JP2006176406A - ペプチド系抗生物質 - Google Patents

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Abstract

【課題】黄色ブドウ球菌の多剤耐性菌(MRSA)及びペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)に対して優れた有効性を有する、医薬の有効成分として有用な化合物を提供する。
【解決手段】MRSAやPRSPに対して優れた有効性を有するポリペプチドを、Kineosporia属に属する微生物が産成することを見いだした。この化合物及びその塩は、MRSA,PRSPを含む各種病原菌に起因する感染症に有効である新規抗生物質を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な抗生物質及びその製造法と用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
微生物の生産する抗生物質としては、これまでに数多く発見されており、医薬品、動物薬、農薬の分野においてすでに実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
抗生物質の使用においては、耐性菌の発現や毒性が大きな問題となっており、これらの問題点を解決し得る新規な抗生物質の開発が強く望まれている。特に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は化膿性疾患の起因菌として知られているが、その多剤耐性菌(Methicillin resistant staphylococcus aureus:以降MRSAとすることがある)が臨床上非常に大きな問題となっている(小栗ら、臨床と微生物、15巻、7〜15項、1988年)。抗MRSA抗生物質としてはバンコマイシン、テイコプラニン、ハベカシンが知られているが、それら薬剤に対してもバンコマイシン低感受性菌(Vancomycin intermediate staphylococcus aureus:以降VISAとすることがある)などの耐性菌が問題となっており(花木、日本臨床、55巻、5号、269〜274項、1997年)、新規な抗MRSA抗生物質が求められている。また肺炎球菌(Streptococcus pneumoiae)は、肺炎・中耳炎・化膿性髄膜炎の起因菌として知られているが、従来使用されてきたペニシリン系およびセフェム系抗生物質に耐性を持つペニシリン耐性肺炎球菌(Penicillin resistant streptococcus pneumoniae:以降PRSPとすることがある)が近年増加傾向にあり臨床上大きな問題となってきており(岩田、化学療法の領域、16巻、5号、29〜37ページ、2000年)、新規な抗PRSP抗生物質が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、抗菌活性を有する新規な抗生物質を微生物代謝産物より見出すべく鋭意探索を行った。その結果、静岡県大井川町の落葉から分離したキネオスポリア(Kineosporia)属に属する放線菌AP17444株の培養液からMRSA、PRSPをはじめとする各種の病原性微生物に対して生育阻害活性を示す新規抗生物質が産生される事を見出し、本発明を完成させた。
【0005】
即ち、本発明は、
(1) 下記の物理化学的性質を有するペプチド、
本発明の化合物の性状は以下の通りである。(尚、この化合物をAP17444化合物と略記することがある。)
a.アミノ酸分析により、Asn, Thr, Gly, Val, Ile, Leu, Phe, Pro,
Lanthionine, Methyllanthionineが検出できる。
b.分子量:FAB−MS m/z 2107(M+H)
c.紫外部吸収スペクトル:メタノール中の主な吸収ピーク(nm)は次の通りである。
末端吸収、267−273
d.赤外部吸収スペクトル:KBr錠剤中の主な波数(cm-1)は次の通りである。
3270、3054、2966、1660、1527、1427、1286、1247、1201、1133
e.Rf値:約0.5
薄層クロマトグラフィー条件は次の通りである。
固定層:シリカゲルTLC
展開溶媒:クロロホルム−メタノール(6:4)
(2)下記の物理化学的性状を有する(1)に記載のペプチド、
f.アミノ酸配列のN末端が、Ileである。
g.溶解性:ジメチルスルフォキシド、メタノールに可溶で、酢酸エチルに不溶である。
h.呈色試験:ヨウ素蒸気との反応及び過マンガン酸カリウム脱色反応に陽性を示す。
