JP2000197499A - 新規化合物及びその製造法 - Google Patents

新規化合物及びその製造法

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JP2000197499A
JP2000197499A JP11005632A JP563299A JP2000197499A JP 2000197499 A JP2000197499 A JP 2000197499A JP 11005632 A JP11005632 A JP 11005632A JP 563299 A JP563299 A JP 563299A JP 2000197499 A JP2000197499 A JP 2000197499A
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Mitsuharu Owaku
光治 大和久
Toshiro Majima
敏郎 馬島
Michio Matsugami
道雄 松上
Masahiro Goto
正弘 後藤
Takuji Nakajima
琢自 中島
Takao Ito
隆男 伊藤
Kiyomi Namako
清美 生子
Akira Nozawa
暁 野沢
Toyohiko Miki
豊彦 三木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌作用を有する新規化合物を提供するこ
とを課題とする。 【解決手段】下記の化学式Iで表される新規化合物およ
びその生理的に許容される塩を抗菌剤として使用する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規化合物及びそ
の製造法に関するものである。そして、本発明の新規化
合物は抗菌作用を有し、医薬品等に有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、数多くの微生物由来の化合物が発
明され、医薬用・動物用薬品・農薬等の分野で実用化さ
れている。しかし、抗生物質を頻繁に使用した結果、抗
生物質耐性菌が発生するようになり、これらの耐性菌等
に抗菌作用等を示す新規物質が求められている。また、
皮膚病原性糸状菌、深在性真菌症の起因菌等に対する抗
真菌活性又は、病原性細菌に対する抗細菌活性を示す新
規化合物の更なる開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗菌作用を
示す新規化合物及びその製造法を提供することを課題と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため、鋭意研究を重ねた結果、ストレプトマイ
セス属に属する特定の微生物が抗菌作用を示すことを見
出し本発明を完成させた。
【0005】即ち、本発明は、下記の理化学的性状を有
する化合物およびその生理的に許容される塩である。 1.外観:淡黄色粉末 2.HR FAB−MS m/Z(M+H)+ 799.
3952 3.分子式:C33541310 4.UV吸収スペクトル:λmax 250〜260、
310〜330(nm) 5.1H−NMR:表2に示す通り(DMSO中、50
0MHzで測定) 6.13C−NMR:第2に示す通り(DMSO中、12
5MHzで測定) 7.溶解性:水、メタノール又はジメチルスルホキシド
に易溶 8.呈色反応:ニンヒドリン反応陽性 また、本発明は、下記の化学式Iで表される前記化合物
およびその生理的に許容される塩である。
【0006】
【化2】 更に、本発明はストレプトマイセス属に属し、前記化合
物を生産する微生物である。
【0007】更に、また、前記ストレプトマイセス属に
属する微生物が、POL−1285株(FERM P−
17108)である、前記化合物を生産する微生物であ
る。更に、また本発明はストレプトマイセス属に属する
前記微生物を培養し、その培養物から前記化合物を採取
することを特徴とする前記化合物の製造法である。
【0008】また、本発明は前記化合物を含む抗菌剤で
ある。また、本発明は前記化合物を含む医薬組成物であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】まず、本発明の新規化合物を説明
する。 (1)新規化合物 本発明の新規化合物は、前記1.〜8.の理化学的性状
を示す。
【0010】本発明の新規化合物には、この前記1.〜
8.の理化学的性状を示す化合物の生理的に許容される
塩も含まれる。その生理的に許容される塩としては、例
えば、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の鉱酸塩、クエン酸、
シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、メタン
スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホ
ン酸等の有機酸塩、炭酸塩、ナトリウム、カリウム等の
アルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカ
リ土類金属塩、等の塩が例示できる。
【0011】本発明の新規化合物は、NMR等の分析の
結果、化学式Iの構造であると推定された。尚、化学式
I中のN−OHの構造は、この構造に限定されるもので
はなく、この部分の構造が一部異なる化学式Iの類似化
合物も、本発明の新規化合物に含まれる。
【0012】
【化3】 以下本明細書において、前記の1.〜8.の理化学的性
状を示す化合物およびその生理的に許容される塩(化学
式Iで表される化合物およびその生理的に許容される塩
を含む。)を「S−213L」と呼ぶことがある。 (2)本発明の新規化合物S−213Lの製造方法 次に、本発明のS−213Lの製造方法を説明する。
【0013】本発明のS−213Lは、ストレプトマイ
セス属に属し、S−213Lの化合物を生産する微生物
を利用することにより製造することができる。即ち、ス
トレプトマイセス属に属するS−213Lを生産する微
生物を培養し、その培養物からS−213Lを採取する
ことにより製造することができる。
【0014】本発明の方法では、S−213Lを生産す
る微生物を通常の微生物が利用しうる栄養物を含有する
培地で培養することができる。栄養源としては、従来放
線菌の培養に利用されている公知のものが使用できる。
例えば、炭素源としてブドウ糖、デキストリン、澱粉、
糖みつ、動・植物油等が使用しうる。また、窒素源とし
て、肉エキス、大豆粉、小麦胚芽、コーンスティープリ
カー、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸
ナトリウム、尿素等を使用しうる。その他、必要に応
じ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、コバルト、塩素、燐酸、硫酸、およびその他のイオ
ンを生成することができる無機塩類を添加することは有
効である。また、菌の生育を助け、S−213Lの生産
を促進するような有機および無機物を適当に添加するこ
とができる。
【0015】培養法としては、好気的条件下での培養
法、特に振とう培養法が最も適している。培養する温度
は、好ましくは、15〜37℃であり、更に好ましく
は、25〜30℃である。S−213Lの生産は培地や
培養条件により異なるが、通常2〜4日の間でその蓄積
が最高に達する。培養中のS−213Lの蓄積量が最高
に達した時に培養を停止すればよい。
【0016】S−213Lの精製は、発酵生産物を採取
する一般的な方法に準じて単離を行えば良い。すなわ
ち、培養液中の菌を除去し、分配クロマトグラフィー、
イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等により、精
製して、新規化合物S−213Lを得ることができる。
S−213Lをカラムから溶出させる溶媒としては、
水、メタノール、または、これらの混合物が好ましい。
なお、S−213Lの精製条件は、カラムから溶出され
た活性画分を、ペーパーディスクアッセイにより抗真菌
活性を測定することで、適宜条件を変更することで、最
適な条件を決定することができる。 (3)本発明のS−213Lを生産する微生物 本発明のS−213Lを生産する微生物は、ストレプト
マイセス属に属する放線菌である。S−213Lを生産
する微生物の突然変異株、形質融合体または遺伝子組換
え体等であっても、S−213Lを生産する限り、S−
213Lを生産する微生物に含まれる。
【0017】S−213Lを生産する微生物の一例とし
ては、本発明者らによって、千葉県千葉市の土壌より新
たに分離されたPOL−1285株がある。本発明者ら
はPOL−1285株をストレプトマイセス・エスピー
・POL−1285(Streptomyces sp. POL-1285)と称
することにした。なお、POL−1285株は通商産業
省工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市
東1丁目1番3)に、平成10年12月21日、FER
M P−17108の受託番号で受託されている。本発
明のS−213Lを生産する微生物は、常にS−213
Lを生産する必要はなく、好適な条件下で、S−213
Lを生産するものであればよい。S−213Lを生産す
るPOL−1285株には、寄託した菌株自体の他、気
菌糸色調はグレー系であり、気菌糸先端は直鎖状で、胞
