JP2006156606A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体チップの半田付け時に、ピンによって押さえつけられる部分まで半田が流れ込んでしまうのを回避する。
【解決手段】半導体チップ8が半田付けされる部分3よりもベース1の端部(外縁部)(4,4’)の上面が高くなるようにベース1の端部(外縁部)(4,4’)を絞り加工により凸状に変形させ、半導体チップ8をベース1上に半田付けし、凸状のベース1の端部(外縁部)(4,4’)の上面をピン13によって下方に押さえつけ、その状態で半導体チップ8を樹脂15によって封止する。
【選択図】図7

Description

本発明は、半導体チップをベース上に半田付けし、半導体チップに近接する位置でベースの上面をピンによって保持し、その状態で半導体チップを樹脂によって封止する半導体装置の製造方法に関し、特には、半導体チップの半田付け時に、ピンを受けるベース部分まで半田が流れ込んでしまうのを回避することができる半導体装置の製造方法に関する。
従来から、半導体チップをベース上に半田付けし、半導体チップに近接する位置でベースの上面をピンによって下方に押さえつけ、ベースを所定位置に保持した状態で半導体チップを樹脂によって封止する半導体装置の製造方法が知られている。この種の半導体装置の製造方法の例としては、例えば特開平3−60146号公報に記載されたものがある。
特開平3−60146号公報に記載された半導体装置の製造方法では、まず、半導体チップとしてのパワートランジスタ用半導体ペレットが、ベースとしての放熱板の上面に半田によってマウントされる。次いで、半導体ペレット(半導体チップ)が半田付けされた放熱板(ベース)が、成形用金型のキャビティ内に配置される。詳細には、半田付けされた半導体ペレット(半導体チップ)に近接する位置に設けられた放熱板(ベース)の穴に、ピンが上方から挿入され、そのピンによって放熱板(ベース)が成形用金型のキャビティ内の所定の位置に仮着される。次いで、その状態で、樹脂が成形用金型のキャビティ内に射出され、半導体ペレット(半導体チップ)が樹脂モールドされる。
ところが、上述したように、特開平3−60146号公報に記載された半導体装置の製造方法では、放熱板(ベース)のうち、ピンによって押さえつけられる部分が穴になっている。つまり、放熱板(ベース)のうち、半導体ペレット(半導体チップ)が半田付けされる部分よりも、ピンによって押さえつけられる穴が低くなっている。そのため、放熱板(ベース)に対して半導体ペレット(半導体チップ)を半田付けする時に、半田が過剰に供給された場合には、放熱板(ベース)と半導体ペレット(半導体チップ)との間から半田が溢れ出し、その溢れ出た半田が、ピンによって押さえつけられる穴に流れ込んでしまうおそれがある。
ピンによって押さえつけられる穴に半田が流れ込んでしまうと、ピンの下面と放熱板(ベース)との間に半田が介在せしめられた状態で、放熱板(ベース)がピンによって下方に押さえつけられてしまう。つまり、放熱板(ベース)が過剰に下方に押さえつけられてしまう。
そうなると、放熱板(ベース)に歪が生じてしまい、場合によっては、その歪が半導体ペレット(半導体チップ)に伝わってしまうおそれがある。半導体ペレット(半導体チップ)に歪が生じてしまうと、半導体ペレット(半導体チップ)にマイクロクラックが生じてしまい、半導体ペレット(半導体チップ)の信頼性が低下してしまうおそれがある。
また、半導体ペレット(半導体チップ)が樹脂モールドされた後にピンが抜かれると、ピンが位置していた箇所には穴が残ることになる。上述したように、ピンの下面と放熱板(ベース)との間に半田が介在せしめられた状態で放熱板(ベース)がピンによって下方に押さえつけられ、樹脂モールドが行われると、成形後にピンが抜かれた後に残った穴の底面には、半田が露出せしめられることになる。すなわち、その穴では、半田と樹脂との境界層が外気に露出せしめられることになる。
半田と樹脂との接着力は放熱板(ベース)と樹脂との接着力よりも大幅に低いため、上述したように、半田と樹脂との境界層が外気に露出せしめられると、外気中の水蒸気がその露出せしめられた境界層を介して半導体装置の内部に侵入してしまい、半導体装置の信頼性が低下してしまうおそれがある。
上述したように、半導体ペレット(半導体チップ)の半田付け時に、ピンによって押さえつけられる穴に半田が流れ込んでしまうと、さまざまな問題が生じてしまうおそれがある。
