JP2006177269A - エンジン制御装置およびマルチマイクロコンピュータシステム - Google Patents

エンジン制御装置およびマルチマイクロコンピュータシステム Download PDF

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Abstract

【課題】 信号の状態遷移の判定タイミングを一致させるための波形整形用のバッファ回路を不要とし、コスト低減を図る。
【解決手段】 第1のマイクロコンピュータ1は、デジタルポート1aに入力される信号sの状態遷移を判断する。第1のマイクロコンピュータ1は、信号sが状態遷移したとき、そのことを示す状態遷移情報を、例えば、所定周期で第2のマイクロコンピュータ2に送信する。メモリ3には、第1のマイクロコンピュータ1から状態遷移情報が出力されたときのA/D変換された信号sの電圧値、すなわち、第1のマイクロコンピュータ1のデジタルポートの信号sに対するスレッショルドが記憶されている。第2のマイクロコンピュータ2は、A/D変換器2aによってA/D変換される信号sの状態遷移を、メモリ3に記憶されているスレッショルドに基づいて判断する。
【選択図】 図1

Description

本発明はエンジン制御装置およびマルチマイクロコンピュータシステムに関し、特に入力される信号に応じてエンジン制御するエンジン制御装置および入力される信号の状態を判断するマルチマイクロコンピュータシステムに関する。
車両には、エンジン動作を電子制御するECU(Electronic Control Unit)を搭載したものがある。ECUは、複数のセンサから送られてくる信号に応じて、例えば、エンジンの燃料噴射や電子スロットルなど、様々な制御を行っている。ECUは複数のマイクロコンピュータを搭載して、様々な制御を行っており、1つのマイクロコンピュータで1またはそれ以上の制御を行っている。または、他のマイクロコンピュータの暴走を監視している。
このようなECUに搭載されるマイクロコンピュータでは、同じ信号が入力されて、同じタイミングで各々の制御をしなければならない場合がある。この場合、各マイクロコンピュータのポートスレッショルドの違いによって、入力される信号の判定タイミングが異なってしてしまう場合がある。
図15は、エンジン制御装置に適用されるマイクロコンピュータのシステム図である。図に示すマイクロコンピュータ101,102は、デジタルポートを有し、同じ信号sが入力される。マイクロコンピュータ101,102のデジタルポートのスレッショルドが異なる場合、マイクロコンピュータ101,102の信号sの判定タイミングが異なってしまう場合がある。
図16は、図15のマイクロコンピュータに入力される信号の波形を示した図である。図に示す矢印A1は、マイクロコンピュータ101のデジタルポートがH状態を認識するスレッショルドを示し、矢印A2は、マイクロコンピュータ102のデジタルポートがH状態を認識するスレッショルドを示す。図に示すように、マイクロコンピュータ101,102のデジタルポートのスレッショルドが異なる場合、マイクロコンピュータ101,102の判定タイミングは、時間tに示すようにずれてしまう。この判定タイミングのずれを修正するには、マイクロコンピュータ101,102の前段に波形整形するバッファ回路を挿入すればよい。
図17は、入力段にバッファ回路が挿入されたマイクロコンピュータのシステム図である。図17において図15と同じものには同じ符号を付し、その説明を省略する。図に示すように、マイクロコンピュータ101,102のデジタルポートの前段に、波形整形をするバッファ回路111が接続されている。
図18は、図17のマイクロコンピュータに入力される信号の波形を示した図である。図に示す矢印A1,A2は、図16と同様に、マイクロコンピュータ101,102のデジタルポートのスレッショルドを示している。マイクロコンピュータ101,102に入力される信号sは、バッファ回路111によって波形整形され、図に示すように傾きが急峻となっている。従って、マイクロコンピュータ101,102のデジタルポートのスレッショルドが異なっていても、マイクロコンピュータ101,102の判定タイミングのずれは、図の時間tに示すように小さくなる。これによって、マイクロコンピュータ101,102は、信号sに対し、同じタイミングで処理を行うことができる。
なお、同一信号を2つのA/D変換器で切替えて出力し、両ADC出力の差の平均値を求め、オフセットを補正するA/D変換誤差補正回路がある(例えば、特許文献1参照)。また、内蔵するADCの平均値を記憶し、入力信号の判定時間を低減するマイクロコンピュータがある(例えば、特許文献2参照)。また、2つのマイクロコンピュータの演算により求めた制御量のうち、適切な方の制御量を選択して出力し、適切な制御を可能にしたディーゼルエンジンのフェイルセーフ装置がある(例えば、特許文献3参照)。
特開平10−28053号公報 特開平5−282100号公報 特開平9−88701号公報
しかし、マイクロコンピュータの入力段に波形整形するバッファ回路を接続すると、その分コストが高くなるという問題点があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、マイクロコンピュータの入力段に接続するバッファ回路が不要で、信号の状態遷移を同タイミングで判断できる、コスト低減をしたエンジン制御装置およびマルチマイクロコンピュータシステムを提供することを目的とする。
本発明では上記問題を解決するために、入力される信号に応じてエンジン制御するエンジン制御装置において、前記信号が入力されるデジタルポートを有し、前記デジタルポートの前記信号が状態遷移したことを示す状態遷移情報を出力する第1のマイクロコンピュータと、前記信号が入力されるアナログ−デジタル変換器を有し、前記状態遷移情報が出力されたときアナログ−デジタル変換された前記信号の状態遷移判断値に基づいて、アナログ−デジタル変換される前記信号の状態遷移を判断する第2のマイクロコンピュータと、を有することを特徴とするエンジン制御装置が提供される。
このようなエンジン制御装置によれば、アナログ−デジタル変換器を有する第2のマイクロコンピュータは、第1のマイクロコンピュータから状態遷移情報が出力されたときのアナログ−デジタル変換された信号の状態遷移判断値に基づいて、入力される信号の遷移状態を判断する。これにより、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータは、入力段にバッファ回路を接続しなくても、信号の状態遷移を同タイミングで判断できる。
本発明のエンジン制御装置では、アナログ−デジタル変換器を有する第2のマイクロコンピュータは、第1のマイクロコンピュータから状態遷移情報が出力されたときのアナログ−デジタル変換された信号の状態遷移判断値に基づいて、入力される信号の遷移状態を判断するようにした。これによって、第1のマイクロコンピュータと第2のマイクロコンピュータの入力段にバッファ回路を接続しなくても、信号の状態遷移を同タイミングで判断でき、コストを低減することができる。
