JP2006160342A - 感光性印刷版の包装 - Google Patents
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Abstract
【課題】 感光性印刷版の束の表面に厚紙を配置して包装したものを感光性印刷版の送給装置内で容易に開梱し、各感光性印刷版の送給作業をできるようにする感光性印刷版の包装を提供する。
【解決手段】 感光性印刷版10を所定複数枚束にしたときの最上位置となる感光面10A上に平板状の材料で形成された保護部材15を配置して外力で感光面10Aが傷付けられることから保護し、この保護部材15に感光性印刷版10の1枚だけを分離して搬送する搬出手段が接すべき感光面10Aの部分を露呈させるよう開放部21を穿設する。これにより、感光面10A上に保護部材15があっても、搬出手段が1枚だけを分離して搬出する作業を行うことができる。よって、自動送給装置の内部に遮光性を保って、感光性印刷版10の束の感光面10A上に配置された保護部材15を取り除くための装置が不用になるから、自動送給装置の構造を簡素にし小型化して、廉価に製造可能とできる。
【選択図】 図1
【解決手段】 感光性印刷版10を所定複数枚束にしたときの最上位置となる感光面10A上に平板状の材料で形成された保護部材15を配置して外力で感光面10Aが傷付けられることから保護し、この保護部材15に感光性印刷版10の1枚だけを分離して搬送する搬出手段が接すべき感光面10Aの部分を露呈させるよう開放部21を穿設する。これにより、感光面10A上に保護部材15があっても、搬出手段が1枚だけを分離して搬出する作業を行うことができる。よって、自動送給装置の内部に遮光性を保って、感光性印刷版10の束の感光面10A上に配置された保護部材15を取り除くための装置が不用になるから、自動送給装置の構造を簡素にし小型化して、廉価に製造可能とできる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、複数の感光性印刷版を一体的に束ねたものを、遮光性及び防湿性を保って保護するよう内包すると共に、容易に開梱可能とした感光性印刷版の包装に関する。
一般に、オフセット印刷には、感光性印刷版(いわゆるPS版)が利用されている。また、この平版印刷の分野では、未露光の感光性印刷版の供給を受けて、この感光性印刷版に対しコンピュータ等のデジタルデータに基づいてレーザ露光処理をし、自動現像機で感光性印刷版上に形成された潜像を顕像に変換する現像処理をして直接印刷版を製版するCTP(Computer to Plate)システムが実用化されている。
このCTPシステムには、感光性印刷版の自動供給装置を備えたものがある。この感光性印刷版の自動供給装置は、複数枚の感光性印刷版が積層されて束にされたものを遮光された自動供給装置のハウジング内に装填し、製版作業の開始と共に自動供給装置の枚葉搬出機構によって感光性印刷版の束から感光性印刷版を1枚ずつ分離して、露光処理部側へ搬出する。
このようなCTPシステムに用いられる感光性印刷版は、例えば、薄いアルミニウム板上へ電子写真感光層を塗布して形成されており、僅かな光によっも露光されて感光層に変化が生じる。また、空気中の水分を吸収して感光層に変化を生じるという性質を持つ。
また、感光性印刷版には、感光面に圧力が加わったとき感光層に変化を生じるいわゆる圧力カブリや外力によって傷が付くことに対して、比較的影響を受け難い圧力カブリや傷に強い感光性印刷版と、比較的影響を受け易い圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版とがある。
この圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版の場合には、感光性印刷版を工場等で製造してから、運搬し、保管する流通過程を経てCTPシステムの自動供給装置に装填するまでの間に、感光性印刷版の品質変化を生じることを防止するため、圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版を所定の枚数づつ束にし、その束の表面及び裏面にそれぞれ厚紙(段ボール製のいわゆる当てボール)を配置し、これらを粘着テープ等の固定手段で束ずれを抑制するよう固定する。