以上は、上金型に設けたピンを放熱板(ベース)に設けた穴に食い込ませ、放熱板(ベース)をキャビティ内の所定の位置で保持し樹脂モールドする製法を例に説明した。しかし、このような問題は、放熱板(ベース)に穴を設けず、単に上金型に設けたピンを放熱板(ベース)に当接し、放熱板(ベース)をキャビティ内の所定の位置で保持し、外装樹脂をキャビティ内に射出し全体をモールドする場合も、ピンを受ける放熱板(ベース)部分が半導体チップを半田付けする放熱板(ベース)部分と近接し、かつ、同等の高さにあれば生じるおそれがある。
特開平3−60146号公報
前記問題点に鑑み、本発明は、半導体チップの半田付け時に、ピンによって押さえつけられる部分まで半田が流れ込んでしまうのを回避することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明によれば、半導体チップをベース上に半田付けし、前記半導体チップに近接する位置で前記ベースの上面をピンによって下方に押さえつけ、その状態で前記半導体チップを樹脂によって封止する半導体装置の製造方法において、前記ベースの上面のうち、前記半導体チップが半田付けされる部分よりも前記ピンによって押さえつけられる部分が高くなるように、前記ピンによって押さえつけられる部分を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
請求項2に記載の発明によれば、前記ピンによって押さえつけられる部分が前記ベースの端部(外縁部)を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、前記ベースの上面のうち、前記ピンによって押さえつけられる部分を絞り加工により凸状に形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
請求項4に記載の発明によれば、前記ピンによって押さえつけられる部分と前記半導体チップが半田付けされる部分との間の前記ベースの上面に溝を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
請求項5に記載の発明によれば、前記ピンによって押さえつけられる部分の前記ベースの下面を凹状に形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
請求項6に記載の発明によれば、半導体チップが半田付けされる部分から舌状部分が突出しているように板状のベースの外形を形成し、前記半導体チップが半田付けされる部分よりも前記舌状部分の上面が高くなるように前記舌状部分を絞り加工により凸状に変形させ、前記半導体チップを前記ベース上に半田付けし、前記舌状部分の上面をピンによって下方に押さえつけ、その状態で前記半導体チップを樹脂によって封止することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
請求項7に記載の発明によれば、前記半導体チップが半田付けされる部分と前記舌状部分との間の前記ベースの上面に溝を形成することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
請求項8に記載の発明によれば、前記舌状部分の下面を凹状に変形させることを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
請求項1に記載の半導体装置の製造方法では、ベースの上面のうち、半導体チップが半田付けされる部分よりもピンによって押さえつけられる部分が高くなるように、ピンによって押さえつけられる部分が形成される。そのため、半導体チップの半田付け時に、ピンによって押さえつけられる部分まで半田が流れ込んでしまうのを回避することができる。つまり、ピンの下面とベースの上面との間に半田が介在せしめられた状態でベースの上面がピンによって下方に押さえつけられてしまうのを回避することができる。それにより、ベースに歪が生じ、その歪が半導体チップに伝わってしまうのを回避することができる。また、成形後に樹脂からピンが抜かれた後に残る穴を介して半田と樹脂との境界層が外気に露出せしめられてしまうのを回避することができる。
請求項2に記載の半導体装置の製造方法では、半導体チップが半田付けされる部分よりも高い位置に配置されるピンによって押さえつけられる部分が、ベースの端部(外縁部)を含んでいる。つまり、ピンによって押さえつけられる部分が、半導体チップが半田付けされる部分よりも高い位置に配置され、かつ、ベースの端部(外縁部)上に配置されている。そのため、ピンによって押さえつけられる部分がベースの端部(外縁部)よりも内側に配置されている場合よりも、ピンによって押さえつけられる部分が、半導体チップが半田付けされる部分よりも高くなるように変形せしめられる時に、その変形を容易に行うことができる。すなわち、ピンによって押さえつけられる部分が凸状に変形せしめられる時に、凸部の裾の一部がベースの端部(外縁部)において開放されているため、その変形を容易に行うことができる。