(3) 上記(1)または(2)に記載の化合物を産生する能力を有するKineosporia属に属する微生物を培養し、その培養物より該化合物を採取する事を特徴とする該化合物またはその塩の製造方法、
(4) 上記(1)または(2)に記載の化合物を有効成分とする医薬、
(5) 感染症の予防及び/又は治療に用いる上記(4)に記載の医薬、
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
AP17444化合物は赤外部吸収スペクトル測定の結果、1660および1527cm-1に強い吸収が観測され、ペプチド構造の化合物であることが示唆された。そこで、6N塩酸を用い(24時間、110℃)完全加水分解したのち、イオン交換クロマトグラフィーによりアミノ酸の定量分析を行うと(日本電子 JLC−500/V型装置)、通常アミノ酸として、アスパラギン酸(又はアスパラギン)、スレオニン、グリシン(4分子)、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、プロリン(2分子)が検出され、ペプチド構造の化合物であることがわかった。アミノ酸分析では、通常アミノ酸以外に2種類のアミノ酸のピークが検出された。これらアミノ酸はLC−MSおよびLC−NMR測定の結果、Lanthionine及びMethyllanthionine(Hans−George SAHLら、European Journal ofBiochemistry、230巻、827〜853ページ、1995年)であることが判明した。エドマン分解反応によるアミノ酸配列測定(島津製作所全自動タンパク質一次構造分析装置PPSQ−23A型)を行ったが、1番目にIleが検出されるのみで2番目以後はアミノ酸ピークが検出されなかった。これは、2番目のアミノ酸が上記Lanthionine構造であるか、DehydroalanineやDehydrobutyrineであるためエドマン分解反応が進まないことが推定された。そこで、Lanthionine構造を開裂させる反応、及びDehydroalanineやDehydrobutyrineをチオエーテル誘導体にする反応((Helmut E. Meyerら、Analytical Biochemistry、223巻、185−190ページ、1994年)を行ってからアミノ酸配列測定を22番目まで行った結果、次の配列が得られた。IXXVXLXXPGXTXPGGGXNXXF(Xは、LanthionineまたはMethyllanthionineの開環構造物や、Dehydroalanine、Dehydrobutyrineのチオエーテル誘導体等と推定される)。アミノ酸配列検索を行ったところ該当する化合物はなかった。したがって、AP17444は新規化合物であると確認された。
【0007】
本発明の化合物の分子量は、FAB−MS m/zが2107(M+H)であることから、2106と判断した。
従って、アミノ酸分析、アミノ酸配列及び分子量から、構成アミノ酸の個数は22個または23個と考えられた(lanthionineやMethyllanthionine構造は、2アミノ酸として数えた)。
また、本発明の化合物の紫外部吸収スペクトルは、メタノール溶液で測定した結果、λmaxnm(E1cm1%)が、末端吸収、267−273(45)であり、アルカリ性メタノール溶液で測定した結果、λmaxnm(E1cm1%)が、末端吸収、251−255(195)であった。
【0008】
また本発明によれば、AP17444化合物を産生する能力を有するキネオスポリア属に属する放線菌を培養し、その培養物よりAP17444化合物を採取する事を特徴とするAP17444化合物またはその塩の製造方法が提供される。
本発明のAP17444化合物を産生する能力を有するキネオスポリア属に属する微生物としては、本発明の化合物を産生する能力があれば特に限定されないが、例えば、下記のキネオスポリア・エスピー(Kineosporia sp.)AP17444株が例示される。
【0009】
上記AP17444株の菌学的性状は次の通りである。
1.形態的性質
イーストエキス・麦芽エキス寒天培地で28℃、20日間培養し、光学顕微鏡、実体顕微鏡にて観察を実施した。本菌は糸状を形成し、良く分岐した基底菌糸が発達する。通常、菌糸の断裂は認められない。成熟した基底菌糸の直径は約0.7〜1.2μmである。基底菌糸の一部の先端に隔壁が形成され、胞子もしくは胞子嚢様の形態を形成する。胞子は球形、亜球形、楕円形、卵型で、その大きさは約0.8〜1.6μm×0.8〜1.6μmである。また、胞子は運動性を有する。胞子表面は光学顕微鏡(×1500)では平滑と観察される。気菌糸は確認できない。
