JP2006160757A - 脂質代謝異常治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】脂質代謝異常を正常化するための治療剤の提供。
【解決手段】ヒト線維芽細胞由来の公知蛋白質であるTCF−II(アミノ酸数:723個、非還元下での分子量78,000±2,000、又は74,000±2,000)を有効成分とする脂質代謝異常の治療剤。
【効果】レシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性上昇効果および胆汁鬱滞により引き起こされる高トリアシルグリセロール血症の治療効果がある。
【選択図】なし
【解決手段】ヒト線維芽細胞由来の公知蛋白質であるTCF−II(アミノ酸数:723個、非還元下での分子量78,000±2,000、又は74,000±2,000)を有効成分とする脂質代謝異常の治療剤。
【効果】レシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性上昇効果および胆汁鬱滞により引き起こされる高トリアシルグリセロール血症の治療効果がある。
【選択図】なし
Description
本発明は、TCF−IIを有効成分とする脂質代謝異常治療剤に関する。
本発明は、糖尿病、甲状腺および副腎機能不全等の内分泌疾患、慢性代謝性疾患、ネフローゼを含む慢性腎臓疾患および尿毒症、癌、悪液質、制癌剤の副作用、消化器(肝および膵機能を含む)障害等を原因とした、高コレステロール血症、低脂質血症、低HDL血症等の脂質代謝異常の治療剤として有用である。
本発明は、糖尿病、甲状腺および副腎機能不全等の内分泌疾患、慢性代謝性疾患、ネフローゼを含む慢性腎臓疾患および尿毒症、癌、悪液質、制癌剤の副作用、消化器(肝および膵機能を含む)障害等を原因とした、高コレステロール血症、低脂質血症、低HDL血症等の脂質代謝異常の治療剤として有用である。
現在、日本人の60%以上が高血圧、動脈硬化、糖尿病などの成人病のために命を失っている。一般に成人病は内分泌機能や脂質代謝機能の減退などの内的要因が主要な役割を演じているが、それらの調節機構は未だ不明な点が多い。現在考えられている高脂血症治療剤を作用機序別に分けてみるとコレステロールや胆汁酸の吸収阻害、コレステロール合成阻害、超低比重リポ蛋白(VLDL)の代謝に対する影響を介して作用する高脂血症治療剤に分類される。高比重リポ蛋白(HDL)−コレステロールの低下を伴う高脂血症は、動脈硬化性疾患である虚血性心疾患、高血圧、虚血性脳障害などの重要なリスクファクターとなっている。高脂血症治療剤の薬効については単に血清脂質を下げるばかりでなく、高脂血症の増悪要因であるHDL−コレステロールの低下やレシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性の低下した状態を改善し、代謝過程の停滞を除去することで、高脂血症から動脈硬化性疾患への進展を防ぐことが分かってきた。
しかしながら脂質代謝を合目的に改善する脂質代謝改善剤は現在開発されていない。現
在、臨床で用いられる脂質代謝異常に関する治療薬として、高脂血症には3−ヒドロキシ
−3−メチル−グルタリル−CoA(HMG−CoA)還元酵素を阻害するプラバスタチ
ンナトリウムや血清脂質清澄化作用を有するクロフィブラート等、又、低脂血症には高カ
ロリー輸液等の栄養補給が挙げられるが、原発疾患に限らず症状に応じた別々の治療剤が
使われており、脂質及び糖質代謝に関連した内分泌機能異常等による両者のバランス異常
による脂質代謝異常を改善及び/又は治療する薬剤は無かった。糖尿病では種々の成因の
結果として、インスリンとグルカゴンのバランス、膵機能を含む内分泌機能の障害により
肝臓、脂肪、筋肉、皮膚、腎臓などの代謝に異常が生じ、病態を示している。脂肪組織の
役割はエネルギーが過剰のときは脂質として貯蔵し、必要に応じて脂肪を分解しエネルギ
ー源として体内に供給することである。糖尿病ではインスリンの欠乏およびグルカゴンの
過剰があるために、脂肪組織では合成が阻害され、分解が促進される。即ちインスリン作
用の低下により脂肪細胞のブドウ糖摂取は減少するので、α−グリセロリン酸、NADH
、NADPHの産生は減少し、脂肪酸の合成、再エステル化が減少する。一方、インスリ
ンの欠乏およびグルカゴンの増加はホルモン感受性リパーゼの活性を上昇させて脂肪を分
解させる。また、脂肪肝の発症機序は肝におけるトリグリセリド合成及びVLDLの合成
・分泌のいずれかの過程で障害が生じることにより発症すると考えられる。
在、臨床で用いられる脂質代謝異常に関する治療薬として、高脂血症には3−ヒドロキシ
