JP2006176536A - 腎臓上皮細胞に対するインビトロおよびインビボでの増殖促進タンパク質およびペプチド - Google Patents
腎臓上皮細胞に対するインビトロおよびインビボでの増殖促進タンパク質およびペプチド Download PDFInfo
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Abstract
速めるため手段の提供。
【解決手段】創傷増殖因子(Wound Growth Factor:WGF
)と称される、新規なマイトジェン性タンパク質のアミノ酸配列を有するものを
含むタンパク質およびペプチドのファミリー1、ならびに腎臓上皮細胞の増殖を
刺激もするそのNH2末端ペプチド(「WGF」は、親分子がマイトジェン活性を有する限り、親分子に由来する種々の長さのペプチドを包含する)。
【選択図】なし
Description
約22kDaおよび45kDaの分子量を有するタンパク質因子由来の新規の
増殖ペプチドは、上皮のマイトジェン的な活性を刺激するが、線維芽細胞、特に
培養中の腎臓上皮細胞は刺激しない。これらの増殖促進効果はまた、インビボで
実証された。
患である。急性の腎不全は、それまで正常であった腎機能の急激な崩壊として規
定される。これは、循環不全(ショック)、血管遮断、糸球体腎炎および尿流量
の閉塞を含む広範な種々のメカニズムにより起こる。さらに、これは、手術、外
傷、敗血症後、または特定の薬品、特に抗生物質および抗癌剤で起こり得る。
990年のNational Institutes of Health L
ong Range Planを参照のこと)。これらの症例に関連する処置の
平均コストは、9000ドルを超えた。過去数年間にわたる疾患の増加および正
常な上昇に基づいて、現在、240,000人もの患者が、患者1名あたり10
,000ドルを超えるコストで、毎年急性腎不全を発症していると推定された。
それは、1年あたりほぼ25億ドルの米国保険制度への総コストの動揺へ転換し
た。
1990年のNational Institutes of Health
Long Range Planから表1に見られ得るように、腎臓疾患は、
米国において主な医療コストに寄与するため、回復の期間を短縮する因子は、社
会にとって有益である。
り(National Institutes of Health,1995
)、そしてこの増加の高い割合は持続すると予測されるという事実である。腎不
全の発生数におけるこの上昇について与えられる理由は、腎不全の高い危険性を
有する「より病気の(sicker)」患者がより長期生存しているということ
である。
、65歳を越える患者は、45〜64歳の患者よりも急性腎不全のために5倍よ
り多く入院しやすい)は、いまや、重篤な医療事象(例えば、心臓発作、脳卒中
)ならびに複雑な手術から生存している。より洗練されたモニタリングシステム
およびライフサポートシステムを有する改良された病院の集中治療室はまた、「
より病気の」患者の生命保持を助ける。さらに、癌および生命を脅かす感染の処
置のための改良された治療剤は、しばしば腎毒性である。
、および有意により軽い誕生時体重でも生存している。このような幼児は、以前
は重篤な肺および心臓の問題を克服することが困難であったが、これらの問題は
、現在、改良された薬物および技術で、特に専門化された新生児集中治療室で、
首尾よく処置され得る。
るため、急性腎不全の症例数が、おそらくより早い速度でさえ増加し継ける見込
みがある。
処置の現在の方法は、代謝の不均衡を補正するために透析を実施することにより
腎臓を「休息させる」こと、および腎機能が自発的に回復することを待つことであ
る。
外循環およびフィルターを通じて(血液透析)、または腹膜を通じて人工的に除
去する技術である。このような不純物を除去することにより、腎不全から生じる
生命を脅かす代謝の不均衡は、補正され得、患者は安定化され得る。
する急性腎不全の効果を分析した近年の試験(Levyら、1996)は、以前
に公表された18の報告に基づいて、この割合を42%から88%の範囲である
と記している。これらの割合は、1950年代初頭から本質的に変化していない
ままである。1996年の試験自体では、急性腎不全を発症した入院患者の死亡
率は、腎不全のない同様の患者に比べて5倍高かった(34%対7%)。
症を発症させる危険性を上昇させるようであり、そして重症疾病の処置可能な合
併症としてみなされるべきではない」ということである。従って、急性腎不全の
迅速な改善が、重篤、かつしばしば致死的な腎以外の合併症の発生を防ぐことに
より、臨床的な過程をまたしばしば困難にした患者における致死の危険性を有意
に減少させ得るようである。
の1つであるということは長く知られている。腎臓が不可逆的に傷害を受けた場
合、そして腎臓細胞の大規模な壊死が存在する場合でさえ、ある程度、新しい細
胞増殖が生じるという強力な証拠が存在する。
重篤度を軽減し、そして急性腎不全の経過を短縮する治療的なアプローチである
ことが提唱されている。急性腎不全の処置としての増殖因子の使用は、Toba
ck(1984)により最初に提唱された。しかし、適切な増殖因子を見出すこ
とは、困難と判明した。このストラテジーのための原理は、いくつかの特定の増
殖因子タンパク質が同定された後になって発展された(MordanおよびTo
back,1984;Toback 1992;MendleyおよびToba
ck,1989;Toback 1992aおよび1992b)。しかし、ヒト
の処置において有用である因子はまだ確認されていない。
よび遊走の刺激に、そしておそらくさらに準致死的に傷害を受けた細胞の回復を
促進するようにインビボで作用する増殖因子は、有益である。特定の増殖因子は
、腎臓問題を有する患者の生存の上昇のために、十分な栄養、熱量および透析治
療と組み合わせて用いられ得る。例えば、増殖因子の投与は、以下をなし得る:
(1)急性腎不全が拒絶の増加と関連した状況での、死体の腎移植片を有する患
者において肯定的な結果を増加させること、(2)急性腎不全の期間を短縮し、
患者の生存を上昇させること、および(3)腎不全症候群の間の血液透析処置に
必要な日数を短縮すること。
それらは、細胞傷害のような刺激事象に応答して産生されるようである。さらに
、それらは、極度にわずかな量で産生され、そしてほんの短い時間だけ、検出可
能レベルで存在し得る。従って、それらを単離しそして同定することはかなり困
難である。
細胞の増殖刺激においていくぶん役割を有するようである。パラクリン因子は、
(それを産生した細胞でよりも)近接した細胞で作用するが、エンドクリン因子
は1つの細胞で産生され、そして別の離れた細胞で作用するように輸送(例えば
、血流により)される。代表的にはより大量に産生され、そしていくつかの自己
分泌因子よりも長い「半減期」を有するこれらの型の因子のうちのいくつかは、
発見され、そしてそれらのcDNAが同定されている。
いくつかの増殖因子は、回復の速度を増す際のその効力を決定するために、急
性腎不全ラットモデルにおいて試験されている。これらの試験の結果は、増殖因
子が腎臓の修復の加速において主な役割を果たし得るという理論に対する支持の
助長を与える。これらのうち最も重要な3つは以下である。
速すると報告されている(Coimbraら、1990)。しかし、EGFはま
た、骨由来のカルシウムを動員し、これはヒトにおけるその使用を妨げるようで
ある重篤な副作用であることが注目された。
かの試験は、この因子が実際に有効であることを確認する。しかし、ヒトIGF
−1の2つの臨床的試験においては、急性腎不全からの患者の回復の速度を増す
際に実質的な効果を有するようではなかった。
おけるヒトでの使用のためにすでに認められた骨増殖因子である。OP−1は、
ヒト腎臓の胚発生において重要な役割を果たし得るが、これが成人の腎臓細胞の
修復を補助するためにどのように働くのかは明確ではない。OP−1および他の
自己分泌性の腎臓増殖因子は一緒に、作用の相補的メカニズムを有し得ることは
可能である。
以前に同定された増殖因子に関する動物試験の結果は、助長されているが、現
在、これらの増殖因子で臨床的に用いられているものはない。特に注目されるの
は、上記の3つの増殖因子(EGF、IGF−IおよびOP−1)のための腎臓
のメッセンジャーRNAが、急性腎不全の間、腎臓において現実に減少すること
である。論理的に、増殖因子が、傷害の修復、および急性腎不全の後退において
有効である場合、このレベルは、臨床事象の間に、上昇することが期待される。
己分泌様式で細胞の増殖を刺激し得る。例えば、サル腎臓(BSC−1)細胞は
、「低カリウム増殖因子」を放出することによるカリウム濃度の減少を伴って培養
培地へ応答し、そして「低ナトリウム増殖因子」を放出することによりナトリウム
濃度を減少させる応答をする(MordanおよびToback,1984;W
alsh−Reitzら,1986;Tobackら,1992bおよび199
5)。
速めるための重要な必要性が存在する。
(項目1) タンパク質であって、以下の特徴:
a)HPLC精製したタンパク質をSDSポリアクリルアミド上で電気泳動することによって得られる、推定分子量45kDa;
b)培養細胞と接触するときに、分裂促進活性を刺激する能力;
を有し、そして、
c)引っかきによる損傷が生じることによって培養物中のBSC−1細胞により放出された、タンパク質。
(項目2) NH2−アラニンーグルタミンープロリンートリプシン/システインープロリンーグルタミンーグリシンーアスパラギンーヒスチジンーグルタミン酸ーX−アラニン/セリンーチロシンーグリシンーCOOHのアミノ末端に部分アミノ酸配列を有する、項目1に記載のタンパク質。
(項目3) タンパク質であって、以下の特徴:
a)HPLC精製したタンパク質をSDSポリアクリルアミド上で電気泳動することのよって得られる、推定分子量22kDa;
b)培養細胞と接触するときに、分裂促進活性を刺激する能力;
を有し、そして、
c)引っかきによる損傷が生じることによって培養物中のBSC−1細胞により放出された、タンパク質。
(項目4) NH2−アラニンーグルタミンープロリンーチロシン/システインープロリンーグルタミンーグリシンーアスパラギンーヒスチジンーグルタミン酸−アラニンートスレオニン−セリン−セリン−セリン−フェニルアラニン−COOHのアミノ末端に部分アミノ酸配列を有する、項目3に記載のタンパク質。
(項目5) NH2−チロシンーシステインープロリンーグルタミンーグリシンーアスパラギンーヒスチジンーCOOHを含む、ペプチド。パク質。
(項目6) 7〜16アミノ酸長を有する、項目5に記載のペプチド。
(項目7) 以下の群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドまたはタンパク質:
AQPY/CPQGNHEATSSSF;
AQPY/CPQGNHEATSSS;
AQPY/CPQGNHEA;
AQPY/CPQGNHEAT;
AQPY/CPQGNHEATS;
AQPY/CPQGNHEATSS;
AQPY/CPQGNHEAAYG;
AQPY/CPQGNHEAAY;
AQPY/CPQGNHEAAA;
AQPY/CPQGNHEAA;
AQPY/CPQGNHEA;
AQPY/CPQGNHE;
AQPY/CPQGNHEASYG;
AQPY/CPQGNHEASY;
AQPY/CPQGNHEAS;
AQPY/CPQGNH;
QPY/CPQGNHE;
PY/CPQGNHEA;
QPY/CPQGNH;
PY/CPQGNHE;
Y/CPQGNHEA;
PY/CPQGNH;
Y/CPQGNHE;
Y/CPQGNHEATSSSF;
Y/CPQGNHEATSSS;
Y/CPQGNHEATSS;
Y/CPQGNHEATS;および
Y/CPQGNHEAT。
(項目8) 項目1に記載のタンパク質を含む、組成物。
(項目9) 項目1に記載のタンパク質を含む、組成物。
(項目10) 項目7に記載のペプチドを含む、組成物。
(項目11) ペプチドYPQGNHまたはCPQGNHを含む、タンパク質。
(項目12) ペプチドAQPYPQGNHEASYGまたはAQPCPQGNHEASYGを含む、タンパク質。
(項目13) 以下の特徴:
i) SDSポリアクリルアミドゲル上でHPLC精製したポリペプチドを電気泳動することにより得られる、推定分子量約45kDa;
ii) 培養細胞と接触するときにマイトジェン活性を刺激する能力;
を有し、かつ
iii) 引っかきによる損傷が生じることより培養中のBSC−1細胞により放出された、
、タンパク質を作製するための方法であって、
該方法は、以下:
a) 培地中で腎臓上皮細胞を培養する工程、
b) 培養中の該細胞を引っかきによる損傷を生じさせる工程、および
c) 馴化培地から該タンパク質を得る工程、
を包含する、方法。
(項目14) 得られた前記タンパク質が、前記馴化培地から単離され、
そして精製される、項目11に記載の方法。
(項目15) 培養中の前記腎臓上皮細胞が、BSC−1アフリカミドリザル腎臓上皮細胞株由来である、項目11に記載の方法。
(項目16) 以下の性質:
i) SDSポリアクリルアミドゲル上でHPLC精製されたポリペプチドを電気泳動することにより得られる、推定分子量約22kDa;
ii) 培養細胞と接触する場合にマイトジェン活性を刺激する能力
を有し、かつ
iii) 引っかきによる損傷が生じることにより培養中のBSC−1細胞により放出された、
タンパク質を作製するための方法であって、
該方法は、以下:
a) 腎臓上皮培養物を得る工程、
b) 培養中の該細胞を引っかきによる損傷を生じさせる工程、および
c) 引っかきによる損傷が生じた細胞が培養される培地を馴化されるようにする工程、
を包含する、方法。
(項目17) 項目1に記載のタンパク質に対する抗体。
(項目18) ペプチドAQPYPQGNHEASYGまたはAQPCPQGNHEASYGに対する、抗体。
(項目19) 項目7に記載のペプチドに対する、抗体。
(項目20) 前記抗体がモノクローナル抗体である、項目17に記載の抗体。
(項目21) 前記抗体が、モノクローナル抗体である、項目19に記載の抗体。
(項目22) 項目1に記載のタンパク質を作製するための方法であって、該方法は、以下:
a) 該タンパク質またはペプチドをコードするヌクレオチド配列を得る工程;および
b) 遺伝子発現系において、該タンパク質またはペプチドを作製するために、該ヌクレオチド配列を用いる工程、
を包含する、方法。
(項目23) 生物学的試料において、WGFタンパク質またはそからのマイトジェンペプチドの量を測定するための診断キットであって、該キットは
、別々の容器に、以下:
a) 該WGFまたはそれからのマイトジェンペプチドに対する抗体;および
b) 該タンパク質またはマイトジェンペプチドと該抗体との間の特異的複合体を検出する手段、
を含む、キット。
(項目24) 項目23に記載の方法であって、前記マイトジェン活性ペプチドが、配列 チロシン/システイン/−プロリンーグルタミンーグリシンーアスパラギン ヒスチジンを有する、方法。
(項目25) 急性腎不全を伴うヒトを処置するための方法であって
a)薬理学的有効量のネイティブWGFタンパク質またはWGF誘導ペプチドを適切な希釈液中で調製する工程;および
b)該調製物を該ヒトに投与する工程
を包含する、方法。
