JP2000218295A - 水熱反応を利用する余剰汚泥ゼロエミッション型生物処理法 - Google Patents

水熱反応を利用する余剰汚泥ゼロエミッション型生物処理法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水の活性汚泥法処理などで生じる余剰汚泥
を、ほぼ完全に分解消滅させる技術を提供する。 【解決手段】 水熱反応(高温高圧水反応)と微生物機
能を組み合わせたシステム技術で、下水処理等に適用さ
れている生物処理プロセスからの余剰汚泥中の難生分解
性物質を、水熱反応により容易に易生物分解性の低分子
物質群に改質し、これを曝気槽へ返送して生物機能によ
り、該低分子物質群を分解消滅させる技術である。ま
た、既存の施設を大規模に変更することなく、水熱反応
設備を新設することにより実施できる技術である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排水処理により発生す
る汚泥中の有機物の完全な消滅或いは大幅な減量を可能
とする、水熱反応を利用した水熱・生物法とでも言うべ
き、排水の新規な生物処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】排水の処理としては、生物処理が最も一
般的であり、下水や家庭排水、屎尿排水、家畜糞尿排水
等は殆ど全てこの方法で行われている。ただ、処理の主
体が微生物であるため、増殖微生物などが余剰汚泥とし
てどうしても残る。そのため、メタン発酵など嫌気的処
理により汚泥の減量化が図られているが、完全に消滅さ
せることはできず、その多くが脱水後焼却処理や埋め立
て処理されているのが現状である。
【0003】そこで、従来から、水熱反応を利用した余
剰汚泥の処理方法が幾つか提案されている。ここに水熱
反応とは、密封容器に水と物質を入れて加熱し、高温高
圧の状態で物質を反応させることを言う。この従来の余
剰汚泥の処理方法には、大きく分けて、1)汚泥の液状
化、2)汚泥の油化及び3)汚泥の湿式酸化の3つがある。
尚、高温高圧の状態は、水の臨界点(374℃、22M
Pa)を越える超臨界水状態と、臨界点以下の亜臨界水
状態がある。
【0004】1)の汚泥の液状化は、脱水汚泥を亜臨界水
条件の比較的低い温度域で、固形の汚泥を水熱分解して
液状・流動化させることにより、パイプ圧送などの輸送
性或いは噴霧燃焼による焼却処理の利便性を向上させる
技術であり、焼却処理を目的とするものである。尚、こ
の液状化は、微生物細胞の破壊による細胞質の漏出によ
り実現される。
【0005】また、2)の汚泥の油化は、亜臨界水条件で
アルカリ系触媒を用いて脱水汚泥を低分子化・縮合化・
脱酸素化して油状物質へ変換し、エネルギー源として利
用する技術である。ただ、油化率が40%前後で他は未
反応物として残ることや、付随して生成する水相の処理
が必要であるなどの難点がある。また、できた油分中に
はNやSを含むため燃焼ガスの臭気が酷く、脱臭装置が
必要になるなどの問題もある。
【0006】最後に、3)の汚泥の湿式酸化は、脱水汚泥
を触媒添加した超臨界水条件下で酸素や過酸化水素など
の酸化剤と反応させ、炭酸ガスやアンモニアなどの無機
物質へ変換する技術である。ただ、炭酸ガスなど単純な
物質にまで酸化処理させるには、多量の触媒や超高温な
ど過酷な条件が必要であり、コスト的にも引き合わない
ものである。更に、超臨界水は誘電率が低く無機塩類の
析出が著しく、反応器やパイプ系の閉塞、有害な触媒使
用など、多くの問題を抱えている。
【0007】尚、汚泥の発生しない排水の生物処理法と
しては、好熱細菌を利用した生物法或いは腐蝕土を利用
した生物法等があるが、いずれも特殊な微生物を利用す
るため、菌の育成や槽容量の大きさに難点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、水熱
反応を利用する余剰汚泥の従来の処理方法には様々な難
点があり、完全に余剰汚泥を処理することは不可能であ
る。そこで、本発明者らは、鋭意研究した結果、水熱反
