以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、車両用自動変速機として好適に用いられる車両用多段変速機(以下、単に変速機と称する)14の構成を説明する骨子図である。この図1に示すように、本実施例の変速機14は、車体に取り付けられる非回転部材であるトランスミッションケース16内において共通の軸心上に順次配設されたロックアップクラッチ18付きのトルクコンバータ20、そのトルクコンバータ20に連結された入力回転部材である入力軸22、第1前置遊星歯車装置24及び第2前置遊星歯車装置26を主体として構成される第1変速部38、第1後置遊星歯車装置28及び第2後置遊星歯車装置30を主体として構成される第2変速部40、上記第1変速部38の出力を第2変速部40へ伝達するための第1中間出力部材32及び第2中間出力部材34、及び出力回転部材である出力軸36を同心に備えて構成されている。
上記変速機14は、車両において縦置きされるFR用自動変速機や、横置きされるFF用自動変速機等として好適に用いられるものであり、原動機(駆動力源)であるエンジン10と図示しない駆動輪との間に配設され、そのエンジン10の出力を変速して駆動輪に伝達する。上記トルクコンバータ20は、上記エンジン10のクランク軸12に作動的に連結され、そのエンジン10から出力される動力を上記入力軸22へ出力する。すなわち、上記トルクコンバータ20の出力側回転部材であるタービン軸に連結される上記入力軸22は、上記エンジン10により回転駆動されることになり、上記トルクコンバータ20のタービン軸も上記入力軸22と同様に入力回転部材に相当する。また、上記出力軸36は、例えば図示しない差動歯車装置等を介して左右一対の駆動輪を回転駆動する。なお、上記変速機14は、その軸心に関して対称的に構成されているため、図1に示す骨子図においてはその下側が省略されている。以下の説明に用いる骨子図においても同様である。
前記第1変速部38を構成している第1前置遊星歯車装置24は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されており、例えば「0.494」程度の所定のギヤ比ρ1を有している。また、前記第2前置遊星歯車装置26は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されており、例えば「0.525」程度の所定のギヤ比ρ2を有している。
前記第1変速部38において、前記第1前置遊星歯車装置24のキャリヤCA1と第2前置遊星歯車装置26のサンギヤS2とが相互に連結されると共に、非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置24のサンギヤS1が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置26のリングギヤR2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置24のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置26のキャリヤCA2が相互に連結されると共に、前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部38は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部40へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部40へ伝達する。
前記第2変速部40を構成している第1後置遊星歯車装置28は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P3、それら遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されており、例えば「0.456」程度の所定のギヤ比ρ3を有している。また、前記第2後置遊星歯車装置30は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、遊星歯車P4、その遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されており、例えば「0.520」程度の所定のギヤ比ρ4を有している。前記第1前置遊星歯車装置24のギヤ比ρ1は、上記サンギヤS1の歯数をZS1、リングギヤR1の歯数をZR1として、ρ1=ZS1/ZR1で表される値である。また、前記第2前置遊星歯車装置26のギヤ比ρ2は、上記サンギヤS2の歯数をZS2、リングギヤR2の歯数をZR2として、ρ2=ZS2/ZR2で表される値である。また、前記第1後置遊星歯車装置28のギヤ比ρ3は、上記サンギヤS3の歯数をZS3、リングギヤR3の歯数をZR3として、ρ3=ZS3/ZR3で表される値である。また、前記第2後置遊星歯車装置30のギヤ比ρ4は、上記サンギヤS4の歯数をZS4、リングギヤR4の歯数をZR4として、ρ4=ZS4/ZR4で表される値である。
前記第2変速部40において、前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4が互いに連結されて第1回転要素RE1を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4が互いに連結されて第2回転要素RE2を構成している。また、前記第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4が第3回転要素RE3を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3が第4回転要素RE4を構成している。また、前記第2中間出力部材34と上記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と上記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記第2中間出力部材34と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第1中間出力部材32と上記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、上記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、上記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、備えている。
上記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2は、例えば、従来の車両用自動変速機において多用されている油圧式摩擦係合装置であり、互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本乃至は2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキ等により構成され、それらが介装されている両側の部材を選択的に連結するための装置である。
図3は、前記変速機14を制御するための電子制御装置42に入力される信号及びその電子制御装置42から出力される信号を例示している。この電子制御装置42は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェースなどから成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより前記変速機14における変速制御をはじめとする駆動制御を実行するものである。
上記電子制御装置42には、図示しない各センサやスイッチから、エンジン水温を示す信号、シフトポジションを表す信号、前記エンジン10の回転速度であるエンジン回転速度NEを表す信号、エアコンの作動を示すエアコン信号、前記出力軸36の回転速度に対応する車速信号、前記変速機14の作動油温を示すAT油温信号、サイドブレーキ操作を示す信号、フットブレーキ操作を示す信号、触媒温度を示す触媒温度信号、アクセルペダルの操作量を示すアクセル開度信号Acc、カム角信号、スノーモード設定を示すスノーモード設定信号、車両の前後加速度を示す車両加速度信号、図示しない第1電動機MG1の回転速度を表す信号等がそれぞれ供給されるようになっている。また、上記電子制御装置42からは、図示しない電子スロットル弁の開度を操作するスロットルアクチュエータへの駆動信号、過給圧を調整するための過給圧調整信号、電動エアコンを作動させるための電動エアコン駆動信号、前記エンジン10の点火時期を指令する点火信号、図示しない第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動を指令する指令信号、ギヤ比を表示させるためのギヤ比表示信号、スノーモードであることを表示させるためのスノーモード表示信号、制動時の車輪のスリップを防止するABSアクチュエータを作動させるためのABS作動信号、前記変速機14に備えられた油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータを制御するための電磁弁を作動させるATソレノイド指令信号、図示しない電動油圧ポンプを作動させるための駆動指令信号、電動ヒータを駆動するための信号、クルーズコントロール制御用コンピュータへの信号等がそれぞれ出力されるようになっている。
図4は、前記変速機14に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。前述のように構成された変速機14では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図4に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになってい
る。
すなわち、図4に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.771」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.025」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.100」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.571」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.300」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.117」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.783」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.654」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「3.962」程度である第1後進ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が第1後進ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.887」である第2後進ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置24のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置26のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置28のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置30のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図4の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機14では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.577」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.441」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.336」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.209」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.163」とされ、第6速ギヤ段の変速比γ6と第7速ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.117」とされ、第7速ギヤ段の変速比γ7と第8速ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.278」とされ、第8速ギヤ段の変速比γ8と第9速ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.198」とされ、各変速比γがバランスよく段階的に小さくなるように変化させられている。とりわけ、変速比が「1.000」より小さい領域において、各変速段におけるギヤ比のステップが「1.200」程度とされており、これによりスムーズな変速が実現される。また、第1速ギヤ段の変速比γ1と第9速ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.068」とされている。
図5は、前記変速ギヤ段とは別に前記変速機14に予め定められた副変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。前述のように構成された変速機14では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図5に示すように、前記第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、副変速ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第5速ギヤ段「5th」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるよ
うになっている。
すなわち、図5に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「3.049」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第5クラッチC5及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段より小さい、例えば「1.917」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第5クラッチC5の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段より小さい、例えば「1.485」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第5クラッチC5の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段より小さい、例えば「1.206」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段より小さい、例えば「1.120」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。なお、この第5速ギヤ段は、図4に示す第6変速段と同じものである。前記第1前置遊星歯車装置24のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置26のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置28のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置30のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図5の係合作動表に従い副変速段を成立させる前記変速機14では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.591」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.291」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.231」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.077」とされ、各変速比γがバランスよく段階的に小さくなるように変化させられている。このような副変速段が成立可能とされていることで、前記変速機14では、予め所定の変速比ステップにて定められたギヤ比を有する変速段に対して、中間的な各ギヤ比を有する副変速段を選択することができ、車両の走行状態等に応じてそれらを使い分けることができる。例えば、スノーモード等の場合、アクセル開度が比較的低い場合、車重が比較的軽い場合、或いは非牽引走行時に図5に示す副変速段のギヤ比列を用い、ノーマルパターンの場合、アクセル開度が比較的高い場合、車重が比較的重い場合、或いは牽引走行時に図4に示す変速段のギヤ比列を用いることで、運転者を満足させる好適な走行を実現できる。
図2は、前記変速機14において、ギヤ段毎に連結状態が異なる各回転要素の回転速度の相対関係を直線上で表すことができる共線図を示している。この図2の共線図は、横軸方向において各遊星歯車装置24、26、28、30のギヤ比ρの関係を示し、縦軸方向において縦線の間隔が相対的回転速度を示す二次元座標であり、5本の横線のうち最も下側の横線XZが回転速度零を示し、その上側の横線(破線)Xbが前記第2中間出力部材34の回転速度を示し、その更に上側の横線(破線)Xaが前記第1中間出力部材32の回転速度を示し、その更に上の横線X1が回転速度「1.0」すなわち入力回転部材である前記入力軸22の回転速度を示し、最も上側の横線X2が回転速度「2.0」すなわち前記入力軸22の2倍の回転速度を示している。この共線図の左側部分に示す第1変速部
38の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置24のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置26のサンギヤS2を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置24のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置26のキャリヤCA2を、Y3が前記第2前置遊星歯車装置26のリングギヤR2を、Y4が前記第1前置遊星歯車装置24のサンギヤS1をそれぞれ表し、それ等の間隔は前記第1前置遊星歯車装置24のギヤ比ρ1及び第2前置遊星歯車装置26のギヤ比ρ2に応じて定められている。また、同様に、この共線図の右側部分に示す第2変速部40の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が前記第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4を、Y6が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4を、Y7が前記第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4を、Y8が前記第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3をそれぞれ表し、それ等の間隔は、前記第1後置遊星歯車装置26のギヤ比ρ3及び第2後置遊星歯車装置30のギヤ比ρ4に応じて定められている。共線図の縦軸間においてはサンギヤとキャリヤとの間が「1」に対応する間隔とされることでキャリヤとリングギヤとの間がρに対応する間隔とされる関係とされるが、図2の共線図においては第1変速部38に関して縦線Y1と縦線Y2との間が「0.800」に対応する間隔に設定され、第2変速部40に関して縦線Y5と縦線Y6との間が「1」に対応する間隔に設定されて他の縦軸間の間隔は上記関係に応じてそれぞれ定められている。
図2の共線図を参照して表現すれば、本実施例の変速機14は、前記第1変速部38において、4つの回転要素のうちの1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置24のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置26のサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に回転不能に固定されて回転速度「0」とされている。また、2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置24のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置26のキャリヤCA2が前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。また、3つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置26のリングギヤR2が前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、4つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置24のサンギヤS1が入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、その入力軸22と同様に入力回転部材として機能する。このようにして、前記第1変速部38は、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して前記第1中間出力部材32へ出力すると共に、その第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2中間出力部材34へ出力するように構成されている。
また、前記第2変速部40において、前記第1回転要素RE1(CA3、S4)は、前記第3クラッチC3を介して前記第2中間出力部材34に選択的に連結され、前記第4クラッチC4を介して入力回転部材である前記入力軸22に選択的に連結されると共に、前記第1ブレーキB1を介して非回転部材である前記トランスミッションケース16に選択的に連結されるように構成されている。また、前記第2回転要素RE2(R3、CA4)は、前記第2クラッチC2を介して前記入力軸22に選択的に連結されると共に、前記第2ブレーキB2を介して前記トランスミッションケース16に選択的に連結されるように構成されている。また、前記第3回転要素RE3(R4)は、出力回転部材である前記出力軸36に連結されるように構成されている。また、前記第4回転要素RE4(S3)は、前記第1クラッチC1を介して前記第2中間出力部材34に選択的に連結されると共に、前記第5クラッチC5を介して前記第1中間出力部材32に選択的に連結されるように構成されている。
図2の共線図では、図4の係合作動表に従い成立させられる変速段を実線で、図5の係合作動表に従い成立させられる副変速段を一点鎖線で示している。先ず、実線で示す図4の係合作動表に従い成立させられる変速段について説明すると、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、横軸Xbが縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第5クラッチC5の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、横軸X1が縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
