JP2006172916A - 導電性酸化スズ粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ATO(アンチモンドープ酸化スズ)に匹敵する体積抵抗率と結晶子径を有し、表面抵抗率が低く、透明性が高く、かつ毒性の懸念があるアンチモンを含有しない酸化スズ粒子を提供するものである。
【解決手段】
Sn 1モルに対しPを1〜10モル%含んでいる示性式SnO(2−x)(ただし、0<x<1)の酸素欠陥型酸化スズよりなり、結晶子径4〜11nmと、100kg/cm2の圧力で圧縮成形した時の体積抵抗率が0.1〜50Ω・cmであることを特徴とする導電性酸化スズ粒子。
【選択図】なし
ATO(アンチモンドープ酸化スズ)に匹敵する体積抵抗率と結晶子径を有し、表面抵抗率が低く、透明性が高く、かつ毒性の懸念があるアンチモンを含有しない酸化スズ粒子を提供するものである。
【解決手段】
Sn 1モルに対しPを1〜10モル%含んでいる示性式SnO(2−x)(ただし、0<x<1)の酸素欠陥型酸化スズよりなり、結晶子径4〜11nmと、100kg/cm2の圧力で圧縮成形した時の体積抵抗率が0.1〜50Ω・cmであることを特徴とする導電性酸化スズ粒子。
【選択図】なし
Description
本発明は、導電性に優れ、且つアンチモンを含有しない酸化スズ粒子及びその製造方法に関し、詳しくは液晶ディスプレイやプラズマディスプレイの透明帯電防止膜などの機能性フィルムや、塗料・インキ・プラスチック・コーティング剤等へ配合し塗装することで得られる導電性塗膜や、トナーや感光ドラムなどの電荷調整剤などに使用できる酸化スズ粒子及びその製造方法に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイの透明帯電防止膜などで使用されている酸化スズはアンチモンドープ酸化スズ(以下ATO)であり、酸化スズ結晶中の一部のSn4+をSb5+で置換したものである。ATOの特徴は、塗膜にしたときの表面抵抗率が低く導電性に優れる、塗膜にしたときの透明性が高い、塗膜にしたときやや黒味を帯びる、アンチモンを含有するなどが挙げられるが、安全性や環境負荷軽減の面から、アンチモンを含有しない導電性材料が望まれており、これまで様々な検討が行われた。
アンチモンを含有しない導電性酸化スズとしては結晶中に酸素欠陥を導入した酸化スズがあり、製造方法としては(i)第二スズ塩を含有するアルカリ性溶液又は酸性溶液とその中和剤をpH2〜12となるよう同時に添加し反応させ、そのスラリーを固液分離処理して沈殿物を回収し、乾燥し、その後不活性又は弱還元性雰囲気中、300〜800℃で焼成する(特許文献1)などが知られている。
一方、アンチモン以外の元素をドープすることで導電性を付与した酸化スズも知られており、特にリンをドープした酸化スズについては種々の検討がなされている。例えば、(ii)塩化スズ溶液にリンを溶解し、アルカリ水溶液中に添加し沈澱を得、それを洗浄乾燥後、空気中で350〜700℃で焼成する方法(特許文献2)や、(iii)リン含有含水酸化スズ沈殿を800〜1300℃の温度で焼成し、粉砕して、酸化スズを主成分とし、リンをP/Sn原子比で2.7×10−2〜1.4×10−1の割合で含み、比表面積が10m2 /g以上であり、かつ粉体抵抗値が500Ω・cm以下である導電性微粉末を製造する方法(特許文献3)などが知られている。
導電性材料は塗料中に分散し、ディスプレイパネルなどの被塗物表面に塗布することで、被塗物表面に導電性を付与する。従来使用されているATOは毒性が懸念されているアンチモンを含有しているため、アンチモンフリーの導電性を有した酸化スズが市場において望まれ種々検討されているが、これまでに知られている酸化スズは粒子そのものの導電性の指標となる体積抵抗率はATOに近づいているが、塗膜に配合された場合の帯電防止性能などの指標となる表面抵抗率で評価すると、透明性を付与した条件で塗料化した場合、ATOと比べると表面抵抗率が高い。
