JP2006168000A - プリンタにおけるレジストレーション調整方法、および、それを用いるレジストレーション調整装置 - Google Patents

プリンタにおけるレジストレーション調整方法、および、それを用いるレジストレーション調整装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 検出精度を低下させることなく比較的短時間で高精度に記録ヘッドの印字位置をレジ調整することができ、しかも、シリアルプリンタ等における往路および復路においてレジ調整を簡単に行うことができること。
【解決手段】 レジ補正値設定部68Dが、着弾位置検出装置24からの検出出力に基づいて臨界吐出位置演算部68Cによって得られた臨界吐出位置をあらわすデータに基づく往路および復路における吐出位置のずれ量を演算し、そのずれ量をレジ補正値として設定するもの。
【選択図】 図3

Description

本発明は、記録用液体を吐出し記録動作を行う記録ヘッドを備えるプリンタにおけるレジストレーション調整方法、および、それを用いるレジストレーション調整装置に関する。
インクジェットプリンタにおいて、例えば、記録ヘッドが記録媒体の記録面の送り方向に対し略直交する方向に移動されるもとで、各インク吐出部から吐出されるインク滴が記録面に到達される位置、所謂、着弾位置の精度は、記録画像の品質を良好とするために比較的高精度が要求される。しかしながら、例えば、各インク吐出部相互間の製造誤差などに起因するインク吐出部の配列もしくは位置のバラツキにより吐出方向、着弾位置および各インク滴の記録面への到達時点がばらつくこととなる。また、複数個の記録ヘッド相互間におけるインク吐出部の配列もしくは位置のバラツキも異なる場合があるので記録ヘッドが新たに交換される場合、記録ヘッドの交換の前後によって、着弾位置および各インク滴の記録面への到達時点のばらつきも異なる虞がある。
そこで、記録ヘッドの各インク吐出部に対応したインク滴の記録面における着弾位置を所定位置に一致させるように調整すべく、記録ヘッドの移動速度に応じたインク滴の吐出タイミング、または、各吐出口列における記録に利用される吐出口の選択についての調整等を行う所謂、レジストレーション調整(以下、レジ調整ともいう)が行われている。
レジストレーション調整方法は、例えば、特許文献1乃至4にも示されるように、印字式の方法と非印字式の方法とに大別される。
印字式の方法は、記録ヘッドにより記録媒体の記録面にレジ調整用のパターンが印字された後、その印字されたパターンを作業者が確認しながら手動でレジ調整用補正値を設定する方法、あるいは、キャリッジに搭載したセンサを用いて自動的に調整値を得る方法である。
一方、非印字式の方法の1つとしては、例えば、特許文献1にも示されるように、記録ヘッドに対向して設けられる遮蔽部材の表面に向けて吐出されたインク滴が、遮蔽部材の背後に設けられる振動部材の表面に着弾したか否かを検出することにより、着弾したインク滴を吐出した特定の吐出口列における吐出口の位置情報が記憶された後、その位置情報を各吐出口列ごとに検知することにより、吐出口配列方向におけるレジ調整を行う方法が提案されている。
他の非印字式の方法としては、例えば、特許文献3にも示されるように、キャリッジに搭載された複数の記録ヘッドのヘッドフェース面にそれぞれ設けられたヘッド基準マークを検出する読み取りセンサからの検出出力に基づいて各記録ヘッドのずれ量が検出された後、複数の記録ヘッドにおいて共通の印字領域となる吐出口を、そのずれ量に基づいて実際に使用する吐出口として各記録ヘッドごとに選択する方法が提案されている。
さらなる他の非印字式の方法においては、例えば、特許文献4にも示されるように、プリントヘッド用カートリッジのノズルアレイ間におけるオフセットの決定に用いるためにインク小滴検出アッセンブリが設けられたものが提案されている。インク小滴を検出する光学検出ゾーンを内部に有するインク小滴検出アッセンブリは、アパーチャプレートを備えている。そのアパーチャプレートには、各カートリッジからのインクが吹き付けられる測定用バーニヤが中央スロット周縁に形成されている。また、アパーチャプレートの中央スロット周縁に付着したインクは、クリーニングブラシにより清掃される。
特開平6−183034号公報 特開平6−198892号公報 特開平11−170501号公報 特開平6−126970号公報
上述したような印字式のレジ調整の方法においては、レジ調整用のパターンを記録媒体に印字するのでレジ調整ごとにインクおよび記録媒体を消費するという問題を伴う。また、作業者にとっては、その印字されたパターンの確認、および良否の判定等の負担をもたらすこととなる。
一方、非印字式のレジ調整の方法を採用する場合、記録媒体等の消費がなく、また、レジ調整を行う実行タイミングの自由度が得られる等のさまざまなメリットがある。
しかし、特許文献4にも示されるような従来提案された方法によれば、アパーチャプレートの中央スロット周縁の汚れによって検出精度の安定性を損なうことによって印字式のレジ調整の方法よりもその調整精度が落ちるという虞がある。
例えば、特許文献4において、アパーチャプレートを清掃する手段は、中央スロットの内周面側までは清掃することができないのでその中央スロットの内周縁部でインクの掻き落とし作用が生じ、かえって中央スロットの周縁部分の輪郭を不均一なものにしてしまう可能性がある。
中央スロットの周縁部の輪郭の不均一性は、例えば、シリアルプリンタ等における双方向のレジ調整の場合、記録ヘッドの個体間のばらつきに起因したインクの飛翔方向が異なる場合において特に精度低下を招くこととなる。
また、レジ調整可能範囲を広く取るためには、その調整方向に沿って多量のテスト用インク滴の吐出を行う必要がある。しかし、その中央スロットを通り抜けたインク滴以外の全てのインク滴はアパーチャプレートの表面で受けられるのでインク滴がその表面で飛散することにより、精度低下を引き起こす汚れを助長する要因となる。
加えて、従来のレジ調整の方法では、インク滴の吐出速度がインク滴検知手段の時間分解能により制限されるのでインク滴の吐出速度および記録ヘッドの移動速度を高速にするにも一定の限界があり、従って、レジ調整の一連の工程に要される時間の短縮が困難である。
以上の問題点を考慮し、本発明は、記録用液体を吐出し記録動作を行う記録ヘッドを備えるプリンタにおけるレジストレーション調整方法、および、それを用いるレジストレーション調整装置であって、検出精度を低下させることなく比較的短時間で高精度に記録ヘッドの印字位置をレジ調整することができ、しかも、シリアルプリンタ等における往路および復路においてレジ調整を簡単に行うことができるレジストレーション調整方法、および、それを用いるレジストレーション調整装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために本発明に係るレジストレーション調整方法は、記録用液体を吐出する液体吐出部を有する記録ヘッドが往復可能に移動せしめられる移動経路に対向配置される所定の液体検出領域内に該記録ヘッドの移動方向に交差するように配され、移動中の記録ヘッドの液体吐出部から選択的に吐出される記録用液体の液体検出領域内に進入する量を制限する液体進入量制限部材に到達させることなく液体検出領域内に記録用液体を吐出させる一次吐出範囲において液体吐出部から記録用液体を吐出させる工程と、液体吐出部からの吐出された記録用液体の一部が液体進入量制限部材に到達するように液体検出領域内に吐出される二次吐出範囲において液体吐出部から記録用液体を吐出させる工程と、一次吐出範囲において液体検出領域内を通過する記録用液体を検出し、検出出力を送出する液体検出部からの検出出力のレベルが所定の基準レベル以下となるまでの第1の期間と二次吐出範囲において液体検出領域内を通過する記録用液体を検出する液体検出部からの検出出力のレベルが所定の基準レベル以下となるまでの第2の期間との差である遅れ時間を算出する工程と、算出された遅れ時間に基づいて記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置を演算する工程と、算出された記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置に基づいて記録用液体の着弾位置と所定の基準位置とのずれ量を移動経路における往路および復路についてそれぞれ算出し、得られた各ずれ量を加算し、レジ調整用補正値とする工程と、を含んでなる。