ピンによって押さえつけられる部分を、曲げ加工によって、半導体チップが半田付けされる部分よりも高くしようとすると、ピンによって押さえつけられる部分の面積、つまり、曲げ加工される部分の面積を比較的大きく設定しなければならず、その結果、半導体装置の大型化や、実装面積の大型化を招いてしまう。このことは、この部品を使った装置の大型化にもつながり好ましくない。また、ベース全体の材料費が嵩んでしまう。この点に鑑み、請求項3に記載の半導体装置の製造方法では、ピンによって押さえつけられる部分が絞り加工によって凸状に形成され、それにより、半導体チップが半田付けされる部分よりもピンによって押さえつけられる部分が高くされる。そのため、ピンによって押さえつけられる部分の面積を十分に確保しつつ、ピンによって押さえつけられる部分が曲げ加工によって形成される場合よりも、ピンによって押さえつけられる部分を小さく設計することができ、それにより、ベース全体の材料費を低く抑え、半導体装置全体を小型化することができる。
請求項4に記載の半導体装置の製造方法では、ピンによって押さえつけられる部分と半導体チップが半田付けされる部分との間のベースの上面に溝が形成される。そのため、溝が形成されない場合よりも、ピンによって押さえつけられる部分まで半田が流れ込んでしまうおそれを低減することができる。すなわち、溝の凹部と、ピンを受ける部分の凸部により、一層高低差が広がり、半田は流れ込みにくくなる。
請求項5に記載の半導体装置の製造方法では、ピンによって押さえつけられる部分のベースの下面が凹状に形成される。そのため、成形時に、ピンによって押さえつけられる部分のベースの下面の凹部内に樹脂を入り込ませることができ、それにより、ベースと樹脂との結合を強固にすることができる。つまり、ベースに対する樹脂の食い付きを向上させることができる。
請求項6に記載の半導体装置の製造方法では、半導体チップが半田付けされる部分よりもピンによって下方に押さえつけられる舌状部分の上面が高くなるように、ベースの一部を構成する舌状部分が変形せしめられる。そのため、半導体チップの半田付け時に、ピンによって押さえつけられる舌状部分の上面に半田が流れ込んでしまうのを回避することができる。つまり、ピンの下面と舌状部分の上面との間に半田が介在せしめられた状態で舌状部分の上面がピンによって下方に押さえつけられてしまうのを回避することができる。それにより、ベースに歪が生じ、その歪が半導体チップに伝わってしまうのを回避することができる。また、成形後に樹脂からピンが抜かれた後に残る穴を介して半田と樹脂との境界層が外気に露出せしめられてしまうのを回避することができる。
また、請求項6に記載の半導体装置の製造方法では、舌状部分が絞り加工により凸状に変形せしめられ、それにより、半導体チップが半田付けされる部分よりも舌状部分の上面が高くされる。そのため、ピンによって押さえつけられる部分の面積を十分に確保しつつ、舌状部分が曲げ加工によって変形せしめられる場合よりも、舌状部分を小さく設計することができる。それにより、ベース全体の材料費を低く抑え、半導体装置全体を小型化することができる。舌状部分を形成したことにより、凸状に変形させる場合、形成された凸部の一方の裾が開放されている分、変形は容易になる。
請求項7に記載の半導体装置の製造方法では、半導体チップが半田付けされる部分と舌状部分との間のベースの上面に溝が形成される。そのため、溝が形成されない場合よりも、舌状部分まで半田が流れ込んでしまうおそれを低減することができる。すなわち、溝の凹部とピンを受ける部分の凸部により、一層の高低差ができ、半田は流れ込みにくくなる。
請求項8に記載の半導体装置の製造方法では、舌状部分の下面が凹状に変形せしめられる。そのため、成形時に、舌状部分の下面の凹部内に樹脂を入り込ませることができ、それにより、ベースと樹脂との結合を強固にすることができる。つまり、ベースに対する樹脂の食い付きを向上させることができる。
図1は本発明の半導体装置の製造方法において用いられる例えば銅製の板材の平面図である。図2は図1に示した板材の一部を拡大して示した図、図3は図2に示した板材の一部の裏面図である。
図1〜図3において、1は半導体装置のベースとなる部分を示している。2は半導体装置のリードとなる部分を示している。3はベース1のうち、半導体チップが半田付けされる部分を示している。4はベース1のうち、半導体チップが半田付けされる部分3から突出している舌状部分を示している。5はベース1のうち、半導体チップが半田付けされる部分3の周囲に形成された溝を示している。6はプレス用金型および成形用金型に対して板材を固定するためのパイロット穴を示している。