応と微生物の代謝分解機能とを組み合わせることによ
り、発生汚泥の殆どを処理できる新規な技術を開発した
ものである。
【0009】即ち、本発明は、水熱・生物法とでも言う
べきもので、水熱反応装置内で亜臨界状態と大量の水
(およそ90〜99%程度)の存在下で、汚泥中の有機
成分をバクテリアが処理し易いように分解し、この処理
液を生物処理装置で分解消滅させるものである。汚泥
は、その大部分が微生物細胞であり、その他植物性、動
物性の微細なものも含まれる。そして、水熱反応によ
り、排水や汚泥の生物処理に利用するバクテリアが処理
し易いように、汚泥中の難生分解性物質を糖やアミノ酸
(或いはその分子の一部がさらに分解したもの)などの
易生分解性物質に分解し、得られた処理液を、生物処理
工程、例えば活性汚泥法の曝気槽に返送し、ここで、バ
クテリアにより分解・資化させるものである。
【0010】尚、本発明の水熱反応装置は、通常、活性
汚泥装置のように汚泥を発生する生物処理装置に付属し
て設置し、その水熱反応装置で得られた処理液を、元の
活性汚泥処理装置の曝気槽や接触曝気槽に返送して、再
度生物分解に供する。返送する箇所は、曝気槽に限ら
ず、曝気槽以前の工程であれば、例えば原水槽や調整槽
などどこでもよい。合併槽など小規模な生物処理装置の
場合、生じた余剰汚泥を大型の活性汚泥装置に付属した
水熱反応装置に移送して処理するようにしてもよい。こ
の場合、水熱反応装置の容量が大きいことが前提とな
る。更に、活性汚泥処理装置などの生物処理装置から発
生した余剰汚泥を、嫌気処理装置など他の生物処理装置
で処理する場合に、嫌気処理装置などに水熱反応装置を
付属して設け、ここで予め水熱・生物処理してから嫌気
処理装置に投入するようにしてもよい。もっとも、汚泥
の発生源である活性汚泥装置などにおいて本発明を実施
すれば、余剰汚泥の発生は殆どなくなり、従来の消化槽
における汚泥処理は不要となるものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】(水熱反応の分類による
本技術の位置づけ)前述したように、水熱反応(hydrot
hermal reaction )とは、密封容器に水と物質を入れて
加熱し、高温高圧の状態で物質を反応させることを言
い、高温高圧水反応とも言う。そして、臨界点(374
℃、22MPa)以下の亜臨界では、気相と液相の二相
が存在し、臨界点以上(超臨界)では液相と気相が消失
して一相となる。亜臨界点の下限に明確な定義はない
が、ほぼ200℃程度以上と言われている。
【0012】亜臨界条件下では、図1に示すように液相
反応と気相反応が同時に進行する。液相反応は、イオン
反応が主体で、同時に反応活発な熱水分子による加水分
解反応が起こる。気相反応は、ラジカル反応が主体的に
起こり、熱分解、再結合、脱水縮合、脱水素、脱炭酸な
どの各反応が複雑にからみあって進行する。超臨界条件
では、気相反応のみが進行する。亜臨界条件下の場合、
容器内の水の占める割合、反応物質の量、温度、圧力、
触媒の存在などによって、どの反応を優先的に行わせる
か制御することが可能である。
【0013】水熱反応を利用する汚泥処理の従来技術
を、これらの反応に基づいて分類すると、次のようにな
る。1)液状化は、亜臨界条件下における液相及び気相の
両反応を利用したもので、図1に示す全ての反応が進行
する。2)油化は、亜臨界条件下における気相反応を優先
化させたもので、熱分解、脱水縮合、脱酸素などの反応
を進行させたものである。3)の汚泥の湿式酸化は、超臨
界条件下の反応であり、液相反応は起こらない。
【0014】気相反応は複雑で、分解(低分子化)と結
合(高分子化)の全く反対の反応が進行するため、副生
成物が多く、また、悪臭ガスの発生が起こり、さらに炭
化、高粘性物質化、無機塩類の不溶化などの反応による
容器内壁へのスケール形成が著しい。一方、液相反応は
加水分解が主体であり、副生成物が少なく、無機塩類の
析出は全く起こらず、容器内壁へのスケール形成も少な
い。
【0015】本発明は、亜臨界での液相反応を優先的に
行わせる技術で加水分解を主体とするものであり、この
