JP2006170069A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

【課題】等馬力制御によりスロットル開度を設定する場合であっても、制御プログラムが複雑化せず、簡単に対応できるようにする。
【解決手段】仮想アクセル開度演算部22は、アクセル開度センサ15で検出したアクセル開度θaccとエンジン回転数センサ14で検出したエンジン回転数Neとに基づいて、自動変速機3で設定する変速比の変化に拘わらず一定のアクセル開度θaccに対して一定の馬力を得ることのできる仮想アクセル開度θkを設定し、目標スロットル開度演算部23は、仮想アクセル開度θkに基づいて目標スロットル開度θthoを設定し、スロットル開度フィードバック制御部25は、スロットル開度センサ10で検出した実スロットル開度θthと目標スロットル開度θthoとに基づき、実スロットル開度θthが目標スロットル開度θthoに収束するようにスロットル弁8の開度をフィードバック制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、主に変速時に発生する変速ショックを緩和するエンジンの制御装置に関する。
従来、自動変速機付車両においては、所定の変速パターンにより自動変速機の変速段がアップシフト或いはダウンシフトすることで変速制御が行われる。自動変速機の変速制御に際しては、出力トルクが変化するため変速ショックが発生し易い。従って、変速時においては、出力トルクを一時的に低下させて変速ショックを緩和するトルク制御が多く採用されている。
変速ショックを緩和するためのトルク制御は、例えば特許文献1(特開平5−263911号公報)や特許文献2(特開平6−129273号公報)に開示されている。
特許文献1には、変速時における点火時期を通常の点火時期よりもリタードさせて出力トルクを低下させることで、出力トルクを一時的に低下させる技術が開示されている。又、特許文献2には、変速時における電子制御スロットルの開度を一時的に閉方向へ回動させて吸入空気量を絞り、駆動トルクの変動を抑制し、変速後はスロットル開度を若干多めに開いて出力トルクの落ち込みを防止する技術が開示されている。
しかし、このようなトルク制御は、変速ショックを緩和することはできるが、発進後の加速運転等、アクセルペダルの踏込み量を一定にする、等アクセル開度状態での加速変速(アップシフト)においては、出力トルクを一時的に低下させることで、エンジン回転数に落ち込み、その分エンジン出力に落ち込みが生じるので、運転者に加速不足感を与えてしまうことになる。
この対策として、等アクセル開度の状態でアップシフトした場合であっても、変速時の変速比に拘わらず加速度が一定となるように、アクセル開度に応じて一定のエンジン出力となるような制御(等馬力制御)を行う技術が種々提案されている。
等馬力制御は、エンジン回転数とエンジントルクとの積が一定とるなるように制御するので、変速後、エンジン回転数が低下しても、その低下分だけトルクが増加されるため、理論的には一定アクセル開度においては変速比の変化に関係なく一定の加速度を維持することが可能となる。
特開平5−263911号公報 特開平6−129273号公報
ところで、上述した等馬力制御は、トルク制御を用いて実現するのが一般的であるが、等馬力制御をトルク制御で実現するためには、先ず、トルク主導型のエンジン制御を構築する必要があり、従って、制御プログラムが複雑化する問題がある。
更に、エンジンの種類毎に最適なROM定数を設定する必要があるため、車両適合値が増大し、開発コストが高くなる問題がある。
本発明は、上記事情に鑑み、簡単な制御プログラムで対応することができ、ソフトウエア開発工数、及びROM定数の車両適合値工数を減少させることのできるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明によるエンジンの制御装置は、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、吸入空気の流量を電子的に制御する吸気制御手段と、エンジン出力を、選択された変速比で変速した後出力する変速機と、上記アクセル開度と上記エンジン回転数とに基づき、上記変速比の変化に拘わらず一定のアクセル開度に対して一定の馬力を得ることのできる仮想アクセル開度を設定する仮想アクセル開度演算部と、上記仮想アクセル開度に基づいて吸気制御手段の開度目標値を設定する目標開度演算部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、等馬力制御によりスロットル開度を設定する場合であっても、制御プログラムが複雑化せず、簡単な制御プログラムで対応することができ、ソフトウエア開発工数、及びROM定数の車両適合値工数を減少させることができる。