さらに、表裏にそれぞれ厚紙を配置して粘着テープで一体に固定された圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版の束は、遮光性及び防湿性を有する内装紙によって梱包される。この内装紙としては、例えば、クラフト紙にポリエチレンを溶融塗布してアルミニウム箔を貼着したアルミクラフト紙や、クラフト紙にブラックカーボンを混合した溶融ポリエチレンを塗布した黒色ポリエチレンラミネートクラフト紙等の高い遮光性及び防湿性を有する紙を使用している。
圧力カブリや傷に強い感光性印刷版の場合には、これを工場等で製造した後、圧力カブリや傷に強い感光性印刷版を所定の枚数づつ束にし、遮光性及び防湿性を有する内装紙によって梱包するという簡易な包装とする。
さらに、感光性印刷版を製造してから自動製版機の感光性印刷版供給装置に装填するまでの運搬工程や保管工程で、感光性印刷版や内装紙が破損等してしまうことを防止するため、包装箱を別途製造し、この包装箱に、内装紙により包装された感光性印刷版を収納している。包装箱としては、例えば、軽量で高い強度を有する段ボール箱等を使用している。
また、圧力カブリや傷に強い感光性印刷版を簡易に包装しておき、この包装を自動製版機の感光性印刷版供給装置に装填する際、明室中で容易に開梱の作業をできるようにするため、従来の感光性印刷版の包装では、圧力カブリや傷に強い感光性印刷版の束を、2分割可能な包装材で包装しておき、自動製版機の感光性印刷版供給装置内に2分割可能な包装材で包装されている感光性印刷版の束を内部にセットし、蓋を閉じて遮光状態にしてから、閉じた蓋の隙間からはみ出させた2分割可能な包装材の一方を引き出すことにより、感光性印刷版供給装置内で遮光状態を保ったまま取り去る作業を可能とする手段が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版の場合には、感光性印刷版の束の表面及び裏面にそれぞれ厚紙(段ボール製のいわゆる当てボール)を配置し、これらを粘着テープ等の固定手段で束ずれを抑制するよう固定した包装構造である。このため、これを開梱する場合には、包装箱から取り出し、圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版の束を梱包している内装紙を開いて、圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版の束を全面的に露呈させ、所定枚数の感光性印刷版を束ねている粘着テープを剥がし、束ねられた感光性印刷版の表面と裏面からそれぞれ厚紙(当てボール)を取り除く作業が必要となる。
よって、圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版を開梱してCTPシステムの自動供給装置に装填するための作業には、圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版の感光面が露呈しても感光されないようにするため、圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版の開梱作業用の広いスペースを設けた暗室等の設備が必要で、しかも開梱作業に多くの手間が掛かり、作業性が悪化する。
また、圧力カブリや傷に弱い感光性印刷版の束の表面及び裏面にそれぞれ厚紙を配置し、これらを粘着テープ等の固定手段で固定した包装構造の場合には、自動製版機の感光性印刷版供給装置に装填する際に明室中で容易に開梱の作業をできるようにしようとすると、自動製版機の感光性印刷版供給装置の内部で遮光状態を保持したまま、内装紙(包装材)を取り除き、束ずれ抑制用の粘着テープ等の固定手段を引き外し、さらに、少なくとも束ねられた感光性印刷版の表面から厚紙(当てボール)を取り除き、取り除いた内装紙と粘着テープ等を集積する収納部と、取り除いた厚紙(当てボール)を集積する収納部との2カ所の集積場所を設けなければならないから、作業を自動的に行う複雑な構造で大型の自動装置が必要となり、圧力カブリや傷に強い感光性印刷版の開梱作業に必要でないにも係わらず、CTPシステムの自動供給装置が高価になるという問題がある。
特開平11−314680号公報