塗膜中の酸化スズ粒子の存在状態をATOで確認すると、塗膜中で粒子同士が接触した状態で存在している。このことから、酸化スズ粒子同士が接触し塗膜中で電子をやりとりできるネットワークを形成する必要がある。
塗膜中で粒子同士を接触させる方法としては、塗膜中の顔料濃度を上げ、塗膜中の粒子数を増やすことでネットワークを形成する方法が考えられるが、顔料濃度を上げると塗料が高粘度化し分散が困難となり、透明性を低下させる要因になる。そこで、塗膜中の粒子数を増加させる方法として、一次粒子径の小粒子径化に着目し検討を行った。
表面抵抗率を向上させるためには、酸化スズ粒子の体積抵抗率が低いことは絶対条件であり、その上で小粒子径化を実現しなければならない。市販のATOは体積抵抗率が10Ω・cm以下で結晶子径が10nm程度であることから同等の体積抵抗率と結晶子径が得られる条件を鋭意検討した。
しかしながら、(i)で示される酸素欠陥型酸化スズの製法では体積抵抗率10Ω・cm以下では結晶子径が15nm以上となり、(ii)及び(iii)で示されるリンドープ型酸化スズの製法では、(ii)(iii)ともに体積抵抗率10Ω・cm以下が得られにくく、ATO並みの体積抵抗率と結晶子径を両立できないという問題があった。
そこで、本発明は上記従来法の問題点を解決し、ATO並みの体積抵抗率と結晶子径が両立し、塗膜に配合した場合、表面抵抗率が低く、透明性が高く、かつアンチモンを含有しない酸化スズ粒子を提供するものである。
上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、酸素欠陥型(i)と、リンドープ型(ii)、(iii)それぞれの製法で得られた酸化スズの粒子成長速度を比較するため、焼成温度と結晶子径の関係を調査すると(i)の粒子成長が著しく、(ii)、(iii)は粒子成長が抑制される傾向にあることが判明した。このことからリンに粒子成長抑制効果があるという知見を得た。
リンドープ型酸化スズは酸化スズ結晶中へリンを固溶することにより導電性が付与されている。しかし、(ii)の塩化スズ溶液の沈殿条件はリンの固溶には適しているが、塗料中での分散性に影響を与える強固な凝集体が生成されやすく、(iii)の製法では焼成によって固溶させているため、結晶子径10nmが得られる焼成温度では十分な体積抵抗率が得られない。
そこで、リンを酸化スズ結晶中に固溶させるのではなく、表面に吸着させることで粒子成長を抑制し、窒素雰囲気下500〜800℃で焼成することで酸素欠陥型の導電性を付与した酸化スズが得られることを見出した。また、リンの吸着により酸化スズ表面が被覆され、塗膜中での酸化スズ同士の接触が阻害され導電性が低下することを考慮し、最小限のリン添加に抑えることで、従来のアンチモンフリー酸化スズにない導電性が得られることを見出した。
即ち、本発明は、SnO(2−x)で表されるスズ酸化物であり、Sn1モルに対してPを1〜10モル%含有し、結晶子径が4〜11nmであり、且つ体積抵抗率が0.1〜50Ω・cmであることを特徴とする酸化スズ粒子に関するものである。
また、本発明の酸化スズを樹脂成分1に対し3以上配合した塗膜の可視光透過率がおよび表面抵抗率はATOのそれに匹敵する。
また、本発明は30〜60℃の温水中に塩化スズ溶液とアルカリ性水溶液をpH7〜12に保ちながら反応させ、この反応の前、後、または最中にリン化合物を添加し沈殿物を生成し、この沈殿物を洗浄した後、100〜200℃で乾燥し、粉砕した後、酸素欠乏すなわち非酸化性雰囲気下400〜800℃で焼成し、粉砕する、導電性酸化スズ粒子の製造方法に関するものである。
