JP2006162853A - 光学フィルター - Google Patents
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Abstract
【課題】480〜500nmの光を選択的に吸収する光学フィルターを提供すること。
【解決手段】基材中に、下記一般式(I)で表されるシアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする光学フィルター。
R1R2N+=CH−CRa=CR3−CRb=CH−NR1'R2' pAnq−(I)
(式中、Ra及びRbは、水素原子、炭素原子数1〜8の炭化水素基又は連結して炭素環若しくは複素環を形成する炭素原子数1〜12の有機基を表し、R1,R2,R1'及びR2'は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数7〜18のアラルキル基又は特定のメタロセン構造を有する置換基を表し、R1及びR2あるいはR1'及びR2'はそれぞれ連結して複素環を形成してもよく、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜30の有機基又は上記特定のメタロセン構造を有する置換基を表し、Anq−はq価のアニオンを表し、qは1又は2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】基材中に、下記一般式(I)で表されるシアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする光学フィルター。
R1R2N+=CH−CRa=CR3−CRb=CH−NR1'R2' pAnq−(I)
(式中、Ra及びRbは、水素原子、炭素原子数1〜8の炭化水素基又は連結して炭素環若しくは複素環を形成する炭素原子数1〜12の有機基を表し、R1,R2,R1'及びR2'は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数7〜18のアラルキル基又は特定のメタロセン構造を有する置換基を表し、R1及びR2あるいはR1'及びR2'はそれぞれ連結して複素環を形成してもよく、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜30の有機基又は上記特定のメタロセン構造を有する置換基を表し、Anq−はq価のアニオンを表し、qは1又は2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、特定のシアニン化合物を含有する光学フィルターに関し、詳しくは、490nm付近に急峻な光吸収を有するシアニン化合物を含有する光学フィルターに関する。該光学フィルターは、特に画像表示装置用の光学フィルターとして有用である。
特定の光に対して強度の大きい吸収を有する化合物は、CD−R、DVD−R、青色レーザ記録ディスク等の光学記録媒体の記録層や、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置の光学要素として用いられている。
例えば、画像表示装置における光学要素の用途としては、カラーフィルターの光吸収剤がある。画像表示装置は、赤、青、緑の三原色の光の組合せでカラー画像を表示しているが、カラー画像を表示する光には、緑と赤の間の550〜600nm等の表示品質の低下をきたす光が含まれており、また、750〜1100nmの赤外リモコンの誤作動の原因となる光も含まれている。そこで、これらの不要な波長の光を選択的に吸収する光吸収性化合物(光吸収剤)を含有する光学フィルターが使用されている。
更に、光学フィルターには、蛍光灯等の外光の反射や映り込みを防止する機能も求められている。反射や映り込みを防止するには、光学フィルターには、上記の不要な波長の光を選択的に吸収する機能に加え、480〜500nm及び540〜560nmの波長光を吸収する機能が必要である。これらの領域の光は、画像表示に必要な輝線に近い。従って、画像品質に影響を及ぼさないためには、光吸収剤の光吸収が特別に急峻であること、即ちλmaxの半値幅が小さいことが求められる。
また、光吸収剤には、光や熱等により機能が失われないことも求められる。
また、光吸収剤には、光や熱等により機能が失われないことも求められる。
光吸収剤を含有する光学フィルターとして、例えば、下記特許文献1には、440〜510nmに極大吸収波長を有するジピロメテン金属キレート化合物を使用した光学フィルターが開示されており、下記特許文献2には、440〜510nmに極大吸収波長を有するポルフィリン化合物を使用した光学フィルターが開示されている。しかし、これらの光学フィルターに使用される化合物は、吸収波長特性、あるいは溶媒やバインダー樹脂との親和性の点で満足のいく性能を有していない。従って、これらの光学フィルターは、480〜500nmにおいて充分な性能を示すものではなかった。
尚、下記非特許文献1には、特定の構造を持つシアニン化合物が開示されているが、該シアニン化合物を光学フィルターに用いることは何等示唆されていない。
従って、本発明の目的は、480〜500nmの光を選択的に吸収する光学フィルターを提供することにある。
本発明者等は、検討を重ねた結果、480〜500nmの範囲に急峻な吸収を有し、有機溶媒に対する溶解性及び吸光係数が高い特定の分子構造を有するシアニン化合物を見出し、これを使用することにより、上記課題を解決し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、基材中に、下記一般式(I)で表されるシアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする光学フィルターを提供するものである。