本発明は、上述の問題に鑑み、感光性印刷版の束の表面に厚紙を配置した包装構造であっても、感光性印刷版の束の表面に厚紙を配置していない包装構造と同様に、感光性印刷版の送給装置内で容易に開梱し、各感光性印刷版の送給作業をできるようにする感光性印刷版の包装を新たに提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の感光性印刷版の包装は、感光性印刷版を所定複数枚束にして包装する感光性印刷版の包装において、感光性印刷版の束で最上位置となる感光面上に配置して外力で感光面が傷付けられることから保護する、平板状の材料で形成された保護部材と、感光性印刷版の1枚だけを分離して搬送する搬出手段が接すべき感光面の部分を露呈させるよう保護部材に穿設された開放部と、を有することを特徴とする。
上述のように構成することにより、所定枚数束ねられた感光性印刷版の感光面を、保護部材を用いて包装して感光面が傷付くことから保護した場合でも、感光性印刷版の感光面上に保護部材を配置しないで包装したものと同様に、搬出手段が感光性印刷版の束の1番上にある感光性印刷版に接して1枚だけを分離して搬出する作業を行うことができる。よって、所定枚数束ねられた感光性印刷版の束から搬出手段で感光性印刷版を1枚づつ搬出するため設置された自動送給装置の内部に遮光性を保って、感光性印刷版の束の感光面上に配置された保護部材を取り除くための装置が不用になるから、自動送給装置の構造を簡素にし小型化して、廉価に製造可能とできる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の感光性印刷版の包装において、保護部材に形成された開放部内に露呈する感光面を保護するため、開放部内に着脱可能に補助部材を配置したことを特徴とする。
上述のように構成することにより、請求項1に記載の発明の作用、効果に加えて、感光性印刷版を製造してから自動製版機の感光性印刷版供給装置等に装填して使用するまでの運搬工程や保管工程で、感光性印刷版の感光面における開放部内に対応する部分を補助部材が外力から保護して、感光面の部分的な劣化を防止することができる。
本発明の感光性印刷版の包装によれば、感光性印刷版の束の表面に厚紙を配置した包装構造であっても、感光性印刷版の束の表面に厚紙を配置していない包装構造と同様に、感光性印刷版の送給装置内で容易に開梱し、各感光性印刷版の送給作業を容易に実行可能とするという効果がある。
本発明の感光性印刷版の包装に関する実施の形態について図1乃至図9により説明する。本実施の形態に係わる感光性印刷版の包装は、内装紙等の包装を開梱した感光性印刷版の束の表面を保護している厚紙等を全面的に除去しなくても、各感光性印刷版を搬出する送給作業を可能とするための、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を設けた包装として構成する。
この包装材12で包装される対象となる感光性印刷版10は、所定サイズの長方形の板状に形成された薄いアルミニウム板である支持体上に、感光材料を含有する画像記録層を塗布して形成された感光面10Aが設けられたいわゆるPS版又はフォトポリマー版として構成されている。
図1及び図7に示すように、感光性印刷版10は、所定複数枚積み重ねて例えば直方体の束にする。なお、図示しないが、感光面10Aを保護する合紙と、感光性印刷版10と、を交互に厚み方向に重ね合わせて、感光性印刷版10の束としても良い。
このようにして例えば直方体の束にされた所定複数枚の感光性印刷版10は、その最上位置の感光性印刷版10の感光面10A上に保護部材15を配置し、さらに必要に応じて、所定複数枚の感光性印刷版10の束における最下位置の感光性印刷版10の裏面(アルミニュウム面)上にも保護部材17を配置する。
これら保護部材15、保護部材17は、例えば、遮光性と防湿性とを有する平板状の材料である段ボール製のいわゆる当てボール又は遮光性及び防湿性を有する厚紙等を材料として、感光性印刷版10と同形の平面形状に形成する。
このように感光面10A側に保護部材15を配置し裏面側に保護部材17を配置した所定複数枚の感光性印刷版10の束を一体的に拘束する必要がある場合には、保護部材15の表面から束にされた所定複数枚の感光性印刷版10の側面を通り、保護部材17の表面に至るように、粘着テープ23等の固定手段を貼着して固定する。なお、この粘着テープ23等の固定手段で固定する箇所は、図1に示すものでは4箇所であるが、必要に応じて単数又は複数箇所に設定する。