続いて、一点鎖線で示す図5の係合作動表に従い成立させられる副変速段について説明すると、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第5クラッチC5の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第5クラッチC5の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第5クラッチC5の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により入力回転部材である前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第5クラッチC5の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、入力回転部材である前記入力軸22の回転を減速して伝達する第1中間出力部材32及び前記入力軸22の回転をその第1中間出力部材32よりも大きく減速して伝達する第2中間出力部材34を有する第1変速部38と、2組の遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、及びリングギヤの一部が互いに連結されることにより4つの回転要素を構成する第2変速部40とを、備え、前記4つの回転要素の回転速度を直線で表すことのできる共線図上において、それら4つの回転要素を一端から他端に向かって順番に第1回転要素RE1、第2回転要素RE2、第3回転要素RE3、及び第4回転要素RE4としたとき、前記第2中間出力部材34と前記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である前記第1クラッチC1と、前記入力軸22と前記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である前記第2クラッチC2と、前記第2中間出力部材34と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である前記第3クラッチC3と、前記入力軸22と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である前記第4クラッチC4と、前記第1中間出力部材32と前記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第5クラッチ要素である前記第5クラッチC5と、前記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、前記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である前記第2ブレーキB2とを、有することから、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら多段化を実現する変速機14を提供することができる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進8段変速を実現することができる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進9段変速を実現することができる。
また、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合、前記第5クラッチC5及び第1ブレーキB1の係合、前記第5クラッチC5及び第3クラッチC3の係合、及び前記第5クラッチC5及び第4クラッチC4の係合のうち少なくとも1つを行うことにより副変速段を成立させるものであるため、変速比及び変速比ステップ等の設定自由度を向上させることができ、満足度の高い変速制御を行うことができる。
また、前記第1変速部38は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置24及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置26から成り、前記第1前置遊星歯車装置24のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置26のサンギヤS2が常に前記トランスミッションケース16に連結され且つその第1前置遊星歯車装置24のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置26のキャリヤCA2が互いに連結されて1つの回転要素を構成すると共に、前記第1前置遊星歯車装置24のサンギヤS1が前記入力軸22に連結されることにより、前記第2前置遊星歯車装置26のリングギヤR2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記1つの回転要素が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機14を提供できる。
また、前記第2変速部40は、ダブルピニオン型の第1後置遊星歯車装置28及びシングルピニオン型の第2後置遊星歯車装置30から成り、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4によって前記第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4によって前記第2回転要素RE2が構成され、前記第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4によって前記第3回転要素RE3が構成され、前記第1後置遊星歯車装置30のサンギヤS4によって前記第4回転要素ER4が構成されるものであるため、実用的な変速機14を提供できる。
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、前述した実施例と共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図6は、本発明の他の実施例である変速機44の構成を説明する骨子図である。また、図7は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図8は、前記変速機44に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表であり、図9は、前記変速ギヤ段とは別に前記変速機44に予め定められた副変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機44は、第1変速部50の構成が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機44に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
図6に示すように、上記第1変速部50を構成している第1前置遊星歯車装置46は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置48は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、それら遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部50において、前記第1前置遊星歯車装置46のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置48のサンギヤS2が相互に連結されると共に、非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第2前置遊星歯車装置48のキャリヤCA2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置46のリングギヤR1が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置46のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置48のリングギヤR2が相互に連結されると共に、前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、
その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部50は、このような構成により、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して前記第1中間出力部材32へ出力すると共に、その第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2中間出力部材34へ出力するように構成されている。
前述のように構成された変速機44では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図8に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
また、例えば図9に示すように、前記第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、副変速ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第5速ギヤ段「5th」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図7の共線図において、第1変速部50の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置46のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置48のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置46のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置48のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置46のリングギヤR1を、Y4が4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置48のキャリヤCA2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図7に示す共線図は、前述した図2に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部50は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置46及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置48から成り、前記第1前置遊星歯車装置46のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置48のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つその第1前置遊星歯車装置46のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置48のリングギヤR2が互いに連結されて1つの回転要素を構成すると共に、前記第2前置遊星歯車装置48のキャリヤCA2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第1前置遊星歯車装置46のリングギヤR1が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記1つの回転要素が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機44を提供できる。
図10は、本発明の更に別の実施例である変速機52の構成を説明する骨子図である。また、図11は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図12は、前記変速機52に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表であり、図13は、前記変速ギヤ段とは別に前記変速機52に予め定められた副変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機52は、第1変速部58の構成が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機52に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
図10に示すように、上記第1変速部58を構成している第1前置遊星歯車装置54は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置48は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。この第1変速部58において、上記第2前置遊星歯車装置56の遊星歯車P2は第1前置遊星歯車装置54の遊星歯車P1よりも大径であり、且つそれらP1及びP2は相互に一体化された段付ピニオンであるステップドピニオンSPとなっている。また、上記第1前置遊星歯車装置54のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置56のキャリヤCA2は一体のものであり、その第2前置遊星歯車装置56のサンギヤS2は省略されている。
前記第1変速部58において、前記第1前置遊星歯車装置54のサンギヤS1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第2前置遊星歯車装置56のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置54のリングギヤR1が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、前述したように前記第1前置遊星歯車装置54及び第2前置遊星歯車装置56に共通のキャリヤCA1(CA2)が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部58は、このような構成により、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して前記第1中間出力部材32へ出力すると共に、その第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2中間出力部材34へ出力するように構成されている。
前述のように構成された変速機52では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図12に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
また、例えば図13に示すように、前記第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、副変速ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第5速ギヤ段「5th」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図11の共線図において、第1変速部58の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置54のサンギヤS1を、Y2が2つめの回転要素である一体に構成された前記第1前置遊星歯車装置54のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置56のキャリヤCA2を、Y3が3つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置54のリングギヤR1を、Y4が4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置56のリングギヤR2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図11に示す共線図は、前述した図2に示す共線図と同様であるため、
その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部58は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置54及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置56から成り、前記第1前置遊星歯車装置54のサンギヤS1が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つその第1前置遊星歯車装置54のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置56のキャリヤCA2が互いに連結されて1つの回転要素を構成すると共に、前記第2前置遊星歯車装置56のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第1前置遊星歯車装置54のリングギヤR1が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記1つの回転要素が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機14を提供できる。
また、前記第2前置遊星歯車装置56の遊星歯車P2は前記第1前置遊星歯車装置54の遊星歯車P1よりも大径であって、相互に一体化されたステップドピニオンSPであるため、装置全体を小型化できる。
図14は、本発明の更に別の実施例である変速機60の構成を説明する骨子図である。また、図15は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図16は、前記変速機60に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表であり、図17は、前記変速ギヤ段とは別に前記変速機60に予め定められた副変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機60は、第1変速部66の構成が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機60に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
図14に示すように、上記第1変速部66を構成している第1前置遊星歯車装置62は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置64は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。この第1変速部66において、上記第2前置遊星歯車装置64の遊星歯車P2は第1前置遊星歯車装置62の遊星歯車P1よりも大径であり、且つそれらP1及びP2は相互に一体化された段付ピニオンであるステップドピニオンSPとなっている。また、上記第1前置遊星歯車装置62のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置64のキャリヤCA2は一体のものであり、前記第1前置遊星歯車装置62のリングギヤR1は省略されている。
前記第1変速部66において、前記第2前置遊星歯車装置64のサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第2前置遊星歯車装置64のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前述したように前記第1前置遊星歯車装置62及び第2前置遊星歯車装置64に共通のキャリヤCA1(CA2)が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、その第1中間出力部材32と同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置62のサンギヤS1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、その第2中間出力部材34と同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部66は、このような構成により、前記入力軸22の回転をその入力軸22に対して減速して前記第1中間出力部材32へ出力すると共に、その第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2中間出力部材34へ出力するように構成されている。
前述のように構成された変速機60では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図16に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
また、例えば図17に示すように、前記第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、副変速ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第5速ギヤ段「5th」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図15の共線図において、第1変速部66の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置64のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置62のサンギヤS1を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置62のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置64のキャリヤCA2をY4が4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置64のリングギヤR2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図15に示す共線図は、前述した図2に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部66は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置62及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置64から成り、前記第2前置遊星歯車装置64のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つその第1前置遊星歯車装置62のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置64のキャリヤCA2が互いに連結されて1つの回転要素を構成すると共に、前記第2前置遊星歯車装置64のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記1つの回転要素が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置62のサンギヤS1が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機60を提供できる。
また、前記第2前置遊星歯車装置64の遊星歯車P2は前記第1前置遊星歯車装置62の遊星歯車P1よりも大径であって、相互に一体化されたステップドピニオンSPであるため、装置全体を小型化できる。
図18は、本発明の更に別の実施例である変速機68の構成を説明する骨子図である。また、図19は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図20は、前記変速機68に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表であり、図21は、前記変速ギヤ段とは別に前記変速機68に予め定められた副変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機68は、第1変速部74の構成が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機68に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
前記第1変速部74を構成している第1前置遊星歯車装置70は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、遊星歯車P1、その遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置72は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P2、それら遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部74において、前記第1前置遊星歯車装置70のサンギヤS1と第2前置遊星歯車装置72のキャリヤCA2とが相互に連結されると共に、非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置70のリングギヤR1が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置70のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置72のサンギヤS2が相互に連結されると共に、前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第2前置遊星歯車装置72のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部74は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部40へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部40へ伝達する。
前述のように構成された変速機68では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図20に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
