JP2006156339A - 分散型エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

分散型エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】演色性(特に赤色の)に優れた白色発光の分散型EL素子を得る。
【解決手段】 透明電極と、背面電極と、それら両電極間に挟持された発光粒子層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子において、素子が発光した時のスペクトルを規格化した曲線I(λ)が、波長410nm以上650nm以下の区間において、 g(λ)≦I(λ)≦f(λ)を満たすようにする。
Figure 2006156339

【選択図】なし

Description

本発明は、エレクトロルミネッセンス蛍光体粉末を分散塗布した発光粒子層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」ともよぶ。)蛍光体は電圧励起型の蛍光体であり、蛍光体粉末を電極の間に挟んで発光素子とした分散型EL素子として用いられることが知られている。分散型EL素子の一般的な形状は、蛍光体粉末を高誘電率のバインダー中に分散したものを、少なくとも一方が透明な二枚の電極の間に挟み込んだ構造であり、両電極間に交流電場を印加することにより発光する。蛍光体粉末を用いて作成された発光素子であるEL素子は1mm以下の厚さとすることが可能であり、製造プロセスにおいて高温プロセスを用いないため、プラスチックを基板としたフレキシブルで軽量な素子の形成が可能であること、真空装置を使用することなく比較的簡便な工程で、低コストで製造が可能であること、面発光体であるなど数多くの利点を有するため、LCDなどのバックライト、表示素子へ応用が可能であり、道路標識、各種インテリアやエクステリア用の照明、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用の光源、大面積の広告用の照明光源等としての用途がある。
これまでに提案されてきた白色発光する分散型EL素子は、主として青緑と橙〜赤色周辺の2つの波長域に発光強度が集中した発光波形を有していた。例えば、特許文献1〜3など、多くの特許にある様に、ローダミン系の化合物を発光粒子層に入れ、白色発光ELとしていた。
特開昭60−25195号公報 特開昭60−170194号公報 特開平2−78188号公報
これらの白色発光する分散型EL素子は、上記のとおり、フレキシブルな面状発光光源として種々の利点を有するが、蛍光灯などの他の白色光源と比べて演色性が劣る点に大きな問題があった。透明陽画等の透過媒体をEL素子に載せて観察した場合、その色再現性は、蛍光灯等を平面光源とした従来の照明下に比べると大きく劣っていた。例えば、特許文献1〜3のELではローダミンの発光に由来する橙色発光が赤色発光として使われており、白色発光であっても、透明陽画等の透過媒体をのせた時には赤色を再現することは出来なかった。
そこで、本発明は、白色に発光し、かつ演色性(特に赤色の)に優れた分散型EL素子を得ることを課題とする。
本発明は、以下の手段で実現することができる。
(1) 透明電極と、背面電極と、それら両電極間に挟持された発光粒子層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子において、素子が発光した時のスペクトルを規格化した曲線I(λ)が、波長410nm以上650nm以下の区間において、
g(λ)≦I(λ)≦f(λ)
を満たすことを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。
上記式中、g(λ)、f(λ)は
Figure 2006156339
で表される曲線である。
(2) 透明電極と、背面電極と、それら両電極間に挟持された発光粒子層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子において、素子が発光した時のスペクトルを規格化した曲線I(λ)が、波長400nm以上700nm以下の区間において、
g(λ)≦I(λ)≦f(λ)
を満たすことを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。
上記式中、g(λ)、f(λ)は、
Figure 2006156339
で表される曲線である。
(3) 前記I(λ)において、極小値より長波側にある極大値が600nm以上にあることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(4) 前記I(λ)において、極小値より長波側にある極大値がI(λ)≦0.95であることを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(5) 透明電極と、背面電極と、それら両電極間に挟持された発光粒子層を有するエレクトロルミネッセンス素子において、それら両電極間に、発光粒子層、光散乱層、波長変換材料層および誘電体層をこの順で有することを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(6) 前記光散乱層の厚みが誘電体層より薄いことを特徴とする前記(5)に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(7) 前記光散乱層に使用する平均サイズが0.7μm以下であることを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(8) 前記波長変換材料層の厚みが3μm以上20μm以下であることを特徴とする前記(5)から(7)のいずれかに記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(9) 前記(5)から(8)のいずれかに記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
(10) 透明電極と、背面電極と、それら両電極間に挟持された発光粒子層を有するエレクトロルミネッセンス素子において、それら両電極間に、発光粒子層、誘電体層をこの順序でこの順序で有し、該誘電体層が、誘電体粒子および波長変換材料を含むことを特徴とする前記(1)または(2)記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
(11) 前記波長変換材料の含有割合が誘電体粒子に対して1質量%以上20質量%以下であり、前記誘電体層の厚みが1μm以上25μm以下であることを特徴とする前記(10)に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(12) 前記波長変換材料の発光極大波長が550nm以上650nm以下であることを特徴とする前記(10)に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(13) 前記波長変換材料の発光極大波長が550nm以上650nm以下であり、前記波長変換材料の含有割合が誘電体粒子に対して1質量%以上20質量%以下であり、前記誘電体層の厚みが1μm以上25μm以下であることを特徴とする前記(10)から(13)のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子。
(14) 前記波長変換材料が有機化合物をポリマー中に分散した材料であることを特徴とする前記(10)から(13)のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子。
本発明のEL素子は、従来型のEL素子より、特に赤色の演色性に優れている。また肌色の演色性についても本発明のEL素子では大きく改善される。