以下、本発明の原理を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、エンジン制御装置の概要を示した図である。図に示すように第1のマイクロコンピュータ1と第2のマイクロコンピュータ2は通信できるように接続されている。第2のマイクロコンピュータ2には、メモリ3が接続されている。
第1のマイクロコンピュータ1と第2のマイクロコンピュータ2は、同一の信号sが入
力され、信号sの状態遷移を判定して、それぞれのエンジン制御を行っている。第1のマイクロコンピュータ1は、デジタルポート1aを有し、このデジタルポート1aに信号sが入力される。第2のマイクロコンピュータ2は、内部にA/D変換器2aを有し、このA/D変換器2aに信号sが入力される。
第1のマイクロコンピュータ1は、デジタルポート1aに入力される信号sの状態を判断する。また、第1のマイクロコンピュータ1は、信号sが状態遷移したとき、そのことを示す状態遷移情報を、例えば、所定の周期において第2のマイクロコンピュータ2に送信する。
メモリ3には、第1のマイクロコンピュータ1から状態遷移情報が出力されたときのアナログ−デジタル(A/D)変換された信号sの電圧値(スレッショルド)が記憶されている。すなわち、メモリ3には、第1のマイクロコンピュータ1の、デジタルポートの信号sに対するスレッショルドが記憶されている。
第2のマイクロコンピュータ2は、A/D変換器2aによってA/D変換される信号sの状態遷移を、メモリ3に記憶されているスレッショルドに基づいて判断する。例えば、信号sの電圧値がメモリ3に記憶されているスレッショルドを超えると、信号sの状態がL状態(例えばオフ状態)からH状態(例えばオン状態)に遷移したと判断する。
このように、A/D変換器2aを有する第2のマイクロコンピュータ2は、第1のマイクロコンピュータ1から状態遷移情報が出力されたときのA/D変換された信号sの電圧値(スレッショルド)に基づいて、入力される信号sの遷移状態を判断するようにした。これによって、第1のマイクロコンピュータ1と第2のマイクロコンピュータ2の入力段にバッファ回路を接続しなくてすみ、コストを低減することができる。
次に、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図2は、第1の実施の形態に係るエンジン制御装置のシステム構成例を示す図である。図に示すようにエンジン制御装置10は、制御部11、A/D変換器12、および出力インターフェース13を有している。エンジン制御装置10は、各種センサと接続され、図に示すようなバッテリ信号やスタータ信号などの信号14が入力される。エンジン制御装置10は、入力される信号14に応じて、図に示すようなインジェクタやイグナイタなどのアクチュエータ15を駆動し、所望のエンジン制御をする。
信号14には、A/D変換されて制御部11に入力されるものと、制御部11に直接入力されるものがある。A/D変換される信号14は、A/D変換器12によってA/D変換され、制御部11に入力される。制御部11に直接入力される信号14は、例えば、後述するマイクロコンピュータのデジタルポートに入力され、オン/オフ判断がされる。
制御部11は、入力される信号14に応じた処理を行い、出力インターフェース13を介してアクチュエータ15を駆動する。出力インターフェース13は、アクチュエータ15を駆動できるように、制御部11から出力される信号を増幅している。
制御部11は、複数のマイクロコンピュータを有して、エンジン制御のための種々の処理を行っている。複数のマイクロコンピュータには、同じ信号が入力され、同じタイミングで信号のオン/オフ状態を判定し、処理を行っているものがある。以下、制御部11について詳細に説明する。
図3は、制御部のシステム例を示した図である。制御部11は、マイクロコンピュータ21,22およびメモリ23を有している。メモリ23は、例えば、RAMやフラッシュ
メモリであり、マイクロコンピュータ22の外部に接続されている。マイクロコンピュータ21,22は、通信ポートを有し、互いに通信できるようになっている。
マイクロコンピュータ21,22には、同じ信号s(例えば、図2で示した制御部11に直接入力される信号14の一部)が入力される。マイクロコンピュータ21は、デジタルポートを有し、このデジタルポートに信号sが入力される。マイクロコンピュータ22は、A/D入力ポートを有し、このA/D入力ポートに信号sが入力される。マイクロコンピュータ22は、A/D入力ポートに入力される信号をA/D変換するA/D変換器を内蔵している。
メモリ23には、マイクロコンピュータ21のデジタルポートが信号sの状態遷移を判断しているスレッショルドが記憶される。マイクロコンピュータ22は、A/D変換された信号sの電圧値と、メモリ23に記憶されているマイクロコンピュータ21のスレッショルドとを比較して、信号sの状態遷移を判断する。例えば、信号sの電圧値がメモリ23のスレッショルドを超えると、信号sがオフからオンに状態遷移したと判断し、信号sの電圧値がメモリ23のスレッショルドを下回ると、信号sがオンからオフに状態遷移したと判断する。なお、スレッショルドは、信号sの立上りと立下りとで異なっていてもよい。この場合、メモリ23には、2種類のスレッショルドが記憶されることになる。
マイクロコンピュータ21は、信号sの状態が遷移したとき、信号sが遷移したことを示す状態遷移情報を、通信ポートを介してマイクロコンピュータ22に出力する。なお、マイクロコンピュータ21は、信号sの状態が遷移したとき、常に状態遷移情報を出力するのではなく、周期的に出力する。
マイクロコンピュータ22は、通信ポートを介してマイクロコンピュータ21から状態遷移情報を受信すると、マイクロコンピュータ21,22に異常が発生してないか判断する。また、マイクロコンピュータ22は、必要に応じてメモリ23のスレッショルドを更新する。
このように、マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21の信号sのオン/オフ判断をするスレッショルドを記憶したメモリ23を参照し、A/D入力ポートに入力される信号sのオン/オフを判断するようにした。これにより、マイクロコンピュータ21,22の入力段に、バッファ回路を設けることなく、マイクロコンピュータ21,22の信号sの判断を一致させることができる。
なお、図3では、メモリ23は、マイクロコンピュータ22の外部に接続されるとしたが、マイクロコンピュータ22がメモリ23を内蔵していてもよい。メモリ23は、例えば、マイクロコンピュータ21,22がエンジン制御のために実行するプログラムやデータが格納された記憶装置で実現してもよい。
次に、マイクロコンピュータ21,22の機能について説明する。