本発明によれば、480〜500nmの光を選択的に吸収する光学フィルターを提供できる。該光学フィルターは、画像表示装置の表示品質の向上及び外光の映り込み防止に好適なものである。
以下、本発明の光学フィルターについて、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明に係るシアニン化合物において、上記一般式(I)におけるRa及びRbで表される炭素原子数1〜8の炭化水素基の代表例としては、炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられ、該アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。炭素原子数1〜8の炭化水素基としては、該アルキル基のほかに、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基で置換されてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基及びアルケニルオキシ基等も挙げられる。
また、炭素原子数1〜12の有機基であるRaとRbとが連結して形成される炭素環としては、シクロブテン−1,3−ジイル、3−メチルシクロブテン−1,3−ジイル、シクロペンテン−1,3−ジイル、シクロヘキセン−1,3−ジイル、インデン−3−イル−1−イリデン、ペンタレン−1,3−ジイル等が挙げられ、RaとRbとが連結して形成される複素環としては、ピラン環、チオピラン環、ピラゾリル環等が挙げられる。
また、炭素原子数1〜12の有機基であるRaとRbとが連結して形成される炭素環としては、シクロブテン−1,3−ジイル、3−メチルシクロブテン−1,3−ジイル、シクロペンテン−1,3−ジイル、シクロヘキセン−1,3−ジイル、インデン−3−イル−1−イリデン、ペンタレン−1,3−ジイル等が挙げられ、RaとRbとが連結して形成される複素環としては、ピラン環、チオピラン環、ピラゾリル環等が挙げられる。
上記一般式(I)において、R1、R2、R1’及びR2’で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、へプチル、オクチル、イソオクチル等が挙げられ、炭素原子数7〜18のアラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、スチリル、シンナミル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル等が挙げられ、R1及びR2あるいはR1’及びR2’が連結して形成する複素環としては、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、チアゾリジン環、イソチアゾリジン環、オキサゾリジン環、イソオキサゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピペリドン環、モルホリン環等が挙げられる。
R1、R2、R1’及びR2’は、上記一般式(II)で表される置換基であってもよい。上記一般式(II)において、Rc〜Rkで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−O−で置換された基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル等が挙げられ、該アルキル基中のメチレン基が−CO−で置換された基としては、アセチル、1−カルボニルエチル、アセチルメチル、1−カルボニルプロピル、2−オキソブチル、2−アセチルエチル、1−カルボニルイソプロピル等が挙げられ、Zで表される置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、ブチレン、1−メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、1,2−ジメチルプロピレン、1,3−ジメチルプロピレン、1−メチルブチレン、2−メチルブチレン、3−メチルブチレン、4−メチルブチレン、2,4−ジメチルブチレン、1,3−ジメチルブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、エタン−1,1−ジイル、プロパン−2,2−ジイル等が挙げられ、該アルキレン基中のメチレン基が−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−N=CH−又は−CH=CH−で置換された基としては、メチレンオキシ、エチレンオキシ、オキシメチレン、チオメチレン、カルボニルメチレン、カルボニルオキシメチレン、メチレンカルボニルオキシ、スルホニルメチレン、アミノメチレン、アセチルアミノ、エチレンカルボキシアミド、エタンイミドイル、エテニレン、プロペニレン等が挙げられる。
上記一般式(I)におけるR1、R2、R1’及びR2’は、メチル基、又はR1及びR2あるいはR1’及びR2’が連結したピロリジン環、ピペリジン環若しくはモルホリン環であることが好ましい。