−3−メチル−グルタリル−CoA(HMG−CoA)還元酵素を阻害するプラバスタチ
ンナトリウムや血清脂質清澄化作用を有するクロフィブラート等、又、低脂血症には高カ
ロリー輸液等の栄養補給が挙げられるが、原発疾患に限らず症状に応じた別々の治療剤が
使われており、脂質及び糖質代謝に関連した内分泌機能異常等による両者のバランス異常
による脂質代謝異常を改善及び/又は治療する薬剤は無かった。糖尿病では種々の成因の
結果として、インスリンとグルカゴンのバランス、膵機能を含む内分泌機能の障害により
肝臓、脂肪、筋肉、皮膚、腎臓などの代謝に異常が生じ、病態を示している。脂肪組織の
役割はエネルギーが過剰のときは脂質として貯蔵し、必要に応じて脂肪を分解しエネルギ
ー源として体内に供給することである。糖尿病ではインスリンの欠乏およびグルカゴンの
過剰があるために、脂肪組織では合成が阻害され、分解が促進される。即ちインスリン作
用の低下により脂肪細胞のブドウ糖摂取は減少するので、α−グリセロリン酸、NADH
、NADPHの産生は減少し、脂肪酸の合成、再エステル化が減少する。一方、インスリ
ンの欠乏およびグルカゴンの増加はホルモン感受性リパーゼの活性を上昇させて脂肪を分
解させる。また、脂肪肝の発症機序は肝におけるトリグリセリド合成及びVLDLの合成
・分泌のいずれかの過程で障害が生じることにより発症すると考えられる。
具体的には肝における脂肪酸合成の促進、末梢脂肪組織から肝への脂肪酸動員の増加、肝における脂肪酸酸化能の低下、肝でのリポ蛋白の合成・分泌の低下等が考えられる。例えば、肥満に伴う脂肪肝では末梢脂肪組織量の増大により末梢脂肪組織からの脂肪酸動員が増加している。最近では、内臓脂肪蓄積による門脈血中脂肪酸の増加と脂肪肝発生の関連が注目されている。また、肝における脂肪酸の de novo合成の律速酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ活性が肥満症で上昇しており、肝での脂肪酸合成の亢進が示唆されている。一方、肥満症では、末梢脂肪組織でのインスリン抵抗性の増大を代償するため、高インスリン血症が招来される。正常インスリン分泌を示す肥満症に比較し、高インスリン血症を伴う肥満症に脂肪肝が高率に合併することが知られている。このように、糖と脂質の連動する代謝異常に対し、血中で脂質を運搬する血清リポ蛋白の合成を促し脂質の組成への転送や代謝を改善する作用、エステル化に関わるLCAT活性を増加させ、遊離コレステロールレベルを下げHDL−コレステロールレベルを増加させる作用、胆汁排泄を促進させ血清脂質レベルを低下させる作用、肝細胞に蓄積したトリグリセリドの汲み出しを促進し脂肪肝をも改善する統合的脂質代謝改善薬は存在していなかった。
このような状況に鑑み、本発明者らは糖と脂質の連動する代謝異常に対する治療剤につ
いて鋭意研究した結果、TCF−IIが脂質代謝において、血中で脂質を運搬する血清リポ
蛋白の脂質の組成への転送や代謝と特異的に関係していることを見出した。すなわち、そ
の合成障害、エステル化に関わるLCAT活性の低下、及びそれらに伴うHDLの減少が
高脂血症、動脈硬化症等の脂質代謝異常を伴う成人病のリスクファクターとして重要視さ
れており、これらに対しTCF−IIが in vivoにおいて強力なLCATの上昇作
用と低HDL血症の改善効果を示し、さらに血清リポ蛋白を増加させることにより脂質の
転送を促進し血清脂質レベルを正常化させることを見出した。従って、本発明はTCF−
IIを有効成分とする脂質代謝異常を正常化する効果を有する治療剤を提供することを課題
とする。
いて鋭意研究した結果、TCF−IIが脂質代謝において、血中で脂質を運搬する血清リポ
蛋白の脂質の組成への転送や代謝と特異的に関係していることを見出した。すなわち、そ
の合成障害、エステル化に関わるLCAT活性の低下、及びそれらに伴うHDLの減少が
高脂血症、動脈硬化症等の脂質代謝異常を伴う成人病のリスクファクターとして重要視さ
れており、これらに対しTCF−IIが in vivoにおいて強力なLCATの上昇作
用と低HDL血症の改善効果を示し、さらに血清リポ蛋白を増加させることにより脂質の
転送を促進し血清脂質レベルを正常化させることを見出した。従って、本発明はTCF−
IIを有効成分とする脂質代謝異常を正常化する効果を有する治療剤を提供することを課題
とする。
本発明は、TCF−IIを有効成分とする脂質代謝異常治療剤に関する。本発明は、糖尿
病、甲状腺および副腎機能不全等の内分泌疾患、慢性代謝性疾患、ネフローゼを含む慢性
腎臓疾患および尿毒症、癌、悪液質、制癌剤の副作用、消化器(肝および膵機能を含む)
