JP2006161514A - 滞水層の通水性確保工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地中にソイルセメント壁体11と芯材12とからなる地中連続壁1を造成し、この地中連続壁1が滞水層WSを遮断する位置の芯材12の中心側から芯材12及びソイルセメント壁体11に開口部12a、11aを形成し、開口部12aを形成した芯材12に着脱可能な透水フィルタ部材13を配設することにより、地中連続壁1によって遮断された滞水層WSの通水性を確保する。
【選択図】図1
Description
このような場合、地中連続壁によって遮断された滞水層の上流側において地下水位異常上昇、また、下流側において井戸枯れや地盤沈下等の被害が発生することが懸念される。
この問題を解消するために、従来は、地中連続壁の背面側(地中連続壁によって遮断された滞水層側)に集水井及び涵養井を施工し、その間を通水管によって連通する工法が一般的に採用されていた。
しかしながら、この工法は、地中連続壁の背面側に集水井及び涵養井を施工する手間や用地が必要となるという問題があった。
また、集水井及び涵養井は、使用によって目詰まりを生じるため、その対策としてフラッシング(逆洗浄)が必要となるが、そのためのメンテナンス装置が大がかりになるという問題があった。
この滞水層の通水性確保工法は、図1に示すように、開削工法により道路や鉄道等の線状構造物Sを建設することによって、地中連続壁(土留壁)1が地下の滞水層WSを遮断することとなった場合でも、地中連続壁1によって遮断された滞水層WSの上流側において地下水位異常上昇、また、下流側において井戸枯れや地盤沈下等の被害が発生することを防止できるようにするためのもので、地中で土とセメントスラリーを混合、攪拌することにより地中にソイルセメント壁体11と芯材12とからなる地中連続壁1を造成し、この地中連続壁1が滞水層WSを遮断する位置の芯材12の中心側から芯材12及びソイルセメント壁体11に開口部12a、11aを形成し、開口部12aを形成した芯材12に着脱可能な透水フィルタ部材3を配設することにより、地中連続壁1によって遮断された滞水層WSの通水性を確保するようにしたものである。
ソイルセメント壁体11及び芯材12に形成する開口部11a、12aの形状(大きさ)及び個数は、地中連続壁1が遮断する滞水層WSの水流の量等に応じて、適宜設定することができる。
そして、本実施例においては、地中連続壁1の背面側(及び掘削側)の滞水層WSを遮断する位置の連結板13aを欠如させることにより開口部12aを形成し、この開口部12aを介して通水ボックス13が外部と連通するようにする。
この開口部12aを仮締めする閉鎖部材は、芯材12の長手方向に形成したガイド溝12bに沿って摺動させることにより着脱可能にした遮水板12cで構成したり、合成樹脂材料、好ましくは、発泡合成樹脂材料で形成した閉鎖板12dで構成したり、本実施例のように、さらに、これらを併用することができる。
なお、通水ボックス13には、遮水板12cを所定高さに位置させる遮水板ストッパ13gを形成するようにする。
これにより、予め形成した開口部12aを閉鎖部材12c、12dにより仮締めした芯材12をソイルセメント壁体11に沈設することにより地中連続壁1を造成した後、閉鎖部材12c、12dを除去して、開口部12aを形成するようにすることができ、これにより、芯材12に形成した通水ボックス13の中に土砂やソイルセメントが侵入することを防止し、開口部12aの形成を円滑に行うことができる。
水等の流体を超高圧ジェットにして噴射する切断装置4は、水等の流体を供給する供給管41と、供給された水等の流体を超高圧ジェットにして噴射する供給管41に形成した噴射ノズル42と、芯材12の長手方向に形成したガイド溝12bに沿って摺動させることにより供給管41及び噴射ノズル42を所定位置に設置するためのガイド部材43とで構成するようにする。
