成用塗布液を、電荷輸送層6上に塗布して硬化させることで形成される。以下、保護層7の形成方法について説明する。
まず、保護層形成用塗布液を調製する。保護層形成用塗布液は、上記したジアリルフタレート化合物、上記したアリル基を有する電荷輸送材料及び架橋剤と、必要に応じて上述の保護層の構成材料とを所定の有機溶剤に溶解することにより得ることができる。なお、保護層7に、上記一般式(II)で示される電荷輸送材料、上記一般式(VI−1)〜(VI−3)で示される化合物を含有させる場合には、先ず、これらの化合物を所定の溶媒中で、イオン交換樹脂の存在下で加水分解し、続いて反応後の溶液を濾過してイオン交換樹脂を除いたろ液を得る。そして、このろ液と、上記したジアリルフタレート化合物、上記したアリル基を有する電荷輸送材料、架橋剤、必要に応じて上述の保護層の構成材料、及び所定の有機溶剤とを混合することにより保護層形成用塗布液を得ることができる。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の他、種々の溶媒が使用できる。なお、電子写真感光体の生産に一般的に使用されるディップコーティング法を適用するためには、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましい。また、使用される溶媒の沸点は50〜150℃のものが好ましく、それら任意に混合して使用することができる。
なお、溶剤としてアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましいことから、保護層7の形成に使用される上記したジアリルフタレート化合物、上記したアリル基を有する電荷輸送材料、及びその他の構成材料は、それらの溶剤に可溶であることが好ましい。
また、溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると構成材料が析出しやすくなるため、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計1質量部に対し好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部とすることが好ましい。
上記架橋剤は、熱又は光によってラジカルを発生し、上記したジアリルフタレート化合物及び上記したアリル基を有する電荷輸送材料の重合反応を開始できるものであればよい。
本実施形態においては、有機過酸化物を用いることが特に好ましい。有機過酸化物を架橋剤として用いることによって、架橋密度の十分高い共重合体を含有する最表面層をより好ましい条件で形成可能となる。すなわち、熱重合によって十分な架橋密度を有する共重合体を最表面層において形成することが可能となる。したがって、一般の活性光線を照射して最表面層を形成する場合に比べてラジカル濃度が高くなることを防ぎ、電荷輸送成分の劣化あるいは分解を低減することが可能となる。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルーパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカルボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエートが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機過酸化物は、塗布液中で遊離ラジカルを発生するため、有機過酸化物を添加した塗布液の保管においては保管温度等を管理することが好ましい。塗布液の保管温度は、例えば、10〜40℃の範囲であることが好ましい。また、塗布液を使用する前に60℃以上の熱を加えることは、塗布液の粘度増加などの弊害を招く傾向にあるため極力避けることが好ましい。
更に、上記有機過酸化物の1時間半減期温度T1/2が、100〜150℃であることが好ましい。
ここで、「有機過酸化物の1時間半減期温度T1/2」とは、0.1mol/Lの有機過酸化物が、ベンゼン又はトルエン中において、1時間でその半量が分解する温度のことを意味する。なお、有機過酸化物の溶解性が低く、0.1mol/Lの溶液を調整できない場合や、濃度が濃すぎて正確な半減期温度が求めにくい場合には、0.05mol/Lの有機過酸化物が、ベンゼン又はトルエン中において、1時間でその半量が分解する温度を代用する。
T1/2が上記範囲内である有機過酸化物を用いることにより、通常感光体を製造する際の乾燥温度条件(特には、100〜150℃)で機械的強度及び電子写真特性に優れた最表面層を形成することが可能となり、高温をかけすぎることによる下地の劣化によって露光後の残留電位が高くなることを抑制できる。さらには、上記T1/2を有する有機過酸化物を用いることにより、最表面層形成用塗布液のポットライフを十分に確保できる。
上記T1/2が100℃未満であると、塗布液のポットライフが短くなり、長期間保管した塗布液から形成された感光体は長期に亘って高画質を得ることが困難となる傾向にある。一方、上記T1/2が、150℃を超えると、生産性及び感光体への熱の影響を考慮した通常の温度条件(特には、100〜150℃)で機械的強度及び電子写真特性に優れた最表面層を形成することが困難となる。
更に、有機過酸化物の1時間半減期温度T1/2が110〜140℃の範囲内である過酸化物を用いることが特に好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(T1/2=118.4℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(T1/2=124.7℃)、ジクミルパーオキシド(T1/2=135.7℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン(T1/2=114.0℃)などが挙げられる(なお、T1/2の数値は、日本油脂株式会社有機過酸化物(第5版)から引用)。
塗布液における架橋剤の含有量は、上記したジアリルフタレート化合物及びアリル基を有する電荷輸送材料の合計100質量部に対して0.1〜10.0質量部であることが好ましい。かかる含有量が、0.1質量部未満であると、十分な架橋密度を有する共重合体が形成され難くなる傾向にあり、一方、10.0質量部を超えると、得られる感光体の電子写真特性の低下を招く傾向にある。
また、塗布液中におけるジアリルフタレート化合物及びアリル基を有する電荷輸送材料の含有量については、ジアリルフタレート化合物100質量部に対して、アリル基を有する電荷輸送材料が20〜80質量部であることが好ましく、30〜60質量部であることがより好ましい。