また、例えば図21に示すように、前記第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、副変速ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第5速ギヤ段「5th」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図19の共線図において、第1変速部74の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置70のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置72のキャリヤCA2を、Y2が2つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置72のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置70のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置72のサンギヤS2を、Y4が4つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置70のリングギヤR1をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図19に示す共線図は、前述した図2に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部74は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置70及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置72から成り、前記第1前置遊星歯車装置70のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置72のキャリヤCA2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結され且つその第1前置遊星歯車装置70のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置72のサンギヤS2が互いに連結されて1つの回転要素を構成すると共に、前記第1前置遊星歯車装置70のリングギヤR1が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記1つの回転要素が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第2前置遊星歯車装置72のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機68を提供できる。
図22は、本発明の更に別の実施例である変速機76の構成を説明する骨子図である。また、図23は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図24は、前記変速機76に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表であり、図25は、前記変速ギヤ段とは別に前記変速機76に予め定められた副変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機76は、第1変速部82の構成が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機76に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
前記第1変速部82を構成している第1前置遊星歯車装置78は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置80は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部82において、前記第1前置遊星歯車装置78のキャリヤCA1と第2前置遊星歯車装置80のサンギヤS2とが相互に連結されると共に、非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置78のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置80のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置80のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置78のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部82は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部40へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部40へ伝達する。
前述のように構成された変速機76では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図24に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
また、例えば図25に示すように、前記第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、副変速ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第5速ギヤ段「5th」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図25の係合作動表に従い成立させられる副変速段の変速比及び変速比ステップは、前述した図21に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図23の共線図において、第1変速部82の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置78のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置80のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置78のリングギヤR1を、Y3が3つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置78のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置78のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置80のリングギヤR2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図23に示す共線図は、前述した図2に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部82は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置78及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置80から成り、前記第1前置遊星歯車装置78のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置80のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置78のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置80のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第2前置遊星歯車装置80のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置78のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機76を提供できる。
図26は、本発明の更に別の実施例である変速機84の構成を説明する骨子図である。また、図27は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図28は、前記変速機84に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機84は、第1変速部90の構成が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機84に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
前記第1変速部90を構成している第1前置遊星歯車装置86は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置88は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部90において、前記第2前置遊星歯車装置86のサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置86のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置88のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置86のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置88のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置86のサンギヤS1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部90は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部40へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部40へ伝達する。
前述のように構成された変速機84では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図28に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図27の共線図において、第1変速部90の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置88のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置86のサンギヤS1を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置86のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置88のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置86のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置88のリングギヤR2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図27に示す共線図は、前述した図2に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部90は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置86及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置88から成り、前記第2前置遊星歯車装置88のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置86のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置88のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第1前置遊星歯車装置86のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置88のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第1前置遊星歯車装置86のサンギヤS1が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機84を提供できる。
図29は、本発明の更に別の実施例である変速機92の構成を説明する骨子図である。また、図30は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図31は、前記変速機92に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機92は、第1変速部98の構成が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機92に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
前記第1変速部98を構成している第1前置遊星歯車装置94は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置96は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部98において、前記第1前置遊星歯車装置94のサンギヤS1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置94のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置96のサンギヤS2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置94のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置96のリングギヤR2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材32として機能する。また、前記第2前置遊星歯車装置96のキャリヤCA2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部98は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部40へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部40へ伝達する。
前述のように構成された変速機92では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図31に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図30の共線図において、第1変速部98の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置94のサンギヤS1を、Y2が2つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置96のキャリヤCA2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置94のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置96のリングギヤR2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置94のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置96のサンギヤS2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図30に示す共線図は、前述した図2に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部98は、シングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置94及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置96から成り、前記第1前置遊星歯車装置94のサンギヤS1が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置94のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置96のサンギヤS2が入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより、前記第1前置遊星歯車装置94のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置96のリングギヤR2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能する一方、前記第2前置遊星歯車装置96のキャリヤCA2が前記第2中間出力部材34として機能するものであるため、実用的な変速機92を提供できる。
図32は、本発明の更に別の実施例である変速機100の構成を説明する骨子図である。また、図33は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図34は、前記変速機100に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機100は、第1変速部106の構成、各変速ギヤ段の変速比、前記共線図、及び前記係合作動表が異なる点を除けば図1に示す変速機14と同様の構成である。以下、本実施例の変速機100に関して、前記変速機14と相違する部分について説明する。
前記第1変速部106を構成している第1前置遊星歯車装置102は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置104は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部106において、前記第1前置遊星歯車装置102のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置104のキャリヤCA2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置102のリングギヤR1が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置102のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置104のサンギヤS2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第2前置遊星歯車装置104のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部106は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部40へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部40へ伝達する。
図34は、前記変速機100に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。前述のように構成された変速機100では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図34に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」が選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図34に示すように、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.979」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.014」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.991」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.522」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.355」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.209」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.864」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.685」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「3.316」程度である第1後進ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が第1後進ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.179」である第2後進ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置24のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置26のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置28のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置30のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図34の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機92では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.652」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.514」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.308」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.123」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.121」とされ、第6速ギヤ段の変速比γ6と第7速ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.209」とされ、第7速ギヤ段の変速比γ7と第8速ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.157」とされ、第8速ギヤ段の変速比γ8と第9速ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.261」とされ、各変速比γがバランスよく段階的に小さくなるように変化させられている。とりわけ、第4ギヤ段以上の領域において、各変速段におけるギヤ比のステップが「1.200」程度とされており、これによりスムーズな変速が実現される。また、第1速ギヤ段の変速比γ1と第9速ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.264」とされている。
図33の共線図において、第1変速部106の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置102のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置104のキャリヤCA2を、Y2が前記第2前置遊星歯車装置104のリングギヤR2を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置102のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置104のサンギヤS2を、Y4が前記第1前置遊星歯車装置102のリングギヤR1をそれぞれ表し、それ等の間隔は前記第1前置遊星歯車装置102のギヤ比ρ1及び第2前置遊星歯車装置104のギヤ比ρ2に応じて定められている。また、同様に、この共線図の右側部分に示す第2変速部40の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が前記第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4を、Y6が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4を、Y7が前記第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4を、Y8が前記第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3をそれぞれ表し、それ等の間隔は、前記第1後置遊星歯車装置26のギヤ比ρ3及び第2後置遊星歯車装置30のギヤ比ρ4に応じて定められている。
