JP2006177471A - 内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンク - Google Patents

内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンク Download PDF

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Abstract

【課題】ロアリンク4における貫通孔とならない雌ねじ部41での応力集中を回避する。
【解決手段】複リンク式ピストンクランク機構を構成するロアリンク4は、クランクピンへの組立性のために、クランクピン軸受部21の中心を通る分割面に沿って、ロアリンクアッパ31とロアリンクロアとに分割構成される。両者を締結する一方のボルト33は、ロアリンクアッパ31の雌ねじ部41に螺合するが、雌ねじ部41は貫通孔とならず、応力集中の懸念があるため、ボルト33の先端に対応して、雌ねじ部41底部に、ボルト33外径よりも半径方向に拡大した中空溝42が形成され、ここにボルト33先端が突出する。中空溝42は、ボルト33の中心線よりもクランクピン軸受部21と反対側へ大きく拡がっており、アッパピン用ピンボス部からの大きな荷重F2による荷重の流れを、雌ねじ部41のねじ山41aから離し、応力集中を回避する。
【選択図】図3

Description

この発明は、レシプロ式内燃機関のピストンクランク機構、特に複リンク式のピストンクランク機構を構成するリンクに関する。
レシプロ式内燃機関のピストンピンとクランクピンとの間を複リンク式のピストンクランク機構で連結した従来技術として、本出願人が先に提案した特許文献1等が公知となっている。これは、ピストンのピストンピンに連結されるアッパリンクと、このアッパリンクとクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、を備えている。そして、上記アッパリンクと上記ロアリンクとは、アッパピンを介して互いに回転可能に連結され、上記コントロールリンクと上記ロアリンクとは、コントロールピンを介して互いに回転可能に連結されている。
このような複リンク式のピストンクランク機構におけるロアリンクは、ピストンが受けた燃焼圧力をアッパリンクを介してアッパピンより受け取り、コントロールピンを支点とする一種の”てこ”のような動作でクランクピンに力を伝達する。従って、ロアリンクは、アッパピン、コントロールピンおよびクランクピンを、それぞれ回転可能に保持しつつ、各ピンから入力を受けた際にもこれらの位置関係を保つだけの強度・剛性が必要である。
一方、ロアリンクは、クランクシャフトに対する組み立て性を確保する必要があるので、上記特許文献1においては、クランクピン軸受部の中心を通る分割面に沿って、2つの半割部つまりロアリンクアッパとロアリンクロアとに分割構成し、両者を複数のボルトにて互いに締結するようにしている。特に、複数のボルトを下方つまりロアリンクロア側から挿入し、ロアリンクアッパ側の雌ねじに螺合させるようにしている。
また、特許文献2は、ねじ孔が貫通孔とならない場合の雌ねじ部の応力集中を緩和するために、雌ねじ部つまりねじ孔の底部に、半径方向に径を拡大した中空溝を形成することを開示している。
特開2004−124776号公報 特開平8−200338号公報
上記のような従来のロアリンクにおいて、アッパリンクを連結するアッパピン用ピンボス部は、潤滑性確保のためにアッパピン軸方向中央部を支持するように構成されて、アッパリンク側の二股状ピンボス部と組み合わされる場合がある。従って、この場合は、アッパピン用ピンボス部に向かって下方から挿入されるボルトに対するねじ孔は、貫通孔とならず、雌ねじ部での応力集中の問題がある。
特に、ロアリンクはピストンからの燃焼荷重をアッパリンクを経由してクランクピンに伝達したり、クランクピンからの回転力をピストンの往復動に変換する役割を担ったりするために、燃焼荷重と慣性力により最大で数トンの巨大な荷重を受ける。従ってロアリンクのねじ締結部分の強度・剛性を確保するには非常に高度な技術が要求される。
図6の参考図には、矢印F1,F2,F3でもって、爆発燃焼時に、クランクピン、アッパピン、コントロールピンからそれぞれロアリンクに入力される力の方向を示しており、排気行程時には、これらと逆方向の力を受ける。従って、アッパピン用ピンボス部側でロアリンクアッパ101とロアリンクロア102とを締結する一方のボルト105が螺合する雌ねじ106には、常に締結による図中下向きの大きな荷重が入力されると同時に、交互に方向が変化する荷重振幅を受けるため、疲労破壊が生じやすい。また、爆発燃焼時には、雌ねじ106のボルト中心線よりも外側つまりクランクピン軸受部と反対側の部分に大きな荷重が作用するとともに、ボルト中心線よりもクランクピン軸受部側の部分ではほぼ逆方向の荷重が作用し、かつ雌ねじ106全体として反時計回り方向にモーメントを受けるので、雌ねじ106のクランクピン軸受部と反対側の部分での強度確保は非常に厳しいものとなる。