子表面は円滑、裏色調は黄−茶色系で、メラニン様色素
を生成するという特徴を有し、S−213Lを生産する
ストレプトマイセス属に属する放線菌が含まれる。
【0018】次に、このPOL−1285株の性質につ
いて以下説明する。 (a)形態学的特徴 基生菌糸は長く伸張し、良く分岐し、通常の条件下では
分断しない。気菌糸はイースト麦芽寒天(ISP培地
No.2)、オートミール寒天(ISP培地No.3)、
スターチ寒天(ISP培地 No.4)、グリセロール
・アスパラギン寒天(ISP培地 No.5)等で豊富
に着生し、直鎖状の長い胞子連鎖を築く。電子顕微鏡に
よる観察では、胞子は長円筒型で表面は円滑である。胞
子は通常20〜50個連鎖する。胞子のう、運動性胞
子、菌核などは観察されない。 (b)各種培地上の性質 POL−1285株の各種培地上での生育状態は次の表
1に示す通りである。色の記載については、標準色彩図
表A((財)日本色彩研究所監修)を用いた。観察は2
8℃で21日培養後行った。
【0019】
【表1】 (c)生理的性質 1)生育温度範囲:イースト・麦芽寒天において15〜
37℃の温度範囲で生育し、25〜30℃で良好に生育
する。 2)ゼラチンの液化:陰性 3)スターチの加水分解:陽性 4)硝酸塩の還元:陰性 5)脱脂乳のペプトン化:陽性 6)脱脂乳の凝固:陽性 7)メラニン様色素の生成:トリプトン・イースト液体
で陰性、チロシン寒天、ペプトン・イースト・鉄寒天で
陽性を示す。 (d)炭素源の利用性 1)利用する:D−グルコース、D−フラクトース、D
−キシロース、L−アラビノース、シュクロース、ラフ
ィノース、ガラクトース、 2)利用しない:D−マンニトール、L−ラムノース、
イノシトール、セルロース (e)細胞壁組成 ベッカー(Becker)らの方法(Appl.Microbiol.13:236,1
965)により分析した結果、細胞壁成分中のジアミノピメ
リン酸はLL型であった。 (4)本発明のS−213Lの使用 本発明のS−213Lは、上記の微生物を培養し、その
培養物から採取することにより製造することができる。
【0020】そして、このように製造したS−213L
は、ある種のグラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌に対し
て抗菌作用を示すので、人および動物の微生物感染症に
対する治療薬、予防薬、即ち、新規抗生物質としての使
用が期待される。
【0021】S−213Lを抗生物質として使用するに
は、S−213Lを含む医薬組成物を作製すればよい。
S−213Lを含む医薬組成物は、抗細菌作用、抗真菌
作用の他、抗ウィルス作用、抗がん(制がん)作用も期
待される。
【0022】本発明のS−213Lを含む医薬組成物
は、S−213Lのみで構成されてもよいし、また、剤
形等を考慮して各種担体を構成成分として含んでもよ
い。ここで、S−213Lを含む医薬組成物の剤形は特
に制限されない。
【0023】また、本発明のS−213L含む医薬組成
物を、さらに、各種用途に応じて本発明の効果を損なわ
ない範囲で各種任意成分と組み合わせて使用することも
できる。また、これら組成物には、本発明のS−213
Lと併せて、他の薬効成分を配合することも可能であ
る。
【0024】本発明のS−213Lを用いて医薬組成物
を作製する場合、上記任意成分としては、一般に製剤上
許容される無機または有機の一種、あるいは数種のベヒ
クル、坦体、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、防腐
剤、安定剤、湿潤剤、乳化・可溶化・分散剤、pH調整
剤、等張剤、甘味剤、芳香剤、着色剤等を挙げることが
できる。医薬組成物の剤形は、特に限定されないが、そ
の組成が投与経路、投与計画等によって決定され、例え
ば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、乳剤、
液剤等、通常用いられている各種剤形に、従来公知の技
術を用いて製剤化することが可能である。投与形態とし
ては、経口投与、注射による投与等が挙げられる。
【0025】製剤化について具体的には、固形製剤を製
造する際には、上記剤と共に、コーンスターチ、ゼラチ
ン等の結合剤、炭酸カルシウム、微晶性セルロース等の
賦形剤、デンプン、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム等の崩壊剤、タルク等の滑沢剤、乳糖、ショ糖等の
甘味剤等を配剤することで散剤、錠剤、顆粒剤、錠剤、
カプセル剤とすることができる。また、乳剤、懸濁剤、
液剤等の液体製剤の場合には、担体として、一般的に用
いられる不活性な希釈剤、例えば、水や植物油等を用い
