JP2006162947A - 光学装置および光学部材固定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学部材を固定部材に高速且つ所望位置へ高精度に固定することができる光学装置を提供する。
【解決手段】レーザ吸収性樹脂で形成された固定部材1020に対して光学部材1010を固定する光学装置であって、固定部材が、レーザ装置よりレーザ1030が照射される被照射部1023aを具備した光学部材押さえ部1023を有し、固定部材の所定位置1021に光学部材が置かれた状態で、光学部材押さえ部の被照射部に向けてレーザが照射されると、該被照射部がレーザを吸収して発熱し、光学部材押さえ部が光学部材側に変位して、光学部材を固定部材に固定するようにしている。
【選択図】図2

Description

本発明は、レーザ吸収性樹脂で形成された固定部材にレンズ等の光学部材を固定する光学装置および光学部材固定方法に関する。
カメラ、ビデオ等の光学機器において、従来から様々なレンズを固定する方法が提案されている。近年のカメラやビデオカメラは小型化されてきているため、レンズを固定するためのスペースが少なくなり、接着剤を用いたレンズ固定方法が一般的に用いられている。しかし、接着剤を用いてレンズをレンズ枠に固定する方法の場合、接着剤のレンズ有効径内へのはみ出し、レンズ枠外へのはみ出し等の問題があり、工程管理が大変であった。また、接着剤の硬化時の収縮により、レンズの歪の原因となっていた。さらに、接着剤塗布量の場所による不均一性による変形により、所望の光学性能が得られないことがあった。
レンズ等の光学部品の接着に用いられる上記接着剤として、紫外線硬化型樹脂が挙げられるが、該接着剤は硬化に必要な紫外線照射時間が数秒〜数十秒かかるとともに、完全な硬化までには更に時間がかかるために、偏芯調整などのレンズ位置調整を行っても、接着剤の完全な硬化までの間に収縮の不均一によりレンズ位置が徐々に変化してしまい、所望の位置とずれてしまうといった欠点があった。また、プラスチックレンズの場合、強度の紫外線照射により黄変する特徴があるため、これによりレンズのカラーバランスが変化してしまうという欠点もあった。
また、熱かしめと呼ばれるレンズ枠の一部を熱変形させることでレンズを固定する方法も提案(特許文献1)されている。しかし、熱かしめによるレンズ固定方法では、必要部分以外の広い範囲にも熱が伝わり、レンズ枠の必要部分以外を変形させる虞があった。また、レンズやレンズ枠が小型になり、他の部品の取り付け部等が接近しているとその影響が更に増すことになる。レンズにも過度に熱が伝わると変形を生じるという欠点もあった。さらには、レンズ(ガラスや樹脂)をホルダー(樹脂)に固定する際、加圧しながら接触して加熱しているため、力により変形した状態でレンズが固定され、熱かしめ工具を離すと、理想状態からずれた位置にレンズが固定されるといったこともあった。
また、熱かしめ工具は、全周を加熱するため、微細部分の加熱や変形が困難であった。さらに、電気ヒータによる加熱のため、熱かしめ開始の準備時間が必要であった。
そこで、近年、上記紫外線硬化型の接着や熱かしめによるレンズ固定方法に対する欠点を解決可能なレンズ固定方法として、レーザ透過プラスチックで形成されたレンズを、レーザ吸収プラスチックで形成されたレンズ枠等の構成部品にレーザ光を照射して溶着固定する方法が提案(特許文献2)されている。
特開平08−136783号公報 特開2004−20867号公報
しかしながら、上記レーザを用いてレンズを溶着固定する方法においては、レンズの位置決め部全体をライン走査させてレーザ照射していたために、高速でレンズを固定することができない、溶着後に位置変化を生じて理想状態からずれた位置にレンズが固定されてしまう、といった問題があった。
(発明の目的)
本発明の目的は、光学部材を固定部材に高速且つ所望位置へ高精度に固定することのできる光学装置および光学部材固定方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、レーザ吸収性樹脂で形成された固定部材に対して光学部材を固定する光学装置であって、前記固定部材が、レーザ装置よりレーザが照射される被照射部を具備した光学部材押さえ部を有し、前記固定部材の所定位置に前記光学部材が置かれた状態で、前記光学部材押さえ部の前記被照射部に向けて前記レーザが照射されると、該被照射部が前記レーザを吸収して発熱し、前記光学部材押さえ部の少なくとも一部が変位して、前記光学部材を前記固定部材に固定する光学装置とするものである。