上記特許文献2の技術は、単純に軸方向に作用する荷重のみを考慮して、ねじ孔の底部に、ボルト中心線を中心とした真円形の中空溝を形成したものであり、これを上記のようなロアリンクの雌ねじ106に適用したとしても、ボルト105とクランクピン軸受部との距離が短いことから、中空溝の大きさが制限されることもあって、十分な強度・剛性の確保は、到底困難である。
請求項1の発明は、ピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、このアッパリンクの他端にアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに連結されたロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクにコントロールピンを介して連結されたコントロールリンクと、を備えてなる内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンクに関するものであって、上記ロアリンクは、上記クランクピンが嵌合する略中央のクランクピン軸受部と、上記アッパピンを保持する一端部のアッパピン用ピンボス部と、上記コントロールピンを保持する他端部のコントロールピン用ピンボス部と、を備えるとともに、上記クランクピン軸受部の中心を通る分割面に沿って、上記アッパピン用ピンボス部を含むロアリンクアッパと、上記コントロールピン用ピンボス部を含むロアリンクロアと、に分割構成され、かつ上記クランクピン軸受部の両側に配置した少なくとも2本のボルトによって上記ロアリンクアッパと上記ロアリンクロアとが締結されている。例えば、上記ボルト中心線の延長線上に上記アッパピン用ピンボス部が位置している。また、上記アッパピン用ピンボス部は、例えば、アッパピンの軸方向中央部を支持する構成である。そして、上記アッパピン用ピンボス部寄りに配置されたボルトは、ロアリンクロア側から挿通されてロアリンクアッパ側に形成された雌ねじ部に螺合し、上記雌ねじ部の底部には、上記ボルトの先端に対応して、該ボルトの外径よりも半径方向にねじ山高さ以上に拡大した中空溝が形成されており、この中空溝は、ボルト中心線に直交する平面での断面形状が、ボルト中心線に対し非対称であって、ボルト中心線よりもクランクピン軸受部と反対側へ拡大しており、上記中空溝に先端が露出するボルトのねじ溝に、雌ねじ部の全てのねじ山が噛み合っている。
このような構成では、上記中空溝によって、応力が作用する部位(応力線が通る部位)が雌ねじ部のねじ山から離れる。特に、アッパピンからの大きな入力により応力が大きくなりやすいクランクピン軸受部と反対側のねじ山では、ねじ山から半径方向外側へより離れた部位に応力が作用することになり、疲労破壊の起点となりやすいクランクピン軸受部と反対側の雌ねじ部の耐久性が高くなる。しかも、ボルトのねじ溝に雌ねじ部の全てのねじ山が噛み合っているので、ねじ孔の底部つまり中空溝に最も近い1番目の雌ねじ部ねじ山の荷重振幅による疲労が軽減される。
本発明の一つの態様では、上記中空溝は、ボルト中心線に直交する平面での断面形状が、ボルト中心線を中心とした円弧と、ボルト中心線からクランクピン軸受部と反対側へオフセットした点を中心とした同じ径の円弧と、2つの円弧を接線として結ぶ一対の直線と、からなる長円形をなしている。従って、例えば、内周側から円形の加工を行う適宜な切削工具によって、長円形の中空溝を容易に加工することができる。
また本発明の一つの態様では、上記中空溝は、ボルト中心線に直交する第1の端面および第2の端面を有し、ボルト中心線を含む平面での断面形状において、これらの2つの端面が、両者の間隔を直径とする円弧で結ばれている。これにより、例えば、同じ切削工具で連続的に切削加工することが可能となる。
本発明のピストンクランク機構は、上記コントロールリンクの機関本体側の揺動支点位置を変化させることにより、内燃機関の可変圧縮比機構として構成することができる。