上記一般式(I)において、R3で表される炭素原子数1〜30の有機基は、特に制限を受けず、例えば、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ等のジアルキルアミノ基;メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ等のアルキルアリールアミノ基;ジフェニルアミノ等のジアリールアミノ基;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ペプタデシル、オクタデシル等のアルキル基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、1−フェニルプロペン−3−イル等のアルケニル基;フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ第三ブチルフェニル、シクロヘキシルフェニル等のアルキルアリール基;ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;これらの炭化水素基がエーテル結合及び/又はチオエーテル結合で中断又は連結されたもの、例えば、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−フェノキシエチル、2−メチルチオエチル、2−フェニルチオエチル、フェニルチオ、4−ニトロフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ、フェノキシ、4−ニトロフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等が挙げられ、更にこれらの基は、アルコキシ基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
上記一般式(I)におけるR3は、これらの有機基の中でも、ハロゲン原子、アリールアルキル基、又は炭化水素基がエーテル結合及び/若しくはチオエーテル結合で中断若しくは連結されたものであることが好ましい。
上記一般式(I)におけるR3は、これらの有機基の中でも、ハロゲン原子、アリールアルキル基、又は炭化水素基がエーテル結合及び/若しくはチオエーテル結合で中断若しくは連結されたものであることが好ましい。
上記一般式(I)において、Anq-で表されるアニオンとしては、例えば、一価のものとして、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、フッ素アニオン等のハロゲンアニオン;過塩素酸アニオン、塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン;ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸アニオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸アニオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン;オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスホン酸アニオン等の有機リン酸系アニオン等が挙げられ、二価のものとして、ベンゼンジスルホン酸アニオン、ナフタレンジスルホン酸アニオン等が挙げられる。また、励起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するクエンチャーアニオンや、シクロペンタジエニル環にカルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基等のアニオン性基を有するフェロセン、ルテオセン等のメタロセン化合物アニオン等も、必要に応じて用いることができる。
上記のクエンチャーアニオンとしては、例えば、下記一般式(A)又は(B)で表されるもの、特開昭60−234892号公報、特開平5−43814号公報、特開平6−239028号公報、特開平9−309886号公報、特開平10−45767号公報等に記載されたようなアニオンが挙げられる。
上記一般式(I)で表されるシアニン化合物の中でも、下記一般式(III)で表されるものが、製造コストが小さく、且つ、吸収波長特性が480〜500nmの光を選択的に吸収する光学フィルターに用いる光吸収剤として特に適しているので、好ましい。
本発明に係る上記一般式(I)で表されるシアニン化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜49が挙げられる。
本発明に係る上記一般式(I)で表されるシアニン化合物は、その製造方法によって特に限定されず、周知一般の反応を利用した方法で得ることができる。該シアニン化合物は、例えば、下記〔化9〕に示す反応式の如く、ホルミルアミド誘導体とケトン体とを、オキシ塩化リン等の反応剤により反応させることにより、合成することができる。
本発明に係るシアニン化合物からなる光吸収剤は、吸収の半値幅が小さいので、画像表示に必要な光の吸収が小さいという特徴を有している。従って、該シアニン化合物を含有する本発明の光学フィルターは、480〜500nmの不要な光を吸収する画像表示装置用光学フィルターとして好適である。
上記画像表示装置としては、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置が挙げられる。
上記画像表示装置としては、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置が挙げられる。
尚、本発明の光学フィルターは、画像表示装置用以外に、分析装置用、半導体装置製造用、天文観測用、光通信用等の用途にも用いることができる。
また、本発明に係るシアニン化合物は、吸光係数が高いため、添加量が少なくてもよく、光学フィルター製造におけるコストを低減することができるという特徴も有している。
さらに、本発明に係るシアニン化合物は、有機溶媒に対する溶解性が大きいという特徴も有している。一般に、有機溶媒への溶解性が大きい化合物は、合成樹脂との相溶性も良好であるので、本発明に係るシアニン化合物は、合成樹脂中へ光吸収剤を均一に分散又は相溶させることができる点で、光学フィルター製造において有利である。
さらに、本発明に係るシアニン化合物は、有機溶媒に対する溶解性が大きいという特徴も有している。一般に、有機溶媒への溶解性が大きい化合物は、合成樹脂との相溶性も良好であるので、本発明に係るシアニン化合物は、合成樹脂中へ光吸収剤を均一に分散又は相溶させることができる点で、光学フィルター製造において有利である。