図33の共線図では、図34の係合作動表に従い、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部32に連結されてその回転速度とされ、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、横軸X1が縦線Y7と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、入力回転部材である前記入力軸22の回転を減速して伝達する第1中間出力部材32及び前記入力軸22の回転をその第1中間出力部材32よりも大きく減速して伝達する第2中間出力部材34を有する第1変速部106と、2組の遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、及びリングギヤの一部が互いに連結されることにより4つの回転要素を構成する第2変速部40とを、備え、前記4つの回転要素の回転速度を直線で表すことのできる共線図上において、それら4つの回転要素を一端から他端に向かって順番に第1回転要素RE1、第2回転要素RE2、第3回転要素RE3、及び第4回転要素RE4としたとき、前記第1中間出力部材32と前記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素とである前記第1クラッチC1と、前記入力軸22と前記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である前記第2クラッチC2と、前記第1中間出力部材32と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第2中間出力部材34と前記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、前記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、前記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、有することから各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら多段化を実現する変速機100を提供することができる。
また、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進8段変速を実現することができる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進9段変速を実現することができる。
また、前記第1変速部106はシングルピニオン型の第1前置遊星歯車装置102及びダブルピニオン型の第2前置遊星歯車装置104から成り、前記第1前置遊星歯車装置102のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置104のキャリヤCA2が常に前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置102のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置104のサンギヤS2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第2前置遊星歯車装置104のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第1前置遊星歯車装置102のリングギヤR1が前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機100を提供できる。
また、前記第2変速部40は、ダブルピニオン型の第1後置遊星歯車装置28及びシングルピニオン型の第2後置遊星歯車装置30から成り、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置28のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置30のサンギヤS4によって前記第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された第1後置遊星歯車装置28のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置30のキャリヤCA4によって前記第2回転要素RE2が構成され、前記第2後置遊星歯車装置30のリングギヤR4によって前記第3回転要素RE3が構成され、前記第1後置遊星歯車装置28のサンギヤS3によって前記第4回転要素RE4が構成されるものであるため、実用的な変速機100を提供できる。
図35は、本発明の更に別の実施例である変速機108の構成を説明する骨子図である。また、図36は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図37は、前記変速機108に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。
図35に示される第1変速部114を構成している第1前置遊星歯車装置110は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置112は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部114において、前記第1前置遊星歯車装置110のサンギヤS1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第2前置遊星歯車装置112のサンギヤS2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置110のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置112のキャリヤCA2が相互に連結されると共に、前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置110のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置112のリングギヤR2が相互に連結されると共に、前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部114は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して図35に示される第2変速部116へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部116へ伝達する。
前記第2変速部116を構成している第1後置遊星歯車装置118は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P3、それら遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されている。また、前記第2後置遊星歯車装置120は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、遊星歯車P4、その遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されている。
前記第2変速部116において、前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4が互いに連結されて第1回転要素RE1を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4が互いに連結されて第2回転要素RE2を構成している。また、前記第2後置遊星歯車装置120のリングギヤR4が第3回転要素RE3を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3が第4回転要素RE4を構成している。また、前記第1中間出力部材32と上記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と上記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記第1中間出力部材32と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第2中間出力部材34と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、上記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、上記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、備えている。
図37は、前記変速機108に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。前述のように構成された変速機108では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図37に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」乃至後進第3速ギヤ段「R3」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図37に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「5.697」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.493」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.250」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と入力回転部材である前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.557」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.281」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び前記第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.761」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.695」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.639」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「7.977」程度である第1後進ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が第1後進ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.989」である第2後進ギヤ段「R2」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR3が第2後進ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.773」である第3後進ギヤ段「R3」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置110のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置112のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置118のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置120のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図37の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機108では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.631」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.552」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.445」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.216」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.281」とされ、第6速ギヤ段の変速比γ6と第7速ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.313」とされ、第7速ギヤ段の変速比γ7と第8速ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.095」とされ、第8速ギヤ段の変速比γ8と第9速ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.087」とされ、各変速比γがバランスよく段階的に小さくなるように変化させられている。とりわけ、変速比が「1.000」より小さい領域において、各変速段におけるギヤ比のステップが「1.100」程度とされており、これによりスムーズな変速が実現される。また、第1速ギヤ段の変速比γ1と第9速ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「8.910」とされている。
図36に示される共線図において、第1変速部114の4本の縦線Y1乃至Y4は第1変速部114の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第1前置遊星歯車装置110のサンギヤS1を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置110のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置112のリングギヤR2を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置110のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置112のキャリヤCA2を、Y4が前記第2前置遊星歯車装置112のサンギヤS2をそれぞれ表し、それ等の間隔は前記第1前置遊星歯車装置110のギヤ比ρ1及び第2前置遊星歯車装置112のギヤ比ρ2に応じて定められている。また、同様に、この共線図の右側部分に示す第2変速部116の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が前記第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4を、Y6が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4を、Y7が前記第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置120のリングギヤR4を、Y8が前記第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3をそれぞれ表し、それ等の間隔は、前記第1後置遊星歯車装置118のギヤ比ρ3及び第2後置遊星歯車装置120のギヤ比ρ4に応じて定められている。
図36の共線図では、図37の係合作動表に従い、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦線Y6及び横軸X1と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、入力回転部材である前記入力軸22の回転を減速して伝達する第1中間出力部材32及び前記入力回転部材22の回転をその第1中間出力部材32よりも大きく減速して伝達する第2中間出力部材34を有する第1変速部108と、2組の遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、及びリングギヤの一部が互いに連結されることにより4つの回転要素を構成する第2変速部116とを、備え、前記4つの回転要素の回転速度を直線で表すことのできる共線図上において、それら4つの回転要素を一端から他端に向かって順番に第1回転要素RE1、第2回転要素RE2、第3回転要素RE3、及び第4回転要素RE4としたとき、前記第1中間出力部材32と前記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と前記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記第1中間出力部材32と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第2中間出力部材34と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、前記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、前記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、有することから、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら多段化を実現できる変速機108を提供することができる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進8変速段を実現することができる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進9変速段を実現することができる。
また、前記第1変速部114は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置110及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置112から成り、前記第1前置遊星歯車装置110のサンギヤS1が常に前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置110のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置112のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第1前置遊星歯車装置110のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置112のリングギヤR2が互いに連結されて前記第2中間出力部材34として機能し、前記第2前置遊星歯車装置112のサンギヤS2が前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機108を提供できる。
また、前記第2変速部116は、ダブルピニオン型の第1後置遊星歯車装置118及びシングルピニオン型の第2後置遊星歯車装置120から成り、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び前記第2後置遊星歯車装置のサンギヤS4によって前記第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4によって前記第2回転要素RE2が構成され、前記第2後置遊星歯車装置120のリングギヤR4によって前記第3回転要素RE3が構成され、前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3によって前記第4回転要素が構成されるものであため、実用的な変速機108を提供できる。
図38は、本発明の更に別の実施例である変速機122の構成を説明する骨子図である。また、図39は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図40は、前記変速機122に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機122は、第1変速部128の構成が異なる点を除けば図35に示す変速機108と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機122に関して、前記変速機108と相違する部分について説明する。
前記第1変速部128を構成している第1前置遊星歯車装置124は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置126は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部128において、前記第1前置遊星歯車装置124のキャリヤCA1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部128は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部116へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部116へ伝達する。
前述のように構成された変速機122では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図40に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」乃至後進第3速ギヤ段「R3」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図40の係合作動表に従い成立させられる変速段の変速比、変速比ステップ、及びギヤ比幅は、前述した図37に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図39の共線図において、第1変速部128の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置124のキャリヤCA1を、Y2が2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図39に示す共線図は、前述した図36に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、、前記第1変速部128は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置124及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置126から成り、前記第1前置遊星歯車装置124のキャリヤCA1が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置124のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置126のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第1前置遊星歯車装置124のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置126のリングギヤR2が互いに連結されて前記第2中間出力部材34として機能し、前記第2前置遊星歯車装置126のサンギヤS2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機122を提供できる。
図41は、本発明の更に別の実施例である変速機130の構成を説明する骨子図である。また、図42は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図43は、前記変速機130に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機130は、第1変速部136の構成が異なる点を除けば図35に示す変速機108と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機130に関して、前記変速機108と相違する部分について説明する。
前記第1変速部136を構成している第1前置遊星歯車装置132は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置134は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部136において、前記第1前置遊星歯車装置132のサンギヤS1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置132のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置134のサンギヤS2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置132のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置134のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第2前置遊星歯車装置134のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部136は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部116へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部116へ伝達する。