本発明の酸化スズ粒子は、毒性を危惧されるアンチモンを含有することなく、ATOと同等の体積抵抗率、結晶子径を得ることができる。そのため、塗料・インキ・プラスチック・コーティング剤などに配合することでATOと同等の導電性(表面抵抗率)を付与でき、トナーや感光ドラムなどの電荷調整剤などに使用できる。また、アンチモンを結晶中に含まないため、ATO特有の黒味がなく、結晶子径がATOと同等でありながら、同等以上の透明性が得られる。よって、ATOのアンチモンフリー代替品として使用可能である。
本発明のスズ酸化物は、SnO(2−x)で表される酸化スズ粒子である。また、この酸化スズ粒子はSn1モルに対してPを1〜10モル%含有し、結晶子径が4〜11nmである。また、ATOから毒性のあるアンチモンを除き、ATOの代替品として使用するためには、体積抵抗率を50Ω・cm以下、好ましくは0.1〜10Ω・cmに調整する必要がある。
このような酸化スズ粒子は結晶子径が小さく、体積抵抗率が低いため、例えば塗料中に配合し、塗膜を作製した場合、樹脂成分1に対しこの酸化スズを2〜8、好ましくは4〜6配合することで、可視光透過率が80%以上で表面抵抗率が103〜1010Ω/□となる機能性を有している。
結晶子径が4nmを下回ると塗料中での分散が困難となる傾向にあり、11nmを超えると高い可視光透過率と低い表面抵抗率の両立が困難となる傾向にある。
体積抵抗率が50Ω・cmを超えると表面抵抗率を1010Ω/□以下にするのに必要な塗料中の酸化スズの配合量が増えるため、透明性が低下するだけでなく、経済的でない。
本発明の酸化スズ粒子はSnO(2−x)で表されるが、酸素欠陥がなく、結晶中にドープ剤を含有しないSnO2で表される酸化スズ粒子は一般的に体積抵抗率が104Ω・cm以上であることが知られている。一方、酸素欠陥をもつSnO(2−x)で表される酸化スズ粒子は104Ω・cm以下の体積抵抗率が得られるが、ATOレベルである10Ω・cm以下まで体積抵抗率を下げるためには、高温での焼成が必要となるため結晶子径が11nmより大きくなる傾向にある。また、毒性のあるアンチモン以外の元素をドープ剤として使用し、結晶中に固溶させるためにはより高温での焼成が必要となるため結晶子径が11nmより大きくなる傾向にある。
50Ω・cm以下の体積抵抗率と11nm以下の結晶子径を両立させるためには、酸化スズ結晶中への異種元素の固溶は適さず、SnO(2−x)で表される酸素欠陥型の酸化スズ粒子の表面に存在することで、酸化スズ粒子同士の焼成による結合を抑制し、粒子成長抑制剤として作用する、Pの含有が好適であり、Pの含有量はSn1モルに対してPを1〜10モル%が好適である。Pの含有量は1モル%を下回ると粒子成長を抑制する効果が十分得られず、10モル%を超えると酸化スズ粒子の表面を被覆する割合が増すため、塗膜中で酸化スズ粒子同士の接触が妨げられ導電性を低下させる傾向にある。Pの含有量はリン化合物の添加量によって調節することができる。
このような酸化スズ粒子の製造方法は、スズ化合物溶液と、酸またはアルカリ性水溶液とを混合し、この反応の前、後、または最中にリン化合物を添加し沈殿物を生成し、この沈殿物を洗浄、乾燥、粉砕した後、非酸化性雰囲気下で焼成し、粉砕することを特徴としている。
以下に限定されないが、本発明において原料として使用されるスズ化合物溶液としては、塩化第二スズ、塩化第一スズ、スズ酸カリウム、スズ酸ナトリウムなどが挙げられる。また、リン化合物としては、オルトリン酸、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、亜リン酸などが挙げられ、これらのうちの一種或いは二種以上の化合物を使用することができる。中和剤として使用するアルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩やアンモニアなどが挙げられ、酸性水溶液としては硫酸、塩酸、硝酸などが挙げられる。
