JP2006170378A - 配管継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】防音効果が高く、小型化に適した配管継手の提供を課題とする。
【解決手段】内部に水が流れる流水路Rを有する導水部、及び該導水部の端部に備えられ、配管部材を係合させるための複数の係合部を有するベース部材2と、発泡体より成り、ベース部材2の表面の少なくとも一部を覆い、導水部内部で発生した流水音を吸収する吸音体3と、吸音体3の表面を覆う阻止層8と、無発泡のポリウレタン樹脂より成り、流体状態で成形用の型に注入され、固体状態へと移行することで少なくとも阻止層8の表面を覆い、吸音体3を通過した流水音を遮断する遮音体4とを備え、阻止層8は、流体状態の遮音体4が吸音体3内部へと通過すること阻止することを特徴とする。遮音体4が無発泡のポリウレタン樹脂より成るため、高い遮音効果を有し、且つ阻止層8により吸音体3の吸音効果を高水準で保てる配管継手1が提供できる。
【選択図】 図1
【解決手段】内部に水が流れる流水路Rを有する導水部、及び該導水部の端部に備えられ、配管部材を係合させるための複数の係合部を有するベース部材2と、発泡体より成り、ベース部材2の表面の少なくとも一部を覆い、導水部内部で発生した流水音を吸収する吸音体3と、吸音体3の表面を覆う阻止層8と、無発泡のポリウレタン樹脂より成り、流体状態で成形用の型に注入され、固体状態へと移行することで少なくとも阻止層8の表面を覆い、吸音体3を通過した流水音を遮断する遮音体4とを備え、阻止層8は、流体状態の遮音体4が吸音体3内部へと通過すること阻止することを特徴とする。遮音体4が無発泡のポリウレタン樹脂より成るため、高い遮音効果を有し、且つ阻止層8により吸音体3の吸音効果を高水準で保てる配管継手1が提供できる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、配管継手に関し、特に継手内を流れる水によって発生する流水音の継手外への伝達を低減させることにより、防音性を向上させた配管継手に関するものである。
従来より、上下水などを送水する経路として利用される配管は、所定の長さの所謂パイプと称される直管型の配管部材を配管継手で接続することにより、建築物の大きさやレイアウトに応じて適宜配管されることが一般的である。ここで、配管継手としては、例えば直管型、エルボ型、T字型、Y型など多様な種類がある。
このような配管継手のうち、エルボ型等のように屈曲部を持つ配管継手では、内部に水が流れた場合には、曲がった部分に水が衝突して、比較的大きな流水音(水や、その他汚物などの固形物が配管内壁に衝突する際の衝突音を含む)が発生する。従って、こうした流水音などを効果的に防音して、より静かで快適な住空間を実現することが求められている。
配管継手に関する防音対策としては、水の通り道となるベース部材の外側の表面に、ベース部材内部で発生した流水音の外部への伝達を防止する防音材を配置することが一般的であり、防音材は、流水音を吸収する吸音体と、吸音体で吸収しきれなかった音をベース部材内部に閉じ込めて外部への伝達を遮断する遮音体とから構成される。このような防音材を備えた配管継手の例としては、例えば特許文献1に示すように、射出成形などにより成形された塩化ビニル樹脂を遮音体とし、この遮音体を、ベース部材の表面との間に所定の間隙を形成するように配置し、間隙内に発泡ポリウレタン樹脂を注入して吸音体を形成させた構成が知られている。また、特許文献2に示すように、ベース部材の表面に吸音体である発泡体を巻きつけ、さらに、吸音体の表面に、発泡ポリウレタン樹脂より成る遮音体を注入して一体形成させる方法も知られている。
特開2003−65483号公報
特開2000−249283号公報
しかし、特許文献1の方法によれば、吸音体である発泡ポリウレタン樹脂には高い吸音効果があるものの、遮音体である塩化ビニル樹脂の遮音効果が十分ではなかった。そのため、満足のいく防音効果を得ようとすると、遮音効果を向上させるために遮音体の厚みを増大させるか、もしくは遮音効果の不足を補うために吸音体の厚みを増大させるなどの必要が生じ、配管継手が大型化・高コスト化するという問題があった。
