JP2006164753A - シールドケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】屈曲寿命に優れたシールドケーブルを提供する。
【解決手段】 導線の外周に、絶縁層、シールド層、絶縁シースが順次被覆されたシールドケーブルであって、前記シールド層が、打ち本数24打、編組密度92〜100%の編組からなることを特徴とするシールドケーブル。特に前記絶縁層が、外径が5.9〜6.4mmであり、前記編組が、持ち本数6〜10本、素線径が0.125〜0.215mm、編組ピッチが18〜55mmであることを特徴とするシールドケーブル。
【選択図】図4

Description

本発明はシールドケーブルに関し、特にシールド層が編組により形成されたシールドケーブルに関する。
従来より、工場や車両におけるセンサや電装品の電気的接続用の配線等には、外部からのノイズや外部へ放出するノイズをカットするため、導線(コア線)の外周にシールド層を設けた電線(以下、「シールドケーブル」という)が多く使用されている。例えば自動車の場合においては、車載カメラ、カーナビ等の車載マルチメディア用の配線等である。
はじめに、図1を参照しつつ、従来のシールドケーブルの構造を説明する。
図1は、従来のシールドケーブルの一例について、シールドケーブルの各部の階層構造を示す概念図である。図1において、10は電力用あるいは信号用の導線(コア線)であり、銅合金の細線11を多数撚って1本の円形の線に束ねたものである。20は、前記コア線10の外周を被覆する絶縁層(絶縁被覆)である。30は、シールドケーブルの外皮ともなる絶縁シースである。40は、シールド層であり、電磁波をシールドするため、前記絶縁層20の外周を覆うと共に絶縁シース30に外周が被覆されている。
次に、図2を参照しつつ、このシールドケーブルのシールド層40について説明する。
図2は、シールド層40の構造を概念的に示す図面である。図2の(1)は、図1に示すシールドケーブルにおいて、中央はその外皮である絶縁シース30を取去った状態を、左側はシールド層40をも取去った状態の側面図である。図中、41はシールド層を構成する金属細線の束(素線束)であり、この素線束を織って網状の構造(以下、「編組」という)のシールド層40を形成している。図から明らかなように、シールド層40は、絶縁層20の外周に逆方向から2組の素線束41が螺旋状に巻かれた構造になっている。さらに、これら2組の束41は、交互に他方の組束の下に入り込むように織られてなる。
図2の(2)に、この編組を構成する素線束41の断面を示す。図中、42は素線である。図から明らかなように、素線束41は、細い金属製の細線42が横方向に複数並列に配置されたものである。1本の素線束を構成する素線の数を持ち本数と言う。素線径(直径)は、0.08mm程度である。また、素線の材質は、銅合金等が用いられている。
この素線束41は、絶縁層20の外周に螺旋状に巻かれているため、絶縁層20の線方向には、あるピッチで同じ素線束41がくる。このピッチ(編組ピッチ)をpとし、絶縁層20の直径と素線束41の厚さの合計をxとしたとき、p=x×π/tanαと言う関係が成立する。ここに、αは、素線束41が絶縁層20の線方向となす角度であり、編組角とも言われる。
一般的には、編組ピッチは、xが6mm程度のとき、50mm程度である。
この編組を構成する素線束41の数を打ち本数と言う。打ち本数は、偶数、特に4の倍数が一般的である。
また、素線束41は厚みを有するため、2方向の素線束41が重なってできる4角形の頂点部分には、素線束41に覆われない隙間ができる。これを、図2の(3)に49により示す。絶縁層20の全表面積に対して素線束41が覆う部分の面積の比を編組密度と言う。この編組密度は、シールド性能上は出来るだけ100%に近いのが理想的であるが、柔軟性(屈曲性)の確保と製造コストの面から、85ないし90%とされている。
なお、シールドケーブルには、絶縁被覆したコア線の他にドレイン線をもシールド層で被覆し、さらに絶縁シースで被覆した構造のものもある。
また、シールド層は、編組でなく、銅箔若しくはアルミ箔付のPETテープ等が使用されることもある。
特開平1−232923号公報 特開平9−51870号公報 特開平9−75298号公報 特開平9−84749号公報 特開平9−117409号公報
近年、機器の安全性、信頼性の確保の要求は、厳しくなっている。
シールドケーブルもその例外ではない。即ち、例えば自動車への使用であれば、前記車載マルチメディアへの使用のみならず、自動車そのものが電気自動車、ハイブリッドカー、オフロードカーやオフロードバイク等が開発され、整備されつつある。これらへ採用されるため、なおさら安全性、信頼性が確保されたシールドケーブルであることが必要である。