図4は、マイクロコンピュータの機能ブロック図である。図に示すようにマイクロコンピュータ21は、デジタルポート入力部31、信号遷移判定部32、および通信部33を有している。マイクロコンピュータ22は、A/D変換部41、信号遷移判定部42、回路状態判定部43、および通信部44を有している。
マイクロコンピュータ21のデジタルポート入力部31は、デジタルポートに入力されている信号sを読み込む。信号遷移判定部32は、デジタルポート入力部31によって読み込まれた信号sの状態が、例えば、オン状態であるかオフ状態であるか判断する。また、信号遷移判定部32は、信号sが状態遷移したことを示す状態遷移情報を通信部33へ
出力する。ただし、信号sが状態遷移したときに常に状態遷移情報を出力するのではなく、周期的に出力する。通信部33は、通信ポートを介してマイクロコンピュータ22と通信を行う。
マイクロコンピュータ22のA/D変換部41は、A/D入力ポートに入力される信号sのA/D変換を行う。信号遷移判定部42は、A/D変換された信号sの電圧値と、メモリ23に記憶されている、マイクロコンピュータ21のデジタルポートのスレッショルドとを比較し、信号sの状態遷移を判断する。例えば、A/D変換された信号sの電圧値が、メモリ23のスレッショルドを超えた場合、信号sがオフからオン状態へ遷移したと判断し、A/D変換された信号sの電圧値が、メモリ23のスレッショルドを下回った場合、信号sがオンからオフへ状態が遷移したと判断する。
なお、後述詳細するが、信号遷移判定部42は、車両に搭載されているバッテリ電圧の変動および信号sのアース電圧の変動に応じて、メモリ23に記憶されているスレッショルド(電圧値)の補正を行い、マイクロコンピュータ21の信号sのオン/オフ判断と、よりタイミングが一致するようにしている。
回路状態判定部43は、通信部44がマイクロコンピュータ21から状態遷移情報を受信したとき、A/D変換部41によりA/D変換された信号sの電圧値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドとを比較する。回路状態判定部43は、A/D変換された信号sの電圧値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドとの差が所定値以上であれば、マイクロコンピュータ21,22に異常が発生したと認識する。つまり、状態遷移情報がマイクロコンピュータ21から出力されたときは、マイクロコンピュータ21が信号sの状態遷移を検出したときであるので、そのときのA/D変換値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドとは、ほぼ同じ値になっているはずであるからである。回路異常が発生していないと判断した場合は、メモリ23に記憶されているスレッショルドを更新する時期であるか判断し、更新する時期であれば、メモリ23に記憶されているスレッショルドを、先程A/D変換された信号sの電圧値に更新する。
なお、メモリ23に記憶される、マイクロコンピュータ21のデジタルポートのスレッショルドは、例えば、製造時に予め記憶される。その後、回路状態判定部43によって、よりマイクロコンピュータ21のデジタルポートのスレッショルドに近づくように更新されていく。
また、回路状態判定部43は、マイクロコンピュータ21から状態遷移情報を受信したとき、A/D変換部41に信号sのA/D変換をさせ、このときの電圧値とメモリ23に記憶されているスレッショルドとを比較するようにしてもよい。
また、以下で詳細するが、回路状態判定部43は、異常が発生したと認識したときは、A/D変換器に入力されている電源依存しない一定電圧を読み込み、その電圧値に応じてマイクロコンピュータ21,22のどちらに異常が発生したか判断する。
次に、A/D変換器に入力される一定電圧とA/D変換の補正について説明する。
図5は、マイクロコンピュータのA/D変換器の入力段の回路例を示した図である。図に示すマイクロコンピュータ22が内蔵するA/D変換器22aは、2チャネルの入力を有している。一方のチャネルには、バッテリの電圧変動に依存しない定電圧Vrefを抵抗R1,R2で分圧した電圧が入力されている。他方のチャネルには、信号sと信号sのアースが入力されている。また、A/D変換器22aには、バッテリの電圧+Bを分圧した電圧(+B/4)が入力されている。
A/D変換器22aは、マイクロコンピュータ21から状態遷移情報が受信されたとき、抵抗R1,R2によって分圧された定電圧VrefをA/D変換する。定電圧Vrefは一定であるので、回路状態判定部43は、A/D変換された定電圧値が所定の値と異なっている場合、A/D変換器22a(マイクロコンピュータ22)に異常が発生したと判断することができる。また、A/D変換された定電圧値が所定の値に一致している場合、A/D変換器22aに異常はなく、マイクロコンピュータ21に異常が発生したと判断することができる。
信号sの電位は、バッテリ電圧の変動に応じて変動してしまう。そのため、マイクロコンピュータ21が判断する信号sの状態遷移と、マイクロコンピュータ22が判断する信号sの状態遷移とが異なってくる。そこで、信号遷移判定部42は、マイクロコンピュータ21の判断と一致するように、メモリ23に記憶されているスレッショルドを補正する。スレッショルドの補正は、次の式(1)に従って行われる。
Vth=Vth(A)*(B/A) ……(1)
式(1)に示すBは、現在のバッテリ電圧である。Bは、A/D変換器22aに入力される+B/4を4倍することにより求めることができる。Aは、スレッショルドがメモリ23に記憶されたときのバッテリの電圧であり、スレッショルドがメモリ23に記憶されるときに共に記憶される。Vth(A)は、バッテリの電圧がAであったときのスレッショルドであり、メモリ23に記憶されているスレッショルドである。
式(1)の右辺の(B/A)より、スレッショルドがメモリ23に記憶されたときのバッテリ電圧に対する現在のバッテリ電圧の変動割合が算出される。これに、メモリ23に記憶されているスレッショルドVth(A)を乗算することにより、現在のバッテリ変動に対応するスレッショルドが求まる。信号遷移判定部42は、式(1)によって補正したスレッショルドによって、信号sの状態遷移を判断する。
また、信号遷移判定部42は、例えば、信号sのアース電圧の浮きが発生した場合、信号sのA/D変換値にアース浮き分の値を加減算し、マイクロコンピュータ21の信号sの判断結果と一致するようにする。
次に、マイクロコンピュータ21,22の動作を、フローチャートを用いて説明する。
図6は、デジタルポートを有するマイクロコンピュータの動作を示したフローチャートである。デジタルポートを有するマイクロコンピュータ21は、以下のステップに従って処理を実行する。
[ステップS1]マイクロコンピュータ21は、デジタルポートに入力されている信号sの状態を読み込む。
[ステップS2]マイクロコンピュータ21は、読み込んだ信号sがオフからオンへ、オンからオフへ状態遷移したことを検出する。