同じく上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、レーザ吸収性樹脂で形成された固定部材に対して光学部材を固定する光学部材固定方法であって、前記固定部材の所定位置に前記光学部材を置いた状態で、前記固定部材に突出して設けられた光学部材押さえ部の被照射部に向けてレーザ装置よりレーザを照射し、照射の間押圧手段によって前記光学部材を前記固定部材に固定する方向に押圧し、前記被照射部を前記レーザを吸収することにより発熱させ、前記光学部材押さえ部の少なくとも一部を変位させて、前記光学部材を前記固定部材に固定することを特徴とする光学部材固定方法とするものである。
本発明によれば、光学部材を固定部材に高速且つ所望位置へ高精度に固定することのできる光学装置および光学部材固定方法を提供できるものである。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例1ないし5に示す通りである。
図1〜図3は本発明の実施例1に係わる図であり、詳しくは、図1はレンズをレンズ固定枠に固定する前の状態を示す斜視図、図2は被照射部へのレーザ照射中を示す中央部断面斜視図、図3はレーザ照射してレンズをレンズ枠に固定した状態を示す中央部断面斜視図である。
図1において、1010は円形凸形状のレンズであり、材質はガラスである。1011はレンズ外径部である。
1020はレンズ1010が固定されるレンズ固定枠であり、使用するレーザ波長の光を吸収する材料より成る。このレンズ固定枠1020には、レンズ1010が光軸z方向より載せられるレンズ受け部1021、レンズ1010の外径よりも僅かに大きな内径をしたレンズ係合部1022、及び、レンズ係合部1022の周囲に所定間隔かつ図中上方(光軸z方向)に矩形状に突出した複数(実施例1では、8個)のレンズ押さえ部1023が設けられている。そして、レンズ押さえ部1023の内径側が被照射部1023aとなる。
次に、図1〜図3を用いて、レンズ固定枠1020に対してレンズ1010を固定する際の手順について説明する。
まず、図1に示す状態からレンズ1010をレンズ固定枠1020の所定位置、つまりレンズ受け部1021に載せる。この際、レンズ外径部1011がレンズ係合部1022に嵌り込むことで、レンズ1010の光軸z方向の位置が定まる。そして、この状態において、図2に示すように、レンズ固定枠1020に突出して設けられた8個(図2および図3では、5個のみ図示)のレンズ押さえ部1023の内径側の被照射部1023aそれぞれに向けて、不図示のレーザ装置から8本のレーザ1030を同時に照射する。
上記のようにレーザ1030を照射すると、被照射部1023aが該レーザ1030を吸収して発熱し、溶融してくる。その溶融により、レンズ押さえ部1023が自重を支えきれずに被照射部1023a側(内径側)に倒れ、図3に示すように、レンズ表面1012に接した(覆った)状態となる。その後、レーザ1030の照射を停止すると、溶融した被照射部1023aが急速に冷却され、固化する。これにより、8箇のレンズ押さえ部1023がレンズ1030の表面1012の端部を覆うようにして、該レンズ1010をレンズ固定枠1020に固定することになる。
上記実施例1によれば、レーザ吸収性樹脂で形成されたレンズ固定枠1020に対してレンズ1010を固定する光学装置であって、レンズ固定枠1020には、不図示のレーザ装置よりレーザ1030が照射される被照射部1023aを具備したレンズ押さえ部1023が形成されており、図2に示すように、レンズ固定枠1020のレンズ受け部1021にレンズ1010が置かれた状態で、レンズ押さえ部1023に具備された被照射部1023aに向けてレーザ1030が照射されると、該被照射部1023aがレーザ1030を吸収して発熱し、レンズ押さえ部1023が変位して、レンズ1010をレンズ固定枠1020に固定するようにしている。
さらに詳しくは、レンズ押さえ部1023はレンズ固定枠1020の周囲に突出して例えば8個具備されており、レンズ押さえ部1023の被照射部1023aがレーザ1030によって照射されると、レンズ1010の前記レンズ受け部1021に接する一方の光学面と対向する他方の光学面であるレンズ表面1012の端部を押さえるように、レンズ押さえ部1023が熱変形して、レンズ1010をレンズ固定枠1020に固定するようにしている。