本発明の光学フィルター、特に画像表示装置用の光学フィルターにおいて、本発明に係るシアニン化合物の使用量は、光学フィルターの単位面積当たり、通常1〜1000mg/m2、好ましくは5〜100mg/m2の範囲である。1mg/m2未満の使用量では、光吸収効果を十分に発揮することができず、1000mg/m2を超えて使用した場合には、フィルターの色目が強くなりすぎて表示品質等を低下させるおそれがあり、さらには、明度が低下するおそれもある。
本発明の光学フィルターは、画像表示装置用として用いる場合、通常ディスプレイの前面に配置される。例えば、光学フィルターをディスプレイの表面に直接貼り付けてもよく、ディスプレイの前に前面板や電磁波シールドが設けられている場合は、前面板又は電磁波シールドの表側(外側)又は裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターを貼り付けてもよい。
画像表示装置用として用いる場合、本発明の光学フィルターには、色調調整等のために、480〜500nm以外の波長の光を吸収する光吸収剤を用いたり、外光の反射や映り込みを防止するために、本発明に係るシアニン化合物以外の480〜500nm対応の光吸収剤を用いてもよい。また、画像表示装置がプラズマディスプレイの場合、750〜1100nm対応の近赤外線吸収剤を用いてもよい。
色調調整用の上記光吸収剤としては、550〜600nmのオレンジ光の除去のために用いられるものとして、トリメチンインドリウム化合物、トリメチンベンゾオキサゾリウム化合物、トリメチンベンゾチアゾリウム化合物等のトリメチンシアニン誘導体;ペンタメチンオキサゾリウム化合物、ペンタメチンチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン誘導体;スクアリリウム色素誘導体;アゾメチン色素誘導体;キサンテン色素誘導体;アゾ色素誘導体;ピロメテン色素誘導体;アゾ金属錯体誘導体:ローダミン色素誘導体;フタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
また、外光の映り込み防止用の480〜500nm対応の上記光吸収剤としては、トリメチンインドリウム化合物、トリメチンオキサゾリウム化合物、トリメチンチアゾリウム化合物、インドリデントリメチンチアゾニウム化合物等のトリメチンシアニン誘導体;フタロシアニン誘導体;ナフタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
また、赤外リモコン誤作動防止用の750〜1100nm対応の上記近赤外線吸収剤としては、ビスイミニウム誘導体;ペンタメチンベンゾインドリウム化合物、ペンタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ペンタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のペンタメチンシアニン誘導体;ヘプタメチンインドリウム化合物、ヘプタメチンベンゾインドリウム化合物、ヘプタメチンオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾオキサゾリウム化合物、ヘプタメチンチアゾリウム化合物、ヘプタメチンベンゾチアゾリウム化合物等のヘプタメチンシアニン誘導体;スクアリリウム誘導体;ビス(スチルベンジチオラト)化合物、ビス(ベンゼンジチオラト)ニッケル化合物、ビス(カンファージチオラト)ニッケル化合物等のニッケル錯体;スクアリリウム誘導体;アゾ色素誘導体;フタロシアニン誘導体;ポルフィリン誘導体;ジピロメテン金属キレート化合物等が挙げられる。
本発明の光学フィルターにおいて、上記の色調調整のための光吸収剤、480〜500nm対応の光吸収剤及び近赤外線吸収剤は、本発明に係るシアニン化合物と同一の層に含有されていてもよく、別の層に含有されていてもよい。それらの使用量はそれぞれ、通常光学フィルターの単位面積当たり1〜1000mg/m2の範囲であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
本発明の光学フィルターの代表的な構成としては、透明支持体に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層等の任意の各層を設けたものが挙げられる。本発明に係るシアニン化合物や、本発明に係るシアニン化合物以外の光吸収剤、各種安定剤等の任意成分を本発明の光学フィルターに含有させる方法としては、例えば、(1)透明支持体又は任意の各層に含有させる方法、(2)透明支持体又は任意の各層にコーティングする方法、(3)透明支持体及び任意の各層から選択される任意の隣合う二者間の粘着剤層に含有させる方法、(4)任意の各層とは別に、本発明に係るシアニン化合物等の光吸収剤等を含有する光吸収層を設ける方法が挙げられる。本発明に係るシアニン化合物は、光学フィルターを構成する基材、即ち、透明支持体、任意の各層、コーティング層、粘着剤層及び光吸収層等のいずれかに含有されていればよいが、本発明に係るシアニン化合物は、上記(3)の方法により粘着剤層に含有させるか、又は上記(4)の方法により光吸収層に含有させるのに好適である。
上記透明支持体の材料としては、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂等の高分子材料が挙げられる。透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
上記透明支持体中には、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェノール系、リン系等の酸化防止剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機微粒子等を添加することができ、また、上記透明支持体には、各種の表面処理を施すことができる。