ここで、透水フィルタ部材3は、図4、図7及び図11に示すように、基板(遮水板)31の開口部30に、例えば、エンドレンマットリブ型の透水フィルタ材(高密度ポリエチレン製のリブ構造体を、スパンボンド不織布及び不透水シートで包んだ板状排水材)32を配設し、これをグレーチング33で覆って構成するようにする。
透水フィルタ部材3は、定期的に又は目詰まりを生じた場合に、逆洗浄を行ったり、透水フィルタ部材3を交換することができ、これにより、目詰まりに対する対策を簡易に実施できる。
これにより、開口部11a、12aを形成した後も、透水フィルタ部材13cによって、土砂が通水ボックス13内に流入することを防止でき、その後速やかに、芯材12の背面側及び掘削側の両面に着脱可能な透水フィルタ部材3を配設するようにする。
通水管2は、通水ボックス13と、直接又は通水ボックス13に配設したバルブ13dを介して接続するようにする。
また、通水管2は、線状構造物Sの底版や内部のほか、線状構造物Sの底版の下方等の任意の箇所に設置することができる。
また、通水管2には、必要に応じて、流量計21を配設したり、逆洗浄を行う際に流量計21に影響を及ぼさないようにためのバイパス管(図示省略)を配設するようにする。
この滞水層の通水性確保工法は、上記第1実施例と同様に、地中連続壁(土留壁)1が地下の滞水層WSを遮断することとなった場合でも、地中連続壁1によって遮断された滞水層WSの上流側において地下水位異常上昇、また、下流側において井戸枯れや地盤沈下等の被害が発生することを防止できるようにするためのもので、地中に鋼管矢板14からなる地中連続壁1を造成し、この地中連続壁1が滞水層WSを遮断する位置の鋼管矢板14の中心側から鋼管矢板14に開口部14aを形成することにより、地中連続壁1によって遮断された滞水層WSの通水性を確保するようにしたものである。
そして、本実施例においては、地中連続壁1の背面側(及び掘削側)の滞水層WSを遮断する位置に開口部14aを形成し、この開口部14aを介して通水ボックス13が外部と連通するようにする。
ここで、透水フィルタ部材3は、例えば、鋼管矢板14の内周面に沿って配設される円筒状に形成した基体(遮水体)34の開口部に、エンドレンマットリブ型の透水フィルタ材(高密度ポリエチレン製のリブ構造体を、スパンボンド不織布及び不透水シートで包んだ板状排水材)35を配設して構成するようにする。
なお、円筒状に形成した基体(遮水体)34の周面には、ウレタン樹脂やフッ素樹脂のコーティング36を施すことにより、基体(遮水体)34を鋼管矢板14の内周面に沿って円滑に配設することができるようにする。
この滞水層の通水性確保工法は、上記第1実施例と同様に、地中連続壁(土留壁)1が地下の滞水層WSを遮断することとなった場合でも、地中連続壁1によって遮断された滞水層WSの上流側において地下水位異常上昇、また、下流側において井戸枯れや地盤沈下等の被害が発生することを防止できるようにするためのもので、地中に鉄筋コンクリート壁体15からなる地中連続壁1を造成し、この地中連続壁1が滞水層WSを遮断する位置の鉄筋コンクリート壁体1に、滞水層WSに接するように予め配設しておいた通水ボックス16に開口部16aを形成することにより、地中連続壁1によって遮断された滞水層WSの通水性を確保するようにしたものである。
この開口部16aを仮締めする閉鎖部材は、通水ボックス16の長手方向に形成したガイド溝16bに沿って摺動させることにより着脱可能にした遮水板16cで構成で構成することができる。
最後に、通水ボックス13、16を用いる本発明の滞水層の通水性確保工法の特徴及び利点をまとめて列挙する。
1.通水ボックスは、その平面断面形状を、矩形、円形等、任意に設計することができる。
2.通水ボックスは、地中連続壁の施工断面内に構築することが可能である。
3.通水ボックスは、地中連続壁の施工中に構築できるため、従来のような集水井戸工事が不要となる。
4.通水ボックスの通水断面及び設置箇所を任意に設定でき、滞水層の水流の量等に応じた設計が可能である。