障害等を原因とした脂質代謝異常の治療剤として有用である。このような脂質代謝異常症
としては、高コレステロール血症、低脂血症あるいは低HDL血症などを挙げることがで
きる。また、高脂血症、胆汁鬱血により生ずる高脂血症を挙げることができる。さらに、
高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール増加、レシチンコレステロールアシルトランス
フェラーゼ(LCAT)活性の促進、肝臓からのトリアシルグリセロール排泄促進、胆汁
排泄促進等のために用いることもできる。
病、甲状腺および副腎機能不全等の内分泌疾患、慢性代謝性疾患、ネフローゼを含む慢性
腎臓疾患および尿毒症、癌、悪液質、制癌剤の副作用、消化器(肝および膵機能を含む)
障害等を原因とした脂質代謝異常の治療剤として有用である。このような脂質代謝異常症
としては、高コレステロール血症、低脂血症あるいは低HDL血症などを挙げることがで
きる。また、高脂血症、胆汁鬱血により生ずる高脂血症を挙げることができる。さらに、
高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール増加、レシチンコレステロールアシルトランス
フェラーゼ(LCAT)活性の促進、肝臓からのトリアシルグリセロール排泄促進、胆汁
排泄促進等のために用いることもできる。
本発明の有効成分であるTCF−IIは、ヒト線維芽細胞由来の公知の蛋白質であり、ヒト線維芽細胞由来のものは下記の特性を有する。
i) 分子量(SDS電気泳動法)
非還元下 : 78,000±2,000 又は74,000±2,000
還元下 : 52,000±2,000 (共通バンドA)
30,000±2,000 (バンドB)
26,000±2000(バンドC)
ii) 等電点 : 7.4 〜 8.6
iii)アミノ酸 : 723 個
上記TCF−IIは、ヒト線維芽細胞培養液を濃縮しイオン交換体に吸着させ、その溶出液をアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製する方法(WO90/10651号公報)、或いは遺伝子工学的手法(WO92/01053号公報)によって得られる。
i) 分子量(SDS電気泳動法)
非還元下 : 78,000±2,000 又は74,000±2,000
還元下 : 52,000±2,000 (共通バンドA)
30,000±2,000 (バンドB)
26,000±2000(バンドC)
ii) 等電点 : 7.4 〜 8.6
iii)アミノ酸 : 723 個
上記TCF−IIは、ヒト線維芽細胞培養液を濃縮しイオン交換体に吸着させ、その溶出液をアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製する方法(WO90/10651号公報)、或いは遺伝子工学的手法(WO92/01053号公報)によって得られる。
本発明の有効成分であるTCF−IIは、線維芽細胞由来のものを用いることが可能であり、又、WO90/10651号公報に記載された遺伝子配列に基づいて、微生物や他の細胞により遺伝子組換え操作により生産されたものでもよい。又、WO92/01053号公報に開示された遺伝子工学的手法により得られたものを用いてもよい。この時、宿主細胞又は微生物の違いによる糖鎖の異なったものや、糖鎖の結合していないものであっても使用可能である。しかし、糖鎖は生体内の代謝速度に関係しているため、糖鎖の結合しているものを用いることが望ましい。これらの方法により得られたTCF−IIは、通常の単離精製法によってさらに濃縮、精製することができる。例えば、有機溶媒による沈殿法、塩析、ゲル濾過、モノクローナル抗体を用いたアフィニティークロマト、電気泳動法等が挙げられる。モノクローナル抗体を用いたアフィニティークロマトによる精製は、特開平5−97号公報に開示されているモノクローナル抗体を用いて精製することができる。得られた精製TCF−IIは、凍結乾燥或いは凍結保存することができる。
本発明の脂質及び糖質代謝異常治療剤は、注射剤として静脈、筋肉内、及び皮下より投与することができる。これらの製剤は公知の製剤学的製法に準じ製造され、必要に応じpH調整剤、緩衝剤、安定化剤等を添加することができる。本発明の製剤を患者に投与する場合、投与患者の症状の程度、健康状態、年齢、体重等の条件によって異なり、特に限定されないが、成人1日当たり精製TCF−IIとして 0.6mg〜 600mg、好ましくは 6mg〜 60mg を含有する製剤を1日1回若しくはそれ以上投与すれば良い。