よって、レンズの位置決め部全体をライン走査させてレーザ照射する従来例に比べ、微小領域の加熱冷却が可能であり、従来に比べて高速でレンズ1010をレンズ固定枠1020に固定可能である。また、溶着後に位置変化を生じる可能性が低いので(溶融する部分が被照射部1023aの部分のみであるので)、レンズ固定枠1020の理想位置にレンズ1010を固定することができる。つまり、高精度の位置決めが可能である。
また、従来のようにレンズ1010自体を溶融するものではないため、この点からも溶着後に位置変化が起きる可能性が低く、より高精度なレンズ固定が可能となるとともに、該レンズ101が熱変形して所望の光学性能を得ることができないといったこともない。
さらに、このようにレンズ自体を溶融するものではないため、レンズ1010がプラッチック製に限定されることはなく、上記実施例1のようにその材質を光学ガラスとすることもできる。
また、レンズ固定枠1020の周囲に8個設けられたレンズ押さえ部1023の各被照射部1023aに向けて、8本のレーザ1030を同時に照射するので、レンズの位置決め部全体をライン走査させてレーザ照射する従来例に比べ、レンズ1020をレンズ固定枠1020に高速にて固定でき、且つ、固定強度を一定にすることができる。さらに、レンズ1010の位置ずれも少なく、さらに高精度のレンズ1010の固定が可能となる。
また、被照射部1023aが設けられたレンズ押さえ部1023はレンズ表面1012より光軸z方向に突出した形状となっているので、被照射部1023aに精度良くレーザを照射することができ、この点からも高精度のレンズ固定が期待できる。
図4〜図6は本発明の実施例2に係わる図であり、詳しくは、図4はレンズをレンズ固定枠に固定するためにレーザ照射している状態を示す中央部断面斜視図、図5はレーザ照射により熱変形した被照射部をレンズ表面へ押し付けた状態を示す中央部断面斜視図、図6はレンズ固定枠にレンズを固定した状態を示す中央部断面斜視図である。
本発明の実施例2でのレンズ2010とレンズ固定枠2020およびこれら各部の形状は、上記実施例1におけるレンズ1010とレンズ固定枠1020と同一であり、又レンズ固定枠2020にレンズ2010を装着する段階までも上記実施例1と同様であるものとする。
図4において、2010は円形凸形状のレンズであり、使用するレーザ波長の光を吸収する材質より成る光学レンズである。2011はレンズ外径部である。
2020はレンズ2010が固定されるレンズ固定枠であり、使用するレーザ波長の光を吸収する材料より成る。このレンズ固定枠2020には、レンズ2010が光軸z方向より載せられるレンズ受け部2021、レンズ1010の外径よりも僅かに大きな内径をしたレンズ係合部2022、及び、レンズ係合部2022の周方向に所定間隔でかつ図中上方(光軸z方向)に矩形状に突出した複数(実施例2では、8個)のレンズ押さえ部2023が設けられている。そして、レンズ押さえ部2023の内径側が被照射部2023aとなる。
次に、図4ないし図6を用いて、レンズ固定枠2020に対してレンズ2010を固定する際の手順について説明する。
まず、上記実施例1と同様、レンズ固定枠2020の上方からレンズ2010をレンズ受け部2021に載せる。この際、レンズ外径部2011がレンズ係合部2022に嵌り込むことで、レンズ2010の光軸z方向の位置が定まる。そして、この状態において、図4および図5に示すように、レンズ2020の図中下方から斜め上方に向けて、該レンズ2020を透過させて、レンズ固定枠2020に設けられた8個(図4、図5等では、5個のみ図示)のレンズ押さえ部2023の内径側の被照射部2023aそれぞれに、不図示のレーザ装置から8本のレーザ2030を照射する。
上記のようにレーザ2030を照射すると、被照射部2023aが該レーザ2030を吸収して発熱し、溶融してくる。その溶融により、レンズ押さえ部2023が、自重を支えきれずに被照射部2023a側(内径側)に熱変形するが、図4に示すように、レンズ表面2012に完全に接するまでには至らない(レーザ2030はレンズ2010を透過する際に吸収されおり、被照射部2023aに到達する照射量が少なくなるため)。