前述のように構成された変速機130では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図43に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」乃至後進第3速ギヤ段「R3」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図43の係合作動表に従い成立させられる変速段の変速比、変速比ステップ、及びギヤ比幅は、前述した図37に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図42の共線図において、第1変速部136の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置132のサンギヤS1を、Y2が2つめの回転要素である第2前置遊星歯車装置134のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置132のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置134のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置132のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置134のサンギヤS2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図42に示す共線図は、前述した図36に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部136は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置132及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置134から成り、前記第1前置遊星歯車装置132のサンギヤS1が常に非回転部材であるトランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置132のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置134のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第2前置遊星歯車装置134のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第1前置遊星歯車装置132のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置134のサンギヤS1が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機130を提供できる。
図44は、本発明の更に別の実施例である変速機138の構成を説明する骨子図である。また、図45は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図46は、前記変速機138に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機138は、第1変速部144の構成が異なる点を除けば図35に示す変速機108と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機138に関して、前記変速機108と相違する部分について説明する。
前記第1変速部144を構成している第1前置遊星歯車装置140は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置142は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部144において、前記第1前置遊星歯車装置140のキャリヤCA1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置140のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置142のサンギヤS2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置140のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置142のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第2前置遊星歯車装置142のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部144は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部116へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部116へ伝達する。
前述のように構成された変速機138では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図46に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」乃至後進第3速ギヤ段「R3」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図46の係合作動表に従い成立させられる変速段の変速比、変速比ステップ、及びギヤ比幅は、前述した図37に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図45の共線図において、第1変速部144の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置140のキャリヤCA1を、Y2が2つめの回転要素である第2前置遊星歯車装置142のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置140のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置142のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置140のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置142のサンギヤS2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図45に示す共線図は、前述した図36に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部144は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置140及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置142から成り、前記第1前置遊星歯車装置140のキャリヤCA1が常に非回転部材であるトランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置140のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置142のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第2前置遊星歯車装置142のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第1前置遊星歯車装置140のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置142のサンギヤS2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機138を提供できる。
図47は、本発明の更に別の実施例である変速機146の構成を説明する骨子図である。また、図48は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図49は、前記変速機146に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表であり、本実施例の変速機146は、設けられた各遊星歯車装置のギヤ比が異なる点を除けば図35に示される変速機108と同様の構成であり、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図及び油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表が変速機108と異なる。以下、本実施例の変速機146に関して、前記変速機108と相違する部分である共線図及び係合作動表について説明する。
図49は、前記変速機148に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。前述のように構成された変速機146では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図49に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」乃至後進第3速ギヤ段「R3」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図49に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.996」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.999」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.400」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.500」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、前記第4回転要素RE4である第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.250」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.800」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.667」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第5クラッチC5及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「8.000」程度である第1後進ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が第1後進ギヤ段よりも小さい値、例えば「4.000」である第2後進ギヤ段「R2」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR3が第2後進ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.000」である第3後進ギヤ段「R3」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置148のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置150のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置118のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置120のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図49の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機146では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.666」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.250」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.200」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.333」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.200」とされ、第6速ギヤ段の変速比γ6と第7速ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.250」とされ、第7速ギヤ段の変速比γ7と第8速ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.250」とされ、第8速ギヤ段の変速比γ8と第9速ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.200」とされ、各変速比γがバランスよく段階的に小さくなるように変化させられている。とりわけ、第2速ギヤ段以上の領域において、各変速段におけるギヤ比のステップが「1.250」程度とされており、これによりスムーズな変速が実現される。また、第1速ギヤ段の変速比γ1と第9速ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.493」とされている。
図48に示される共線図において、第1変速部152の4本の縦線Y1乃至Y4は第1変速部152の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が前記第1前置遊星歯車装置148のサンギヤS1を、Y2が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置150のリングギヤR2を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置148のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置150のキャリヤCA2を、Y4が前記第2前置遊星歯車装置150のサンギヤS2をそれぞれ表し、それ等の間隔は前記第1前置遊星歯車装置148のギヤ比ρ1及び前記第2前置遊星歯車装置150のギヤ比ρ2に応じて定められている。また、同様に、この共線図の右側部分に示す第2変速部116の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が前記第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置120のサンギヤS4を、Y6が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置118のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置120のキャリヤCA4を、Y7が前記第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置120のリングギヤR4を、Y8が前記第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置118のサンギヤS3をそれぞれ表し、それ等の間隔は、前記第1後置遊星歯車装置118のギヤ比ρ3及び第2後置遊星歯車装置120のギヤ比ρ4に応じて定められている。
図48の共線図では、図49の係合作動表に従い、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xaの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦線Y6及び横軸X1と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev3)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進8段変速を実現することができる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進9段変速を実現することができる。
また、前記第1変速部152は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置148及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置150から成り、前記第1前置遊星歯車装置148のサンギヤS1が常に前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置148のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置150のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第1前置遊星歯車装置148のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置150のリングギヤR2が互いに連結されて前記第2中間出力部材34として機能し、前記第2前置遊星歯車装置150のサンギヤS2が前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機146を提供できる。
図50は、本発明の更に別の実施例である変速機154の構成を説明する骨子図である。また、図51は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図52は、前記変速機154に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機154は、第1変速部160の構成が異なる点を除けば図47に示す変速機146と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機154に関して、前記変速機146と相違する部分について説明する。
前記第1変速部160を構成している第1前置遊星歯車装置156は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置158は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部160において、前記第1前置遊星歯車装置156のキャリヤCA1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第2前置遊星歯車装置158のサンギヤS2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置156のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置158のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置156のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置158のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部160は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部116へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部116へ伝達する。
前述のように構成された変速機154では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図52に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」乃至後進第3速ギヤ段「R3」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図52の係合作動表に従い成立させられる変速段の変速比、変速比ステップ、及びギヤ比幅は、前述した図49に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図51の共線図において、第1変速部160の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置156のキャリヤCA1を、Y2が2つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置156のリングギヤR1及び第2前置遊星歯車装置158のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置156のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置158のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置158のサンギヤS2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図51に示す共線図は、前述した図48に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、、前記第1変速部160は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置156及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置158から成り、前記第1前置遊星歯車装置156のキャリヤCA1が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置156のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置158のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第1前置遊星歯車装置156のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置158のリングギヤR2が互いに連結されて前記第2中間出力部材34として機能し、前記第2前置遊星歯車装置158のサンギヤS2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機154を提供できる。
図53は、本発明の更に別の実施例である変速機162の構成を説明する骨子図である。また、図54は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図55は、前記変速機162に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機162は、第1変速部168の構成が異なる点を除けば図47に示す変速機146と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機162に関して、前記変速機146と相違する部分について説明する。
前記第1変速部168を構成している第1前置遊星歯車装置164は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置166は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部168において、前記第1前置遊星歯車装置164のサンギヤS1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置164のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置166のサンギヤS2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置164のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置166のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第2前置遊星歯車装置166のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部168は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部116へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部116へ伝達する。