【0010】
2.培養的性質
各種培地で28℃、20日間培養し、観察した。色の記載はコンティナ・コーポレーション・オブ・アメリカ(Container Corporation of America)のカラー・ハーモニー・マニュアル(Color harmony manual)第4版 1958年に従った。
(1)イーストエキス・麦芽エキス寒天培地
生育は非常に良好。コロニーの色はLight Apricot(4ea)〜Apricot(4ga)。コロニー表面の状態は湿潤。気菌糸は形成しない。色素生産は認められない。
(2)オートミール寒天培地
生育良好。コロニーの色はPearl Pink(4ca)〜Shell Pink(5ba)。コロニー表面の状態は湿潤であるが、イーストエキス・麦芽エキス寒天培地程ではない。気菌糸は形成しない。色素生産は認められない。
【0011】
(3)スターチ・無機塩寒天培地
生育微弱。コロニーの色はShell Tint(2ba)〜Shell Tint(3ba)。コロニー表面は湿潤ではない。気菌糸は形成しない。色素生産は認められない。
(4)グリセロール・アスパラギン寒天培地
生育は微弱でエーゼで塗布した跡を薄くトレースするように生育。コロニーの色はwhite(a)。コロニー表面は湿潤ではない。気菌糸は形成しない。色素生産は認められない。
【0012】
3.生理学的性質
(1)温度(イーストエキス・麦芽エキス寒天培地で14日間培養)
5℃ 生育せず
7、11℃ 若干の生育確認
17℃ 生育
20、23,26,29℃ 旺盛な生育
33℃ 微弱な生育
37℃ 若干の生育確認
39℃、42℃ 生育せず
(2)メラニン色素生産性
ペプトン・イースト・鉄寒天培地:色素生産 なし(生育微弱)
チロシン寒天培地:色素生産 なし(生育微弱)
【0013】
(3)炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリーブ寒天培地を基礎培地とする)
L−アラビノース、D−キシロース、D−グルコース、D−フラクトース、イノシトール及びL−ラムノースを利用する。ラフィノースは利用しない。
以上の形態的性質、培養的性質及び生理学的性質で示された特徴により、本菌株をキネオスポリア(Kineosporia)属の放線菌であると同定し、キネオスポリア・エスピー(Kineosporia sp.)AP17444と命名した。尚、本菌株を工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−19212として寄託した。
【0014】
本発明に係わるAP17444化合物の典型的で好ましい製造方法は、キネオスポリア属に属する該化合物生産菌(例えばKineosporia sp.AP17444)を好適な培地で培養し、その培養物から分離する方法が例示される。
本発明物質を製造するのに使用される培地は、液体培地による振盪培養または通気攪拌培養が最も適しているが、これに限定されない。培地はAP17444化合物生産菌が生育して培地中に該化合物を蓄積するものであれば特に限定されず、例えば、炭素源としてはグルコース、シュークロース、デキストリン、澱粉、グリセリン、糖蜜、有機酸等が使用できる。また窒素源としては、例えばイーストエキス、ペプトン、肉エキス、大豆粉、グルテンミール、小麦胚芽、コーンスティープリカー、アミノ酸類、アンモニウム塩、硝酸塩、その他各種有機あるいは無機窒素化合物が用いられる。無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、各種リン酸塩、マグネシウム塩、銅塩、コバルト塩などを添加しても良い。また菌の生育及びAP17444化合物生産を促進するようなビタミン類、補酵素などを添加しても良い。特に、培地が強く発泡するのであれば、必要ある時に液体パラフィン、動物油、鉱物油、シリコン等を添加しても良い。
【0015】
AP17444化合物生産菌の培養における培養温度、培養時間、攪拌速度、通気量、培養液のpHなどの条件は、AP17444化合物の蓄積量が最大となるように適当に選択、調節される。例えば、通常の通気攪拌培養の場合、培養温度は通常20〜35℃、好ましくは25〜30℃で行うのが良い。培養時間は通常2〜10日間、好ましくは3〜8日間の培養を行うのが良い。また培養液のpH通常pH5.0〜9.0、好ましくは6.0〜8.0に調節するのが良い。
【0016】
培養の経過に伴って培養液中に蓄積されるAP17444化合物の量の経時変化は以下に記載の分離、精製の際、確認可能な液体クロマトグラフィーまたは薄層クロマトグラフィーにより測定する事ができる。