そこで、レンズ2010の上方よりカシメ機器2040を光軸z方向に動かしてレンズ2010に近づけ、さらに、図5に示すように、該カシメ機器2040のカシメ部2041によって、軟化したレンズ押さえ部2023をレンズ表面2012側に押し付ける。この際も、レーザ2030は照射したままである。その後、レーザ2030の照射を停止すると、溶融した被照射部2023が急速に冷却され、固化する。
そして、カシメ機器2040をレンズ2010から図4の状態まで離すと、図6に示すように、8箇のレンズ押さえ部2022がレンズ表面2012の端部を覆うようにしてレンズ2010をレンズ固定枠2020に固定することになる。
上記実施例2によれば、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。さらに、図4に示すようにレンズ押さえ部2023がレンズ2010側に熱変形している状態において、図5に示すように、押圧手段であるカシメ機器2040によってレンズ押さえ部2023をレンズ表面2012側に押圧するようにしているため、図6に示すように、レンズ押さえ部2023によりレンズ2010をレンズ固定枠1020に確実に固定することが可能となる。さらに、従来の熱かしめより小さい力でレンズを固定することができ、変形の小さい高精度なレンズ固定が可能となる。
また、レンズ2010を使用するレーザ波長の光を吸収する材質より成る光学レンズにより形成しているので、レンズ押さえ部2023に設けられた被照射部2023aへレーザ2030を照射する際、該レンズ2020を透過させて行うことができ、レーザ2030の照射方向の自由度が増すことになる。
図7〜図10は本発明の実施例3に係わる図であり、詳しくは、図7はレンズをレンズ固定枠に固定する前の状態を示す中央部断面斜視図、図8はレンズをレンズ固定枠内に載せた状態を示す中央部断面斜視図、図9はレンズをレンズ固定枠に固定するためにレーザ照射している状態を示す中央部断面斜視図、図10はレーザ照射によりレンズ押さえ部を溶融させて残留内部応力によりレンズ表面へ押し付けた状態を示す中央部断面斜視図である。
図7において、3010は円形凸形状のレンズであり、その材質は光学ガラスである。3011はレンズ外径部である。
3020はレンズ3010が固定されるレンズ固定枠であり、使用するレーザ波長の光を吸収する材料より成る。このレンズ固定枠3020には、レンズ3010が光軸z方向より載せられるレンズ受け部3021、及び、周方向に所定間隔かつ図中上方(光軸z方向)にコの字形状(図中、下方が開口するようなコの字形状)に突出した複数(実施例3では、8個)のレンズ押さえ部3023が設けられている。このレンズ押さえ部3023の内径部3023bは、レンズ3010の外径と略同一であり、レンズ受け部3021にレンズ3010が置かれた際、該レンズ3010のレンズ外径部3011と内接するようになっている。そして、レンズ押さえ部2023の図中上部が被照射部3023aとなる。
次に、図7ないし図10を用いて、レンズ固定枠3020に対してレンズ3010を固定する際の手順について説明する。
レンズ固定枠3020の上方からレンズ3010をレンズ受け部3021上に置く。この際、レンズ3010のレンズ外径部3011がレンズ押さえ部3023の内径側3023bに内接し、レンズ3010の光軸z方向の位置が定まる。そして、この状態において、図9に示すように、レンズ固定枠3023に突出して設けられたコの字状のレンズ押さえ部3022の上側の被照射部3023aそれぞれに、図示しないレーザ装置から8本のレーザ3030を照射する。
上記のようにレーザ3030を照射すると、被照射部2023aが該レーザ3030を吸収して発熱し、溶融してくる。すると、レンズ押さえ部3023が残留内部応力により、溶融した被照射部3023aを境として、レンズ押さえ部3023の各外径部3023cはより外径方向に傾き(変位し)、各内径部3023bはより内径側、つまりレンズ3010を光軸z中心方向に押すように傾く(変位する)。
その後、レーザ3030の照射を停止すると、溶融して外径方向に傾いていたレンズ押さえ部3023の外径部3023cおよびレンズ3010を光軸z中心方向に押すように傾いていた内径部3023bが急速に冷却され、固化し、図10に示すように、レンズ3010がレンズ固定枠3020に固定された状態となる。
すなわち、8箇所のレンズ押さえ部3023の内径部3023bがレンズ3010の周端部(レンズ3030の表面3012の端部とレンズ外径部3011)を光軸z方向に押し込むことによって、レンズ3010がレンズ固定枠3020に固定される。