本発明により、TCF−IIを有効成分とする脂質代謝異常の治療剤が提供される。本発明治療剤は、高血清脂質を低下させ、低脂血症を正常化させる作用を有する。又、脂肪肝を改善する効果を有している。
[実施例]
[実施例]
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。しかし、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらにより限定されるものではない。
TCF−IIの精製
WO90/10651号公報に開示された方法及び東尾らの方法(Higashio,K. et al,B.B.R.C., vol.170, pp397-404 (1990))に準じて細胞を培養し、精製TCF−IIを得た。ヒト繊維芽細胞IMR−90(ATCC CCL 186)細胞を5%仔牛血清を含むDMEM培地100mlをいれたローラーボトルに3×106 個移植し、0.5〜2回転/分の回転速度で回転させながら7日間培養を続けた。総細胞数が1×107 個になったところでトリプシンにより細胞を剥離し細胞をボトル底面に集め、5〜9メッシュのセラミック100g(東芝セラミック社製)を殺菌して投入し、24時間静置して培養した。その後、上記培養液を500ml加え、培養を継続した。7〜10日ごとに培地を全量回収し、新鮮培地を補給した。このようにして2ヵ月間生産を継続し、ローラーボトル一本当たり4lの培養液を回収した。このようにして得た培養液当たりの比活性は32μ/mlであった。培養液750lをメンブランフィルター(MW6000カット;アミコン社製)処理によりUF濃縮し、CMセファデックスC−50(ファルマシア社製)、ConAセファロース(ファルマシア社製)、MonoSカラム(ファルマシア社製)、ヘパリンセファロース(ファルマシア社製)による5段階のクロマト精製を行い、精製TCF−IIを得た。
WO90/10651号公報に開示された方法及び東尾らの方法(Higashio,K. et al,B.B.R.C., vol.170, pp397-404 (1990))に準じて細胞を培養し、精製TCF−IIを得た。ヒト繊維芽細胞IMR−90(ATCC CCL 186)細胞を5%仔牛血清を含むDMEM培地100mlをいれたローラーボトルに3×106 個移植し、0.5〜2回転/分の回転速度で回転させながら7日間培養を続けた。総細胞数が1×107 個になったところでトリプシンにより細胞を剥離し細胞をボトル底面に集め、5〜9メッシュのセラミック100g(東芝セラミック社製)を殺菌して投入し、24時間静置して培養した。その後、上記培養液を500ml加え、培養を継続した。7〜10日ごとに培地を全量回収し、新鮮培地を補給した。このようにして2ヵ月間生産を継続し、ローラーボトル一本当たり4lの培養液を回収した。このようにして得た培養液当たりの比活性は32μ/mlであった。培養液750lをメンブランフィルター(MW6000カット;アミコン社製)処理によりUF濃縮し、CMセファデックスC−50(ファルマシア社製)、ConAセファロース(ファルマシア社製)、MonoSカラム(ファルマシア社製)、ヘパリンセファロース(ファルマシア社製)による5段階のクロマト精製を行い、精製TCF−IIを得た。
遺伝子組換TCF−IIの生産
WO92/01053号公報に開示された方法に従い、TCF−II遺伝子を組み込んだ細胞を培養し、精製TCF−IIを得た。形質転換ナマルワ(Namalwa)細胞を培養し、培養液20lを得た。この培養液をCM−セファデックスC−50クロマト(ファルマシア社製)、Con−AセファロースCL−6Bクロマト(ファルマシア社製)、MonoSカラム(ファルマシア社製)を装着したHPLCの順に処理を行い、約11mgの活性TCF−IIを得た。
WO92/01053号公報に開示された方法に従い、TCF−II遺伝子を組み込んだ細胞を培養し、精製TCF−IIを得た。形質転換ナマルワ(Namalwa)細胞を培養し、培養液20lを得た。この培養液をCM−セファデックスC−50クロマト(ファルマシア社製)、Con−AセファロースCL−6Bクロマト(ファルマシア社製)、MonoSカラム(ファルマシア社製)を装着したHPLCの順に処理を行い、約11mgの活性TCF−IIを得た。
TCF−II製剤の製造
前記実施例2により得られた遺伝子組換えTCF−IIの注射剤の製造例を示す。
(1) TCF−II 20μg
ヒト血清アルブミン 100mg
上記組成をpH7.0の0.01Mリン酸緩衝液(PBS)に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
前記実施例2により得られた遺伝子組換えTCF−IIの注射剤の製造例を示す。