培養液からのAP17444化合物の分離、精製には、その物理化学的特性に基づく種々の方法を用いる事ができる。その場合に例えば下記の条件の液体クロマトグラフィーまたは薄層クロマトグラフィーにより確認することで追跡可能である。
【0017】
液体クロマトグラフィー条件
分離カラム:昭和電工Shodex C18 4.6x150mm
溶媒:アセトニトリル−0.05%TFA水溶液(3:7)
流速:1.0ml/分
検出:UV 220nm
保持時間:13.3分
薄層クロマトグラフィー条件
固定層:東京化成シリカゲルfS201
展開溶媒:クロロホルム−メタノール(6:4)
検出:UV 254nm
Rf値:約0.5
【0018】
分離、精製の方法として、例えば、培養液中に存在するAP17444化合物は、水と混和しない有機溶媒、例えばブタノールにより抽出精製する事ができる。あるいは吸着剤として例えばダイヤイオンHP−20(三菱化成社製)などが使用される。AP17444化合物を含む画分を上記の吸着剤の層を通過させて不純物を吸着させて取り除くか、又は、AP17444化合物を吸着させた後、メタノール水、アセトン水などを用いて溶出させる事により該化合物を得る事ができる。更にシリカゲル、アルミナ、フロリジルの様な担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー、セファデックスLH−20(ファルマシア社製)、トヨパールHW−40(東ソー社製)などを用いた分配カラムクロマトグラフィー、及び順相、逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーなどでAP17444化合物をそれぞれ分離、精製する事ができる。
【0019】
AP17444化合物の抗菌活性を各種の病原性微生物に対して測定し、その最小発育阻止濃度(MIC)を求めた。その結果を表1に示す。表1に示したごとく、AP17444化合物はMRSA(KU16株:北里大学より分与)、VISA(MU50株:順天堂大学より分与)、PRSP(ASP965株:東北労災病院より分与)、および病原性嫌気性菌を含む各種の病原性微生物に対して、抗菌活性を示す。
【0020】
また、AP17444化合物でMRSA感染治療試験を行った。その結果を表2に示す。表2に示したごとく、AP17444化合物はMRSA感染治療試験において従来最も有効とされているバンコマイシンに比較して優れた治療効果を示す。
また、AP17444化合物でPRSP感染治療試験を行った。その結果を表3に示す。表3に示したごとく、AP17444化合物は、PRSP感染治療試験において有効とされているバンコマイシンよりも優れた治療効果を示す。
【0021】
従って、AP17444化合物は、これらの病原性微生物に起因する感染症に対する治療又は予防剤として有用である。
以上の結果から、AP17444は、上記の病原性微生物を起因とする感染症に対する治療及び/又は予防剤として有用である。なお、検定に用いる微生物は、本願で用いた微生物に限られることなく、各種の寄託機関の標準菌株や各施設での臨床分離株を利用する事ができ、容易に本願の抗菌活性の効果が確認されるであろう。
【0022】
本発明のAP17444化合物を医薬として使用する際、AP17444化合物の他に、薬学的に許容される担体とからなる事ができる。担体としては、公知のものが使用でき、その性質によっては賦型剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤等と分類されることもあるが、例えば、ラクトース、コーンスターチ、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。医薬の典型例としてはAP17444化合物の5%グルコース水溶液が例示される。
【0023】
本発明の医薬は、例えば抗生物質であり、さらに詳しくは、抗MRSA剤及び/又は抗PRSP剤である。本発明の医薬は、種々の形態で投与され得るが、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ剤等による経口投与または注射剤(静脈内、筋肉内、皮下)、点眼剤、座薬、軟膏、スプレー、ローション等による非経口投与を挙げることができる。
これらの医薬は、症状、年齢、体重、投与方法及び剤形等によって異なるが通常は成人に対して1日1mg乃至3000mgを投与することができる。
【0024】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0025】