白色の発光光源としては、可視域のどの波長も均一な光の強度を発するものが理想であり、この場合、演色性も最も良好となる。しかしながら、分散型無機ELの場合、例えば、蛍光体粒子の電界発光(青緑色)とそこで発せられた光を吸収した波長変換材料による長波の発光(橙〜赤色)との2つの大きな発光バンドから白色を作るため、人間の視覚に対して青、緑、赤の色を最もよく認識できる波長の近傍にどれくらいの発光があるかどうかが問題となる。すなわち、450nm付近、530nm付近、610nm付近にどれだけの発光があるかが演色性に大きな影響を与え、さらには、この様な2つの大きな発光バンドからなるEL発光の場合、混色を避けるために、例えば緑と赤の色をはっきりと分離出来る波長分布を持つことが必要となる。つまり、緑と赤を例にとれば、緑と赤の視覚的感度の均衡点(578nm)付近の光が少なければ緑と赤の光をより区別して認識出来、より良好な演色性を確保できる。また、白色発光との両立を考えた時には、青、緑、赤の光がバランスよく発光されていることが重要になる。
これらのことを考えると、演色性や白色度の観点からはどの様な形状のELスペクトルを作るかが非常に重要であり、望ましい演色性や白色度を得ようとすれば、スペクトルはある範囲に含まれる形状であることになる。
発光スペクトルは一般にローレンツ型やガウス型、あるいはこれらの線形結合型、フォークト型の分布関数で近似できることが知られている。本発明において、いくつもの分散型ELのEL発光スペクトルを調べたところ、それらのスペクトルはいずれもガウス型分布関数の線形結合で表すことが可能であることがわかった。ガウス型の分布関数SG(λ)は以下の式で表される。
Figure 2006156339
式中、λは測定波長、Aはピークの高さ(強度)、uはピーク波長、wは半値幅の1/2の値を表す。
分散型EL素子のEL発光スペクトルI(λ)はいくつかの異なるA、u、wを持ったSG(λ)の足し合わせで表すことが出来、このSG(λ)の線形結合がI(λ)となる。本発明においては、実際に測定されたEL発光スペクトルの強度の値をその中の最大値で除した、“規格化された”スペクトルをI(λ)で表す。
前述の様に、分散型ELは多くの場合、蛍光体粒子の電界発光と、そこで発せられた光を吸収した波長変換材料による長波発光の2種類の発光からなる。これらの発光は青緑の光と赤色の光を与える。青緑の発光について、最も好ましくは人間の青の視感度と緑の視感度を均等に刺激する発光バンドを持つことが理想的であり、即ち、490nmにピークを持ち、単一のガウス分布で表される(490nmを中心に左右均等なエネルギー分布を持つ)発光バンドであることが理想となる。赤発光についても、610nm付近にピークを持つことが理想であるが、発光バンドの形状については、人間の赤の視感度と赤色と表現される色(650nm付近の光)に差異があるため、単一のガウス分布で表される発光バンドよりも長波の発光成分を含み、長波側に裾を長く引く形状の方がよい。即ち、赤色発光は610nmよりやや短波にピークを持つガウス分布とそれより長波にピークを持ち半値幅の大きなガウス分布の足し合わせの関数として表されることが好ましい。一方、青緑の発光バンドが狭くなった場合や赤色の発光が弱くなった場合には、緑の光が弱くなり、緑の演色性が悪化する。この場合は緑の光を補うために、緑発光の波長領域にさらにもう一つのガウス分布で表される発光中心を加える必要がある。
この考え方に白色発光を満たすという観点を加えると、青緑色と赤色の発光バンド、あ
るいは青緑色と緑色と赤色の発光バンドの強度比をある範囲に決めることが出来、多くの実験結果と併せて、好ましい演色性と白色度を満たすスペクトルの上限と下限の関数を求めると、スペクトルの上限の関数f(λ)は、
Figure 2006156339
で表され、下限の関数g(λ)は、
Figure 2006156339
で表されることがわかった。従って、実際に測定されるスペクトルを規格化することで得られるI(λ)は、スペクトルとして有効な400nmから700nmの範囲で
g(λ)≦I(λ)≦f(λ)
を満たすことを特徴とする。この発明を、本明細書において第一発明と言う。
以上のように、第一発明では、I(λ)は、400nm以上700nm以下の区間で常にI(λ)がg(λ)以上f(λ)以下である。一方、実際にはスペクトルの末端など、演色性や白色度にほとんど影響のない波長範囲ではg(λ)≦I(λ)≦f(λ)が成り立たなくても良い場合がある。例えば青色側の裾がEL素子の外側を覆う封止フィルムの吸収によって切られた形状であっても演色性に大きな影響を与えない場合がある。つまり、g(λ)≦I(λ)≦f(λ)は400nm以上700nm以下の範囲で成り立っていることが好ましいが、最低限410nm以上650nm以下の範囲で成り立っていればよい。この後者の発明を、本明細書において第二発明と言う。
赤色の演色性を良好に保つためには、上記を満たすことが好ましい。さらに好ましくは、I(λ)において、極小値より長波側にある極大値が600nm以上にあることであり、これは人間の赤色の視感度にEL素子の赤色の発光波長が近づくことに由来する。
他方、良好な白色を保つ観点からは、青緑の発色と赤色の発色のバランスが取れていることが重要であり、I(λ)において、極小値より長波側にある極大値がI(λ)≦0.95であることが好ましい。
I(λ)で表されるスペクトルで得られるEL素子発光時の色温度は3500K以上、8500K以下であることが好ましいが、より好ましくは5000K以上、8000K以下である。この時、色度座標上で好ましいx,yの値はそれぞれが0.25から0.45の範囲にあることであるが、より好ましくはそれらが共に0.28から0.40の範囲に含まれることである。
分散型ELは、発光色の異なる複数の蛍光体粒子を混合することや、複数の波長変換材料を使うこと等でスペクトル形状の調節が容易であるという特長を有している。
本発明に好ましく用いられる蛍光体粒子は、母体材料と付活剤と必要に応じて共付活剤とを混合して焼成など種々の調製法により調製してなる粒子が用いられる。
この際用いられる母体材料としては、具体的には第II族元素とVI族元素とから成る群から選ばれる元素の一つあるいは複数と、第III族元素と第V族元素とから成る群から選ばれる一つあるいは複数の元素とから成る半導体の微粒子であり、必要な発光波長領域により任意に選択される。例えば、CdS,CdSe,CdTe,ZnS,ZnSe,ZnTe,CaS,MgS,SrS,GaP,GaAs,及びそれらの混晶などが挙げられるが、ZnS,CdS,CaSなどを好ましく用いることができる。さらに、粒子の母体材料としては、BaAl24、CaGa24、Ga23、Zn2SiO4、Zn2GaO4、ZnGa24,ZnGeO3,ZnGeO4,ZnAl24,CaGa24,CaGeO3,Ca2Ge27,CaO,Ga23,GeO2,SrAl24,SrGa24,SrP27,MgGa24,Mg2GeO4,MgGeO3,BaAl24,Ga2Ge27,BeGa2
4,Y2SiO5,Y2GeO5,Y2Ge27,Y4GeO8,Y23、Y22S,SnO2及びそれらの混晶などを好ましく用いることができる。
また、付活剤としては、MnやCuなどの金属イオン及び、希土類元素などを好ましく用いることができる。
また、必要に応じて添加される共付活剤としては、Cl,Br,Iなどのハロゲン元素やAlなどを好ましく用いることができる。
さらに、本発明では、以下の蛍光体粒子を用いることがより好ましい。
(a)平均粒子サイズ(球相当直径)が、0.1μm以上20μm以下の範囲で粒子サイズの変動係数が40%未満の範囲である蛍光体粒子。
(b)平均粒子サイズが、0.1μm以上20μm以下の範囲で、粒子内部に多重双晶構造を1粒子中に5nm以下の間隔で10層以上持つことを特徴とする蛍光体粒子。
(c)0.01μm以上の厚みを有する非発光シェル層で被覆されていることを特徴とする前記(a)または(b)のいずれか一項に記載の蛍光体粒子。
(d)付活剤が銅、マンガン、銀、金及び希土類元素から選択された少なくとも一種のイオンである前記(a)〜(c)のいずれか一項に記載の蛍光体粒子。