以下、図面に基づいて本発明の一形態を説明する。図1にエンジン制御装置の概略構成図を示す。
同図の符号1はエンジンで、このエンジン1の出力側に、トルクコンバータ2を介して自動変速機3が連設されている。エンジン1からの出力は、トルクコンバータ2の流体を介し、或いはクラッチ手段としてのロックアップクラッチが締結されたロックアップ締結状態のときは、エンジン1と自動変速機3とが直結状態となるためトルクコンバータ2の流体を介さずに、ロックアップクラッチを介して自動変速機3に伝達され、この自動変速機3で所定の変速比に変速された後、出力軸4から後輪或いは前輪等の駆動輪側へ動力が伝達される。
エンジン1の吸気ポート(図示せず)に連通する吸気通路5の中途に電子制御スロットル装置(ETC)6が配設されている。図2に示すようにETC6は、吸気通路5に連通するスロットルボディ7に併設されている吸気制御弁としてのスロットル弁8を有し、このスロットル弁8の一端が、電動モータ等からなるスロットルモータ9に連結され、他端にポテンショメータ等からなる吸気制御弁開度検出手段としてのスロットル開度センサ10が連設されている。
スロットルモータ9は、後述するエンジン制御ユニット(ECU)11からの駆動信号にて駆動され、スロットル弁8が所定に開弁される。そして、吸気制御弁開度としてのスロットル開度がスロットル開度センサ10で検出されてECU11へ出力される。
又、自動変速機3には遊星歯車等で構成された変速機構が内装されていると共に、この変速機構を適宜駆動させるクラッチやブレーキ等から成る摩擦締結要素、及びトルクコンバータ2に設けられているロックアップクラッチを、選択的に開放或いは締結動作させるコントロールバルブユニット12が併設されている。このコントロールバルブユニット12に対する駆動信号は、後述するトランスミッション制御ユニット(TCU)13からの駆動信号にて駆動される。
ECU11、及びTCU13は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータ等を代表とする通常のコンピュータであり、両ユニット11,13がバスラインを介して双方向通信自在に接続されている。又、ECU11の入力側には、上述したスロットル開度センサ10以外に、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数検出手段としてのエンジン回転数センサ14、アクセルペダル(図示せず)の踏込み量であるアクセル開度θaccを検出するアクセル開度検出手段としてのアクセル開度センサ15、エンジン温度の代表である冷却水温Twを検出する冷却水温センサ16等、エンジン運転状態を検出するセンサ類が接続されている。又、ECU11の出力側に、図示しない燃料噴射装置のインジェクタ、点火装置のイグナイタ、及びETC6に設けられているスロットルモータ9等、エンジンを制御するアクチュエータ類が接続されている。
一方、TCU13の入力側に、トルクコンバータ2に設けられているタービン軸の回転数(タービン回転数)Ntを検出するタービン回転数センサ17、出力軸4の回転数から車速Sを検出する車速センサ18等、車両の運転状態を検出するセンサ類が接続されている。又、このTCU13の出力側に、コントロールバルブユニット12に設けられている各アクチュエータが接続されている。
ECU11で実行されるスロットル開度制御は、基本的には、アクセル開度センサ15で検出したアクセル開度θaccに従い目標スロットル開度θthoを設定し、スロットル弁8の開度(スロットル開度)が目標スロットル開度θthoとなるように、スロットル開度センサ10で検出したスロットル開度θthに基づいて、スロットルモータ9に対する出力値をフィードバック制御する。
