JP2006167545A - 下水処理装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水熱反応処理排水中から発泡成分あるいは/及び着色成分を除去する。
【解決手段】 下水Xを浄化する好気性排水処理設備2と、該好気性排水処理設備2において上記下水X中から除去された汚泥Yを処理する汚泥処理設備3とを備えた下水処理装置であって、上記汚泥Yを水熱反応処理して水熱反応処理排水Y4として排出する水熱反応器31と、上記水熱反応処理排水Y4に含まれる発泡成分を上記水熱反応処理排水Y4に発泡成分吸着剤Z1を添加することによって除去する発泡成分除去部36あるいは/及び上記水熱反応処理排水Y4に含まれる着色成分を上記水熱反応処理排水Y4に着色成分吸着剤Z2を添加することによって除去する着色成分除去部37とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、下水処理装置及び方法に関するものである。
下水を処理する場合には、一般的に、まず、下水を最初沈殿池等で一旦貯留し、下水中に含まれる汚泥を沈降させる。その後、最初沈殿池の上澄み液を曝気槽において、上澄み液中に含まれる有機成分を微生物に取り込ませることによって上澄み液から有機成分を除去する曝気処理を行う。そして、この曝気処理された曝気液を最終沈殿池等で再び貯留し、曝気液中に含まれる汚泥を沈降させ、この最終沈殿池の上澄み液を処理水として排出している。
従来、最初沈殿池及び最終沈殿池において除去された汚泥は、焼却処理することによって処理されていた。しかしながら、近年の環境意識の高まりから、汚泥の焼却量を減らすあるいは汚泥を焼却処理せずに減容化する方法が求められている。
そして、近年、このような方法として汚泥を水熱反応処理することによって減容化する方法が提案されている。この水熱反応処理は、濃縮した汚泥を例えば200℃以上の高温高圧水で水熱反応させ、汚泥に含まれる有機成分を可溶化することによって、汚泥の固体容量を大幅に減容化する方法である。そして、最初沈殿池及び最終沈殿池において除去された汚泥を混合及び濃縮した後に水熱反応処理を行うことによって、汚泥の固体量を大幅に減容化することができるため、汚泥の焼却量を大幅に減少させることが可能となる。
特開2002−086099号公報 特開2000−225313号公報 特開2001−208367号公報
しかしながら、汚泥を水熱反応処理することによって得られた水熱反応処理排水中には、発泡成分や着色成分が残存している。一般的に、水熱反応処理排水は、下水中に返流することが考えられているが、例えば、曝気槽の前段に水熱反応処理排水を返流した場合には、曝気槽において発泡成分が発泡し、曝気槽に泡が溜まることとなり曝気処理の処理効率の低下を招くこととなる。また、水熱反応処理排水を曝気槽の後段に返流する場合であっても、処理水中に発泡成分が含まれることになるため、処理水を川等に放流した際に川等に泡が生じることとなり、景観上好ましくない。また、水熱反応処理排水中には、着色成分も残留しているため、処理水が着色されることになり、さらには処理水が放流される川等が着色されることになるため、景観上好ましくない。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、水熱反応処理排水中から発泡成分あるいは/及び着色成分を除去することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、下水処理装置に係る第1の手段として、下水を浄化する好気性排水処理設備と、該好気性排水処理設備において上記下水中から除去された汚泥を処理する汚泥処理設備とを備えた下水処理装置であって、上記汚泥を水熱反応処理して水熱反応処理排水として排出する水熱反応器と、上記水熱反応処理排水に含まれる発泡成分を上記水熱反応処理排水に発泡成分吸着剤を添加することによって除去する発泡成分除去部とを備えるという構成を採用する。
下水処理装置に係る第2の手段として、上記第1の手段において、上記発泡成分吸着剤として、粉末活性炭を用いるという構成を採用する。
下水処理装置に係る第3の手段として、上記第1または第2の手段において、上記発泡成分を吸着した上記発泡成分吸着剤を上記水熱反応処理排水中から固液分離によって除去する発泡成分吸着剤除去部を備えるという構成を採用する。