5.対象とする滞水層のみを選択して通水処置が可能である。
6.線状構造物の最底部より深い位置及び浅い位置に存在する滞水層に対して施工が可能である。
7.通水ボックス内は、絶えず自然流下による地下水の通過のみであるため、特別な動力等が不要であり、メンテナンスが容易である。
8.透水フィルタ部材の洗浄及び交換が容易で通水機能の回復が容易に行える。
9.透水フィルタ部材の引き抜き、透水フィルタ部材に付着残留している地下水に含まれる成分等の解析検査が可能である。また、解析検査の結果に応じた透水フィルタ部材の選択、交換が可能である。
10.透水フィルタ部材の通水機能と透水フィルタ部材と接触する地山境界面での通水機能との比較検討が可能であり、通水ボックスの適切なメンテナンス期日が設定できる。
11.透水フィルタ部材と地山境界面で目詰まりを生じた場合、水等の流体を超高圧ジェットにして噴射すること等による逆洗浄により、通水機能の回復が容易に行える。
WS 滞水層
1 地中連続壁
11 ソイルセメント壁体
11a 開口部
12 芯材
12a 開口部
12b ガイド溝
12c 閉鎖部材(遮水板)
12d 閉鎖部材(閉鎖板)
13 通水ボックス
13a 連結板
13b 底蓋
13c 透水フィルタ部材
13d バルブ
13e 底蓋
13f 底蓋
13g 遮水板ストッパ
14 鋼管矢板
14a 開口部
15 鉄筋コンクリート壁体
16 通水ボックス
16a 開口部
16b ガイド溝
16c 遮水板
16d 通水管
16e バルブ
2 通水管
21 流量計
3 透水フィルタ部材
30 開口部
31 基板(遮水板)
32 透水フィルタ材
33 グレーチング
34 基体(遮水体)
35 透水フィルタ材
36 コーティング
4 切断装置
Claims (8)
- 地中にソイルセメント壁体と芯材とからなる地中連続壁を造成し、該地中連続壁が滞水層を遮断する位置の芯材の中心側から芯材及びソイルセメント壁体に開口部を形成し、該開口部を形成した芯材に着脱可能な透水フィルタ部材を配設することにより、地中連続壁によって遮断された滞水層の通水性を確保することを特徴とする滞水層の通水性確保工法。
- 地中に泥水固化壁体と芯材とからなる地中連続壁を造成し、該地中連続壁が滞水層を遮断する位置の芯材の中心側から芯材及び泥水固化壁体に開口部を形成し、該開口部を形成した芯材に着脱可能な透水フィルタ部材を配設することにより、地中連続壁によって遮断された滞水層の通水性を確保することを特徴とする滞水層の通水性確保工法。
- 地中に鋼管矢板からなる地中連続壁を造成し、該地中連続壁が滞水層を遮断する位置の鋼管矢板の中心側から鋼管矢板に開口部を形成することにより、地中連続壁によって遮断された滞水層の通水性を確保することを特徴とする滞水層の通水性確保工法。
- 地中に鉄筋コンクリート壁体又は鋼製壁体からなる地中連続壁を造成し、該地中連続壁が滞水層を遮断する位置の鉄筋コンクリート壁体又は鋼製壁体に、滞水層に接するように予め配設しておいた通水ボックスに開口部を形成することにより、地中連続壁によって遮断された滞水層の通水性を確保することを特徴とする滞水層の通水性確保工法。
- 開口部に着脱可能な透水フィルタ部材を配設したことを特徴とする請求項3又は4記載の滞水層の通水性確保工法。
- 予め形成した開口部を閉鎖部材により仮締めした部材を沈設することにより地中連続壁を造成した後、前記閉鎖部材を除去して、開口部を形成するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の滞水層の通水性確保工法。
- 閉鎖部材を、着脱可能な遮水板で構成するようにしたことを特徴とする請求項6記載の滞水層の通水性確保工法。
- 閉鎖部材を、合成樹脂材料で形成した閉鎖板で構成するようにしたことを特徴とする請求項6記載の滞水層の通水性確保工法。
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