(e)共付活剤が塩素、臭素、ヨウ素、及びアルミニウムから選択された少なくとも一種のイオンである前記(a)〜(d)のいずれか一項に記載の蛍光体粒子。
(f)付活剤が銅イオンであり、共付活剤が塩素イオンである前記(a)〜(e)のいずれか一項に記載の蛍光体粒子。
本発明に利用可能な蛍光体粒子は、当業界で広く用いられる焼成法(固相法)で形成することができる。例えば、硫化亜鉛の場合、液相法で結晶子サイズ10nm以上50nm以下の範囲の微粒子粉末(通常生粉と呼ぶ)を作成し、これを一次粒子として用い、これに付活剤と呼ばれる不純物を混入させて融剤とともに坩堝にて900℃以上1300℃以下の範囲の高温で30分以上10時間以下の範囲、第1の焼成を行い粒子を得る。第1の焼成によって得られる中間体蛍光体粉末をイオン交換水で繰り返し洗浄してアルカリ金属ないしアルカリ土類金属及び過剰の付活剤、共付活剤を除去する。次いで、得られた中間体蛍光体粉末に第2の焼成を施す。第2の焼成は、第1の焼成より低温の500℃以上800℃以下の範囲で、また短時間の30分以上3時間以下の範囲の加熱(アニーリング)をする。これら焼成により蛍光体粒子内には多くの積層欠陥が発生するが、微粒子でかつより多くの積層欠陥が蛍光体粒子内に含まれるように、第1の焼成と第2の焼成の条件を適宜選択することが好ましい。また、上記中間体蛍光体粉末に、ある範囲の大きさの衝撃力を加えることにより、粒子を破壊することなく、積層欠陥の密度を大幅に増加させることができる。衝撃力を加える方法としては、中間体蛍光体粉末の粒子同士を接触混合させる方法、アルミナ等の球体を混ぜて混合させる(ボールミル)方法、粒子を加速させ衝突させる方法、超音波を照射する方法などを好ましく用いることができる。その後、HCl等の酸でエッチングして表面に付着している金属酸化物を除去し、さらに表面に付着した硫化銅を、KCNで洗浄して除去、乾燥して蛍光体粒子を得る。
また、本発明に利用可能な蛍光体粒子の形成方法として、水熱合成法、尿素溶融法、噴霧熱分解法を用いて形成することも好ましく、さらに、レーザー・アブレーション法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングや抵抗加熱、電子ビーム法、流動油面蒸着を組み合わせた方法などの気相法と、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法などを用いて形成することもできる。
発光粒子層は、EL蛍光体粒子含有塗布液を塗布して形成することができる。該EL蛍光体粒子含有塗布液は、少なくともEL蛍光体粒子、結合剤、および結合剤を溶解する溶剤を含有してなる塗布液である。結合剤としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹
脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることが好ましい。これらの結合剤に、BaTiO3やSrTiO3などの高誘電率の微粒子を、結合剤100質量部に対して5〜50質量部混合して誘電率を調整することもできる。分散方法としては、ホモジナイザー,遊星型混練機,ロール混練機、超音波分散機などを用いることができる。溶剤としては極性の高い溶剤であれば限定無く用いることが出来、アルコール、ケトン、エステル、多価アルコールおよびその誘導体、可塑剤などを好ましく用いることが出来る。
常温におけるEL蛍光体粒子含有塗布液の粘度は、0.1Pa・s以上10.0Pa・s以下の範囲が好ましく、0.3Pa・s以上8.0Pa・s以下の範囲がより好ましく、1.0Pa・s以上6.0Pa・s以下の範囲が特に好ましい。EL蛍光体粒子含有塗布液の粘度が、上述の範囲内にあれば、塗膜の膜厚ムラが生じにくく、また分散後の時間経過とともに蛍光体粒子が分離沈降せず、比較的高速での塗布も可能であり、好ましい。なお、前記粘度は、塗布温度と同じ20℃において測定される値である。
発光粒子層は、スライドコーター又はエクストルージョンコーターなどを用いて、透明電極を付設したプラスチック支持体等の上に、塗膜の乾燥膜厚が0.5μm以上60μm以下の範囲になるように連続的に塗布することが好ましい。このとき、発光粒子層の膜厚変動は、12.5%以下が好ましく、特に5%以下が好ましい。
発光粒子層中の蛍光体粒子の充填率に制限しないが、好ましくは60質量%以上95質量%以下の範囲で、より好ましくは75質量%以上85質量%以下の範囲である。本発明の一実施態様において蛍光体粒子の粒子サイズを20μm以下にすることで、発光粒子層の塗膜の膜厚の均一性が向上し、塗膜表面の平滑性も同時に向上する。さらに、単位面積当たりの粒子数が大幅に増加することで、微細な発光ムラが著しく改善できる。さらに、粒子サイズの減少は、蛍光体粒子の印加電圧の増加につながり、発光粒子層の薄層化による発光粒子層への電界強度の増加と併せて、EL素子の輝度向上にとって好ましく、雑音の原因となる振動の抑制にも好ましい。
本発明に好ましく用いられる波長変換材料としては、蛍光顔料または蛍光染料が挙げられる。これらの発光中心をなす化合物としては、ローダミン、ラクトン、キサンテン、キノリン、ベンゾチアゾール、トリエチルインドリン、ペリレン、トリフェンニン、ジシアノメチレンを骨格として持つ化合物が好ましく、他にもシアニン系色素、アゾ染料、ポリフェニレンビニレン系ポリマー、ジシランオリゴチエニレン系ポリマー、ルテニウム錯体、ユーロピウム錯体、エルビウム錯体を用いることも好ましい。これらの化合物は単独で用いても複数種類を用いてもよい。また、これらの化合物はさらにポリマー等に分散した後に波長変換材料として使用してもよい。これらの化合物の中でも、550nmから650nmの範囲に発光スペクトルの極大値をもつものが好ましく、より好ましくは600nmから650nmの範囲に発光極大を持つものであり、特に好ましくは610nmから630nmの範囲に発光極大を持つものである。
本発明のEL素子は、これらの波長変換材料を含有する層を有することが好ましい。これらの波長変換材料は、発光粒子層および/または誘電体層に含有されることができ、誘電体層に含有されることが好ましい。また、本発明のEL素子は、誘電体層を複数有して、2つの誘電体層に挟まれる位置に波長変換材料を含有する波長変換材料含有層を有することもできる。さらに、透明電極と背面電極の間にこれらの波長変換材料含有層を有さず、透明電極と背面電極の外側に波長変換フィルム層として有することも好ましい。波長変換材料含有層は発光粒子層の周辺に有しても、発光粒子層と透明電極の間に有しても、さらには発光粒子層と誘電体層の間に有してもよく、いずれの位置に設置することも可能である。
波長変換材料は、前述のとおり、誘電体層に含有されること、または2つの誘電体層に挟まれる位置に波長変換材料層を設置することが好ましい。
波長変換材料は、発光粒子層に含有される蛍光体粒子が発した光を吸収し、蛍光体粒子が発した光より長波の光を発する材料であるため、これらの位置に有されることが好ましい。即ち、材料が波長変換を行う際に、波長変換材料の発光バンドと該材料の吸収バンドの間で、波長の上で重なり合いがあれば、自ら発した光を自らが吸収することになり、見かけ上、発光バンドの短波側の形状が変化し、発光していない様に観測されることになる。この現象を利用して、波長変換材料を変えずとも、材料への光の与え方を変え、材料の光吸収の大きさを変えることによって、見かけ上の発光極大の位置を変えて、EL素子内での波長変換材料の発光極大波長(赤色の発光極大波長)を所望の波長に調整できる。
本発明においてより好ましくは、透明電極と背面電極の間に発光粒子層、光散乱層、波長変換材料層、誘電体層をこの順に有するEL素子とすることである。さらに好ましくは、透明電極と背面電極の間に、透明電極側から発光粒子層、光散乱層、波長変換材料層、誘電体層の順に有するEL素子とすることである。光散乱層は、誘電体層と同様の材料から形成することができ、発光粒子層の下に薄い誘電体層として設けることが好ましい。