即ち、これらの自動車は、種々の過酷な用途に、それも長期にわたって使用され得るだけに、車体のみならずシールドケーブルも、従来以上の機械的強度が、特に長期の屈曲寿命があることが必要とされる。
特に、シールドケーブルのシールド層の構造が、編組から構成されている場合には、構造が複雑なだけに、より従来以上の屈曲寿命を有するシールドケーブルの開発が望まれていた。
また、編組の素線が曲げ疲労等で破断すると、鋭利な破断面が絶縁被覆や絶縁シースを傷つけ、屈曲寿命を短くするだけでなく、シールド性能も劣化させる。このため、繰り返し曲げ加重が作用しても、素線が破断しない編組の開発が望まれていた。
また、内側にある絶縁被覆、外側にある絶縁シースとの相性が良好であること、安価であること、シールド性能が良好であること等他の性能についても、一層優れたものの開発が望まれていた。
本発明者は、鋭意検討の結果、編組を特定の打ち本数、編組密度、持ち本数、編組ピッチにすることにより、前記課題を解決させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、導線の外周に、絶縁層、シールド層、絶縁シースが順次被覆されたシールドケーブルであって、前記シールド層が、打ち本数24打、編組密度92〜100%の編組からなることを特徴とするシールドケーブルである。
ここに、導線には、単線、撚線が含まれる。また、ドレイン線等が含まれていてもよい。
シールド層を編組で構成し、かつ、打ち本数、編組密度を前記の範囲にすることにより、高い屈曲性能とシールド性能を有するシールドケーブルを得ることができる。
打ち本数が24打の場合において、編組密度を前記の範囲未満にすると編組の素線の一部が、図2の49で示す隙間に落ち込み、素線の束に乱れや素線の断線が生じやすくなり、屈曲性能、シールド性能を低下させることとなる。
請求項2に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記絶縁層は、外径が5.9〜6.4mmであることを特徴とするシールドケーブルである。
外径は6.0〜6.2mmがより好ましい。
また、素線の断面は完全な円形でなく、多少歪んでいてもよい。
請求項3に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、持ち本数が6〜10本であることを特徴とするシールドケーブルである。
外径が5.9〜6.4mmである場合には、持ち本数が7本であるのが特に好ましい。
請求項4に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、素線径が0.125〜0.215mmであることを特徴とするシールドケーブルである。
素線径は、0.14±0.005mmであるのが特に好ましい。
請求項5に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、編組ピッチが18〜55mmであることを特徴とするシールドケーブルである。
編組ピッチは、18〜22mmが好ましく、19〜21mmがより好ましい。
請求項6に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、持ち本数が6本であり、
素線径が0.135〜0.145mmかつ編組ピッチが18〜22mm、
素線径が0.205〜0.215mmかつ編組ピッチが27〜55mm、
のいずれかであることを特徴とするシールドケーブルである。
請求項7に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、持ち本数が7本であり、
素線径が0.125〜0.165mmかつ編組ピッチが18〜22mm、
素線径が0.155〜0.195mmかつ編組ピッチが27〜33mm、
素線径が0.165〜0.205mmかつ編組ピッチが36〜44mm、
素線径が0.175〜0.215mmかつ編組ピッチが45〜55mm、
のいずれかであることを特徴とするシールドケーブルである。
請求項8に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、持ち本数が8本であり、
素線径が0.135〜0.145mmかつ編組ピッチが18〜33mmであることを特徴とするシールドケーブルである。
請求項9に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、持ち本数が9本であり、
素線径が0.135〜0.145mmかつ編組ピッチが27〜44mmであることを特徴とするシールドケーブルである。
請求項10に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、持ち本数が10本であり、
素線径が0.125〜0.135mmかつ編組ピッチが27〜55mm、
