JP2006159381A - 切削加工用工具 - Google Patents

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博成 北郷
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Abstract

【課題】 切刃の欠損を低減して工具寿命の延長を図ることができる切削加工用工具を提供する。
【解決手段】 すくい面3bと逃げ面3cとの境界部分にホーニング部3dが形成された切刃3aを有し、高硬度ワークに切削加工を施すための切削加工用工具1において、上記ホーニング部3dが上記切刃3aのすくい面3bと逃げ面3cとの交差稜線部にR形状に形成されたRホーニング部3dと、上記すくい面3bの刃先部分に上記Rホーニング部3dに連なりかつ刃先ほど低所となるよう形成された曲面ホーニング部3dとを有し、該曲面ホーニング部3dは所定の曲率半径を有する円弧状に形成されている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ワークに所定の切削加工を施すようにした切削加工用工具に関する。
例えば、焼き入れ等の高硬度処理が行われたワークを旋盤で旋削加工する場合、超高硬度材からなるチップを備えた切削工具を採用するのが一般的である。
この種のチップの長寿命化を図るうえで、チップ切刃部分の耐磨耗性及び耐欠損性を高めることは重要な要素である。ところが耐磨耗性と耐欠損性とは互いに相反する特性を有することから、これらを高次元で両立させることは困難である。特に例えばワークに孔がある場合には、上記孔を横断する際に加工が断続的となり、切刃に大きな衝撃力が加わることから、切刃が欠損し易い。このようなチップの耐欠損性を高める観点から、例えば、特許文献1では、切刃のすくい面と逃げ面との境界部にホーニング面を形成するようにしている。
これは例えば図9に示すように、チップ10の切刃10aのすくい面10bと逃げ面10cとの境界部にR状のホーニング部10dを形成し、上記すくい面10bの刃先部分に面取り加工により15〜25度の傾斜角度をなすネガランド面10eを形成したものである。
特開平9−207007号公報
ところが、上述のようにR状ホーニング部に加えてネガランド面を形成した構造を採用した場合にも、切刃の欠損を十分に抑制できないという問題がある。これは、面取り加工によりネガランド面を形成した場合には、切り込み時のネガランド面への面圧が大きくなり、このため切刃の欠損を抑制することが困難であるものと考えられる。特に、上述のように高硬度ワークを断続的に加工をする場合には、切刃に大きな衝撃力が作用し、この衝撃力によって欠損するおそれがある。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたもので、切刃に切り込み時の負荷が集中するのを抑制して切刃の欠損を低減でき、ひいては工具寿命の延長を図ることができる切削加工用工具を提供することを目的としている。
請求項1の発明は、すくい面と逃げ面との境界部分にホーニング部が形成された切刃を有し、高硬度ワークに切削加工を施すための切削加工用工具において、上記ホーニング部が上記切刃のすくい面と逃げ面との交差稜線部にR形状に形成されたRホーニング部と、上記すくい面の刃先部分に上記Rホーニング部に連なりかつ刃先ほど低所となるよう形成された曲面ホーニング部とを有し、該曲面ホーニング部は所定の曲率半径を有する円弧状に形成されていることを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1において、上記曲面ホーニング部は、その曲率半径が0.2〜0.3mmに、その曲面幅が0.1〜0.2mmに、その曲面高さが0.03〜0.1mmにそれぞれ設定されていることを特徴としている。
本発明に係る切削加工用工具によれば、すくい面の刃先部分に、Rホーニング部に連なる円弧形状の曲面ホーニング部を形成したので、曲面ホーニング部の面積を従来の面取り加工によるネガランド面積より大きくすることができ、それだけ切り込み時にネガランド部に作用する面圧が小さくなり、曲面ホーニング部に負荷が集中するのを抑制できる。これにより、切刃の欠損を低減でき、工具寿命の延長を図ることができる。
また曲面ホーニング部を円弧形状としたので、切り込み時の切り屑の流れがスムーズになり、この点からも切刃の欠損を抑制でき、工具寿命を延長できる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図4は、本発明の一実施形態による切削加工用工具を説明するための図であり、図1は切削加工用工具の全体構成図、図2(a),(b)は工具本体に装着されたチップの平面図,側面図、図3はチップの切刃の斜視図、図4は切刃の断面図(図2のIV-IV 線断面図)である。
図1において、1は旋盤に採用される切削加工用工具(バイト)を示しており、これは棒状の工具本体2の先端部に取付け座2aを形成し、該取付け座2aにチップ3を固定具2bにより着脱可能に固定した構造を有している。
上記チップ3は、立方晶窒化ほう素(CBN)からなる超硬質材により形成され、平面から見て三角形状をなしており、各コーナ部が切刃3aとなっている。該各切刃3aは、上面がすくい面3bとなっており、左,右側面が逃げ面3c,3cとなっている。また下面は上記取付け座2aに当設する着座面3fとなっている。そして、上記切刃3aのすくい面3bと左,右逃げ面3cとの交差稜線部にはR形状のRホーニング部3dが形成されている。このRホーニング部3dの曲率半径R1は0.01〜0.02mm程度に設定されている。