上記無機微粒子としては、例えば、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が挙げられる。
上記各種表面処理としては、例えば、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理等が挙げられる。
上記下塗り層は、光吸収剤を含有する光吸収層を設ける場合に、透明支持体と光吸収層との間に用いる層である。上記下塗り層は、ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む層、光吸収層側の表面が粗面である層、又は光吸収層のポリマーと親和性を有するポリマーを含む層として形成する。また、下塗り層は、光吸収層が設けられていない透明支持体の面に設けて、透明支持体とその上に設けられる層(例えば、反射防止層、ハードコート層)との接着力を改善するために設けてもよく、光学フィルターと画像表示装置とを接着するための接着剤と光学フィルターとの親和性を改善するために設けてもよい。下塗り層の厚みは、2nm〜20μmが好ましく、5nm〜5μmがより好ましく、20nm〜2μmがさらに好ましく、50nm〜1μmがさらにまた好ましく、80nm〜300nmが最も好ましい。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーを含む下塗り層は、ポリマーの粘着性で、透明支持体と光吸収層とを接着する。ガラス転移温度が−60〜60℃のポリマーは、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル又はメチルビニルエーテルの重合又はこれらの共重合により得ることができる。ガラス転移温度は、50℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、25℃以下であることがさらにまた好ましく、20℃以下であることが最も好ましい。下塗り層の25℃における弾性率は、1〜1000MPaであることが好ましく、5〜800MPaであることがさらに好ましく、10〜500MPaであることが最も好ましい。光吸収層側の表面が粗面である下塗り層は、粗面の上に光吸収層を形成することで、透明支持体と光吸収層とを接着する。光吸収層側の表面が粗面である下塗り層は、ポリマーラテックスの塗布により容易に形成することができる。ラテックスの平均粒径は、0.02〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。光吸収層のバインダーポリマーと親和性を有するポリマーとしては、アクリル樹脂、セルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、ポリビニルアルコール、可溶性ナイロン及び高分子ラテックス等が挙げられる。また、本発明の光学フィルターには、二以上の下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、透明支持体を膨潤させる溶剤、マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、塗布助剤、硬膜剤等を添加してもよい。
上記反射防止層においては、低屈折率層が必須である。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚さは、50〜400nmであることが好ましく、50〜200nmであることがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、特開平6−115023号、特開平8−313702号、特開平7−168004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、特開平6−299091号、特開平7−168003号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、特開平6−56478号、特開平7−92306号、特開平9−288201号の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間又は微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。微粒子を含む層は、3〜50体積%の空隙率を有することが好ましく、5〜35体積%の空隙率を有することがさらに好ましい。
広い波長領域の反射を防止するためには、上記反射防止層において、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.40であることが好ましく、1.70〜2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.90であることが好ましく、1.55〜1.70であることがさらに好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm〜100μmであることが好ましく、10nm〜10μmであることがさらに好ましく、30nm〜1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーバインダーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、環状(脂環式又は芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタン等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応により形成されたポリマーを用いてもよい。
