本発明の画像形成方法に用いられる現像装置の例としては、一成分現像剤であるトナーを担持するためのトナー担持体として、弾性ローラーを用い、この弾性ローラ表面にトナーをコーティングし、トナー層を形成し、このトナー層を像担持体としての感光体表面と接触させる方法を採用した現像装置が挙げられる。このとき、トナーは、磁性又は非磁性のいずれでも良く、トナー層と感光体表面が接触していることが重要となる。トナー担持体は実質的に感光体表面と接触していることが好ましいが、これは、トナー担持体からトナー層を除いたときに該トナー担持体が感光体表面と接触しているということを意味する。このとき、トナーを介して、感光体と感光体表面に対向する弾性ローラー間に働く電界によってエッジ効果のない画像を得るためには、弾性ローラ表面あるいは表面近傍が電位をもち、感光体表面とトナー担持体表面間で電界が形成される必要がある。このため、弾性ローラーの低抵抗の芯材の表面に弾性ゴムによって形成される弾性層が中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つこと、または低抵抗の導電性ローラーの表面層に薄層の誘電層を設けることも利用できる。さらには、導電性ローラー上に感光体表面に対向する表面側を絶縁性物質により被覆した構成、あるいは、絶縁性スリーブで感光体に対向しない内面側に導電層を設けた構成も可能である。
一成分接触現像法を用いた場合、トナーを担持するためのトナー担持体としての現像ローラー表面と感光体表面とは、同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。その回転方向が同方向である場合には、現像ローラー表面の周速は、感光体の周速に対して、周速比で100%よりも大きいことが好ましい。100%以下であると、ラインの切れが悪いなどの画像品質に問題を残す。周速比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落され必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。
本発明は、トナーとキャリアによって構成される磁気ブラシを用いた二成分現像方法を用いる画像形成方法を含まない。
本発明においては、転写工程で転写されずに像担持体の表面に存在している転写残トナーを除去するためのクリーニング工程を有することが良い。このクリーニング工程は、転写工程後であって現像工程前に像担持体表面にクリーニング部材を当接させてクリーニングを行なう現像前クリーニング方式を用いる。
この現像前クリーニング方式においては、転写部と帯電部との間に、像担持体の表面に当接し、かつ像担持体の表面に存在する転写残トナーを除去するためのクリーニング部材によるクリーニング部を設けることが、帯電部材に対する転写残トナーの影響を少なくできることから好ましい。
本発明において、現像前クリーニング方式に用いられるクリーニング部材としては、ブレード、ローラー、ファーブラシ又は磁気ブラシを用いることが出来る。これらのクリーニング部材の2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明者らは、一成分接触現像方式による画像形成方法にカーボンブラックを含有するトナーを適用する際、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を使用することで、感光体上の現像トナーの帯電量を適正に制御し、転写残トナーの過剰帯電によるクリーニング性の低下を防止し得ることを見出した。
すなわち、転写残トナーが過剰に帯電してしまうと、感光体への転写残余のトナーの付着力が高いためにクリーニング性が低下し易い。特に、懸濁重合法の如き重合法によって作製されたトナーのように、トナー粒子の形状が球形に近い場合、クリーニング工程でのスクレイプ性の低下、クリーニング部材からのすり抜けが生じ易く、クリーニングに不利であり、さらに、転写残トナーの過剰帯電はクリーニング性を著しく低下させる。
転写残トナーの帯電は、転写バイアス条件、転写材の抵抗によっても大きく変化する。転写バイアスは一般にトナーの帯電極性とは逆極性の電圧が印加されるが、現像が正現像(トナー帯電極性と感光体帯電極性が逆)である場合、転写材が厚紙、OHTフィルムのように高抵抗なものであると、高い帯電を持ったトナー粒子が感光体との強い付着力によって転写されることなく、そのままの帯電極性でクリーニング工程へと進むことから、クリーニングしきれなくなり易い。
したがって、トナーとしては、感光体上の現像されたトナーの帯電量が適正に制御され、元々高い帯電量のトナーが感光体に現像されていないことが好ましい。