これに対し、特許文献2の方法によれば、塩化ビニル樹脂よりも遮音効果の大きいポリウレタン樹脂を遮音体として適用することで、比較的防音性の高い配管継手を実現する方法が開示されている。しかし、この方法によれば、遮音体であるポリウレタン樹脂が型内に注入されて発泡する際に、吸音体であるポリウレタン樹脂の気泡を押し潰してしまい、吸音効果が低減するという問題があった。従って、吸音効果を損なわず、且つ遮音効果も高い防音材を備える配管継手の実現が望まれていた。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、防音効果が高く、小型化が可能な配管継手の提供を課題とする。
本発明にかかる配管継手は、「内部に水が流れる導水部、及び該導水部の端部に備えられ、配管部材を係合させるための複数の係合部を有するベース部材と、発泡体より成り、前記ベース部材の表面の少なくとも一部を覆い、前記導水部内部で発生した流水音を吸収する吸音体と、該吸音体の表面を覆う阻止層と、無発泡のポリウレタン樹脂より成り、流体状態で成形用の型に注入され、固体状態へと移行することで少なくとも前記阻止層の表面を覆い、前記吸音体を通過した流水音を遮断する遮音体とを備え、前記阻止層は、前記流体状態の遮音体が前記吸音体内部へと通過することを阻止する」ものである。
本発明の配管継手によれば、比較的遮音効果に優れる無発泡のポリウレタン樹脂より成る遮音体を備えることから、吸音体を通過した流水音を効果的に遮断することができる。また、無発泡のポリウレタン樹脂が適用されていることにより、発泡体より成る吸音体の気泡が遮音体の発泡圧によって押し潰されることも無いため、吸音体の吸音効果を比較的高い水準で保つことができる。従って、吸音体または遮音体を大型化することなく高い防音効果を有する防音材が実現できるため、小型化に適した配管継手を提供できる。
ところで、無発泡のポリウレタン樹脂より成る遮音体を、射出成形によって吸音体の表面に形成させた場合は、発泡ポリウレタン樹脂のような発泡体の発泡圧によって吸音体の気泡が押し潰される問題は解決できるものの、射出時の圧力によって、無発泡のポリウレタン樹脂の一部が発泡体中の気泡内へと流れ込んでしまう虞があった。この問題に鑑み、本発明の配管継手によれば、吸音体の表面に阻止層が備えられていることにより、流体状態の無発泡ポリウレタン樹脂が、吸音体である発泡体の気泡内へと流れ込み難くなる。従って、より確実に防音性の高い配管継手を提供できる。
一方、本発明の配管継手において、「前記ベース部材の前記係合部の外径は、前記導水部の外径よりも大きく設定され、前記吸音体は、前記ベース部材の前記導水部の表面のみを被覆し、前記遮音体は、前記阻止層の表面及び前記ベース部材の前記係合部の表面を被覆している」ものとすることができる。
一般的に、配管継手のベース部材における係合部の内径は、導水部の内径よりも大きく設定されている。これにより、係合部と導水部との境界部分に、内径の差分に応じた段差を生じさせ、この段差の端面に配管部材の端部を押し当てることで、配管部材の挿入位置を位置決めできるよう構成されている。また、配管部材の内部を流れる水が、円滑に配管継手内を通過できるようにするために、導水部の内径と配管部材の内径とが略等しく設定されている場合もあり、こうした場合には、係合部の外径は、配管部材の厚みの分、導水部の外径より大きく設定されている。
このようなベース部材において、係合部の表面には吸音体を被覆させず遮音体のみを被覆させることにより、係合部における防音材の厚みが、吸音材の厚み分薄くなる。従って、配管継手の係合部のサイズを比較的小型化することができる。また、配管継手全体の外周面を段差の無い滑らかな形状にするために、導水部の遮音体の厚みが、最も径の大きい係合部に合せて設定されている場合もある。こうした場合には、導水部の遮音体の厚みが、必要十分な遮音効果を生じさせるために必要とされる厚みよりも分厚く形成されていることもあるが、本発明の構成によれば、係合部が小型化することに伴い、導水部の遮音体の厚みも、必要十分な厚みのみに薄く設定できるため、配管継手全体を小型化することが可能となる。