下水処理装置に係る第4の手段として、下水を浄化する好気性排水処理設備と、該好気性排水処理設備において上記下水中から除去された汚泥を処理する汚泥処理設備とを備えた下水処理装置であって、上記汚泥を水熱反応処理して水熱反応処理排水として排出する水熱反応器と、上記水熱反応処理排水に含まれる着色成分を上記水熱反応処理排水に着色成分吸着剤を添加することによって除去する着色成分除去部とを備えるという構成を採用する。
下水処理装置に係る第5の手段として、上記第4の手段において、上記着色成分吸着剤として、粉末活性炭、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄あるいは塩化鉄を用いるという構成を採用する。
下水処理装置に係る第6の手段として、上記第4または第5の手段において、上記着色成分を吸着した上記着色成分吸着剤を上記水熱反応処理排水中から固液分離によって除去する着色成分吸着剤除去部を備えるという構成を採用する。
下水処理装置に係る第7の手段として、上記第1〜第6いずれかの手段において、上記発泡成分吸着剤除去部あるいは/及び上記着色成分吸着剤除去部として沈殿槽を用いるという構成を採用する。
下水処理装置に係る第8の手段として、上記第1〜第6いずれかの手段において、上記発泡成分吸着剤除去部あるいは/及び上記着色成分吸着剤除去部として加圧浮上装置を用いるという構成を採用する。
下水処理装置に係る第9の手段として、上記第1〜第8いずれかの手段において、上記好気性排水処理設備の前段に嫌気性排水処理設備を備えるという構成を採用する。
次に、下水処理方法に係る第1の手段として、下水を浄化し、かつ、上記下水中から除去された汚泥を処理する下水処理方法であって、上記汚泥を水熱反応処理して水熱反応処理排水として排出し、上記水熱反応処理排水に含まれる発泡成分を上記水熱反応処理排水に発泡成分吸着剤を添加することによって除去するという構成を採用する。
下水処理方法に係る第2の手段として、上記第1の手段において、上記発泡成分吸着剤として、粉末活性炭を用いるという構成を採用する。
下水処理方法に係る第3の手段として、上記第1または第2の手段において、上記発泡成分を吸着した上記発泡成分吸着剤を上記水熱反応処理排水中から固液分離によって除去するという構成を採用する。
下水処理方法に係る第4の手段として、下水を浄化し、かつ、上記下水中から除去された汚泥を処理する下水処理方法であって、上記汚泥を水熱反応処理して水熱反応処理排水として排出し、上記水熱反応処理排水に含まれる着色成分を上記水熱反応処理排水に着色成分吸着剤を添加することによって除去するという構成を採用する。
下水処理方法に係る第5の手段として、上記第4の手段において、上記着色成分吸着剤として、粉末活性炭、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄あるいは塩化鉄を用いるという構成を採用する。
下水処理方法に係る第6の手段として、上記第4または第5の手段において、上記着色成分を吸着した上記着色成分吸着剤を上記水熱反応処理排水中から除去するという構成を採用する。
下水処理方法に係る第7の手段として、上記第1〜第6いずれかの手段において、上記発泡成分吸着剤あるいは/及び上記着色成分吸着剤を上記水熱反応処理排水中から除去する際に、上記発泡成分吸着剤あるいは/及び上記着色成分吸着剤を沈殿によって除去するという構成を採用する。
下水処理方法に係る第8の手段として、上記第1〜第6いずれかの手段において、上記発泡成分吸着剤あるいは/及び上記着色成分吸着剤を上記水熱反応処理排水中から除去する際に、加圧浮上法を用いるという構成を採用する。
本発明の下水処理装置及び方法によれば、水熱反応処理排水に含まれる発泡成分あるいは/及び着色成分が水熱反応処理排水に添加される発泡成分吸着剤あるいは/及び着色成分吸着剤によって除去される。したがって、水熱反応処理排水中から発泡成分あるいは/及び着色成分を除去することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る下水処理装置及び方法の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の下水処理装置1の機能構成を示したブロック図である。本実施形態の下水処理装置1は、外部から供給される下水Xを浄化すると共に下水Xの浄化の際に生成される汚泥を処理するものであり、好気性排水処理設備2と、汚泥処理設備3とを備えて構成されている。