図3に、ECU11で実行されるスロットル開度制御の機能ブロック図を示す。同図に示すように、ECU11は、アクセル開度センサ15で検出したアクセル開度θaccのアナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換器21と、スロットル開度センサ10で検出した実スロットル開度θthをアナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換器24とを備えている。更に、ECU11は、スロットル開度制御を行う機能として、仮想アクセル開度θkを設定する仮想アクセル開度演算部22、目標スロットル開度θthoを設定する、目標開度演算部としての目標スロットル開度演算部23、実スロットル開度θthを目標スロットル開度θthoに収束させるフィードバック補正値θλを設定し、実スロットル開度θthをフィードバック補正値θλで補正して最終スロットル開度θeを設定し、それに対応する駆動信号Veを出力するスロットル開度フィードバック制御部25を備えている。
すなわち、仮想アクセル開度演算部22は、アクセル開度センサ15で検出したアクセル開度θaccとエンジン回転数Neとに基づき仮想アクセル開度マップを参照して、仮想アクセル開度θkを設定する。ところで、仮想アクセル開度マップは、トルクコンバータ2のロックアップクラッチが締結されているロックアップ締結時に参照するロックアップ時仮想アクセル開度マップと、ロックアップクラッチが開放されている変速時に参照するロックアップ開放時仮想アクセル開度マップとを有している。尚、両仮想アクセル開度マップの特性については後述する。
又、目標スロットル開度演算部23は、仮想アクセル開度演算部22で設定した仮想アクセル開度θkに基づき目標スロットル開度テーブルを参照して、目標スロットル開度θthoを設定する。尚、この目標スロットル開度テーブルの特性については後述する。
そして、スロットル開度フィードバック制御部25は、スロットル開度センサ10で検出した実スロットル開度θthと、目標スロットル開度演算部23で設定した目標スロットル開度θthoとに基づき、実スロットル開度θthを目標スロットル開度θthoに収束させるフィードバック補正値θλを設定する。そして、実スロットル開度θthをフィードバック補正値θλで補正し、最終スロットル開度θeを設定し、この最終スロットル開度θeに対応する駆動信号Veをスロットルモータ9へ出力し、スロットルモータ9の駆動によりスロットル弁8を所定に開弁させる。
上述した仮想アクセル開度演算部22、及び目標スロットル開度演算部23での処理は、具体的には図4、図5に示す目標スロットル開度設定ルーチンに従って行われる。このルーチンは、イグニッションスイッチをONした後、所定演算周期毎に実行され、先ず、ステップS1で、アクセル開度センサ15で検出したアクセル開度θaccを読込む。
次いで、ステップS2で、ロックアップ時仮想アクセル開度マップとロックアップ開放時仮想アクセル開度マップとを切替えるタイミングを調べる。ロックアップクラッチがロックアップからロックアップ開放状態へ切り替わる時期、或いはその逆の時期を判定するに際しては、TCU13から出力されるロックアップ締結或いはロックアップ開放を指示するロックアップ信号(以下「目標ロックアップ信号」と称する)をトリガとする場合と、ロックアップクラッチが実際にロックアップ締結或いはロックアップ開放を検出したとき出力される信号(以下「実ロックアップ信号」と称する)をトリガとする場合とが考えられる。
TCU13から出力される目標ロックアップ信号は、車速S、実スロットル開度θth、変速比(変速段)等をパラメータとして設定される。又、ロックアップクラッチが実際に締結されたか否かは、エンジン回転数Neと出力軸回転数としてのタービン回転数Ntとを比較し、その差回転から、Ne−Nt=0、すなわち、Ne=Ntとなったときロックアップと判定し、又、Ne>Ntとなったときロックアップ開放と判定し、その切り替わり時に実ロックアップ信号が出力される。
TCU13から目標ロックアップ信号が出力される時間と、実ロックアップ信号が出力される時間との間には、ある時間差(ディレイ)がある。従って、仮想アクセル開度θkを、目標ロックアップ信号をトリガとして設定する場合はフィードフォワード的な設定となり、一方、実ロックアップ信号をトリガとして設定する場合はフィードバック的な設定となる。