上記実施例3によれば、レーザ吸収性樹脂で形成されたレンズ固定枠3020に対してレンズ3010を固定する光学装置であって、レンズ固定枠3020には、不図示のレーザ装置よりレーザ3030が照射される被照射部3023aを具備したレンズ押さえ部3023が形成されており、図8に示すように、レンズ固定枠3020のレンズ受け部3021にレンズ3010が置かれた状態で、レンズ押さえ部3023に具備された被照射部3023aに向けてレーザ3030が照射されると、該被照射部3023aがレーザ3030を吸収して発熱し、レンズ押さえ部3023が変位して、レンズ3010をレンズ固定枠3020に固定するようにしている。
さらに詳しくは、被照射部3023aを有するレンズ押さえ部3023は、レンズ固定枠3020の周囲に突出して複数具備されており、被照射部3023aがレーザ3030によって照射され、該被照射部3023aが発熱により溶融されると、レンズ押さえ部3023の内径部3023bが、残留内部応力によりレンズ固定枠3020のレンズ受け部3021に置かれたレンズ3010の周端部を光軸zに向かう方向に押さえるように傾き、レンズ3010をレンズ固定枠3020に固定するようにしている。
よって、実施例1,2と同様、レンズの位置決め部全体をライン走査させてレーザ照射する従来例に比べ、微小領域の加熱冷却が可能であり、従来に比べて高速でレンズ3010をレンズ固定枠3020に固定可能である。また、溶着後に位置変化を生じる可能性が低いので(溶融する部分が被照射部3023aの部分のみであるので)、レンズ固定枠3020の理想位置にレンズ3010を固定することができる。つまり、高精度の位置決めが可能である。
その他の効果は、上記実施例1と同様である。
図11は本発明の実施例4に係わる図であり、詳しくは、レンズ押さえ部の被照射部をレーザにより切断してレンズ固定枠にレンズを固定した状態を示す中央部断面斜視図である。
本発明の実施例4におけるレンズ4010、レンズ固定枠4020、被照射部4023a、内径部4023b、外径部4023c等の各部材は、上記実施例3と同様である。
上記実施例3と異なるのは、被照射部4023aを、レーザ4030によって切断する点である。図11に示すように、レーザ4030によって被照射部4023aを切断すると、レンズ押さえ部4023が残留内部応力により、切断した被照射部3023aを境として、その各外径部4023cはより外径方向に傾き、各内径部4023aはより内径側に傾く、つまりレンズ4010を不図示の光軸に向かう方向により強く押すように傾く。
その後、レーザ4030の照射を停止すると、切断された外径方向に傾いていたレンズ押さえ部4023の外径部4023cおよびレンズ4010を光軸方向に押すように傾いていた内径部4023bが急速に冷却され、固化し、レンズ4010がレンズ固定枠4020に固定された状態となる。
すなわち、8箇所のレンズ押さえ部4023の内径部4023bがレンズ4010の周端部を光軸方向に強く押し込むことによって、レンズ4010がレンズ固定枠4020に固定される。
上記実施例4によれば、レーザ吸収性樹脂で形成されたレンズ固定枠4020に対してレンズ4010を固定する光学装置であって、レンズ固定枠4020には、不図示のレーザ装置よりレーザ4030が照射される被照射部4023aを具備したレンズ押さえ部4023が形成されており、図11に示すように、レンズ固定枠4020のレンズ受け部4021にレンズ4010が置かれた状態で、レンズ押さえ部4023に具備された被照射部4023aに向けてレーザ3030が照射されると、該被照射部4023aがレーザ4030を吸収して発熱し、レンズ押さえ部4023が変位して、レンズ4010をレンズ固定枠4020に固定するようにしている。
さらに詳しくは、被照射部4023aを有するレンズ押さえ部4023は、レンズ固定枠4020の周囲に突出して複数具備されており、被照射部4023aがレーザ4030によって照射され、該被照射部4023aが発熱により切断されると、レンズ押さえ部4023の内径部4023bが、残留内部応力によりレンズ固定枠4020のレンズ受け部4021に置かれたレンズ4010の周端部を光軸に向かう方向に押さえるように傾き、レンズ4010をレンズ固定枠4020に固定するようにしている。