[ステップS3]マイクロコンピュータ21は、ステップS2での信号sの状態遷移の検出により、状態遷移情報をマイクロコンピュータ22に出力する。なお、状態遷移情報は、信号sの状態遷移が発生するたびに出力するのではなく、周期的に出力する。
図7は、A/D変換器を有するマイクロコンピュータの動作を示したフローチャートである。A/D変換器22aを有するマイクロコンピュータ22は、以下のステップに従って処理を実行する。
[ステップS11]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21から状態
遷移情報を受信する。
[ステップS12]マイクロコンピュータ22は、A/D入力ポートに入力されている信号sの電圧値を読み込む。
[ステップS13]マイクロコンピュータ22は、A/D入力ポートから読み込んだ信号sの電圧値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドとの差を算出する。
[ステップS14]マイクロコンピュータ22は、A/D入力ポートから読み込んだ信号sの電圧値と、メモリ23のスレッショルドとの差が所定値以上あるか判断する。例えば、その差が0.5V以上であるか判断する。0.5V未満であれば、ステップS15へ進む。0.5V以上であれば、ステップS18へ進む。
[ステップS15]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21,22の信号sの状態遷移を検出する回路およびそのプログラムに異常がないと判断する。
[ステップS16]マイクロコンピュータ22は、メモリ23に記憶されているスレッショルドを更新する時期か判断する。スレッショルドを更新する時期であれば、ステップS17へ進む。更新する時期でなければ、処理を終了する。
[ステップS17]マイクロコンピュータ22は、ステップS12で取得した信号sの電圧値をメモリ23に記憶する。すなわち、マイクロコンピュータ21のスレッショルドと推定される値をメモリ23に記憶する。
[ステップS18]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21,22の信号sの状態遷移を検出する回路およびそのプログラムに異常が発生したと判断する。
次に、図7のフローチャートのステップS18について詳細に説明する。
図8は、A/D変換器を有するマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートである。A/D変換器22aを有するマイクロコンピュータ22は、以下のステップに従って、異常判定の処理を実行する。
[ステップS21]マイクロコンピュータ22は、A/D変換器22aに入力されている、電源電圧に依存しない一定電圧が正常に読み込まれたか判断する。例えば、一定電圧を2.5Vとすると、A/D変換器22aから2.5Vのデジタル値が読み込まれたか判断する。正常に読み込めた場合は、ステップS22へ進む。一定電圧を正常に読み込めなかった場合は、ステップS23へ進む。
[ステップS22]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21のデジタルポートに関する回路およびそのプログラムに異常が発生したと判断する。
[ステップS23]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ22のA/D変換器22aに関する回路およびそのプログラムに異常が発生したと判断する。
このように、マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21の信号sのオン/オフ判断をするスレッショルドをメモリ23に記憶し、メモリ23のスレッショルドに基づいて信号sのオン/オフを判断するようにした。これにより、マイクロコンピュータ21,22の入力段に、バッファ回路を設けることなく、マイクロコンピュータ21,22の信号sの判断を一致させることができ、コストを低減することができる。
また、マイクロコンピュータ22のA/D変換器22aにバッテリの電圧変動に依存しない一定電圧を入力し、A/D変換器22aから所定の値が読み込めたか判断するようにした。これによって、マイクロコンピュータ21,22のどちらに異常が発生したか特定することができるようになる。
また、バッテリ電圧や信号sのアース電圧の変動を補正することにより、マイクロコンピュータ21,22のより一致した信号sの判定を行うことができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。第2の実施の形態では、図7のステップS18の異常判定処理において、その異常がノイズによるものかを判断する。また、異常がメモリ23に記憶されているスレッショルドによるものかを判断する。なお、これらの処理は、図4で示したマイクロコンピュータ22の回路状態判定部43が行い、他の部分は、第1の実施の形態と同様である。マイクロコンピュータ21の動作は、図6で示したフローチャートと同様であり、マイクロコンピュータ22の動作は、前述したように図7で示したステップS18の処理が異なる。従って、以下では、ステップS18の詳細な処理のみをフローチャートを用いて説明する。
図9は、第2の実施の形態に係るマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートである。マイクロコンピュータ22は、以下のステップに従って、異常判定の処理を実行する。
[ステップS31]マイクロコンピュータ22は、図7のステップS14の0.5V以上の電圧差が所定時間継続したか判断する。ステップS31では、0.5V以上の電圧差が突発的なノイズによるものか否かを判断するので、所定時間は、信号sに突発的なノイズが重畳する時間を考慮して決定し、例えば、0.5秒とする。0.5Vの電圧差が0.5秒続かなかった場合は、ノイズによる異常と判断し、ステップS35へ進む。0.5Vの電圧差が0.5秒続いた場合は、ノイズ以外による異常の可能性があると判断し、ステップS32へ進む。
[ステップS32]マイクロコンピュータ22は、メモリ23へのスレッショルドの更新から所定時間経過しているか判断する。すなわち、スレッショルドの更新後、すぐに0.5V以上の電圧差が0.5秒続いた場合、更新されたスレッショルド自体が異常と判断し、しばらく経ってから0.5V以上の電圧差が0.5秒続いた場合、マイクロコンピュータ21,22の一方または両方が故障していると判断するためである。所定時間は、例えば、1秒と設定される。0.5Vの電圧差がスレッショルドの更新後1秒経過した後に発生した場合は、ステップS37へ進む。0.5Vの電圧差がスレッショルドの更新後1秒経過しないときに発生した場合は、ステップS33へ進む。
[ステップS33]マイクロコンピュータ22は、メモリ23に記憶されているスレッショルドが異常であると判断する。