本発明の酸化スズ粒子の製造方法では、30〜60℃、好ましくは40〜50℃の温水中にスズ化合物溶液と酸性又はアルカリ性水溶液をpH6〜11、好ましくはpH7.5〜9.5に保ちながら反応させ、この反応の前、後、または最中にリン化合物を添加し、リン含有酸化スズ水和物を生成する。温水温度は60℃を上回る及び/又はpH6を下回ると、リン含有酸化スズ水和物の凝集体が大きく、凝集の度合いも強くなり、個々の酸化スズ粒子表面が非酸化性ガスに晒されないため、酸素欠陥が十分に生成されず、導電性が低下する傾向にあり好適でない。
上記のリン含有酸化スズ水和物は十分洗浄した後、100〜200℃で乾燥し、粉砕した後、非酸化性雰囲気下400〜800℃で30分〜6時間焼成し、粉砕するのが好ましい。非酸化性雰囲気は特に限定はないが、N2・H2・He・Ar・真空中で焼成されるのが好ましい。焼成温度は、400℃を下回ると所望の導電性が得られにくく、800℃を上回ると結晶子径が11nmを超えて粒子成長してしまうため好適でない。また、焼成時間は30分以内だと所望の導電性が得られにくく、6時間を超えて焼成することは経済性の点で好ましくない。
これまで説明したように、低い体積抵抗率と小さい結晶子径が両立するためには、Snに対するPのモル比と、酸素欠乏雰囲気中の焼成温度の間のバランスが重要である。低いPのモル比および高い焼成温度は結晶子径を成長させ、反対に高いPモル比および低い焼成温度は高い体積抵抗率へ導く。そのため規定した範囲内で、Snに対するPのモル比は6%以下であり、焼成温度は600℃以上であることが好ましく、Pのモル比2〜5%および焼成温度700℃が最も好ましい。
このようにして得られる本発明の酸化スズ粒子は、例えば塗料・インキ・プラスチック・コーティング剤等へ配合し塗装することで、これらの組成物に導電性を付与することができる。また、トナーや感光ドラム等の電荷調整剤としても使用することができる。酸化スズの配合比率は任意に変えることができるが、塗料・インキ・プラスチック・トナーや感光ドラム、それぞれの組成物中で本発明の酸化スズの配合量が下限を下回った場合、導電性を有していても、配合比率の低下に伴い効果は小さくなる。配合量が上限を上回ると、導電性を有していても、それぞれの組成物としての特性を損なう。
本発明の酸化スズ粒子を塗料・インキの用途に用いる場合、酸化スズ粒子の配合比率は樹脂成分1に対して酸化スズ粒子を2〜8配合することが好ましい。本発明の酸化スズを塗料・インキの用途に用いる場合、酸化チタンの配合比率は樹脂の使用目的などに応じて任意に変えることができるが、樹脂1あたり、酸化スズ2〜8が望ましい。酸化スズとの配合に使用する樹脂は、アクリルメラミン、常乾アクリル、アクリルウレタン、ポリエステルメラミン、アルキドメラミン、ポリウレタン、ニトロセルロース、フッ素樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂などが挙げられ、紫外線反応性オリゴマー、紫外線反応性モノマー及び光重合開始剤から少なくともなる紫外線硬化型インキなども挙げられる。
上記樹脂組成物に酸化スズを配合する際には、まず有機溶剤または水に溶解混合し、分散と塗装に適した粘度に調整する。有機溶剤としては、炭化水素系、アルコール系、エーテルアルコール及びエーテル系、エステル及びエステルアルコール系、ケトン系の中から任意に分散性、塗装性に適したものを用いればよい。そして、ペイントコンディショナー、ディスパー、サンドグラインドミルなど使用目的に応じて分散・攪拌に適した装置を用いて本発明の酸化スズを分散する。