(項目26) 前記WGFが、腎臓ガンの処置のために細胞溶解性リガンドに連結される、項目25に記載の方法。
(項目27) 前記細胞溶解性リガンドが、腎臓ガンの処置のために毒素を含む、項目25に記載の方法。
(項目28) 適切な希釈液中の薬理学的有効量のネガティブWGFタンパク質またはWGF誘導ペプチドを、新しい宿主への移植を意図されるヒトの腎臓にエキソビボで灌流する方法。
(項目29) 慢性腎疾患を伴うヒトを処置するための方法であって、a)適切な希釈液中に薬理学的有効量のネイティブWGFタンパク質またはWGF誘導ペプチドを調製する工程;および
b)有効量の該調製物を該ヒトに投与する工程
を包含する、方法。
(項目30) WGF誘導ペプチドの少なくとも1つの多量体を含む組成物であって、該ペプチドは、ヘキサペプチドNH2−Y/CPQGNH−COOH、22kDaおよび45kDaのWGFタンパク質の最初の10アミノ酸(AQPYPQGNHE)、14−Serペプチド(AQPYPQGNHEASYG)、および他のWGF配列、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、組成物。
(項目31) 少なくとも1つのWGF誘導ペプチドを含む組成物であって、少なくとも1つのアミノ酸が、得られるペプチドがそのマイトジェン活性を保持するように、天然に存在するアミノ酸、アミノ酸誘導体、または非天然アミノ酸で置換される、組成物。
(項目32) 少なくとも1つのWGF誘導ペプチドを含む組成物であって、該ペプチドは、マイトジェン活性を有するWGF誘導ペプチドとは、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失または挿入により、異なっているアミノ酸を有する、組成物。
(項目33) WGF誘導ペプチドまたはタンパク質の構造的なホモログでるペプチドまたはタンパク質を含む組成物であって、該ペプチドまたはタンパク質は、該WGF誘導ペプチドまたはタンパク質と少なくとも80%の相同性を有する、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列を有し、該組成物は、マイトジェン活性を示す、組成物。
(項目34) WGF誘導ペプチドまたはタンパク質の少なくとも1つ構造的に改変されたアイソフォームを含む組成物であって、該アイソフォームは、グリコシル化、硫酸化、またはミリスチル化のうちの1つの機構によって翻訳後改変され、かつ
該組成物は、マイトジェン活性を有する、組成物。
(項目35) ネイティブWGFタンパク質およびWGF誘導ペプチドが、マイトジェンシグナル伝達を開始するために結合する細胞表面レセプターを含む、組成物。
(項目36) WGFタンパク質または少なくとも1つのWGF誘導ペプチドを、他の公知の増殖因子および/または栄養素との組み合わせて含む、組成物。
(項目37) 急性腎不全または慢性腎疾患を伴うヒトを処置することに使用される、項目36に記載の組成物。
(項目38) ネイティブWGFタンパク質およびWGF誘導ペプチドのマイトジェン効果をブロックする、ペンタペプチド。
(項目39) YPQGNのアミノ酸配列を有する、項目38に記載のペンタペプチド。
(項目40) PQGNHのアミノ酸配列を有する、項目38に記載のペンタペプチド。
(発明の要旨)
本発明は、創傷増殖因子(Wound Growth Factor:WGF
)と称される、新規なマイトジェン性タンパク質のアミノ酸配列を有するものを
含むタンパク質およびペプチドのファミリー1、ならびに腎臓上皮細胞の増殖を
刺激もするそのNH2末端ペプチドを含む。(1:一般に、「タンパク質」は、約
50アミノ酸以上の分子について用いられる用語である。ペプチドはより小さい
)。「生物学的に活性なWGF」は、本明細書において、培養された腎臓細胞に
おけるマイトジェン活性を刺激する因子として規定され、そして一般に、本明細
書において「WGF」によって意味されるものである。「WGF」は、親分子が
マイトジェン活性を有する限り、親分子に由来する種々の長さのペプチドを包含
する。適切な「WGF由来ペプチド」は、アミノ酸置換、付加または欠失が生じ
たペプチドであるが、このペプチドはマイトジェン活性を刺激し、そしてその作
用がペンタペプチドYPQGNまたは活性をブロックする任意の他のペプチドに
よりブロックされるペプチドである。少なくともペンタペプチドYPQGNが細
胞のWGFレセプターへの接近をブロックすることが考えられる。好ましいヘキ
サマー(6マー)配列である、NH2−チロシン/システイン−プロリン−グル
タミン−グリシン−アスパラギン−ヒスチジン−COOH(Y/CPQGNH)
は、一般に、このペプチドに含まれる。(1か所でのアミノ酸間のスラッシュは
、いずれか1つがそこに存在することを示す)。
初、創傷増殖因子(WGF)と名付けられたタンパク質を特徴付けるとして言及
された、アミノ酸配列由来の生物学的増殖促進タンパク質およびペプチドに関す
る。さらなる分析は、最初は以下の2つの分子量の因子を示した:
WGF由来の本発明の新規なペプチドの実施態様は、培養におけるサル腎臓上
皮細胞のための強力なマイトジェン因子であり、このペプチドは、14のアミノ
酸配列,AQPYPQGNHEASYGを含む。この14アミノ酸のペプチド(
14マー)は、それが12位でセリン残基を有することを示すために「14−S
er」と呼ばれる。他の公知の腎臓増殖因子マイトジェン因子と比較して配列Y
PQGNHもしくはCPQGNHを含むこのペプチド、または天然の完全長WG
Fは、以下の他の公知の因子に付加的であるか、等価であるか、またはより強力
であるかのいずれかであるマイトジェン効果を有する:例えば、上皮性増殖因子
、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、インスリン様増殖因子
−I、バソプレシン、または仔ウシ血清。
な引っかき傷を受けた場合、培養培地中に放出される。これは新しい知見であっ
た。すなわち、増殖因子が引っかき傷をつけられた腎臓上皮細胞から放出され、
そして同じ型の細胞の増殖を刺激し得る。従って、それは自己分泌性増殖である
。因子を放出する細胞の供給源は、BSC−1細胞株(形質転換されていないア
フリカミドリザル腎臓上皮細胞)(ATCC CCL 26/BS−C−1)で
ある。これらのペプチドはまた、ペプチド合成および組換え遺伝子技術を含む当
業者に周知の技術により合成され得る。
性化により媒介されるようである。これについての証拠は、以下の種々のプロテ
アーゼインヒビターのそれぞれによる10分間の細胞のプレインキュベーション
が創傷後の増殖促進活性の出現を妨害したことである:アプロチニン、フェニル
メチルスルホニルフルオリド(Sigma)(PMSF)、アンチパイン、L−
1−クロロ−3−(4−トシルアミド)−7−アミノ−2−ヘプタノン−ヒドロ
クロリド(TLCK)またはα2−マクログロブリン。これらの薬剤のどれも、
創傷を受けていない培養物の細胞に加えた場合、細胞の増殖を阻害しなかった。
WGFマイトジェン活性の出現後に、培地に添加された場合、PMSFもアプロ
チニンも、細胞の増殖における増加を阻害しないようであった。HPLCで精製
したWGFは、プロテアーゼであるようではない。なぜなら、Protease
Substrate Gel tablets(BioRad)を用いてアッ
セイした場合、このWGFはタンパク質分解活性を示さなかったからである。
な引っかき傷をつけられた腎臓上皮細胞の培養培地中に放出された後、増殖促進
活性を示す。この増殖促進活性を担う成分の単離および精製は、成分が22およ
び/または45キロダルトン(kDa)の相対的分子量(Mr)を有するように
、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミド電気泳動上でふるま
うことを示した。さらなる分析は、WGFが3T3線維芽細胞についてのマイト
ジェン因子ではなく、サル腎臓BSC−1細胞についてのマイトジェン因子であ
るタンパク質であることを示した。WGFの放出はまた、元々、相対的に腎臓上
皮細胞型特異的であるようである。なぜならWGFは、培養中でBSC−1細胞
の創傷後に出現するが、培養中での線維芽細胞の創傷後には出現しないからであ
る。
たタンパク質である:
a)約45kDaおよび/または22kDaの推定分子量(この推定は、SD
S−ポリアクリルアミドゲルでのHPLC精製タンパク質の電気泳動により得ら
れる);
b)培養された細胞と接触させた場合、マイトジェン性活性を刺激し得ること
;および
c)引っかき傷つけにより培養物においてBSC−1細胞により放出されるこ
と。
詳細には、天然状態から単離された45kDaタンパク質は、以下のようにその
アミノ末端で部分的なアミノ酸配列を有する:NH2−アラニン−グルタミン−
プロリン−チロシン/システイン−プロリン−グルタミン−グリシン−アスパラ
ギン−ヒスチジン−グルタミン酸−X−アラニン/セリン−チロシン−グリシン
−COOH(X=未特定のアミノ酸)。
DS−ポリアクリルアミドゲルでのHPLC精製タンパク質の電気泳動により得
られ、そしてこれは以下のようにそのアミノ末端での部分的なアミノ酸配列を得
る:NH2−アラニン−グルタミン−プロリン−チロシン/システイン−プロリ
ン−グルタミン−グリシン−アスパラギン−ヒスチジン−グルタミン酸−アラニ
ン−トレオニン−セリン−セリン−セリン−フェニルアラニン−COOH。
、ヘパリン親和性クロマトグラフィーおよび逆相(RP)高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)を利用する。WGFタンパク質の収率は、通常、1リットル
の馴化培地あたり約50ngのタンパク質の範囲で非常に低いが、6,400倍
の精製が達成される。
ンパク質)と平行に、SDSゲルでHPLC精製WGFを電気泳動すること、ゲ
ルを2mm幅のゲル画分にスライスすること、緩衝液中でそれぞれの画分を溶出
すること、次いでBSC−1細胞の培養物を用いてマイトジェン活性について抽
出物をアッセイすることにより規定された。この実験ストラテジーは、WGFタ
ンパク質が22kDaおよび45kDaの推定Mrを有し、そしてマイトジェン
性であることを示した。
クは、線維芽細胞ではなく、腎臓上皮に対する増殖促進活性を示し、そして銀染
色によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動上でいくつかのバンドを産生
した。
を確認した。微量配列決定は、22kDaイソ型のアミノNH2末端の最初の1
6アミノ酸を示した:NH2−アラニン−グルタミン−プロリン−チロシン/シ
ステイン−プロリン−グルタミン−グリシン−アスパラギン−ヒスチジン−グル
タミン酸−アラニン−トレオニン−セリン−セリン−セリン−フェニルアラニン
−COOH。45kDaイソ型について、アミノ末端での14のアミノ酸が、同
定された:NH2−アラニン−グルタミン−プロリン−チロシン/システイン−
プロリン−グルタミン−グリシン−アスパラギン−ヒスチジン−グルタミン酸−
X−アラニン/セリン−チロシン−グリシン−COOH。11位でのアミノ酸の
同定は未確定(X)であり、4位でチロシン(Y)もしくはシステイン(C)で
あるか、または12位でアラニン(A)もしくはセリン(S)であるか否かを決
定することは不可能である。National Center for Bio
technology Information(NCBI)により取り扱われ
るExperimental GENINFO(R)BLAST Networ
k Service(Blaster)の7つのペプチド配列データベースの検
索は、このアミノ末端配列が新規なタンパク質のアミノ末端配列であることを示
した。
マイトジェンの比活性を有しているというさらなる知見であった。この知見は、
非常に重大である。なぜならこれらの短いペプチドは:(1)抗原性にはほとん
どなりそうにない(すなわち、それらは免疫系に拒絶されることなく、別の動物
またはヒトに直接注入され得る)、そして(2)それらは、最初に、完全な22
または45キロダルトンタンパク質をコードし、次いで組換えタンパク質を発現
するするcDNAクローンを見出す必要なく、ペプチド合成機を用いて、容易に
大量に調製され、そして改変され得る、からである。
ジェン活性を発現する合成ペプチドが産生された。特に興味深いのは、その配列
が、22kDaタンパク質の最初の11のアミノ酸残基に基づき、そしてマイト
ジェン活性を示す合成ペプチドである。さらに、因子の短いペプチドドメインで
ある他のポリペプチドもまた、本発明の範囲内である。ヘキサマーは、マイトジ
ェン活性を維持したままである最小のペプチドであった(YPQGNHまたはC
PQGNH)。
ギン−ヒスチジン−COOHのアミノ酸配列を含むペプチドは、本発明の実施に
適している。一般的に、このペプチドは、7〜16アミノ酸長を有するが、マイ
トジェン性機能および/または抗原性機能が保存される場合には、他の長さもま
た、適している。
−アミノ酸ペプチドの両方は、AQPYPQGNHEASYGのマイトジェン効
果をブロックする。グリコサミノグリカン、ヘパリンおよびケラタン硫酸の各々
は、このペプチドのマイトジェン効果を増強する。
を変化させる能力について、配列AQPYPQGNHEASYG(14−Ser
)および創傷増殖因子アイソフォームのNH2末端由来の他の関連ペプチドを有
するペプチドを、評価した;この症候群は、一般に、ヒトを苦しめる。
し、そしてその後の7日間に血清クレアチニン濃度を測定することによって評価
される、腎機能の生存を増強し、そして回復を加速する能力について、各々のペ
プチド溶液を評価した。
プチド(100μg)のS.C.投与は、2日後の腎機能の回復を有意に改善し
、そして3日後の生存を改善した。腎機能の生存および回復におけるこのペプチ
ドの有利な効果はまた、腎毒性ARF症候群の誘導の16.5時間後または24
時間前にそれを投与した場合に観察された。
では、クランプを除去した一時間後のAQPYPQGNHEASYGペプチド(
100μg)の投与はまた、腎機能の生存を改善し、そして回復を増強した。
使用することによって、このペプチドが、塩化第二水銀誘導性腎損傷の部位に近
接する細胞でのDNA合成を刺激することにより腎機能の生存および回復を改善
するという証拠を得た。このペプチドは、腎損傷の24時間前に与えられた場合
、生存を促進する点では、このモデル系での既知の効力の物質である上皮増殖因
子よりも強力であり、そして腎損傷の直後に与えられた場合、等価であった。こ
のペプチドを用いる処置に応答する腎機能の改善した生存およびより迅速な回復
は、腎毒性ならびに虚血性ARFを有するヒトにおいて期待される。
AQPY/CPQGNHEATSSSF;
AQPY/CPQGNHEATSSS;
AQPY/CPQGNHEA;
AQPY/CPQGNHEAT;
AQPY/CPQGNHEATS;
AQPY/CPQGNHEATSS;
AQPY/CPQGNHEAAYG;
AQPY/CPQGNHEAAY;
AQPY/CPQGNHEAA;
AQPY/CPQGNHE;
AQPY/CPQGNHEASYG;
AQPY/CPQGNHEASY;
AQPY/CPQGNHEAS;
QPY/CPQGNHEA;
AQPY/CPQGNH;