(1) TCF−II 20μg
ヒト血清アルブミン 100mg
上記組成をpH7.0の0.01Mリン酸緩衝液(PBS)に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
(2) TCF−II 40μg
ツイーン80 1mg
ヒト血清アルブミン 100mg
上記組成を注射用生理食塩水に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
ツイーン80 1mg
ヒト血清アルブミン 100mg
上記組成を注射用生理食塩水に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
(3) TCF−II 20μg
ツイーン80 2mg
ソルビトール 4g
上記組成をpH7.0の0.01M PBSに溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
ツイーン80 2mg
ソルビトール 4g
上記組成をpH7.0の0.01M PBSに溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
(4) TCF−II 40μg
ツイーン80 1mg
グリシン 2g
上記組成を注射用生理食塩水に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
ツイーン80 1mg
グリシン 2g
上記組成を注射用生理食塩水に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
(5) TCF−II 40μg
ツイーン80 1mg
ソルビトール 2g
グリシン 1g
上記組成を注射用生理食塩水に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
ツイーン80 1mg
ソルビトール 2g
グリシン 1g
上記組成を注射用生理食塩水に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
(6) TCF−II 20μg
ソルビトール 4g
ヒト血清アルブミン 50mg
上記組成をpH7.0の0.01M PBSに溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
ソルビトール 4g
ヒト血清アルブミン 50mg
上記組成をpH7.0の0.01M PBSに溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
(7) TCF−II 40μg
グリシン 2g
ヒト血清アルブミン 50mg
上記組成を注射用生理食塩水に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
グリシン 2g
ヒト血清アルブミン 50mg
上記組成を注射用生理食塩水に溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
(8) TCF−II 40μg
ヒト血清アルブミン 50mg
上記組成をpH7.0の0.01M PBSに溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
ヒト血清アルブミン 50mg
上記組成をpH7.0の0.01M PBSに溶解し全量を20mlに調製し、滅菌後バイアル瓶に2mlづつ分注したものを凍結乾燥後密封した。
正常ラットに対するTCF−IIのリポタンパク質分泌促進作用と血中レシチン−コレス
テロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性上昇作用
8週齢のWistar系雄ラット(300g、一群5匹)に対し、TCF−IIを500
μg/kgの用量で1日2回(1000μg/kg/day)、及び対照群として溶媒の
みを4日間静脈内に投与した。試験5日目に各群のラットをエーテル麻酔下で後大静脈よ
り採血して血清を採取し、リポタンパク質の分画を行った。リポタンパク質の分画は、先
ずWilsonらの方法( Clin.Chem., vol.20, p394 (1
974))に従ってVLDL画分を分離し、次にGibez らの方法( J.Lipi
d.Res., vol.23, p1206 (1982) )に従ってHDL2 画
分及びHDL3 画分を分離した。これらの操作の模式図を図1及び図2に示す。これら
の画分に含まれるトリアシルグリセロール濃度を、トリグリセライドE−テストワコー(
和光純薬工業社製)を用いて測定した。その結果を図3に示す。さらにHDL3 、HD