前述のように構成された変速機162では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図55に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」乃至後進第3速ギヤ段「R3」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図55の係合作動表に従い成立させられる変速段の変速比、変速比ステップ、及びギヤ比幅は、前述した図49に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図54の共線図において、第1変速部168の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置164のサンギヤS1を、Y2が2つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置166のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置164のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置166のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置164のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置166のサンギヤS2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図54に示す共線図は、前述した図48に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部168は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置164及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置166から成り、前記第1前置遊星歯車装置164のサンギヤS1が常に非回転部材であるトランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置164のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置166のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第2前置遊星歯車装置166のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第1前置遊星歯車装置164のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置166のサンギヤS2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機162を提供できる。
図56は、本発明の更に別の実施例である変速機170の構成を説明する骨子図である。また、図57は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図58は、前記変速機170に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機170は、第1変速部176の構成が異なる点を除けば図47に示す変速機146と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機170に関して、前記変速機146と相違する部分について説明する。
前記第1変速部176を構成している第1前置遊星歯車装置172は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置174は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部176において、前記第1前置遊星歯車装置172のキャリヤCA1が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置172のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置174のサンギヤS2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置172のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置174のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第2前置遊星歯車装置174のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部176は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部116へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部116へ伝達する。
前述のように構成された変速機170では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図58に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」乃至後進第3速ギヤ段「R3」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図58の係合作動表に従い成立させられる変速段の変速比、変速比ステップ、及びギヤ比幅は、前述した図49に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図57の共線図において、第1変速部176の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置172のキャリヤCA1を、Y2が2つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置174のリングギヤR2を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置172のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置174のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置172のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置174のサンギヤS2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図57に示す共線図は、前述した図48に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部176は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置172及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置174から成り、前記第1前置遊星歯車装置172のキャリヤCA1が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置172のリングギヤR1及び前記第2前置遊星歯車装置174のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第2前置遊星歯車装置174のリングギヤR2が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第1前置遊星歯車装置172のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置174のサンギヤS2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機170を提供できる。
図59は、本発明の更に別の実施例である変速機178の構成を説明する骨子図である。また、図60は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図61は、前記変速機108に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。
図59に示される第1変速部184を構成している第1前置遊星歯車装置180は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、第2前置遊星歯車装置182は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部184において、前記第1前置遊星歯車装置180のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置182のサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第2前置遊星歯車装置182のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置180のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置182のキャリヤCA2が相互に連結されると共に、前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置180のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部184は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して図59に示される第2変速部186へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部186へ伝達する。
前記第2変速部186を構成している第1後置遊星歯車装置188は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P3、それら遊星歯車P3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、及び上記遊星歯車P3を介して上記サンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えて構成されている。また、前記第2後置遊星歯車装置190は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS4、遊星歯車P4、その遊星歯車P4を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA4、及び上記遊星歯車P4を介して上記サンギヤS4と噛み合うリングギヤR4を備えて構成されている。
前記第2変速部186において、前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4が互いに連結されて第1回転要素RE1を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4が互いに連結されて第2回転要素RE2を構成している。また、前記第2後置遊星歯車装置190のリングギヤR4が第3回転要素RE3を構成している。また、前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3が第4回転要素RE4を構成している。また、前記第2中間出力部材34と上記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と上記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記第2中間出力部材34と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第1中間出力部材32と上記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、上記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、上記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、備えている。
図61は、前記変速機178に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。前述のように構成された変速機178では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図61に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図61に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「5.780」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.633」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.517」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.007」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.717」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.356」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.761」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.658」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.841」程度である第1後進ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が第1後進ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.923」である第2後進ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置180のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置182のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置188のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置190のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図61の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機178では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.591」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.443」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.254」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.169」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.266」とされ、第6速ギヤ段の変速比γ6と第7速ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.356」とされ、第7速ギヤ段の変速比γ7と第8速ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.313」とされ、第8速ギヤ段の変速比γ8と第9速ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.157」とされ、各変速比γがバランスよく段階的に小さくなるように変化させられている。また、第1速ギヤ段の変速比γ1と第9速ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「8.910」とされている。
図60に示される共線図において、第1変速部184の4本の縦線Y1乃至Y4は第1変速部184の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置180のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置182のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置180のリングギヤR1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置180のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置182のキャリヤCA2を、Y4が前記第2前置遊星歯車装置182のリングギヤR2をそれぞれ表し、それ等の間隔は前記第1前置遊星歯車装置180のギヤ比ρ1及び第2前置遊星歯車装置182のギヤ比ρ2に応じて定められている。また、同様に、この共線図の右側部分に示す第2変速部186の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が前記第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4を、Y6が前記第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4を、Y7が前記第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置190のリングギヤR4を、Y8が前記第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3をそれぞれ表し、それ等の間隔は、前記第1後置遊星歯車装置188のギヤ比ρ3及び第2後置遊星歯車装置190のギヤ比ρ4に応じて定められている。
図60の共線図では、図61の係合作動表に従い、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦線Y6及び横軸X1と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、入力回転部材である前記入力軸22の回転を減速して伝達する第1中間出力部材32及び前記入力軸22の回転を該第1中間出力部材32よりも大きく減速して伝達する第2中間出力部材34を有する第1変速部184と、2組の遊星歯車装置のサンギヤ、キャリヤ、及びリングギヤの一部が互いに連結されることにより4つの回転要素を構成する第2変速部186とを、備え、前記4つの回転要素の回転速度を直線で表すことのできる共線図上において、それら4つの回転要素を一端から他端に向かって順番に第1回転要素RE1、第2回転要素RE2、第3回転要素RE3、及び第4回転要素RE4としたとき、前記第2中間出力部材34と前記第4回転要素RE4とを選択的に連結する第1クラッチ要素である第1クラッチC1と、前記入力軸22と前記第2回転要素RE2とを選択的に連結する第2クラッチ要素である第2クラッチC2と、前記第2中間出力部材34と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第3クラッチ要素である第3クラッチC3と、前記入力軸22と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第4クラッチ要素である第4クラッチC4と、前記第1中間出力部材32と前記第1回転要素RE1とを選択的に連結する第5クラッチ要素である第5クラッチC5と、前記第1回転要素RE1を選択的に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結する第1ブレーキ要素である第1ブレーキB1と、前記第2回転要素RE2を選択的に前記トランスミッションケース16に連結する第2ブレーキ要素である第2ブレーキB2とを、有することから、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら多段化を実現する変速機178を提供することができる。
また、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第5クラッチC5を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進8段変速を実現することができる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進9段変速を実現することができる。
また、前記第1変速部184は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置180及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置182から成り、前記第1前置遊星歯車装置180のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置182のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置180のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置182のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第1前置遊星歯車装置180のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第2前置遊星歯車装置182のリングギヤR2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機178を提供できる。
また、前記第2変速部186は、ダブルピニオン型の第1後置遊星歯車装置188及びシングルピニオン型の第2後置遊星歯車装置190から成り、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び前記第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4によって前記第1回転要素RE1が構成され、互いに連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4によって前記第2回転要素RE2が構成され、前記第2後置遊星歯車装置190のリングギヤR4によって前記第3回転要素RE3が構成され、前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3によって前記第4回転要素RE4が構成されるものであるため、実用的な変速機178を提供できる。
図62は、本発明の更に別の実施例である変速機192の構成を説明する骨子図である。また、図63は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図64は、前記変速機192に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機192は、第1変速部192の構成が異なる点を除けば図59に示す変速機178と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機192に関して、前記変速機178と相違する部分について説明する。
前記第1変速部198を構成している第1前置遊星歯車装置194は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置196は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部198において、前記第1前置遊星歯車装置194のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置196のサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第2前置遊星歯車装置196のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第1前置遊星歯車装置194のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置196のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置194のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部198は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部186へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部186へ伝達する。