高い帯電量のトナーが感光体に現像されないようにするためには、トナーへの帯電付与或いはトナーの帯電性を押さえる必要があるが、トナーの帯電が十分でないとカブリ、トナー飛散、転写性の低下の如き弊害が生じ易くなる。
本発明の特定のカーボンブラックと、特定のアゾ系鉄化合物とを併用したトナーを用いることで、過剰な高帯電トナー粒子の生成を抑制し、適正な帯電量をトナーに持たせることが可能となった。これにより現像工程においても耐久性に優れた安定した性能を示す。これは、本発明の特定カーボンブラックと特定のアゾ系鉄化合物を併用したトナーが有するカーボンブラックの良好な分散による荷電制御効果と、アゾ系鉄化合物自体の過剰な帯電を抑制する荷電制御効果の相乗効果と考えられる。
現像が反転現像(トナー帯電極性と感光体帯電極性が同極性)の場合、転写材が薄紙のように電界を通し易いものであると、転写バイアスによって逆極性に強く帯電されるトナー粒子ができ、この逆極性に強く帯電したトナー粒子は、やはり感光体との強い付着力をもちクリーニングしきれなくなり易い。
これに対し、本発明の特定のカーボンブラックと特定のアゾ系鉄化合物を併用したトナーを用いることで、過剰に逆極性に帯電したトナー粒子の生成を抑制することが可能となった。
転写バイアスによるトナー帯電の制御も、本発明の特定のカーボンブラックと特定のアゾ系鉄化合物を併用したことによるカーボンブラックの良好な分散による荷電制御効果と、アゾ系鉄化合物自体の過剰な帯電を抑制する荷電制御効果の相乗効果によってもたらされると考えられる。
これらの理由については必ずしも明らかではないが、本発明者らの知見によれば、本発明に用いられる特定のアゾ系鉄化合物が、トナーが過剰に高帯電量となること(いわゆるチャージアップ現象)を防止する効果で、転写工程でトナー極性と逆電界を印加されても、過剰な逆電荷をトナー粒子が保持しにくくしていることに加えて、アゾ系鉄化合物が分散剤としても機能し、カーボンブラックの分散性が向上した結果、各トナー粒子の摩擦帯電量が均一となることによるものと考えられる。
本発明の画像形成方法における特徴の一つは、粒径が25〜80nmであるカーボンブラックと、特定のアゾ系鉄化合物を併用したトナーを用いることである。
本発明者らは、一成分接触現像方式を用いた画像形成方法に特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナーを用いることにより、現像工程で過剰に帯電しているトナー粒子が少なくなり、かつ転写工程で転写バイアスによって逆極性に強く帯電するトナー粒子が少なくなり、よって、クリーニング工程で良好なクリーニングを行なうことができることを見い出した。
この理由については必ずしも明らかではないが、本発明者らの知見によれば、本発明に用いられる特定のアゾ系鉄化合物が、トナーが異常に高帯電量となる(いわゆるチャージアップ現象)ことを防止する効果で、転写工程でトナー極性と逆電界を印加されても、過剰な逆電荷をトナーが保持しにくくしていること、及びアゾ系鉄錯体化合物が分散剤としても機能し、カーボンブラックの分散性が向上した効果で、各トナー粒子ごとの帯電均一性が向上することの組合わせによるものと考えられる。
カーボンブラックの平均一次粒径が25nmよりも小さいと、本発明で用いるアゾ系鉄化合物と併用した場合、一次粒径が微細なため、十分な分散が得られにくく、本発明の効果を得られない。更に、懸濁重合法にてトナー粒子を製造する場合には、トナー粒度が粗粒化する傾向があり、使いこなすのが困難である。
カーボンブラックの平均一次粒径が80nmよりも大きい場合には、良好に分散してもトナーとしての着色力の不足から、低濃度の画像しか得られない、或いはトナー消費量が増大するという不都合が生ずる。
本発明においては、カーボンブラックの平均一次粒径は、25〜55nmであることが好ましく、より好ましくは35〜55nmであることが良い。本発明の特定のアゾ系鉄化合物と併用した場合、カーボンブラックの粒径がこの範囲にあると、転写残トナーの帯電部材による帯電極性及び帯電量を制御がより確実に且つ均一になされ、トナーの帯電量の安定性及びトナー着色力の面でもより有利である。
本発明におけるトナー中のカーボンブラックの平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡で拡大した写真を撮影して測定することができる。
本発明に用いられるカーボンブラックは、DBP吸油量が好ましくは40〜150ml/100g、より好ましくは50〜140ml/100gであることが良い。