本発明に係るレジストレーション調整装置は、記録用液体を吐出する液体吐出部を有する記録ヘッドにおける記録用液体の吐出を行わせるタイミングをあらわす吐出タイミング信号を形成する吐出タイミング信号発生部と、記録ヘッドが往復可能に移動せしめられる移動経路に対向するとともに、記録ヘッドの移動方向に交差するように所定の液体検出領域内に配され、移動中の記録ヘッドの液体吐出部から選択的に吐出される記録用液体の液体検出領域内に進入する量を制限する液体進入量制限部材と、液体進入量制限部材に対し下方となる位置に配され、液体検出領域内を通過する記録用液体を検出し、検出出力を送出する液体検出部と、移動中の記録ヘッドの液体吐出部からの吐出された記録用液体が液体進入量制限部材に到達することなく液体検出領域内に吐出される一次吐出範囲において液体検出部からの検出出力のレベルが所定の基準レベル以下となるまでの第1の期間と液体吐出部からの吐出された記録用液体の一部が液体進入量制限部材に到達するように液体検出領域内に吐出される二次吐出範囲において液体検出部からの検出出力のレベルが所定の基準レベル以下となるまでの第2の期間との差である遅れ時間を演算する遅れ時間演算部と、移動経路における往路および復路において遅れ時間演算部により得られた遅れ時間に基づいて記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置を演算する臨界吐出位置演算部と、臨界吐出位置演算部により演算された記録ヘッドの液体吐出部の各臨界吐出位置に基づいて所定の基準位置に対する前記記録用液体の着弾位置のずれ量をそれぞれ演算し、往路および復路において得られた各着弾位置のずれ量を加算し、レジ調整用補正値とするレジ調整用補正値演算部と、レジ調整用補正値演算部により得られたレジ調整用補正値に基づいて前記吐出タイミング信号発生部からの吐出タイミング信号を調整するレジ調整部と、を備えて構成される。
以上の説明から明らかなように、本発明に係るレジストレーション調整方法、および、それを用いるレジストレーション調整装置によれば、算出された遅れ時間に基づいて記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置を演算する工程と、算出された記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置に基づいて記録用液体の着弾位置と所定の基準位置とのずれ量を移動経路における往路および復路についてそれぞれ算出し、得られた各ずれ量を加算し、レジ調整用補正値とする工程と、を含み、記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置がずれ量の算出に利用されるので検出精度を低下させることなく比較的短時間で高精度に記録ヘッドの印字位置をレジ調整することができ、しかも、シリアルプリンタ等における往路および復路においてレジ調整を簡単に行うことができる。
図2は、本発明に係るレジストレーション調整方法の一例が適用されるインクジェットプリンタの要部の構成を示す。
図2において、インクジェットプリンタは、記録媒体としての記録紙Paを断続的に搬送する紙送りプラテンローラユニット(不図示)と、紙送りプラテンローラユニットによって排出される記録紙Paの記録面に対して記録動作を行う記録ヘッド10と、記録ヘッド10が着脱可能に搭載されるキャリッジ12を図2の矢印Yで示される記録紙Paの搬送方向に対して略直交する方向(矢印Xの示す方向)に移動させる搬送駆動部とを主要な構成要素として含んで構成されている。
紙送りプラテンローラユニットは、後述する制御ユニットにより制御されており、記録紙Paは、その紙送りプラテンローラユニットが作動状態とされるとき、その記録面が記録ヘッド10の下部に対向配置されるようにプラテン16上に順次、搬送される。記録紙Paは、例えば、記録ヘッド10が主走査方向に一走査されるごとに副走査方向に所定量だけ搬送される。
キャリッジ12は、その背部がキャリッジベルト18に連結されるとともにガイド軸20に摺動可能に支持されている。ガイド軸20は、図示が省略される筺体にその両端部が支持されている。
搬送駆動部は、図示が省略される一対のプーリ相互間に巻装されキャリッジ12に連結されるキャリッジベルト18と、一方のプーリに連結される出力軸を有し回転駆動されるキャリッジ駆動用モータ76(図3参照)とを含んで構成されている。
キャリッジ駆動用モータ76の回転方向および回転数は、後述するキャリッジ駆動制御部74から供給される駆動制御パルス信号に基づいて制御される。
また、キャリッジ12の背部には、リニアエンコーダとされるエンコーダ22が設けられている。エンコーダ22は、ガイド軸20に沿って配される格子スケールと、キャリッジ12に配されキャリッジ12の格子スケールに対する位置を検出し、その移動とともに検出出力としての所定の周波数を有するタイミングパルス信号を送出する検出部とから構成されている。
記録ヘッド10は、例えば、バブルインクジェット式とされ、各インク色、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、ライトシアン、ライトマゼンタ、および、イエローとされるインク液がそれぞれ充填されているインクタンク(不図示)と、各インクタンクの下方にそれぞれ配され、各インク色のインク液が供給され記録紙Paの搬送方向に沿って配列される複数、例えば、インク吐出部を有する複数個のヘッドチップ10B、10C,10M、10LC、10LM、10Yと、を含んで構成されている。
ヘッドチップ10B〜10Yの構造は、互いに同一とされ、1つのヘッドチップには、1280個のインク吐出口が主走査方向と垂直な副走査方向に吐出口列をなしている。各吐出口列は、間隔をあけた2列の配置で千鳥状に配列されている。吐出口列の相互間隔は例えば、約0.3mmであり、また、副走査方向に見たときの吐出口ピッチは、1200dpiとなっている。
記録ヘッド10のヘッドチップ10B〜10Yにおける各インク吐出動作は、後述する画像処理部からのフラットケーブルを介してそれぞれに供給される駆動制御パルス信号に基づいて制御される。
また、プラテン16における一方の側方には、後述するレジ調整に利用される着弾位置検出装置24が所定距離、離隔して設けられている。
なお、着弾位置検出装置24の最上端の位置は、キャリッジ12が主走査方向へ移動することによって各ヘッドチップ10B〜10Yが干渉することなく、その上部を通過し、かつ、記録紙Paの搬送に支障を与えない位置であればよい。
例えば、着弾位置検出装置24がプラテン16内に設置され、その上部を記録用紙Paが通過する場合においては、着弾位置検出装置24の最上端の位置は、プラテン16と略同一平面上にするか、それよりも低くしなくてはならない。
着弾位置検出装置24における図2における矢印Yの示す方向(副走査方向)の配置位置については次の通りである。
記録ヘッド10の特定のヘッドチップの吐出口列が着弾位置検出装置24の真上に位置するように、キャリッジ12が移動された場合、吐出口列の少なくとも一部の吐出口から吐出されたインク滴が、着弾位置検出装置24のインク検出領域(液体検出領域)を通過する配置となっていることが必要とされる。各吐出口列は、副走査方向に略平行に配置されているので、他の吐出口列においても、キャリッジ12の主走査方向への適当な移動によって自動的に相当する位置関係が実現されることとなる。
具体的な例として、例えば、シアンインクの吐出を担当するヘッドチップの吐出口列の1番目の吐出口を着弾位置検出装置24のインク検出領域に合致するように位置させたとすれば、マゼンタインクの吐出を担当するヘッドチップの吐出口列の1番目の吐出口は、双方の吐出口列の相互間距離分だけキャリッジ12が主走査方向に移動せしめられることにより、同様にインク検出領域上に位置することとなる。
また、着弾位置検出装置24は、図1に示されるように、移動中の記録ヘッド10のヘッドチップ10B〜10Yから吐出されたインク滴が進入する凹部26と、凹部26内に進入したインク滴を検出するインク滴検知部と、凹部26のインク検出領域34内に進入するインク滴の数量を制限する液体進入量制限部材としての軸部材28とを主な要素として含んで構成されている。
インク滴検知部の下方には、図示が省略されるが、上方に向けて開口部36(インク滴通過スロット)を有する凹部26内に進入したインク滴を受けるインク受け部材が設置されている。後述するインク検出領域34を通過しインク受け部材に捕集されたインク滴は、不図示の廃インクタンクへと送られる。開口部36の大きさは、外乱光がインク滴検知部に入射することの防止、また、吐出されたインク滴が外部に飛散することなく不図示の廃インク処理系へ案内する役目を果たすように設定されている。