また請求項7の発明は、複リンク式の内燃機関のピストンクランク機構におけるリンクであって、第1の軸受部の中心を通る分割面に沿って2つの部品に分割構成されるとともに、互いにボルトで締結され、かつその一つのボルトが螺合する雌ねじ部の近傍に第2の軸受部が存在するリンクにおいて、上記雌ねじ部の底部には、上記ボルトの先端に対応して、該ボルトの外径よりも半径方向にねじ山高さ以上に拡大した中空溝が形成されており、この中空溝は、ボルト中心線に直交する平面での断面形状が、ボルト中心線に対し非対称であり、上記中空溝に先端が露出するボルトのねじ溝に、雌ねじ部の全てのねじ山が噛み合っていることを特徴としている。
この発明によれば、貫通孔とならない形でロアリンクに形成された雌ねじ部の応力集中による耐久性低下を回避することができる。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。始めに、この発明のロアリンクが用いられるピストンクランク機構の概略を説明する。
図1は、この複リンク式ピストンクランク機構を可変圧縮比機構として構成した構成例を示す構成説明図である。この機構は、ロアリンク4とアッパリンク5とコントロールリンク10とを主体とした複リンク式ピストンクランク機構を備えている。
クランクシャフト1は、複数のジャーナル部2とクランクピン3とを備えており、シリンダブロック18の主軸受に、ジャーナル部2が回転自在に支持されている。上記クランクピン3は、ジャーナル部2から所定量偏心しており、ここにロアリンク4が回転自在に連結されている。カウンタウェイト15は、ジャーナル部2とクランクピン3とを接続するクランクウェブ16からクランクピン3とは反対側へ延びている。
上記ロアリンク4は、後述するように2部材に分割可能に構成されているとともに、略中央のクランクピン軸受部に上記クランクピン3が嵌合している。
アッパリンク5は、下端側がアッパピン6によりロアリンク4の一端に回動可能に連結され、上端側がピストンピン7によりピストン8に回動可能に連結されている。上記ピストン8は、燃焼圧力を受け、シリンダブロック18のシリンダ19内を往復動する。
ロアリンク4の運動を拘束するコントロールリンク10は、上端側がコントロールピン11によりロアリンク4の他端に回動可能に連結され、下端側が制御軸12を介して機関本体の一部となるシリンダブロック18の下部に回動可能に連結されている。詳しくは、制御軸12は、回転可能に機関本体に支持されているとともに、その回転中心から偏心している偏心カム部12aを有し、この偏心カム部12aに上記コントロールリンク10下端部が回転可能に嵌合している。
上記制御軸12は、図示せぬエンジンコントロールユニットからの制御信号に基づいて作動する図示せぬ圧縮比制御アクチュエータによって回動位置が制御される。
上記のような複リンク式ピストンクランク機構を用いた可変圧縮比機構においては、上記制御軸12が圧縮比制御アクチュエータによって回動されると、偏心カム部12aの中心位置、特に、機関本体に対する相対位置が変化する。これにより、コントロールリンク10の下端の揺動支持位置が変化する。そして、上記コントロールリンク10の揺動支持位置が変化すると、ピストン8の行程が変化し、ピストン上死点(TDC)におけるピストン8の位置が高くなったり低くなったりする。これにより、機関圧縮比を変えることが可能となる。
次に、上記ロアリンク4の一実施例を図2に基づいて説明する。
ロアリンク4は、上記クランクピン3が嵌合する略中央のクランクピン軸受部21と、上記アッパピン6を保持する一端部のアッパピン用ピンボス部22と、上記コントロールピン11を保持する他端部のコントロールピン用ピンボス部23と、を備えている。そして、クランクピン3への組み立て性のために、上記クランクピン軸受部21の中心を通る分割面24に沿って、上記アッパピン用ピンボス部22を含むロアリンクアッパ31と、上記コントロールピン用ピンボス部23を含むロアリンクロア32と、に分割構成され、両者が、クランクピン軸受部21の両側にそれぞれ配置された2本のボルト33,34によって一体に締結されている。上記シリンダ19が上下方向に配置されているとすると、クランクケース内で上記ロアリンクアッパ31が上側に、上記ロアリンクロア32が下側に、それぞれ位置し、上記ボルト33,34は、いずれもロアリンクロア32の下面側から上方へと挿入されている。
上記アッパピン用ピンボス部22のピン孔22aには、アッパピン6が回転可能に保持される。ここに組み合わされるアッパリンク5は、下端のアッパピン軸受周辺が二股状に形成されており、二股の内側に、ロアリンク4側のアッパピン用ピンボス部22が回転可能に組み合わされる。
これに対し、コントロールピン11が回転可能に挿入されるピン孔23aを備えたコントロールピン用ピンボス部23は、二股状に構成されており、この二股の内側に、コントロールリンク10一端のピンボス部が回転可能に組み合わされる。