好気性排水処理設備2は、外部から供給される下水Xを浄化して処理水X2として排出すると共に下水Xを浄化する際に下水X中から除去した汚泥Yを汚泥処理設備3に供給するものである。
汚泥処理設備3は、水熱反応器31と、発泡成分除去部36と、着色成分除去部37と吸着剤除去部38(発泡成分吸着剤除去部,着色成分吸着剤除去部)とを備えて構成されている。
水熱反応器31は、好気性排水処理設備2から供給された汚泥Yを200℃以上の高温高圧水によって水熱反応処理することによって、汚泥Yに含まれる有機成分を可溶化して水熱反応処理排水Y4として排出するものである。
下水Xから除去される汚泥Yには食品廃棄物や微生物細胞を多く含んでいる。これらの食品廃棄物や微生物細胞には、油脂が含まれている。このため、汚泥Yが水熱反応器31によって水熱反応処理されることによって、汚泥Yに含まれる食品廃棄物や微生物細胞が破壊され、水熱反応処理排水Y4の表面に油状物質が浮上することになる。この油状物質は、界面活性剤としての機能を有しており、水熱反応処理排水Y4において泡の発生を助長する。すなわち、汚泥Yを水熱反応処理することによって得られる水熱反応処理排水Y4には、発泡成分が含まれていることになる。
また、汚泥Yが水熱反応器31によって水熱反応処理される際には、有機化合物骨格から酸素・水素を含む部分の脱離反応によって炭化物質が生成される。また、汚泥Yが水熱反応器31によって水熱反応処理される際には、生成したラジカル分子同士の再結合による分子量の増大によりタール状物質が生成される。そして、これらの炭化物質及びタール状物質は水熱反応処理排水Y4に含まれる着色成分として機能する。
このような発泡成分及び着色成分が水熱反応処理排水Y4中に含まれている場合には、水熱反応処理排水Y4を微生物による処理を行う場合における微生物の活性を低下させたり、川等の景観を損なう原因となる。そこで、本実施形態の下水処理装置1は、水熱反応処理排水Y4に含まれる発泡成分を除去する発泡成分除去部36と、水熱反応処理排水Y4に含まれる着色成分を除去する着色成分除去部37とを備える。
発泡成分除去部36は、水熱反応処理排水Y4中に発泡成分吸着剤Z1を添加することによって水熱反応処理排水Y4に含まれる発泡成分を除去するものである。具体的には、発泡成分吸着剤Z1として、粉末活性炭、ゼオライトあるいはベントナイト等を用いることができる。そして、このような発泡成分吸着剤Z1を水熱反応処理排水Y4中に添加すると、油状成分が発泡成分吸着剤Z1に吸着されることによって水熱反応処理排水Y4から発泡成分が除去される。なお発泡成分吸着剤Z1としてベントナイトを用いる場合には、発泡成分吸着剤の他にアニオン、カチオン系の高分子凝集剤を水熱反応処理排水Y4に添加する必要がある。
着色成分除去部37は、水熱反応処理排水Y4中に着色成分吸着剤Z2を添加することによって水熱反応処理排水Y4に含まれる着色成分を除去するものである。具体的には、着色成分吸着剤Z2として、粉末活性炭、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄あるいは塩化鉄等を用いることができる。そして、このような着色成分吸着剤Z2を水熱反応処理排水Y4中に添加すると、炭化物質及びタール状物質が着色成分吸着剤Z2に吸着されることによって水熱反応処理排水Y4から着色成分が除去される。
吸着剤除去部38は、発泡成分を吸着した発泡成分吸着剤Z1と着色成分を吸着した着色成分吸着剤Z2とを水熱反応処理排水Y4中から固液分離によって除去するものである。この吸着剤除去部38としては、遠心分離機、沈殿槽あるいは加圧浮上装置等を用いることができる。遠心分離機は、水熱反応処理排水Y4を回転させることによって発生する遠心力を用いて水熱反応処理排水Y4から固相分である発泡成分吸着剤Z1及び着色成分吸着剤Z2を除去するものである。また、沈殿槽は、固相分である発泡成分吸着剤Z1及び着色成分吸着剤Z2を自重により沈殿させ水熱反応処理排水Y4から除去するものである。また、加圧浮上装置は、加圧した水熱反応処理排水Y4中に空気を溶かし込み、その後水熱反応処理排水Y4を常圧にリリースした際に水熱反応処理排水Y4中に発生する細かい気泡によって固相分である発泡成分吸着剤Z1及び着色成分吸着剤Z2を浮上させて除去するものである。