[ステップS34]マイクロコンピュータ22は、メモリ23のスレッショルドを更新する。すなわち、マイクロコンピュータ22は、メモリ23に、図7のステップS12で読み込んだA/D入力ポートの電圧値を記憶する。
[ステップS35]マイクロコンピュータ22は、0.5Vの電圧差が0.5秒続かなかったので、信号sにノイズが重畳したと判断する。
[ステップS36]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21の判定結果と一致させるため、マイクロコンピュータ21のデジタルポートの判定結果を利用する。例えば、マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21に対して、信号sの状態が遷移したときは、その旨の情報を送信するように要求する。
[ステップS37]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21,22の一方、または両方が故障したと判断する。
このように、状態遷移情報を受信したときのA/D変換された電圧値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドとの違いが、所定時間続かない場合は、ノイズが信号sに
重畳していると判断する。この場合、マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21の判定結果を使用することにより、一致した信号sの判定を行うことができる。
また、状態遷移情報を受信したときのA/D変換された電圧値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドとの違いが、メモリ23のスレッショルド更新後、所定時間経過後に発生したかを判断することにより、スレッショルドに異常があるのか、マイクロコンピュータ21,22に異常があるのか判断することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。A/D変換部41のサンプリング周期と、信号sに連続的に重畳するノイズのピークとが一致している場合がある。この場合、状態遷移情報を受けてA/D変換された電圧値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドは異なり、回路等が正常であっても、異常であると判断してしまう場合がある。そこで、第3の実施の形態では、図7のステップS18の異常判定を行う処理において、A/D変換部41のサンプリング周期をずらすことによって、信号sの適正な状態遷移を判断できるようにする。なお、これらの処理は、図4で示したマイクロコンピュータ22のA/D変換部41が行い、他の部分は、第1の実施の形態と同様である。マイクロコンピュータ21の動作は、図6で示したフローチャートと同様であり、マイクロコンピュータ22の動作は、前述したように図7で示したステップS18の処理が異なる。従って、以下では、ステップS18の詳細な処理のみをフローチャートを用いて説明する。
図10は、第3の実施の形態に係るマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートその1である。マイクロコンピュータ22は、以下のステップに従って、異常判定の処理を実行する。
[ステップS41]マイクロコンピュータ22は、図7のステップS14の0.5V以上の電圧差が所定時間継続したか判断する。ステップS41では、0.5V以上の電圧差が連続的なノイズによるものか否かを判断するので、所定時間は、信号sに連続的なノイズが重畳する時間を考慮して決定し、例えば、0.5秒とする。0.5Vの電圧差が0.5秒続かない場合は、ノイズによらない異常と判断し、処理を終了する。0.5Vの電圧差が0.5秒続いた場合は、ノイズによる異常と判断し、ステップS42へ進む。
[ステップS42]マイクロコンピュータ22のA/D変換部41は、A/D変換のサンプリング周期をカウントするカウンタ変数の値を1加算する。
図11は、第3の実施の形態に係るマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートその2である。マイクロコンピュータ22のA/D変換部41は、例えば、1msなどの所定の周期において、以下のステップに従った異常判定の処理を実行する。
[ステップS51]マイクロコンピュータ22のA/D変換部41は、サンプリング周期をカウントするための変数CTに1を加算する。なお、図10のステップS42の処理が行われた場合も変数CTに1が加算される。すなわち、図10のステップS42の処理が行われた場合は、次のステップS52の判断タイミングがずれるため、A/D変換部41のサンプリング周期がずらされることになる。
[ステップS52]マイクロコンピュータ22のA/D変換部41は、変数CTが所定の値、例えば、4になったか判断する。変数CTが4であれば、ステップS53へ進む。変数CTが4でなければ、処理を終了する。なお、この所定の値(4)が、A/D変換のサンプリング周期を決定している。
[ステップS53]マイクロコンピュータ22のA/D変換部41は、A/D変換を実
行する。
[ステップS54]マイクロコンピュータ22のA/D変換部41は、変数CTを0にする。
[ステップS55]マイクロコンピュータ22は、A/D変換部41によって変換された電圧値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドとを比較し、信号sの状態遷移を判断する。
[ステップS56]マイクロコンピュータ22は、判定結果をマイクロコンピュータ21に送信する。マイクロコンピュータ21は、マイクロコンピュータ22からの判定結果を受信して、デジタルポートに入力されている信号sの状態が遷移したと判断する。すなわち、信号sにノイズが重畳している場合は、マイクロコンピュータ22がA/D変換のサンプリング周期をずらして、信号sの適正な判定を行うので、マイクロコンピュータ21は、マイクロコンピュータ22からの判定結果を受信して、信号sの状態遷移の判断を一致させるようにしている。
このように、A/D変換された電圧値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドとが異なっていても、A/D変換器22aのA/D変換タイミングをずらすことによって、回路等を適正に正常であるか異常であるか判断することができる。
また、信号sにノイズが重畳していると判断された場合、マイクロコンピュータ22がA/D変換のタイミングをずらして、適正に信号sの状態遷移を判断し、この判断結果をマイクロコンピュータ21に送信するので、マイクロコンピュータ21,22で一致した信号sの判定を行うことができる。