インク滴検知部は、図1に示されるように、例えば、光学式センサであって、発光素子および受光素子によって作られる光束の中をインク滴がインク検出領域34を横断した場合、光束の微量な光量低下を検出する機能を有している。
光学式センサを構成する発光素子および受光素子としては、例えば、それぞれLED30、フォトダイオード32が用いられる。LED30、フォトダイオード32は、それぞれ、主走査方向に対し略平行であって相対向して凹部26を形成する内壁部の中央部に支持されている。LED30およびフォトダイオード32相互間の光ビームの授受は、内壁部に設けられる透孔26aおよび26bを介して行われる。これにより、インク検出領域34が凹部26内の中央部に形成されることとなる。
LED30およびフォトダイオード32は、それぞれ、指向性を高めるとともに、外乱光の入射を防ぐためその透孔26aおよび26bを除いて全体が覆われている。
外乱光の影響のほかにも、LED30の光ビームが、着弾位置検出装置24の上部を通過する記録ヘッド10のヘッドチップ10B〜10Yの表面によって反射し、その反射光がフォトダイオード32に入射した場合、検出信号は大きなノイズの影響を受ける。
これを回避するために、LED30およびフォトダイオード32に対応した透孔26aおよび26bの形状寸法は、これらの影響を考慮した設計となる。
即ち、その透孔26aおよび26bは、LED30とフォトダイオード32によって作られる光束の中心(以後、光軸ともいう)が正確に互いに一致するように設けられており、その大きさは、システムとして良好な検出が行えるように最適化される。
例えば、透孔26aおよび26bを大きくとるならば、インク検出領域34の拡大が図れるが、インク滴通過時のコントラストが低下し検出信号レベルは低下する。
一方、透孔26aおよび26bを狭くとるならば、コントラストが増大して検出信号レベルの増大が図れるが、インク検出領域34が狭まり、メカニカルに高い精度が要求される。
ヘッドチップ10B〜10Yからのインク滴の飛翔方向(上下方向)に対しその透孔26aおよび26bを狭くとるならば、検出信号の広がりが小さくなって検出時間の短縮化が期待できる。しかし、インク滴の飛翔が主滴だけでなくサテライト(副滴)を伴うことが一般的であることを考慮すると、インク滴の飛翔方向に向けて透孔26aおよび26bを長くとった方がS/Nが改善されるという長所も考慮される。
LED30近くのベアチップの吐出口から吐出されるインク滴の検出感度とフォトダイオード32近くのベアチップの吐出口から吐出されるインク滴の検出感度とでは、光束のエネルギー密度の違いや回折現象により差が生ずる。この感度差は透孔26aおよび26bが小さいほうが制御上好ましいが、この差もその透孔26aおよび26bの形状によって支配される。なお、その透孔26aおよび26bの寸法は、インクミストや埃などによってLED30およびフォトダイオード32の表面が汚れるのを防ぐ役割にも影響を及ぼす。
このようないくつかの要因の検討を経て、透孔26aおよび26bの形状寸法は決定される。
なお、透孔26aおよび26bには、レンズ等の光学素子を設置して光学効率を高めることも可能である。この場合、インクミストや埃などによってレンズ表面が汚れることを防ぐために設置方法を工夫する必要がある。
LED30およびフォトダイオード32は、不図示の制御回路によって制御される。なお、光学式センサの発光素子は、LEDに限らず、半導体レーザやその他のレーザ光を用いることも可能である。この場合、その光学特性から長尺の記録ヘッドの場合でも良好な検出信号を得やすいが、高コストを許容する必要がある。また、受光素子は、フォトダイオードに限らず、フォトトランジスタを用いてもよい。さらに、発光素子と受光素子が1つのユニットになったフォトインタラプタなどの使用も可能であるが、検出感度が低いという仕様を克服するためにインク滴の吐出発数を増やすなどの工夫を併用したり、あるいは、応答速度が遅く検出時間が長くなるなどで最終的にシステムとして成立するかの吟味を必要とする。
上述の制御回路には、LED30の感度ばらつきや素子劣化、汚れ等による経時変化によって検出レベルが変動することを抑えるために、フォトダイオード32から出力される電流値が所定値になるようLED30の電流を自動調整する、いわゆる自動パワー制御機能(以後、APCともいう)が装備されている。
これにより、インク滴が通過していない時の定常値をAPCによって所定値に保つならば、検出信号レベルの変動は抑えられることとなる。なぜならば、インク滴が通過していない時の定常値に対するインク滴が通過したときに生ずるわずかな光量低下分の比を変調度と呼ぶものとすると、この変調度は、実効的な光束に対するインク滴の投影面積で決定されるからである。本願の発明者等が採用したシステムにおいては、変調度は、例えば、5000分の1から10000分の1程度と極めて小さな値となっている。
そのような制御技術としては、インク滴検知システムとして信号通過帯域を最適化するもの、あるいは積分して検出信号を得ようとするもの、閾値を可変するもの、自動追尾させたりするもの等、既に多くの技術が開示されている。
液体進入量制限部材としての軸部材28の両端は、それぞれ、LED30およびフォトダイオード32の光軸と略平行となるように上述の内壁に支持されている。従って、インク検出領域34において、軸部材28を挟んだ両側に比較的検出感度が十分に高い領域が形成されることとなる。円柱形の細長い軸部材28は、所定の線径を有している。その線径は、インク滴検知部における上述のインク検出領域34の感度が比較的高い区間の幅に対して十分に小さくなるように設定される。なぜならば、軸部材28は、開口部36に向けて吐出口から吐出されたインク滴のうち、特定の微小な領域にあるインク滴に限ってその通過を制限するために設けられるものだからである。軸部材28は、その中心軸線がLED30およびフォトダイオード32の光軸と略平行、即ち、副走査方向と一致するように開口部36を横切って設置されている。
斯かるインクジェットプリンタにおいては、図3に示されるように、記録ヘッド10の記録動作、キャリッジ12の往復動作、および、レジ調整のための動作制御を行う制御ブロック部を備えている。
制御ブロック部20は、本装置とは別に設置されるデータ供給部としてのホストコンピュータ50からの画像データおよび制御データを含むデータ群DQが供給される入出力データ通信部52と、入出力データ通信部52からの画像データDGを選択的に格納すると
ともに格納された画像データを選択的に送出する記憶部としての画像データメモリ部58と、入出力データ通信部52からの画像データDGを画像データメモリ部58に直接転送する制御(DMA制御)を行うデータ転送制御部54と、画像データメモリ部58から所定のタイミングで読み出された画像データ群DGMに基づいてデータ変換処理を行い、記録ヘッド10に対する記録動作制御データ群を得る画像処理部60と、を備え、さらに加えて、制御ユニット部66を備えている。
入力データ通信部52は、ホストコンピュータ50からデータ群DQが供給されるとき、受信状態とされ、また、制御ユニット66からのメモリ容量の不足をあらわす信号が供給されるとき、その信号をホストコンピュータ50に送信する状態がとられる。供給されるデータ群DQは、所定の形式の画像成分データを含んでいる。所定の数バンド分ごとに供給される画像成分データは、例えば、加法混色系の3原色、レッド、グリーン、ブルーをそれぞれあらわす多値の色データ、または、減法混色系の4原色、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックをそれぞれあらわす多値の色データ等を含んでいる。
また、入力データ通信部52は、ホストコンピュータ22からのデータ群DQにおける入力コマンドデータに基づいて解析しコマンド判定を行い、各コマンドの処理要求をあらわすデータを制御ユニット66に送出するデータ解析部を有している。そのデータ解析部は、入力コマンドデータが転送コマンド、印刷コマンド、もしくは、その他のコマンドであるかを判定し、それぞれのコマンドに対応した処理の要求をあらわすデータをデータバス56を通じて制御ユニット66に供給する。
データ転送制御部54は、制御ユニット66からのデータ形式に対応して選択された画像メモリ部、および、メモリアドレスをあらわすメモリ指定信号SMに基づいて各画像成分データを画像メモリ部58に供給する。