保護層形成用塗布液を用いて保護層7を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。なお、複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
電荷輸送層6上に保護層形成用塗布液を塗布した後、硬化処理を行う。本実施形態においては、硬化処理を熱により行うことが好ましい。硬化の際の硬化温度としては、100〜170℃が好ましく、100〜150℃がより好ましく、100〜140℃が更に好ましい。また、硬化時間は、30分〜2時間が好ましく、30分〜1時間がより好ましい。また、硬化は、空気雰囲気下でも窒素雰囲気下でも行うことができる。
硬化温度が、170℃よりも高くなると、熱の影響による感光体の下地の劣化によって露光後の残留電位が高くなる傾向にあり、一方、硬化温度が、100℃未満であると、感光体の生産性が低下したり、機械的強度及び電気特性に十分優れる保護層が形成され難くなる傾向にある。
なお、硬化温度、硬化時間を上記の好適な範囲にするためには、例えば、上記した有機過酸化物の種類を適宜選択することにより可能である。
保護層7の膜厚は、0.5〜15μmが好ましく、1〜10μmがさらに好ましく、1〜5μmがより好ましい。
なお、本実施形態において、本発明に係る架橋構造を有する樹脂を含有する最表面層は、例えば、図1に示す電子写真感光体においては電荷輸送層6とすることもできる。
また、単層型感光層を構成する場合、単層型感光層は、電荷発生材料と結着樹脂を含有して形成される。電荷発生材料としては機能分離型感光層における電荷発生層に使用されるものと同様のものを、結着樹脂としては機能分離型感光層における電荷発生層及び電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生材料の含有量は、単層型感光層における固形分全量を基準として好ましくは10〜85質量%、より好ましくは20〜50質量%である。単層型感光層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送材料や高分子電荷輸送材料を添加してもよい。その添加量は単層型感光層における固形分全量を基準として5〜50質量%とすることが好ましい。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いることができる。単層型感光層の膜厚は、5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとすることがさらに好ましい。
また、図4に示される電子写真感光体1のように単層型感光層8が最表面層となる場合、この層にジアリルフタレート化合物及びアリル基を有する電荷輸送材料を共重合成分として含有する架橋構造を有する樹脂が含まれる。この単層型感光層8は、電荷発生材料、電荷輸送材料、ジアリルフタレート化合物、アリル基を有する電荷輸送材料、架橋剤、及び必要に応じその他の材料を含有する塗布液を用い、図2に示される電子写真感光体1の保護層7と同様にして形成することができる。
(画像形成装置)
図6は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す模式図である。図6に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体(図示せず)に、電子写真感光体1を備えるプロセスカートリッジ20と、露光装置30と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置30はプロセスカートリッジ20の開口部から電子写真感光体1に露光可能な位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体1に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体1に当接可能に配置されている。
プロセスカートリッジ20は、ケース内に電子写真感光体1とともに帯電装置21、現像装置25、クリーニング装置27及び繊維状部材(歯ブラシ形状)29を、取り付けレールにより組み合わせて一体化したものである。なお、ケースには、露光のための開口部が設けられている。
ここで、帯電装置21は、電子写感光体1を接触方式により帯電させるものである。また、現像装置25は、電子写真感光体1上の静電潜像を現像してトナー像を形成するものである。
以下、現像装置25に使用されるトナーについて説明する。かかるトナーとしては、平均形状係数(ML2/A)が100〜150であることが好ましく、100〜140であることがより好ましい。さらに、トナーとしては、平均粒子径が2〜12μmであることが好ましく、3〜12μmであることがより好ましく、3〜9μmであることがさらに好ましい。このような平均形状係数及び平均粒子径を満たすトナーを用いることにより、高い現像、転写性、及び高画質の画像を得ることができる。
トナーは、上記平均形状係数及び平均粒子径を満足する範囲のものであれば特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法を使用することができる。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤及び離型剤からなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含有して構成される。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることもできる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが好ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置25に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
現像装置25に用いるトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用できる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用して使用できる。但し、平均粒径としては0.1〜10μmの範囲が好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は好ましくは0.05〜2.0質量%、より好ましくは0.1〜1.5質量%の範囲である。
現像装置25に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子等を加えることができる。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機微粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも好ましく使用される。