次に、本発明の第4の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。マイクロコンピュータ21が信号sの状態遷移を検出したときの信号sの電圧値と、マイクロコンピュータ22が状態遷移情報を受けてA/D変換により取得する信号sの電圧値は、通信時間によって差が生じてしまう。そのため、マイクロコンピュータ22がメモリ23に記憶するスレッショルドは、マイクロコンピュータ21のデジタルポートの実際のスレッショルドと異なってしまう。第4の実施の形態では、マイクロコンピュータ21,22のスレッショルドの違いが解消されるようにし、マイクロコンピュータ21,22の信号sの判定結果が一致するようにしている。
図12は、第4の実施の形態に係るマイクロコンピュータのスレッショルドの違いについて説明する図である。図の(a)は、マイクロコンピュータ21,22に実際に入力される信号sの波形を示す。(b)は、マイクロコンピュータ21のデジタルポートの内部波形を示す。デジタルポートの内部では、デジタルポートの有する過渡応答特性により、(b)に示すように信号sの立上りおよび立下りは実際の波形より遅れる。(c)は、マイクロコンピュータ21のデジタルポートの読み込み状態を示す。マイクロコンピュータ21は、(b)に示す波形を基に信号sの状態を読み込む。(d)は、マイクロコンピュータ22が、マイクロコンピュータ21から受信する状態遷移情報の波形を示す。マイクロコンピュータ22が受信する状態遷移情報は、マイクロコンピュータ21が認識した信号sの状態遷移から、通信時間分遅れる。(e)は、マイクロコンピュータ22のA/D変換器22aによってA/D変換される信号sのA/D変換値である。マイクロコンピュータ22のA/D変換器22aが(d)に示す状態遷移情報を受信して信号sをA/D変換するときは、通信時間分遅れた信号sの電圧値(スレッショルド)を読み込むことになる。従って、メモリ23には、デジタルポートの実際のスレッショルドとは異なった電圧値が記憶されてしまう。
このため、マイクロコンピュータ21とマイクロコンピュータ22の信号sの判断タイミングが異なってしまう。そこで、マイクロコンピュータ21の信号遷移判定部32は、(f)に示すように、(c)に示すデジタルポートの信号sの読み込みから、通信時間後に、信号sの状態が遷移したと判断する。つまり、マイクロコンピュータ21の信号遷移判定部32は、マイクロコンピュータ22の判断に合わせて、判断することになる。なお、通信時間は、使用する通信の規格または開発時に測定しておくことにより予めわかる。マイクロコンピュータ21,22の他の機能は、第1の実施の形態と同様であり、その詳細な説明は省略する。
ところで、A/D入力ポートも過渡応答特性を持っている。そこで、デジタルポートの過渡応答特性と、A/D入力ポートの過渡応答特性とが異なる場合、マイクロコンピュータ21の信号遷移判定部32は、A/D入力ポートの過渡応答特性も考慮して、信号sの状態遷移の判断を行う。例えば、A/D入力ポートの過渡応答特性によって、A/D入力ポートに入力される信号sが、デジタルポートに入力される信号sよりも遅れる場合、信号遷移判定部32は、この遅れ時間と通信時間の合計時間後に信号sの状態が遷移したと判断する。なお、過渡応答特性による遅れ時間は、回路仕様や製造時の測定によって予め知ることができる。
また、図4で説明した信号遷移判定部32,42は、予め過渡応答特性による遅れ時間が分かれば、その時間分前に信号sが状態遷移したと判断することにより、図12の(a)に示す実際の信号sの状態遷移を知ることができる。これにより、例えば、あるカウンタのカウンタ値を、過渡応答特性による遅れ時間分進めることにより、実際の信号sに対して同一タイミングの処理を行うことができる。
このように、通信時間や過渡応答特性の時間遅れを考慮することにより、マイクロコンピュータ21,22は、一致した信号sの判定を行うことができる。
次に、本発明の第5の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。第5の実施の形態では、デジタルポートを有するマイクロコンピュータが複数接続される場合について説明する。
図13は、第5の実施の形態に係るマイクロコンピュータのシステム図である。図において、図3と同じものには同じ符号が付してある。第5の実施の形態では、マイクロコンピュータ22は、さらに、マイクロコンピュータ51と通信ポートを介して接続されている。マイクロコンピュータ51は、デジタルポートを有し、このデジタルポートに信号sが入力される。また、マイクロコンピュータ51は、他のECU52と通信ポートを介して通信できるようになっている。
マイクロコンピュータ51は、図4で示したマイクロコンピュータ21と同様の機能を有している。マイクロコンピュータ51は、デジタルポートに入力されている信号sの状態が遷移すると、通信ポートを介し、状態遷移情報をマイクロコンピュータ22に送信する。マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ51から状態遷移情報を受信したときの信号sのA/D変換値を、マイクロコンピュータ51のデジタルポートのスレッショルドと推定して、メモリ23に記憶する。すなわち、マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ22,51のそれぞれのスレッショルドをメモリ23に記憶する。
マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21と同じタイミングの判定を行う場合、マイクロコンピュータ21に対応するスレッショルドをメモリ23から参照して行う。また、マイクロコンピュータ51と同じタイミングの判定を行う場合、マイクロコンピュータ51に対応するスレッショルドをメモリ23から参照して行う。
ところで、マイクロコンピュータ21,51のデジタルポートのスレッショルドは、大きく異ならないものが使用される。そこで、マイクロコンピュータ21,51の一方に異常が発生して、スレッショルドの差が大きく異なった場合、マイクロコンピュータ22は、予め決められている値に近い方のマイクロコンピュータ21,51のスレッショルドを採用して、信号sの状態遷移を判断する。例えば、マイクロコンピュータのデジタルポートのスレッショルドは、電源電圧の中間電圧であることが多い。電源電圧を5Vとすると、スレッショルドの差が大きく異なった場合、2.5Vに近いマイクロコンピュータ21,51のスレッショルドを採用して、信号sの状態遷移を判断する。
以下、マイクロコンピュータ22の異常判定の処理内容を、フローチャートを用いて説明する。
図14は、第5の実施の形態に係るマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートである。マイクロコンピュータ22は、以下のステップに従った異常判定処理を、例えば、1msなどの所定の周期で実行する。