QPY/CPQGNHE;
PY/CPQGNHEA;
QPY/CPQGNH;
PY/CPQGNHE;
Y/CPQGNHEA;
PY/CPQGNH;
Y/CPQGNHE;
Y/CPQGNHEATSSSF;
Y/CPQGNHEATSSS;
Y/CPQGNHEATSS;
Y/CPQGNHEATS;および
Y/CPQGNHEATを含む。
パク質のマイトジェン性フラグメントである。
アイソフォーム)は、それらのアミノ酸配列において、または翻訳後修飾(例え
ば、グリコシル化)のような配列の改変を含まない方法において、あるいはその
両方において異なり得る。アミノ酸配列の改変体は、NH2末端ペプチドまたは
WGFタンパク質の1つ以上のアミノ酸が、異なる天然に生じるアミノ酸、アミ
ノ酸誘導体、または非天然アミノ酸で置換された場合に、生成される。特に好ま
しい改変体は、代表的には、天然WGFタンパク質アイソフォーム、天然に生じ
るWGFタンパク質の生物学的に活性なペプチド、ならびにタンパク質またはペ
プチドの二次構造および疎水性の性質に最小限の影響を有する1つ以上の保存的
アミノ酸置換によって野生型配列とは配列が異なる合成ペプチドを含む。改変体
はまた、WGFペプチドまたは全長タンパク質の生物学的活性、すなわち、マイ
トジェン活性を破壊しない1つ以上の非保存的アミノ酸の置換、欠失または挿入
により異なる配列を有し得る。
作製された分子が機能的に不活性なコントロールペプチドと比較してBSC−1
1細胞の増殖を15〜35%刺激することを実証するマイトジェンアッセイを使
用することによって、構築され得る。これらの「等価な」または「保存的な」置
換を用いて構築されるペプチドは、腎上皮細胞増殖を刺激し得るか、阻害し得る
か、または影響し得ない。「保存的置換」についてのガイドは、表2で示される
。置換を有するペプチドの合成は、当業者によって容易に実行され、そしてこの
マイトジェンアッセイは、容易に実行される。従って、本発明の範囲内のペプチ
ドは、容易に決定される。
のアミノ酸の置換を含む。このような置換は、以下:バリン、グリシン、;グリ
シン、アラニン;バリン、イソロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アス
パラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびフェ
ニルアラニン、チロシンの対または群の範囲内である。非極性(疎水性)アミノ
酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニ
ン、トリプトファンおよびメチオニンを含む。この極性中性アミノ酸は、グリシ
ン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミ
ンを含む。正荷電(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジンおよびヒスチジン
を含む。負荷電(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む
。
ein Sequence and Structure中のDayhoffに
より記載されている。
本明細書中で記載されるように、微量配列決定後のクロマトグラムの分析は、
WGFアイソフォームのNH2末端における特定のアミノ酸残基の正体が不明瞭
であることを示した。妥当と思われるアミノ酸の各々を使用して特定の合成ペプ
チドを調製することは、異なるマイトジェン能力を有するWGF由来の分子の同
定を可能にした(表3)。
範囲内である。
a)培地において腎上皮細胞を培養する工程、
b)培養中の細胞を掻き取り創傷する(scrape−wounding)工程
、および
c)馴化培地からタンパク質を得る工程を含む。
得られたタンパク質は馴化培地から単離され、そして精製される。培養中の腎上
皮細胞の供給源は、BSC−1アフリカミドリザル腎上皮細胞株である。
程:
a)タンパク質またはペプチドをコードするヌクレオチド配列を得る工程;およ
び
b)遺伝子発現系において、ヌクレオチド配列を使用し、タンパク質またはペプ
チドを作製する工程を含む。
本発明のペプチドはまた、細胞または分子生物学的技術によらずに、ペプチド合
成機で直接的に調製され得る。
の利用可能性は、尿、血液および組織における、この因子およびその派生するマ
イトジェン性ペプチドの量を測定する診断的な道具を提供する。新規な診断的洞
察は、感染または悪性疾患の処置の間に腎毒性能力を有する薬物を受けている患
者において、および腎損傷または新形成を有する個体において容易にされる。こ
のような抗体はまた、慢性的な腹膜透析および/または血液透析をうけている患
者の残りの腎臓において、腎臓癌を検出するために使用され得る。この抗体は、
例えば、一般的にY/CPQGNHを含む、タンパク質またはこの活性部位を含
むペプチドを指向する。
性ペプチドの量を測定し、生物学的サンプルにおいては急性腎損傷または腎臓疾
患の早期発症を検出し、腎細胞癌の処置をモニターし、または慢性的な透析患者
における良性腎嚢胞の癌腫または嚢胞腺癌への転換を認識する。このキットは、
別個の容器において以下:
a)WGFに対するかまたはそれ由来のマイトジェン性ペプチドに対する抗体;
ならびに
b)WGFタンパク質またはマイトジェン性ペプチドと、この抗体との間の特異
的複合体を検出するための手段を含む。
コントロールおよび緩衝液もまた、含まれ得る。
を含み、前記調製する工程が、ペプチドを入手する工程、そしてそれらを適切な
キャリアに加える工程を包含する。このようなキャリアは、当該分野において周
知である。
る抗体は、臨床医学において多様な用途を有する。このWGFペプチドは、腎細
胞増殖を刺激するために有用であり、急性腎不全の処置に対して有用な特徴であ
る。急性腎不全の患者、特に増殖能力が低下した死体の腎移植を受けている急性
腎不全の患者において、回復を加速することが特に好ましい。患者へのタンパク
質またはペプチドの注入は、急性腎不全エピソードの持続時間を短縮すること(
これは、患者の生存を増加させる)、そして腎不全症候群の間の血液透析処置の
ために必要とされる日数を減少させることに関する。このペプチドはまた、他の
候補増殖因子についてインビトロでの比較標準を提供する。1つまたは多数のペ
プチドが、使用され得る。
行を遅くする治療剤としての役割を有することが期待される。WGFおよびその
レセプターは、腎上皮細胞の表面上に存在するようである。WGFが、ネフロン
に沿った特定の腎上皮細胞型の表面上のレセプターに対するリガンドであること
が見出される場合、それは、癌化学療法において考慮されるべきである。それが
癌細胞型特異的であることが見出される場合、この増殖因子は、細胞毒素、放射
性同位元素、または細胞傷害性抗体と結合体化され、強力な新規の化学療法剤を
生じ得る。
おいて薬理学的に有効量の天然WGFタンパク質またはWGF由来ペプチドを調
製する工程;およびb)このヒトにこの調製物を投与する工程を含む。このWG
Fは、細胞溶解性リガンド(例えば、毒素)に連結され得る。
、急性腎不全を有するヒトを処置する際に有用な組成物を得ることに関する。
マイトジェン活性を増加させる際に、より有効であり得る。マルチマーは、同種
のペプチド、例えば、ヘキサペプチドY/CPQGNHのマルチマーから形成さ
れ得るか、またはWGFからのペプチドの組み合わせであり得る。組成物は、ヘ
キサペプチドNH2−Y/CPQGNH−COOH、または22−kDおよび4
5−kDのWGFタンパク質の最初の10アミノ酸(AQPYPQGNHE)、
またはこの14−Serペプチド(AQPYPQGNHEASYG)、または他
のWGF配列のマルチマー、あるいは本明細書中に開示される任意のペプチドの
組み合わせからなる群の1つから作製されるWGF由来ペプチドの少なくとも1
つのマルチマーを含み得る。
上のアミノ酸は、生じる改変体がそのマイトジェン活性を保持する限り、天然に
生じるアミノ酸、アミノ酸誘導体、または非天然アミノ酸で置換され得る。適切
なWGF由来ペプチドは、マイトジェン活性を有する別のWGF由来ペプチドと
は少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、または挿入によって異なるアミノ酸
配列を有し得る。
してマイトジェン活性を示すWGFタンパク質の構造的ホモログを含む組成物は
また、本発明の範囲内である。
飾され、マイトジェン活性を保持するWGFタンパク質の少なくとも1つの構造
的に変化したアイソフォームを含む組成物もまた、本発明の範囲内である。
合し、マイトジェンシグナル伝達を開始する、細胞表面レセプターを含み得る。
タンパク質またはWGF由来ペプチドを含み得る。
および/または栄養素とともに、薬理学的に有効量の天然WGFタンパク質また
はWGF由来ペプチドを調製する工程;ならびにb)有効量の調製物を腎臓に問
題を抱えるヒトに投与する工程によって、腎不全または腎機能不全の処置方法の
ために有用である。
(腎細胞培養物からの創傷増殖因子の産生)
コンフルエント単層培養物を、200μLのピペットチップ(Contine
ntal Laboratory Products、San Diego、C
A)を使用して機械的に掻き取った。顕微鏡下で観察した場合、この掻き取る工
程は、この細胞を傷付けず、これらの細胞を互いに分離し、そして収縮を引き起
こし、培養ディッシュにおいて肉眼で見られ得る狭い小道を残すのみのようであ
った。細胞を掻き取るこのプロセスは、「創傷」と呼ばれており、長年、モデル
系として眼の角膜剥離の修復を研究するために使用されている(Joyceら、
1990)。実質的に、細胞間接着を破壊するのに十分な圧力を細胞に適用する
。腎上皮細胞が、創傷後にオートクライン因子を培地に放出したか否かを決定す
るために、BSC−1細胞の単層を掻き取り創傷(scrape−woundi
ng)した後に、培養ディシュから馴化した培養培地を取り出した。非創傷性「
検出器」培養物(55mmディッシュ当たり1.2×106細胞)において、任
意の増殖促進活性についてアリコートをアッセイした。
4日後に検出器培養物中の細胞数を計数することによって、および非創傷培養
物からの培地のアリコートが添加されていたコントロール培養物中の細胞数とそ
の数を比較することによって、馴化培地のアリコートにおける増殖促進活性をア
ッセイした。このストラテジーは、BSC−1株の創傷性腎上皮細胞が最初に「
創傷増殖因子」と名付けられた増殖促進活性を放出することを示した。3T3繊
維芽細胞は、同様の効果を生じなかった。
し、そして血球計数板においてアリコートを計数した。このアッセイについては
、WGFに曝露された細胞が2.6×106細胞/培養物の細胞数を有するよう
にコンフルエントな培養物を使用したが、非創傷培養物からの培地のアリコート
で処理された細胞は、この添加の4日後に2.0×106の細胞数を有した。従
って、WGFは、このアッセイにおいて細胞増殖を30%刺激した。高密度な静
止状態の培養(3×106細胞/55mmディッシュ)を使用し、DNAへの[3
H]チミジン取り込みを測定することによってマイトジェン活性をアッセイした
場合、WGFは、DNAの合成を約60%増強した。WGFを調製するために、
細胞は1日おきに掻き取り創傷され得るが、最大活性は、馴化培地に放出される
。WGFは、BSC−1細胞の低密度培養物およびコンフルエント培養物の両方
についてマイトジェン性であり、そして4℃〜−40℃での何週間もの貯蔵で安
定である。
BSC−1細胞の切屑創傷培養物の馴化培地における増殖促進活性の検出後、
マイトジェン因子のサイズおよび組成を決定する努力が行われた。最初に、異な
る分子量カットオフを有するフィルターを利用して、増殖促進活性が、100k
Daのカットオフを有するAmicon YM膜を通過するが、30kDaのカ
ットオフを有するメンブレンにより保持されることを示した。このことは、マイ
トジェン因子のサイズが、30kDaよりも大きいが、100kDa未満である
ことを示唆する。これらのメンブレンは、マイトジェン因子のサイズについての
非常に粗い評価しか提供しない。
なら、この活性は、トリプシン(100μg/mlで3時間)、ジチオトレイト
ール(65mMで1時間)、酢酸(1Mで5時間)、または熱(70℃で20分
間)に対する曝露により破壊され得たからである。
acia)を用いて、WGFに対する正味の電荷の特徴付けが求められた。結果
は、WGFがカチオン性であることを示した。続いての実験は、WGFがヘパリ
ンカートリッジ(Pharmacia Hi Trap Heparin)に堅
固に結合し、ヘパリンカートリッジからWGFは、0.4〜1.0M塩化ナトリ
ウムを用いて溶出され得ることを示した。
ブロックすることが公知であるペントサンポリ硫酸(Sigma Chemic
al,St.Louis)はまた、WGFの活性をブロックし、WGFがカチオ
ン性分子であることを示唆した。C4逆相HPLCカラム(Vydac)におけ
る研究は、WGF増殖促進活性をこのカラムから溶出するために55%アセトニ
トリル(J.T.Baker,HPLCグレード)の濃度が必要とされたので、
このタンパク質が著しく疎水性であることを示した。WGF活性はまた、0.1
%トリフルオロ酢酸(TFA)(J.T.Baker,HPLCグレード)およ
びイソプロパノール中で安定であった。
定の画分はまた、コンカナバリンA−Sepharose 4B(Pharma
cia LKB)に結合し、そしてα−メチルマンノシドにより溶出し、この因
子が炭水化物を含有することを示唆する。最大の増殖促進活性を示したHPLC
カラムからの4つの画分(WGFと称された、55%アセトニトリルで溶出した
画分を含む)は、各々、コンカナバリンA−Sepharoseに曝露され、続
いてα−メチルマンノシドに曝露された。次いで、この溶出物は、その増殖促進
活性についてアッセイされた。コンカナバリンA−Sepharoseに結合し
た、55%および49%アセトニトリルでHPLCカラムから溶出した画分は、
α−メチルマンノシドにより溶出され、そして充分に活性であった。対照的に、
46%もしくは57%アセトニトリルで溶出した画分、またはコントロールのマ
イトジェンとして用いた、糖タンパク質ではない、純粋な上皮増殖因子は、コン
カナバリンAに結合しなかった。これらの結果は、ネイティブなWGFが糖タン
パク質であることを示唆した。
種々の型の細胞、内皮細胞の切屑創傷は、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF
)を放出するが、腎臓細胞WGFの特徴付けは、WGFがaFGFとは異なるこ
とを示した。この証拠は以下の通りである:(1)各成分がBSC−1細胞に添
加された場合に、ヘパリン(Sigma)は、WGFのマイトジェン活性を増強
するが、aFGFを阻害する、(2)ケラタン硫酸(細胞外マトリックスのグリ
コサミノグリカン成分)は、WGFのマイトジェン活性を刺激するが、aFGF
の活性に対しては効果を有さない、(3)WGFおよびaFGFの最大濃度のマ
イトジェン効果は相加的である、および(4)WGFのサイズは約45kDaで
あるがaFGFのサイズは約16kDaである。
GF(Gibco/BRL)はヘパリンアフィニティーカラムから1.5〜1.