表示/操作部64は、例えば、液晶画面とされる表示部と操作スイッチで構成される操作部とを含んで構成される。操作部は、操作スイッチの操作によって形成される動作命令データDKをデータバス56を通じて制御ユニット66に供給し、また、表示部は、制御ユニットか66からの表示動作制御データDSに基づいて本装置の各部の動作状態を表示する。動作命令データDKには、例えば、記録ヘッド10の最初の装着、または記録ヘッド10の交換のとき、レジ調整の開始命令をあらわすデータも含まれている。
画像処理部60は、例えば、画像データメモリ部58から供給される各画像成分データ
のデータ形式に応じてマスキングデータ処理を行うマスキング部と、マスキング部からの色データに対して二値化処理を行う多値/二値変換部と、信号分配処理部と、レジ調整部60Rと、駆動制御データ選択送出部とを主な要素として含んで構成されている。
制御ユニット66は、データバス56を通じて上述の画像データメモリ部58の動作制御を行うとともに後述される画像処理部60のレジ調整部60Rにおける補正値設定を行う。
また、制御ユニット66は、データバス56を通じて得られる制御データに基づいて表示/操作部64に表示動作制御データDSを送出するとともにキャリッジ駆動用モータ76を駆動制御するキャリッジ駆動制御部74に制御データDCを送出する。
その際、制御ユニット66には、上述の着弾位置検出装置24からの検出出力信号群SAに基づいて所定のディジタル変換処理等を行う信号処理部62からのデータ群DD、および、上述のエンコーダ22からのキャリッジ12における所定のホームポジションからの位置をあらわすパルス信号EPも供給される。
制御ユニット部66は、レジ調整制御部68、動作制御部72、および、メモリ部70を主な要素として含んで構成されている。
レジ調整制御部68は、記録ヘッド10のヘッドチップ10B〜10Yにおけるレジ調整を行うにあたり、その対象となるヘッドチップの種類、キャリッジ走査速度、キャリッジ移動方向、インク滴を吐出させる領域等を設定する吐出範囲設定部68Aと、信号処理部62からの上述のデータ群DDに基づいて所定の基準値と比較しレジ調整用吐出の適否を判定する吐出状態判定部68Eと、吐出状態判定部68Eからの比較出力に基づいて遅れ時間Δtを算出する遅れ時間演算部68Bと、遅れ時間演算部68Bからの遅れ時間Δtをあらわすデータに基づいて往路および復路における臨界吐出位置を演算する臨界吐出位置演算部68Cと、臨界吐出位置演算部68Cからの臨界吐出位置をあらわすデータに基づいて往路および復路における吐出位置ずれ量を演算しレジ補正値を設定するレジ補正値設定部68Dと、各演算動作プログラムデータ、データ群DD、パルス信号EPについてのデータ、設定されるべき各記録モード、各キャリッジ走査速度をあらわすデータ等が格納されるメモリ部70とを含んで構成されている。
吐出範囲設定部68Aは、レジ調整に用いる吐出口列として記録ヘッド10のヘッドチップ10B〜10Yのうちの少なくとも1つ、例えば、ヘッドチップ10Bの吐出口列、および、実際に吐出を行わせる吐出口を選択する。なお、実際に吐出を行う吐出口の選択は、毎回のレジ調整においてその吐出口の位置を変えてもよい。記録ヘッド10の寿命の均一化を図ることになるとともに、軸部材28のインク滴付着を分散させることもできる。
それぞれのヘッドチップにおける往路および復路における双方向印字による着弾位置のずれ量のばらつきは、印字式の場合と同様に、一般にレジ調整に用いられる解像度に対して十分に小さな値であるので少なくとも1つの吐出口列による双方向走査の補正値だけで十分な補正を行うことが可能であり、従って、レジ調整にかかる時間の短縮にもなる。また、上述の軸部材28のインク滴の付着による汚れの影響も少なくすることができる。
なお、6枚のヘッドチップ10B〜10LCが記録ヘッド10に搭載されるもとで、それぞれのヘッドチップごとに後述するようなレジ調整を行うことによって精度の高いレジ調整を行うことも可能である。
吐出範囲設定部68Aは、レジ調整に用いられるキャリッジ走査速度が3種類、例えば、実際の画像形成のとき、選択設定される速度v1、v2、v3として33.0、25.0、12.5(インチ/秒)をそれぞれ、設定する。その際、どの速度の順番によってキャリッジ12を走査させるかが予め設定される。
なお、ここで選択されるキャリッジ走査速度は、実画像形成時に実際に用いられる速度を用いることが望ましいが、しかし、キャリッジ12を安定して駆動する範囲内であればレジ調整用の走査速度は必ずしも実画像形成時に実際に用いられる速度と同じ速度を使わなくてもよい。
また、吐出範囲設定部68Aは、レジ調整のためのキャリッジ走査中、所定のタイミングで上述のインク検出領域34におけるどの範囲においてインク滴の吐出を行わせるかを各キャリッジ走査速度および往路または復路の走査ごとに決定する。
その際、レジ調整に用いられるインク滴が吐出される範囲は、大きく2種類に分けられる。1つの吐出範囲(1次吐出範囲)は、図4に示されるように、インク滴が軸部材28の外周面に着弾することなくインク検出領域34内に吐出されてから得られる検出信号Saの信号レベルが図5に示されるように、所定の基準レベルよりも下がり始める時点までの時間的な遅れt1を示す基準となる信号の波形を得るための範囲である。
もう1つの吐出範囲(2次吐出範囲)は、図6に示されるように、インク検出領域34内に吐出されたインク滴が軸部材28の外周面に着弾するか否かの境目となる選択された吐出口列の臨界吐出位置を決定するために用いられる信号の波形(図7参照)を得るための範囲である。
1次吐出範囲における吐出方向の条件は、図4に示されるように、ヘッドチップ10Bから吐出された複数のインク滴IDがインク検出領域34中、上述したような検出感度が十分に高い領域を通過することであり、かつ、軸部材28に着弾しない位置へ常に吐出されなければならない。即ち、例えば、図4において、ヘッドチップ10Bが左側から右側に移動される場合、複数のインク滴IDが図4において軸部材28の外周面における左側部分の前方を通過するように吐出される。
これは、吐出されたインク滴IDが図6に示されるように、軸部材28の外周面に着弾してしまうと、図5に示されるように、記録ヘッド10に吐出駆動制御信号Paが送られた時点toから検出信号群SAの信号レベルが所定の基準レベルSL以下に変化するまでの時間を参照することができなくなってしまうからである。
1次吐出範囲における吐出は連続した数発の吐出によって構成され、1次吐出範囲における吐出数の条件としては、この吐出数が、望ましくは、検出信号のレベルを所定の基準レベル以下に十分に低下させることができる最低限の数とすることである。また、吐出されたインク滴がインク検出領域34へ到達するまでの時間をできるだけ2次吐出範囲における吐出における時間と同じものとするために、軸部材28近傍に吐出させる必要がある。
2次吐出範囲における吐出方向の条件は、図6に示されるように、少なくとも最初に吐出されたインク滴群IDAは軸部材28の外周面に着弾し、残りの数発のインク滴群IDBは、インク検出領域34を通過することである。即ち、図6において、ヘッドチップ10Bが左側から右側に移動される場合、複数のインク滴IDBが図6において軸部材28の外周面における右側部分近傍を通過するように吐出される。
この条件は、1次吐出範囲の条件と比較して高い精度が要求されるが、インクの吐出発数を1次吐出範囲の場合より多めにすることによって比較的容易に所望の領域へインク滴を吐出させることが可能である。
ただし、軸部材28の外周面に着弾するインク滴IDAの量が多い場合、レジ調整に悪影響を与える虞がある。そこで、インク滴量についてはインク検出装置の取り付け精度などの兼ね合いから最適な値を決定する必要がある。なお、1次吐出範囲、2次吐出範囲において、記録ヘッド10におけるインク滴の吐出周波数は、同一とされる。
吐出状態判定部68Eは、設定された1次吐出範囲、または2次吐出範囲において、移動せしめられる記録ヘッド10から吐出動作が行われる場合、供給されるデータDDを所定の閾値SLと比較し、データDDのサンプリングが開始された時点(吐出駆動制御信号Paが記録ヘッド10に送出された時点)t0からデータDDがあらわす信号SDの信号レベルがはじめて閾値SLよりも低くなるまでの期間t1を計測する。期間t1をあらわすデータは、メモリ部70に格納される。なお、図5において破線で示されるサンプリング信号SDの波形は、検出信号群SAを構成する検出信号Saの波形に対応した波形とされる。サンプリング信号SDは、検出信号Saを所定のサンプリング処理により得られる値をプロットしたものとされる。