よって、上記実施例1〜3と同様、レンズの位置決め部全体をライン走査させてレーザ照射する従来例に比べ、微小領域の加熱冷却が可能であり、従来に比べて高速でレンズ4010をレンズ固定枠4020に固定可能である。また、溶着後に位置変化を生じる可能性が低いので(溶融する部分が被照射部4023aの部分のみであるので)、レンズ固定枠4020の理想位置にレンズ4010を固定することができる。つまり、高精度の位置決めが可能である。
その他の効果は、上記実施例1と同様である。
図12〜図15は本発明の実施例5に係わる図であり、詳しくは、図12はレンズをレンズ固定枠に固定する前の状態を示す斜視図、図13は同じくレンズをレンズ固定枠に固定する前の状態を示す中央部断面斜視図、図14はレンズをレンズ固定枠内にて位置調整し且つ固定するためにレーザ照射している状態を示す中央部断面斜視図、図15はレンズの位置調整をして該レンズをレンズ固定枠に固定した状態を示す斜視図である。
図12において、5010は円形凸形状のレンズであり、その材質は光学ガラスである。5011はレンズ外径部である。
5020はレンズ5010が固定されるレンズ固定枠であり、使用するレーザ波長の光を吸収する材料より成る。このレンズ固定枠5020には、レンズ5010が不図示の光軸方向より載せられるレンズ受け部5021、及び、周方向に所定間隔かつ図中上方(光軸方向)にコの字形状(図中、下方が開口するようなコの字形状)に突出した複数(実施例5では、8個)のレンズ押さえ部5023が設けられている。このレンズ押さえ部5023の内径部5023bは、レンズ5010の外径より僅かに小さく、レンズ受け部5021にレンズ5010が置かれた(嵌め込まれた)際、その弾性力で外径側に撓んで該レンズ5010のレンズ外径部5011と内接するようになっている。そして、レンズ押さえ部5023の図中上部が被照射部5023aとなる。
次に、図12ないし図15を用いて、レンズ固定枠5020に対してレンズ5010を光軸と直交する方向の面内において位置調整すると共に固定する際の手順について説明する。
レンズ固定枠5020の上方からレンズ5010をレンズ受け部5021上に嵌め込む。この際、レンズ押さえ部5023の内径部5023bがレンズ5010のレンズ外径部5011よりも僅かに小さいため、レンズ5010によって各レンズ押さえ部5023が外径側に押され、図14に示すように弾性変形して外径側に撓む。この時、レンズ外径部5011は、レンズ固定枠5020の、周方向に等分に突出して8個設けられたレンズ押さえ部5023それぞれによって光軸中心に向かって押されるため、力のバランスが取れて、光軸と直交する面内においてその位置で仮固定される。
この状態において、レンズ固定枠5020に対してレンズ5010が光軸と直交する面内において、例えば僅かに左側に偏っていたとすると、図14に示すように、8個設けられているレンズ押さえ部5023のうちの、右側の3個(図14では、2個のみ図示)のコの字状のレンズ押さえ部5023の開口した下側より被照射部5023aそれぞれに、図示しないレーザ装置から3本のレーザ5030を照射する。
上記のようにレーザ5030を照射すると、右側の3個のレンズ押さえ部5023の被照射部5023aが該レーザ5030を吸収して発熱し、溶融して、図15に示すように切断される。すると、切断前までは、8個のレンズ押さえ部5022によってレンズ5010のレンズ外径部5011が光軸中心に向かってバランスを取って押圧されていたものが、右側3箇の被照射部5023aが切断されたため、右側3箇のレンズ押さえ部5023の前記光軸へ向かう方向の押圧力が弱まり、つまり右側3箇のレンズ押さえ部5023の内径部5023bが外径側に変位し、力のバランスが崩れ、レンズ5010が図15において右方向に位置調整され、この状態で新たな力のバランスが取れる。
その後、レーザ5030の照射を停止すると、右側3箇のレンズ押さえ部5023の内径部5023bが外径側に変位したままで急速に冷却され、固化し、図15に示すように、レンズ5010がレンズ固定枠5020の光軸と直交する面内において位置調整され、固定された状態となる。
上記実施例5によれば、レーザ吸収性樹脂で形成されたレンズ固定枠5020に対してレンズ5010を固定する光学装置であって、レンズ固定枠5020には、不図示のレーザ装置よりレーザ5030が照射される被照射部5023aを具備したレンズ押さえ部5023が形成されており、図14に示すように、レンズ固定枠5020のレンズ受け部5021にレンズ5010が置かれた状態で、レンズ押さえ部5023に具備された被照射部5023aに向けてレーザ5030が照射されると、該被照射部5023aがレーザ5030を吸収して発熱し、レンズ押さえ部5023が変位して、レンズ5010をレンズ固定枠5020に固定するようにしている。