そして、図1に示すように、吸着剤除去部38によって発泡成分吸着剤Z1及び着色成分吸着剤Z2が除去された水熱反応処理排水Y4は、下水Xに返流されて処理水X2の一部として下水処理装置1の外部に排出される。
ここで、本実施形態の下水処理装置1においては、発泡成分除去部36によって、水熱反応処理排水Y4中から発泡成分が除去されている。このため、好気性排水処理設備2で下水Xに対して微生物を用いた処理を行う場合であっても、処理能力の低下を招く恐れをなくすことができる。
また、本実施形態の下水処理装置1においては、着色成分除去部37によって、水熱反応処理排水Y4中から着色成分が除去されている。このため、処理水X2を着色させることなく排出することが可能となる。
また、本実施形態の下水処理装置1においては、吸着剤除去部38によって、水熱反応処理排水Y4からが除去されるため、水熱反応処理排水Y4に発泡成分吸着剤Z1及び着色成分吸着剤Z2が含まれない水熱反応処理排水Y4を返流することができる。このため、好気性排水処理設備2における処理能力の低下を招く恐れはない。
(実施例)
次に、表1及び表2を参照して、上記実施形態である下水処理装置1の実施例について説明する。
表1は、吸着剤除去部38から排出された水熱反応処理排水Y4を攪拌した後、1分間静置した場合における発泡状態及び脱色状態を示したものである。また、表2は、吸着剤除去部38から排出された水熱反応処理排水Y4を希釈水によって30倍に希釈したものを攪拌した後、1分間静置した場合における発泡状態及び脱色状態を示したものである。なお、本実施例においては、発泡成分吸着剤Z1としてベントナイト0.2%溶液を用い、着色成分吸着剤Z2としてポリ塩化アルミニウムを用い、吸着剤除去部38として加圧浮上装置を用い、また発泡成分吸着剤Z1の添加量に適した量の高分子凝集剤5%溶液を用いた。
Figure 2006167545
Figure 2006167545
これらの表1及び表2から分かるように、発泡成分吸着剤Z1を水熱反応処理排水Y4に添加することによって、攪拌後1分間静置した場合には、攪拌によって発生した泡が消えることが確認された。特に、表2に示すように、水熱反応処理排水Y4を下水Xに返流した場合と略同様の希釈倍率に薄めた場合には、発泡成分吸着剤Z1の添加量に関わらず攪拌後1分間静置した場合に、泡が消えることが確認された。
また、表1及び表2に示すように、着色成分吸着剤Z2を水熱反応処理排水Y4に添加した場合には、水熱反応処理排水Y4が色薄になることが確認された。
図2は、本実施形態の下水処理装置1の概略構成を示したシステムフロー図である。
この図に示すように、好気性排水処理設備2は、最初沈殿池21と、曝気槽22と、最終沈殿池23とを備えている。
最初沈殿池21は、外部から配管aを介して供給される下水Xを所定時間貯留することによって、下水X中に含まれる汚泥Y1を重力沈殿させ除去すると共に、その上澄み液X1を配管bを介して排出するものである。この汚泥Y1は最初沈殿池21の下部に接続された配管cを介して最初沈殿池21の外部に排出される。
曝気槽22は、配管bを介して最初沈殿池21と接続されている。この曝気槽22は、配管bを介して最初沈殿池21から供給される上澄み液X1を曝気処理するものである。より詳細には、上澄み液X1に含まれる有機成分を好気性微生物に取り込ませることによって除去するものであり、好気性微生物が良好に繁殖できる環境を形成するために、適度な量の空気を配管dを介して上澄み液X1に対して供給しながら、上澄み液X1の曝気処理を行う。また、曝気槽22には、配管eが接続されており、この配管eを介して曝気処理後の上澄み液X1が曝気液として排出される。
最終沈殿池23は、配管eを介して曝気槽22と接続されている。この最終沈殿池23は、配管eを介して供給される曝気液X1を所定時間貯留することによって、上澄み液X1中にふくまれる汚泥Y2を重力沈殿させ除去すると共に、その上澄み液を処理水X2として配管fを介して排出するものである。そして、汚泥Y2は、最終沈殿池23の下部に接続された配管gを介して最終沈殿池23の外部に排出される。なお、曝気槽22における菌体量低下を防止するために、汚泥Y2の一部は、配管gの途中部位に接続された配管hを介して曝気槽22に返流される。