次に、吐出状態判定部68Eは、往路または復路において、記録ヘッド10に吐出駆動制御信号Paが送られた時点から検出信号Saの信号レベルが閾値SL以下となるまでの期間t1が所定の基準期間よりも遅い場合、1次吐出範囲において最初に吐出されたインク滴群が軸部材28の外周面に着弾した状態、又は検出領域34外を通過したものとみなし、その吐出により得られた検出信号に基づくデータを格納することなく、エラーと判定する。
続いて、吐出状態判定部68Eは、往路または復路においてエラーと判定した場合、その情報をもとにインク滴群の吐出開始位置が吐出範囲設定部68Aにより調整された後、再度、設定された1次吐出範囲において、インク吐出された後、上述のような判定を行う。
同じキャリッジ走査速度による双方向(往路および復路)の1次吐出範囲における吐出が終了する場合、吐出範囲設定部68Aにより、続いて、上述の2次吐出範囲が設定される。そして、吐出状態判定部68Eは、往路および復路において2次吐出範囲で同様な判定を行う。その際、吐出状態判定部68Eは、往路または復路においてエラーと判定した場合、その情報をもとにインク滴群の吐出開始位置が吐出範囲設定部68Aにより調整された後、再度、設定された2次吐出範囲において、インク吐出された後、上述のような判定を行う。
2次吐出範囲におけるインク吐出により得られる検出信号Sbは、図7に示されるように、吐出駆動制御信号Pbが記録ヘッド10に送出された時点t0から信号のレベルが閾値SLよりも低くなるまでの期間t2が、1次吐出範囲におけるインク吐出の場合の期間t1よりも長くなる。これは、2次吐出において、最初に吐出された数発のインク滴が軸部材28の外周面に着弾してしまうためである。これにより、1次吐出範囲におけるインク吐出の場合とは異なり、吐出状態判定部68Eにより、サンプリング信号SD’のレベルが記録ヘッド10に吐出駆動制御信号Pbが送られた時点t0後、閾値SLより低くならなかった場合のみエラーと判定されることとなる。その際、サンプリング信号SD’のレベルが閾値SL以下に下がるまでの期間t2が計測されたとき、その値のデータがメモリ部70に格納される。
遅れ時間演算部68Bは、吐出状態判定部68Eからの比較出力に基づいて遅れ時間Δtを算出する。即ち、遅れ時間演算部68Bは、往路または復路において走査によって、上述の2次吐出範囲において、得られたサンプリング信号SD’のレベルが上述の時点t0から閾値SLよりも低くなるまでの期間t2から1次吐出範囲において、サンプリング信号SDのレベルが時点t0から閾値SLよりも低くなるまでの期間t1を減算し、その差分である遅れ時間Δt(= t2−t1)を算出する。
臨界吐出位置演算部68Cは、遅れ時間演算部68Bからの遅れ時間Δtをあらわすデータに基づいて往路および復路における臨界吐出位置を演算する。
各吐出口列の臨界吐出位置とは、所定のキャリッジ速度において上述の2次吐出範囲においてインク吐出が行われた場合、図6に示されるように、最も左端のインク滴IDBが軸部材28の外周面近傍をその半径方向に通過し最初にインク検出領域34を通過するときのその走査方向に沿った吐出位置(吐出口列の位置)をいう。即ち、各吐出口列の臨界吐出位置は、2次吐出範囲において軸部材28の外周面に着弾したインク滴の発数がN個であるとき、インク吐出の開始時点toの位置からNo+(N+1)番目(Noは、インク吐出の開始時点から着弾直前までの吐出数)のインク滴が吐出される時点まで離れた位置となる。
着弾したインク滴の発数Nは、遅れ時間Δtをインク吐出周期Tで割る(N=Δt/T)ことによって得られる。なぜならば、遅れ時間Δtは、インク滴が軸部材28の外周面に着弾している期間を示しているのでインク滴の吐出周期Tで割ることによって着弾したインク滴の発数Nが求められるからである。なお、インク吐出の開始時点toの位置は、上述のエンコーダ22からのパルス信号EPに基づいて得られる。
そして、臨界吐出位置演算部68Cは、設定された各キャリッジ走査速度についてそれぞれ、上述のように往路および復路における臨界吐出位置を演算する。
レジ補正値設定部68Dは、先ず、後述するように、臨界吐出位置演算部68Cにより演算されメモリ部70に格納されたそれぞれの臨界吐出位置(Pv1、Pv2、Pv3)のデータに基づいて各キャリッジ走査速度と臨界吐出位置のずれ量(d、d、d)との関係を示す二次曲線を決定する(図8参照)。
次に、レジ補正値設定部68Dは、例えば、後述するように、所定のキャリッジ速度において、得られた往路方向走査時のずれ量と得られた復路方向走査時のずれ量とを加算し、その加算した値を往路および復路に対するレジ調整の補正値として得る。
図8は、例えば、矢印の示す方向(往路方向)に走査時の各キャリッジ走査速度に対する同一の吐出口列における臨界吐出位置(Pv1、Pv2、Pv3)の変化を模式的に示したものである。臨界吐出位置Pv1が、最も早い速度v1でキャリッジ12が走査したときに得られた臨界吐出位置を示し、臨界吐出位置Pv2が2番目に早い速度v2で走査したときに得られた臨界吐出位置、臨界吐出位置Pv3が最も遅い速度v3で走査したときに得られた臨界吐出位置を示している。臨界吐出位置Pv0は、キャリッジ走査速度が零(ゼロ)の場合を仮に想定した場合における位置である。
ずれ量d、d、dは、それぞれ、臨界吐出位置Pv0に対する臨界吐出位置Pv1のずれ量、臨界吐出位置Pv0に対する臨界吐出位置Pv2のずれ量、臨界吐出位置Pv0に対する臨界吐出位置Pv3のずれ量をあらわす。
これらの臨界吐出位置のずれ量は、そのままインク滴の着弾位置のずれ量とすることができる。なぜならば、吐出口形成面に対し略平行となるように軸部材28の中心軸線を含む平面上に記録媒体の記録面が配されると仮定した場合、臨界吐出位置Pv0におけるその記録面上のインク着弾位置のずれ量が零ならば、例えば、図8に示されるように、キャリッジ走査速度に応じた臨界吐出位置のずれ量分だけ記録面上における着弾位置がずれると考えられるからである。
図8から明らかなように、臨界吐出位置は、キャリッジ走査速度が速くなるにつれて軸部材28における左側部分の外周面から離れた位置となる。キャリッジ走査速度を零(ゼロ)に近づけるにつれて、吐出されたインク滴は、吐出口形成面に対し略垂直方向へ吐出されるので軸部材28の左側部分の外周面とのずれがなくなっていく。
また、キャリッジ走査速度v1、v2、v3と臨界吐出位置のずれ量d、d、dとの関係は、図9に示される2次曲線Laによって近似させることが可能である。
図9は、縦軸にずれ量dをとり、横軸にキャリッジ速度vをとり、ずれ量dのキャリッジ走査速度vに応じた変化をあらわす2次曲線Laを示す。
ずれ量dは、キャリッジ走査速度vが零(ゼロ)の時のずれ量dをゼロとした場合、例えば、次式のような2次曲線で表すことができる。
d=av+bv・・・(1)
但し、a,bは、係数である。
また、ずれ量dは、キャリッジ走査速度を零(ゼロ)としたときの臨界吐出位置Pv0と各キャリッジ走査速度における臨界吐出位置Pv1〜Pv3との差の絶対値で表すこともできる。
d=|Pv0―Pvx|・・・(2)
但し、x=1〜3
さらに、キャリッジ走査速度が最も遅いv3であったときの臨界吐出位置Pv3とキャリッジ走査速度が零(ゼロ)の時の臨界吐出位置Pv0とのずれ量をyとおいた場合、各キャリッジ走査速度におけるずれ量dは、それぞれ、次式(3)、(4)、(5)で表される。
dv1=y+|Pv3―Pv1|・・・(3)
dv2=y+|Pv3―Pv2|・・・(4)
dv3=y ・・・(5)
キャリッジ走査速度と式(3)、(4)、(5)により得られるずれ量を式(1)に代入することにより、係数a、bの値が求められるのでずれ量dを求める式(1)が得られる。
また、同様な演算により復路においても、ずれ量dに関する二次曲線が決定される。
これにより、図9から明らかなように、所定のキャリッジ走査速度vにおいて、キャリッジ12が走査中に吐出したインク滴の着弾位置が記録媒体の記録面においてどの程度ずれるかを求めることが可能となる。
往路、復路に関する上述のような関係式が決定される場合、実画像形成時に用いられるキャリッジ走査速度と上述の設定されたキャリッジ走査速度とが同一であるとき、往路および復路におけるずれ量dが、この関係式によって求められることとなる。
従って、往路、復路それぞれの式によって求められたずれ量を加算することにより、双方向にキャリッジ12を走査させたとき、同一の着弾位置へインク滴を着弾させるための吐出位置のずれ量が求められることとなる。
例えば、図10に示されるように、往路方向走査時の着弾位置ずれ量d1fと復路方向走査時の着弾位置ずれ量d1bとを加算した値が、往路および復路方向におけるレジ調整用の補正値となる。実画像形成時に用いられるキャリッジ走査速度が複数ある場合は、それぞれの速度における双方向(往路および復路)のずれ量が求められる。求められた値は、それぞれのキャリッジ走査速度におけるレジ調整用の補正値とされる。