6M NaClで溶出するが、WGFは0.4〜1.0M NaClで溶出する
、および(2)bFGFのマイトジェン活性は55%アセトニトリル/0.1%
(TFA)により90%阻害されるが、これはWGFの活性に対しては効果を有
さない。さらに、aFGFおよびbFGFのmRNAは、BSC−1細胞のノー
ザンブロッティングにより検出されず、このことは、これらの増殖因子をコード
する遺伝子がこの細胞によって発現されないことを示した。
濃度のマイトジェン効果もまた相加的であり、このことは、これらがおそらくそ
れらのマイトジェン効果を異なるレセプターおよびシグナル伝達経路によって発
揮することを示す。
)による処理は、培養培地中に細胞からWGFマイトジェン活性を放出させたが
、ヘパリナーゼIII(Sigma)による処理では放出しなかった。しかし、
これは、少なくとも一時的にWGFを枯渇したことによるようである。細胞を最
初にヘパリナーゼIで処理し、リンスし、培地を吸引し、次いで単層を切屑創傷
した場合、増殖促進活性は馴化培地において検出されない。これらの観察は、W
GFの原形質膜(創傷またはヘパリナーゼIでの処理の際に原形質膜からWGF
が放出される)への会合を媒介するヘパリン様分子(例えば、グリコサミノグリ
カン)の役割を示唆する。
している炭水化物残基によって、および/または原形質膜に接着したグリコサミ
ノグリカン(グリコカリックス)との会合によって、トリプシンによる分解から
保護されているようである。この形成に好都合である証拠は、以下の実験から誘
導される。細胞単層を、タンパク質分解性酵素であるトリプシン(1または10
μg/ml)に10分間曝露した。この酵素は以前、WGF活性を破壊する能力
を有することが示された。次いで、ダイズトリプシンインヒビター(10μg/
ml)を添加してこの酵素を中和した。続いて細胞単層が傷付けられた場合、充
分に生物学的に活性なWGFが、培養培地中に放出され、このことから、外因性
トリプシンが、この細胞に会合した増殖因子を破壊しなかったことが示された。
である。この結論は、以下の実験に基づく。BSC−1細胞のコンフルエントな
単層を、EGTA(J.T.Baker)の培地への添加によりECMから脱離
し、ECMのコーティングを培養皿の表面上に残した。新鮮な培地をこの皿に添
加し、次いでそのECMコーティングを切屑創傷に供した。マイトジェン活性は
、馴化培地中で検出されず、このことは、この活性が、細胞上または細胞内に存
在し、そしてECM中には存在しないことを示唆した。
用いて、約5%仔ウシ血清、または20pg/ml aFGF、または20pg
/ml塩基性FGF、または15ng/ml EGFのマイトジェン効力に等し
い。
セリン残基を12位に有する14アミノ酸ペプチドAQPYPQGNHEAS
YG(14−Ser)のマイトジェン効力を、BSC−1株のサル腎臓上皮細胞
について、増殖因子および他のマイトジェンシグナルに対して比較した。各増殖
促進シグナルの以前に同定された最大のマイトジェン濃度を用い、そして0〜0
.5μg/mlの濃度でWGF由来ペプチドと比較した。
0ng/ml;IGF−I、50ng/ml;酸性線維芽細胞増殖因子(FGF
−1)、100pg/ml;塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF−2)、1,0
00pg/ml;バソプレシン、75pg/ml;仔ウシ血清(0〜1%);高
カリウム培地(5mM添加KCl、最終濃度10.4mM、高ナトリウム培地(
25mM添加NaCl、最終濃度180mM)。
ーターにおいて55mm培養皿中の1%仔ウシ血清および1.6μMビオチンを
含有するダルベッコ改変イーグル培地中でコンフルエントになるまで増殖させた
。細胞が1皿あたり約106個の密度に達した場合、使用済み培地を除去し、そ
して0.5%仔ウシ血清および14アミノ酸ペプチド(0.5μg/ml)を含
有する新鮮な培地で置き換えた。最大濃度での各マイトジェンシグナルの培養培
地への添加がなされた。4日後、各培養物中の細胞数を、血球計算板中で計数し
た。得られた値は、3つの別の培養物の平均であった。仔ウシ血清濃度が0.5
%から1.0%へと倍化することによって、BSC−1細胞の増殖は有意に変化
しなかった。14−Serペプチド(0.5μg/ml)の添加は、これらの血
清濃度の各々で増殖を25〜30%刺激した。
較)
「14−Serペプチド」であるAQPYPQGNHEASYGは、4日目で
、コントロールと比較して、細胞数を25〜30%増加させた。EGF(50n
g/ml)単独では、「14−Serペプチド」の非存在下で増殖を31%刺激
し、そしてその存在下では61%刺激し、このことは、2つのマイトジェンが相
加的であることを示した。
ペプチドより効力が低かった。両方を添加した場合、38%の刺激が観察された
。完全に相加的である場合の期待値45%よりも低いとはいえ、IGF−Iのマ
イトジェン効果は、14−Serペプチドのマイトジェン効果に対して相加的で
あるようであった。
およびバソプレシン(75pg/ml)は、細胞数を25%増加させた14−S
erペプチドと比較して、増殖を、それぞれ、17%、18%、および14%刺
激した。これらの公知のペプチド性増殖因子の各々は、14−Serペプチドと
相加的であり;酸性FGFでは44%、塩基性FGFでは41%;およびバソプ
レシンでは36%であった。
る。なぜなら、これは、腎臓上皮細胞に対して、5個の公知のペプチド増殖因子
の各々と等価であるかまたは各々よりも強力であるからである。さらに、14−
Serペプチドの増殖促進効果は、5個の増殖因子の各々と相加的であり、この
ことは、14−Serペプチドが、5個の増殖因子が作用するのとは異なるレセ
プターおよび/またはシグナル伝達経路により作用することを示唆した。最終的
に、この相加的なマイトジェン効果は、1以上の公知の増殖因子と組み合わせた
14−Serペプチドが、急性腎不全の間に損傷した腎臓の修復および再生を加
速するようにインビボで作用し得ることを示唆する。
適切な塩溶液の添加により、カリウム濃度を5.4mMのコントロール値から
10.4mMへと上昇させること、またはナトリウム濃度を155mM(コント
ロール)から180mMへと上昇させることは、腎臓上皮細胞についてのマイト
ジェンシグナルとして役立つ。
.4mMへと上昇した場合、細胞数は18%増加した。14−Serペプチドの
添加は、増殖を43%増強することが期待され;35%の増加が観察された。
0mMへと上昇させることは、増殖を25%増加させた。14−Serペプチド
を添加した場合、41%の増殖の増分が観察され、これは期待値50%よりも少
なかった。
プチドマイトジェンと相加的であった。
14−Ser WGF由来ペプチドの細胞表面に対するアフィニティーについ
てのさらなる見識を得るために、実験を行って、このリガンドが腎臓細胞と接触
して、腎臓細胞を不可逆的に加速した増殖へと移行させるために必要とされる最
少量の時間を決定した。
、そして14−Serペプチド(0.5μg/ml)に種々の時間量で(0〜3
0分間)曝露される。規定した曝露期間が終了したら、マイトジェンを含有する
培養培地を吸引し、そして単層をリンスして非接着性ペプチドを除去し、そして
新鮮な培地を添加した。4日後、培養物中の細胞数を計数した。
9%)に移行させるのに充分であった;最大の半分の刺激は、1分間であった。
40アミノ酸ペプチド(表3を参照のこと)は、同様に挙動した。対照的に、E
GFについての勾留時間(commitment time)は4分間であり、
そしてバソプレシンについては2分間であった。従って、14−Serペプチド
は、表面レセプターに不可逆的に結合し、そして細胞を加速した増殖へと移行さ
せるために、著しく短い時間(2分間)を明らかに必要とする。必要とされる時
間は、他の公知の腎臓細胞マイトジェンと等価であるかまたはそれらよりも短い
(EGF、4分間;バソプレシン、2分間;低ナトリウム増殖因子、5分間;高
カルシウム培地、6分間;アデノシン一リン酸、14時間)。
1リットルのWGF馴化培地を調製するためのプロトコルは、本明細書中に記
載される。WGFタンパク質の通常の収量は、SDSポリアクリルアミド電気泳
動およびアミノ酸組成分析により評価した場合、1リットルあたり約50ngで
ある。
るプラスチック組織培養皿(Nunc)において、2%仔ウシ血清を含有するダ
ルベッコ改変イーグル培地中でコンフルエント(6〜8×106細胞)になるま
で増殖させる。培地を吸引し、そして培養物をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS
)(Sigma)溶液でリンスして、培地および血清を除去する。次いで、10
mlのPBSを、創傷に備えて各皿に添加する。細胞単層に対して計5回の創傷
を、200μLプラスチックピペットチップで縁から縁まで皿の表面を横切って
引っ掻くことにより、迅速に作製する。約10分後(9.5分が好ましい)、馴
化緩衝液をプラスチックNalgeneビーカーにデカントする。
tar、0.2μm孔サイズ)して全ての砕片または脱離細胞をシラン処理した
(Aquasil,Pierce)ガラスビン(Wheaton)へと除去した
。滅菌馴化緩衝液をダイアフィルトレーションし、脱塩し、そしてYM−30デ
ィスクメンブレン(Amicon)を4℃にて用いて濃縮した。次いで、濃縮し
た物質を、室温にて濾過滅菌(Millex HA、0.45Fm)し、凍結乾
燥してさらに容量を減少させ、1mlヘパリンアフィニティーカートリッジにロ
ードし、そして1M NaClの溶液で溶出する。このカートリッジを最初に1
0mM リン酸ナトリウム(pH7.4)中で0.4M NaClに曝露して非
マイトジェン物質を溶出させ;次いで1M NaClを含有する同じ緩衝液を用
いてカートリッジからマイトジェン活性を溶出させる。溶出物を脱塩し、そして
この容量を、Centricon 3フィルター(Amicon)を用いて遠心
分離(7500gで4℃にて2時間)することにより減少させる。濃縮物(30
0〜400μl)をC4逆相HPLCカラム(250mm×4.6mm、粒子サ
イズ5μm)(Vydac)にロードし、そしてBeckman Gold C
hromatographic Systemを用いて、50分間のトリフルオ
ロ酢酸(0.1%)(TFA)中のアセトニトリル勾配(1〜80%)を用いて
溶出する。マイトジェン活性を示す少なくとも5個の異なるタンパク質ピーク(
214nmの吸光度によりモニタリングされる)が容易に同定され得る。しかし
、約55%アセトニトリルで溶出するピークは、慣用的に、大部分のマイトジェ
ン活性および異なる単離株における再現性を示す。この溶出物を、シラン処理し
たEppendorfチューブに手動で回収し、C8カラム(Vydac)にロ
ードし、そして上記と同じアセトニトリル/TFA勾配を用いて再度クロマトグ
ラフィーにかける。再度、マイトジェン活性は、約55%アセトニトリルに溶出
する。増殖促進活性および総タンパク質含量を、精製プロセスの間に各工程でモ
ニタリングする。処理した馴化緩衝液のリットル数に依存して、2回目にC8カ
ラムにかけて目的のピークの分離を最適化することが必要であり得る。次いで、
この生物活性物質は、減圧濃縮機(Savant)を用いて容量が減少され、続
いて12.5% SDSゲルに電気泳動分離のためにロードされる。
質の移動との比較により評価される。ゲルにおける種々のタンパク質は、銀(B
ioRad)で染色することにより、またはPVDFメンブレン(Millip
ore)にブロッティングした後にクーマシーブルー色素(Gibco/BRL
)でこのブロットを染色することにより、可視化される。通常、1より多くのバ
ンドが現れる。どのバンドが、マイトジェン形態のWGFを示すかを決定するた
めに、非染色非還元ゲルを電気泳動後に2mm幅のフラグメントに切断し、そし
て各々をアセトニトリル(3%)およびウシ血清アルブミン(0.1%)を含有
するPBS中で攪拌しながら室温にて18時間溶出した。各フラグメントの溶出
物を、BSC−1細胞の培養物に添加して、細胞増殖を刺激するその能力を決定
した。この実験ストラテジーは、活性なWGFタンパク質は、22および45k
DaのMrを有することを示した。
の培養培地においては出現しない。この結論を支持する証拠が、以下の実験によ
り得られた。切屑創傷培養物からの馴化緩衝液(1550ml)を上記の通りに
得、そして55%アセトニトリルで溶出し、かつ増殖促進活性を示すC8−HP
LCピークとなり、一方、非創傷培養物に曝露し、同じ精製プロトコルに供した
同じ容量(1550ml)の緩衝液は、このタンパク質ピークもマイトジェン活
性も示さなかった。
WGFのNH2末端のアミノ酸配列を得るために、2.5μgのC8精製タンパ
ク質を得て、そして12.5% SDSポリアクリルアミドゲルでの電気泳動に
供した。精製タンパク質の相対電気泳動移動度を、既知の分子サイズの標準タン
パク質の相対電気泳動移動度に対して比較した。PVDFメンブレン(Mill
ipore)にブロッティングし、そしてクーマシーブルー染料で染色した後、
45kDaおよび22kDaのサイズに対応する2本のバンドが見られた。続い
てこれらをブロットから切り出し、次いでABI微量配列決定機にロードした。
微量配列決定の結果を、従来の略号を用いて表し、そしてアミノ酸の記号を以下
に列挙する:
WGFのアミノ末端配列の計4回の決定が、異なるバッチの馴化培地について
行われた。45kDaタンパク質の、アミノ末端からカルボキシ末端への方向(
NH2→COOH)の最初の14個のアミノ酸を以下に示し、ここで、数字は、
最初のアミノ酸を番号1として用いた位置をいう:
であり、このことは、22kDaタンパク質が45kDaタンパク質のフラグメ
ントまたは分解産物であり得ることを示唆する。しかし、22kDaタンパク質
と45kDaタンパク質におけるアミノ酸12〜14の異なる配列は、これらが
2つのWGFイソ型を表し得ることを示唆する。
る)
22kDaタンパク質の11個のNH2末端アミノ酸AQPYPQGNHEA
の配列(11マー)を用いて、分枝状リジンコアに連結した合成ペプチドを調製
した。この複数抗原性ペプチド系(MAPS)を用いて動物を免疫して、WGF
を認識するポリクローナル抗体を調製した。MAPSタンパク質は、一方の末端
が樹脂に結合し、そして他方は4つの分枝を有するポリリジン骨格を有する;各
分枝は、11マーペプチドの1つの分子に連結される。驚くべきことに、増殖促
進活性について試験した場合、MAPSペプチドは、BSC−1株のサル腎臓上
皮細胞のDNA合成および増殖を刺激した。その最大増殖促進効果は、ネイティ
ブなWGFの最大増殖促進効果に類似していた。異なる11アミノ酸配列から調
製したMAPSタンパク質、および関連の無い16アミノ酸配列を用いて調製し
たMAPSタンパク質と比較した場合、WGFタンパク質に基づく配列のみがマ
イトジェン活性を示した。続いての実験では、11アミノ酸ペプチドが、分枝状
リジンコアの非存在下で、精製WGFタンパク質が刺激したのと同じ程度にこれ
らの腎臓細胞の増殖を刺激したことが示された。試験した2つの細胞型に基づい
て、11マーWGFペプチドは、腎臓上皮細胞のマイトジェン活性を刺激したが
、マウス3T3線維芽細胞の増殖を刺激しなかった。
でなく、その11マーのペプチドは、インタクトなWGFと同じレセプターおよ
びシグナル伝達経路により細胞増殖を刺激することを示唆している。これらの予
期されなかった結果は、他の増殖促進ドメインが、天然の45kDaタンパク質
(その推定される長さは約400アミノ酸)に含まれ得るにもかかわらず、その
NH2末端の11アミノ酸が、WGFのマイトジェンドメインを表すことを示唆
する。
AQPYPQGNHEAの等価的なマイトジェン用量の応答、および本発明の最
も活性なヘキサペプチド合成物YPEGNH(グルタミン(Q)(電荷=0)残
基のグルタミン酸(E)(電荷=−1)での置換により天然WGFと異なる)を
示す。しかし、天然の配列が、好ましい(表3を参照のこと)。「天然」の配列
は、培養細胞から得られるような22または44kDaのWGFにおいて見出さ
れるものである。そのペプチドは、0.1%トリフルオロ酢酸中のアセトニトリ
ル勾配(1−80%)を使用したC18カラムでの逆相HPLCにより精製し、凍
結乾燥し、次いで組織培養培地に溶解した。
6μMのビオチンを含むDulbecco’s改変Eagle’s培地で、CO
2インキュベーターにおいて38℃でコンフルエントに増殖した。細胞が、1シ
ャーレにつき約106の密度に達したとき、使用済の培地を除去し、そして0.