図1に示すように、感光面10A側に保護部材15を配置し裏面側に保護部材17を配置して所定複数枚の感光性印刷版10を一体的に束ねたものは、その束ねられた状態で、CTPシステムにおける自動送給装置等によって、各感光性印刷版10を1枚づつ束から引き出して、次の露光工程等へ搬出する動作が可能なように構成する。
このため、感光面10A側に保護部材15を配置し裏面側に保護部材17を配置して所定複数枚の感光性印刷版10を一体的に束ねたものには、感光面10A側に配置された保護部材15を全面的に除去しなくても、各感光性印刷版を搬出する送給作業をできるようにする感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を構成する。
図1に示す感光性印刷版の送給用簡易開梱手段は、CTPシステムの自動送給装置等に装着された、感光性印刷版10の束の1番上にある感光性印刷版10に接して1枚だけを分離し枚葉供給装置等へ送給するための搬出手段に対応して構成する。
この搬出手段は、例えば図1に示すように、感光性印刷版10の束の1番上にある感光性印刷版10に転接して1枚だけを分離して送給するいわゆるローラピックを構成する搬出用ローラ146として構成することができる。
または、搬出手段は、例えば図2に示すように、感光性印刷版10の束の1番上にある感光性印刷版10の表面に、搬送用操作アームの先端に設けた吸盤19を吸着させて感光性印刷版10を持ち上げるように保持しながら図に矢印Aで示す搬送方向へ移動させることにより、分離して搬出するように構成することができる。なお、搬出手段は、その他種々の構成のものを利用することができる。
前述のような搬出手段に対応して構成される感光性印刷版の送給用簡易開梱手段は、例えば、図1及び図2に示すように、保護部材15の搬送方向先端側中央部に、搬出用ローラ146の外形又は吸盤19の外形よりも一回り大きい開放部21を穿設して構成する。
この搬出手段が吸盤19のように吸着して搬出するハンドリングを行う必要かがある場合には、この開放部21を搬送方向先端に開放される切欠として構成し、又は吸盤19の移動範囲が全て開口するような開口として構成する。
また、搬出手段が搬出用ローラ146のようにその場で転接して搬出する操作を行うというように、移動する必要かない場合には、搬出用ローラ146の外形よりも一回り大きい形状の切欠を保護部材15の搬送方向先端側に切欠して形成し、又は搬出用ローラ146の外形よりも一回り大きい形状の開口を保護部材15の搬送方向先端辺から離れた所定位置に配置して構成しても良い。
図3に示すように、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段では、保護部材15に開放部21を設けることにより開放部21の部分における感光面10Aが保護部材15で保護されなくなることを防止するため、この開放部21内に補助部材25を着脱可能に配置しても良い。
この補助部材25には、保護部材15と同じ材料で、開放部21に嵌まり込むように若干小さな形状に形成したものを用いることができる。なお、補助部材25は、その他の遮光性、防湿性、クッション性を有する材料で、開放部21をカバーできる種々の平面的又は立体的な形状に構成しても良い。
この感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を保護部材15の開放部21に補助部材25を嵌め込む構成とした場合には、初めに、開放部21に嵌まった補助部材25を搬出手段である搬出用ローラ146若しくは吸盤19又はその他の手段で取り除いてから、搬出手段で各感光性印刷版10を搬出する動作を行う。
また図4に示すように、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を保護部材15の開放部21に補助部材25を嵌め込むように構成した場合には、感光面10A側に保護部材15を配置し裏面側に保護部材17を配置して所定複数枚の感光性印刷版10を一体的に束ねたものを包装材12で包装したときに、包装材12の内部において、保護部材15の開放部21に補助部材25が嵌まって保護するので、感光面10Aの全体を保護部材15及び補助部材25によって、略均一に遮光し、防湿し、外力から保護して、感光面10Aの部分的な劣化を防止することができる。