図10は、往路および復路方向において、例えば、キャリッジ走査速度v1で走査しながらインク滴を吐出させた場合、吐出されたインク滴の着弾位置が記録紙Paの記録面において一致する状態を示した図である。
なお、臨界吐出位置と入射角との関係から軸部材28の外周面とインク滴飛翔経路との交点の位置が、軸部材28の中心軸線の位置と異なっているように見えるが、キャリッジ走査速度が比較的遅い場合、ここでのずれ量は、レジ調整の解像度に対して小さいため無視される。しかし、キャリッジ走査速度が速く、レジ調整の解像度に対して無視できない場合、補正値の適用により値が補正されてもよい。
ここでは、3種類のキャリッジ走査速度を用いて関係式を作り、双方向のずれ量を求めたが、キャリッジ走査速度とインク滴の着弾位置のずれ量との関係が比例関係である場合、2種類のキャリッジ走査速度によって双方向のずれ量を求めることも可能である。
本実施例においては、吐出されたインク滴が軸部材28に対し着弾状態から非着弾状態へ移る臨界点に対応する吐出口列における走査方向に沿った吐出位置を用いて着弾位置のずれ量を決定するものである。
これは、吐出されたインク滴が軸部材28に対し非着弾状態から着弾状態へ移る臨界部分に対応する吐出口列における走査方向に沿った吐出位置を用いて着弾位置のずれ量の決定が行われた場合、インク検出領域34中に浮遊する微小液滴やミストの影響で信号の変化にばらつきがあるのに対し、吐出されたインク滴が軸部材28に対し着弾状態から非着弾状態へ移る臨界部分に対応する吐出口列における走査方向に沿った吐出位置を用いて着弾位置のずれ量の決定が行われた場合、何もない状態のインク検出領域34へインクの主滴が最初に通過してくるので検出信号の波形が非常に再現性のよいものとなり、従って、精度の良い検出ができるからである。
また、1回の走査で1発のインク吐出を行わせ、吐出されたインク滴が軸部材28の外周面に着弾したか否かによって臨界吐出位置を直接観測し、補正値を得る方法なども考えられる。
本実施例は、従来方法と比べて少ないキャリッジ走査回数で行えるという大きな利点を有している。これは実画像形成時に用いられるキャリッジ走査速度の種類が多い場合、特にその効果が大きい。
さらに、本実施例では、複数段のキャリッジの走査により、キャリッジ走査速度とずれ量との関係から所望のキャリッジ走査速度における臨界吐出位置(着弾位置)のずれ量を求める手順とした。これにより、実画像形成時に用いられるキャリッジ走査速度の種類が多い場合、従来の方式ではそれぞれの速度においてレジ補正値を求める必要があったが、本実施例の方式では最低2、3回のキャリッジ走査回数で済ませることができるのでレジ調整にかかる時間を短縮することが可能である。
なお、ここでは1次吐出範囲および2次吐出範囲におけるインク吐出をキャリッジ12の複数回の走査によって行ったが、これを1回のキャリッジ12の走査によって連続して行うことも可能である。
この場合、1次吐出範囲のインク吐出が終了してから2次吐出範囲のインク吐出が開始されるまでの時間が短い場合、1次吐出範囲によって吐出されたインク滴のサテライトやインクミストなどが検出領域34中に残留することにより、2次吐出範囲によって吐出されたインク滴の検出感度が落ちる虞があるのでこれらの悪影響を考慮し、インク滴の吐出位置や吐出発数が決定されなければならない。
動作制御部72は、データバス56を通じて画像データメモリ部58の動作制御を行うとともに画像処理部60における内部接続設定、および、レジ調整制御部68から得られたレジ補正値に基づいてレジ調整部60Rの補正値設定を行う。また、動作制御部72
は、データバス56を通じて得られる制御データに基づいて表示/操作部64に表示動作制御データDSを送出するとともにキャリッジ駆動用モータ76を駆動制御するキャリッジ駆動制御部74に制御データDCを送出する。
図11は、上述の制御ユニット66におけるレジ調整制御部68および動作制御部72が、例えば、マイクロコンピュータにより構成される場合、斯かるマイクロコンピュータが実行するプログラムの一例を示すフローチャートを示す。
斯かるフローチャートは、例えば、記録ヘッド10による記録動作が最初である場合、あるいは、記録ヘッド10が新たな記録ヘッドに交換されたことが検知された場合、動作命令データDKに基づいて実行される。なお、記録ヘッド10におけるヘッドチップ10B〜10Yの吐出口列相互間においては、予めそのレジ調整は適正になされているものとされる。
図11に示されるフローチャートにおいて、スタート後、ステップS1において、レジ調整制御部68は各データを取り込み、ステップS2に進み、メモリ部70に格納されたデータに基づいてレジ調整用の吐出口列の吐出口を設定し、続くステップS3において、キャリッジ12の走査速度をメモリ部70に格納されたデータに基づいて設定しステップS4に進む。ステップS4において、動作制御部72は、上述の1次吐出範囲において所定のインク吐出を行わせるべく、画像処理部60にレジ調整用吐出数、および、設定された吐出口をあらわす制御信号を供給し、続くステップS5に往路についてキャリッジ12を移動させるべく、制御データDCを形成しそれをキャリッジ駆動制御部74に供給しステップS6に進む。ステップS6において、動作制御部72は、エンコーダ22からのキャリッジ12の位置をあらわすパルス信号EPを取り込み、ステップS7に進み、記録ヘッド10にインク吐出を行わせるべく吐出制御信号を形成し画像処理部60に供給し、また、レジ調整制御部68が、着弾位置検出装置24からのデータDDに基づいてサンプリング信号SDのレベルが時点t0から閾値SLよりも低くなるまでの期間t1を計測しそのデータをメモリ部70に格納する。
続くステップS8において、レジ調整制御部68が、往路および復路における1次吐出範囲において、着弾位置検出装置24からのデータDDが得られたか否かを判断し、往路および復路において得られていない場合、ステップS5に戻り、往路および復路において得られている場合、ステップS9に進む。
ステップS9において、動作制御部72は、上述の2次吐出範囲において所定のインク吐出を行わせるべく、画像処理部60にレジ調整用吐出数、および、設定された吐出口をあらわす制御信号を供給し、続くステップS10に往路についてキャリッジ12を移動させるべく、制御データDCを形成しそれをキャリッジ駆動制御部74に供給しステップS11に進む。ステップS11において、動作制御部72は、エンコーダ22からのキャリッジ12の位置をあらわすパルス信号EPを取り込み、ステップS12に進み、記録ヘッド10にインク吐出を行わせるべく吐出制御信号を形成し画像処理部60に供給し、また、レジ調整制御部68が、着弾位置検出装置24からのデータDDに基づいてサンプリング信号SDのレベルが時点t0から閾値SLよりも低くなるまでの期間t2を計測しそのデータをメモリ部70に格納する。
続くステップS13において、レジ調整制御部68が、往路および復路における2次吐出範囲において、着弾位置検出装置24からのデータDDが得られたか否かを判断し、往路および復路において得られていない場合、ステップS10に戻り、往路および復路において得られている場合、ステップS14に進む。
ステップ14において、レジ調整制御部68は、上述の遅れ時間Δt、および、インク吐出周期Tに基づいて設定された各キャリッジ走査速度についてそれぞれ、上述のように往路および復路における臨界吐出位置を演算し、それらのデータをメモリ部70に記憶させ、ステップS15に進む。ステップS15において、レジ調整制御部68は、すべてのキャリッジ走査速度について臨界吐出位置が算出されたか否かを判断し、すべてのキャリッジ走査速度について臨界吐出位置が算出されていない場合、ステップS1に戻り、すべてのキャリッジ走査速度について臨界吐出位置が算出されている場合、続くステップS16において、上述の式(1)乃至(5)に基づいて二次曲線Laを決定しステップS17に進む。
ステップS17において、レジ調整制御部68は、実画像形成時に用いられるキャリッジ走査速度と上述の設定されたキャリッジ走査速度とが同一であるとき、往路および復路における着弾位置のずれ量dが、この二次曲線Laによって演算され、続くステップS18において、往路方向走査時の着弾位置ずれ量d1fと復路方向走査時の着弾位置ずれ量d1bとを加算した値を、往路および復路方向におけるレジ調整用の補正値として決定し、このプログラムを終了する。その際、動作制御部72は、レジ調整制御部68から得られたレジ調整用の補正値をあらわす吐出タイミング補正信号を形成し、それを画像処理部60のレジ調整部60Rに供給する。これにより、実画像形成の場合、画像処理部60から記録ヘッド10に供給される駆動制御信号のインク吐出タイミングが、レジ調整部60Rにより吐出タイミング補正信号に基づいて補正されることとなる。