[ステップS61]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21,51にトリガフラグを送信する。図14の処理は、例えば、1msごとに行われるので、トリガフラグは1msごとにマイクロコンピュータ21,51に送信される。マイクロコンピュータ21,51は、トリガフラグを受信して、信号sの状態が遷移した場合、状態遷移情報をマイクロコンピュータ22に送信する。
[ステップS62]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21,51のそれぞれから状態遷移情報を受信する。
[ステップS63]マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21,51のそれぞれから受信した情報遷移情報に応じて、A/D入力ポートの電圧値を読み込む。すなわち、マイクロコンピュータ22は、マイクロコンピュータ21,51のそれぞれに対応するスレッショルドを取得する。
[ステップS64]マイクロコンピュータ22は、メモリ23に記憶されているスレッショルドを更新する時期か判断する。スレッショルドを更新する時期であれば、ステップS65へ進む。更新する時期でなければ、ステップS66へ進む。
[ステップS65]マイクロコンピュータ22は、ステップS63で取得した電圧値(マイクロコンピュータ21,51のスレッショルドと推定される値)をメモリ23に記憶する。メモリ23には、マイクロコンピュータ21,51のそれぞれのスレッショルドが格納される。
[ステップS66]マイクロコンピュータ22は、ステップS63で読み込んだマイクロコンピュータ21,51のデジタルポートの、スレッショルドの差が所定値以上あるか判断する。例えば、0.5V以上あるか判断する。0.5V以上あれば、ステップS67へ進む。0.5V未満であれば、処理を終了する。
[ステップS67]マイクロコンピュータ22は、ステップS63で読み込んだマイクロコンピュータ21,51の電圧値(スレッショルド)のどちらが仕様等で決められているスレッショルドに近いか判断する。例えば、マイクロコンピュータ21,51のデジタルポートの仕様によるスレッショルドが2.5Vであるとすると、ステップS63で読み込んだマイクロコンピュータ21,51のスレッショルドのどちらが2.5Vに近いか判断する。マイクロコンピュータ21のスレッショルドが2.5Vに近ければ、ステップS68へ進む。マイクロコンピュータ51のスレッショルドが2.5Vに近ければ、ステップS69へ進む。
[ステップS68]マイクロコンピュータ22は、メモリ23に記憶されているマイクロコンピュータ21のスレッショルドを参照して信号sの遷移状態の判断を行う。
[ステップS69]マイクロコンピュータ22は、メモリ23に記憶されているマイクロコンピュータ51のスレッショルドを参照して信号sの遷移状態の判断を行う。
このように、マイクロコンピュータ21,51の一方に異常が発生した場合、適切な方のマイクロコンピュータ21,51の判定結果を利用することにより、フェイルセーフ動作が可能となる。
なお、図14のフローチャートでは、マイクロコンピュータ21,51のスレッショルドの差が0.5V以上となった場合、異常が発生したと判断して、適切な方のスレッショルドを採用するようにしたが、図13で示したECU52の判定結果を受信し、使用することもできる。ただし、ECU52は、マイクロコンピュータ51のデジタルポートと同じスレッショルドで信号sの状態遷移の判定を行い、正常に動作しているということが必要である。例えば、マイクロコンピュータ51のスレッショルドがマイクロコンピュータ21のスレッショルドより、2.5Vと大きく異なっているとする。この場合、マイクロコンピュータ51は、ECU52から信号sの状態遷移の判定結果を受信し、これに基づいて処理を行う。なお、図13では、ECU52の通信ポートは、マイクロコンピュータ51とのみ接続されているが、マイクロコンピュータ21と接続されていてもよい。マイクロコンピュータ21のスレッショルドがマイクロコンピュータ51のスレッショルドより、2.5Vと大きく異なった場合、マイクロコンピュータ21は、ECU52から信号sの状態遷移の判定結果を受信し、これに基づいて処理を行う。
また、マイクロコンピュータ22は、メモリ23に記憶されるマイクロコンピュータ21,51のスレッショルドの違いから、マイクロコンピュータ21,51の信号sの状態遷移を検出する時間差を算出し、マイクロコンピュータ21,51に送信するようにしてもよい。これによって、マイクロコンピュータ21,51は、送信された時間差を参照することにより、一致した信号sの判定を行うことが可能となる。
また、マイクロコンピュータ21,51のデジタルポートの過渡応答特性が大きく異なる場合は(例えば1ms以上)、デジタルポートのスレッショルドが同じであっても、信号sの判定結果が異なってしまう。この場合、マイクロコンピュータ21,51の一方の判定結果を他方に使用することにより、一致した信号sの判定を行うことができる。
また、マイクロコンピュータ21は、状態遷移情報が出力されたときの信号sのA/D変換値と、メモリ23に記憶されているスレッショルドとの差が所定値以上異なっているか判断することもできる。これによって、そのスレッショルドに対応するマイクロコンピュータを異常と判断することができる。
エンジン制御装置の概要を示した図である。 第1の実施の形態に係るエンジン制御装置のシステム構成例を示す図である。 制御部のシステム例を示した図である。 マイクロコンピュータの機能ブロック図である。 マイクロコンピュータのA/D変換器の入力段の回路例を示した図である。 デジタルポートを有するマイクロコンピュータの動作を示したフローチャートである。 A/D変換器を有するマイクロコンピュータの動作を示したフローチャートである。 A/D変換器を有するマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートである。 第2の実施の形態に係るマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートである。 第3の実施の形態に係るマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートその1である。 第3の実施の形態に係るマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートその2である。 第4の実施の形態に係るマイクロコンピュータのスレッショルドの違いについて説明する図である。 第5の実施の形態に係るマイクロコンピュータのシステム図である。 第5の実施の形態に係るマイクロコンピュータの異常判定の詳細を示したフローチャートである。 エンジン制御装置に適用されるマイクロコンピュータのシステム図である。 図15のマイクロコンピュータに入力される信号の波形を示した図である。 入力段にバッファ回路が挿入されたマイクロコンピュータのシステム図である。 図17のマイクロコンピュータに入力される信号の波形を示した図である。
符号の説明