L2 画分に含まれる遊離コレステロール(F−Chol)及び総コレステロール濃度を
遊離コレステロールE−テストワコー、コレステロールE−テストワコー(和光純薬工業
社製)を用いてそれぞれ測定した。又、求められた値より計算式(〔総コレステロール濃
度〕−〔遊離コレステロール濃度〕)を用いてエステル化コレステロール(E−Chol
)濃度を求めた。又、同時に後大静脈より採血したEDTA加血液より血漿を採取し、G
lomset−Wright法(Methods in Enzymology,vol
.15,p543(1969))に従って血中LCAT活性を測定した。これらの結果を
図4に示す。
テロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性上昇作用
8週齢のWistar系雄ラット(300g、一群5匹)に対し、TCF−IIを500
μg/kgの用量で1日2回(1000μg/kg/day)、及び対照群として溶媒の
みを4日間静脈内に投与した。試験5日目に各群のラットをエーテル麻酔下で後大静脈よ
り採血して血清を採取し、リポタンパク質の分画を行った。リポタンパク質の分画は、先
ずWilsonらの方法( Clin.Chem., vol.20, p394 (1
974))に従ってVLDL画分を分離し、次にGibez らの方法( J.Lipi
d.Res., vol.23, p1206 (1982) )に従ってHDL2 画
分及びHDL3 画分を分離した。これらの操作の模式図を図1及び図2に示す。これら
の画分に含まれるトリアシルグリセロール濃度を、トリグリセライドE−テストワコー(
和光純薬工業社製)を用いて測定した。その結果を図3に示す。さらにHDL3 、HD
L2 画分に含まれる遊離コレステロール(F−Chol)及び総コレステロール濃度を
遊離コレステロールE−テストワコー、コレステロールE−テストワコー(和光純薬工業
社製)を用いてそれぞれ測定した。又、求められた値より計算式(〔総コレステロール濃
度〕−〔遊離コレステロール濃度〕)を用いてエステル化コレステロール(E−Chol
)濃度を求めた。又、同時に後大静脈より採血したEDTA加血液より血漿を採取し、G
lomset−Wright法(Methods in Enzymology,vol
.15,p543(1969))に従って血中LCAT活性を測定した。これらの結果を
図4に示す。
この結果、溶媒投与群に比べてTCF−II投与群ではVLDL画分中のトリアシルグリ
セロール濃度が顕著に増加した(図3)。これより、TCF−IIは肝臓からのVLDL分
泌を促進し、肝組織から血中へのトリアシルグリセロールの移行をもたらすことが示され
た。又、TCF−II投与群では血中LCAT活性が有意に上昇するとともにHDL2 、
HDL3 画分中のコレステロール、特にエステル化コレステロール濃度が有意に増加し
た(図4)。このことから、TCF−IIは肝臓からのLCAT分泌を促進し、それによっ
てHDLの生成が起こることが示された。
セロール濃度が顕著に増加した(図3)。これより、TCF−IIは肝臓からのVLDL分
泌を促進し、肝組織から血中へのトリアシルグリセロールの移行をもたらすことが示され
た。又、TCF−II投与群では血中LCAT活性が有意に上昇するとともにHDL2 、
HDL3 画分中のコレステロール、特にエステル化コレステロール濃度が有意に増加し
た(図4)。このことから、TCF−IIは肝臓からのLCAT分泌を促進し、それによっ
てHDLの生成が起こることが示された。
アルコール性脂肪肝ラットに対するTCF−IIの肝組織トリアシルグリセロール含量低下作用
Liber らの方法に(Trans.assoc.Am.Physician., vol.76, p289 (1963))に従ってコントロール食摂取群及びアルコール食摂取群に与える液体飼料を作成し、7週齢のWistar系雄ラット(280g、一群10〜13匹)に対し100ml/dayで5週間にわたり摂食させた。TCF−IIはアルコール食摂取群に対してアルコール食摂取開始4週間後より50及び500μg/kgの用量で1日2回(100及び1000μg/kg/day)7日間静脈内に投与した。投与スケジュールを図5に示す。8日目に試験ラットを解剖し肝臓を摘出した。肝組織をクロロホルム/メタノール(2:1)で抽出し、組織中のトリアシルグリセロール、リン脂質及び総コレステロール含量をトリグリセライドE−テストワコー、リン脂質C−テストワコー、コレステロールE−テストワコー(和光純薬工業社製)を用いてそれぞれ測定した。この結果を図6に示す。