本発明の半導体装置の製造方法の第1の実施形態では、図1および図2に示すように、半導体チップが半田付けされる部分3から舌状部分4が突出しているようにベース1の外形が形成される。つまり、舌状部分4がベース1の端部(外縁部)に配置されている。更に、図1および図2に示すように、半導体チップが半田付けされる部分3から溢れ出た半田を溜めるための溝5が予め形成されている。
次いで、第1の実施形態では、図1〜図3に示した舌状部分4が絞り加工によって凸状に変形せしめられる。
図4および図5は図1に示した舌状部分4が凸状に変形せしめられた状態を示した図である。詳細には、図4は図1に示したベース1の斜視図、図5は図1に示したベース1の右側面図である。図5において、7は舌状部分4の下面に形成された凹部を示している。
図4および図5に示すように、第1の実施形態では、上述したように、舌状部分4が絞り加工によって凸状に変形せしめられ、その結果、半導体チップが半田付けされる部分3よりも舌状部分4の上面が高い位置に位置せしめられる。
次いで、第1の実施形態では、ベース1上に半導体チップが半田付けされる。
第1の実施形態では、図1に示すように、1つのベース1上に2個の半導体チップが半田付けされるが、他の実施形態では、任意の数の半導体チップを1つのベース1上に半田付けすることも可能である。
次いで、第1の実施形態では、半導体チップの上面とリード2の上面とを架橋するように内部リードが配置される。次いで、板材のパイロット穴6が成形用金型に固定され、ベース1の一部、リード2の一部、半導体チップ、および、内部リードが、成形用金型のキャビティ内に配置される。
図6および図7は図1に示した板材が成形用金型にセットされた状態を説明するための図である。詳細には、図6は成形用金型にセットされた板材を示した図1と同様の平面図、図7は成形用金型にセットされた板材のうち、ベース1、リード2などを拡大して示した断面図である。
図6および図7において、8はベース1上に半田付けされる半導体チップを示している。9は半導体チップ8の上面とリード2の上面とを架橋するための内部リードを示している。10は成形用金型のキャビティを示している。11はキャビティ10内に樹脂を供給するためのゲートを示している。12は成形用金型の一部を構成する上金型を示している。13は板材が成形用金型にセットされた時に舌状部分4の上面を下方に押さえつけるために上金型12に設けられたピンを示している。14は成形用金型の一部を構成する下金型を示している。17はベース1に対して半導体チップ8を固定するための半田を示している。
図6および図7に示すように、第1の実施形態では、上述したように、ベース1上に半導体チップ8が半田付けされ、次いで、半導体チップ8およびリード2上に内部リード9が配置される。その結果、ベース1が、半田17、半導体チップ8、および内部リード9を介してリード2に電気的に接続せしめられる。
次いで、第1の実施形態では、図7に示すように、ピン13によって舌状部分4の上面が下方に押さえつけられた状態で、上述したように、ベース1の一部、リード2の一部、半導体チップ8、および、内部リード9が、成形用金型のキャビティ10内にセットされ、樹脂がキャビティ10内に射出される。
第1の実施形態では、ピン13が上金型12に対して不動に構成されているが、他の実施形態では、上金型に対してピンを可動式に構成することも可能である。
図8および図9は図7に示したベース1の一部、リード2の一部、半導体チップ8、および、内部リード9が樹脂によって封止された状態を示した図である。詳細には、図8は半導体チップなどが樹脂によって封止された状態を示した図2と同様の平面図、図9は半導体チップなどが樹脂によって封止された状態を示した図3と同様の裏面図である。図8および図9において、15はベース1の一部、リード2の一部、半導体チップ8、および、内部リード9を封止している樹脂を示している。16は成形後に樹脂15からピン13が抜かれた後に残る穴を示している。
第1の実施形態では、上述したように、樹脂がキャビティ10内に射出され、その結果、図8および図9に示すように、ベース1の一部、リード2の一部、半導体チップ8(図示せず)、および、内部リード9(図示せず)が樹脂15によって封止される。それにより、内部リード9が、半導体チップ8およびリード2に対して電気的に接続された状態を維持して、樹脂15によって固定される。
更に、第1の実施形態では、図9に示すように、舌状部分4の下面に形成された凹部7内にのみ、成形時に樹脂15が回り込み、半導体チップ8が半田付けされた部分のベース1の下面には、成形時に樹脂15が回り込まない。