上記の素子構成にすると、波長変換材料層より発光粒子層側に位置する光散乱層による光散乱機能と、波長変換材料層の下側(すなわち背面電極側であり、波長変換材料層をはさんで光散乱層とは反対側)に位置する誘電体層による光反射機能とにより、波長変換材料層周囲の光散乱の状態を制御できる。すなわち、光散乱層と誘電体層の間で、発光粒子層から入射した光を多重反射/多重散乱させ、この光を波長変換材料層中の顔料等の波長変換材料に吸収させることで、該材料の自己吸収を増加させ、その増加の程度を制御し、赤色の発光極大波長を所望の波長に調整することによって、発光波長の制御を可能とすることができる。さらには、光散乱層と誘電体層の間で、発光粒子層から入射した光を多重反射/多重散乱させ、その光で波長変換材料層中の顔料等を発光させることにより、発光粒子層から発せられる光が顔料等の吸収により減少するのを最小限に留めることが出来、従来の技術よりEL素子を高輝度とすることを可能とすることができる。
光散乱層の厚みは、誘電体層の厚みより薄いことが好ましい。光散乱層の厚みは、好ましくは1μm以上10μm以下である。
光散乱層には可視光の反射率が高く、白色の反射が得られる粒子を含むことが好ましい。このような材料は、硫酸塩、金属酸化物、窒化物から選択され、例えばMgSO4、BaSO4、TiO2,BaTiO3,SrTiO3,PbTiO3,KNbO3,PbNbO3,Ta23,BaTa26,LiTaO3,Y23,Al23,ZrO2,AlON,ZnSなどが挙げられる。これらの中でも光散乱層に使用される粒子は、誘電体であることが好ましい。
光散乱層に用いられる誘電体粒子としては、後記する誘電体層に用いられる誘電体粒子が挙げられる。光散乱層が誘電体である場合には、光散乱層は、誘電体層と同様に形成することができる。
光散乱層に用いられる粒子の平均サイズは、平均粒子径で、好ましくは0.7μm以下、より好ましくは0.01μm以上0.5μm以下、最も好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。光散乱層の厚みを薄くする観点から、異なる粒子サイズの誘電体粒子を混合して用いることも好ましく、例えば、平均粒子サイズが平均粒子径で、0.1μm以上0.5μm以下の粒子(大サイズ粒子とも称する。)を用いた時には、平均粒子サイズが平均粒子径で、0.01μm以上0.1μm未満の粒子(小サイズ粒子とも称する。)を混合することが好ましい。平均粒子径はHORIBA LA−920で測定し、測定試料の光透過率が94.5%から95.4%の時に測定した値を指す。
光散乱層の厚みを上記の範囲とすることで、また光散乱層に用いられる誘電体粒子の平均サイズを上記の範囲とすることで、発光粒子層から入射光を受けた波長変換材料層中の顔料等から発せられた光は光散乱層を通り抜け、EL素子外へ好適に放射される。
波長変換材料層の厚みは、3μm以上20μm以下であることが好ましい。より好ましくは3μm以上15μm以下である。波長変換材料層における該材料の濃度は可能な限り高いことが好ましい。即ち、波長変換材料層は、実質的に波長変換材料のみからなることが特に好ましい。「実質的に」とは、波長変換材料層における波長変換材料の濃度が50質量%から100質量%であることを言う。波長変換材料層の厚みを上記の範囲とすることで、また濃度を高くすることで、波長変換材料の自己吸収を増加することができ、好ましい態様となる。波長変換材料層の形成工程において、バインダーを用いずに該材料層を形成することが好ましい。波長変換材料は塗布液に含有され塗布されることが好ましい。塗布液に含有される波長変換材料の分散溶媒としては、波長変換材料に顔料を使用する場合には、使用する顔料が溶解しない、あるいは、溶媒が顔料内に浸透して顔料内の蛍光物質が溶出しない溶媒を用いることが好ましい。顔料にもよるが、具体的には、ヘキサン、トルエン等の炭化水素、シクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール等の主鎖の炭素数が3以上のアルコール、グリセリン、エチレングリコール等の多価アルコール、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、アジピン酸ジオクチル、セバチン酸ジオクチル等の可塑剤から選ばれる溶媒を用いることが好ましい。波長変換材料層にバインダーを使用する場合には、前述の発光粒子層や後記する誘電体層を形成する際に用いる結合剤を好ましく用いることが出来る。
本発明においては、波長変換材料を誘電体層に含有させることも好ましい。より好ましくは、透明電極と背面電極の間に発光粒子層、波長変換材料を含有する誘電体層をこの順に有するEL素子とすることである。さらに好ましくは、透明電極と背面電極の間に、透明電極側から発光粒子層、波長変換材料を含有する誘電体層の順に有するEL素子とすることである。これは前述の光散乱層を設けた場合と同様、光散乱の多い部分に波長変換材料を置き、多重反射/多重散乱の効果によって、波長変換材料の見かけの発光極大波長を長波化することを意図するものである。
波長変換材料と誘電体粒子を混合する場合、誘電体粒子としては、誘電率が高く、且つ、高い反射率を有する誘電体材料であれば任意のものを用いて形成することが出来る。このような材料は、金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO2,BaTiO3,SrTiO3,PbTiO3,KNbO3,PbNbO3,Ta23,BaTa26,LiTaO3,Y23,Al23,ZrO2,AlON,ZnSなどを好ましく使用することが出来る。
波長変換材料と誘電体粒子を混合する場合には、波長変換材料と誘電体粒子を結合剤に分散することが好ましい。結合剤としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂が好ましい。誘電体材料の分散方法としては、ホモジナイザー,遊星型混練機,ロール混練機、超音波分散機などを用いて分散することが好ましい。
波長変換材料と誘電体粒子を混合した時には、波長変換材料層を兼ねる誘電体層は1μmから25μmであることが好ましく、より好ましくは5μmから20μmの範囲である。波長変換材料に誘電体粒子を混合した時に好ましい波長変換材料の濃度は、誘電体粒子に対して1質量%から20質量%であり、より好ましくは2質量%から10質量%である。
EL素子に含有される全ての誘電体層を波長変換材料層と兼ねる態様も好ましい。より好ましくは、EL素子に含有される誘電体層を2層にし、一方の層を波長変換材料を含む誘電体層、もう一方の層を波長変換材料を含まない誘電体層にする態様である。後者の態
様においては、どちらの層を背面電極側に置いてもよく、好ましくは波長変換材料を含む誘電体層を発光粒子層側に、波長変換材料を含まない誘電体層を背面電極側にそれぞれ設置することである。
さらに、前述の様に自己吸収によって波長変換材料の見かけの発光極大波長を長波化する場合、波長変換材料を含む層の層厚みを可能な限り薄くし、その層中の波長変換材料の濃度を濃くすることも好ましい手段の一つとなる。
その好ましい具体例としては、透明電極と背面電極の間に波長変換材料を添加せず、透明電極と背面電極の外側に波長変換フィルム層として使用する態様が挙げられ、波長変換フィルム層の厚みを0.5μm以上20μm以下とし、波長変換材料の該層中の濃度を30質量%から100質量%にすることが好ましく、より好ましくは、層厚が3μm以上15μm以下、材料濃度が40質量%以上100質量%以下である。この層はバインダーを用いて形成することができる。バインダーとしては、光透過度が高い任意のバインダーを用いることが出来る。本発明における、発光粒子層や誘電体層で用いる結合剤を用いることも好ましい。誘電率の高いポリマーを用いる必要はなく、オレフィン系の樹脂やアクリル系の樹脂などを用いることもまた好ましい。