ることができる。液体製剤には、上記不活性な希釈剤以
外に湿潤剤、乳化・可溶化・分散剤、pH調整剤、等張
剤、甘味剤、着色剤、防腐剤、安定剤等を配合してもよ
い。更に、この様な液体製剤をゼラチンのような吸収さ
れ得る物質のカプセル中に含ませて製剤化することもで
きる。
【0026】また、注射用の溶液は、塩溶液、グルコー
ス溶液、またはこれらの混合溶液からなる担体を用いて
調製することができる。この様な本発明のS−213
L、あるいは、これを含有する組成物は、微生物に起因
する各種疾患、例えば、人および動物の微生物感染症に
対するの予防や治療に用いることが可能である。
【0027】本発明のS−213Lを抗菌作用を有する
皮膚外用剤として使用する場合は、適当な基剤に懸濁あ
るいは溶解させ、乳化剤、浸透剤、角質軟化剤、展着
剤、その他の添加剤とともに製剤化し、散剤、チンキ
剤、ローション剤エマルジョン、サスペンジョン、軟膏
などの皮膚外用剤等中の1成分として使用することがで
きる。
【0028】また、本発明のS−213Lを抗菌剤とし
て、例えば化粧品中に1成分として含有させることもで
きる。その中ではクリーム、乳液、ローションなどに好
ましく用いることができる。
【0029】もっとも、使用範囲は上記の医薬品、皮膚
外用剤や化粧品に限る必要はなく、例えば、歯磨き、口
腔剤、食品など、医薬品や化粧品以外の化学工業製品に
も同様に幅広く用いることができる。
【0030】S−213Lを抗菌剤として使用する場
合、新規化合物を上記のような化粧品あるいはその他の
化学工業製品に用いるには、具体的には、それぞれの化
学工業製品の中に直接添加すればよい。
【0031】また、S−213Lを抗菌剤として使用す
る場合は、上記の様にして得られるS−213Lの純粋
物(精製物)を用いてもよく、微生物から得られる抽出
物や粗精製物等を含む混合物を用いてもよい。さらに、
上記S−213Lを化学合成して本発明に用いることも
可能である。
【0032】本発明のS−213Lは、ある種のグラム
陽性菌、グラム陰性菌、真菌などの繁殖を効果的に抑制
し得る。この中では、皮膚病原性糸状菌であるトリコフ
ィートン、ミクロスポーラム、及び、深在性真菌症の起
因菌であるカンジダに対し優れた抗真菌活性を有する。
また、病原性グラム陰性細菌であるシュードモナス、グ
ラム陽性細菌であるプロテウス、ミクロコッカスに対し
ても優れた抗細菌活性を有する
【0033】
【実施例】以下、実施例により、さらに具体的に本発明
を説明する。 (1)微生物の分離及びスクリーニング 千葉県千葉市の土地より採取した土を生理食塩水に懸濁
させ、この一部を澱粉1.0%、グリセロール1.0
%、硫酸アンモニウム0.2%、炭酸カルシウム0.2
%、リン酸水素2カリウム0.1%、硫酸マグネシウム
7水和物0.1%、塩化ナトリウム0.1%の組成から
なる寒天培地上にコンラージ棒を用いて塗末した。そし
て、28℃で3週間培養し、出現した微生物コロニーを
同培地で純化培養した。次に、ブドウ糖3.0%、大豆
粉2.0%、ペプトン0.2%、塩化ナトリウム0.5
%、炭酸カルシウム0.35%の組成からなる液体培地
100mlを含む500ml坂口フラスコに1白金耳量
の菌体を接種し、28℃で3日間振とう培養した。遠心
分離により菌体を除去して得られた培養上清についてト
リコフィートン・メンタグロフィテスを試験菌とする発
育抑制を指標としたスクリーニングを実施した。その結
果、試験菌の発育を顕著に抑制する微生物を見いだし、
ストレプトマイセス・スピシーズ POL−1285株
(FERM P−17108)と命名した。 (2)POL−1285株の培養 種培地として、酵母エキス1.0%、ブドウ糖1.0%の
組成からなる培地を用いた。また、生産培地として、ブ
ドウ糖3.0%、大豆粉2.0%、ペプトン0.5%、塩
化ナトリウム0.5%、炭酸カルシウム0.35%の組成
からなる培地を用いた。なお、いずれの培地ともイオン
交換水で調製し、殺菌前のpHはすべてpH7.0に調
整して使用した。
【0034】前記の種培地100mlを分注した500
ml容三角フラスコを121℃で15分間殺菌し、これ
にストレプトマイセス・スピシーズ POL−1285
株(FERM P−17108)の斜面寒天培地の1〜
2白金耳量を接種し、28℃で3日間振とう培養し、こ
れを種培養とした。
【0035】予め121℃で15分間殺菌した100m
lの生産培地を含む500ml容三角フラスコ40本の
それぞれに前記の種培養を2ml接種し、28℃で3日
間振とう培養した。培養終了後、ろ過助剤として、けい
藻土を加えてろ過し、ろ液を得た。 (3)活性物質の精製 培養液からは、以下の3つのカラムクロマトグラフィー