有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
粒子径としては、平均粒子径で好ましくは5nm〜1000nm、より好ましくは5nm〜800nm、さらに好ましくは5nm〜700nmでのものが使用される。平均粒子径が、上記下限値未満であると、研磨能力に欠ける傾向があり、他方、上記上限値を超えると、電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなる傾向がある。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが好ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために好ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
クリーニング装置27は、繊維状部材(ロール形状)27aと、クリーニングブレード27bとを備える。
クリーニング装置27は、繊維状部材27a及びクリーニングブレード27bが設けられているが、クリーニング装置としてはどちらか一方を備えるものでもよい。繊維状部材27aとしては、ロール形状の他に歯ブラシ状としてもよい。また、繊維状部材27aは、クリーニング装置本体に固定してもよく、回転可能に支持されていてもよく、さらに感光体軸方向にオシレーション可能に支持されていてもよい。繊維状部材27aとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリル等や、トレシー(東レ社製)等の極細繊維からなる布状のもの、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維を基材状又は絨毯状に植毛したブラシ状のもの等を挙げることができる。また、繊維状部材27aとしては、上述したものに、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与したり、繊維一本一本の内部又は外部に導電層が形成されたもの等を用いることもできる。導電性を付与した場合、その抵抗値としては繊維単体で102〜109Ωのものが好ましい。また、繊維状部材27aの繊維の太さは、好ましくは30d(デニール)以下、より好ましくは20d以下であり、繊維の密度は好ましくは2万本/inch2以上、より好ましくは3万本/inch2以上である。
クリーニング装置27には、クリーニングブレード、クリーニングブラシで感光体表面の付着物(例えば、放電生成物)を除去することが求められる。この目的を長期に渡って達成すると共にクリーニング部材の機能を安定化させるために、クリーニング部材には、金属石鹸、高級アルコール、ワックス、シリコーンオイルなどの潤滑性物質(潤滑成分)を供給することが好ましい。
例えば、繊維状部材27aとしてロール状のものを用いる場合、金属石鹸、ワックス等の潤滑性物質と接触させ、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することが好ましい。クリーニングブレード27bとしては、通常のゴムブレードが用いられる。このようにクリーニングブレード27bとしてゴムブレードを使用する場合には、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することは、ブレードの欠けや磨耗を抑制することに特に効果的である。
以上説明したプロセスカートリッジ20は、画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
露光装置30としては、帯電した電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成させるものであればよい。また、露光装置30の光源としては、マルチビーム方式の面発光レーザーを用いることが好ましい。
転写装置40としては、電子写真感光体1上のトナー像を被転写媒体(中間転写体50)に転写するものであればよく、例えば、ロール形状の通常使用されるものが使用される。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いることもできる。
なお、本発明の電子写真感光体を使用する際には、プリント用紙からの紙粉やタルク等が発生し、それが電子写真感光体へ付着しやすく、また本発明の電子写真感光体は耐磨耗性が高いため、紙粉やタルク等の除去が困難である。したがって、紙粉やタルク等の付着を防止し、安定した画像を得るために、中間転写体50を用いることが好ましい。
なお、本発明でいう被転写媒体とは、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体1から直接、紙等に転写する場合は紙等が被転写媒体であり、また、中間転写体50を用いる場合には中間転写体が被転写媒体になる。
図7は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。図7に示す画像形成装置110は、電子写真感光体1が画像形成装置本体に固定され、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されており、それぞれ帯電カートリッジ、現像カートリッジ、クリーニングカートリッジとして独立して備えられている。なお、帯電装置22は、コロナ放電方式により帯電させる帯電装置を備えている。
画像形成装置110においては、電子写真感光体1とそれ以外の各装置が分離されており、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27が画像形成装置本体にビス、かしめ、接着又は溶接により固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能である。
本発明の電子写真感光体は耐磨耗性に優れるため、カートリッジ化することが不要となる場合がある。したがって、帯電装置22、現像装置25又はクリーニング装置27をそれぞれ本体にビス、かしめ、接着又は溶接により固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能な構成とすることで、1プリント当りの部材コストを低減することができる。また、これらの装置のうち2つ以上を一体化したカートリッジとして着脱可能とすることもでき、それにより1プリント当りの部材コストをさらに低減することができる。