さらに高い屈折率を得るため、上記ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80〜2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物又は硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は硫化物としては、酸化チタン(例えば、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物又は硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素としては、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P、S等が挙げられる。被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例えばキレート化合物)、活性無機ポリマーを用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。
上記反射防止層の表面には、アンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成してその表面に反射防止層を形成するか、あるいは、反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を有する反射防止層を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
上記ハードコート層は、上記透明支持体の硬度よりも高い高度を有する。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系のポリマー、オリゴマー又はモノマー(例えば紫外線硬化型樹脂)等を用いて形成することができる。シリカ系材料からハードコート層を形成することもできる。
上記反射防止層(低屈折率層)の表面には、潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、低屈折率層表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例えばシリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤又はその誘導体等を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
前記「(3)透明支持体及び任意の各層から選択される任意の隣合う二者間の粘着剤層に含有させる方法」を採用する場合には、本発明に係るシアニン化合物等を粘着剤に含有させた後、該粘着剤を用いて、上述した透明支持体及び任意の各層のうちの隣合う二者を貼り合せればよい。該粘着剤としては、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の樹脂用接着剤、ポリビニルブチラール接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等の公知の合わせガラス用透明接着剤を用いることができる。また、該粘着剤を用いる場合、必要に応じて、硬化剤として、金属キレート系、イソシアネート系、エポキシ系等の架橋剤を用いることができる。また、粘着剤層の厚みは、2〜400μmとすることが好ましい。
前記「(4)任意の各層とは別に、本発明に係るシアニン化合物等の光吸収剤等を含有する光吸収層を設ける方法」を採用する場合、本発明に係るシアニン化合物は、そのまま使用して光吸収層を形成することもできるし、バインダーに分散させて光吸収層を形成することもできる。該バインダーとしては、例えば、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料、あるいは、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド等の合成高分子材料が用いられる。
上記バインダーを使用する際には、同時に有機溶媒を使用することもでき、該有機溶媒としては、特に限定されることなく公知の種々の溶媒を適宜用いることができ、例えば、イソプロパノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等のエステル類;アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ化アルコール類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;メチレンジクロライド、ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は混合して用いることができる。
また、上記の下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層、光吸収層等は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許第2681294号明細書記載)等が挙げられる。また、二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、米国特許第2761791号、米国特許第2941898号、米国特許第3508947号及び米国特許第3526528号の各明細書並びに原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)等に記載がある。
以下、製造例、評価例、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
下記製造例1〜12は、本発明に係るシアニン化合物の製造例を示し、下記評価例においては、製造例1〜12で得られた本発明に係るシアニン化合物及び比較化合物について、溶解性の評価を行った。また、下記実施例1〜3は、製造例1〜12で得られた本発明に係るシアニン化合物を用いた本発明の光学フィルターの実施例を示し、下記比較例1は、比較化合物を用いた光学フィルターの実施例を示す。