を使用することにより、活性を示す物質を精製した。 (a)CM−Sepharoseカラムクロマトグラフ
ィー 上記培養ろ液4Lを2Lずつに分けて、それぞれ50m
M酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)にて2倍に
希釈した。希釈液4LをCM−Sepharoseカラ
ム(150ml)に通液し、50mM酢酸ナトリウムバ
ッファー(pH6.0)1Lで洗浄後、0.5NaCl/
50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)にて
グラジエント溶出し活性画分(280ml)を得た。活
性画分は、ペーパーディスクアッセイにより測定した。 (b)ODS−C18カラムクロマトグラフィー この活性画分を更にODS−C18カラム(150m
l)に通液し、水150mlで洗浄後、50%MeOH
にてグラジエント溶出し活性画分(90ml)を得、濃
縮乾固した。 (c)SephadexLX−20カラムクロマトグラ
フィー 上記濃縮乾固した活性画分を0.4mlの水に溶解し、
水で調製したSephadexLX−20カラム(40
0ml)にアプライ後、水で溶出を行い、活性画分(2
7ml)を得た。さらにこの活性画分を0.3mlの水
に溶解し、メタノールで調製したSephadexLX
−20カラム(190ml)にアプライ後、メタノール
で溶出を行い、活性物質を30mg得た。
【0036】以上の方法によって得られた活性物質の理
化学的性状は、次に示す通りであった。 1.外観:淡黄色粉末 2.HR FAB−MS m/Z(M+H)+ 799.
3952 3.分子式:C33541310 4.UV吸収スペクトル:λmax 250〜260、
310〜330(nm) 5.1H−NMR:表2に示す通り(DMSO中、50
0MHzで測定) 6.13C−NMR:表2に示す通り(DMSO中、12
5MHzで測定) 7.溶解性:水、メタノール又はジメチルスルホキシド
に易溶 8.呈色反応:ニンヒドリン反応陽性 これより、この物質を単一物質であると判断した。さら
に上記の理化学的性状およびスペクトル解析の結果から
新規化合物と判断し、「S−213L」と命名し、その
化学構造を下記のように推定した。また、S−213L
のNMRデータを表2に示す。この化合物をマス・スペ
クトルにより分子量を計算したところ、799.395
4であった。
【0037】
【表2】 表2は、DMSO中にて、500MHzで測定したS−
213Lの1H−NMRスペクトルデータ及び、125
MHzで測定したS−213Lの13C−NMRスペクト
ルデータを示す。 (4)抗菌活性の評価 この新規化合物S−213Lの各種微生物に対する影響
を調べるために、最小発育阻止濃度(MIC)を測定し
た。
【0038】用いた微生物は真菌類としては、表3に示
す菌株を試験菌として用いた。そして、これらの真菌類
の懸濁液(106個/ml)をバッファード・イースト
モロフォロジー・アガー(pH7.0)(Difco社
製)に5μl接種し、S−213Lの共存下、28℃で
1週間培養した。S−213Lについては、S−213
Lの最終濃度が100μg/mlと成るようにした溶液
を最高濃度の溶液として用意し、この溶液及びこの溶液
を2倍希釈で順次段階希釈したものを使用した。
【0039】また、細菌類としては、表4に示す菌株を
試験菌として用い、これらの細菌類の懸濁液(106
/ml)を改良ミューラーヒントン培地に5μl接種
し、S−213Lの共存下、37℃で24時間培養し
た。S−213Lについては、S−213Lの最終濃度
が100μg/mlと成るようにした溶液を最高濃度の
溶液として用意し、この溶液及びこの溶液を2倍希釈で
順次段階希釈したものを使用した。
【0040】結果を表3および4に示す。両表から明か
なように、本願発明の化合物S−213Lは皮膚病原性
糸状菌であるトリコフィートン属及びミクロスポーラム
属に属する糸状菌及び、深在性真菌症の起因菌であるカ
ンジダ属に属する真菌にも優れた抗真菌活性を有する。
また、病原性グラム陰性細菌であるシュードモナス属に
属する細菌、グラム陽性細菌であるプロテウス属及びミ
クロコッカス属に属する細菌に対しても優れた抗細菌活
性を有する。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、抗菌作用を有する新規
化合物S−213L及びその製造法を提供することがで
きる。
【0044】また、本発明のS−213Lは、ある種の
グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌に対して抗菌作用を
示すので、人および動物の微生物感染症に対する治療