5%のウシ血清および異なる量のその2つのペプチドを含む新鮮な培地で置換し
た。4日後、各培養物中の細胞数をカウントした。各値は、3つの異なる培養物
の平均値である。
腎細胞の増殖を刺激し得た最も小さいペプチドの配列を描写するために、異な
る長さの合成ペプチドを調製し(下記参照のこと)、そしてC18カラムでの逆相
HPLCにより精製した。マイトジェン活性を、BSC−1細胞の培養物中にお
いて、4日間、特定の濃度(0.5〜20μg/ml)のペプチドに曝露した後
の細胞数をカウントすることにより評価し、そして添加したペプチドの非存在下
での増殖についての結果と比較した。
て、細胞増殖を刺激しないNH2末端WGFのドメインを表す。
上記の結果は、その天然配列に基づくペプチドの最大のマイトジェン活性は、
配列がYPQGNHである6マーまたはその等価物内に存在することを示す。な
ぜなら;
(1)この配列を含む、7、8、9、または11アミノ酸長であるペプチドは
、同程度まで増殖を刺激する、
(2)その6マーのNH2−または−COOH末端の一方から、1つのアミノ
酸を欠失する各々2つの5マーは、同程度までマイトジェン性でない、
(3)YPQGNHと、単一のアミノ酸でのみ異なる6マー(YPRGNH)
は、同程度までマイトジェン性でない、
(4)YPQGNHと、2つのアミノ酸で別の6マー(QPYPQG)は、マ
イトジェン性でない、および
(5)WGFにその配列が見出される4マー(GNHE)または無関係の配列
を有する7マー(LKYSGQD)のいずれも、マイトジェン性でない。
−プロリン−グルタミン−グリシン−アスパラギン−ヒスチジン−COOH)を
含み、その配列は、BSC−1株により例示されたように、腎上皮細胞に対して
マイトジェン性である。
物が含まれる限り、本発明の範囲内である。種々の長さのペプチドはまた、個々
に使用され得、または特定の目的のために種々の方法で結合される得る。これら
の可能性は、以下を含む(NH2末端−−−−−>COOH末端):
天然WGFのアミノ末端におけるアミノ酸の置換が同定され、それはペプチド
のマイトジェン活性を変化し得た。この試みの目的は、その症候群の動物モデル
における急性腎不全の処置での、そのペプチドの効力の研究における使用のため
の、そのペプチドの増殖促進活性を最大化することであった。そのストラテジー
は、構造的に関係するアミノ酸を、天然WGF配列に見出されるアミノ酸に対し
て置換することにより、異なるペプチドを設計し、次いで化学合成することであ
った。次いで目的のそのペプチドを、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)中の
1−80%のアセトニトリル勾配を使用した本明細書に記載の逆相C18カラムH
PLCで精製した。次いで、その精製ペプチドを、凍結乾燥してアセトニトリル
およびTFAを除去し、そして凍結乾燥粉末を秤量し、緩衝液中に溶解し、そし
て培養培地に添加して、本明細書に記載のサル腎臓上皮細胞の増殖に対するその
効果を測定した。異なるペプチドの相対効力を比較するために、4日後、培養物
中で25〜30%まで最大に増殖を刺激したそれらの分子のみをさらに、それら
の濃度依存性を定義することにより分析した。K1/2と称する値を使用した。こ
の用語は、本明細書において、その増殖刺激効果が、最大増殖が観察される濃度
における2分の1である、ペプチド濃度(マイクロモル(μM))として定義さ
れる。値が低いほど、そのペプチドのマイトジェン効力がより高い。
む、より長いペプチド(40マー>28マー>14マー>11マー>6マー)で
あることを示す。試験された最も長い、非反復の、最も強力なペプチドは、14
マーのAQPYPQGNHEASYGである(すなわち、それは最も小さいK1/
2である0.126μMを有する)。そのペプチドの添加に先立った、グルコサ
ミノグリカン、硫酸ケラタン(2μg/ml)への、その細胞の5分間の曝露は
、その効力を増強し(K1/2=0.067μM)、そしてヘパリン(1μg/m
l)は、さらにより効果的である(0.040μM)ことに注目べきである。ラ
ットの研究において、その14マーはまた、ARFが塩化水銀により誘導された
ラットの生存を、増強することにおいて効果的である。12位にセリンを有する
その14マーは、6位にグルタミン酸を有する11マーより効果的である。
に対する関心を誘発する。円偏光二色性法を実行し、βプリーツシート高次構造
と一貫するスペクトルが明らかにされた。
の置換(天然グルタミン(Q)のグルタミン酸(E)での置換)を有する合成ヘ
キサペプチドYPEGNH(K1/2〜0.3μM)と類似することは興味深いこ
とである。従って、いくつかの置換は、少なくとも効果的なマイトジェン活性を
有するペプチド産生する。しかし、6マーの配列の特定の保存的改変は、効力の
大幅な減少を生じる(チロシン(Y)残基のフェニルアラニン(F)での置換、
アスパラギン(N)のアスパラギン酸(D)もしくはリジン(K)での置換、ま
たはカルボキシ末端のアミド化)。
トジェン効果を及ぼすという仮説を支持する証拠を、ヘキサペプチドYPQGN
Hのいずれかの末端において、1つのアミノ酸を欠失した五量体ペプチドが、イ
ンタクトな六量体の増殖効果をブロックすることを示すことにより得た。これら
の研究において、五量体PQGNHまたはYPQGNを合成し、HPLCにより
精製し、次いで、増殖促進活性についてアッセイした。いずれもマイトジェン的
でなかった。いずれかの五量体を、細胞培養培地に添加した場合、それは、同時
にまたは後で添加された六量体YPQGNHの細胞増殖を刺激する能力をブロッ
クした。これらの観察は、その五量体およびヘキサペプチドは、同じ原形質膜上
の結合部位/レセプターに対して競合していることを示唆する。その五量体はマ
イトジェン性でないため、それらがその部位に結合する場合、増殖は観察されな
い。五量体がその部位に結合した後に、それらは、ヘキサペプチドが膜に対する
アクセスを獲得することを妨げるようである。
効力を有することのさらなる証拠を、加速された増殖への不可逆的関連のための
、ペプチドと細胞との間の相互作用のために必要とされる時間を定義することに
より得た。これら実験において、目的のペプチドを含む溶液を、細胞単膜に添加
し、次いでその後、培養培地を特定の時間で吸引した。次いで、そのペプチドを
含まない新鮮な培地を添加し、そして4日後に細胞数をカウントした。そのペプ
チドは、早い時間(0.5、1、または1.5分)で、増殖を刺激することなく
細胞を完全に洗い落とし得たのに対して、その細胞の、ペプチドYPQGNHで
の2分間の接触は、最大の増殖促進活性を生じた。その細胞を、ペプチドを添加
する前に、硫酸ケラタン(2μg/ml)に5分間曝露した場合、最大のマイト
ジェン効果が観察されるために、ただ1分の曝露だけが必要である。同様の結果
は、ペプチドYPEGNHを試験した場合に得られた;3分の曝露が、最大の増
殖応答を得るために十分であるが、細胞を硫酸ケラタンで前処理した場合は、わ
ずか1.5分である。従って、硫酸ケラタンは、天然WGFタンパク質のみなら
ずWGF由来のペプチドのマイトジェン能力も同様に増強する。
ter)の検索により、WGFのNH2末端配列が新規であり、そして下記に示
すように、最初の位置としてNH2末端の最初のアミノ酸を用いると、2つの公
知のマイトジェン性タンパク質、ガストリン放出ペプチド(GRP)およびボン
ベシンと、限られた相同性を有することが明らかになった。
、継続的なGN残基(WGFの14アミノ酸活性ペプチドにおけるアミノ酸#7
、8;ボンベシンにおける#5、6)、およびA残基(WGFにおけるアミノ酸
#11;ボンベシンにおける#9)に限定される。以前の報告(Broccar
doら、1975;およびHeimbrookら、1988)では、ボンベシン
およびGRPの7つのCOOH末端アミノ酸は、同一であり(WAVGHLM−
アミド)、そしてまたこれら2つのタンパク質におけるマイトジェン活性の座位
であることが示されている。アミノ酸のこの配列を含む合成ペプチドは、BSC
−1細胞に対してマイトジェン性であるが、そのK1/2は、〜10μMである。
重要なことに、これらの7つのCOOH末端アミノ酸のマイトジェン配列は、W
GFのNH2末端のマイトジェン性の16アミノ酸において見出されない。
YPRGNHが、腎上皮細胞に対して、せいぜい境界上のマイトジェン性(10
%の刺激)であり、そして線維芽細胞のマイトジェンの刺激に必要であると報告
されていないのに対して、ヘキサペプチドYPQGNHが、腎上皮細胞に対して
マイトジェン性であることを含む。
(WGF配列におけるアミノ酸#4〜9)が、ヒトおよびブタGRP,YPRG
NH(アミノ酸#15〜20)のヘキサペプチド配列(マイトジェン性であるこ
とが公知でないドメイン)から、ただ単一のアミノ酸(Q−−>R)において異
なることは興味深いことである(Heimbrookら、1988)。この位置
でのアミノ酸置換を作製することの以前の教示もしくは示唆、WGF内の特定の
置換を作製することの示唆、または置換がWGFでのマイトジェン性刺激活性を
与えるというような任意の示唆は存在しない。
対して新規なマイトジェン因子であることを示す。
トジェン活性を保存する)
マイトジェン活性を有する最も短いペプチドは、配列NH2−チロシン−プロ
リン−グルタミン−グリシン−アスパラギン−ヒスチジン−COOH(YPQG
NH)を有することが初期に見出された。このヘキサペプチドは、WGFのアミ
ノ末端の位置#4〜#9におけるアミノ酸を表す。ミクロシークエンシングによ
る、各2つのWGFイソ型の位置#4において同定されたアミノ酸は、システイ
ン(C)またはチロシン(Y)残基であり得た。
は、0.35μMである(表3)。別の合成六量体(YPEGNH)(グルタミ
ン酸(E)が、天然WGFに見出されるグルタミン(Q)に対して置換された)
は、わずかにより強力であり、そのK1/2は、0.30μMである。システイン
が、マイトジェン性のペプチドにおいてチロシンを置換し得たか否かを決定する
ために、ヘキサペプチドCPEGNHを合成した。このシステイン含有ペプチド
は、実際にマイトジェン性であり、そしてその効力(K1/2)は、チロシン含有
ペプチドのそれと同等であった。この位置のアミノ酸が、最大増殖促進活性のた
めにチロシンまたはシステインのいずれかであり得るという主張に対する支持を
、2つのさらなる実験の結果を分析することにより得た。最初の1つにおいて、
ホスホチロシン(Pi−Y)残基を含む六量体ペプチドを、配列Pi−YPQG
NHを用いて合成した。第二の実験において、チロシン残基をフェニルアラニン
(F)に置換したペプチドを合成し、FPEGNHを調製した。重要なことに、
フェニルアラニンでのチロシンの置換はそのペプチドのマイトジェン効力を約9
分の1に減少した(FPEGNHに対するK1/2=2.75μM;YPEGNH
に対するK1/2=0.30μM)のに対して、Pi−YPQGNHに対するK1/2
は、YPQGNHに対するそれ(0.35μM)と同様であった。従って、ペプ
チドのマイトジェン活性は、チロシンの水酸基をリン酸化した場合には有意に影
響されないが、水酸機が存在しない場合(チロシンに対するフェニルアラニンの
置換)には劇的に減少する。
ト基または水酸基が、このヘキサペプチドにマイトジェン性を与えることを示唆
する。この分析は、水酸基含有の、天然に存在するアミノ酸であるセリンまたは
トレオニンでの、チロシンまたはシステインの置換がまた、増殖促進ヘキサペプ
チドを産生し得ることを予想する。
F由来の合成ペプチドの、その六量体カセット(Y/CPQGNH)におけるチ
ロシンまたはシステイン残基は、腎臓上皮細胞におけるマイトジェン機能を十分
に支持し得る。これら2つのアミノ酸または他(表2)のいずれかを含む、等価
的な位置での有糸分裂活性を増加する合成ペプチドは、急性腎不全後の生存を改
善し、そして機能回復を促進するために産生され、そして使用され得る。
徴付け)
前節で議論されたように、切屑創傷されたサル腎臓上皮細胞(BSC−1株)
の馴化培地からの創傷増殖因子(WGF)の精製により、2つのマイトジェン性
タンパク質(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SD
S−PAGE)上の22kDaおよび45kDa)が明らかになった。これらの
タンパク質のNH2末端のミクロシーケンスは、各々の最初の10アミノ酸が同
一であったことから、それらはイソ型であり得ることを示唆した。全部で16の
アミノ酸が、22kDaイソ型のNH2末端で同定され、そして45kDaイソ
型に対しては、14のアミノ酸が同定された。しかし、45kDaイソ型につい
ては、11位でのアミノ酸は同定されず、そして12位においては、アラニンま
たはセリンが同等に指定される。4位においては、チロシンまたはシステインが
、同等に指定される。
この症候群のラットモデルでの急性腎不全の処置における、その効力の研究にお
いての使用のためのペプチドの増殖促進活性を最大化し得た。そのストラテジー
は、構造的に関連するアミノ酸で、天然WGF配列に見出されるアミノ酸を置換
することにより、様々なペプチドを設計し、さらに化学合成することであった。
0%のアセトニトリル勾配を使用した逆相C18HPLCカラムで精製した。次い
で、その精製ペプチドを、凍結乾燥して、アセトニトリルおよびTFAを除去し
、そしてその凍結乾燥粉末を秤量し、緩衝液中に溶解し、そして組織培養培地に
添加して、サル腎臓上皮細胞の増殖に対するその効果を測定した。
%まで最大に増殖を刺激した分子のみをさらに、それらの濃度依存性を決定する
ことにより分析した。K1/2と称する値を使用した。この用語は、本明細書にお
いて、その増殖刺激効果が、最大増殖が観察される濃度における2分の1である
、ペプチド濃度(マイクロモル(μM))として定義される。値が低いほど、そ
のペプチドのマイトジェン効力がより高い。
HEASYG(14−Ser)(K1/2=0.126μM)が、その位置にアラ
ニン残基を有するAQPYPQGNHEAAYG(K1/2=0.199μM)よ
り、強力なマイトジェン因子であることを示す。グルコサミノグリカン硫酸ケラ