[実施例1]
(1)AP17444化合物の発酵生産
グルコース1%、デキストリン1%、イーストエキス0.5%、カゼイン水解物0.5%、CaCO30.1%の組成の培地(滅菌前pH7.0)を500ml容三角フラスコ4本に各100mlずつ分注し、115℃で15分間滅菌した。これらにKineosporia sp.AP17444(FERM P−19212)の斜面培養物を一白金耳接種し、ロータリーシェーカー(毎分200回転)で29℃、72時間培養し、種培養液とした。グルコース2%、スターチ2%、脱脂大豆粉2%、イーストエキス0.5%、NaCl0.25%、CaCO30.35%、ZnSO4・7水塩0.005%、MnCl2・7水塩0.0005%、CuSO4・5水塩0.0005%の組成培地(滅菌前pH7.0)を500ml容三角フラスコ1本に各100mlずつ分注し、115℃で15分間滅菌した培地100本に、上記の種培養液を4mlずつ接種し、29℃で144時間ロータリーシェーカー(毎分200回転)上で培養を行った。
【0026】
(2)AP17444化合物の精製
上記の培養方法で得られたブロス10lを遠心分離器(毎分3000回転、10分間)で菌体(800g)とろ液(8l) に分離した。
得られたろ液を、予め水洗したスチレンジビニルベンゼン系ポリマー樹脂HP−20(三菱ダイヤイオン製品)カラム(800ml)に付し、AP17444物質を吸着させた。カラムを、4lの水で水洗し、4lの30%アセトン水で洗浄したのち、50%アセトン水で溶出し、400mlずつ分画を行うと、AP17444化合物はフラクションNo.2〜5に溶出されていた。上述のAP17444を含むフラクション(No.2〜5)を集め減圧下で濃縮を行い、得られた濃縮乾固物を250mlの混合溶媒(クロロホルム:メタノール=3:2)に懸濁し、遠心分離(毎分3000回転、10分間)を行い、上清を得た。得られた上清を減圧下で濃縮を行い、少量の混合溶媒(クロロホルム:メタノール=7:3)に溶解し、予めクロロホルム−メタノール(7:3)にて作成したシリカゲルカラムクロマト(300ml)に付し上記溶媒で溶出し、20mlずつ分画を行うと、AP17444化合物はフラクションNo.42〜95に溶出されていた。
【0027】
上述のAP17444を含むフラクション(No.42〜95)を集め減圧下で濃縮を行うと粗粉末310mgが得られた。次いでこの粗粉末を6mlのジメチルスルフォキシドに溶解し、その12分の1量を予めアセト二トリル−0.05%TFA(30:70)にて作成した逆相分取カラム(昭和電工、Shodex C18M 20mmΦx250mm)に付し、同混合溶媒で展開し、5mlずつ分画した。フラクションNo.46〜54にAP17444化合物成分を得た。同様の操作を12回行い、AP17444化合物を含む各フラクションをそれぞれ集めアセト二トリルを減圧濃縮後、凍結乾燥すると、単一なAP17444化合物(164mg)の白色粉末が得られた。得られたAP17444化合物の各種性状を検定したところ以下の結果を示した。
【0028】
AP17444化合物の性状
1)概観:白色粉末
2)比旋光度:〔α〕D 22=+40.2±5(c=1.0、DMSO)
3)分子量:FAB−MS m/z 2107(M+H)
4)紫外部吸収スペクトル:メタノール中の主な吸収ピーク(nm)は次の通りである。
λmaxnm(E1cm1%)末端吸収、267−273(45)
アルカリ性メタノール溶液中の主な吸収ピーク(nm)は次の通りである。
λmaxnm(E1cm1%)末端吸収、251−255(195)
5)赤外部吸収スペクトル:KBr錠剤中の主な波数(cm-1)は次の通りである。
3270、3054、2966、1660、1527、1427、1286、1247、1201、1133
6)少なくとも以下のアミノ酸を含む。Asn, Thr, Gly(4), Val, Ile, Leu, Phe, Pro(2), Lanthionine, Methyllanthionine
7)1H−NMRスペクトル(400MHz、DMSO−d6):図2に示す通りである。
8)13C−NMRスペクトル(100MHz、DMSO−d6):図3に示す通りである。
9)溶解性:ジメチルスルフォキシド、メタノールに可溶で、酢酸エチルに不溶である。
10)呈色試験:ヨウ素蒸気との反応及び過マンガン酸カリウム脱色反応に陽性を示す。
【0029】
[実施例2]
抗菌活性
実施例2で得られたAP17444化合物をDMSOに溶解した後、水で希釈し、各種濃度の水溶液を作成し、表1に示す各種の病原性微生物に対する抗菌活性を寒天希釈平板法(日本化学療法学会標準法)に準じて試験した。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 2006176406