また、第1の実施形態では、図7および図8に示すように、成形後に樹脂15からピン13が抜かれた後に残る穴16の底面には、舌状部分4の上面が露出せしめられる。また、穴16の壁面には、キャビティ10内に充填された樹脂15が露出せしめられる。すなわち、穴16の底面と壁面との境界部では、舌状部分4の上面と樹脂15との境界層が外気に露出せしめられることになる。舌状部分4の上面と樹脂15との接着力は強いため、舌状部分4の上面と樹脂15との境界層が穴16を介して外気に露出せしめられても、外気中の水蒸気がその露出せしめられた境界層を介して半導体装置の内部に侵入してしまうことはなく、その結果、水蒸気の侵入に伴う半導体装置の信頼性の低下もない。
次いで、第1の実施形態では、樹脂15によって封止されたベース1およびリード2が、板材のフレーム部分から分離され、半導体装置が製造されることになる。
すなわち、第1の実施形態では、図4、図5および図7を参照して説明したように、半導体チップ8が半田付けされる部分3よりもピン13によって下方に押さえつけられる舌状部分4の上面が高くなるように、ベース1の一部を構成する舌状部分4が変形せしめられる。換言すれば、変形せしめられた舌状部分4の側面が、半田17の流れを堰き止めるダムの役割を果たすようになる。そのため、半導体チップ8の半田付け時に、ピン13によって押さえつけられる舌状部分4の上面に半田17が流れ込んでしまうのを回避することができる。つまり、ピン13の下面と舌状部分4の上面との間に半田17が介在せしめられた状態で舌状部分4の上面がピン13によって下方に押さえつけられてしまうのを回避することができる。それにより、ベース1に歪が生じ、その歪が半導体チップ8に伝わってしまうのを回避することができる。また、成形後に樹脂15からピン13が抜かれた後に残る穴16(図8参照)を介して半田17と樹脂15との境界層が外気に露出せしめられてしまうのを回避することができる。
また、第1の実施形態では、図4および図5を参照して説明したように、舌状部分4が絞り加工により凸状に変形せしめられ、それにより、半導体チップ8が半田付けされる部分3よりも舌状部分4の上面が高くされる。そのため、ピン13によって押さえつけられる舌状部分4の面積を十分に確保しつつ、舌状部分4が曲げ加工によって変形せしめられる場合よりも、舌状部分4を小さく設計することができる。それにより、ベース全体の材料費を低く抑え、半導体装置全体を小型化することができる。
つまり、第1の実施形態では、半導体チップ8が半田付けされる部分3から突出している舌状部分4のみが凸状に変形せしめられるため、半導体チップ8が半田付けされる部分3に、舌状部分4を変形させるための応力がおよびづらくすることができ、また、舌状部分4を形成したことにより、凸状に変形させる場合に形成された凸部の一方の裾が開放されている分、変形が容易となり、応力自体も小さくできるので、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
更に、第1の実施形態では、図7〜図9を参照して説明したように、半導体チップ8が半田付けされた部分から突出している舌状部分4が、ピン13によって下方に押さえつけられ、その状態で半導体チップ8が樹脂15によって封止される。つまり、半田付けされた半導体チップ8に近接する舌状部分4がピン13によって下方に押さえつけられ、その状態で半導体チップ8が樹脂15によって封止される。そのため、半導体チップ8が半田付けされた部分のベース1の下面に成形時に樹脂15が回り込んでしまうのを抑制することができる。つまり、半導体チップ8が半田付けされた部分のベース1の下面に成形時に樹脂15が回り込むのに伴って、半導体装置の外観が損なわれたり、半導体チップ8が半田付けされた部分のベース1の下面からの放熱が損なわれたりするのを抑制することができる。
つまり、第1の実施形態では、半導体チップ8が半田付けされた部分から突出している舌状部分4が、ピン13によって下方に押さえつけられるため、ピン13によって押さえつけられる部分を半導体チップ8から離れた位置に配置することができない場合であっても、ピン13によって押さえつけられる部分の面積を十分に確保することができる。
また、第1の実施形態では、図1、図2および図7を参照して説明したように、半導体チップ8が半田付けされる部分3と舌状部分4との間のベース1の上面に溝5が予め形成される。つまり、半導体チップ8の下面から溢れ出た半田17を溜めるための溝5が形成される。そのため、そのような溝5が形成されない場合よりも、舌状部分4まで半田17が流れ込んでしまうおそれを低減することができる。すなわち、溝5の凹部とピン13を受ける舌状部分4の凸部により一層の高低差ができ、半田17は流れ込みにくくなる。