さらに詳しくは、被照射部5023aを有するレンズ押さえ部5023は、レンズ固定枠5020のレンズ受け部5021に置かれた(嵌め込まれた)レンズ5010の周端部(レンズ外径部5011)を光軸へ向かう方向に押さえる付勢力をもって、レンズ固定枠5020の周囲に突出して等間隔に8個具備されており、複数のうちの任意のレンズ押さえ部5023の被照射部5023aがレーザ5030によって照射され、該レンズ押さえ部5023の一部(被照射部5023a)が発熱により切断されると、前記複数(8個)のレンズ押さえ部5023によるレンズ5010の周端部を光軸へ向かう方向に押さえる力のバランスが変化し、この新たな力のバランスによってレンズ5010をレンズ固定枠5020の所望の位置に固定するようにしている。
よって、実施例1〜4と同様、レンズの位置決め部全体をライン走査させてレーザ照射する従来例に比べ、微小領域の加熱冷却が可能であり、従来に比べて高速でレンズ5010をレンズ固定枠5020に固定可能である。また、溶着後に位置変化を生じる可能性が低いので(溶融する部分が被照射部5023aの部分のみであるので)、レンズ固定枠5020の理想位置にレンズ5010を固定することができる。つまり、高精度の位置決めが可能である。
その他の効果は、上記実施例1と同様である。
なお、上記各実施例において、レーザによる被照射部への照射は同時に行う例を示していたが、厳密には同時ではなく、レンズの位置精度に影響が無い程度の時間差、例えば数十ms〜数百msの時間差で照射されるようにしてもよい。また、固定されるレンズは、光学ガラスより成るものでなく、樹脂で成形されたものであっても良い。また、固定される被固定物は、レンズに限定されるものではなく、透明なガラス板やプラスチック板、プリズム、光学フィルター等の光学素子でも良い。
本発明の実施例1においてレンズをレンズ固定枠に固定する前の状態を示す斜視図である。 本発明の実施例1においてレンズ押し付け部の被照射部へのレーザ照射中を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例1においてレーザ照射してレンズをレンズ枠に固定した状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例2においてレンズをレンズ固定枠に固定するためのレーザ照射している状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例2においてレーザ照射により熱変形した被照射部をレンズ表面へ押し付けた状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例2においてレンズ固定枠にレンズを固定した状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例3においてレンズをレンズ固定枠に固定する前の状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例3においてレンズをレンズ固定枠内に載せた状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例3においてレンズをレンズ固定枠に固定するためにレーザ照射している状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例3においてレーザ照射によりレンズ押さえ部を溶融させて残留内部応力によりレンズ表面へ押し付けた状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例4においてレンズ押さえ部の被照射部をレーザにより切断してレンズ固定枠にレンズを固定した状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例5においてレンズ固定枠に固定する前の状態を示す斜視図である。 本発明の実施例5においてレンズをレンズ固定枠に固定する前の状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例5においてレンズをレンズ固定枠内にて位置調整し且つ固定するためにレーザ照射している状態を示す中央部断面斜視図である。 本発明の実施例5においてレンズの位置調整をして該レンズをレンズ固定枠に固定した状態を示す斜視図である。