また、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段は、図5に示すように、保護部材15の開放部21を開放したまま補助部材25で包装し、この補助部材25の外表面における開放部21に対応する位置に補助部材25を糊付け等の手段で固定し、開放部21内の露呈している感光面10Aの部分に、補助部材25を介して補助部材25を嵌め込むように構成しても良い。
このように構成する場合には、保護部材15の開放部21に包装材12を介して補助部材25が嵌まって保護するので、感光面10Aの全体を保護部材15、包装材12及び補助部材25によって、略均一に遮光し、防湿し、外力から保護して、感光面10Aの部分的な劣化を防止することができる。さらに、このように構成した場合には、包装材12を開梱のため取り除く際に、補助部材25を開放部21から取り去ることができるから、この補助部材25を搬出用ローラ146や吸盤19を用いた搬出手段で取り除く工程を省略できる。
図6に示すように、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段は、感光性印刷版10の搬送方向上流側の端部を端辺全長に渡って切除して幅方向全長に渡る開放部21を構成しても良い。すなわち、この場合には、保護部材15を感光性印刷版10の搬送方向に沿った全長より所定長さ短く構成する。このように構成した場合には、搬出用ローラ146又は吸盤19を複数設ける等の、種々の構成の搬出手段に対応することが容易になる。なお、この図6に示すように構成した感光性印刷版の送給用簡易開梱手段では、幅方向全長に渡る開放部21に対応した大きさ及び形状を持つ補助部材(図示せず)を設置して保護を図るように構成しても良い。
また、感光面10A側に保護部材15を配置し裏面側に保護部材17を配置して所定複数枚の感光性印刷版10を一体的に束ね、保護部材15に感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を設けたものを包装する包装材12の材料は、例えば、所定の強度を有する紙(例えばクラフト紙)の少なくとも片面に、アルミニウム箔等の金属薄膜を貼着して所定の遮光性及び防湿性を有するもので構成する。
さらに、包装材12の材料は、感光性印刷版10と化学反応を起こして感光性印刷版10の特性(例えば、かぶりや感度変化等)を実質的に変化させてしまうことのないものが好ましい。このような条件を全て満たすものとしては、例えば、線状低密度ポリエチレンをクラフト紙に薄膜状に塗布した材料、防湿剤をクラフト紙に塗布した材料、防湿剤及び遮光剤をクラフト紙に塗布した材料、カーボンブラックを3重量%混合した線状低密度ポリエチレンをクラフト紙に塗布した材料、線状低密度ポリエチレンを遮光紙又は黒色紙に塗布した材料、黒色の延伸ポリプロピレン(OPP)のフィルム、等の材料が挙げられる。
この包装材12に用いられる防湿剤としては、例えば、合成ゴム系ラテックス又は樹脂系ラテックスとワックス系エマルジョンとからなる水性エマルジョン、アクリル系エマルジョンとワックス系エマルジョンとを混合したもの、等が挙げられる。
また、この包装材12に用いられる遮光剤としては、特に、感光性印刷版10の感光層の感光波長と同じ波長域を有する光を吸収又は反射できる材料が好ましい。例えば、感光性印刷版10の感光層としてジアゾ感光材料が使用されている場合には、このジアゾ感光材料の感光波長である250〜500nmの波長域を有する光を選択的に遮光する顔料(黄鉛やベンジンイエロー等)及び染料の1つ以上を含む遮光剤を使用することができる。
この包装材12に用いられる遮光紙としては、カーボンブラックを5〜10%程度内添すると共に、叩解度を高くすることによってピンホールを少なくし、遮光性を高めた紙が挙げられる。もちろん、ピンホールの数、密度や大きさ等との関係によって、カーボンブラックをこれより増減してもよい。黒色紙としては、黒色染料を製紙工程において混合して製紙した黒色クラフト紙や、クラフト紙に黒色印刷した紙等が挙げられる。
なお、黒色染料や黒色インキ等には、感光性印刷版10と化学反応を起こして感光性印刷版10の特性を実質的に変化させてしまう物質を含むものもあるため、このような物質を含まないか、若しくは含んでいても実質的に感光性印刷版10の化学変化が問題にならない程度に微量である黒色染料や黒色インキを使用することが望まれる。また、遮光紙及び黒色紙の坪量は、70〜150g/m2程度であることが好ましい。