前述のように構成された変速機192では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図64に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図64の係合作動表に従い成立させられる変速段の変速比、変速比ステップ、及びギヤ比幅は、前述した図61に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図63の共線図において、第1変速部198の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置194のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置196のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置194のリングギヤR1を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置194のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置196のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置196のリングギヤR2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図63に示す共線図は、前述した図60に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部198は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置194及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置196から成り、前記第1前置遊星歯車装置194のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置196のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置194のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置196のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第1前置遊星歯車装置194のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第2前置遊星歯車装置196のリングギヤR2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機192を提供できる。
図65は、本発明の更に別の実施例である変速機200の構成を説明する骨子図である。また、図66は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図67は、前記変速機200に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機200は、第1変速部206の構成が異なる点を除けば図59に示す変速機178と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機200に関して、前記変速機178と相違する部分について説明する。
前記第1変速部206を構成している第1前置遊星歯車装置202は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置204は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部206において、前記第1前置遊星歯車装置202のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置204のサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置202のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置204のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置204のキャリヤCA1が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置202のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部206は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部186へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部186へ伝達する。
前述のように構成された変速機200では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図67に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図67の係合作動表に従い成立させられる変速段の変速比、変速比ステップ、及びギヤ比幅は、前述した図61に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図66の共線図において、第1変速部206の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置202のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置204のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置202のリングギヤR1を、Y3が3つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置204のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置202のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置204のリングギヤR2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図66に示す共線図は、前述した図60に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部206は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置202及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置204から成り、前記第1前置遊星歯車装置202のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置204のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第2前置遊星歯車装置204のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32として機能し、前記第1前置遊星歯車装置202のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第1前置遊星歯車装置202のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置204のリングギヤR2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機200を提供できる。
図68は、本発明の更に別の実施例である変速機208の構成を説明する骨子図である。また、図69は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図70は、前記変速機208に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機208は、設けられた各遊星歯車のギヤ比が異なる点を除けば図59に示される変速機178と同様の構成であり、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図及び油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表が変速機178と異なる。以下、本実施例の変速機208に関して、前記変速機178と相違する部分である共線図及び係合作動表について説明する。
図70は、前記変速機208に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。前述のように構成された変速機208では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図70に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。
図70に示すように、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と非回転部材である前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ1が最大値、例えば「4.816」程度である第1速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ2が第1速ギヤ段よりも小さい値、例えば「3.028」程度である第2速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ3が第2速ギヤ段よりも小さい値、例えば「2.098」程度である第3速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ4が第3速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.569」程度である第4速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により、前記第4回転要素RE4である前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ5が第4速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.295」程度である第5速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4の係合により、前記第2回転要素RE2である第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び前記第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び前記第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されることにより、変速比γ6が第5速ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.000」程度である第6速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記第1中間出力部材32との間が連結されることにより、変速比γ7が第6速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.892」程度である第7速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されることにより、変速比γ8が第7速ギヤ段よりも小さい値、例えば「0.786」程度である第8速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γ9が最小値、例えば「0.658」程度である第9速ギヤ段が成立させられる。
また、前記第3クラッチC3及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記第2中間出力部材34との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR1が「4.034」である第1後進ギヤ段「R1」が成立させられる。
また、前記第4クラッチC4及び第2ブレーキB2の係合により、前記第1回転要素RE1である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4と前記入力軸22との間が連結されると共に、前記第2回転要素RE2である相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4と前記トランスミッションケース16との間が連結されることにより、変速比γR2が第1後進ギヤ段よりも小さい値、例えば「1.923」である第2後進ギヤ段「R2」が成立させられる。前記第1前置遊星歯車装置210のギヤ比ρ1、第2前置遊星歯車装置212のギヤ比ρ2、第1後置遊星歯車装置188のギヤ比ρ3、及び第2後置遊星歯車装置190のギヤ比ρ4は、以上のような変速比が得られるように設計されている。
図70の係合作動表に従い変速段を成立させる前記変速機208では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.591」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.443」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.337」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.211」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.295」とされ、第6速ギヤ段の変速比γ6と第7速ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.121」とされ、第7速ギヤ段の変速比γ7と第8速ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.135」とされ、第8速ギヤ段の変速比γ8と第9速ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.195」とされ、各変速比γがバランスよく段階的に小さくなるように変化させられている。また、第1速ギヤ段の変速比γ1と第9速ギヤ段の変速比γ9との比であるギヤ比幅(=γ1/γ9)が比較的大きな値である「7.321」とされている。
図69に示される共線図において、第1変速部214の4本の縦線Y1乃至Y4は第1変速部214の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置210のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置212のサンギヤS2を、Y2が前記第1前置遊星歯車装置210のリングギヤR1を、Y3が相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置210のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置212のキャリヤCA2を、Y4が前記第2前置遊星歯車装置212のリングギヤR2をそれぞれ表し、それ等の間隔は前記第1前置遊星歯車装置210のギヤ比ρ1及び第2前置遊星歯車装置212のギヤ比ρ2に応じて定められている。また、同様に、この共線図の右側部分に示す第2変速部186の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が前記第1回転要素RE1に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された前記第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4を、Y7が前記第3回転要素RE3に対応する前記第2後置遊星歯車装置190のリングギヤR4を、Y8が前記第4回転要素RE4に対応する前記第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3をそれぞれ表し、それ等の間隔は、前記第1後置遊星歯車装置188のギヤ比ρ3及び第2後置遊星歯車装置190のギヤ比ρ4に応じて定められている。
図69の共線図では、図70の係合作動表に従い、第1速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第3速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されその回転速度とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第4速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されてその回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第5速ギヤ段では、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第4回転要素RE4は前記第1クラッチC1の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第6速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されてその回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第7速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第5クラッチC5の係合により前記第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦線Y6及び横軸X1と交差する点(7th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第8速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
第9速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第1ブレーキB1の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2クラッチC2の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第1速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第3クラッチC3の係合により前記第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
後進第2速ギヤ段では、前記第1回転要素RE1は前記第4クラッチC4の係合により前記入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、前記第2回転要素RE2は前記第2ブレーキB2の係合により前記トランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、前記出力軸36の回転速度が示される。
このように、本実施例によれば、前記第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第3クラッチC3を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第4クラッチC4を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチC1及び第2クラッチC2を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第4クラッチC4を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第5クラッチC5を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチC2及び第3クラッチC3を係合させることにより第8変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進8変速段を実現することができる。
また、前記第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進9変速段を実現することができる。
また、前記第1変速部214は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置210及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置212から成り、前記第1前置遊星歯車装置210のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置212のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第1前置遊星歯車装置210のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置212のキャリヤCA2が互いに連結されて前記第1中間出力部材32として機能し、前記第1前置遊星歯車装置210のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第2前置遊星歯車装置212のリングギヤR2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機208を提供できる。
図71は、本発明の更に別の実施例である変速機216の構成を説明する骨子図である。また、図72は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図である。また、図73は、前記変速機216に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。本実施例の変速機216は、第1変速部222の構成が異なる点を除けば図68に示す変速機208と同様の構成であり、前述した実施例と同等の効果が得られる。以下、本実施例の変速機216に関して、前記変速機208と相違する部分について説明する。
前記第1変速部222を構成している第1前置遊星歯車装置218は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対の遊星歯車P1、それら遊星歯車P1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、及び上記遊星歯車P1を介して上記サンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えて構成されている。また、前記第2前置遊星歯車装置220は、シングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、遊星歯車P2、その遊星歯車P2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、及び上記遊星歯車P2を介して上記サンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えて構成されている。
前記第1変速部222において、前記第1前置遊星歯車装置218のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置220のサンギヤS2が非回転部材である前記トランスミッションケース16に一体的に連結され、そのトランスミッションケース16に対する相対回転が禁止されている。また、前記第1前置遊星歯車装置218のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置220のリングギヤR2が入力回転部材である前記入力軸22に一体的に連結されている。また、前記第2前置遊星歯車装置220のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32に一体的に連結されており、同様に第1中間出力部材として機能する。また、前記第1前置遊星歯車装置218のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34に一体的に連結されており、同様に第2中間出力部材として機能する。前記第1変速部222は、このような構成により、前記第1中間出力部材32を介して前記入力軸22の回転を減速して前記第2変速部186へ伝達すると共に、前記第2中間出力部材34を介して前記入力軸22の回転を前記第1中間出力部材32よりも大きく減速して前記第2変速部186へ伝達する。
前述のように構成された変速機216では、前記電子制御装置42の指令に従って、例えば図73に示すように、前記第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第5クラッチC5、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2のうちから選択された2つの油圧式摩擦係合装置が同時に係合作動させられることにより、前進ギヤ段である第1速ギヤ段「1st」乃至第9速ギヤ段「9th」の何れか、或いは後進ギヤ段である後進第1速ギヤ段「R1」又は後進第2速ギヤ段「R2」の何れかが選択的に成立させられ、略等比的に変化する変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が各ギヤ段毎に得られるようになっている。ここで、図73の係合作動表に従い成立させられる変速段の変速比、変速比ステップ、及びギヤ比幅は、前述した図70に示すものと同じであるため、その説明を省略する。