Liber らの方法に(Trans.assoc.Am.Physician., vol.76, p289 (1963))に従ってコントロール食摂取群及びアルコール食摂取群に与える液体飼料を作成し、7週齢のWistar系雄ラット(280g、一群10〜13匹)に対し100ml/dayで5週間にわたり摂食させた。TCF−IIはアルコール食摂取群に対してアルコール食摂取開始4週間後より50及び500μg/kgの用量で1日2回(100及び1000μg/kg/day)7日間静脈内に投与した。投与スケジュールを図5に示す。8日目に試験ラットを解剖し肝臓を摘出した。肝組織をクロロホルム/メタノール(2:1)で抽出し、組織中のトリアシルグリセロール、リン脂質及び総コレステロール含量をトリグリセライドE−テストワコー、リン脂質C−テストワコー、コレステロールE−テストワコー(和光純薬工業社製)を用いてそれぞれ測定した。この結果を図6に示す。
この結果、コントロール食摂取群に比べてアルコール食摂取溶媒投与群では肝組織中のトリアシルグリセロール含量が有意に増加し(図6)、顕著な脂肪肝が認められた。これに対して、アルコール食摂取TCF−II投与群では用量依存的な血清脂質の上昇及び肝組織中のトリアシルグリセロール含量の低下がみられた(図6)。このことから、肝臓からの脂質分泌増加によるTCF−IIの脂肪肝改善効果が示された。
α−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)胆汁鬱滞肝障害ラットに対するTCF−IIの血清コレステロール濃度低下作用
7週齢のWistar系雄ラット(280g、一群10匹)にα−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)を100mg/kgの用量で経口投与した。TCF−IIはANIT投与直後より50、150、500及び1500μg/kgの用量で1日2回(100、300、1000及び3000μg/kg/day)3日間静脈内に投与した。4日目にエーテル麻酔下で後大静脈より採血して血清を採取し、日立7150型自動分析装置により血清アルブミン、トリアシルグリセロール、遊離コレステロール及び総コレステロール濃度を測定した。結果を図7に示す。
7週齢のWistar系雄ラット(280g、一群10匹)にα−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)を100mg/kgの用量で経口投与した。TCF−IIはANIT投与直後より50、150、500及び1500μg/kgの用量で1日2回(100、300、1000及び3000μg/kg/day)3日間静脈内に投与した。4日目にエーテル麻酔下で後大静脈より採血して血清を採取し、日立7150型自動分析装置により血清アルブミン、トリアシルグリセロール、遊離コレステロール及び総コレステロール濃度を測定した。結果を図7に示す。
この結果、正常ラットに比べてANIT肝障害ラット溶媒投与群では血清トリアシルグリセロール、遊離コレステロール及び総コレステロール濃度が有意に増加した。これに対してANIT肝障害ラットTCF−II投与群では用量依存的に血清アルブミン濃度が上昇するとともに、血清トリアシルグリセロール、総コレステロール及び遊離コレステロール濃度の低下がみられた。このことから、TCF−IIの胆汁鬱滞に伴う高脂血症の改善効果が確認された。
正常イヌに対するTCF−IIの血中LCAT活性上昇作用
ビーグル犬(雌雄、1〜5才、10kg前後、一群5匹)にTCF−IIを50、150、500μg/kgの用量で1日2回(100、300及び1000μg/kg/day)7日間静脈内に投与した。投与スケジュールを図8に示す。TCF−II投与開始前及び投与中に前肢静脈から採血し、EDTAを添加して血漿を分離し、Glomset-Wright法(Methods in Enzymology, vol.15, p543 (1969))に従って血中LCAT活性を測定した。結果を図9に示す。
この結果、TCF−II投与によって、正常イヌの血中LCAT活性が有意に上昇し、血中の脂質代謝が促進されていることが確認された。
ビーグル犬(雌雄、1〜5才、10kg前後、一群5匹)にTCF−IIを50、150、500μg/kgの用量で1日2回(100、300及び1000μg/kg/day)7日間静脈内に投与した。投与スケジュールを図8に示す。TCF−II投与開始前及び投与中に前肢静脈から採血し、EDTAを添加して血漿を分離し、Glomset-Wright法(Methods in Enzymology, vol.15, p543 (1969))に従って血中LCAT活性を測定した。結果を図9に示す。