点において、他の汚泥の水熱反応処理とは異なる。
【0016】(加水分解反応による汚泥の易分解性物質
への変換)生体物の基本単位は細胞であり、生体物(ま
たは細胞)の形を保持したり運動機能に関係する生体物
質は、多糖或いはタンパク質繊維でできている高分子で
ある。これらの生体高分子物質は、基本物質である糖又
はアミノ酸分子が脱水縮合により多数連結して鎖状物質
を形成し、これらの鎖状物質がさらに架橋されて複雑な
三次元構造を形成したもので、通常の生物機能による代
謝分解は困難である。
【0017】本システム技術は、これらの難生分解性生
体高分子物質を熱水中での加水分解反応により鎖を切断
し、基本物質である糖やアミノ酸の単量体(モノマー)
或いは数量体(オリゴマー)へ変換し、得られた易生分
解性の単量体或いは数量体を微生物機能により代謝分解
することにより、難生分解性の生体構成物質を分解消滅
する技術である。尚、単量体分子の一部が分解する場合
もあるが、生分解性にかわりはない。
【0018】引抜き汚泥の主体である細菌類の細胞壁は
ペプチドグリカンと呼ばれ、多糖の鎖(N−アセチルグ
リコサミン、NAGとN−アセチルムラミン酸、NAM
が交互にβ(1→4)結合した鎖状物質)をペプチドが
架橋して生物的・化学的・物理的に強固な三次元構造か
ら構成されている。熱水中では、ペプチドグリカンの三
次元構造が熱運動により不安定になる。反応活性の大き
な熱水分子が、多糖鎖のグリコシド結合及びアミノ酸架
橋のペプチド結合を攻撃して、加水分解による鎖の結合
部位の切断がおこる。この切断の繰り返しにより、糖及
びアミノ酸の分子が1〜数個連なったものや或いはさら
に分子の一部が分解した低分子物質が生成される。この
ようにして、通常の微生物では分解できない細胞壁を易
生分解性の糖及びアミノ酸へ変換すれば、微生物機能に
より容易に代謝分解できる。
【0019】また、下水処理などの初沈汚泥には様々な
植物性・動物性の汚泥が含まれている。これらの汚泥中
の難生分解性物質についても、加水分解反応により易生
分解性物質へ変換できる。例えば、植物の細胞壁はセル
ロースの板が多層になったものであるが、水熱反応によ
り加水分解されてD−グルコースの単量体或いは数量体
へ変換される。また、動物の骨・軟骨や動物性繊維など
は繊維タンパク質の複合構造体であるが、水熱反応によ
り繊維の基本物質であるアミノ酸へ変換される。このよ
うにして、初沈汚泥及び増殖微生物細胞を構成する各種
の生体高分子を、それぞれの基本単位である糖、アミノ
酸、核酸、脂質などの単量体や数量体、或いは更にこれ
らの分子の一部が分解したものなどからなる易生分解性
の低分子物質群へ変換し、これらを曝気槽へ返送して微
生物機能により代謝分解するシステムである。
【0020】水熱反応の条件は、引き続いて水熱反応処
理液を生物処理する生物処理法(活性汚泥法、高速処理
法、嫌気処理法等)によって異なる。反応時間の短い高
速生物処理では、短時間で代謝分解される程度にまで細
胞構成物を低分子化しなければならないので、高い温度
・圧力或いは長時間の反応条件(処理条件)が必要とな
る。長時間の嫌気処理などにおいては、高分子の複合構
造をある程度まで解体し、後は生物機能により代謝分解
すればよい。即ち、温度・圧力及び時間の反応条件は、
適用する生物プロセスに応じて決定することができる。
従って、嫌気処理においては、より低い温度・圧力或い
は短時間の反応条件で処理すればよいため、水熱反応装
置の設備費・運転費は低コストとなる。
【0021】(本技術の特徴)水熱・生物法は、固液分
離された引抜き汚泥を沈降濃縮し、その一部又は全部を
被処理汚泥として水熱反応器(水熱反応装置)へ送液
し、被処理汚泥中の有機成分(難生分解性物質)を易成
分解性物質に分解し、この処理液を生物反応槽へ返送す
ることにより、余剰汚泥を大幅に減量する、または余剰
汚泥が全く発生しない処理システムである。
【0022】本発明の水熱反応と生物反応の組み合わせ
は、次に示すように多くの利点がある。即ち、水熱・生
物法は多様性、操作性、処理性、コンパクト性、安全