なお、画像形成装置110は、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されている以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図8は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ20を4つ搭載したタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ20がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用できる構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
タンデム方式の画像形成装置120では、各色の使用割合により各電子写真感光体の磨耗量が異なってくるために、各電子写真感光体の電気特性が異なってくる傾向がある。これに伴い、トナー現像特性が初期の状態から除々に変化してプリント画像の色合いが変化し、安定な画像を得ることができなくなる傾向にある。特に、画像形成装置を小型化するために、小径の電子写真感光体が使用される傾向にあり、30mmΦ以下のものを用いたときにはこの傾向が顕著になる。ここで、電子写真感光体に、本発明の電子写真感光体の構成を採用すると、その直径を30mmΦ以下とした場合にもその表面の磨耗が十分に抑制される。したがって、本発明の電子写真感光体は、タンデム方式の画像形成装置に対して特に有効である。
図9は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。図9に示した画像形成装置130は、1つの電子写真感光体で複数の色のトナー画像を形成させる、所謂4サイクル方式の画像形成装置である。画像形成装置130は、駆動装置(図示せず)により所定の回転速度で図中の矢印Aの方向に回転される感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の上方には、感光体ドラム1の外周面を帯電させる帯電装置22が設けられている。
また、帯電装置22の上方には面発光レーザーアレイを露光光源として備える露光装置30が配置されている。露光装置30は、光源から射出される複数本のレーザービームを、形成すべき画像に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、感光体ドラム1の外周面上を感光体ドラム1の軸線と平行に走査させる。これにより、帯電した感光体ドラム1の外周面上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム1の側方には現像装置25が配置されている。現像装置25は回転可能に配置されたローラ状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器25Y,25M,25C,25Kが設けられている。現像器25Y,25M,25C,25Kは各々現像ローラ26を備え、内部に各々Y,M,C,Kの色のトナーを貯留している。
画像形成装置130でのフルカラーの画像の形成は、感光体ドラム1が4回転する間に行われる。すなわち、感光体ドラム1が4回転する間、帯電装置22は感光体ドラム1の外周面の帯電、露光装置20は、形成すべきカラー画像を表すY,M,C,Kの画像データのうちの何れかに応じて変調したレーザービームを感光体ドラム1の外周面上で走査させることを、感光体ドラム1が1回転する毎にレーザービームの変調に用いる画像データを切替えながら繰り返す。また現像装置25は、現像器25Y,25M,25C,25Kの何れかの現像ローラ26が感光体ドラム1の外周面に対応している状態で、外周面に対応している現像器を作動させ、感光体ドラム1の外周面に形成された静電潜像を特定の色に現像し、感光体ドラム1の外周面上に特定色のトナー像を形成させることを、感光体ドラム1が1回転する毎に、静電潜像の現像に用いる現像器が切り替わるように収容体を回転させながら繰り返す。これにより、感光体ドラム1が1回転する毎に、感光体ドラム1の外周面上には、Y,M,C,Kのトナー像が互いに重なるように順次形成されることになり、感光体ドラム1が4回転した時点で感光体ドラム1の外周面上にフルカラーのトナー像が形成されることになる。
また、感光体ドラム1の略下方には無端の中間転写ベルト50が配設されている。中間転写ベルト50はローラ51,53,55に巻掛けられており、外周面が感光体ドラム1の外周面に接触するように配置されている。ローラ51,53,55は図示しないモータの駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト50を図1矢印B方向に回転させる。
中間転写ベルト50を挟んで感光体ドラム1の反対側には転写装置(転写器)40が配置されており、感光体ドラム1の外周面上に形成されたトナー像は転写装置40によって中間転写ベルト50の画像形成面に転写される。
また、感光体ドラム1を挟んで現像装置25の反対側には、感光体ドラム1の外周面に潤滑剤供給装置29及びクリーニング装置27が配置されている。感光体ドラム12の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト50に転写されると、潤滑剤供給装置29により感光体ドラム1の外周面に潤滑剤が供給され、当該外周面のうち転写されたトナー像を担持していた領域がクリーニング装置27により清浄化される。
中間転写ベルト50よりも下方側にはトレイ60が配置されており、トレイ60内には記録材料としての用紙Pが多数枚積層された状態で収容されている。トレイ60の左斜め上方には取り出しローラ61が配置されており、取り出しローラ61による用紙Pの取り出し方向下流側にはローラ対63、ローラ65が順に配置されている。積層状態で最も上方に位置している記録紙は、取り出しローラ61が回転されることによりトレイ60から取り出され、ローラ対63、ローラ65によって搬送される。
また、中間転写ベルト50を挟んでローラ55の反対側には転写装置42が配置されている。ローラ対63、ローラ65によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト50と転写器42の間に送り込まれ、中間転写ベルト50の画像形成面に形成されたトナー像が転写装置42によって転写される。転写装置42よりも用紙Pの搬送方向下流側には、定着ローラ対を備えた定着装置44が配置されており、トナー像が転写された用紙Pは、転写されたトナー像が定着装置44によって溶融定着された後に画像形成装置130の機体外へ排出され、排紙トレイ(図示せず)上に載置される。
1…電子写真感光体、2…導電性支持体、3…感光層、4…下引層、5…電荷発生層、6…電荷輸送層、7…保護層、8…単層型感光層、20…プロセスカートリッジ、100,110,120,130…画像形成装置。