また、好気性排水処理設備2は、汚泥濃縮機24、水熱反応処理排水脱水機27及び焼却装置28を備えている。
汚泥濃縮機24は、汚泥Y1,Y2を濃縮するものであり、配管c及び配管gを介して最初沈殿池21及び最終沈殿池23と接続されている。そして、汚泥濃縮機24は、汚泥Y1,Y2の固体成分比率が、例えば5%となるように汚泥Y1,Y2を濃縮する。なお、汚泥濃縮機24は、汚泥Y1,Y2を濃縮することによって得られた水分を、配管kを介して排出する。なお、汚泥濃縮機24としては、汚泥Y1,Y2を濃縮できるものであれば使用可能であり、例えばスクリュープレスやスクリューデカンタ等の濃縮機を用いることができる。
水熱反応処理排水脱水機27は、後に詳説する汚泥処理設備3から排出される水熱反応処理排水Y4を固液分離するものであり、配管oを介して汚泥処理設備3と接続されている。この水熱反応処理排水脱水機27は、上述の吸着剤除去装置38と兼用されており、汚泥処理設備3の一構成要素でもある。そして、水熱反応処理排水脱水機27は、水熱反応処理排水Y4を固液分離することによって得られた水分(以下、水熱反応処理脱水脱離液Y5と称する)を再び汚泥処理設備3に配管pを介して返流し、水熱反応処理排水Y4を固液分離することによって得られた固体分を水熱反応処理残渣Y6として搬送路qを介して排出する。なお、水熱反応処理脱水脱離液Y5は、水熱反応処理排水Y4を固液分離することによって得られるため、水熱反応処理排水Y4の一部分をなすものである。
焼却装置28は、水熱反応処理排水脱水機27によって水熱反応処理排水Y4から分離された水熱反応処理残渣Y6を焼却処理するものであり、搬送路qを介して水熱反応処理排水脱水機27と接続されている。
汚泥処理設備3は、下水Xを浄化する際に生成される汚泥を処理するものであり、水熱反応器31と、リン回収装置32と、高速嫌気処理装置33と、脱硫装置34と、脱窒装置35と、除去部39とを備えている。
水熱反応器31は、好気性排水処理設備2の汚泥濃縮機24と配管lを介して接続されており、また、好気性排水処理設備2の水熱反応処理排水脱水機27と配管oを介して接続されている。この水熱反応器31は、配管lを介して汚泥濃縮機24から供給される汚泥Y1,Y2を200℃以上の高温高圧水で水熱反応させ、汚泥に含まれる有機成分を可溶化して水熱反応処理排水Y4として排出するものである。
そして、本実施形態の下水処理装置1においては、配管oの途中部位に上述の発泡成分除去部36と着色成分除去部37との機能を共に有する除去部39が設置されている。この除去部39においては、発泡成分吸着剤及び着色成分吸着剤が水熱反応処理排水Y4に添加され、この発泡成分吸着剤及び着色成分吸着剤に吸着されることよって水熱反応処理排水Y4に含まれる発泡成分及び着色成分が除去される。なお、粉末活性炭は、発泡成分吸着剤の機能と着色成分吸着剤の機能とを併せ持つため、除去部39においては、粉末活性炭のみを水熱反応処理排水Y4に添加することによって、水熱反応処理排水Y4に含まれる発泡成分及び着色成分を吸着して除去することができる。
リン回収装置32は、好気性排水処理設備2の水熱反応処理排水脱水機27と配管pを介して接続されており、配管pを介して水熱反応処理排水脱水機27から水熱反応処理脱水脱離液Y5が供給されるものである。このリン回収装置32は、水熱反応処理脱水脱離液Y5に対してマグネシウム塩を添加することによって水熱反応処理脱水脱離液Y5に含まれるリン成分をMAP粒子として回収するものである。そして、リン回収装置32は、リン成分を回収した水熱反応処理脱水脱離液Y5を配管rを介して排出する。
高速嫌気処理装置33は、配管rを介してリン回収装置32と接続されており、嫌気性微生物によって水熱反応処理脱水脱離液Y5に含まれる有機成分を除去するものであり、より詳細には、嫌気性微生物によって水熱反応処理脱水脱離液Y5中に含まれる有機成分を分解することによって、水熱反応処理脱水脱離液Y5中に含まれる有機成分を除去する。そして、高速嫌気処理装置33は、水熱反応処理脱水脱離液Y5中に含まれる有機成分を嫌気性微生物によって分解することによって得られたバイオガスGを配管sを介して排出する。また、高速嫌気処理装置33は、有機成分が除去された水熱反応処理脱水脱離液Y5を配管tを介して排出する。