タンを、10μg/mlの濃度で添加した場合、14−Serのマイトジェン効
力は増強された。なぜなら、そのK1/2は0.067μMに低下したからである
。さらに、1μg/mlの濃度で添加された、グルコサミノグリカンヘパリンは
、さらにより効果的であり、そのK1/2を0.040μMまで減少させる。これ
らの実験において使用される最適なモル濃度、1ペプチド分子:1グルコサミノ
グリカン(GAG)分子の分子比で、硫酸ケラタンまたはヘパリンのいずれかに
ついての細胞へ添加した。グルコサミノグリカンの刺激効果は、イオン結合を経
たペプチド−GAG複合体の形成(ペプチドの陽イオン性ヒスチジンから一方の
GAGの陰イオン性硫酸塩)または、水素結合(ペプチドのセリン/チロシンの
水酸基からGAG炭水化物の酸素残基)により媒介される。様々な型の細胞にお
いて観察された、ヘパリンによる酸性線維芽細胞増殖因子(FGF−1)のマイ
トジェン効果の増強を説明するために提唱されたように、ペプチド−GAG複合
体は、ペプチドの、細胞表面上のそのレセプターへの結合を安定化し/容易にさ
せ得る。6位におけるグルタミン(Q)残基のグルタミン酸残基(E)での置換
は、この置換ストラテジーが、6アミノ酸ペプチドYPQGNHについてのK1/
2を減少し(K1/2=0.352μMからK1/2=0.301μM)、そして11
アミノ酸ペプチドAQPYPQGNHEAついてのK1/2(K1/2=0.260μ
MからK1/2=0.206μM)を減少するにもかかわらず、14−Serペプ
チドのマイトジェン効力を変化しなかった(K1/2=0.128μM)。
6アミノ酸YPQGNH(K1/2=0.35μM)のようなより短いペプチドは
、各々が14アミノ酸ペプチドAQPYPQGNHEASYG(K1/2=0.1
26μM)のSYG末端アミノ酸を欠き、そしてマイトジェン因子としてさほど
強力ではない。このSYG配列を含む11アミノ酸ペプチドが最大限の有糸分裂
誘発に必要とされるかどうかを決定するために、配列YPQGNHEASYGを
有する11マーペプチドを合成、精製し、次いで活性についてアッセイした。興
味深いことに、このペプチドのK1/2は、ヘパリンの非存在下または存在下で0
.166μMであった。このことは、14アミノ酸完全長は、最大限のマイトジ
ェン因子効果に必要とされることを示している。
うかを決定するために、配列AQPYPQGNHEASYGAQPYPQGNH
EASYG(28マー)を有するこのペプチドの二量体を合成、精製し、そして
増殖促進活性についてアッセイした。28マーのK1/2は、0.067μMであ
った。このことは、このペプチドは、K1/2が0.126μMの14マーの2倍
の効力を有することを示している(表3)。グリコサミノグリカンケラタン硫酸
塩の存在下での14セリンのK1/2(0.067μM)(表3)が、28マーの
K1/2と同一であるため、ペプチドの長さの増加は、マイトジェン的な効力を増
加する機構のみではない。
ミノ酸のアイソフォーム、AQPYPQGNHEATSSSF)はまた、そのマ
イトジェン的な活性について試験された(K1/2=0.218μM)。このペプ
チドは、45kDaのアイソフォームのNH2末端に由来する14アミノ酸ペプ
チドAQPYPQGNHEASYGほど強力ではなかった(表3)。
kDaおよび45kDaアイソフォームにおいて同一な、第1の10アミノ酸の
四量体である。これはまだ同定されていない、最も強力なWGFペプチドで、K
1/2=0.012μMを有する。増強されたマイトジェン的な強度はおそらく、
その相対的に長い長さが、イオン性または疎水性の相互作用、および/または水
素結合による細胞表面レセプター部位でのリガンド結合を安定化し得ることに関
連する。究極的に、このペプチドは、その強力な効力ゆえに、臨床的条件下で最
も効果的なWGF由来のペプチドを立証し得る。ヘパリンの添加は、40マーの
K1/2を0.0051μMに減少させ、このことはまだ同定されていない最も効
果的なWGF由来のペプチドを作製することに注目のこと。
相対的に短い長さであるため、このペプチドを、塩化第二水銀に誘導された急性
腎不全を有するラットの処置に使用するために選択した。
WGFのNH2末端の11アミノ酸を使用して、2つの異なる抱合されたペプ
チド抗原を調製した。1つは上述した、11マーペプチドが分枝したポリリジン
バックボーンに連結されたMAPSタンパク質で、そして他方は、11マーがキ
ーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に化学的に結合された抱合体であっ
た。MAPSタンパク質およびKLH−抱合体を使用して、ウサギ、ニワトリ、
およびヒツジを免疫した。これらのストラテジーに起因するこの抗体は、急性ま
たは慢性腎疾患、および腎細胞ガンを有する患者の尿、血清、および組織におい
てネイティブなWGFタンパク質を検出するために役立つ。この抗体はまた、λ
gt11における腎臓上皮細胞cDNAライブラリーをイムノスクリーニングす
ることによって、WGFをコードするcDNAクローンを得るために使用され得
る。
臨床的な有用性を支持する。
完全長のクローンをコードするヌクレオチド配列のWGFを発現するのに適し
たベクターは、タンパク質のグリコシル化が、個々のその生物学的効果に必要と
されるかどうかに部分的に依存する。WGFがグリコシル化されない場合、細菌
の発現系は適していると証明し得るが、炭水化物が決定的に検出され、そして完
全な活性に必要とされることが示された場合、そのときはチャイニーズハムスタ
ー卵巣(CHO)細胞のような哺乳動物の発現系がより適している。
るため、タンパク質のグリコシル化はマイトジェン的な活性を必要としないと思
われる。しかし、グリコシル化は、インビボでタンパク質の代謝回転(半減期)
の調節において重要な決定要因であることを提供し得る。これは例えば、エリト
ロポイエチンの場合である。
調製し、適切な調節エレメントに連結し、そして発現ベクターに組み入れる。宿
主細胞をベクターを使用して形質転換し、そして宿主を発現に適した状態に配置
する。組換え宿主におけるWGF遺伝子または部分的なヌクレオチド配列の発現
の後、組換えタンパク質を、WGFに対する抗体を適切な支持体に結合させるこ
とによって調製した抗体−アフィニティーカラムを使用して、培養培地から単離
した。この調製的なストラデジーは、大量の組換えタンパク質を産生すべきであ
る。
、ヘキサペプチドY/CPQGNH、または等価なマイトジェン的な効力を発現
する他のペプチドの十分な量を、通常のペプチド合成によって調製し得る。組換
えまたは化学合成的ストラデジーによって調製されたペプチドのマイトジェン的
な効力は、BSC−1細胞の増殖を刺激するための生成物のアリコートの能力を
測定することによって評価され得る。予想される反応は、4日後のコンフルエン
トの培養物中の細胞数とコントロールの培養物中で観察される細胞数とを比較す
ると20〜35%増加する。
。
急性腎不全のインビトロおよびインビボのモデルは、創傷修復の2つの主要な
生物学的特徴、細胞移動および細胞増殖を研究するために有用である。これらの
モデルは、WGFおよび本発明のペプチドの効果を分析するのに適している。
上皮細胞の単層培養物のスクレイプ創傷(scrape−wounding)。
)を、細尿管ネクローシス後の細胞損失の効果を刺激するための単層領域に限定
される、機械的にこすり取ることによって傷つける。剥皮された領域に移動する
細胞の数を測定した(KarthaおよびToback、1992)。細胞移動
は、細胞増殖と無関係であることを見出したが、両方の過程はこの実験的調製に
おいて研究され得た。
に誘導または抑制される遺伝子の同定に有用である。WGFの生物学的特徴およ
び効力は、この系を使用する研究に適している。
銀(腎毒素の)および腎臓茎状クランプ(renal pedicle cla
mping)(虚血性の)モデル。
的、生化学的、および機能的な相関関係を特徴付けてきた。必須アミノ酸および
非必須アミノ酸の混合物の注入は、ラット腎臓組織の再生においてホスファチジ
ルコリンおよびタンパク質の合成を刺激し、そして塩化第二水銀の静脈内投与後
の腎機能障害レベルを減少させることを実証した(Toback、1980)。
これらの研究は、損傷した腎臓の生化学的および機能的な修復は、未処置の動物
において適切ではなく、そしてグルコースを有する外因性アミノ酸の供給は回復
を早め得ることを示した。AFR後の再生を増強するWGFの能力は、ヒトAR
Fの腎毒素および虚血性のモデルの両方において研究がなされている。
することは重要である。ヒトにおいて、ラットにおいてと同様に、ARFの間の
腎機能は、血清クレアチニンおよび血液尿素窒素(BUN)の濃度を毎日測定す
ることによってモニターされる。これらの測定は、腎臓の主要な機能の1つであ
る糸球体濾過の推定値を提供する。クレアチニンは、クレアチンリン酸の代謝回
転の結果として絶えず放出される筋肉から血清に入るのに対し、BUNは全身体
のタンパク質代謝回転の最終産物である。両方の分子は血液への進路を作製し、
そしてそれらは微小なサイズであるため尿中に排出される。従って、ARFにお
いてそれらは血液中に蓄積し、そして排出されない程度は、腎臓障害の評価の指
針を提供する。腎臓機能の有意な回復は、血清クレアチン濃度の減少によって示
される。
糖尿病性腎症、間質性腎炎、および慢性糸球体腎炎における腎臓疾患の進行を
媒介する機構は、知られていない。腎臓機能の苛烈な欠損は、この過程を遅延ま
たは逆転するための治療的なストラデジーが現時点存在しないため、米国におい
ては、毎年何十億ドルもの費用のかかる長期的な透析処置の必要性を生じている
。腎臓疾患過程の初期患者は、増殖因子治療の候補として適している。なぜなら
、現在、この状態を処置するのに有用な他の代替方法が存在しないからである。
本発明のWGF組成物の投与目的は、ネフロンに沿った損傷腎臓上皮細胞の回復
を早めることにあり、その結果、疾患過程によって媒介される損傷の修復は腎臓
機能を維持し、そして透析の必要性を未然に防ぐ。
腎臓細胞ガンはしばしば緩やかな増殖状態であり、これは身体内の離れた部位
への広範な転移を招き、治療の成功を困難なものにする。放射活性WGFを使用
する研究は、腎細胞のWGFレセプターを同定し、そして単離することを可能に
する;次いで、レセプターに対して指向される抗体を調製する。これらの抗体は
、ネフロンに沿う特定の型の腎細胞のレセプターを局在化させることに役立つ。
WGFレセプターの細胞型特異性に関するこの情報で武装した、目的の腎細胞型
のガンを処置するためのストラデジーは、レセプターへの結合を示すWGFまた
は特定のWGFペプチドを含み、その結果、目的の増殖細胞に抗ガン薬剤を送達
するために使用され得る。このような抗ガン薬剤は、WGF、または特定のWG
Fペプチド、または毒素に結合されたペプチド、細胞溶解性の抗体、またはラジ
オアイソトープを含む。主要な腎腫瘍の処置は、器官の外科的な摘出によって実
行されることが最良であろうが、ガンの転移の処置、特に小型のガンは、WGF
構造および機能の知識の使用を定式化するこれらの新規の化学療法的な薬剤の重
要な標的で有り得る。
患者への送達は一般的に、ガンの化学療法送達、あるいは小型の哺乳動物の実
験的処置に類似した静脈内注入による。別の経路は、腎不全においてエリトロポ
イエチン(EPO)を用いた貧血の治療に使用される経路であり、この経路では
、EPOを皮下注射によって数日ごとに送達する。
的な容量は、約35mg(200gの体重あたり100μg)で、緩やかな静脈
内注入により投与される。
ネイティブなWGFに対する抗体を本明細書で開示されるようにして調製し、
そして尿および血液における増殖因子の濃度を決定するために使用する。ネフロ
ンに沿う異なる型の腎細胞におけるWGFの分布を決定する。血液または尿のい
ずれか、あるいは両方における増殖因子濃度は、腎臓損傷の結果として増加し得
る。増殖因子が上皮増殖因子として尿中に排出された場合、腎臓損傷が新しい因
子の尿排出の増加を導くことを決定することが可能であり得る。もしそうならば
、WGFを検出するための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キットは、
50%以上の腎機能が失われるまで通常の臨床試験で検出されない糸球体濾過速
度の低下より前に、早期腎損傷を迅速に診断するために使用される。これは特に
、重篤な感染または悪性腫瘍の処置の間、腎毒性の可能性のある薬剤を受けてい
る患者に役立つ。WGFに対する抗体は、腎損傷および新形成を有する患者の血
液および尿における増殖因子の出現を検出するために設計された、診断的ELI
SAキットに組み入れられる。
長期血液透析を受けている患者のレムナント腎臓(remnant kidn
ey)において発生する腎腺腫、嚢胞腺腫、または癌腫が、増殖因子を過剰発現
し、そして尿中に排出することが見出される場合、ELISAキットは、これら
の障害について新しい早期検出システムを提供し得る。このような診断キットは
また、無症候性であるが危険性は高い個体において使用され得る。腎臓ガンは、
腫瘍が有意な大きさに増殖するかまたは広範に転移するまで無症候性である傾向
があるため、現在、早期に検出することが困難である。
増殖因子のアナログは、腎上皮細胞レセプターへの特異的な結合を最適化する
ことによって、WGFの増殖促進効果を最大化するために開発される。細胞表面
のレセプターに結合することによって、各因子の生物学的機能を阻害するインヒ
ビターはまた、有用である。このようなインヒビターは,YPQGNおよびPQ
GNHのようなペンタペプチドを含む。分解に対して耐性である合成産物または
組換え産物の開発は、インビボでの薬理学的活性を持続する。
以下の実施例は例示するために提供され、限定のためではない。
ある)
ラットにおいて実験的に誘導される腎毒素および虚血性の急性腎臓損傷(AR
F)は、ヒトにおけるこの症候群のモデルとして長期間使用されてきた。14−
セリン(WGF由来NH2末端ペプチド)のマイトジェン的な効果が、ARFを
有する動物において治療的な薬剤として効果的であると判明するかどうか決定す