このような材料で構成された包装材12により、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を利用した所定複数枚の感光性印刷版の束を包装する仕方としては、例えば、特開平11−314680号公報の段落0041から段落0046に記載されいる2枚の包装材を用いて包装することによって、開梱する際に、包装状態にある2枚の包装材12A、12B(図7に図示)の一方を分離して引き抜くことにより、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を利用した所定複数枚の感光性印刷版の束における一部を露呈させ得るようにした手段を利用できる。
さらに、上述の2枚の包装材12A、12Bを用いた簡易開封用包装手段で包装された感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を利用した所定複数枚の感光性印刷版の束を、明室中で開梱可能とする手段として、例えば特開平11−314680号公報の段落0053から段落0064に記載されている、スライド扉で遮光可能に構成したカセット収納部を有する感光性印刷版供給装置を利用することができる。
上述した明室中で開梱可能とする手段を利用する場合には、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を利用した所定複数枚の感光性印刷版の束を包装している2枚の包装材12A、12Bの一端部をカセット収納部の外部に張り出させた状態でスライド扉を閉じて遮光し、この遮光状態で張出部を引っ張って分離し、カセット収納部の外部に引き出し、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を利用した所定複数枚の感光性印刷版の束における上部がカセット収納部の内部で露出される状態とする。次に、カセット収納部を感光性印刷版供給装置の内部に遮光状態で収容し、スライド扉を開放して、感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を利用した所定複数枚の感光性印刷版の束における上部が露出される、例えば、図1、図2及び図6に示す状態にセットする。
次に、前述した同様に、開放部21内で露呈している感光面10Aに搬出用ローラ146を転接させ又は吸盤19を吸着させて、保護部材15をとり外すことなく各感光性印刷版10を搬出させる動作を行うことができる。
よって、前述した感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を利用した所定複数枚の感光性印刷版の束を、2枚の包装材12A、12Bを用いた簡易開封用包装手段で包装し、明室中で開梱可能とする手段を利用して開梱するようにすれば、所定複数枚の感光性印刷版の束に感光面10Aを保護するための保護部材15を配置したものであっても、保護部材15を配置しないものであっても、共に明室中において包装材12A、12Bを開梱し、各感光性印刷版10を順次搬出させようにすることができる。
なお、図7に示すように、2枚の包装材12A、12Bで包装された感光性印刷版10の束は、段ボールや樹脂等の所定の剛性を有する材料によって形成された外箱27に入れて保護することで、効率的に運搬や保管を行えるようにすることができる。
前述のように、簡易開封用包装手段で包装された感光性印刷版の送給用簡易開梱手段を利用した所定複数枚の感光性印刷版の束は、コンピュータ等のデジタルデータに基づいてレーザ露光処理をし、自動現像機で感光性印刷版上に形成された潜像を顕像に変換する現像処理をして直接印刷版を製版するCTP(Computer to Plate)システムに供給するのに好適なものとなっている。
図8及び図9に示すように、このCTPシステムは、包装された感光性印刷版10の束が供給される自動送給装置110と、感光性印刷版10の束から感光性印刷版10(PS版)を1枚づつ分離して供給する枚葉供給装置112と、インナードラム露光装置(モノゴンスキャナー)114と、バッファ装置116と、現象処理装置118とを備える。
このCTPシステムにおける自動送給装置110に感光性印刷版10の束を装填する場合には、作業者が、図7に示すように包装材12A、12Bで包装されている感光性印刷版10の束を外箱27から取り出して用意する。次に、作業者は、図8に示す自動送給装置110の扉142を開け、その内部に斜めに配置した保管棚144上に感光性印刷版10の束を置いて、扉142を閉じて遮光し、自動送給装置110内を暗室とする。