ロックアップ時仮想アクセル開度マップとロックアップ開放時仮想アクセル開度マップとを切替えるタイミングを、目標ロックアップ信号をトリガとするか、実ロックアップ信号をトリガとするかは、車種毎に設定されているロックアップ状態の検出方法や検出制御仕様によりに相違する。又、何れを採用するかは、各車両のエンジン制御システムや駆動系によっても特性が相違するため、車種毎に適した方を選択する。
そして、当該車両が目標ロックアップ信号をトリガとして仮想アクセル開度マップを切替えるように設定される場合は、ステップS3へ進み、又、実ロックアップ信号をトリガとして仮想アクセル開度マップを切替えるように設定されている場合は、ステップS4へ進む。
ステップS3では、ロックアップフラグFlocを目標ロックアップフラグFmoの値で更新する(Flco←Fmo)。一方、ステップS4では、ロックアップフラグFlocを実ロックアップフラグFjtの値で更新する(Fico←Fji)。目標ロックアップフラグFmoは、目標ロックアップ信号がロックアップ開放を指示しているときクリアされ(Fmo←0)、ロックアップ締結を指示しているときセットされる(Fmo←1)。一方、実ロックアップフラグFjtは、実ロックアップ信号がロックアップ開放を検出しているときクリアされ(Fjt←0)、ロックアップ締結を検出しているときセットされる(Fjt←1)。
そして、ステップS3或いはS4からステップS5へ進むと、ロックアップフラグFlocの値を参照し、Floc=0のロックアップ開放のときはステップS6へ進み、ロックアップフラグFlocの値が、1→0に切り替わったときから経過時間(ロックアップ開放後ディレイ時間)Tdoが経過したか否かを調べ、ロックアップ開放後ディレイ時間Tdoが経過していないときは、ステップS9へジャンプする。又、ロックアップ開放後ディレイ時間Tdoが経過したときは、ステップS7へ進む。
例えばロックアップフラグFlocが、目標ロックアップフラグFmoの値に基づいて設定されている場合、ロックアップフラグFlocの値が1→0に切り替わった時間と、ロックアップクラッチが実際に開放された時間との間には、ある時間差がある。従って、ロックアップフラグFlocの値が1→0に切り替わったときからロックアップクラッチが実際に開放されるまでの過渡状態は、ロックアップ後仮想アクセル開度マップを継続して参照させることで、仮想アクセル開度マップの切替え時期をロックアップクラッチが実際に開放される時間に同期させる。
その際、ロックアップ開放後ディレイ時間Tdoは、予め設定した一定値であっても良いが、例えばロックアップクラッチが油圧式アクチュエータにより締結/開放動作される場合、ロックアップフラグFlocの値が1→0に切り替わった時間からロックアップクラッチが実際に開放されるまでの過渡時間は、変速機オイルの粘性によって異なる。従って、このような場合は、ロックアップ開放後ディレイ時間Tdoを変速機オイルの粘性に応じて可変設定することで、ロックアップクラッチが実際に開放される時期と、仮想アクセル開度マップの切替え時期とを、より高い精度で同期させることができる。尚、ロックアップ開放後ディレイ時間Tdoを設定するに際しては、変速機オイルの温度を直接検出しても良いが、エンジン1に併設されている既存の冷却水温センサ16を用い、この冷却水温センサ16で検出した冷却水温Twで代用することも可能である。既存の冷却水温センサ16を用いることで、部品の共用化が実現でき、製品コストの高騰を抑制することができるばかりでなく、高い汎用性を得ることができる。
図6に冷却水温Twをパラメータとしてロックアップ開放後ディレイ時間Tdoを設定する際に参照するロックアップ開放後ディレイ時間テーブルを示す。同図に示すように、ロックアップ開放後ディレイ時間Tdoは冷却水温Twが低くなるに従いディレイ時間が次第に長くなるように設定されており、又、冷却水温Twが、変速機オイルの粘性が安定する温度に達したときは、ロックアップ開放後ディレイ時間Tdoも一定値に固定される。この場合、ロックアップクラッチはロックアップ開放方向にばねで付勢されているので、ロックアップクラッチを締結させる際の過渡時間よりも早期に開放させることができるため、ロックアップ開放後ディレイ時間Tdoは全体的に短い時間に設定されている。
尚、ロックアップフラグFlocが、実ロックアップフラグFjtの値に基づいて設定されている場合、ロックアップフラグFlocの値が1→0に切り替わった時間と、ロックアップクラッチが実際に開放された時間とは、ほぼ同時であるため、ステップS6での処理は省略し、ステップS5からステップS7へジャンプするようにしても良い。