図72の共線図において、第1変速部222の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置218のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置220のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である前記第1前置遊星歯車装置218のリングギヤR1を、Y3が3つめの回転要素である前記第2前置遊星歯車装置220のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された前記第1前置遊星歯車装置218のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置220のリングギヤR2をそれぞれ表している。従って、これら回転要素を基にすれば、図72に示す共線図は、前述した図69に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。
このように、本実施例によれば、前記第1変速部222は、ダブルピニオン型の第1前置遊星歯車装置218及びシングルピニオン型の第2前置遊星歯車装置220から成り、前記第1前置遊星歯車装置218のキャリヤCA1及び前記第2前置遊星歯車装置220のサンギヤS2が常に非回転部材である前記トランスミッションケース16に連結されると共に、前記第2前置遊星歯車装置220のキャリヤCA2が前記第1中間出力部材32として機能し、前記第1前置遊星歯車装置218のリングギヤR1が前記第2中間出力部材34として機能し、前記第1前置遊星歯車装置218のサンギヤS1及び前記第2前置遊星歯車装置220のリングギヤR2が前記入力回転部材である前記入力軸22に連結されることにより構成されるものであるため、実用的な変速機218を提供できる。
図74は、本発明の更に別の実施例である変速機230の構成を説明する骨子図である。また、図75は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図であり、図76は、変速機230に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。また、本実施例の変速機230は、前述の変速機178と同様の部材で構成されている。このため、第1変速部184は入力軸22の回転を減速して伝達する第1中間出力部材32及び該入力軸22の回転を第1中間出力部材32よりも更に減速して伝達する第2中間出力部材34を含む4つの回転要素を備え、第2変速部186は、第1回転要素RE1乃至第4回転要素RE4の4つの回転要素を備えるので、前述の実施例と同様の効果が得られる。以下、本実施例の変速機230に関して、前記変速機178と相違する共線図及び係合作動表について説明する。
図74に示される共線図において、第1変速部184の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が相互に連結された第1前置遊星歯車装置180のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置182のサンギヤS2を、Y2が第1前置遊星歯車装置180のリングギヤR1を、Y3が相互に連結された第1前置遊星歯車装置180のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置182のキャリヤCA2を、Y4が第2前置遊星歯車装置182のリングギヤR2をそれぞれ表し、それ等の間隔は第1前置遊星歯車装置180のギヤ比ρ1及び第2前置遊星歯車装置182のギヤ比ρ2に応じて定められている。また、同様に、この共線図の右側部分に示す第2変速部186の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3及び第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置190のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3をそれぞれ表し、それ等の間隔は、第1後置遊星歯車装置188のギヤ比ρ3及び第2後置遊星歯車装置190のギヤ比ρ4に応じて定められている。
図75の共線図では、図76の係合作動表に従い、第1速ギヤ段では、第2回転要素RE2は第2ブレーキB2の係合により非回転部材であるトランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、第4回転要素RE4は第1クラッチC1の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(1st)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「5.780」程度である第1速ギヤ段「1st」が成立する。
第2速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第1ブレーキB1の係合によりトランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、第4回転要素RE4は第1クラッチC1の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(2nd)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「3.633」程度である第2速ギヤ段「2nd」が成立する。
第3速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第3クラッチC3の係合により第2中間出力部材34に連結されその回転速度とされ、第4回転要素RE4は第1クラッチC1の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(3rd)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「2.517」程度である第3速ギヤ段「3rd」が成立する。
第4速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第5クラッチC5の係合により第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、第4回転要素RE4は第1クラッチC1の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(4th)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「2.007」程度である第4速ギヤ段「4th」が成立する。
第5速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第4クラッチC4の係合により入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、第4回転要素RE4は第1クラッチC1の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(5th)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「1.717」程度である第5速ギヤ段「5th」が成立する。
第6速ギヤ段では、第2回転要素RE2は第2クラッチC2の係合により入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、第4回転要素RE4は第1クラッチC1の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされるので、縦軸Y6及び横軸X1の交点と縦軸Y8及び横軸Xbの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(6th)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「1.356」程度である第6速ギヤ段「6th」が成立する。
第7速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第4クラッチC4の係合により入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、第2回転要素RE2は第2クラッチC2の係合により入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y7が横軸X1と交差する点(7th)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「1.000」程度である第7速ギヤ段「7th」が成立する。
第8速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第5クラッチC5の係合により第1中間出力部材32に連結されてその回転速度とされ、第2回転要素RE2は第2クラッチC2の係合により入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xaの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(8th)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「0.875」程度である第8ギヤ速段「8th」が成立する。
第9速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第3クラッチC3の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、第2回転要素RE2は第2クラッチC2の係合により入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(9th)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「0.761」程度である第9ギヤ速段「9th」が成立する。
第10速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第1ブレーキB1の係合によりトランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされ、第2回転要素RE2はクラッチC2の係合により入力軸22に連結されて回転速度「1」とされるので、縦軸Y5及び横軸XZの交点と縦軸Y6及び横軸X1の交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(10th)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「0.658」程度である第10速ギヤ段「10th」が成立する。
後進第1速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第3クラッチC3の係合により第2中間出力部材34に連結されてその回転速度とされ、第2回転要素RE2は第2ブレーキB2の係合によりトランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸Xbの交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev1)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「4.841」程度である第1後進ギヤ段「R1」が成立する。
後進第2速ギヤ段では、第1回転要素RE1は第4クラッチC4の係合により入力軸22に連結されて回転速度「1」とされ、第2回転要素RE2は第2ブレーキB2の係合によりトランスミッションケース16に連結されて回転速度「0」とされるので、縦軸Y5及び横軸X1の交点と縦軸Y6及び横軸XZの交点とを結ぶ直線が、縦線Y7と交差する点(Rev2)により、出力軸36の回転速度が示され、変速比が例えば「1.923」程度である第2後進ギヤ段「R2」が成立する。
図79の係合作動表に従い変速段を成立させる変速機230では、第1速ギヤ段の変速比γ1と第2速ギヤ段の変速比γ2との比(=γ1/γ2)が「1.591」とされ、第2速ギヤ段の変速比γ2と第3速ギヤ段の変速比γ3との比(=γ2/γ3)が「1.443」とされ、第3速ギヤ段の変速比γ3と第4速ギヤ段の変速比γ4との比(=γ3/γ4)が「1.254」とされ、第4速ギヤ段の変速比γ4と第5速ギヤ段の変速比γ5との比(=γ4/γ5)が「1.169」とされ、第5速ギヤ段の変速比γ5と第6速ギヤ段の変速比γ6との比(=γ5/γ6)が「1.266」とされ、第6速ギヤ段の変速比γ6と第7速ギヤ段の変速比γ7との比(=γ6/γ7)が「1.356」とされ、第7速ギヤ段の変速比γ7と第8速ギヤ段の変速比γ8との比(=γ7/γ8)が「1.142」とされ、第8速ギヤ段の変速比γ8と第9速ギヤ段の変速比γ9との比(=γ8/γ9)が「1.150」とされ、第9速ギヤ段の変速比γ9と第10速ギヤ段の変速比γ10との比(=γ9/γ10)が「1.157」とされ、各変速比γがバランスよく変化させられている。また、第1速ギヤ段の変速比γ1と第10速ギヤ段の変速比γ10との比であるギヤ比幅(=γ1/γ10)が比較的大きな値である「8.876」とされている。
このように、本実施例によれば、前記第1クラッチ要素及び第2ブレーキ要素を係合させることにより第1変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第2変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第3変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第5クラッチ要素を係合させることにより第4変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第5変速段を成立させ、前記第1クラッチ要素及び第2クラッチ要素を係合させることにより第6変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第4クラッチ要素を係合させることにより第7変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第5クラッチ要素を係合させることにより第8変速段を成立させ、前記第2クラッチ要素及び第3クラッチ要素を係合させることにより第9変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進9変速段を実現することができる。
また、前記第2クラッチ要素及び第1ブレーキ要素を係合させることにより第10変速段を成立させるものであるため、各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進10変速段を実現することができる。
図77は、本発明の更に別の実施例である変速機234の構成を説明する骨子図である。また、図78は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図であり、図79は、変速機234に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。また、本実施例の変速機234は、前述の変速機192と同一の部材で構成されている。このため、第1変速部198は、入力軸22の回転を減速して伝達する第1中間出力部材32及び該入力軸22の回転を第1中間出力部材32よりも更に減速して伝達する第2中間出力部材34を含む4つの回転要素を備え、第2変速部186は、第1回転要素RE1乃至第4回転要素RE4の4つの回転要素を備えるので、前述の実施例と同様の効果が得られる。以下、本実施例の変速機234に関して、前記変速機192と相違する部分について説明する。
図78の共線図において、第1変速部198の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置194のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置196のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である第1前置遊星歯車装置194のリングギヤR1を、Y3が3つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置194のサンギヤS1及び第2前置遊星歯車装置196のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である第2前置遊星歯車装置196のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、同様に、この共線図の右側部分に示す第2変速部186の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順番に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3および第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置190のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素RE4に対応する第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3をそれぞれ表している。これら回転要素を基にすれば、図78に示す共線図は、前述した図75に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。また、共線図が前述の変速機230と同様であることから、その共線図に従い、図79に示される各変速段を成立させる際の係合要素および変速比を説明する作動表は、図76と同様となる。従って、変速機234は、前述の変速機230と同様に各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進10速段を実現させることができる。
図80は、本発明の更に別の実施例である変速機238の構成を説明する骨子図である。また、図81は、各ギヤ段における回転要素の回転速度を示す共線図であり、図82は、変速機238に予め定められた変速ギヤ段とそれらを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動との関係を示す係合作動表である。また、本実施例の変速機238は、前述の変速機200と同一の部材で構成されている。このため、第1変速部206は入力軸22の回転を減速して伝達する第1中間出力部材32及び該入力軸22の回転を第1中間出力部材32よりも更に減速して伝達する第2中間出力部材34を含む4つの回転要素を備え、第2変速部186は、第1回転要素RE1乃至第4回転要素RE4の4つの回転要素を備えるので、前述の実施例と同様の効果が得られる。以下、本実施例の変速機238に関して、前記変速機200と相違する部分について説明する。
図81の共線図において、第1変速部206の4本の縦線Y1乃至Y4は、左から順に、Y1が1つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置202のキャリヤCA1及び第2前置遊星歯車装置204のサンギヤS2を、Y2が2つめの回転要素である第1前置遊星歯車装置202のリングギヤR1を、Y3が3つめの回転要素である第2前置遊星歯車装置204のキャリヤCA2を、Y4が4つめの回転要素である相互に連結された第1前置遊星歯車装置202のサンギヤS1および第2前置遊星歯車装置204のリングギヤR2をそれぞれ表している。また、同様にこの共線図の右側部分に示す第2変速部186の4本の縦線Y5乃至Y8は、左から順番に、Y5が第1回転要素RE1に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置188のキャリヤCA3及び第2後置遊星歯車装置190のサンギヤS4を、Y6が第2回転要素RE2に対応する相互に連結された第1後置遊星歯車装置188のリングギヤR3および第2後置遊星歯車装置190のキャリヤCA4を、Y7が第3回転要素RE3に対応する第2後置遊星歯車装置190のリングギヤR4を、Y8が第4回転要素に対応する第1後置遊星歯車装置188のサンギヤS3をそれぞれ表している。これら回転要素を基にすれば、図81に示す共線図は、前述した図75に示す共線図と同様であるため、その説明を省略する。また、共線図が前述の変速機230と同様であることから、その共線図に従い、図82に示される各変速段を成立させる際の係合要素および変速比を説明する作動表は、図76と同様となる。従って、変速機238は、前述の変速機230と同様に各変速段におけるギヤ比のステップをバランスよく保ちながら前進10速段を実現させることができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例の変速機14等では、第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段、後進第1速ギヤ段、及び後進第2速ギヤ段というように、複数の変速段が成立させられるものであったが、それらの変速段のうち任意の変速段を用いて変速が実行されるものであってもよい。例えば、予め定められた第1速ギヤ段乃至第9速ギヤ段のうち何れか8つの変速段を用いて変速を行うものであってもよく、このようにすれば、前進8速の変速が実現される。また、後進第1ギヤ段及び後進第2ギヤ段のうち何れか一方を後進ギヤ段として用いる態様も当然に考えられる。
また、前述の実施例の変速機14等では、例えば図5に示すように、第1速ギヤ段乃至第5速ギヤ段の副変速段が成立可能に構成されたものであったが、必ずしもこれらの副変速段の全てが成立させられなくともよく、斯かる構成は車両の態様等に応じて適宜変更される。
また、前述の実施例の変速機14等では、前記エンジン10とトルクコンバータ20とはクランク軸12を介して直結されていたが、例えば、所定のギヤやベルト等を介して作動的に連結されたものであってもよく、更には必ずしも共通の軸心上に配置されなくてもよい。また、原動機として電動モータ等を備えたものであってもよい。
また、前述の実施例の変速機14等において、前記第1クラッチC1乃至第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のうちの何れかには、一方向クラッチが直列又は並列に設けられてもよい。このようにすれば、変速制御が容易となるという利点がある。また、前記第1クラッチC1乃至第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のうちの何れかが一方向クラッチに置換されてもよい。このようにしても、一応の変速が実現できる。
また、前述の実施例では、前記エンジン10と入力軸22との間に流体伝動装置としてロックアップクラッチ18付きのトルクコンバータ20が備えられていたが、このロックアップクラッチ18は必ずしも設けられていなくてもよい。また、前記トルクコンバータ20の代替として、フルードカップリング、磁粉式電磁クラッチ、多板式或いは単板式の
油圧クラッチが設けられていてもよい。
また、前述の実施例の共線図では、縦線Y1乃至Y8が左から右へ向かって順次配列されていたが、右から左へ向かって順次配列されるものでも構わない。また、回転速度「0」に対応する横線XZの上側に回転速度「1」に対応する横線X1が配置されていたが、横線XZの下側に配置されていてもよい。
また、前述の実施例では、係合要素として前記第1クラッチC1乃至第5クラッチC5、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2のように油圧式摩擦係合装置が設けられていたが、電磁クラッチや磁粉式クラッチ等の電磁式係合装置を用いたものであってもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
14、44、52、60、68、76、84、92、100、108、122、130、138、146、154、162、170、178、192、200、208、216、230、234、238:車両用多段変速機
16:トランスミッションケース(非回転部材)
22:入力軸(入力回転部材)
24、46、54、62、70、78、86、94、102、110、124、132、140、148、156、164、172、180、194、202、210、218:第1前置遊星歯車装置
26、48、56、64、72、80、88、96、104、112、126、134、142、150、158、166、174、182、196、204、212、220:第2前置遊星歯車装置
28、118、188:第1後置遊星歯車装置
30、120、190:第2後置遊星歯車装置
32:第1中間出力部材
34:第2中間出力部材
36:出力軸(出力回転部材)
38、50、58、66、74、82、90、98、106、114、128、136、144、152、160、168、176、184、198、206、214、222:第1変速部
40、116、186:第2変速部
B1:第1ブレーキ(第1ブレーキ要素)
B2:第2ブレーキ(第2ブレーキ要素)
C1:第1クラッチ(第1クラッチ要素)
C2:第2クラッチ(第2クラッチ要素)
C3:第3クラッチ(第3クラッチ要素)
C4:第4クラッチ(第4クラッチ要素)
C5:第5クラッチ(第5クラッチ要素)
CA1、CA2、CA3、CA4:キャリヤ
R1、R2、R3、R4:リングギヤ
S1、S2、S3、S4:サンギヤ
RE1:第1回転要素
RE2:第2回転要素
RE3:第3回転要素
RE4:第4回転要素