図12は、本発明に係るレジストレーション調整方法の他の一例に用いられるレジ調整制御部が上述の臨界吐出位置を決定するための演算を行うサプルーチンプログラムの一例を示すフローチャートである。
図12において、先ず、スタート後、上述の1次吐出範囲におけるインク吐出より得られたデータDDが取り込まれた後(ステップS20)、そのデータDDから基準となるデータ配列が抽出される(ステップS21)。
例えば、サンプリングが開始された時点からサンプリング信号のレベルが十分に低下するまでに得られたサンプル数が100であった場合、この100サンプルが基準データ配列となる(ステップS22)。
続いて、上述の2次吐出範囲におけるインク吐出により得られたデータDDから、比較対象となる比較データ配列が順次、抽出される(ステップS23)。
例えば、比較データ配列として最初に抽出される範囲は、基準データ配列と同じインク滴の吐出開始時点から100サンプルまでとなり、配列の要素数も基準データ配列と同じ数に設定される。
最初の比較データ配列が決定される場合、2つのデータ配列との間で一致の度合いを測るために比較値Cが計算され、データ配列の抽出範囲データとともに、そのデータがメモリ部70に記憶される(ステップS24)。
比較値Cとは、例えば、2つのデータ配列の差の絶対値の和、または、2つのデータ配列の差の二乗和によって求められる値であり、2つのデータが高い一致を示す場合、その比較値Cの値が小さくなり、一方、2つのデータが高い一致を示さない場合、比較値Cの値が大きくなる。
ここで、基準データ配列をSb(i)、比較データ配列をSo(i)としたとき、この比較データ配列に対する比較値Cは、2つのデータ配列の差の絶対値の和として次式(6)によって計算される。
C= SUM(|So(i)―Sb(i)|) (但し、i=1〜N)・・(6)
なお、比較値Cの算出方法において、次式(7)のように要素ごとの差の二乗和を求めて加算する方法が代用されてもよい。
C= SUM((So(i)―Sb(i))) (但し、i=1〜N)・・(7)
続いて、再度、次の比較データ配列の抽出が行われる(ステップS21)。そのデータ抽出では、前回抽出したデータ範囲から1サンプル分シフトされた範囲が抽出される。比較データ配列が抽出された場合(ステップS23)、再度、基準データ配列との間で比較値Cが計算され、その値がデータとしてメモリ部70に記憶される(ステップ24)。
同様に、上述の2次吐出範囲におけるインク吐出よって得られたデータDDにおける抽出範囲を順次、シフトさせながら比較値Cを求める処理が繰り返される。
所定の範囲において全ての比較値Cが求められた場合、最小となるデータ値が選択される(ステップS26)。
メモリ部70に記憶された全ての比較値Cのデータの中から最も値が小さい、つまり、最も2つのデータ配列が一致しているときの比較データ配列の抽出範囲のデータが選択される(ステップS26)。
続いて、臨界吐出位置が求められる。斯かる臨界吐出位置を求めるにあたり、図13(A)および(B)に示されるような検出信号の特性線Sf(一次吐出範囲),特性線Ss(二次吐出範囲)と、比較値Cを示す特性線Lcが必要とされる。
図13(A)および(B)は、それぞれ、本願の発明者により行われた実験結果により得られた検出信号の特性線Sf(一次吐出範囲),特性線Ss(二次吐出範囲)と、比較値Cを示す特性線Lcとを示す。
検出信号の特性線Sf(一次吐出範囲),および、特性線Ss(二次吐出範囲)は、所定実験装置に設けられる検出装置により得られた信号とされる。その検出装置は、上述の着弾位置検出装置24におけるLED30、フォトダイオード32と同等の感度を有する工学的な検出部、および、軸部材28を備えるものとされる。
図13(B)のような変化を示す特性線Lcは、図13(A)の吐出開始時点(位置)toから検出信号SfのレベルLが所定値以下に下がるまでの範囲を、基準データ配列として2次吐出範囲におけるインク吐出により得られた検出信号Ssとの間で比較値Cを求めていくと得られる。
図13(B)において、比較値Cが最小となる位置tcが、得られた特性線Lcに基づいて選択され、インク滴吐出開始位置toから位置tcまでかかる時間を遅れΔtとする。
臨界吐出位置を求める計算は、上述の一例と同様に行い、2次吐出範囲においてインク滴が軸部材28の外周面に着弾した発数Nは、遅れ時間Δt、吐出周期Tに基づいて得られる。これにより、2次吐出範囲において吐出開始時点の位置からNo+(N+1)発目の位置が臨界吐出位置として決定され、それがデータとしてメモリ部70に格納されることになる(ステップS27)。
本実施例では、記録ヘッド10に吐出信号が送られた時点から検出信号の波形が変化するまでの時間を求める方法として、1次吐出範囲および2次吐出範囲におけるインク吐出によって得られた検出信号の波形が互いに最も一致するような遅れΔtを求めた。
この方法によれば、ノイズの影響を受けやすいセンサ回路において精度良くレジ調整の補正値を求めることができる。
ここで、遅れΔtを求める手法としては、同様の発想から要素間の差の2乗和(最小2乗法)を用いることも可能である。本願の発明者の検証によれば、上記実施例で説明した差の絶対値和を用いた方がより高い精度を得ることができることが確認された。
また、上述の実施例では、記録ヘッド10に吐出信号が送られた時点から検出信号のレベルが閾値SLよりも低くなるまでの時間を求めることで臨界吐出位置が決定されている。
しかしながら、光学素子や制御回路の影響により、検出信号がノイズなどの影響を受けやすくなっており、閾値SL以下となるまでの時間にばらつきが出る可能性がある。このばらつきがインク滴の吐出周期よりも小さいものであれば問題とされないが、閾値SL以下となるまでの時間にばらつきがインク吐出周期よりも大きい場合、問題となる場合がある。
従って、斯かる例においては、1次吐出範囲および2次吐出範囲におけるインク吐出によって得られた検出信号の波形が互いに最も一致するような遅れΔtに基づいて臨界吐出位置が求められたので閾値SL以下となるまでの時間にばらつきがインク吐出周期よりも大きい場合においても、正確なレジ調整補正値が得ることができることとなる。
上述の実施例では、1つのキャリッジ走査速度による2次吐出範囲の走査を1回ずつ行い、検出信号が計測されている。しかしながら、実画像形成時に用いられるキャリッジ速度において1回の走査では所望の印字解像度が得られないような場合がある。
このような場合の対策として、このような比較的速いキャリッジ走査速度を用いて所望のレジ調整解像度を得る場合における他の方法の一例について説明する。
基本的な装置構成は、上述の実施例の構成と同様であるのでその重複説明については、省略する。
先ず、レジ調整におけるキャリッジ走査速度の選択の際、インク滴の吐出周波数が印字解像度、もしくは、レジ調整解像度を満足しない速度が含まれる場合、それらのキャリッジ走査速度において行う走査の回数が複数回に分けられる。
例えば、キャリッジ速度25inch/sec、インク滴の吐出周波数が15kHzである場合、1回の走査では600dpiの解像度でしかレジ調整を行うことができないが、印字解像度が1200dpiである場合、隣接して形成される画素が互いに半画素分だけ重なり合うようにするためにはその4倍の4800dpi程度のレジ調整解像度が必要であるから、吐出開始タイミングをシフトさせた場合、その走査速度におけるキャリッジ12の走査回数は、8回となる。
キャリッジ12の走査回数が決定された場合、その走査回数(例えば、8回)からインク滴の吐出開始タイミングのシフト量が決められる。吐出開始タイミングのシフト量は、インク滴の吐出周期をキャリッジ12の走査回数で割ったものとなるから、ここでは毎回約8.3μs吐出開始タイミングがシフトされることとなる。
キャリッジ12の走査回数と吐出開始タイミングのシフト量とが、それぞれのキャリッジ走査速度において決定された場合、最初に1次吐出範囲のインク吐出が行われ、続いて、2次吐出範囲におけるインク吐出が行われる。
その1次吐出範囲においては、25inch/secでキャリッジ12が走査され、所定の吐出範囲において、吐出周波数15kHzでインク滴が吐出されることにより、検出信号の計測が行われる。
1次吐出範囲におけるインク吐出は、1回の走査で終了し、続いて、1回目の2次吐出範囲におけるインク吐出が行われる。