作製した塗料は金属又はプラスチック製の被塗物に、バーコーター、刷毛、エアスプレー、静電塗装、スピナー法、ディッピング法などにより塗装することができる。膜厚は目的により適宜変えることができる。なお、使用する樹脂によっては、110〜180℃の温度で10〜40分間程度乾燥する必要がある。
以下実施例及び比較例に基づいて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されたものではない。
実施例1
市水1000gを40℃に加熱し、そこへSnO2として100g(SnCl4溶液を使用)とアンモニア水溶液をpH7.5〜8.5の範囲を維持しながら定量ポンプにて同時に滴下し、その後SnO2に対して2モル%分のP(H3PO31.09g使用)を添加し混合し、その後pH2.5に調整し沈殿させ、リン添加酸化スズ水和物を得た。得られたリン添加酸化スズ水和物はろ過、水洗後、120℃で12時間乾燥し、この乾燥物を流体エネルギーミルで粉砕した。この粉砕物を窒素雰囲気下700℃で2時間焼成し、この焼成物を流体エネルギーミルで粉砕し酸化スズ粒子を得た。上記の方法で得られた酸化スズ粒子の評価結果を表1に示した。
市水1000gを40℃に加熱し、そこへSnO2として100g(SnCl4溶液を使用)とアンモニア水溶液をpH7.5〜8.5の範囲を維持しながら定量ポンプにて同時に滴下し、その後SnO2に対して2モル%分のP(H3PO31.09g使用)を添加し混合し、その後pH2.5に調整し沈殿させ、リン添加酸化スズ水和物を得た。得られたリン添加酸化スズ水和物はろ過、水洗後、120℃で12時間乾燥し、この乾燥物を流体エネルギーミルで粉砕した。この粉砕物を窒素雰囲気下700℃で2時間焼成し、この焼成物を流体エネルギーミルで粉砕し酸化スズ粒子を得た。上記の方法で得られた酸化スズ粒子の評価結果を表1に示した。
実施例2
実施例1においてPの添加量が5モル%(H3PO32.72g使用)であること以外は実施例1と同様にして酸化スズ粒子を得た。上記の方法で得られた酸化スズ粒子の評価結果を表1に示した。
実施例1においてPの添加量が5モル%(H3PO32.72g使用)であること以外は実施例1と同様にして酸化スズ粒子を得た。上記の方法で得られた酸化スズ粒子の評価結果を表1に示した。
比較例1
実施例1においてPを添加しないこと以外は実施例1と同様にして酸化スズ粒子を得た。上記の方法で得られた酸化スズ粒子の評価結果を表1に示した。
実施例1においてPを添加しないこと以外は実施例1と同様にして酸化スズ粒子を得た。上記の方法で得られた酸化スズ粒子の評価結果を表1に示した。
比較例2
実施例1において焼成条件が空気中であること以外は実施例1と同様にして酸化スズ粒子を得た。上記の方法で得られた酸化スズ粒子の評価結果を表1に示した。
実施例1において焼成条件が空気中であること以外は実施例1と同様にして酸化スズ粒子を得た。上記の方法で得られた酸化スズ粒子の評価結果を表1に示した。
比較例3
市販のアンチモンドープ酸化スズ(T−1、三菱マテリアル製)の評価結果を表1に示した。
市販のアンチモンドープ酸化スズ(T−1、三菱マテリアル製)の評価結果を表1に示した。
上記で作製した実施例1、比較例1〜4の酸化スズを用い塗膜を作製した。実施例1及び比較例1〜4の酸化スズ50gと市販のアクリル樹脂(アクリディックA−801、大日本インキ化学工業(株))を固形分換算で2gとトルエン/酢酸ノルマルブチル(70/30)2.2gを混合し、そこへジルコンビーズを追加しペイントコンディショナーで分散した。その後同じアクリル樹脂を6.8g追加し、混合した後市販のウレタン樹脂(バーノックDN−950、大日本インキ化学工業(株))を固形分換算で3.8g追加し、酸化スズ配合アクリルウレタン塗料を得た。得られた塗料をPETフィルム上に自動バーコーターで乾燥膜厚3μmとなるよう塗装し剥離して塗膜を得た。