また、本発明の構成によれば、遮音体は、阻止層の表面に加えて、ベース部材の係合部の表面も被覆している。従って、例えば特許文献2に示すような、吸音体と遮音体との端面位置が略等しいような場合に比べて、比較的長い距離(係合部の長さ分)で吸音体の端面を被覆しており、吸音体の端面から放射される流水音を確実に遮断する。これにより、比較的簡単な構成を用いて、遮音効果の高い配管継手を提供できる。
このように、本発明の配管継手によれば、無発泡のポリウレタン樹脂より成る遮音体を備えることにより、比較的高い遮音効果を得ることができる。さらに、無発泡であることにより、発泡体である吸音体の吸音効果を損なうことも無いため、高い吸音効果を得ることも可能である。従って、防音材を大型化することなく高い防音効果を得ることができるため、小型化に適した配管継手を提供できる。
以下、本発明の実施形態である配管継手について、図1乃至図3に基づき説明する。図1は、本発明の配管継手を導水部の部分で切断した状態を示す斜視図であり、図2は、配管継手を構成するベース部材に対して吸音体を貼着させる説明図であり、図3は、遮音体の形成方法を説明する導水部の断面図である。
図1に示すように、本発明の配管継手1は、ベース部材2と、吸音体3と、阻止層8と、遮音体4とから構成される。ベース部材2は、水を流すための流水路Rが内部に形成された中空体であり、各種の形状が存在するが、本例においては全体として約90度に湾曲したエルボ形状を呈している。材質としては、硬質塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びポリブテン系樹脂等が適宜に適用されている。構成としては、図2(a)に示すように、配管部材を挿入して係合させる係合部5と、内部に水を流す部位である導水部6とから構成されており、係合部5の外径は、導水部6の外径よりも大きく設定されている。
吸音体3は、流水路R内で発生した流水音を吸収して、外部への伝達を防止するものであり、発泡層7と粘着層9とが一体的に形成されている。吸音体3は、より詳細には、図2(a)に示すように、所定の形状に立体裁断され、ベース部材2の導水部6の表面を隙間無く被覆するよう構成されている。発泡層7の材質としては、発泡性ポリウレタン系樹脂、または発泡性ポリエチレン系樹脂等、流水音を吸収するための気泡を多く内包する発泡体であれば特に限定されるものではないが、本例においては、発泡密度37kg/m3、引張強度2.5N/cmなどの物性を有する発泡性ポリウレタン系樹脂が適用されている。粘着層9は、発泡層7をベース部材2に対して貼着させるものであり、発泡層7の裏面に備えられていることが好ましく、公知の粘着手段(ゴム系粘着剤や、アクリル酸エステル等のアクリル系粘着剤等)を用いて構成されている。特に、本実施形態においては、ベース部材2に対して動かない程度に貼着することができ、且つ貼着した際の位置ずれ等を補正可能とするために剥離が可能な程度の粘着力(すなわち、強すぎず弱すぎないような粘着力)を有する粘着層9が選択されている。
阻止層8は、流体状態の遮音体4(後述する)が、発泡層7の気泡内に浸透するのを阻止するものであり、発泡層7の表面側(遮音体4と接する面)に備えられ、吸音体3と略等しい形状を呈している。材質としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはポリエチレンテレフタレート(所謂PET)など、比較的薄手で透湿性の低いものを適用すると、流体状態の遮音体4の浸透を効果的に阻止できるためより好ましい。厚みとしては、本例では約30μm程度のものが適用されているが、これに限定されるものではなく、流体状態の遮音体4の浸透を阻止できるだけの厚みを有するものであれば、如何なる厚みであっても良い。