脱硫装置34は、配管sを介して高速嫌気処理装置33と接続されている。この脱硫装置34は、配管sを介して高速嫌気処理装置33から供給されるバイオガスG中に含まれる硫黄成分を除去して配管uを介して排出するものである。なお、脱硫装置34から配管uを介して排出されるバイオガスGにはメタンガスが80%以上含まれており、バイオガスGを例えばコジェネレーション設備等に供給することによって、発電用のガスとして用いることが可能である。
脱窒装置35は、配管tを介して高速嫌気処理装置33と接続されている。この脱窒装置35は、配管tを介して高速嫌気処理装置33から供給される水熱反応処理脱水脱離液Y5中に含まれる窒素成分を除去して、処理済液Y7として配管vを介して排出するものである。なお、配管vは、配管aと接続されている。すなわち、処理済液Y7は下水Xに配管vを介して返流される。
次に、このような構成を有する本実施形態の下水処理装置1の動作(下水処理方法)について説明する。
外部から下水Xが配管aを介して下水処理装置1に供給されると、下水Xは、好気性排水処理設備2において浄化される。
具体的には、下水Xは配管aを介して最初沈殿池21に供給され、最初沈殿池21において所定時間貯留されることによって、汚泥Y1が除去される。
そして、汚泥Y1が除去された下水Xである上澄み液X1が配管bを介して曝気槽22に供給される。上澄み液X1は、曝気槽22において曝気処理されることによって有機成分が除去された後、曝気液X1として配管eを介して最終沈殿池23に供給される。ここで、曝気液X1には、曝気槽22において用いられた好気性微生物が多く含まれている。
曝気液X1は、最終沈殿池23において、再び所定時間貯留されることによって、汚泥Y2が除去される。
その後、汚泥Y2が除去された曝気液X1は、処理水X2として配管fを介して下水処理装置1の外部に排水される。
最初沈殿池21において下水Xから除去された汚泥Y1は、配管cを介して汚泥濃縮機24に供給される。
一方、最終沈殿池23において曝気液X1から除去された汚泥Y2は、配管gを介して汚泥濃縮機24に供給される。なお、汚泥Y2の一部は、曝気槽22における菌体量の低下防止のため配管hを介して曝気槽22に返流される。
そして、汚泥Y1,Y2は、汚泥濃縮機24によって、固体成分比率が例えば5%となるように濃縮され、その後配管lを介して汚泥処理設備3に供給される。なお、汚泥Y1,Y2を濃縮することによって得られる水分は、配管kを介して排出され、汚泥処理設備3で使用される希釈水の一部として利用することができる。
汚泥処理設備3に供給された汚泥Y1,Y2は、配管lを介して水熱反応器31に供給される。そして、水熱反応器31に供給された汚泥Y1,Y2は、水熱反応器31において水熱反応処理されることによって水熱反応処理排水Y4とされ、配管oを介して排出される。具体的には、汚泥Y1,Y2は、200℃以上の高温高圧水で水熱反応されることによって、有機成分が可溶化される。
配管oを介して排出される水熱反応処理排水Y4は、配管oの途中部位に設置された除去部39において、発泡成分吸着剤及び着色成分吸着剤が添加されることによって、発泡成分及び着色成分が除去される。その後、水熱反応処理排水Y4は、配管oを介して水熱反応処理排水脱水機27に供給される。ここで、水熱反応処理排水Y4は、固液分離されるこによって脱水される。そして、水熱反応処理排水Y4が脱水されることによって得られた水分は、水熱反応処理脱水脱離液Y5として配管pを介して再び汚泥処理設備3に供給される。また、水熱反応処理排水Y4が脱水されることによって得られた固体分は、水熱反応処理残渣Y6として搬送路qを介して焼却装置28に供給され焼却される。そして、発泡成分及び着色成分を吸着した発泡成分吸着剤及び着色成分吸着剤は、水熱反応処理排水脱水機27において固体分として水熱反応処理排水Y4から除去される。なお、除去部39を水熱反応処理排水脱水機27の後段に配置し、発泡成分吸着剤及び着色成分吸着剤を除去する吸着剤除去部38を水熱反応処理排水脱水機27と別に配置することもできるが、本実施形態のように、除去部39を水熱反応処理排水脱水機27の前段に配置する方が、吸着剤除去部38を水熱反応処理排水脱水機27と兼用することができるため、装置構成を簡素化することが可能となる。