そして、ステップS7へ進むと、アクセル開度θaccとエンジン回転数Neとに基づき、図8に示すロックアップ開放後仮想アクセル開度マップを補間計算付で参照して、仮想アクセル開度θkを設定する。ロックアップ開放状態は、主に発進時や発進後の加速運転領域にあるため、アクセル開度θaccに応じて等しいエンジントルク(等トルク)になるような仮想アクセル開度θkに設定することで、アクセル開度θaccに応じたリニアな加速を実現することができる。
従って、図8に示すように、エンジン回転数Neがある程度高い領域では、ロックアップ開放後に、等馬力(エンジン回転数×エンジントルク=一定)を実現しても、大きな加速度が発生することはないので、ロックアップ開放後仮想アクセル開度マップはエンジン回転数Neが低い領域では等トルク(馬力/エンジン回転数=一定)を実現し、エンジン回転数Neが高い領域では等馬力を実現するようなマップに設定されている。
一方、ステップS5で、Floc=1のロックアップ締結と判定したときはステップS8へ進み、ロックアップフラグFlocの値が、0→1に切り替わったときからディレイ時間(ロックアップ後ディレイ時間)Tdcが経過したか否かを調べ、ロックアップ後ディレイ時間Tdcが経過していないときは、ステップS7へ進み、ロックアップ開放後仮想アクセル開度マップを継続して参照し、仮想アクセル開度θkを設定する。又、ロックアップ後ディレイ時間Tdcが経過したときは、ステップS9へ進む。
例えばロックアップフラグFlocが、目標ロックアップフラグFmoの値に基づいて設定されている場合、ロックアップフラグFlocの値が0→1に切り替わったときからロックアップクラッチが実際に締結されるまでの過渡状態では、ロックアップ開放後仮想アクセル開度マップを継続して参照させることで、仮想アクセル開度マップの切替え時期をロックアップクラッチが実際に締結される時間に同期させることができる。
その際、ロックアップ後ディレイ時間Tdcは、予め設定した一定値であっても良いが、例えばロックアップクラッチが油圧式アクチュエータにより締結/開放動作される場合、ロックアップフラグFlocの値が0→1に切り替わった時間からロックアップクラッチが実際に開放されるまでの過渡時間は、変速機オイルの粘性によって異なる。従って、このような場合は、ロックアップ後ディレイ時間Tdcを変速機オイルの粘性に応じて可変設定することで、ロックアップクラッチが実際に締結される時期と、仮想アクセル開度マップの切替え時期とを、より高い精度で同期させることができる。尚、ロックアップ後ディレイ時間Tdcを設定するに際しては、上述したように既存の冷却水温センサ16で検出した冷却水温Twをパラメータとすることができる。
図7に冷却水温Twをパラメータとしてロックアップ後ディレイ時間Tdcを設定する際に参照するロックアップ後ディレイ時間テーブルを示す。同図に示すように、ロックアップ後ディレイ時間Tdcは冷却水温Twが低くなるに従いディレイ時間が次第に長くなるように設定されており、又、冷却水温Twが、変速機オイルの粘性が安定する温度に達したときは、ロックアップ後ディレイ時間Tdcも一定値に固定される。この場合、ロックアップクラッチはロックアップ開放方向にばねで付勢されているので、ロックアップクラッチを開放させる際の過渡時間よりも長いディレイ時間を要するため、ロックアップ後ディレイ時間Tdcは全体的に長く設定されている。
尚、ロックアップフラグFlocが、実ロックアップフラグFjtの値に基づいて設定されている場合、ロックアップフラグFlocの値が0→1に切り替わった時間と、ロックアップクラッチが実際に締結された時間とは、ほぼ同時であるため、ステップS8での処理は省略し、ステップS5からステップS9へジャンプするようにしても良い。
そして、ステップS9へ進むと、アクセル開度θaccとエンジン回転数Neとに基づき、図9に示すロックアップ後仮想アクセル開度マップを補間計算付で参照して、仮想アクセル開度θkを設定する。ロックアップ締結後においては等馬力(エンジン回転数×エンジントルク=一定)を実現するために、エンジン回転数Neの低い領域ではアクセル開度θaccが小さくても仮想アクセル開度θkは比較的大きな値に設定される。