性、設備費、運転費などを総合的に評価して、他の様々
な余剰汚泥の処理技術よりも優れた技術である。 (1) 水熱処理液の生物処理は、余剰汚泥を発生する
生物処理装置、或いは余剰汚泥を処理する生物処理装置
をそのまま利用するので、水熱反応装置だけを新設すれ
ばよく、既存設備の大幅な改造をする必要がないため低
コストで済む。 (2) 水熱反応の特徴は、水と固形物の割合、及び温
度・圧力・時間など多くの操作因子があるので、反応装
置に多様性があること、更に、温度・圧力・時間は現在
の先端技術により正確に設定できるので、処理成績に確
実性があることである。 (3) 有害な副生成物が発生しない安全性の高いシス
テムである。例えば、燃焼法では酸化・還元反応が複雑
に進行する気相反応であるため、有害な副生成物(ダイ
オキシン、NOxなど)及び重金属糖が濃縮された灰分
が生じる。このため、排ガス処理や焼却灰の処理・処分
が必要となる。本技術は、亜臨界条件での加水分解反応
が主体であるため、有害な副生成物がなく、また無機塩
類は処理液中に溶解して含まれている。尚、仮にダイオ
キシンなどの有機塩素化合物が汚泥中に含まれていたと
しても、脱塩素化されて無害化される。 (4) 但し、水熱反応により悪臭成分を含むガスが発
生する。活性汚泥法等においては、気液分離器によりガ
スを分離し、曝気槽へ散気することにより生物脱臭でき
る。水熱反応系は密封系であり、悪臭ガスが系外へ漏れ
ることはない。 (5) 水熱反応装置は、小型から大型まで装置化が可
能であること、及び生物法も多様であることから、水熱
・生物法は地域の実情や事業の形態に応じた処理施設の
建設が可能である。 (6) 水熱反応終了後の冷却により回収した熱を加熱
へ利用する熱リサイクルにより、省エネルギーシステム
が達成できる。
【0023】
【実施例】本実施例では、人工下水Wを用いて水熱・活
性汚泥法を実施した。システム1の基本構成は、図1に
示すように曝気槽2、固液分離槽3及び水熱反応装置4
より構成される。固液分離槽3で分離して沈降濃縮され
た汚泥を引き抜いて、引抜き汚泥Hとする。そして、そ
の一部が被処理汚泥H1として水熱反応装置4に送液さ
れ、ここで汚泥中の難生分解性物質が易生分解性の低分
子物質群に変換処理され、得られた処理液Sを曝気槽へ
投入して微生物機能により代謝分解した。
【0024】引抜き汚泥Hの一部は、返送汚泥H2とな
る。また更に引抜き汚泥H量が多ければ、余剰汚泥H3
として系外に排出する。但し、本発明の場合、水熱反応
装置の能力が不足すれば余剰汚泥H3が発生するが、水
熱反応装置が十分な能力を持っていれば、通常は、従来
に言ういわゆる余剰汚泥は発生しない。もっとも、汚泥
中の鉱物質などの無機物や、脱水素や脱酸素により生じ
た微量の炭素粒子などは、固液分離槽などから系外に除
去する必要がある。尚、本実験では、水熱反応は、回分
式及び連続式の双方で行なった。
【0025】図2の曝気槽2(有効容量8L)及び固液
分離槽3(有効容量3L)は、標準活性汚泥法に利用さ
れているものを小型化したものである。また、水熱反応
装置4の具体例としては、図3に示す回分式水熱反応装
置4A、図4に示す連続式水熱反応装置4Bを用いた。
回分式水熱反応装置4Aは、容量100mLのインコネ
ル製反応容器41に複数のステンレス球42を入れたも
ので、これを振盪機43に取り付けて反応液を攪拌する
ようにした。連続式水熱反応装置4Bは、高圧ポンプ4
4、加熱部45、反応部46、冷却部47及び気液分離
部48より構成された。反応部46のステンレス管46
aの全長は60cm、内径3mm、容積17mLであっ
た。
【0026】まず、人工下水Wを原水槽5から曝気槽2
へ投入し、曝気処理後、固液分離槽3に送り、ここで汚
泥を沈降濃縮した。この沈降濃縮汚泥100mL(汚泥
濃度約10,500mg/L)を、被処理汚泥H1として水熱
反応器4により処理した。生成ガスGは、気液分離して
供給空気Aとともに曝気槽2へ散気し、処理液Sは曝気
槽2へ投入した。
【0027】回分式では、被処理汚泥H1を50mLず
つ2回に分けて処理した。各温度における圧力は、それ