また、別の態様としては、赤色の発光材料として、波長変換材料ばかりではなく、赤色に発光する蛍光体粒子を用いることも出来る。赤色に発光する蛍光体としては、硫化カルシウムあるいは硫化ストロンチウム、あるいはそれらの混晶を母体としユーロピウム等を付活した蛍光体を好ましく用いる。これらの赤色発光材料は青緑に発光する発光粒子層に含有させることも、発光粒子層と透明電極の間に置くことも、発光粒子層と誘電体層の間に置くことも好ましい。発光粒子層とは別の層として形成する場合、発光粒子層と同様に形成することができる。
誘電体層は、誘電体粒子を含有して形成されることが好ましい。
本発明において、誘電体層および光散乱層に好適に用いられる誘電体粒子は、誘電率と絶縁性とが高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する誘電体材料であり、高い反射率を有する誘電体材料であれば任意のものを用いて形成することが出来る。このような材料は、金属酸化物、窒化物から選択され、例えばTiO2,BaTiO3,SrTiO3,PbTiO3,KNbO3,PbNbO3,Ta23,BaTa26,LiTaO3,Y23,Al23,ZrO2,AlON,ZnSなどが挙げられる。これら誘電体層に用いられる粒子の平均サイズは、平均粒子径で、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは0.01μm以上1.0μm以下、最も好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。これらの誘電体材料は結合剤に分散することが好ましい。結合剤としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂が好ましい。誘電体材料の分散方法としては、ホモジナイザー,遊星型混練機,ロール混練機、超音波分散機などを用いて分散することが好ましい。
誘電体層は、均一な膜として設置することも、あるいは粒子構造を有する膜とすることも好ましい。またそれらの組み合わせであっても良い。「膜が均一である」とは、誘電体層そのものがアモルファス、あるいは結晶構造を持った層であることを意味し、均一な膜としては、例えば、薄膜結晶層が挙げられる。誘電体層を均一な膜として設ける方法としては、スパッター、真空蒸着等の気相法が好ましく挙げられる。均一な膜の場合、誘電体層の厚みは0.1μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。
本発明のEL素子は、誘電体層を1層有することも、複数有することもできる。誘電体層は、発光粒子層の片側に設けてもよく、また発光粒子層の両側に設けてもよい。発光粒子層の両側に設ける場合、透明電極側の誘電体層は粒子構造を有する膜としても、高誘電
率バインダーのみからなる誘電体層として設置してもよい。誘電体層を塗布で形成する場合は、発光粒子層と同様に、スライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いることが好ましい。薄膜結晶層の場合は、基板にスパッタリング等の気相法で形成した薄膜であっても、BaやSrなどのアルコキサイドを用いたゾルゲル膜であっても良い。
誘電体層は、好ましくは誘電体粒子含有塗布液を塗布して形成することができる。該誘電体粒子含有塗布液は、少なくとも誘電体粒子、結合剤、および結合剤を溶解する溶剤を含有してなる塗布液である。ここで、結合剤および溶剤は、発光粒子層に用いられるものと同様のものが挙げられる。
常温における誘電体粒子含有塗布液の粘度は、0.01Pa・s以上10Pa・s以下の範囲が好ましく、0.08Pa・s以上8.0Pa・s以下の範囲がより好ましい。特に好ましくは1.0Pa・s以上6.0Pa・s以下の範囲である。誘電体粒子含有塗布液の粘度が、上述の範囲内にあれば、塗膜の膜厚ムラが生じにくく、また分散後の時間経過とともに誘電体粒子が分離沈降せず、比較的高速での塗布も可能であり、好ましい。なお、前記粘度は、塗布温度と同じ20℃において測定される値である。
本発明のEL素子において用いられる透明電極としては、一般的に用いられる任意の透明電極材料を用いて形成された電極が用いられる。透明電極材料としては、例えば錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどのπ共役系高分子などが挙げられる。透明電極にはこれに櫛型あるいはグリッド型等の金属細線を配置して通電性を改善することも好ましい。
透明電極の比抵抗率は、0.01Ω/□以上30Ω/□以下の範囲が好ましい。
背面電極は、光を取り出さない側であり、導電性の有る任意の材料が使用できる。例えば、金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなどの中から、作成する素子の形態、作成工程の温度等により適時選択することができる。導電性さえあればITO等の透明電極を用いても良い。
また、透明電極、背面電極の両電極とも、導電性の前記微粒子材料を結合剤とともに分散した導電材料含有塗布液を作製して、スライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いて塗布することもできる。
その他、本発明の素子構成において、各種保護層などを必要に応じて付与することができる。
本発明のEL素子は、支持体上に透明電極を配置するのが好ましい。この際用いることができる支持体としては、柔軟であり、透明度の高いものであれば限定無く用いることができる。好適には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、PAr(ポリアリレート)、PC(ポリカーボネート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などのプラスチックフィルムである。
支持体上に塗布された各機能層は、少なくとも塗布から乾燥工程までを連続工程として形成することが好ましい。乾燥工程は、塗膜が乾燥固化するまでの恒率乾燥工程と、塗膜の残留溶媒を減少させる減率乾燥工程に分けられる。本発明では、各機能層の結合剤比率が高いため、急速乾燥させると表面だけが乾燥し塗膜内で対流が発生し、いわゆるベナードセルが生じやすくなり、また急激な溶媒の膨張によりブリスター故障を発生しやすくなり、塗膜の均一性を著しく損う。逆に、最終の乾燥温度が低いと、溶媒が各機能層内に残留してしまい、防湿フィルムのラミネート工程等のEL素子化の後工程に影響を与えてしまう。したがって、乾燥工程は、恒率乾燥工程を緩やかに実施し、溶媒が乾燥するのに十
分な温度で減率乾燥工程を実施することが好ましい。恒率乾燥工程を緩やかに実施する方法としては、支持体が走行する乾燥室をいくつかのゾーンに分けて、塗布工程終了後からの乾燥温度を段階的に上昇することが好ましい。
本発明のEL素子の製造においては、発光粒子層にカレンダー処理機を用いてカレンダー処理を施してもよい。カレンダー処理により形成された発光粒子層の両主面の平滑度は、0.5μm以下の範囲が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。使用するカレンダー処理機は特に限定されるものではなく、公知の装置の中から適宜選択することができる。少なくとも一方を例えば50℃〜200℃に加熱した一対のロールの間に、加圧しながら結合剤中に蛍光体粒子を分散させた発光粒子層を対象物として通すことで平滑化処理を施すものである。カレンダー処理において、カレンダーロールの加熱温度は、発光粒子層に含まれる結合剤の軟化温度以上にすることが好ましい。また、カレンダー圧力と搬送速度は、蛍光体粒子を破壊したり、必要以上に発光粒子層を延伸したりしないように、カレンダー温度と発光粒子層の塗布幅も考慮して、必要な平滑度が得られるように適宜選択することが好ましい。
EL素子の振動抑制のために補償電極を付与する場合にも、前述の導電材料を用いることができる。例えば光を取り出す透明電極の外側に補償電極を付与する場合には、錫ドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、亜鉛ドープ酸化錫などの酸化物、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造、ポリアニリン、ポリピロールなどのπ共役系高分子などの透明電極材料を用いることが好ましい。