素線径が0.135〜0.145mmかつ編組ピッチが36〜55mm、
のいずれかであることを特徴とするシールドケーブルである。
請求項11に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、素線が銅または銅を主成分とする合金からなることを特徴とするシールドケーブルである。
請求項12に記載の発明は、前記のシールドケーブルであって、前記編組は、素線が錫めっきされた銅線であることを特徴とするシールドケーブルである。
本発明は、シールド層の編組の構成を特定の構成にしたため、高い屈曲性能とシールド性能を有するシールドケーブルを提供することができる。
以下に本発明の実施例および比較例を示す。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施例に対して種々の変更を加えることが可能である。
(実施例)
本実施例は、絶縁被覆の外形が6.1mm、シース外形が8.4mmのシールドケーブルのシールド層の編組である。その要目を、以下に示す。
打ち本数 24打
持ち本数 7本
素線径 0.14mm
編組ピッチ 20mm
編組断面積 2.59mm
編組密度 97%
素線の材料 銅合金(0.2重量%の錫を含む銅)
シールドケーブルそのものは、前記シールド層の編組の構造を除き、図1に示す従来のものと同じである。以下、その要目を示す。
導線(コア線) 公称サイズ 8.0mm
導体材料 銅合金
導体撚径 4.5mm
絶縁層 材料 ポリエチレン
(導線の被覆) 絶縁厚 0.8mm
仕上外形 6.1mm
絶縁シース シース材料 ポリウレタン
(シールド線外皮)シース厚 0.8mm
仕上外形 8.4mm
(比較例)
前記実施例の性能を評価するため、シールド層の編組の材料と編組ピッチを除き前記実施例と同じシールドケーブルを製造した。以下、実施例と相違する部分のみ記す。
編組ピッチ 50mm
編組密度 86%
素線の材料 錫めっき軟銅
(試験装置と試験方法)
以上のシールドケーブルを、図3に示す装置を使用して屈曲寿命の試験を行った。
図3において、50はシールドケーブルであり、40はその絶縁シースを取去ってシールド層を露出させた部分である。60は、屈曲寿命の試験装置である。この試験装置60は、錘61と、2個のローラ62、63とチャック64と、断線検知装置65および図示しない曲げ機構を有する。
この試験装置60へのシールドケーブル50の装着は、図3に示すように、シールドケーブル50の上方をチャック64で挟み込み、下部に錘61を吊下げる。これにより、シールドケーブル50には、4.9Nの引っ張り力が作用するようにしている。また、シールドケーブル50の中央上部寄りを2個のローラ62、63が軽く挟み移動を拘束している。
また、シールドケーブル50の上下の端部は、露出させたシールド層40を各々断線検知装置65のプラス側とマイナス側の電線に電気的に接続させている。
以上の下で、図示しない曲げ機構により、チャック64ごとシールドケーブル50の上部をローラ62、63で軽く挟んだ部分を軸に、左方に90度曲げ、しかる後元の位置に戻す。従って、シールド線は左方に曲がった後再び垂直方向を向く。そしてこの屈曲を一定の速度で繰り返す。なお、ローラ62、63の半径は30mmである。
前記断線検知装置65は、シールド層40の電気抵抗を測定しており、シールド層40を構成する素線が屈曲による曲げ疲労で破断すれば、その分電気抵抗が増加する。このため、シールド層の電気抵抗の増加を検出することにより、素線の破断の程度を検知することが可能となる。
(試験結果)
前記試験装置により、室温23℃の下で60回/分の速度で60万回の屈曲試験を行った。
実施例と比較例の試験結果を図4に示す。
図4の(1)が実施例であり、図4の(2)が比較例である。実施例のシールドケーブルは、60万回の屈曲試験において、何ら電気抵抗の上昇が見受けられない。
一方、比較例は僅かではあるが10万回辺りから電気抵抗の増加が見られ始め、25万回では顕著に増加し、42万回辺りでは増加が著しい。即ち、素線の破断が著しい。
(シールド効果)
前記実施例と比較例のシールドケーブルについて、シールドの目的である電磁波の遮蔽効果の比較試験を行った。試験方法は、吸収クランプ法を用い、供試電線からの電流の漏れを周波数帯ごとに吸収クランプを電線に沿って移動させ、ピークを測定した。そして、シールド無し電線とシールド付き電線の測定値の差をシールド効果とした。その結果を、図5に示す。図5に示すように、実施例の編組を使用したシールドケーブルのシールドの遮蔽効果は、0.01ないし1MHzの周波数範囲において、比較例に遜色がない。
(絶縁材料との相性)
前記屈曲試験後に、シールドケーブルのコア線と絶縁層、絶縁層と編組、編組と絶縁シースとの接触部の損傷を肉眼で観察した。この結果、剥離や亀裂の発生等の損傷は見受けられなかった。