2本のボルト33,34の中で、コントロールピン用ピンボス部23側に位置するボルト34は、上記の二股状をなすコントロールピン用ピンボス部23の谷間部分にボルト頭部(図示せず)が位置しており、ロアリンクロア32のボルト挿入孔を貫通し、かつ先端部が、ロアリンクアッパ31側の雌ねじ部に螺合している。このボルト34用の雌ねじ部つまりねじ孔は、ロアリンクアッパ31を上下に貫通しており、ボルト34の先端がロアリンクアッパ31上面から突出している。
これに対し、アッパピン用ピンボス部22側に位置するボルト33は、ロアリンクロア32のボルト挿入孔を貫通し、ロアリンクアッパ31側の後述する雌ねじ部に先端部が螺合する。このボルト33の中心線の延長線上には、アッパピン用ピンボス部22が位置し、従って、雌ねじ部となるねじ孔は、ロアリンクアッパ31を貫通しておらず、先端が封止されている。
次に、図3および図4に基づいて、上記ボルト33が螺合する雌ねじ部41の詳細を説明する。これらの図に示すように、雌ねじ部41となるねじ孔は、クランクピン軸受部21のピン孔21aに隣接し、該ピン孔21aの側方に位置している。この雌ねじ部41の底部(図では上端部)には、ボルト33の外径よりも半径方向に拡大した中空溝42が形成されており、ボルト33の先端がこの中空溝42に露出している。図4は、ボルト33の中心線に直交する平面に沿った上記中空溝42の断面形状を示しており、図示するように、中空溝42は、ボルト中心線に直交する平面に沿った断面では、ボルト33の中心線に合致する点P1を中心とした円弧(半円)と、ボルト33の中心線からクランクピン軸受部21と反対側へオフセットした点P2を中心した円弧(半円)と、2つの半円を結ぶ平行な一対の直線と、からなる長円形をなしている。ここで、上記の円弧の半径は、ボルト33の外径よりも半径方向にねじ山41aの高さ以上大きなものとなっている。また、図3は、ボルト33の中心線を含む平面に沿った断面を示しているが、この断面においては、上記中空溝42は、ボルト33の中心線に直交する平面からなる第1の端面42aおよび第2の端面42bを有し、かつ、これらの2つの端面42a,42bが、両者の間隔を直径とする円弧で結ばれている。従って、この長円形の中空溝42は、円形の加工を内周側から行う一つの切削工具でもって、容易に機械加工することができる。
また、雌ねじ部41は、上記中空溝42の第2の端面42bで終端となっているが、図3に示すように、ボルト33の先端部が上記第2の端面42bから中空溝42内に僅かに突出し、ボルト33のねじ溝33aに、雌ねじ部41の全てのねじ山41aが噛み合った状態となっている。なお、図3の矢印F2は、前述したように、燃焼行程においてアッパピン6からロアリンク4に入力される荷重の方向を示している。
図5は、上記のような中空溝42を備えたボルト33先端部付近におけるロアリンク4側の応力の流れを応力線Sでもって示した説明図である。図示するように、前述した燃焼行程と排気行程の繰り返しによって、ロアリンク4には概ね上下方向に沿った荷重振幅が生じるが、上記のように中空溝42を設けることによって、応力線Sは、中空溝42の外側を通り、雌ねじ部41のねじ山41a、特に1番目のねじ山41a(最も中空溝42に近いねじ山41a)から半径方向外側へ離れるようになる。従って、荷重振幅によるねじ山41aの疲労が回避される。しかも、1番目のねじ山41aも、ボルト33のねじ溝33aに噛み合い、1番目のねじ山41aが、ボルト軸力F4を矢印F5で示す圧縮荷重として受ける。そのため、1番目のねじ山41aが過大な引っ張り荷重(図上方への荷重)を受けることがなく、その谷底部分への応力集中が抑制される。
また、上記実施例のように、中空溝42は、ボルト33の中心線に対し非対称であり、クランクピン軸受部21と反対側へより大きく拡大したものとなっている。従って、雌ねじ部41のクランクピン軸受部21と反対側の部分では、図3の矢印F2に示す爆発燃焼時の大きな荷重が、ねじ山41aからより遠く離れた部位を通ることになり、この大きな荷重による雌ねじ部41の応力をより緩和できる。また、逆に、雌ねじ部41のクランクピン軸受部21側の部分では、中空溝42とクランクピン軸受部21のピン孔21aとの間の距離を、十分に確保することができる。
ロアリンクが用いられるピストンクランク機構の例を示す構成説明図。 本発明に係るロアリンクの一実施例を示す正面図。 ボルト中心線を含む平面に沿った雌ねじ部付近の断面図。 ボルト中心線に直交する平面(図3のA−A線)に沿った中空溝の断面図。 中空溝付近の応力の流れを示す説明図。 ロアリンクに作用する荷重の説明図。