その理由は、馬力はエンジン回転数とエンジントルクとの積であるため、同じアクセル開度θaccにおいて同じ馬力を得ようとした場合、仮想アクセル開度θkは、エンジン回転数Neが低くなるほど大きな値に設定する必要があるからである。尚、このロックアップ後仮想アクセル開度マップを、ロックアップ開放領域に適用した場合、トルクコンバータ2によって駆動力が増幅されるため、運転者のアクセル操作に対して大きな加速度が発生し、運転者に違和感を与えてしまうことになる。
ところで、上述したように、本形態では、ロックアップフラグFlocの値が切り替わった後のディレイ時間Tdo,Tdcにおいては、切替え前の仮想アクセル開度マップを参照するようにしているが、例えばディレイ時間Tdo,Tdcの間は、仮想アクセル開度マップを参照せず、切替え前の最新の仮想アクセル開度θkを保持するようにしても良い。
そして、ステップS7或いはS9からステップS10へ進むと、仮想アクセル開度マップを切替えた後の経過時間が設定時間Timm内か否かを調べ、設定時間Timm以内のときはステップS11へ進み、今回の仮想アクセル開度θkと前回の仮想アクセル開度θk(-1)との差分Δθk(=θk−θk(-1))と、仮想アクセル開度変化量制限値θoとを比較し、差分Δθkが仮想アクセル開度変化量制限値θo以内(Δθk≦θo)のときは、ステップS13へ進み、又、差分Δθkが仮想アクセル開度変化量制限値θoを超えている(Δθk>θo)ときは、ステップS13へ進む。
ステップS12では、今回の仮想アクセル開度θkを所定になまし処理した値で設定する。このなまし処理は、例えば仮想アクセル開度θkを所定重み付けによる加重平均で設定することで行う。仮想アクセル開度マップを切替えた後の経過時間が設定時間Timm内の場合は、仮想アクセル開度θkをなまし処理することで、仮想アクセル開度マップを切替える際の過渡時において仮想アクセル開度θkの急激な変化が防止され、同時にスロットル弁8の急変動作や、急激なトルク変化、及び急激な加減速変化を防止することができる。
尚、この場合、仮想アクセル開度θkをなまし処理せず、スロットル開度フィードバック制御部25で設定するフィードバック補正値θλを制限することで、スロットル弁8の急変を防止するようにしても良い。
そして、ステップS10,S11,或いはS12からステップS13へ進むと、ECU11とTCU13との間の通信系が故障しているか否かを調べる。そして、通信系が正常のときはステップS15へジャンプし、一方、通信系に故障が生じているときはステップS14へ進み、仮想アクセル開度θkを予め低回度に設定されている固定値θsで設定して(θk←θs)、ステップS15へ進む。通信系に故障が生じている場合、ロックアップ情報を正確に読み込むことが困難となるばかりでなく、自動変速機3とエンジン1との協調制御を正常に行うことが困難となるため、仮想アクセル開度θkを固定値θsで設定して、スロットル弁8の開度を制限する。尚、この固定値θsは、車両を最低限走行させるに充分な速度を得ることができるような値を予め実験などから求めて設定したものである。
そして、ステップS15へ進むと、仮想アクセル開度θkに基づき、目標スロットル開度テーブルを補間計算付きで参照して目標スロットル開度θthoを設定し、ルーチンを抜ける。図10に目標スロットル開度テーブルを示す。同図に示す目標スロットル開度テーブルには、アクセルペダルが0〜16°の範囲で動作し、スロットル弁8が0〜90°の範囲で動作する場合の、仮想アクセル開度θkと目標スロットル開度θthoとの関係が示されている。同図に示すように、目標スロットル開度θthoは仮想アクセル開度θkに対してほぼ比例した状態で変化するように設定されている。
このように、本形態では、ロックアップクラッチが締結されている状態では、等馬力制御により仮想アクセル開度θkに基づいて目標スロットル開度θthoを設定するようにしたので、トルク主導型のエンジン制御を行うことなく、簡単な制御プログラムで対応することができ、ソフトウエア開発工数、及びROM定数の車両適合値工数等を減少させることができる。