1 第1のマイクロコンピュータ
1a デジタルポート
2 第2のマイクロコンピュータ
2a A/D変換器
3 メモリ

Claims (20)

  1. 入力される信号に応じてエンジン制御するエンジン制御装置において、
    前記信号が入力されるデジタルポートを有し、前記デジタルポートの前記信号が状態遷移したことを示す状態遷移情報を出力する第1のマイクロコンピュータと、
    前記信号が入力されるアナログ−デジタル変換器を有し、前記状態遷移情報が出力されたときアナログ−デジタル変換された前記信号の状態遷移判断値に基づいて、アナログ−デジタル変換される前記信号の状態遷移を判断する第2のマイクロコンピュータと、
    を有することを特徴とするエンジン制御装置。
  2. 前記第2のマイクロコンピュータは、前記状態遷移判断値を記憶装置に記憶し、前記記憶装置の前記状態遷移判断値を参照して、アナログ−デジタル変換される前記信号の状態遷移を判断することを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装置。
  3. 前記第1のマイクロコンピュータは、周期的に前記状態遷移情報を出力することを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装置。
  4. 前記第2のマイクロコンピュータは、前記状態遷移情報が出力されたときの前記状態遷移判断値と、前記記憶装置に記憶されている前記状態遷移判断値との差が所定値以上である場合、前記第1のマイクロコンピュータまたは前記第2のマイクロコンピュータに異常が発生したと判断することを特徴とする請求項2記載のエンジン制御装置。
  5. 前記アナログ−デジタル変換器は、一定電圧が入力される入力チャネルを有し、前記第2のマイクロコンピュータは、前記入力チャネルのアナログ−デジタル変換値に応じて、前記第1のマイクロコンピュータまたは前記第2のマイクロコンピュータの一方に異常が発生したと判断することを特徴とする請求項4記載のエンジン制御装置。
  6. 前記第2のマイクロコンピュータは、前記記憶装置に前記状態遷移判断値が記憶された後、所定時間内に前記差が前記所定値以上となった場合、前記記憶装置に記憶されている前記状態遷移判断値が異常と判断し、前記状態遷移判断値を更新することを特徴とする請求項4記載のエンジン制御装置。
  7. 前記第2のマイクロコンピュータは、前記差の前記所定値以上となっている時間が所定時間内である場合、前記信号にノイズが重畳されていると判断することを特徴とする請求項4記載のエンジン制御装置。
  8. 前記第2のマイクロコンピュータは、前記信号に前記ノイズが重畳されていると判断した場合、前記第1のマイクロコンピュータの判断を採用することを特徴とする請求項7記載のエンジン制御装置。
  9. 前記状態遷移は、前記信号の立上りと立下りとを含み、前記第1のマイクロコンピュータはそれぞれにおいて前記状態遷移情報を出力することを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装置。
  10. 前記第1のマイクロコンピュータは、前記状態遷移情報の前記第2のマイクロコンピュータへの通信時間を考慮して、前記信号の状態遷移の判断を行うことを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装置。
  11. 前記第1のマイクロコンピュータは、前記アナログ−デジタル変換器の過渡応答を考慮して、前記信号の状態遷移の判断を行うことを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装
    置。
  12. 前記アナログ−デジタル変換器は、前記状態遷移情報が出力されたとき、前記信号のアナログ−デジタル変換を行うことを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装置。
  13. 前記第2のマイクロコンピュータは、前記差の前記所定値以上となっている時間が所定時間経過した場合、前記信号にノイズが重畳されていると判断し、前記アナログ−デジタル変換器のサンプリング周期を変更することを特徴とする請求項4記載のエンジン制御装置。
  14. 前記第2のマイクロコンピュータは、電源電圧または前記信号のアース電圧の変動に応じて、前記状態遷移判断値を補正することを特徴とする請求項1記載のエンジン制御装置。
  15. 前記第1のマイクロコンピュータは、複数であり、前記第2のマイクロコンピュータは、前記第1のマイクロコンピュータのそれぞれにおける前記状態遷移判断値を前記記憶装置に記憶することを特徴とする請求項2記載のエンジン制御装置。
  16. 前記第2のマイクロコンピュータは、前記状態遷移情報が出力されたときの前記信号のアナログ−デジタル変換値と、前記記憶装置に記憶されている前記状態遷移判断値との差が所定値以上異なっているか判断することを特徴とする請求項15記載のエンジン制御装置。
  17. 前記第2のマイクロコンピュータは、前記第1のマイクロコンピュータ間の前記状態遷移判断値の差が所定値以上である場合、予め決められた値に近い前記状態遷移判断値を前記信号の状態遷移の判断に使用することを特徴とする請求項15記載のエンジン制御装置。
  18. 前記第1のマイクロコンピュータの前記デジタルポートの過渡応答特性が異なるとき、一の前記第1のマイクロコンピュータの判断結果を他の前記第1のマイクロコンピュータが使用することを特徴とする請求項15記載のエンジン制御装置。
  19. 前記第1のマイクロコンピュータは、前記第1のマイクロコンピュータ間の前記状態遷移判断値の差が所定値以上である場合、他のエンジン制御装置の判断を採用することを特徴とする請求項15記載のエンジン制御装置。
  20. 入力される信号の状態を判断するマルチマイクロコンピュータシステムにおいて、
    前記信号が入力されるデジタルポートを有し、前記デジタルポートの前記信号が状態遷移したことを示す状態遷移情報を出力する第1のマイクロコンピュータと、
    前記信号が入力されるアナログ−デジタル変換器を有し、前記状態遷移情報が出力されたときアナログ−デジタル変換された前記信号の状態遷移判断値に基づいて、アナログ−デジタル変換される前記信号の状態遷移を判断する第2のマイクロコンピュータと、
    を有することを特徴とするマルチマイクロコンピュータシステム。
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JP2012225299A (ja) * 2011-04-21 2012-11-15 Denso Corp インジェクタ駆動装置
JP2016133090A (ja) * 2015-01-21 2016-07-25 株式会社デンソー 燃料噴射制御装置

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