また、光を取り出さない背面電極の外側に補償電極を付与する場合には、金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、グラファイトなど導電性の有る任意の材料が使用できるが、導電性さえあればITO等の透明電極を用いても良い。この補償電極は前記の透明電極や背面電極と絶縁層を介して付設されるが、絶縁層材料は絶縁性の無機材料や高分子材料、無機材料粉体を高分子材料に分散した分散液などを蒸着、塗布などにより形成できる。また、導電性の前記微粒子材料を結合剤とともに分散した導電材料含有塗布液を作製して、スライドコーター又はエクストルージョンコーターを用いて塗布することもできる。さらに、前記絶縁性材料を結合剤とともに分散した絶縁材料含有塗布液を作製して、前記導電材料含有塗布液と同時に塗布することもできる。付設した補償電極に駆動電源より電圧を印加するが、このとき発光粒子層に印加される電圧と逆位相にすることで、発光粒子層で発生する振動を相殺できる。補償電極は、透明電極の外側又は背面電極の外側のいずれかに絶縁層を挟んで付設しても同様の効果があるが、同時に付設して一方を接地させることで、さらなる振動抑制効果を期待できるので好ましい。また、発光粒子層(誘電体層を有する場合には、発光粒子層と誘電体層)の誘電率と補償電極の内側の絶縁層の誘電率が実質同等であるように調整することが振動抑制を効果的に行うためには好ましい。
EL素子の振動抑制のための別の方法としてEL素子に用いる緩衝材層を付与する場合には、緩衝材層として衝撃吸収能の高い高分子材料や発泡剤を加えて発泡させた高分子材料を用いることが好ましい。衝撃吸収能の高い高分子材料としては、例えば天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハイパロン、シリコンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴムなどが使用できる。これら高分子材料の硬度としては、振動吸収能の点から50以下が好ましく、30以下がさらに好ましい。また、ブチルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムなどは、吸水性が低いためEL素子を水分から保護する保護膜としても機能するためより好ましい。上記のゴム材料やポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン樹脂に発泡剤を加えて発泡させた材料を緩衝材として用いることも好ましい。これらの緩衝材を用いた緩衝材層は、緩衝材層を接着剤でEL素子に貼り付けることで付設することができるが、緩衝材料を溶剤に溶解して緩衝材料含有塗布液を作製し、スライドコー
ター又はエクストルージョンコーターを用いて塗布することもできる。緩衝材層の膜厚は、高分子材料の硬度にもよるが、振動を十分に吸収するためには20μm以上が必要で、50μm以上が好ましい。200μm以上になると素子厚みが大きく増加して、質量やフレキシビリティの点で好ましくない。また、上記の補償電極と緩衝材層の併用は、さらに振動を抑制することができるので好ましい。
本発明の分散型EL素子は、最後に封止フィルムを用いて、外部環境からの湿度や酸素の影響を排除するよう加工するのが好ましい。EL素子を封止する封止フィルムは、40℃−90%RHにおける水蒸気透過率が0.05g/m2/day以下が好ましく、0.01g/m2/day以下がより好ましい。さらに40℃−90%RHでの酸素透過率が0.1cm3/m2/day/atm以下が好ましく、0.01cm3/m2/day/atm以下がより好ましい。このような封止フィルムとしては、有機物膜と無機物膜の積層膜が好ましく用いられる。
有機物膜の形成材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などが好ましく用いられ、特にポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂などは吸水性があるため、あらかじめ真空加熱などの処理を施すことで絶乾状態にしたものを用いることがより好ましい。これらの樹脂を塗布などの方法によりシート状に加工したものの上に、無機物膜を蒸着、スパッタリング、CVD法などを用いて堆積させる。堆積させる無機物膜としては、酸化ケイ素、窒化珪素、酸窒化珪素、酸化ケイ素/酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどが好ましく用いられ、特に酸化ケイ素がより好ましく用いられる。より低い水蒸気透過率や酸素透過率を得たり、無機物膜が曲げ等によりひび割れることを防止するために、有機物膜と無機物膜の形成を繰り返したり、無機物膜を堆積した有機物膜を接着剤層を介して複数枚貼り合わせて多層膜とすることが好ましい。有機物膜の膜厚は、5μm以上300μm以下の範囲が好ましく、10μm以上200μm以下の範囲がより好ましい。無機物膜の膜厚は、10nm以上300nm以下の範囲が好ましく、20nm以上200nm以下の範囲がより好ましい。積層した封止フィルムの膜厚は、30μm以上1000μm以下の範囲が好ましく、50μm以上300μm以下の範囲がより好ましい。例えば、40℃−90%RHにおける水蒸気透過率が0.05g/m2/day以下の封止フィルムを得るためには、上記の有機物膜と無機物膜とが2層ずつ積層された構成では50〜100μmの膜厚で済んでしまうが、従来から封止フィルムとして使用されているポリ塩化三フッ化エチレンでは200μm以上の膜厚を必要とする。封止フィルムの膜厚は、薄い方が光透過性や素子の柔軟性の点で好ましい。
この封止フィルムでELセルを封止する場合、2枚の封止フィルムでELセルを挟んで周囲を接着封止しても、1枚の封止フィルムを半分に折って封止フィルムが重なる部分を接着封止しても良い。封止フィルムで封止されるELセルは、ELセルのみを別途作成しても良いし、封止フィルム上に直接ELセルを作成することもできる。この場合には、支持体の替わりとすることができる。また、封止工程は、真空又は露点管理された乾燥雰囲気中で行うことが好ましい。
高度な封止加工を実施した場合でも、ELセルの周囲に乾燥剤層を配置することが好ましい。乾燥剤層に用いられる乾燥剤としては、CaO、SrO、BaOなどのアルカリ土類金属酸化物、酸化アルミニウム、ゼオライト,活性炭、シリカゲル、紙や吸湿性の高い樹脂などが好ましく用いられるが、特にアルカリ土類金属酸化物が吸湿性能の点でより好ましい。これらの吸湿剤は粉体の状態でも使用することはできるが、例えば樹脂材料と混合して塗布や成形などによりシート状に加工したものを使用したり、樹脂材料と混合した塗布液をディスペンサーなどを用いてEL素子の周囲に塗布したりして乾燥剤層を配置することが好ましい。さらに、ELセルの周囲のみならず、ELセルの下面や上面を乾燥剤で覆うことがより好ましい。この場合、光を取り出す面には透明性の高い乾燥剤層を選択
することが好ましい。透明性の高い乾燥剤層としては、ポリアミド系樹脂等を用いることができる。
以下に、本発明のEL素子を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は以下の各実施例に制限されるものではない。
「従来技術によるEL素子の作成」(比較例1)
平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散した溶液をこの層厚みが30μmになるように、厚み75μmのアルミシート上に塗布、110℃で5時間乾燥することで誘電体層を塗布したアルミシートを得た。