又、等馬力制御では、エンジン回転数Neとエンジントルクとの積が一定となるように制御するので、発進時や発進後の加速運転領域において、等アクセル開度の状態で自動変速機3がアップシフトする際にエンジン回転数Neが低下した場合であっても、目標スロットル開度θthoが開く方向に設定されるため、エンジン回転数Neの落ち込みが無く、滑らかな加速性能を得ることができる。更に、エンジン回転数Neが上昇すると目標スロットル開度θthoが徐々に閉方向に設定されて等馬力制御が行われるため、一定の加速度を得ることができ、良好な運転性能を得ることができる。その結果、運転者は発進時や発進後の後の等アクセル開度において、自動変速機3の変速、非変速の何れの状態においても滑らかな加速性能を得ることができる。
又、仮想アクセル開度θkを、ロックアップ締結時とロックアップ開放時とにおいて異なる特性の仮想アクセル開度マップを参照して個別に設定するようにしたので、例えばロックアップ開放状態にある発進時において、運転者の意図しない加速度を発生させることが無く、更に、ロックアップ開放時仮想アクセル開度マップの一部は、アクセル開度θaccに応じて等しいエンジントルク(等トルク)になるような仮想アクセル開度θkが設定されているので、運転者のアクセルペダルの踏込み量(アクセル開度θacc)に応じたリニアな加速を得ることができる。
更に、ECU11では、TCU13のデータ(目標ロックアップ信号や実ロックアップ信号)に基づいて、ロックアップクラッチの締結/開放を判定しているので、ECU11に、ロックアップクラッチの締結/開放を検出する機能を設ける必要が無く、構成の簡素化を実現することができる。
又、仮想アクセル開度マップを切替えるに際しては、ディレイ時間Tdo,Tdcを設定したので、トルクコンバータ2のロックアップクラッチが実際に締結し、或いは開放される時期と仮想アクセル開度マップの切替え時期とを同期させることができ、より滑らかな加速性、及び減速性を得ることができる。この場合、ディレイ時間Tdo,Tdcを、変速機オイルの粘性に応じて設定することで、ロックアップクラッチが実際に締結される時期と、仮想アクセル開度マップの切替え時期とを、より高い精度で同期させることができ、滑らかな加速性、及び減速性を得ることができる。更に、ディレイ時間Tdo,Tdcを異なる値に設定したので、ロックアップクラッチの締結時期と開放時期とに対して仮想アクセル開度マップの切替え時期をより高い精度で同期させることができ、より滑らかな加速性、及び減速性を得ることができる。
又、ECU11、TCU13間の通信に異常がある場合は、仮想アクセル開度θkを制限するようにしたので、最低限の走行を補償することができ、使い勝手が良い。
尚、本発明は上述した形態に限るものではなく、例えば手動変速機に本発明を適用できることは云うまでもなく、手動変速機に本発明を適用する場合、クラッチ手段はエンジンと手動変速機との間の動力の伝達を遮断することのできる通常にクラッチであり、運転者は、クラッチを半クラッチ状態とする変速時、及びクラッチ締結後の何れにおいても、アクセルペダルの踏込み量(アクセル開度θacc)に応じて加速度をリニアにコントロールすることが可能となり、良好な運転性能を得ることができる。
エンジン制御装置の概略構成図 電子制御スロットルの概略構成図 スロットル開度制御を示す機能ブロック図 目標スロットル開度設定ルーチンを示すフローチャート(その1) 目標スロットル開度設定ルーチンを示すフローチャート(その2) ロックアップ開放後ディレイ時間テーブルの説明図 ロックアップ後ディレイ時間テーブルの説明図 ロックアップ開放後仮想アクセル開度マップの説明図 ロックアップ後仮想アクセル開度マップの説明図 目標スロットル開度テーブルの説明図
符号の説明
1…エンジン、2…トルクコンバータ、3…自動変速機、4…出力軸、6…電子制御スロットル装置、8…スロットル弁、9…スロットルモータ、10…スロットル開度センサ、11…エンジン制御ユニット、12…コントロールバルブユニット、13…トランスミッション制御ユニット、14…エンジン回転数センサ、15…アクセル開度センサ、16…冷却水温センサ、17…タービン回転数センサ、18…車速センサ、22…仮想アクセル開度演算部、23…目標スロットル開度演算部、25…スロットル開度フィードバック制御部、θk…仮想アクセル開度、θacc…アクセル開度、θth…実スロットル開度、θtho…目標スロットル開度、Ne…エンジン回転数、Nt…タービン回転数、S…車速、Tdc…ロックアップ後ディレイ時間、Tdo…ロックアップ開放後ディレイ時間、Timm…設定時間、Tw…冷却水温

代理人 弁理士 伊 藤 進

Claims (13)

  1. アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
    エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、
    吸入空気の流量を電子的に制御する吸気制御手段と、
    エンジン出力を、選択された変速比で変速した後出力する変速機と、
    上記アクセル開度と上記エンジン回転数とに基づき、上記変速比の変化に拘わらず一定のアクセル開度に対して一定の馬力を得ることのできる仮想アクセル開度を設定する仮想アクセル開度演算部と、
    上記仮想アクセル開度に基づいて吸気制御手段の開度目標値を設定する目標開度演算部と
    を備えることを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 上記仮想アクセル開度演算部は、上記アクセル開度と上記エンジン回転数とに基づきマップを検索して上記仮想アクセル開度を設定する
    ことを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
  3. 上記変速機は自動変速機であり、上記仮想アクセル開度マップは、エンジンと上記変速機との間に介装されるクラッチ手段が締結されている状態と開放されている状態とに対応して個別に備えている
    ことを特徴とする請求項2記載のエンジンの制御装置。
  4. 上記クラッチ手段が開放されている変速時に参照する上記仮想アクセル開度マップは、一定の上記アクセル開度に対して等しいトルクを発生する上記仮想アクセル開度を設定する領域を備えている
    ことを特徴とする請求項3記載のエンジンの制御装置。
  5. 上記変速機は手動変速機であり、上記仮想アクセル開度マッブは、エンジンと上記変速機との間に介装されるクラッチ手段が締結されている状態と半クラッチ状態とに対応して個別に備えている
    ことを特徴とする請求項2記載のエンジンの制御装置。
  6. 上記クラッチ手段が半クラッチ状態の変速時に参照する上記仮想アクセル開度マップは、一定の上記アクセル開度に対して等しいトルクを発生する上記仮想アクセル開度を設定する領域を備えている
    ことを特徴とする請求項5記載のエンジンの制御装置。
  7. 上記仮想アクセル開度演算部は、クラッチ締結時に参照する上記仮想アクセル開度マップと変速時に参照する上記仮想アクセル開度マッブとを切替える際に、ディレイ時間を設けた
    ことを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載のエンジンの制御装置。
  8. 上記クラッチ締結時に参照する上記仮想アクセル開度マップから変速時に参照する上記仮想アクセル開度マッブへ切り替わるときの上記ディレイ時間と、変速時に参照する上記仮想アクセル開度マッブから上記クラッチ締結時に参照する上記仮想アクセル開度マップへ切り替わるときの上記ディレイ時間とは異なる値に設定されている
    ことを特徴とする請求項7記載のエンジンの制御装置。
  9. 上記ディレイ時間は上記変速機の変速機オイルの温度或いは冷却水温に基づいて可変設定される
    ことを特徴とする請求項7或いは8記載のエンジンの制御装置。
  10. 上記仮想アクセル開度演算部は、クラッチ締結に参照する上記仮想アクセル開度マップと変速時に参照する上記仮想アクセル開度マッブとを切替えた後、設定時間内の間は上記仮想アクセル開度の値になまし処理を施す
    ことを特徴とする請求項3〜9の何れかに記載のエンジンの制御装置。
  11. 上記仮想アクセル開度演算部は、クラッチ手段の開放と締結とをトランスミッション制御ユニットからの信号に基づいて判定する
    ことを特徴とする請求項3或いは4記載のエンジンの制御装置。
  12. 上記仮想アクセル開度演算部は、クラッチ手段の開放と締結とを上記エンジン回転数と上記クラッチ手段側の出力軸回転数との差回転に基づいて判定する
    ことを特徴とする請求項3或いは4記載のエンジンの制御装置。
  13. 上記仮想アクセル開度演算部は、上記トランスミッション制御ユニットとの間の通信状態が異常なときは、上記仮想アクセル開度を予め設定した固定値で設定する
    ことを特徴とする請求項11記載のエンジンの制御装置。
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