遮音体4は、吸音体3を通過した流水音を遮断し、流水音の外部伝達を遮断するものであり、無発泡のポリウレタン樹脂より形成され、阻止層8の表面及びベース部材2の係合部5の表面(以下、表面Hという)を被覆している。なお、ポリウレタン樹脂とは、ウレタン結合を有する樹脂の総称であり、ウレタン結合は、イソシアネート基と水酸基などの活性水素を有する化合物との付加反応により生成される。ここで、本発明の遮音体4を構成する無発泡のポリウレタン樹脂を生成させる化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばイソシアネート基を持つ化合物としてトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが例示でき、水酸基を2個以上含有する化合物(ポリオール)として、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールが例示できる。なお、無発泡のポリウレタン樹脂を生成させる際に、公知の顔料や難燃剤、充填剤など適宜の添加剤を添加すると、遮音体4を着色したり、難燃性を付加させたり、遮音効果を高めることができるため、より好ましい。また、樹脂の性質として、熱を加えると軟化する熱可塑性のものと、熱を加えると硬化する熱硬化性のものとが存在するが、本実施形態の遮音体においては、熱硬化性の樹脂が例示されている。
続いて、本発明の実施形態である配管継手1の製造方法について、図1乃至図3に基づき説明する。まず、阻止層8を、吸音体3の表面に対して貼着させた後、図2に示すように、吸音体3の粘着層9を、ベース部材2の導水部6に対して貼着させる(図2(a))。次いで、導水部6の表面を隙間無く被覆させ(図2(b))た後、図3(a)に示すように、吸音体3及び阻止層8を貼着させたベース部材2を、図略のジグで固定して成形金具10内に配置する。
なお、成形金具10は、上型11と下型12とを備え、吸音体3及び阻止層8を巻きつけたベース部材2を内包した状態で、表面Hとの間に所定の間隙Kを形成するよう構成されている。間隙Kは、遮音体4(図1参照)を形成するための空間であり、必要とされる防音特性に応じた遮音体4の厚みに準じて適宜設定されている。成形金具10が、本発明の成形用の型に該当する。
次に、ポリオールとイソシアネートとを混ぜ合わせて撹拌し、間隙K内に滞留する空気層を押し出しながら、間隙K内に注入する。そして、図3(b)に示すように、前述の撹拌した混合物を間隙K内に充填させた後、上型11及び下型12に夫々設けられている加熱液体用通路13に熱湯を流し入れ、成形金具10を加熱する。これにより、ポリオールとイソシアネートとの化学反応が促進されて硬化し、表面Hの外周に無発泡のポリウレタン樹脂より成る遮音体4が形成される。そして、一定時間経過後、上型11または下型12を取り外して脱型させることで、図1に示すような配管継手1が得られる。
次に、本実施形態の配管継手1の防音効果に関する実験結果について、表1及び図4に基づき説明する。表1は、本実施形態の配管継手1を含む等価騒音レベルの測定結果表であり、図4は、表1で求めた等価騒音レベルの周波数毎の分布を示すグラフである。
本発明の実施形態における配管継手1(図1参照)の防音効果を測定するために、以下の条件で実験を行った。すなわち、約3m(平均的な一般住宅の二階建ての高さを想定)の垂設された配管部材の下端に、本実施形態の配管継手1(図1参照)の一端側を接続し、他端側に約4mの配管部材を、水平方向へと接続した。そして、垂設された配管部材の頂上部から、9リットルの水を流し込み、配管継手で発生する5秒間の等価騒音レベルを測定した。なお、9リットルの水とは、水洗トイレで使用される一回分の流水量を想定したものである。また、測定に用いられた測定器は、リオン製の1/3オクターブバンドアナライザーNA−27であり、配管継手から60mmの地点に設置された。
等価騒音レベルとは、時間的に変動する場合の騒音レベルを定量的に把握するための数値であり、ある一定の測定時間T内の騒音の全エネルギーをTで割った時間平均値における騒音レベルを表したものである。従って、この値が小さいほど、騒音が少なく静かであるといえる。なお、騒音レベルとは、人間が実際に感じる音の大きさを数値化したものであり、物理量としての音のエネルギー量(音圧という)を対数で表したもの(音圧レベルという)に人間の感覚に応じた補正を加えて求められる。具体的には、騒音レベルは式1のように表され、等価騒音レベルは式2のように示される。
以上の条件のもと、試料A(本発明品)、試料B(吸音体3、阻止層8、及び遮音体4無しの防音対策非実施品)、試料C(阻止層8無しの参考品)、試料D(特許文献2の同構造品)に関して等価騒音レベルを求め、表1に結果をまとめた。