2次吐出範囲におけるインク吐出では、25inch/secでキャリッジ12が走査され、所定の吐出範囲において吐出周波数15kHzでインク滴の吐出が行われることにより、検出信号の計測が行われる。
2回目の走査における2次吐出範囲におけるインク吐出では、同様に25inch/secでキャリッジ12が走査され、吐出周波数15kHzでインク滴の吐出が行われるが、吐出が行われるタイミングが1回目の走査より8.3μsだけ遅れて行われる。
同様にして毎回8.3μsずつ吐出開始タイミングがシフトされ、最終的に2次吐出範囲のインク吐出用の走査が8回行われることとなる。
2次吐出範囲のインク吐出がすべて終了した場合、検出信号の記録からそれぞれの吐出における上述の臨界吐出位置が決定される。
それぞれの吐出での臨界吐出位置が決定された場合、その中からキャリッジ12の走査方向から見て最も手前に位置している吐出位置を選択する。
この最も手前に位置している吐出位置から吐出されたインク滴は、全ての2次吐出範囲におけるインク吐出の中で最も軸部材28の外周面部分近くを通過することになる。
これによって決められた臨界吐出位置は、8.3μsの吐出周波数で吐出されたときの結果、つまり、4800dpiの解像度で吐出されることによって決められる臨界吐出位置と同じ精度となる。
以上の方法を用いて3段階それぞれのキャリッジ走査速度における臨界吐出位置を求めることにより、1回の走査による結果より高い解像度でレジ調整補正値を得ることができる。
本発明に係るレジストレーション調整装置の一例の要部の構成を模式的に示す構成図である。 本発明に係るプリンタにおけるレジストレーション調整方法の一例が適用されたインクジェットプリンタの要部の構成を示す斜視図である。 図2に示される例において備えられる制御ブロックの構成を示すブロック図である。 図2に示される例においてレジストレーション調整方法の説明に供される図である。 図1に示される例において、着弾位置検出装置から得られた検出出力の波形を示す波形図である。 図2に示される例においてレジストレーション調整方法の説明に供される図である。 図1に示される例において、着弾位置検出装置から得られた検出出力の波形を示す波形図である。 図2に示される例においてレジストレーション調整方法の説明に供される図である。 臨界吐出位置のずれ量とキャリッジ走査速度との関係を二次曲線で示す特性図である。 図2に示される例においてレジストレーション調整方法の説明に供される図である。 図3に示される制御ユニットがマイクロコンピュータで構成される場合、斯かる制御ユニットが実行するプログラムの一例を示すフローチャートである。 図3に示される制御ユニットがマイクロコンピュータで構成される場合、斯かる制御ユニットが実行するプログラムの他の一例を示すフローチャートである。 (A)および(B)は、それぞれ、検出信号の特性図、(A)の特性図に基づいて演算され得られた比較値の変化を示す特性図である。
符号の説明
10 記録ヘッド
10B,10C,10M,10LM,10LC,10Y ヘッドチップ
12 キャリッジ
22 エンコーダ
24 着弾位置検出装置
28 軸部材
34 インク検出領域
60 画像処理部
60R レジ調整部
66 制御ユニット
68 レジ調整制御部
72 動作制御部

Claims (6)

  1. 記録用液体を吐出する液体吐出部を有する記録ヘッドが往復可能に移動せしめられる移動経路に対向配置される所定の液体検出領域内に該記録ヘッドの移動方向に交差するように配され、移動中の該記録ヘッドの液体吐出部から選択的に吐出される記録用液体の該液体検出領域内に進入する量を制限する液体進入量制限部材に到達させることなく前記液体検出領域内に記録用液体を吐出させる一次吐出範囲において前記液体吐出部から記録用液体を吐出させる工程と、
    前記液体吐出部からの吐出された記録用液体の一部が前記液体進入量制限部材に到達するように前記液体検出領域内に吐出される二次吐出範囲において前記液体吐出部から記録用液体を吐出させる工程と、
    前記一次吐出範囲において前記液体検出領域内を通過する前記記録用液体を検出し、検出出力を送出する液体検出部からの検出出力のレベルが所定の基準レベル以下となるまでの第1の期間と前記二次吐出範囲において前記液体検出領域内を通過する前記記録用液体を検出する前記液体検出部からの検出出力のレベルが所定の基準レベル以下となるまでの第2の期間との差である遅れ時間を算出する工程と、
    算出された前記遅れ時間に基づいて前記記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置を演算する工程と、
    算出された前記記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置に基づいて前記記録用液体の着弾位置と所定の基準位置とのずれ量を前記移動経路における往路および復路についてそれぞれ算出し、得られた各ずれ量を加算し、レジ調整用補正値とする工程と、
    を含んでなるプリンタにおけるレジストレーション調整方法。
  2. 前記一次吐出範囲において前記液体検出領域内を通過する前記記録用液体を検出し、検出出力を送出する液体検出部からの検出出力、および、前記二次吐出範囲において前記液体検出領域内を通過する前記記録用液体を検出する該液体検出部からの検出出力に基づいて基準データ配列および比較データ配列を抽出した後、該基準データ配列および比較データ配列を比較して得られる比較値に基づいて前記遅れ時間を算出することを特徴とする請求項1記載のプリンタにおけるレジストレーション調整方法。
  3. 前記比較値は、2つのデータ配列の差の絶対値の和、または、2つのデータ配列の差の二乗和によって求められる値であることを特徴とする請求項1記載のプリンタにおけるレジストレーション調整方法。
  4. 前記記録ヘッドの移動速度ごとに前記遅れ時間を複数個、算出し、算出された該遅れ時間に基づいて前記記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置をそれぞれ演算することを特徴とする請求項1記載のプリンタにおけるレジストレーション調整方法。
  5. 前記二次吐出範囲において前記液体吐出部から記録用液体を吐出させる工程が前記記録ヘッドの複数回の走査ごとに実行される場合、該液体吐出部から記録用液体を吐出開始させるタイミングが、順次、所定のシフト量分遅れることを特徴とする請求項1記載のプリンタにおけるレジストレーション調整方法。
  6. 記録用液体を吐出する液体吐出部を有する記録ヘッドにおける該記録用液体の吐出を行わせるタイミングをあらわす吐出タイミング信号を形成する吐出タイミング信号発生部と、
    前記記録ヘッドが往復可能に移動せしめられる移動経路に対向するとともに、該記録ヘッドの移動方向に交差するように所定の液体検出領域内に配され、移動中の該記録ヘッドの液体吐出部から選択的に吐出される記録用液体の該液体検出領域内に進入する量を制限する液体進入量制限部材と、
    前記液体進入量制限部材に対し下方となる位置に配され、前記液体検出領域内を通過する前記記録用液体を検出し、検出出力を送出する液体検出部と、
    移動中の前記記録ヘッドの液体吐出部からの吐出された前記記録用液体が前記液体進入量制限部材に到達することなく前記液体検出領域内に吐出される一次吐出範囲において前記液体検出部からの検出出力のレベルが所定の基準レベル以下となるまでの第1の期間と前記液体吐出部からの吐出された記録用液体の一部が前記液体進入量制限部材に到達するように前記液体検出領域内に吐出される二次吐出範囲において前記液体検出部からの検出出力のレベルが所定の基準レベル以下となるまでの第2の期間との差である遅れ時間を演算する遅れ時間演算部と、
    前記移動経路における往路および復路において前記遅れ時間演算部により得られた遅れ時間に基づいて前記記録ヘッドの液体吐出部の臨界吐出位置を演算する臨界吐出位置演算部と、
    前記臨界吐出位置演算部により演算された前記記録ヘッドの液体吐出部の各臨界吐出位置に基づいて所定の基準位置に対する前記記録用液体の着弾位置のずれ量をそれぞれ演算し、前記往路および復路において得られた各着弾位置のずれ量を加算し、レジ調整用補正値とするレジ調整用補正値演算部と、
    前記レジ調整用補正値演算部により得られたレジ調整用補正値に基づいて前記吐出タイミング信号発生部からの吐出タイミング信号を調整するレジ調整部と、
    を具備して構成されるレジストレーション調整装置。
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