下記製造例1〜12は、本発明に係るシアニン化合物の製造例を示し、下記評価例においては、製造例1〜12で得られた本発明に係るシアニン化合物及び比較化合物について、溶解性の評価を行った。また、下記実施例1〜3は、製造例1〜12で得られた本発明に係るシアニン化合物を用いた本発明の光学フィルターの実施例を示し、下記比較例1は、比較化合物を用いた光学フィルターの実施例を示す。
[製造例1〜12]シアニン化合物の製造
以下に示す合成方法1又は2を用いて、化合物No.1〜12を合成した。得られた化合物についての収率及び分析結果を表1〜3に示す。
なお、表1において、濃度は光学特性(λmax、ε及び半値幅)の測定に用いたクロロホルム溶液のものであり、分解点は10℃/分の昇温速度における示差熱分析の質量減少開始温度である。
以下に示す合成方法1又は2を用いて、化合物No.1〜12を合成した。得られた化合物についての収率及び分析結果を表1〜3に示す。
なお、表1において、濃度は光学特性(λmax、ε及び半値幅)の測定に用いたクロロホルム溶液のものであり、分解点は10℃/分の昇温速度における示差熱分析の質量減少開始温度である。
(合成方法1)化合物No.1、4、6、9、11及び12の合成
ホルムアミド誘導体253mmol及びクロロホルム40.0mlを仕込み、氷冷下でオキシ塩化リン175mmolを加え、氷冷下で1時間攪拌した。ケトン体49.9mmolを氷冷下で加えた後、加熱還流下で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、六フッ化リンカリウム163mmolを400mlの水に溶かした溶液に注ぎ、析出物をろ別し、水及びメタノールにより洗浄して粗生成物を得た。得られた粗生成物について、アセトン及びエタノールの混合溶媒から再結晶を行い、目的のシアニン化合物を得た。
ホルムアミド誘導体253mmol及びクロロホルム40.0mlを仕込み、氷冷下でオキシ塩化リン175mmolを加え、氷冷下で1時間攪拌した。ケトン体49.9mmolを氷冷下で加えた後、加熱還流下で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、六フッ化リンカリウム163mmolを400mlの水に溶かした溶液に注ぎ、析出物をろ別し、水及びメタノールにより洗浄して粗生成物を得た。得られた粗生成物について、アセトン及びエタノールの混合溶媒から再結晶を行い、目的のシアニン化合物を得た。
(合成方法2)化合物No.2、3、5、7、8及び10の合成
合成方法1で得られたシアニン化合物5.00mmol及びジメチルホルムアミド75mlを仕込み、室温でトリエチルアミン5.55mmol及びチオール体5.35mmolを滴下して、室温で1時間攪拌した。反応液から溶媒を留去し、水200mlを加えて結晶を析出させた。析出した結晶をろ別して水洗し、アセトン及びメタノールの混合溶媒から再結晶して、目的のシアニン化合物を得た。
尚、出発物質である上記「合成方法1で得られたシアニン化合物」としては、化合物No.2及び3の合成には化合物No.1を、化合物No.5の合成には化合物No.4を、化合物No.7及び8の合成には化合物No.6を、化合物No.10の合成には化合物No.9をそれぞれ用いた。
合成方法1で得られたシアニン化合物5.00mmol及びジメチルホルムアミド75mlを仕込み、室温でトリエチルアミン5.55mmol及びチオール体5.35mmolを滴下して、室温で1時間攪拌した。反応液から溶媒を留去し、水200mlを加えて結晶を析出させた。析出した結晶をろ別して水洗し、アセトン及びメタノールの混合溶媒から再結晶して、目的のシアニン化合物を得た。
尚、出発物質である上記「合成方法1で得られたシアニン化合物」としては、化合物No.2及び3の合成には化合物No.1を、化合物No.5の合成には化合物No.4を、化合物No.7及び8の合成には化合物No.6を、化合物No.10の合成には化合物No.9をそれぞれ用いた。
[評価例]溶解性評価
上記の製造例1〜12で得た化合物No.1〜12及び以下に示すシアニン化合物(比較化合物1〜3)について、20℃での溶媒(メチルエチルケトン)への溶解性を評価した。評価は、シアニン化合物を0.5重量%刻みで溶媒に加え、溶解するか、不溶かを観察することにより行った。結果を表4に示す。尚、表4に示す溶解度は、溶解したと認められた最大濃度である。
上記の製造例1〜12で得た化合物No.1〜12及び以下に示すシアニン化合物(比較化合物1〜3)について、20℃での溶媒(メチルエチルケトン)への溶解性を評価した。評価は、シアニン化合物を0.5重量%刻みで溶媒に加え、溶解するか、不溶かを観察することにより行った。結果を表4に示す。尚、表4に示す溶解度は、溶解したと認められた最大濃度である。
[実施例1−1〜1−12及び比較例1−1〜1−3]
下記の配合をプラストミルで260℃にて5分間溶融混練した。混練後、直径6mmのノズルから押出し水冷却ペレタイザーでシアニン化合物含有ペレットを得た。このペレットを、電気プレスを用いて250℃で0.25mm厚の薄板に成形した。この薄板について、(株)日立製作所スペクトロフォトメーターU−3010により、λmax及び半値巾を測定した。それらの結果を表5に示す。
下記の配合をプラストミルで260℃にて5分間溶融混練した。混練後、直径6mmのノズルから押出し水冷却ペレタイザーでシアニン化合物含有ペレットを得た。このペレットを、電気プレスを用いて250℃で0.25mm厚の薄板に成形した。この薄板について、(株)日立製作所スペクトロフォトメーターU−3010により、λmax及び半値巾を測定した。それらの結果を表5に示す。
(配合)
ユーピロンS−3000 100g