上記の方法で得られた酸化スズ粒子について、体積抵抗率と結晶子径を測定し、それを配合した塗膜については表面抵抗率と透明性を測定した。各測定の方法については以下に示した。
(1)体積抵抗率の測定
酸化スズ粉末を100kg/cm2の圧力で加圧成形し試料片を作製し、加圧した状態で試料片の上下間の抵抗値を測定し、同時に試験片の厚みを測定した。測定された抵抗値及び試験片の厚さ及び断面積から体積抵抗率を算出した。
酸化スズ粉末を100kg/cm2の圧力で加圧成形し試料片を作製し、加圧した状態で試料片の上下間の抵抗値を測定し、同時に試験片の厚みを測定した。測定された抵抗値及び試験片の厚さ及び断面積から体積抵抗率を算出した。
(2)結晶子径の測定
酸化スズ粉末をスペクトリス(株)製X線回折装置X‘Pert PROにより、CuKα線を使用して印加電圧45kV、印加電流40mAの条件にて、θ−2θ法でX線回折分析を行った。次に正方晶系SnO2の(110)面のピークの半価幅を求め、Sherrerの式から結晶子径を求めた。
酸化スズ粉末をスペクトリス(株)製X線回折装置X‘Pert PROにより、CuKα線を使用して印加電圧45kV、印加電流40mAの条件にて、θ−2θ法でX線回折分析を行った。次に正方晶系SnO2の(110)面のピークの半価幅を求め、Sherrerの式から結晶子径を求めた。
(3)表面抵抗率の測定
酸化スズ粉末を配合した塗膜を(株)アドバンテスト製抵抗測定試料箱R12702Aにセットし、(株)アドバンテスト製デジタルエレクトロメーターTR−8652にて表面抵抗率測定した。
酸化スズ粉末を配合した塗膜を(株)アドバンテスト製抵抗測定試料箱R12702Aにセットし、(株)アドバンテスト製デジタルエレクトロメーターTR−8652にて表面抵抗率測定した。
(4)全光線透過率の測定
酸化スズ粉末を配合した塗膜の全光線透過率を日本電色工業(株)製曇り度計NDH2000にて測定した。
酸化スズ粉末を配合した塗膜の全光線透過率を日本電色工業(株)製曇り度計NDH2000にて測定した。
本発明の酸化スズ粒子は、ATO並みの体積抵抗率と結晶子径が両立しており、これを含む塗膜の透明性はむしろATOに優れていることがわかる。
Claims (8)
- Sn 1モルに対しPを1〜10モル%含んでいる示性式SnO(2−x)(ただし、0<x<1)の酸素欠陥型酸化スズよりなり、結晶子径4〜11nmと、100kg/cm2の圧力で圧縮成形した時の体積抵抗率が0.1〜50Ω・cmであることを特徴とする導電性酸化スズ粒子。
- 請求項1の導電性酸化スズ粒子を透明なビヒクルに分散してなる透明導電膜形成用組成物。
- 請求項1の導電性酸化スズ粒子を配合してなる透明導電性フィルム。
- 30〜60℃の温水へ水溶性スズ化合物とその中和剤の水溶液をpH7.0〜12を保ちながら滴下して加水分解し、この反応の前、後または最中にリン化合物を添加することによりリンを含む含水酸化スズ沈澱を生成させ、この沈澱を洗浄および乾燥後酸素欠乏雰囲気中400〜800℃の温度で焼成することを特徴とする酸素欠陥型導電性酸化スズ粒子の製造法。
- 前記スズ化合物は塩化スズであり、中和剤はアルカリである請求項4の方法。
- 前記スズ化合物はアルカリ金属スズ酸塩であり、中和剤は無機酸である請求項4の方法。
- 前記リン化合物はオルトリン酸、リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウムまたは亜リン酸から選ばれる請求項4の方法。
- 前記焼成工程の前および後に、原料および生成物の粉砕工程をさらに含んでいる請求項4の方法。
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