更に、第1の実施形態では、図5および図7を参照して説明したように、舌状部分4の下面が凹状に変形せしめられ、凹部7が形成される。そのため、図9に示したように、成形時に、舌状部分4の下面の凹部7内に樹脂15を入り込ませることができ、それにより、ベース1と樹脂15との結合を強固にすることができる。つまり、ベース1に対する樹脂15の食い付きを向上させることができる。
以下、本発明の半導体装置の製造方法の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、後述する点でのみ、上述した第1の実施形態の半導体装置の製造方法と異なる。従って、上述した第1の実施形態の半導体装置の製造方法とほぼ同様の効果を奏することができる。
図10は第2の実施形態の半導体装置の製造方法において用いられる板材の図2と同様の拡大図である。図10において、図2に示した参照番号と同一の参照番号は、図2に示した部品または部分と同一の部品または部分を示している。4’はピン13によって押さえつけられる部分を示している。
図2と図10とを比較してみるとわかるように、第1の実施形態では、半導体チップ8が半田付けされる部分3から突出せしめられた舌状部分4がピン13によって押さえつけられるが、第2の実施形態では、ピン13によって押さえつけられる部分4’が、そのように突出せしめられておらず、ベース1の端部(外縁部)上に配置されている。
本発明の半導体装置の製造方法において用いられる例えば銅製の板材の平面図である。 図1に示した板材の一部を拡大して示した図である。 図2に示した板材の一部の裏面図である。 図1に示したベース1の斜視図である。 図1に示したベース1の右側面図である。 成形用金型にセットされた板材を示した図1と同様の平面図である。 成形用金型にセットされた板材のうち、ベース1、リード2などを拡大して示した断面図である。 半導体チップなどが樹脂によって封止された状態を示した図2と同様の平面図である。 半導体チップなどが樹脂によって封止された状態を示した図3と同様の裏面図である。 第2の実施形態の半導体装置の製造方法において用いられる板材の図2と同様の拡大図である。
符号の説明
1 ベース
2 リード
3 半導体チップが半田付けされる部分
4 舌状部分
5 溝
6 パイロット穴
7 凹部
8 半導体チップ
9 内部リード
10 キャビティ
11 ゲート
12 上金型
13 ピン
14 下金型
15 樹脂
16 穴
17 半田

Claims (8)

  1. 半導体チップをベース上に半田付けし、前記半導体チップに近接する位置で前記ベースの上面をピンによって下方に押さえつけ、その状態で前記半導体チップを樹脂によって封止する半導体装置の製造方法において、前記ベースの上面のうち、前記半導体チップが半田付けされる部分よりも前記ピンによって押さえつけられる部分が高くなるように、前記ピンによって押さえつけられる部分を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記ピンによって押さえつけられる部分が前記ベースの端部を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記ベースの上面のうち、前記ピンによって押さえつけられる部分を絞り加工により凸状に形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記ピンによって押さえつけられる部分と前記半導体チップが半田付けされる部分との間の前記ベースの上面に溝を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記ピンによって押さえつけられる部分の前記ベースの下面を凹状に形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 半導体チップが半田付けされる部分から舌状部分が突出しているように板状のベースの外形を形成し、前記半導体チップが半田付けされる部分よりも前記舌状部分の上面が高くなるように前記舌状部分を絞り加工により凸状に変形させ、前記半導体チップを前記ベース上に半田付けし、前記舌状部分の上面をピンによって下方に押さえつけ、その状態で前記半導体チップを樹脂によって封止することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 前記半導体チップが半田付けされる部分と前記舌状部分との間の前記ベースの上面に溝を形成することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記舌状部分の下面を凹状に変形させることを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
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