【0031】
表1に示したごとく、AP17444化合物は各種の病原性微生物に対して抗菌活性を示す。従ってAP17444化合物はこれら病原菌に起因する感染症に対する抗菌剤として有用である。
【0032】
[実施例3]
MRSA動物感染治療効果
ICR系マウス(4週齢 雄)に、S.aureusKU16(MRSA)を、1匹あたり4x107CFU腹腔内感染させた。感染1時間後にAP17444化合物およびバンコマイシンを腹腔内投与した。感染3日後までの生存マウス数よりVan der Waerden法によりED50値を求めた。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
Figure 2006176406
【0034】
表2に示したごとく、AP17444化合物は、MRSAに対してバンコマイシンと比較して優れた感染治療効果を示す。
【0035】
[実施例4]
PRSP動物感染治療効果
ICR系マウス(4週齢 雄)に、S.pneumoniaeASP965(PRSP)を、1匹あたり1.8x107CFU静脈内感染させた。感染1時間後にAP17444化合物およびバンコマイシンを腹腔内投与した。感染5日後までの生存マウス数よりVan der Waerden法によりED50値を求めた。その結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
Figure 2006176406
【0037】
表3に示したごとく、AP17444化合物は、PRSPに対してバンコマイシンよりも優れた感染治療効果を示す。
【0038】
[実施例5]
毒性試験
実施例2で得られたAP17444化合物をDMSO溶解後水希釈して20%DMSO水溶液を作製し、100mg/kgをICR系マウス3匹に静脈内投与し、死亡状況を確認した。その結果いずれの個体においても死亡例はなく、本発明化合物は、安全性が高いことが確認された。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、MRSA、PRSPを含む各種病原菌に起因する感染症に有効である新規抗生物質を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はAP17444化合物のKBr錠剤中での赤外吸収スペクトルを示す。
【図2】図2はAP17444化合物のDMSO−d6中で測定した1H−NMR(400MHz)スペクトルを示す。
【図3】図3はAP17444化合物のDMSO−d6中で測定した13C−NMR(100MHz)スペクトルを示す。

Claims (5)

  1. 次の物理化学的性状を有するペプチド。
    a.アミノ酸分析により、Asn, Thr, Gly, Val, Ile, Leu, Phe, Pro, Lanthionine, Methyllanthionineが検出できる。
    b.分子量:FAB−MS m/z 2107(M+H)
    c.紫外部吸収スペクトル:メタノール中の主な吸収ピーク(nm)は次の通りである。
    末端吸収、267−273
    d.赤外部吸収スペクトル:KBr錠剤中の主な波数(cm-1)は次の通りである。
    3270、3054、2966、1660、1527、1427、1286、1247、1201、1133
    e.Rf値:約0.5
    薄層クロマトグラフィー条件は次の通りである。
    固定層:シリカゲルTLC
    展開溶媒:クロロホルム−メタノール(6:4)
  2. 次の物理化学的性状を有する請求項1に記載のペプチド。
    f.アミノ酸配列のN末端が、Ileである。
    g.溶解性:ジメチルスルフォキシド、メタノールに可溶で、酢酸エチルに不溶である。
    h.呈色試験:ヨウ素蒸気との反応及び過マンガン酸カリウム脱色反応に陽性を示す。
  3. 請求項1または2に記載の化合物を産生する能力を有するKineosporia属に属する微生物を培養し、その培養物より該化合物を採取する事を特徴とする該化合物またはその塩の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載された化合物を有効成分とする医薬。
  5. 感染症の予防及び/又は治療に用いるための請求項4に記載の医薬。
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