薬、予防薬として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の新規化合物S−213Lの推定構造で
ある。1H及び13Cのケミカルシフトは、DMSO−d
6中、バリアン社製500MHzNMRで、 15Nのケミ
カルシフトは、DMSO−d6中、ブルカー社製500
MHzNMRで測定した。矢印は、15N HMBCまた
はHMQCを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 38/00 C07K 5/103 ZNA C07K 5/103 ZNA C12N 1/20 A C12N 1/20 A61K 37/02 //(C12P 21/02 C12R 1:465) (C12N 1/20 C12R 1:465) (72)発明者 松上 道雄 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポーラ 化成工業株式会社戸塚研究所内 (72)発明者 後藤 正弘 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポーラ 化成工業株式会社戸塚研究所内 (72)発明者 中島 琢自 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポーラ 化成工業株式会社戸塚研究所内 (72)発明者 伊藤 隆男 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポーラ 化成工業株式会社戸塚研究所内 (72)発明者 生子 清美 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポーラ 化成工業株式会社戸塚研究所内 (72)発明者 野沢 暁 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポーラ 化成工業株式会社戸塚研究所内 (72)発明者 三木 豊彦 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポーラ 化成工業株式会社戸塚研究所内 Fターム(参考) 4B064 AG01 BA08 BE01 BE09 BE19 BG02 BG09 BH04 BH05 BH06 BH07 CA04 DA03 4B065 AA50X AC14 BA22 CA24 CA44 4C084 AA01 AA06 AA07 BA01 BA05 BA17 CA04 DA42 MA17 MA22 MA23 MA35 MA37 MA41 MA43 MA66 ZB352 4H011 AA02 AA03 BB14 BB21 4H045 AA10 AA20 AA30 BA13 CA11 EA29 FA72 GA22 HA02 HA31 HA32

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性状を有する化合物およ
    びその生理的に許容される塩。 1.外観:淡黄色粉末 2.HR FAB−MS m/Z(M+H)+ 799.
    3952 3.分子式:C33541310 4.UV吸収スペクトル:λmax 250〜260、
    310〜330(nm) 5.1H−NMR:表2に示す通り(DMSO中、50
    0MHzで測定) 6.13C−NMR:表2に示す通り(DMSO中、12
    5MHzで測定) 7.溶解性:水、メタノール又はジメチルスルホキシド
    に易溶 8.呈色反応:ニンヒドリン反応陽性
  2. 【請求項2】 下記の化学式Iで表される請求項1に記
    載の化合物およびその生理的に許容される塩。 【化1】
  3. 【請求項3】 ストレプトマイセス属に属し、請求項1
    または2記載の化合物を生産する微生物。
  4. 【請求項4】 ストレプトマイセス属に属する微生物
    が、POL−1285株(FERM P−17108)
    である請求項3記載の微生物。
  5. 【請求項5】 ストレプトマイセス属に属し、請求項1
    または2に記載の化合物を生産する能力を有する微生物
    を培養し、その培養物から請求項1または2記載の化合
    物を採取することを特徴とする請求項1または2記載の
    化合物の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載の化合物を含む
    抗菌剤。
  7. 【請求項7】 請求項1または2に記載の化合物を含む
    医薬組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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