ぞれの温度における水の飽和蒸気圧と一致した。昇温時
間は約30分、所定の温度に達してからの反応時間は1
時間、反応終了後の冷却時間は約30分であった。水熱
処理液Sを減圧濾過し、CF/C濾紙に阻止された部分
を固形分、通過した成分を溶解成分とした。
【0028】連続式では、高圧ポンプ44により0.28
mL/分で被処理汚泥H1を反応装置4Bへ送液して処
理した。処理圧力は、圧力調整弁で設定し、回分式と同
じ温度・圧力の条件で反応させた。加熱部45(熱交換
部分を含む)、反応部46及び冷却部47での被処理汚
泥H1の滞留時間を30分、1時間、30分として、回
分式と同じ温度操作になるように装置を製作して運転し
た。
【0029】回分法における各反応温度における被処理
汚泥H1の水熱反応処理後の性状を、図5に示す。図5
(a)は、反応温度とpHの関係を示すグラフで、反応
前の被処理汚泥H1のpHにはバラツキがあるにもかか
わらず、処理液SのpHには一定の傾向が認められる。
即ち、250〜260℃以上ではpH8前後を示し、こ
の温度以下ではpHは温度とともに低下している。ま
た、図5(b)は、反応温度と吸光度との関係を示すグ
ラフで、濾過した試料液の各波長における吸光度も、2
50〜260℃を境にして挙動が異なっている。もっと
も、この境界温度は、明確なものではない。
【0030】反応後の処理液S中の残留固形分及び汚泥
の可溶化率を、図6に示す。図6(a)は、反応温度と
残留固形分の関係を示すグラフで、残留固形分は、反応
温度の上昇とともに減少し、約350℃でほぼ消失して
いる。図6(b)は、反応温度と汚泥の可溶化率の関係
を示すグラフで、250〜260℃を境にして、低温側
では未分解の汚泥量が増加した。また高温側では、汚泥
は全て可溶化し固形分は炭素粒子のみであった。炭素粒
子の生成量は、温度依存性は余り観測されなかった。さ
らに、油状物質の生成量はわずかであったが、温度上昇
とともに少しずつ増加した。
【0031】処理液S中の溶解性TOCを図7(a)、
CODを図7(b)、BODを図7(c)に示す。各指
標とも、200℃前後に最大値が見られる。反応温度の
上昇とともに、ガス発生量が増加し、反応温度の低下と
ともに汚泥の可溶・低分子化が抑制される2つの効果の
ため、200℃前後に最大値が現れたものと思われる。
水熱反応の最適条件は、汚泥が全て可溶・低分子化し、
また、ガス化がなるべく少ないことである。水熱反応1
時間の本実験条件下では、320〜350℃が最適条件
のように思われる。
【0032】本実施例では、温度320℃、圧力12.1
MPaで引抜いた汚泥を水熱反応させ、この処理液Sを
曝気槽2へ投入して、水熱・活性汚泥法を行なった。表
1に示すように、従来型活性汚泥法と水熱・活性汚泥法
の処理液を比較すると、BOD、COD及びTOCの各
値ともほとんど同じ値を示しており、水熱処理した汚泥
は完全に代謝分解されていることがわかる。
【0033】
【表1】
【0034】人工下水を用いた本実施例では、水熱処理
のBOD負荷量より計算すると、従来型活性汚泥法に比
べて、水熱・活性汚泥法の酸素消費量は10%程度増加
することが推測されたが、実際の消費量もほぼ同じ増加
量であった。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は排水の生
物処理装置で発生する汚泥を水熱反応装置に送り込み、
水熱反応を利用して汚泥中の難生分解性有機物を亜臨界
条件下で易生分解性物質に分解処理し、その処理液を元
の或いは他の生物処理装置に送液して生物処理するもの
である。
【0036】従って、本発明方法は、 (1) 水熱反応と生物処理を組み合わせるので、余剰
汚泥の完全な消滅が可能になる。 (2) しかも、亜臨界状態での水熱反応を利用するの
でランニングコストが低く、且つ、反応結果物は易生分
解性物質であればその内容や分解の程度は問わないので
管理が簡単で操作性に優れ、他の余剰汚泥処理方法より
も優れている。 (3) 既存の生物処理装置を大幅に改造することなく
そのまま利用でき、単に水熱処理装置のみを新設すれば