符号の説明
4…ロアリンク
21…クランクピン軸受部
22…アッパピン用ピンボス部
23…コントロールピン用ピンボス部
31…ロアリンクアッパ
32…ロアリンクロア
33,34…ボルト
41…雌ねじ部
42…中空溝

Claims (7)

  1. ピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、このアッパリンクの他端にアッパピンを介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピンに連結されたロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクにコントロールピンを介して連結されたコントロールリンクと、を備えてなる内燃機関のピストンクランク機構において、
    上記ロアリンクは、上記クランクピンが嵌合する略中央のクランクピン軸受部と、上記アッパピンを保持する一端部のアッパピン用ピンボス部と、上記コントロールピンを保持する他端部のコントロールピン用ピンボス部と、を備えるとともに、
    上記クランクピン軸受部の中心を通る分割面に沿って、上記アッパピン用ピンボス部を含むロアリンクアッパと、上記コントロールピン用ピンボス部を含むロアリンクロアと、に分割構成され、
    かつ上記クランクピン軸受部の両側に配置した少なくとも2本のボルトによって上記ロアリンクアッパと上記ロアリンクロアとが締結されており、
    上記アッパピン用ピンボス部寄りに配置されたボルトは、ロアリンクロア側から挿通されてロアリンクアッパ側に形成された雌ねじ部に螺合し、
    上記雌ねじ部の底部には、上記ボルトの先端に対応して、該ボルトの外径よりも半径方向にねじ山高さ以上に拡大した中空溝が形成されており、この中空溝は、ボルト中心線に直交する平面での断面形状が、ボルト中心線に対し非対称であって、ボルト中心線よりもクランクピン軸受部と反対側へ拡大しており、
    上記中空溝に先端が露出するボルトのねじ溝に、雌ねじ部の全てのねじ山が噛み合っていることを特徴とする内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンク。
  2. 上記中空溝は、ボルト中心線に直交する平面での断面形状が、ボルト中心線を中心とした円弧と、ボルト中心線からクランクピン軸受部と反対側へオフセットした点を中心とした同じ径の円弧と、2つの円弧を接線として結ぶ一対の直線と、からなる長円形をなしていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンク。
  3. 上記中空溝は、ボルト中心線に直交する第1の端面および第2の端面を有し、ボルト中心線を含む平面での断面形状において、これらの2つの端面が、両者の間隔を直径とする円弧で結ばれていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンク。
  4. 上記ボルト中心線の延長線上に上記アッパピン用ピンボス部が位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンク。
  5. 上記アッパピン用ピンボス部は、アッパピンの軸方向中央部を支持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンク。
  6. 上記コントロールリンクの機関本体側の揺動支点位置を変化させることにより上記ピストンクランク機構が可変圧縮比機構を構成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関のピストンクランク機構におけるロアリンク。
  7. 複リンク式の内燃機関のピストンクランク機構におけるリンクであって、第1の軸受部の中心を通る分割面に沿って2つの部品に分割構成されるとともに、互いにボルトで締結され、かつその一つのボルトが螺合する雌ねじ部の近傍に第2の軸受部が存在するリンクにおいて、
    上記雌ねじ部の底部には、上記ボルトの先端に対応して、該ボルトの外径よりも半径方向にねじ山高さ以上に拡大した中空溝が形成されており、この中空溝は、ボルト中心線に直交する平面での断面形状が、ボルト中心線に対し非対称であり、
    上記中空溝に先端が露出するボルトのねじ溝に、雌ねじ部の全てのねじ山が噛み合っていることを特徴とする内燃機関のピストンクランク機構におけるリンク。
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