次に、作業者は、例えば、遮光されて暗室となった自動送給装置110内で、感光性印刷版10の束を包装している包装材の一部又は全部を取り外し、保管棚144上に載置された感光性印刷版10の束の所定部分を露呈させる。なお、感光性印刷版10の束の包装を開梱する作業は、明室中で開梱可能とする手段を利用して自動送給装置110内へ搬入する前に行っても良い。
このように、遮光した状態で感光性印刷版10の束を包装している包装材が開梱されるようにすることにより、作業者は、明るい環境下にいたまま開梱作業を行うことができる。よって、暗い環境下で装填するのに比べて、作業効率を向上でき、作業者の負担も軽減できる。さらに、CTPシステムを設置した部屋全体を暗くする必要が無いので、この部屋の内部で別の作業を行う場合にも、この作業を中断する必要がないから作業性が低下することを防止できる。
また、このCTPシステムでは、自動送給装置110内で、遮光状態を保ったまま、感光性印刷版10の束から保護部材15を取り去る遮光された別装置(別機能)が必要ないので、その分だけ装置を小型化し、装置を廉価に製造でき、保護部材15を取り去る作業に費やされる時間を省略して作業効率を向上できる。
次に、自動送給装置110の保管棚144上に感光性印刷版10の束が装填されると、図9に示すように搬出用ローラ146が、感光性印刷版10の束の1番上にある感光性印刷版10に転接して、1枚だけを分離し枚葉供給装置112へ送給する。
この枚葉供給装置112には、各感光性印刷版10を保管棚144からインナードラム露光装置114まで搬送するために、主搬送ベルト148を張架した主搬送ベルト巻き掛け機構150と、副搬送ベルト152を張架した副搬送ベルト巻き掛け機構154とを設置する。
この主搬送ベルト巻き掛け機構150は、保管棚144上部に当たる感光性印刷版10の搬入位置から、インナードラム露光装置114への搬出位置との間に搬送ベルト148を張架して搬送路を構成する。
また、副搬送ベルト巻き掛け機構154は、主搬送ベルト巻き掛け機構150における主搬送ベルト148の下側に設定される搬送路の一部を共用して搬送中の感光性印刷版10が脱落することを防止するよう構成する。
このため、副搬送ベルト巻き掛け機構154は、主搬送ベルト148における、保管棚144から搬出された各感光性印刷版10の先端が突き当てられるガイド範囲より搬送方向下流側の中間ローラ156から、主搬送ベルト148の下側に設定される搬送路の出口に近い中間ローラ158の区間で、主搬送ベルト148と副搬送ベルト152とが添うようになって走行するよう巻き掛けて構成する。
このように構成した枚葉供給装置112では、搬出用ローラ146によって1枚だけ分離されて搬出された感光性印刷版10の先端が、主搬送ベルト148のガイド範囲に当たり、主搬送ベルト148の走行動作に従って中間ローラ156側へ搬送される。
そして、先端を主搬送ベルト148にガイドされた感光性印刷版10は、中間ローラ156の位置で、主搬送ベルト148と副搬送ベルト152との間に挟み込まれて挟持された状態で搬送路上を搬送され、出口に近い中間ローラ158の位置で挟持状態を開放され、インナードラム露光装置114へ搬入される。
なお、重ねられた感光性印刷版10の間に感光面保護のため合紙が挟み込まれている場合には、図示しないが、枚葉供給装置112に、この合紙を分離してストックする合紙除去部を別途設ける。
このCTPシステムにおけるインナードラム露光装置114は、円弧内周面形状(円筒内周面の一部を構成する形状)の支持体134を母体として構成されており、この支持体134の内周面に沿って感光性印刷版10を支持するようになっている。
このインナードラム露光装置114では、図示しない真空吸着手段によって、未記録の記録媒体である感光性印刷版10を支持体134の内周面に確実に密着させて沿わせた状態に保持してから露光処理を行う。
このインナードラム露光装置114では、支持体134の円弧中心位置に、光ビーム偏向器としてのスピナーミラー装置136を配設する。このスピナーミラー装置136は、反射鏡部材(スピナーミラー)138を頂面に配置した回転軸140を、図示しない制御装置のスピナードライバによって回転制御がされる駆動源としてのモータによって高速回転可能に構成する。このスピナーミラー装置136では、回転軸140の回転中心軸を支持体134の円弧中心軸と一致するように構成する。