さて、配管pを介して再び汚泥処理設備3に供給される水熱反応処理脱水脱離液Y5は、配管pを介してリン回収装置32に供給される。そして、リン回収装置32において、水熱反応処理脱水脱離液Y5にマグネシウム塩として水酸化マグネシウムが添加され、これによってMAP粒子が析出される。そして、このMAP粒子がリン回収装置32によって回収されることによって、水熱反応処理脱水脱離液Y5からリン成分が除去される。
リン回収装置32によってリン成分が除去された水熱反応処理脱水脱離液Y5は、配管rを介して高速嫌気処理装置33に供給される。なお、水熱反応処理脱水脱離液Y5は、配管rを介して高速嫌気処理装置33に供給される際に、必要に応じて希釈水によって希釈される。
水熱反応処理脱水脱離液Y5は、高速嫌気処理装置33において、有機成分が除去される。具体的には、嫌気性微生物によって、水熱反応処理脱水脱離液Y5中に含まれる有機成分を2日程度かけて分解することによって、水熱反応処理脱水脱離液Y5中の有機成分が除去される。ここで、本実施形態の下水処理装置1においては、除去部39によって水熱反応処理排水Y4に含まれる発泡成分が除去されているため、発泡成分による嫌気性微生物の活性低下が生じる恐れがない。
そして、高速嫌気処理装置33によって有機成分が除去された水熱反応処理脱水脱離液Y5は、配管tを介して脱窒装置35に供給され、脱窒装置35によって窒素成分が除去された後に、配管vを介して下水Xに処理済液Y7として返流される。ここで、本実施形態の下水処理装置1においては、除去部39によって水熱反応処理排水Y4に含まれる着色成分が除去されているため、着色成分による下水Xの着色を防止することができ、処理水X2が着色されることを防止することができる。また、上述のように、水熱反応処理排水Y4に含まれる発泡成分が除去されているため、下水Xに発泡成分が含まれ、曝気槽22における好気性微生物の活性が低下する恐れ及び発泡する恐れもない。
なお、水熱反応処理脱水脱離液Y5を嫌気性微生物によって分解した際に生成されるバイオガスGは、高速嫌気処理装置33から配管sを介して脱硫装置34に供給され、脱硫装置34によって硫黄成分が除去された後に、配管uを介して排気される。なお、配管uを介して排気されるバイオガスGは、例えばコジェネレーション設備等の発電用のガスとして用いることが可能である。
以上、図面を参照しながら本発明に係る下水処理装置及び方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、本発明の下水処理装置は、図3のブロック図に示すように、好気性排水処理設備2の前段に嫌気性排水処理設備4を備える構成を採用しても良い。このような構成を採用することによって、外部から供給される下水X及び水熱反応処理排水Y4に含まれる有機物をさらに減少させることができるため、より良好に処理水X2に残有する有機成分をさらに減少させることが可能となる。
本発明の一実施形態である下水処理装置の機能構成を示したブロック図である。 本発明の一実施形態である下水処理装置の概略構成を示したシステムフロー図である。 本発明の変形例に係わる下水処理装置の機能構成を示したブロック図である。
符号の説明
1……下水処理装置
2……好気性排水処理設備
3……汚泥処理設備
31……水熱反応器
32……リン回収装置
33……高速嫌気処理装置
36……発泡成分除去部
37……着色成分除去部
38……吸着剤除去部(発泡成分吸着剤除去部,着色成分吸着剤除去部)
39……除去部(発泡成分除去部,着色成分除去部)
X……下水
X1……上澄み液
X2……処理水
Y1……汚泥
Y2……汚泥
Y4……水熱反応処理排水
Y5……水熱反応処理脱水脱離液(水熱反応処理排水)
Y6……水熱反応処理残渣
Y7……処理済液
Z1……発泡成分吸着剤
Z2……着色成分吸着剤

Claims (17)

  1. 下水を浄化する好気性排水処理設備と、該好気性排水処理設備において前記下水中から除去された汚泥を処理する汚泥処理設備とを備えた下水処理装置であって、