(その他の実施例)
以上の他、打ち本数24の下で、持ち本数、素線径および編組ピッチを種々変えて種々の編組構造を有するシールドケーブルを試作し、それらの屈曲試験を行った。
打ち本数24の下で、持ち本数6〜10、素線径0.13〜0.21mm、編組ピッチ20〜50mmの範囲で特に好ましい結果が得られたものを、表1に示す。
Figure 2006164753
従来のシールドケーブルの構造を示す概念図である。 シールド層の編組の構造を示す概念図である。 シールド層の曲げ寿命の試験装置と試験方法を示す図である。 シールドケーブルの屈曲性能試験の結果を示す図である。 シールドケーブルのシールド性能試験の結果を示す図である。
符号の説明
10 導線
11 細線
20 絶縁層
30 絶縁シース
40 シールド層
41 素線束
42 素線
50 シールドケーブル
60 屈曲寿命試験装置
61 錘
62、63 ローラ
64 チャック
65 断線検知装置

Claims (12)

  1. 導線の外周に、絶縁層、シールド層、絶縁シースが順次被覆されたシールドケーブルであって、前記シールド層が、打ち本数24打、編組密度92〜100%の編組からなることを特徴とするシールドケーブル。
  2. 前記絶縁層は、外径が5.9〜6.4mmであることを特徴とする請求項1に記載のシールドケーブル。
  3. 前記編組は、持ち本数が6〜10本であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシールドケーブル。
  4. 前記編組は、素線径が0.125〜0.215mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシールドケーブル。
  5. 前記編組は、編組ピッチが18〜55mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のシールドケーブル。
  6. 前記編組は、持ち本数が6本であり、
    素線径が0.135〜0.145mmかつ編組ピッチが18〜22mm、
    素線径が0.205〜0.215mmかつ編組ピッチが27〜55mm、
    のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のシールドケーブル。
  7. 前記編組は、持ち本数が7本であり、
    素線径が0.125〜0.165mmかつ編組ピッチが18〜22mm、
    素線径が0.155〜0.195mmかつ編組ピッチが27〜33mm、
    素線径が0.165〜0.205mmかつ編組ピッチが36〜44mm、
    素線径が0.175〜0.215mmかつ編組ピッチが45〜55mm、
    のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のシールドケーブル。
  8. 前記編組は、持ち本数が8本であり、
    素線径が0.135〜0.145mmかつ編組ピッチが18〜33mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のシールドケーブル。
  9. 前記編組は、持ち本数が9本であり、
    素線径が0.135〜0.145mmかつ編組ピッチが27〜44mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のシールドケーブル。
  10. 前記編組は、持ち本数が10本であり、
    素線径が0.125〜0.135mmかつ編組ピッチが27〜55mm、
    素線径が0.135〜0.145mmかつ編組ピッチが36〜55mm、
    のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のシールドケーブル。
  11. 前記編組は、素線が銅または銅を主成分とする合金からなることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載のシールドケーブル。
  12. 前記編組は、素線が錫めっきされた銅線であることを特徴とする請求項11に記載のシールドケーブル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015079574A (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 日星電気株式会社 耐捻回性ケーブル
CN104979722A (zh) * 2014-04-02 2015-10-14 日立金属株式会社 配线部件
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