続いて、平均粒子サイズが15μmの銅と塩素を付活した498nmに発光極大を持つ硫化亜鉛粒子と30質量%のシアノエチルセルロース溶液を1.2:1の比で混合・分散し、さらにシンロイヒ社製赤色顔料(シンロイヒFA−001)を硫化亜鉛粒子に対して3質量%を添加、分散した後、誘電体層を塗布したアルミシート上に発光粒子層の厚みが45μmになる様に塗布した。この塗布物は温風乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した。この塗布物を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより40nmの厚さに均一に付着したフィルムと熱圧着し、リード片を載設、防湿フィルム挟み封止したものを比較例1のEL素子とした。
「従来技術によるEL素子の作成」(比較例2)
赤色発光顔料をシンロイヒFA−007とした以外は比較例1と同様にして比較例2のEL素子を得た。
「本発明によるEL素子の作成(1)」(実施例1)
平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子のみを30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散し、この層厚みが20μmになるように、厚み75μmのアルミシート上に塗布、乾燥して誘電体層付きアルミシートを得た。続いて、平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散した後、この分散液にシンロイヒ社製赤色顔料(シンロイヒFA−007)をBaTiO3の質量の8%になる様に添加、分散し、出来上がりの厚みが10μmになる様に前述の誘電体層付きアルミシートに塗布、再び110℃で5時間乾燥し、波長変換材料層を形成した。さらに、平均粒子サイズが15μmの銅と塩素を付活した498nmに発光極大を持つ硫化亜鉛粒子と30質量%のシアノエチルセルロース溶液を1.2:1の比で混合・分散した後、波長変換材料層が形成してあるアルミシートに発光粒子層の厚みが45μmになる様に塗布し、温風乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した。この塗布物は、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより40nmの厚さに均一に付着したフィルムと熱圧着した。最後にリード片を載設、防湿フィルム挟み封止したものを本発明によるEL素子(1)とした。(図1参照)
「本発明によるEL素子の作成(2)」(実施例2)
本発明によるEL素子(1)の作成法において、発光粒子層の硫化亜鉛粒子のうちの40質量%が450nmに発光極大を持つ粒子、残りの60質量%が498nmに発光極大を持つ粒子とし、かつ、波長変換材料層の赤色発光顔料の添加量を10質量%としたことを除いて本発明によるEL素子(1)の作成法と同様にして本発明によるEL素子(2)を得た。
「本発明によるEL素子の作成(3)」(実施例3)
平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子のみを30質量%シアノエチルセ
ルロース溶液に分散し、この層厚みが20μmになるように、厚み75μmのアルミシート上に塗布、乾燥して誘電体層付きアルミシートを得た。続いて、平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散した後、この分散液に620nmに発光を持つ赤色顔料をBaTiO3の質量の6%になる様に添加、分散し、出来上がりの厚みが10μmになる様に前述の誘電体層付きアルミシートに塗布、再び110℃で5時間乾燥し、波長変換材料層を形成した。さらに、平均粒子サイズが15μmの銅と塩素を付活した498nmに発光極大を持つ硫化亜鉛粒子と30質量%のシアノエチルセルロース溶液を1.2:1の比で混合・分散した後、波長変換材料層が形成してあるアルミシートに発光粒子層の厚みが45μmになる様に塗布し、温風乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した。この塗布物は、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより40nmの厚さに均一に付着したフィルムと熱圧着した。最後にリード片を載設、防湿フィルム挟み封止したものを本発明によるEL素子(3)とした。
「本発明によるEL素子の作成(4)」(実施例4)
平均粒子サイズが15μmの銅と塩素を付活した498nmに発光極大を持つ硫化亜鉛粒子と30質量%のシアノエチルセルロース溶液を1.2:1の比で混合・分散した後、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより40nmの厚さに均一に付着したフィルム上に発光粒子層の厚みが45μmになる様に塗布した。この塗布物を温風乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した後、平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散した溶液をこの層の厚みが3μmになる様に塗布し、110℃で5時間乾燥し、光散乱層を形成した。この塗布乾燥物に本発明によるEL素子(3)で使用した赤色発光顔料30質量%をシクロヘキサノールに分散した溶液をその上に塗布し、110℃で2時間乾燥し、波長変換材料層を形成した。この様にして得られた塗布物を、平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散し、この誘電体層厚みが25μmになる様に厚み75μmのアルミシート上に塗布したシートと熱圧着した。これらによって得たELシートにリード片を載設、防湿フィルム挟み封止したものを本発明によるEL素子(4)とした。
「本発明によるEL素子の作成(5)」(実施例5)
平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散した溶液をこの層厚みが30μmになるように、厚み75μmのアルミシート上に塗布、110℃で5時間乾燥することで誘電体層を塗布したアルミシートを得た。続いて、平均粒子サイズが15μmの銅と塩素を付活した498nmに発光極大を持つ硫化亜鉛粒子と30質量%のシアノエチルセルロース溶液を1.2:1の比で混合・分散した後、誘電体層を塗布したアルミシート上に発光粒子層の厚みが45μmになる様に塗布した。この塗布物は温風乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した。一方、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより40nmの厚さに均一に付着したフィルムには、ITOをスパッタしたのとは反対の面に、本発明によるEL素子(3)で使用した赤色発光顔料を日本ゼオン製のZeonexが溶解したトルエン溶液に分散、塗布し、110℃で3時間乾燥することで、厚さ10μmの顔料フィルム層を形成した。これら2つの塗布物を発光粒子層とITOが隣り合うように熱圧着し、リード片を載設、防湿フィルム挟み封止したものを本発明のEL素子(5)とした。
「本発明によるEL素子の作成(6)」(実施例6)
平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散した溶液をこの層厚みが30μmになるように、厚み75μmのアルミシート上に塗布、110℃で5時間乾燥することで誘電体層を塗布したアルミシートを得た。続いて、平均粒子サイズが15μmの銅と塩素を付活した498nmに発光極大を持つ