    前記汚泥を水熱反応処理して水熱反応処理排水として排出する水熱反応器と、
    前記水熱反応処理排水に含まれる発泡成分を前記水熱反応処理排水に発泡成分吸着剤を添加することによって除去する発泡成分除去部と
    を備えることを特徴とする下水処理装置。
  2. 前記発泡成分吸着剤として、粉末活性炭を用いることを特徴とする請求項1記載の下水処理装置。
  3. 前記発泡成分を吸着した前記発泡成分吸着剤を前記水熱反応処理排水中から固液分離によって除去する発泡成分吸着剤除去部を備えることを特徴とする請求項1または2記載の下水処理装置。
  4. 下水を浄化する好気性排水処理設備と、該好気性排水処理設備において前記下水中から除去された汚泥を処理する汚泥処理設備とを備えた下水処理装置であって、
    前記汚泥を水熱反応処理して水熱反応処理排水として排出する水熱反応器と、
    前記水熱反応処理排水に含まれる着色成分を前記水熱反応処理排水に着色成分吸着剤を添加することによって除去する着色成分除去部と
    を備えることを特徴とする下水処理装置。
  5. 前記着色成分吸着剤として、粉末活性炭、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄あるいは塩化鉄を用いることを特徴とする請求項4記載の下水処理装置。
  6. 前記着色成分を吸着した前記着色成分吸着剤を前記水熱反応処理排水中から除去する着色成分吸着剤除去部を備えることを特徴とする請求項4または5記載の下水処理装置。
  7. 前記発泡成分吸着剤除去部あるいは/及び前記着色成分吸着剤除去部として沈殿槽を用いることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の下水処理装置。
  8. 前記発泡成分吸着剤除去部あるいは/及び前記着色成分吸着剤除去部として加圧浮上装置を用いることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の下水処理装置。
  9. 前記好気性排水処理設備の前段に嫌気性排水処理設備を備えることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の下水処理装置。
  10. 下水を浄化し、かつ、前記下水中から除去された汚泥を処理する下水処理方法であって、
    前記汚泥を水熱反応処理して水熱反応処理排水として排出し、前記水熱反応処理排水に含まれる発泡成分を前記水熱反応処理排水に発泡成分吸着剤を添加することによって除去することを特徴とする下水処理方法。
  11. 前記発泡成分吸着剤として、粉末活性炭を用いることを特徴とする請求項10記載の下水処理方法。
  12. 前記発泡成分を吸着した前記発泡成分吸着剤を前記水熱反応処理排水中から固液分離によって除去することを特徴とする請求項10または11記載の下水処理方法。
  13. 下水を浄化し、かつ、前記下水中から除去された汚泥を処理する下水処理方法であって、
    前記汚泥を水熱反応処理して水熱反応処理排水として排出し、前記水熱反応処理排水に含まれる着色成分を前記水熱反応処理排水に着色成分吸着剤を添加することによって除去することを特徴とする下水処理方法。
  14. 前記着色成分吸着剤として、粉末活性炭、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄あるいは塩化鉄を用いることを特徴とする請求項13記載の下水処理方法。
  15. 前記着色成分を吸着した前記着色成分吸着剤を前記水熱反応処理排水中から除去することを特徴とする請求項13または14記載の下水処理方法。
  16. 前記発泡成分吸着剤あるいは/及び前記着色成分吸着剤を前記水熱反応処理排水中から除去する際に、前記発泡成分吸着剤あるいは/及び前記着色成分吸着剤を沈殿によって除去することを特徴とする請求項10〜15いずれかに記載の下水処理方法。
  17. 前記発泡成分吸着剤あるいは/及び前記着色成分吸着剤を前記水熱反応処理排水中から除去する際に、加圧浮上法を用いることを特徴とする請求項10〜15いずれかに記載の下水処理方法。



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