符号の説明
1010,2010,3010,4010,5010 レンズ(光学部材)
1011,2011,3011,5011 レンズ外径部
1012,2012,3012,5012 レンズ表面
1020,2020,3020,4020,5020 レンズ枠(固定部材)
1021,2021,3021,5021 レンズ受け部
1022,2022,3022,4022,5022 レンズ押さえ部(光学部材押さえ部)
1023,2023,3023,4023,5023 被照射部
1024 レンズ係合部
1030,2030,3030,4030 レーザ
2040 カシメ機器(押圧手段)
2041 カシメ部
z 光軸

Claims (6)

  1. レーザ吸収性樹脂で形成された固定部材に対して光学部材を固定する光学装置であって、
    前記固定部材が、レーザ装置よりレーザが照射される被照射部を具備した光学部材押さえ部を有し、
    前記固定部材の所定位置に前記光学部材が置かれた状態で、前記光学部材押さえ部の前記被照射部に向けて前記レーザが照射されると、該被照射部が前記レーザを吸収して発熱し、前記光学部材押さえ部の少なくとも一部が変位して、前記光学部材を前記固定部材に固定することを特徴とする光学装置。
  2. 前記被照射部を有する前記光学部材押さえ部は、前記固定部材の周囲に突出して複数具備されており、
    前記被照射部が前記レーザによって照射されると、前記固定部材の所定位置に接する前記光学部材の端部を押さえるように、前記光学部材押さえ部が前記発熱により変位して、前記光学部材を前記固定部材に固定することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  3. 前記被照射部を有する前記光学部材押さえ部は、前記固定部材の周囲に突出して複数具備されており、
    前記被照射部が前記レーザによって照射され、該被照射部が前記発熱により溶融されると、前記光学部材押さえ部の一部が、残留内部応力により前記固定部材の所定位置に置かれた前記光学部材の端部を押さえるように変位して、前記光学部材を前記固定部材に固定することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  4. 前記被照射部を有する前記光学部材押さえ部は、前記固定部材の周囲に突出して複数具備されており、
    前記被照射部が前記レーザによって照射され、該被照射部が前記発熱により切断されると、前記光学部材押さえ部の一部が、残留内部応力により前記固定部材の所定位置に置かれた前記光学部材の端部を押さえるように変位して、前記光学部材を前記固定部材に固定することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  5. 前記被照射部を有する前記光学部材押さえ部は、前記固定部材の所定位置に置かれた前記光学部材の端部を押さえる方向に付勢力をもって、前記固定部材の周囲に突出して等間隔に複数具備されており、
    前記複数のうちの任意の前記光学部材押さえ部の被照射部が前記レーザによって照射され、該光学部材押さえ部の一部が前記発熱により切断されると、前記複数の光学部材押さえ部による前記光学部材の端部を押さえる力のバランスが変化し、新たな力のバランスによって前記光学部材を前記固定部材の所望の位置に固定することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  6. レーザ吸収性樹脂で形成された固定部材に対して光学部材を固定する光学部材固定方法であって、
    前記固定部材の所定位置に前記光学部材を置いた状態で、前記固定部材に突出して設けられた光学部材押さえ部の被照射部に向けてレーザ装置よりレーザを照射し、照射の間押圧手段によって前記光学部材を前記固定部材に固定する方向に押圧し、前記被照射部を前記レーザを吸収することにより発熱させ、前記光学部材押さえ部の少なくとも一部を変位させて、前記光学部材を前記固定部材に固定することを特徴とする光学部材固定方法。
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