(三菱瓦斯化学(株)製;ポリカーボネート樹脂)
シアニン化合物(表5に記載) 0.01g
ユーピロンS−3000 100g
(三菱瓦斯化学(株)製;ポリカーボネート樹脂)
シアニン化合物(表5に記載) 0.01g
[実施例2]
下記の配合にてUVワニスを作成し、易密着処理した188ミクロン厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、該UVワニスをバーコーター#9により塗布した後、80℃で30秒乾燥させた。その後、赤外線カットフィルムフィルター付き高圧水銀灯にて紫外線を100mJ照射し、硬化膜厚約5ミクロンのフィルムを得た。これについて、(株)日立製作所スペクトロフォトメーターU−3010で測定したところ、λmaxが478nmで半値巾が29nmであった。
下記の配合にてUVワニスを作成し、易密着処理した188ミクロン厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、該UVワニスをバーコーター#9により塗布した後、80℃で30秒乾燥させた。その後、赤外線カットフィルムフィルター付き高圧水銀灯にて紫外線を100mJ照射し、硬化膜厚約5ミクロンのフィルムを得た。これについて、(株)日立製作所スペクトロフォトメーターU−3010で測定したところ、λmaxが478nmで半値巾が29nmであった。
(配合)
アデカオプトマーKRX−571−65 100g
(旭電化工業(株)製UV硬化樹脂、樹脂分80重量%)
化合物No.4 0.5g
メチルエチルケトン 60g
アデカオプトマーKRX−571−65 100g
(旭電化工業(株)製UV硬化樹脂、樹脂分80重量%)
化合物No.4 0.5g
メチルエチルケトン 60g
[実施例3]
下記の配合にてバインダー組成物を作成し、易密着処理した188ミクロン厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、該バインダー組成物をバーコーター#9により塗布し、80℃で30秒乾燥した。その後、このフィルムを0.9mm厚アルカリガラス板に100℃で熱圧着し、ガラス板とPETフィルムとの間の粘着剤層に光吸収剤を含有するPET保護ガラス板を作成した。これについて(株)日立製作所スペクトロフォトメーターU−3010で測定したところ、λmaxは493nm、半値巾は30nmであった。
下記の配合にてバインダー組成物を作成し、易密着処理した188ミクロン厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、該バインダー組成物をバーコーター#9により塗布し、80℃で30秒乾燥した。その後、このフィルムを0.9mm厚アルカリガラス板に100℃で熱圧着し、ガラス板とPETフィルムとの間の粘着剤層に光吸収剤を含有するPET保護ガラス板を作成した。これについて(株)日立製作所スペクトロフォトメーターU−3010で測定したところ、λmaxは493nm、半値巾は30nmであった。
(配合)
アデカアークルズR−103 100g
(旭電化工業(株)製アクリル樹脂系バインダー、樹脂分50重量%)
化合物No.4 0.1g
アデカアークルズR−103 100g
(旭電化工業(株)製アクリル樹脂系バインダー、樹脂分50重量%)
化合物No.4 0.1g
上記の評価例、実施例及び比較例から、以下のことが明らかである。
比較化合物No.1及びNo.3は、特定の波長(480〜500nm)に吸収を有するものの、溶解性が悪く、比較化合物No.1は半値幅も大きい。また、比較化合物No.2は、シャープな吸収(半値幅50nm以下)を有しており、溶解性も良好であるが、特定の波長(480〜500nm)における吸収が小さく、必要な光まで吸収してしまうおそれがある。これに対し、本発明に係るシアニン化合物No.1〜No.12は、特定の波長(480〜500nm)にシャープな吸収(半値幅50nm以下)を有しており、多くのものは溶解性も良好である。従って、該シアニン化合物を含有する本発明の光学フィルターは、480〜500nmの光を選択的に吸収する光学フィルターとして好適である。
比較化合物No.1及びNo.3は、特定の波長(480〜500nm)に吸収を有するものの、溶解性が悪く、比較化合物No.1は半値幅も大きい。また、比較化合物No.2は、シャープな吸収(半値幅50nm以下)を有しており、溶解性も良好であるが、特定の波長(480〜500nm)における吸収が小さく、必要な光まで吸収してしまうおそれがある。これに対し、本発明に係るシアニン化合物No.1〜No.12は、特定の波長(480〜500nm)にシャープな吸収(半値幅50nm以下)を有しており、多くのものは溶解性も良好である。従って、該シアニン化合物を含有する本発明の光学フィルターは、480〜500nmの光を選択的に吸収する光学フィルターとして好適である。
Claims (5)
- 基材中に、下記一般式(I)で表されるシアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする光学フィルター。
- 基材中に、下記一般式(III)で表されるシアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする光学フィルター。
- 上記一般式(I)又は(III)で表されるシアニン化合物が、粘着剤層に含有されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光学フィルター。
- 画像表示装置用である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルター。
- 上記画像表示装置がプラズマディスプレイである請求項4に記載の光学フィルター。
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