この結果、TCF−II投与によって、正常イヌの血中LCAT活性が有意に上昇し、血中の脂質代謝が促進されていることが確認された。
ジメチルニトロソアミン(DMN)肝硬変ラットに対するTCF−IIのコレステロール
エステルおよびHDLコレステロール上昇作用
8週齢のWistar系雄ラット(300g)にジメチルニトロソアミン(DMN)を
毎週火、水、木曜日に10μl/kgの用量で4週間にわたり腹腔内投与した。TCF−
IIはDMN初回投与時より5、50及び500μg/kgの用量で1日2回(10、10
0及び1000μg/kg/day)28日間静脈内に投与した。投与スケジュールを図
10に示す。29日目にエーテル麻酔下で後大静脈より採血して血清を採取し、日立71
50型自動分析装置により血糖値、血清HDLコレステロール、遊離コレステロール及び
総コレステロール濃度を測定した。又、求められた値より計算式(〔総コレステロール濃
度〕−〔遊離コレステロール濃度〕)を用いてエステル化コレステロール濃度を求めた。
血清コレステロール濃度の測定結果を図11に示す。
エステルおよびHDLコレステロール上昇作用
8週齢のWistar系雄ラット(300g)にジメチルニトロソアミン(DMN)を
毎週火、水、木曜日に10μl/kgの用量で4週間にわたり腹腔内投与した。TCF−
IIはDMN初回投与時より5、50及び500μg/kgの用量で1日2回(10、10
0及び1000μg/kg/day)28日間静脈内に投与した。投与スケジュールを図
10に示す。29日目にエーテル麻酔下で後大静脈より採血して血清を採取し、日立71
50型自動分析装置により血糖値、血清HDLコレステロール、遊離コレステロール及び
総コレステロール濃度を測定した。又、求められた値より計算式(〔総コレステロール濃
度〕−〔遊離コレステロール濃度〕)を用いてエステル化コレステロール濃度を求めた。
血清コレステロール濃度の測定結果を図11に示す。
この結果、正常ラットに比べてDMN肝硬変ラット溶媒投与群では血中LCAT活性の低下により血清HDLコレステロール、エステル化コレステロール濃度が有意に減少し、逆に遊離コレステロール濃度が有意に増加した。これに対して、DMN肝硬変ラットTCF−II投与群では用量依存的なHDLコレステロール、エステル化コレステロール濃度の上昇及び遊離コレステロール濃度の低下がみられた(図11)。このことから、TCF−IIの肝硬変に伴う低脂血症及び低HDL血症の改善効果が確認された。
Claims (2)
- TCF−IIを有効成分とする、LCAT活性上昇剤。
- TCF−IIを有効成分とする、胆汁鬱滞により引き起こされる高トリアシルグリセロール血症の治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006025511A JP2006160757A (ja) | 2006-02-02 | 2006-02-02 | 脂質代謝異常治療剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006025511A JP2006160757A (ja) | 2006-02-02 | 2006-02-02 | 脂質代謝異常治療剤 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6337884A Division JPH08176007A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 脂質代謝異常治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006160757A true JP2006160757A (ja) | 2006-06-22 |
Family
ID=36663152
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006025511A Pending JP2006160757A (ja) | 2006-02-02 | 2006-02-02 | 脂質代謝異常治療剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006160757A (ja) |
-
2006
- 2006-02-02 JP JP2006025511A patent/JP2006160757A/ja active Pending
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090929 |