また、表1で求めた等価騒音レベルの具体的な性質について、人間の可聴周波数内における各周波数毎の騒音レベルを分析し、図4のような結果が得られた。
表1に示すように、試料Aは、試料B乃至試料Dに比べ、最も防音効果に優れることが実証された。試料A乃至試料Cを比較すると、防音対策が全く施されていない試料Bに比べ、吸音体3及び遮音体4の備えられている試料Cの方が防音効果が高いことが分かる。さらに、阻止層8の備えられていない試料Cと、本発明品である試料Aとの防音効果を比較することで、阻止層8を備えることによって生じる優れた防音効果も実証された。また、試料Aは、図4に示すように、人間の可聴周波数のうち比較的低周波領域(200Hz〜2000Hz)で騒音レベルが低く、特に、音圧と騒音レベルとが略一致していると云われる1000Hz付近において防音性が高いことが示されている。このことは、配管継手1内で発生する流水音などのうち、汚物のような固形物が配管継手1の内壁に衝突することで発生させる衝突音(125〜250Hz)を効果的に遮断できることを示している。なお、比較的高周波である5000Hz以上の周波数領域においては、試料Dの防音性が高いことが示されているが、こういった高周波数の領域では人間の耳の感度が低下すること、また、低周波領域の音の持つエネルギーは、高周波領域の音の持つエネルギーに比べて大きいこと等に起因し、時間平均値における等価騒音レベルでは試料Aの方が防音性に優れている結果となっている。
以上のように、本例の配管継手1によれば、遮音体4が無発泡のポリウレタン樹脂であることにより、発泡圧によって吸音体3の気泡を押し潰すことが無く、高い吸音効果が維持される。また、遮音体4が比較的高い遮音効果を有するため、吸音体3を通過した流水音を効果的に遮断できる。特に、人の可聴周波数のうち、音の持つエネルギーが比較的高い低周波数寄りの領域において効果的に騒音レベルを低減でき、防音性に優れる配管継手1を提供できる。さらに、防音性に優れることにより、防音材を大型化する必要も無いため、小型化に適した配管継手1が提供できる。
また、吸音体3を導水部6の表面のみに配置させ、遮音体4を吸音体3及び係合部5の表面に配置することにより、係合部5の防音材の厚みを薄くできる。さらに、配管継手1全体の外周面を段差の無い滑らかな形状にする場合においても、導水部6の遮音体4の厚みを、遮音効果上必要最小限な厚みへと近づけて薄くできる可能性があるため、配管継手1全体を小型化することも可能となる。
また、遮音体4が流体状態を経て吸音体3の表面に配置される場合であっても、発泡層7の表面に阻止層8が備えられているため、遮音体4の通過を阻止し、発泡層7内に流入させない。従って、より確実に、高水準の吸音効果が維持された配管継手1を提供できる。さらに、発泡層7の裏面に粘着層8が有ることにより、ジグなどの固定手段を用いることなく、簡単且つ確実に吸音体3を貼着することができ、生産性に優れる配管継手1を提供できる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更が可能である。
上記実施形態においては、ベース部材2の材質として、合成樹脂を用いるものを例示したが、これに限定されるものではなく、金属や合成樹脂の表面に金属メッキを施したものであっても良い。但し、本実施形態のように、塩化ビニル系の合成樹脂を適用すると、耐久性に優れ、且つ軽量であるため取り付け作業も容易な配管継手1が提供できるため、より好ましい。
また、上記実施形態においては、吸音体3は、図2(a)に示すように立体裁断された形状としたが、この形状に限定されるものではなく、半割状等ベース部材2の表面を被覆できるものであればどのような形状であっても良い。また、立体裁断された吸音体3をベース部材2の表面に巻きつけて配置させる構成に限定されるものではなく、例えば、本実施形態において遮音体4を配置させた手法を応用し、ベース部材2の表面との間に所定の間隙を形成するような金型を用いた所謂注型成形法を用いて配置させても良いし、熱可塑性のポリウレタン樹脂を適用して比較的高圧の射出圧を有する射出成形法を用いても良い。要するに、内部に気泡を有する発泡体をベース部材2の表面に配置できるものであれば、如何なるものであっても良い。