硫化亜鉛粒子と30質量%のシアノエチルセルロース溶液を1.2:1の比で混合・分散した後、誘電体層を塗布したアルミシート上に発光粒子層の厚みが45μmになる様に塗布した。この塗布物は温風乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した。一方、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより40nmの厚さに均一に付着したフィルムにはポリ(2−メトキシ−5−(2′−エチルヘキシルオキシ)1,4−フェニレンビニレン(分子量70000〜100000)をシアノエチルセルロース溶液に分散し、塗布し、110℃で3時間乾燥し、厚さ10μmの層を形成した。これら2つの塗布物を熱圧着し、リード片を載設、防湿フィルム挟み封止したものを本発明のEL素子(6)とした。
以上により作成した本発明のEL素子および比較例のEL素子を発光させた時のスペクトルを図2、3に、その時の演色性を比較したものを表1に挙げる。
Figure 2006156339
これらの素子を発光させた時、それらの色度図上の座標は比較例で(x,y)=(0.313,0.336)、(x,y)=(0.324,0.326)であるのに対して、本発明のEL素子ではxが0.31から0.33の間、yが0.33から0.37の間にあった。
本発明のEL素子の平均演色評価数は従来型である比較例のEL素子より優れており、特に赤色の演色性に優れていることがわかる。透明陽画等の透過媒体をEL素子に載せて観察する時に重要な肌色の演色性についても本発明のEL素子では大きく改善されている。
「従来技術によるEL素子の作成」(比較例1)
平均粒子サイズが15μmの銅と塩素を付活した硫化亜鉛粒子と30質量%のシアノエチルセルロース溶液を1.2:1の比で混合・分散し、さらにシンロイヒ社製赤色顔料(シンロイヒFA−007)を硫化亜鉛粒子に対して3質量%を添加、分散した後、厚さ100ミクロンのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより40nmの厚さに均一に付着したフィルム上に発光粒子層の厚みが50μmになる様に塗布した。この塗布物は温風乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した。誘電体層は平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散した溶液を誘電体層厚みが25μmになるように、厚み75μmのアルミシート上に塗布、110℃で5時間乾燥することで得た。これら2つの塗布乾燥物を熱圧着し、リード片を載設、防湿フィルム挟み封止したものを比較例1のEL素子とした。
「本発明によるEL素子の作成(1)」
平均粒子サイズが15μmの銅と塩素を付活した硫化亜鉛粒子と30質量%のシアノエチルセルロース溶液を1.2:1の比で混合・分散した後、厚さ100ミクロンのポリエチレンテレフタレート上にITOをスパッターにより40nmの厚さに均一に付着したフィルム上に発光粒子層の厚みが50μmになる様に塗布した。この塗布物を温風乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した後、平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノエチルセルロース溶液に分散した溶液を塗布し、110℃で5時間乾燥した。このBaTiO3層(光散乱層)の厚みは3μmから15μmの間で変えたものを作成した。この塗布乾燥物にシンロイヒ社製赤色顔料(シンロイヒFA−007)、30質量%をシクロヘキサノールに分散した溶液をその上に塗布し、110℃で2時間乾燥し、波長変換材料層を形成した。赤色顔料の塗布量は出来上がりの素子の色度図上の座標がx、yともに0.32から0.34までの間にある様に調整した。この様にして得られたシートを、平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子を30質量%シアノ
エチルセルロース溶液に分散して、厚み75μmのアルミシート上に塗布したシートと熱圧着した。この誘電体層厚みは光散乱層との厚みの合計が25μmになるように調整した。これらによって得たELシートにリード片を載設、防湿フィルム挟み封止したものを本発明のEL素子(1)〜(6)とした。
「本発明によるEL素子の作成(2)」
発光粒子層と波長変換材料層の間に塗布したBaTiO3を平均粒子サイズが0.2μmのBaTiO3の微粒子と平均粒子サイズが0.06μmのBaTiO3を混合したものとした以外はEL素子の作成(1)と同様にして得たEL素子を本発明のEL素子(7)〜(12)とした。
以上により作成した本発明のEL素子を発光させた時の赤色発光の発光極大波長と輝度を比較例のそれらと比較したものを表2に挙げる。
Figure 2006156339
本発明のEL素子のスペクトルはいずれも請求項1に記載の曲線I(λ)を満たし、かつ、従来の技術で作成したEL素子(スペクトルは曲線I(λ)を満たさない)よりも赤色発光の発光極大波長が長波となり、赤色を鮮やかに表現出来、演色性が優れていた。また、EL発光時の輝度についても、本発明のEL素子は比較例のEL素子より、高い輝度が得られた。
本発明により、従来型のEL素子より、特に赤色の演色性に優れ、肌色の演色性についても大きく改善されたEL素子が提供される。
本発明のEL素子の一実施態様の概略図である。 規格化された比較例の各EL素子の発光スペクトル(A.U.は規格化された強度の意)と、f(λ)、g(λ)との関係を表す図である。 規格化された本発明の各EL素子の発光スペクトル(A.U.は規格化された強度の意)と、f(λ)、g(λ)との関係を表す図である。
符号の説明
1 プラスチックフィルム(支持体)
2 透明電極層
3 発光粒子層
4 波長変換材料層
5 誘電体層
6 背面電極層

Claims (5)

  1. 透明電極と、背面電極と、それら両電極間に挟持された発光粒子層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子において、素子が発光した時のスペクトルを規格化した曲線I(λ)が、波長410nm以上650nm以下の区間において、
    g(λ)≦I(λ)≦f(λ)
    を満たすことを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。
    上記式中、g(λ)、f(λ)は、
    Figure 2006156339
    で表される曲線である。
  2. 透明電極と、背面電極と、それら両電極間に挟持された発光粒子層を有する分散型エレクトロルミネッセンス素子において、素子が発光した時のスペクトルを規格化した曲線I(λ)が、波長400nm以上700nm以下の区間において、
    g(λ)≦I(λ)≦f(λ)
    を満たすことを特徴とする分散型エレクトロルミネッセンス素子。
    上記式中、g(λ)、f(λ)は、
    Figure 2006156339
    で表される曲線である。
  3. 透明電極と、背面電極と、それら両電極間に挟持された発光粒子層を有するエレクトロルミネッセンス素子において、それら両電極間に、発光粒子層、光散乱層、波長変換材料層および誘電体層をこの順で有することを特徴とする請求項1または2記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記光散乱層の厚みが誘電体層より薄いことを特徴とする請求項3に記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 透明電極と、背面電極と、それら両電極間に挟持された発光粒子層を有するエレクトロルミネッセンス素子において、それら両電極間に、発光粒子層、誘電体層をこの順序でこの順序で有し、該誘電体層が、誘電体粒子および波長変換材料を含むことを特徴とする請求項1または2記載の分散型エレクトロルミネッセンス素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012243695A (ja) * 2011-05-24 2012-12-10 Tatsumo Kk 分散型el素子およびその製造方法

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