よいので、当初設備費用は、極めて少なくてすむ。 (4) 水熱反応装置の処理能力や規模は設計自在であ
り、また排水や汚泥の生物処理法も多様であることか
ら、水熱・生物法は地域の実情や事業の形態に応じた処
理施設の建設が可能である。 (5) 有害な副生成物が発生しない安全性の高いシス
テムである。 (6) 水熱反応終了後の冷却により回収した熱を加熱
へ利用する熱リサイクルにより、省エネルギーシステム
が達成できる。など、多くの優れた利点を有するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】水熱反応の分類を示す説明図である。
【図2】水熱・活性汚泥法の概略図である。
【図3】回分式水熱反応装置の概略図である。
【図4】連続式水熱反応装置の概略図である。
【図5】被処理汚泥の水熱反応処理後の性状を示すグラ
フで、(a)はpHと反応温度の関係を示すグラフ、
(b)は吸光度と反応温度の関係を示すグラフである。
【図6】水熱反応による被処理汚泥の改質を示すグラフ
で、(a)は残留固形分と反応温度の関係を示すグラ
フ、(b)は汚泥の可溶化率と反応温度の関係を示すグ
ラフである。
【図7】水熱反応による被処理汚泥の改質を示すグラフ
で、(a)は可溶性TOC量と反応温度の関係を示すグ
ラフ、(b)は可溶性COD量と反応温度の関係を示す
グラフ、(c)は可溶性BOD量と反応温度の関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 水熱・活性汚泥システム 2 曝気槽 3 固液分離槽 4 水熱反応装置 4A 回分式水熱反応装置 4B 連続式水熱反応装置 41 インコネル製反応容器 42 ステンレス球 43 振盪機 44 高圧ポンプ 45 加熱部 46 反応部 46a ステンレス管 47 冷却部 48 気液分離部 H 引抜き汚泥 H1 被処理汚泥 H2 返送汚泥 H3 余剰汚泥 W 人工下水 S 処理液 G 生成ガス A 空気
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 稔 山口県厚狭郡楠町大字船木2041−4 (72)発明者 石川 宗孝 京都府八幡市橋本意足20−2 (72)発明者 中村 豊 大阪府泉南郡熊取町山の手台2丁目12−2 Fターム(参考) 4D028 AB00 BA00 BD00 BD06 BD12 BD16 BE00 4D059 AA03 AA05 BC01 BC10 BK30 DA70

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排水の生物処理装置で発生する汚泥を該
    生物処理装置に付属する水熱反応装置に送り込み、汚泥
    中の難生分解性有機物を亜臨界条件下の水熱反応により
    易生分解性物質に分解処理し、その処理液を該生物処理
    装置に返送して該易生分解性物質を分解消滅することを
    特徴とする、水熱反応を利用する余剰汚泥ゼロエミッシ
    ョン型生物処理法。
  2. 【請求項2】 一の生物処理装置に付属した水熱反応装
    置の処理能力が十分ある場合に、汚泥を発生する他の生
    物処理装置からの余剰汚泥を、該一の生物処理装置から
    発生する汚泥とともに付属の水熱反応装置に輸送して分
    解処理し、得られた処理液を該一の生物処理装置に返送
    して易生分解性物質を分解消滅するものである、請求項
    1記載の水熱反応を利用する余剰汚泥ゼロエミッション
    型生物処理法。
  3. 【請求項3】 排水の生物処理装置で発生する余剰汚泥
    を、他の生物処理装置に付属した水熱反応装置に送り込
    み、汚泥中の難生分解性有機物を亜臨界条件下の水熱反
    応により易生分解性物質に分解処理し、その処理液を該
    他の生物処理装置に送液して該易生分解性物質を分解消
    滅することを特徴とする、水熱反応を利用する余剰汚泥
    ゼロエミッション型生物処理法。
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