るために、急性細尿管ネクローシスを、塩化第二水銀(通常の生理食塩水におい
て)の溶液を、体重1kgあたり2.25mgの用量をラットの皮下に注入する
ことによって誘導した。雄のラットの体重は実験開始時に200〜225gであ
った。この用量は、予備的な実験で7日後の動物の生存率が、25〜50%とい
う結果を示したため使用された。血液を尾静脈から各々の日に得、そして血清中
のクレアチニン濃度を定量し、そして腎機能の指標として使用した。損傷を受け
た腎臓は内因性のクレアチニンを尿中に排出できず、血液中にクレアチニンを蓄
積するため、血清中のクレアチン濃度の増加は腎機能の低下の信号である。
01%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝化生理食塩水中に溶解される)を、
生存、腎機能の回復、およびDNA合成の刺激に対するこのペプチドの効果を決
定するためにラットに皮下注入した。14−セリン、AQPYPEGNHEAS
YG(14−マー)、AQPYPQGNHEATSSSF(16−マー)、AQ
PYPQGNHEA(11−マー)、およびAQPYPEQGNHEA(11−
マー)を含む多数の異なるペプチドを調査した。異なる濃度および異なる投与時
間について試験し、そして比較した。この結果は、14−セリンが、最も効果的
なWGF由来のペプチドであることを示し;塩化第二水銀誘導ARF後の生存、
および腎機能の回復を改善した。
4匹のラットに誘導し、そして14−セリンの単一用量を1時間後に皮下注射に
よって投与した。異なる量のペプチドを、結果に影響するペプチドの能力を評価
するために、投与した。7日後の生存率は、0〜75μgペプチド(29%)を
投与したラットよりも、100〜150μgペプチド(63%)を投与したラッ
トの方が約2倍高かった(χ二乗、p=0.015)。
細尿管ネクローシスを59匹のラットに誘導し;塩化第二水銀の投与1時間後、
29匹に14−セリン(100μg/ラット)を皮下投与し、そして30匹に同
量の媒体を皮下投与した。塩化第二水銀に誘導された急性細尿管ネクローシスの
後にWGF由来ペプチドを投与されたラットの、増加した生存(図2A)および
腎機能の回復(図2B)を示す。59匹の各ラットに塩化第二水銀を皮下注射し
、そして1時間後に、100μgのWGFペプチド(14−セリン)(n=29
ラット)あるいは媒体(n=30ラット)を投与した。生存率は、塩化第二水銀
の投与3日後という早い時期で、媒体を投与したラットよりもペプチドを投与し
たラットのほうがより高かった。血液を尾静脈から示された日に得て、そして血
清クレアチニン濃度を測定した。クレアチニン濃度における同様の増加が、1日
目に両方のグループのラットで観察された。このことは、ラットは同程度の腎機
能損傷を受けていることを意味する。2、3、および4日目のペプチド処理され
たラットのより低いクレアチニン濃度は、腎機能の回復が促進されたことを示し
ている。
存がビヒクルを与えられたラットの生存より有意に大きく(χ二乗検定、P=0
.035)、この違いは次の4日間続いたことを示す。7日目までに、ビヒクル
を受容したラットは、たった20%しか生き残らなかったが、一方ペプチドを与
えられたラットは48%生存した(χ二乗検定、P=0.012)。
mg/dLから2.3mg/dLに増加した場合、1日目で機能の低下が現れた
。これは、このペプチドのみで処置された動物(n=29ラット)またはビヒク
ルのみ(n=30)で処置された動物においても同様であった(図2B)。この
ことは、腎傷害の程度は、ペプチド処置された動物および非処置の動物両方にお
いて等しかったことを示唆する。2日目、ビヒクルを与えられた動物(n=30
)における血清クレアチニン濃度よりもペプチド処置されたラット(n=29)
における血清クレアチニン濃度の方が有意に低かった(P=0.034、スチュ
ーデントt検定)。このことは、腎臓機能における減退が、塩化第二水銀続いて
ペプチドを与えられたラットにおいて、あまり重篤ではなかったことを示す。腎
臓機能の有意により迅速な回復の証拠はまた、ARFの発病後3日目および4日
目に現れた。血液尿素窒素の濃度が腎臓機能の指標として測定される場合、ペプ
チド投与の同様の有益な効果が、観察された。これらの結果は、培養における腎
臓上皮細胞に対するマイトジェンであるWGFペプチドが、腎臓機能の回復を促
進し得、そして腎毒素ARFを有するラットの生存を高め得ることを示す。
Serペプチドの投与)
医師は患者に急性腎不全が起こる時を正確に予測することは不可能であるため
、血清クレアチニン濃度が、腎臓機能が危険かどうかを決定するために測定され
る。腎臓機能不全が検出された後、症状を逆転させるための処置が非常に所望さ
れる。従って、ヒトARFにおいて投与される14−Serペプチドの有用性は
、減退した腎臓機能が検出されている場合、有利に作用することを要求する。こ
のペプチドは、ヒトにおけるこの症候群を擬態する条件下で腎毒素ARFの発病
後ラットへ投与した場合、腎臓機能の回復の速度が増加した。腎傷害を誘導する
ために、各16匹のラットに塩化第二水銀を与えた。この投与量は、血清クレア
チニンの濃度を0時間での0.5mg/dLから16.5時間後には2.0mg
/dLまで4倍に上昇した。次いで、半数の動物にペプチドを皮下に与え(n=
8)、そして残りの半数にビヒクルを皮下に与えた(n=8)。このビヒクルは
、リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.40)中の滅菌0.01%ウシ血清アルブ
ミンである。この症候群の発病2日目にこのクレアチニン濃度は、ビヒクルを受
容しているラット(3.9mg/dL)においてよりも、ペプチド処置したラッ
ト(3.0mg/dL)においての方が、上昇しなかった(P=0.0499)
。重要なことに、3日目においてクレアチニン濃度は、ペプチドを与えられた動
物において2.6mg/dLと衰えたが、ビヒクルのみを与えられたラットでは
4.2mg/dLまで上昇し続けた(P=0.020)。7日目に、生存はビヒ
クルで処置した動物(63%)よりペプチドで処置した動物(88%)の方が多
く現れた。
に投与される場合、腎臓機能の回復を促進する。
9)を、塩化第二水銀誘導性傷害の24時間前、16匹のラットに与えた。3日
目に、血清クレアチニン濃度を使用して評価した腎臓機能は、ペプチドを与えら
れたラットにおいて有意に良くなった(P=0.039)。4日目での生存は、
ペプチドで処置されたラットにおいて71%であったが、ビヒクルを与えられた
ラットにおいては、たった22%であった(χ二乗検定、P=0.049)。塩
化第二水銀誘導性傷害の24時間前の14−Serペプチドでの処置は、1時間
後に与えられた場合より、生存において有益な効果を有するようであった。しか
し、この違いは、統計的有意には全く達しなかった。
マイトジェン作用の結果であるかどうかを決定するために、DNA合成を塩化第
二水銀が与えられたラットの腎臓において測定した。DNAへ組み込まれるチミ
ジンの非放射性アナログである、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(Brd
U)を、核を標識化するために使用した。BrdUに対するモノクローナル抗体
およびジアミドベジデン(diamidobenzidene)染色を、腎組織
の組織切片において、DNA合成下の核を検出するために使用した。BrdUを
20%エタノールに溶解し、そして塩化第二水銀の投与23時間後に腹腔内に注
射した。1時間後、腎臓を、大動脈カテーテルを介してリン酸緩衝化生理食塩水
の温かい溶液ですばやく灌流して、器官から赤血球を除去し、そして尿細管の開
通性を維持した。被膜を腎臓から取り除き、次いで長手方向に二分し、そしてホ
ルマリン中で4時間固定し、次いで70%エタノール中で固定した。組織切片は
調整され、そしてBrdU標識化核は、上記のように検出された。
および無糸球体(内部)皮質において高出力範囲(X400)あたり約3つの標
識化された核を示した。塩化第二水銀を与えられたラットの腎臓では、この良く
特徴付けられたモデル系において期待されるように、近位ネフロンの末端部分(
S3)の尿細管細胞で広範囲の壊死が観察された。壊死の程度は、ラットからラ
ットでいくらか変化していたが、主に無糸球体皮質に限られた。塩化第二水銀を
24時間早く与えられたラットの無糸球体皮質において、非処置のコントロール
ラットの細胞においてより、多くの標識化細胞が見られた。また塩化第二水銀の
投与の24時間前に14−Ser(100μg)を与えられたラットの腎組織を
調査した。この動物において、1時間のBrdU標識化は、本明細書に記載のよ
うに塩化第二水銀投与24時間後において実行された。顕微鏡試験により、多く
のより標識化された核が尿細管細胞壊死帯に隣接して存在したことが示された。
この発見は重要である。なぜならば、それは、再生細胞が有糸分裂を行い、次い
で壊死帯のネフロンへ移動するよう期待される皮質のこの境界範囲において、腎
毒素の傷害により不可逆的に傷ついた細胞を置換するためである。従って、この
14−Serペプチドは、塩化第二水銀が誘導した尿細管壊死後ネフロン再生細
胞においてDNA合成を刺激するようであり、そしてこの機構によって、腎臓機
能の回復が促進され、そしてARF後の生存が改善し得た。
)
虚血性急性腎不全はしばしば、激しい出血、流体損失(下痢、嘔吐、利尿)、
感染(敗血症)、および心不全(心筋性疾患、不整脈)の状態における低血圧に
より生じる。これはまた、新しい宿主への移植後、ドナーの腎臓における機能の
減退を引き起こし得る。14−Serペプチドが虚血性ARFを有する動物に治
療的薬剤として適するかどうかを決定するために、本実験の開始時に体重200
〜225グラムの雄のラットを使用した。動物は初め、感覚脱失を誘導するため
にペントバルビタール(12.5mg/ラット100グラム)を皮下に与えられ
た。次いで皮膚は剃られ、そして右側腹部、次いで左側腹部が小さく切開され、
腎臓が曝された。シュヴァルツ外科手術用鉗子を各腎茎(尿管、動脈、静脈)に
配置して腎臓の血流を欠乏させ、急性虚血症腎不全を誘導した。約45分後、こ
の鉗子を取り除き、傷害の腎臓へ血液が再び流れるようにし、そして金属皮膚ク
リップを使用して、皮膚の切開を閉じた。これは、本明細書中に記載されるよう
に、確立された実験的ARFのモデルである。1時間後、この2つの鉗子を取り
除き、各ラットはビヒクル(リン酸緩衝化生理食塩水中0.01%ウシ血清アル
ブミン)中の14−Serペプチド(AQPYPQGNHEASYG)(100
μg)またはビヒクルのみ(これらは首のうなじに皮下注射した)のいずれかを
受容した。
側の腎動脈クランピングを使用して、29ラットにおける虚血性ARFを誘導し
得た。WGF誘導ペプチド(14−Ser、100μg)を、14動物のそれぞ
れに、45分間虚血症傷害が終わった1時間後、皮下に投与した。;15ラット
は、等量のビヒクルを受容した。生存は、虚血症ARFの誘導後6日目に、ビヒ
クルを受容する動物(67%)よりも、このペプチドを与えられたラットにおい
て(93%)大きいことを示した(χ二乗検定、P=0.082)(図3A)。
血液は、図に示された日数で尾静脈から得、そして血清クレアチニン濃度を測定
した。ペプチド処置したラットの腎臓機能の加速的回復は、ARF症候群の1、
2、3および4日目により低い血清クレアチニン濃度によって明らかにされた。
1日目までに、クレアチニン濃度は、ビヒクルが与えられたラット(n=15ラ
ット)においてその基底量0.5mg/dLから3.8mg/dLまで上昇した
が、ペプチド処置した動物(n=14)では、3.4mg/dLという有意によ
り低い値に達した(P=0.032、スチューデントt検定)(図3B)。クレ
アチニン濃度は、2日目(P=0.015)および3日目(P=0.014)に
、ビヒクルを受容したラットよりペプチド処置をした動物の方が、より低かった
。4日目までに、クレアチニン濃度は、ペプチド処置したラットにおいて段々と
2.2mg/dLの値に落ちたが、一方、ビヒクルを与えられた動物において、
クレアチニン濃度は、2倍高い値の4.4mg/dLまで増加した(P=0.0
11)。従って、ARF症候群の最初の4日間に、腎臓機能はビヒクルを与えら
れた動物においては、いくらか減少したままであったが、ペプチド処置されたラ
ットは迅速に回復した。
投与した14−Ser WGF由来ペプチドは、生存を高め、そして急性の腎不
全症候群からの回復を促進する。
り達成される生存の向上)
実験的なARFは、塩化第二水銀の皮下への注射によりラットで誘導された。
AQPYPEGNHEA合成ペプチド(滅菌した0.01%ウシ血清アルブミン
およびPBSに溶解)は、ARF症候群からの生存に対する有利な効果を実証す
るために、塩化第二水銀を与えてから2時間後にラットに皮下注射された。ある
実験において、全てで17匹のラットに塩化第二水銀の用量を注射し、これらは
、上述のようなARFの誘導を示した。次いで、異なる量のペプチド(培養下に
おいて腎臓細胞の成長を刺激することが公知である)を、結果を向上させる能力
を評価するために、1時間後に動物に注射した。3日後、生理食塩水のみを与え
た5匹中5匹の動物、および50μgのペプチドを与えた3匹中3匹のラットが
、死亡した。逆に、100μgのペプチドを与えた3匹中2匹のラットは生き残
り、同様に200μgのペプチドを与えた6匹中5匹も生き残った。要約すると
、100〜200μgのペプチドを与えた9匹中7匹のラット(78%)は、生
き残ったが、50μgまでのペプチドを与えた、8匹全てのラット(0%)が生
き残らなかった(カイ2乗、P=0.032)。従って、11マーWGFペプチ
ドは、腎毒性ARFにおける生存を向上させた。
さらに、特定のWGF由来ペプチドの投与は、腎臓構造の修復を促進する。腎
臓の成長生理学および病理学の標準的なアッセイを、WGFペプチドの成長促進
(マイトジェン的な)効果が、組織培養において示されたように、細胞分裂のた
めの調製において、DNAの合成を行うために増加した腎臓細胞数を刺激するこ
とを実証するために用いる。
製し、そしてWGFペプチドを与えられた動物および生理食塩水ビヒクルのみを