上記切刃3aのすくい面3bの刃先部分には上記Rホーニング部3dに連なる曲面ホーニング部3eが形成されている。この曲面ホーニング部3eは所定の曲率半径を有する上方に凸の円弧状をなし、かつ刃先側ほど低所となるよう傾斜している。該曲面ホーニング部3eの先端部は上記Rホーニング部3dに連続面をなすように連なり、また後端部は上記すくい面3bに、該面が接線をなすように連なっている。上記曲面ホーニング部3eの曲率半径R2は0.2〜0.3mm程度に設定されている。
ここで上記曲面ホーニング部3eと逃げ面3cとの交点から該曲面ホーニング部3eと上記すくい面3bとの接続点までの長さLは0.1〜0.2mm程度に設定されており、上記交点からすくい面3bまでの高さHは0.03〜0.1mm程度に設定されている。これにより本実施形態の曲面ホーニング部3eの面積は、上述のネガランド部10e(図4の二点鎖線参照)の面積より大きくなっている。
本実施形態の切削加工用工具1による切削加工は、旋盤の刃物台に工具1をセットし、主軸に装着されたワークを回転駆動しつつチップ3の切刃3aを上記ワークに対して所定量の切り込み、工具1を所定の送り速度で主軸の軸方向に送ることにより行なわれる。
本実施形態では、すくい面3bの刃先部分にRホーニング部3dに連なりかつ刃先ほど低所となる曲面ホーニング部3eを形成し、該曲面ホーニング部3eを所定の曲率半径を有する円弧形状としたので、曲面ホーニング部3eの面積を従来の面取り加工によるネガランド面積より大きくすることができ、それだけ切り込み時に曲面ホーニング部3eに作用する面圧が小さくなり、曲面ホーニング部3eに負荷が集中するのを抑制できる。これにより、切刃3aの欠損を低減でき、工具寿命の延長を図ることができる。
また曲面ホーニング部3eを円弧形状としたので、切り込み時の切り屑との接触面積が増えることから、面圧が下がり、切り屑がスムーズに流れることとなる。これによりワークの断続加工による衝撃力が作用しても突発的な切刃の欠損を抑制でき、この点からも工具寿命を延長できる。
図5は、本実施形態のチップによる切削状態を示す模式図(図6のV−V線断面図)である。図5においては、図6に示すように、ワークをa方向に回転駆動しつつ、チップを1mm/revの送り量で送りつつ該チップによりワーク加工を旋している状態が示されている。また図7は従来のチップによる切削状態を示す模式図である。なお、図5,7中、縦軸はワーク移動方向を、横軸は送り方向を示す。
本実施形態では、図5からも明らかなように、切削時の曲面ホーニング部3eと切り屑との切削接触長さA,ひいては接触面積は、図7の従来の切削接触長さB,ひいては接触面積に比べて大きくなっており、そのため曲面ホーニング部3eに作用する面圧が小さくなっていることが分かる。また本実施形態では、曲面ホーニング部3eが円弧面をなしており、この点からも切り屑がスムーズに流れていることが分かる。
図8は、本実施形態の効果を確認するために行った実験結果を示す図である。本実験では、6個の本実施形態チップによりそれぞれワーク加工を行い、チップが欠損するまでのワーク加工個数を調べた。また比較するために、18個の従来チップによりワーク加工を行い、上記同様にチップが欠損するまでのワーク加工数を調べた。
同図からも明らかなように、従来チップの場合には、平均31個までは正常に加工できたものの32個目で欠損が生じているのに対して、本実施形態チップの場合には、平均157個まで正常に加工でき158個目で欠損が生じており、従来チップに比べて平均寿命が5倍と大きく向上しているのがわかる。
なお、上記実施形態では、三角形状のチップについて説明したが、本発明のチップ形状はこれらに限られるものではなく、例えば四角形状のものにも勿論適用可能である。
本発明の一実施形態による切削加工用工具の図である。 上記切削加工用工具のチップの図である。 上記チップの切刃部分の斜視図である。 上記チップの切刃の断面図(図2のIV-IV 線断面図) である。 上記実施形態のチップによる切り込み状態を示す模式図である。 上記チップによるワーク切削状態を示す模式図である。 従来のチップによる切り込み状態を示す模式図である。 上記実施形態のチップによる効果を示す図である。 本発明の成立過程を説明するための切刃の断面図である。
符号の説明
1 切削加工用工具
3 チップ
3a 切刃
3b すくい面
3c 逃げ面
3d Rホーニング部
3e 曲面ホーニング部

Claims (2)

  1. すくい面と逃げ面との境界部分にホーニング部が形成された切刃を有し、高硬度ワークに切削加工を施すための切削加工用工具において、上記ホーニング部が上記切刃のすくい面と逃げ面との交差稜線部にR形状に形成されたRホーニング部と、上記すくい面の刃先部分に上記Rホーニング部に連なりかつ刃先ほど低所となるよう形成された曲面ホーニング部とを有し、該曲面ホーニング部は所定の曲率半径を有する円弧状に形成されていることを特徴とする切削加工用工具。
  2. 請求項1において、上記曲面ホーニング部は、その曲率半径が0.2〜0.3mmに、その曲面幅が0.1〜0.2mmに、その曲面高さが0.03〜0.1mmにそれぞれ設定されていることを特徴とする切削加工用工具。
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