このスピナーミラー装置136では、光源側の光学系から投射された光ビームを、回動する反射鏡部材138の反射鏡面に反射させて感光性印刷版10の感光面に対して主走査方向への走査露光を行う。
このスピナーミラー装置136は、図示しない副走査移動手段によって、支持体134の円弧中心軸の軸線方向(図9の表面から裏面に貫通する方向)に等速度で移動制御されることにより副走査する。
このためスピナーミラー装置136では、制御装置のスピナードライバによって、そのモータの回転制御がされると共に、図示しない副走査移動手段により副走査方向に移動制御される。
このように構成されたスピナーミラー装置136は、光源側の光学系から投射され画像情報に応じて変調された光ビームを、回動する反射鏡部材138の反射鏡面に反射させて主走査方向への走査露光を行いながら、スピナーミラー装置136を副走査方向へ移動することによって、感光性印刷版10の記録面全面に対して2次元の画像を記録する処理を行う。
このCTPシステムに設けるバッファ装置116は、インナードラム露光装置114で露光処理された感光性印刷版10を、搬送速度を調整することによって所要のタイミングで現象処理装置118へ搬入する機能を有する。
現象処理装置118は、搬入されて来た露光済の感光性印刷版10に対する現像処理を行って潜像を顕像化して印刷版を製版する。
10 感光性印刷版
10A 感光面
12A 包装材
12B 包装材
15 保護部材
19 吸盤
21 開放部
25 補助部材
110 自動送給装置
112 枚葉供給装置
142 扉
144 保管棚
146 搬出用ローラ
10A 感光面
12A 包装材
12B 包装材
15 保護部材
19 吸盤
21 開放部
25 補助部材
110 自動送給装置
112 枚葉供給装置
142 扉
144 保管棚
146 搬出用ローラ
Claims (2)
- 感光性印刷版を所定複数枚束にして包装する感光性印刷版の包装において、
前記感光性印刷版の束で最上位置となる感光面上に配置して外力で前記感光面が傷付けられることから保護する、平板状の材料で形成された保護部材と、
前記感光性印刷版の1枚だけを分離して搬送する搬出手段が接すべき前記感光面の部分を露呈させるよう前記保護部材に穿設された開放部と、
を有することを特徴とする感光性印刷版の包装。 - 前記保護部材に形成された前記開放部内に露呈する感光面を保護するため、前記開放部内に着脱可能に補助部材を配置したことを特徴とする請求項1に記載の感光性印刷版の包装。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004357241A JP2006160342A (ja) | 2004-12-09 | 2004-12-09 | 感光性印刷版の包装 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004357241A JP2006160342A (ja) | 2004-12-09 | 2004-12-09 | 感光性印刷版の包装 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006160342A true JP2006160342A (ja) | 2006-06-22 |
Family
ID=36662789
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004357241A Pending JP2006160342A (ja) | 2004-12-09 | 2004-12-09 | 感光性印刷版の包装 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006160342A (ja) |
-
2004
- 2004-12-09 JP JP2004357241A patent/JP2006160342A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Effective date: 20070221 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 |