与えられた動物における、腎傷害および修復の程度を比較するために光学顕微鏡
下において、観察した。WGFの修復に対する効果の別の測定は、腎臓組織の詳
細な顕微鏡観察にもとづいた組織病理学的な評価である。ARFの特有の特徴お
よび修復を等級づける得点付けシステムを、WGF処理を行なった、または行な
っていないラットからの腎臓組織の評価および比較に用いる(Millerら、
1994)。
DNA合成を刺激するWGFペプチドの能力を測定するために用い得る。これら
の実験において放射活性チミジンを、死亡1時間前に腹腔内に注入し、そしてそ
の腎臓DNAへの組込みを、引き続き組織からのDNA抽出により決定し、次い
で化学的なアッセイによりDNAの量を測定し、そしてシンチレーションによる
その放射活性をカウントする。オートラジオグラムもまた調製され得、そして腎
臓組織内の細胞に、放射活性チミジンが組込まれたDNAを有することを決定す
るために用いられ得る。参照した全ての技術は、当業者に公知である(Coim
braら、1990)。
ドマイトジェンの阻害)
腎臓細胞成長制御での14−Serペプチドの役割をよりよく理解するために
、マイトジェン効果を阻害し得る薬剤について研究を行った。
、BSC-1細胞によって分泌される自己分泌増殖インヒビターである。外因性T
GF−β2を、14−Serの成長促進効果を阻害するその能力を決定するため
に培養培地に加えた。1ng/mlの濃度のTGF−β2は、14−Serによ
り誘導される成長への25%の刺激を無効にするのに十分であった。2ng/m
lの濃度のTGF−β2で、成長が、14−Serの存在または不在においても
30%阻害され、10ng/mlでは、60%が阻害された。6ng/mlの濃
度のAGF−β2において、5μg/mlまでの外因性の14−Serは、成長
阻害を逆転させない。
より特異的なインヒビターが求められてきた。以前に、5アミノ酸のWGF由来
ペプチドYPQGNおよびPQGNHの研究が、6アミノ酸ペプチドYPQGN
Hのマイトジェン効果を阻害することを示した。これらのペンタペプチドは、細
胞に加えた場合、成長に変化を起こさなかった。細胞を、ペンタペプチドYPQ
GNと共に、30分間プレインキュベ−トした。次いで、培養培地を吸引し、単
層をリンスし、新鮮な培養培地を加え、そして4日後に、細胞数を数えた。細胞
とYPQGNのプレインキュベーションは、6アミノ酸ペプチドのマイトジェン
効果を阻害した。さらに、YPQGNとの10分または30分のプレインキュベ
ーションは、以下のそれぞれのペプチドの増殖促進効果を完全にブロックする:
CPQGNH、14−Ser、28マー(14−Ser 二量体)、および40
マー(表3)。重要なことには、部分的に精製されたWound Growth
Facter(ヘパリンアフィニティーカートリッジは通過させたが、HPL
Cカラムはまだ通過させていない)のマイトジェン効果もまた、完全に阻害され
た。
/CPQGNH配列を含む6〜40アミノ酸長のWGF由来ペプチドは、ペンタ
ペプチドYPQGNに対して高い親和性もまた有する、同じ細胞表面レセプター
に結合することを示唆する。
をブロックするためのYPQGNの能力が、特異的であるか否かを決定するため
に、実行した。BSC−1の培養細胞を、YPQGNで30分間プレインキュベ
ートし、次いでその培地を吸引し、そして単層を新鮮な培地で2回リンスした。
以下のそれぞれの腎細胞マイトジェンを、このセット条件下において最大となる
ことが公知の濃度において、個々に評価した:EGF(50ng/ml)、イン
シュリン様成長因子I(50ng/ml)、バソプレシン(75pg/ml)、
酸性腺維芽細胞成長因子(100pg/ml)、および塩基性腺維芽細胞成長因
子(1,000pg/ml)。この結果は、それぞれの5つのタンパク質が、細
胞のYPQGNへのプレ曝露にもかかわらず、十分にマイトジェン的であったこ
とを示した。YPQGNによる前処理はまた、TGF−β2(6mg/ml)の
成長阻害効果を、ブロックしなかった。これらの観察が、YPQGNによる、天
然のWGFのマイトジェン阻害が特異的であることを示し、そしてWGFレセプ
ター部位およびシグナル伝達経路が、5つの試験した成長因子のものと異なって
いることを示した。
クローニング)
上記で要約した情報が、天然のWGFおよびWGF由来ペプチドが結合する細
胞表面レセプターを単離およびクローニングするための実験的な戦術を示唆する
。BSC−1株のサル腎臓上皮細胞の表面上のWGFレセプターを検出するため
に、40マーWGFペプチドの高い親和性を利用し、これはヘパリンの存在で、
K1/2=0.0051μM(5.1nM)で細胞と結合する。さらに、細胞への
結合の特異性、またはプラズマメンブレン画分への結合の特異性は、細胞表面と
のペプチドの接着をブロックする、ペンタペプチドYPQGNを用いることによ
りモニターした。放射性ヨウ化40マーを調製し、次いで、BSC−1細胞の培
養物に、ヘパリンと共に加えた。レセプターを、ジスクシンイミジルコスベリン
酸塩の作用により、[125I]40マーと架橋することにより、アフィニティー
標識化する(Segariniら、1987)。細胞タンパク質は、可溶性であ
り、そしてSDS−PAGEにより分離する。オートラジオグラフィーは、レセ
プターの可視化、およびその大きさの規定を可能にする。十分な量のレセプター
タンパク質を、このゲル精製法により単離した後、アミノ末端およびその内部の
アミノ酸配列情報を得、オリゴヌクレオチドプライマーを調製し、そしてポリメ
ラーゼ連鎖反応を、レセプタータンパク質をコードしたcDNAクローンを得る
ために用いる。
およびEGFとの間のインビボでの比較)
塩化第二水銀誘導ARFにおける新規な治療的な薬剤として14−Serペプ
チドの有効性を、この動物モデル系において効果的であることが示されている、
第1のペプチド成長因子であるEGFと比較した(Coimbraら、1990
)。
銀(2.25mg/kg s.c.)1時間後に14−Ser(100μg、s
.c.)を与えるか、毒素2時間後にEGF(20μg、s.c.)を与えるか
またはビヒクルを与え(s.c.)、そして生存しているものをモニターした。
4日後、ビヒクルを処理した動物の25%と比較して、14−Serペプチドを
与えたラットのうち63%が、生きていた(カイ2乗、P=0.0499);E
GFを処理したラットのうち50%が、生存していた(カイ2乗、P=N.S.
)。5日目では、ビヒクルを与えた動物の12.5%と比較して、EGFを与え
たラットのうち50%が生存していた(カイ2乗、P=0.0436)。6日後
では、生存しているラットは、ビヒクルを処置した動物の12%と比較して、1
4−SerペプチドまたはEGFを与えたラットで同じであった(37.5%)
。これらの観察により、腎傷害後に与えられた14−SerペプチドおよびEG
Fは、ARF症候群からの生存を向上させるそれらの能力が類似していたことを
示す。
s.c.)をラットに与え、この成長因子の効果を14−Serペプチドと比較
した。驚くべきことに、EGF処置が、これらの条件下において14−Serペ
プチドは、高い保護であるのに対して、ビヒクルとは異なっていなかった。従っ
て、4日目にEGFを与えたラットの生き残りは、25%であり、ビヒクルを与
えたものは、31%、そして14−Ser WGF由来ペプチドを与えたもので
は、73%であった。
、14−Serペプチドは、EGFよりもより効果的に生存を促進することを示
す。WGF由来ペプチドの投与は、以下について特に効果的であることを証明し
得る:(1)ARFを発症する高い危険性を有する患者(例えば,高齢者、新生
児)への外科的な手順の前、(2)敗血症の処置のための抗生物質または抗悪性
腫瘍薬剤のような潜在的腎毒性薬剤を投与した患者において、および(3)新し
い宿主への移殖に先だつ、ドナーの腎臓の灌流について。
プチドは、灌流および保護に用いられ得、そしてヒト受容者への再移殖に続く血
液での再灌流に際して起こり得る傷害から、虚血性の「ドナー」腎臓を単離(「
エキソビボ」で)し得る。従って、WGFは、屍体からの腎臓または生存してい
るドナーから取り出され、そして移殖を行なう予定である腎臓を保存するために
用いられる溶液に加えた場合、効果的な保護剤として働き得る。
Claims (14)
- 推定分子量45kDaを有する単離されたマイトジェンタンパク質であって、該推定は、SDS−ポリアクリルアミドゲル上でHPLC精製したタンパク質を電気泳動することにより得られ、そしてタンパク質のアミノ末端の1位で始まるアミノ酸配列を有し、該配列は、YPQGNHを含み、
ここで、該タンパク質は、以下の工程
(a)培地中でBSC−1腎臓上皮細胞を培養する工程;
(b)培養中の該細胞を切屑創傷する工程;および
(c)馴化培地から該タンパク質を得る工程、
を包含する方法によって産生される、単離されたマイトジェンタンパク質。 - 推定分子量22kDaを有する単離されたマイトジェンタンパク質であって、該推定は、SDS−ポリアクリルアミドゲル上でHPLC精製したタンパク質を電気泳動することにより得られ、そしてタンパク質のアミノ末端の1位で始まるアミノ酸配列を有し、該配列は、YPQGNHを含み、
ここで、該タンパク質は、以下の工程
(a)培地中でBSC−1腎臓上皮細胞を培養する工程;
(b)培養中の該細胞を切屑創傷する工程;および
(c)馴化培地から該タンパク質を得る工程、
を包含する方法によって産生される、単離されたマイトジェンタンパク質。 - マイトジェン活性を有する、6〜40アミノ酸残基長のペプチドであって、該ペプチドは、以下:
i)NH2−チロシン−プロリン−グルタミン−グリシン−アスパラギン−ヒスチジン−COOH;および
ii)NH2−システイン−プロリン−グルタミン−グリシン−アスパラギン−ヒスチジン−COOH、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド。 - マイトジェン活性を有する、7〜40アミノ酸残基長のペプチドであって、ここで、該ペプチドは、以下:
AQPXPQGNHEATSSSF;
AQPXPQGNHEATSSS;
AQPXPQGNHEA;
AQPXPQGNHEAT;
AQPXPQGNHEATSS;
AQPXPQGNHEAAYG;
AQPXPQGNHEAAY;
AQPXPQGNHEAAA;
AQPXPQGNHEAA;
AQPXPQGNHEATS;
AQPXPQGNHE;
AQPXPQGNHEASYG;
AQPXPQGNHEASY;
AQPXPQGNHEAS;
AQPXPQGNH;
QPXPQGNHE;
PXPQGNHEA;
QPXPQGNH;
PXPQGNHE;
XPQGNHEA;
PXPQGNH;
XPQGNHE;
XPQGNHEATSSSF;
XPQGNHEATSSS;
XPQGNHEATSS;
XPQGNHEATS;および
XPQGNHEAT
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、
ここで、XはYまたはCである、ペプチド。 - マイトジェン活性を有するペプチドであって、ここで、該ペプチドは、以下:
AQPXPQGNHEATSSSF;
AQPXPQGNHEATSSS;
AQPXPQGNHEA;
AQPXPQGNHEAT;
AQPXPQGNHEATSS;
AQPXPQGNHEAAYG;
AQPXPQGNHEAAY;
AQPXPQGNHEAAA;
AQPXPQGNHEAA;
AQPXPQGNHEATS;
AQPXPQGNHE;
AQPXPQGNHEASYG;
AQPXPQGNHEASY;
AQPXPQGNHEAS;
AQPXPQGNH;
QPXPQGNHE;
PXPQGNHEA;
QPXPQGNH;
PXPQGNHE;
XPQGNHEA;
PXPQGNH;
XPQGNHE;
XPQGNHEATSSSF;
XPQGNHEATSSS;
XPQGNHEATSS;
XPQGNHEATS;
XPQGNHEAT;
AQPXOQGNHEASYGAQPXOQGNHEASYG;および
AQPXOQGNHEAQPXPQGNHEAQPXPQGNHEAQPXPQGNHE
からなる群より選択されるアミノ酸配列からなり、
ここで、XはYまたはCである、ペプチド。 - 急性腎不全を伴う患者の処置のための組成物であって、適切な希釈液中に薬理学的有効量の請求項1〜2のいずれか1項に記載のタンパク質を含む、組成物。
- 急性腎不全を伴う患者の処置のための組成物であって、適切な希釈液中に薬理学的有効量の請求項3〜5のいずれか1項に記載のペプチドを含む、組成物。
- 前記タンパク質またはペプチドが、腎臓ガンの処置のために毒素に連結される、請求項6または7に記載の組成物。
- 前記毒素が、腎臓ガンの処置のための毒素を含む、請求項8に記載の組成物。
- 新しい宿主への移植を意図されるドナーヒト腎臓を「エキソビボ」で灌流するための組成物であって、適切な希釈液中に薬理学的有効量の請求項1〜2のいずれか1項に記載のタンパク質を含む、組成物。
- 新しい宿主への移植を意図されるドナーヒト腎臓を「エキソビボ」で灌流するための組成物であって、適切な希釈液中に薬理学的有効量の請求項3〜5のいずれか1項に記載のペプチドを含む、組成物。
- 慢性腎疾患を伴う患者の処置のための組成物であって、適切な希釈液中に薬理学的有効量の請求項1〜2のいずれか1項に記載のタンパク質を含む、組成物。
- 慢性腎疾患を伴う患者の処置のための組成物であって、適切な希釈液中に薬理学的有効量の請求項3〜5のいずれか1項に記載のペプチドを含む、組成物。
- WGF由来ペプチドの少なくとも1つの多量体を含む組成物であって、該多量体は、以下:
ヘキサペプチドNH2−YPQGNH−COOH;
ヘキサペプチドNH2−CPQGNH−COOH;
22kDaまたは45kDaのWGFタンパク質の配列AQPYPQGNHEからなるデカペプチド;
配列AQPYPQGNHEASYGからなる14−Serペプチド;
請求項3〜5のいずれか1項に記載のペプチド;および
それらの組み合わせ、
からなる群より選択される複数のペプチドからなる、組成物。
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