また、上記実施形態においては、遮音体4は、熱硬化性の無発泡ポリウレタン樹脂を例示したが、熱を加えて軟化させ、冷やして硬化させる熱可塑性の無発泡ポリウレタン樹脂を適用しても良い。なお、熱可塑性樹脂を適用する場合は、ベース部材2の表面に配置する方法として、比較的高圧の射出圧を有する射出成形法が用いられる。さらに、上記実施形態においては、吸音体3をベース部材2の表面に配置した後に、遮音体4を形成する方法を例示したが、遮音体4を形成した後に、注入などの方法により吸音体3を配置する構成としても良い。但し、本実施形態のように、吸音体3の表面に遮音体4を配置する構成とすると、吸音体3の材質を選択する自由度が高く、且つ比較的簡単な方法を用いて吸音体3を配置できるため、より好ましい。
また、上記実施形態においては、吸音体3の裏面、すなわちベース部材2の表面と接する側の面には粘着層9が備えられている構成としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、ベース部材2の表面に公知の粘着物(両面テープなど)を配置し、その表面に発泡層7のみから構成される吸音体3を貼着させる構成としても良いし、粘着層9を設けない構成としても良い。但し、本実施形態のように構成すれば、吸音体3の粘着層9をベース部材2に押し当てるだけで、テープなどで仮留めしたり、ジグで固定することなく吸音体3をベース部材2に固定することができる。これにより、ベース部材2に貼着された吸音体3が、ずれたり剥がれたりし難く、比較的生産性の高い配管継手1を提供できるため、より好ましい。
1 配管継手
2 ベース部材
3 吸音体
4 遮音体
5 係合部
6 導水部
8 阻止層
10 成形金具(成形用の型)
2 ベース部材
3 吸音体
4 遮音体
5 係合部
6 導水部
8 阻止層
10 成形金具(成形用の型)
Claims (2)
- 内部に水が流れる導水部、及び該導水部の端部に備えられ、配管部材を係合させるための複数の係合部を有するベース部材と、
発泡体より成り、前記ベース部材の表面の少なくとも一部を覆い、前記導水部内部で発生した流水音を吸収する吸音体と、
該吸音体の表面を覆う阻止層と、
無発泡のポリウレタン樹脂より成り、流体状態で成形用の型に注入され、固体状態へと移行することで少なくとも前記阻止層の表面を覆い、前記吸音体を通過した流水音を遮断する遮音体とを備え、
前記阻止層は、前記流体状態の遮音体が前記吸音体内部へと通過することを阻止する
ことを特徴とする配管継手。 - 前記ベース部材の前記係合部の外径は、前記導水部の外径よりも大きく設定され、
前記吸音体は、前記ベース部材の前記導水部の表面のみを被覆し、
前記遮音体は、前記阻止層の表面及び前記ベース部材の前記係合部の表面を被覆している
ことを特徴とする請求項1に記載の配管継手。
Priority Applications (1)
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JP2004366548A JP2006170378A (ja) | 2004-12-17 | 2004-12-17 | 配管継手 |
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JP (1) | JP2006170378A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2486398C1 (ru) * | 2010-10-21 | 2013-06-27 | Раккор Э Пластик Николл | Звукоизолирующее колено трубопроводов для транспортировки текучих сред |
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2004
- 2004-12-17 JP JP2004366548A patent/JP2006170378A/ja active Pending
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