DBP吸油量が40ml/100g未満のストラクチャーの短いカーボンブラックを用いた場合には、トナーの帯電量が低くなりすぎる傾向にあり、DBP吸油量が150ml/100gを超えると強固な長ストラクチャーのためカーボンブラックの微細な分散が得られにくい。
カーボンブラックのDBP吸油量の測定は、「ASTM法D2414−79」に準拠して行う。
本発明に用いられるカーボンブラックは、窒素吸着による比表面積が100m2/g以下、好ましくは30〜90m2/g、より好ましくは40〜90m2/gであることが良くさらに、揮発分が2%以下、好ましくは0.1〜1.8%、より好ましくは0.1〜1.7%であることが良い。この本発明に係わるカーボンブラックは、通常トナーに多く用いられているカーボンブラックよりも比表面積が小さく、揮発分も少ない。
比表面積が小さく、かつ揮発分の少ないカーボンブラックは、重合阻害性の官能基が少ないことから、重合阻害性が低い利点があり、トナー中でのカーボンブラックの均一な分散にも有利である。
カーボンブラックの窒素吸着による比表面積が、100m2/gよりも大きくなると重合阻害性を生じ易くなる。カーボンブラックの揮発分が2%を超えると、表面に重合阻害性の官能基が多数存在するため好ましくない。
カーボンブラックの窒素吸着による比表面積の測定は、「ASTM法D3037−78」に準拠して行う。
カーボンブラックの揮発分の測定は、「JIS K 6221−1982」に準拠して行う。具体的には、まず測定サンプルとするカーボンブラックを白金るつぼ又はそれと同形、同容量の落としふた付き磁器るつぼに、ふた下2mmを超えない程度まで打振して詰め、その質量を量る。これにふたをして電気炉に入れ、950±25℃で正確に7分間加熱した後取り出し、デシケーター中で室温になるまで放冷して加熱後の質量を量り、次の式によって揮発分を求める。
V:揮発分(%)
WD:乾燥試料の質量(g)
WR:加熱後の試料の質量(g)
トナーを重合法で製造する場合、本発明に係わるカーボンブラックと前記アゾ系鉄錯体化合物を重合性単量体中に前分散するマスターバッチ工程を行うことが、より高濃度でカーボンブラックを分散できるためせん断力がかかり易くなり、分散性向上の効果が大きくなるため好ましい。
図6は本発明に係わるカーボンブラック及びアゾ系鉄化合物をスチレン単量体中で分散したときの分散液の粘度変化を示す。図からも明らかなように、アゾ系鉄化合物を添加することにより分散液の粘度が飛躍的に増大し、高せん断力でカーボンブラックが安定して分散されることを示している。
図7において、粒径25〜80nmのカーボンブラックにおいて、一定量のアゾ系鉄化合物を添加しスチレン単量体の中で分散したときのカーボンブラックの吸油量と分散液の粘度の関係を示す。この図から、40ml/100g以上の高吸油量のカーボンブラックの方が分散系の粘度が高く、分散性が良いことが示されている。しかしながら、カーボンブラックの吸油量が150ml/100gを超えると分散液の粘度が高くなりすぎ、重合時の造粒性を損ない易くなる。
本発明者らの検討によると、トナー粒子の重量に対して前記カーボンブラックの含有量A〔wt%〕と、前記アゾ系鉄錯体化合物B〔wt%〕が、好ましくは下記条件
2≦A/B≦35
を満たすことが良く、より好ましくは下記条件
3≦A/B≦35
を満たすことが良い。
カーボンブラックの含有量に対してアゾ系鉄化合物の含有量が少なすぎると、図7からも明らかなように粘度が上がらず、カーボンブラックが安定して分散しない。この場合、時間の経過とともにカーボンブラックが沈殿し、この分散液を用いてトナーを製造すると着色力が上がらない。
カーボンブラックの含有量に対してアゾ系鉄化合物の含有量が多すぎると、アゾ系鉄化合物が二次凝集を起こし、分散性が低下するとともに、この二次凝集物が重合阻害を起こし、トナー粒子を良好に製造することが困難となる。
本発明において、トナー粒子のカーボンブラックの含有量は、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜15重量%であることが良い。
本発明において、トナー粒子のアゾ系鉄化合物の含有量は、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜3.0重量%であることが良い。
トナー粒子のカーボンブラックの含有量が0.1重量%未満の場合には、トナーとしての着色力が低く、高画像濃度が得られ難い為、他の着色剤を併用する必要性を生じる為、好ましくない。又、30重量%を超える場合には、本発明で用いるアゾ系鉄化合物を使用しても、カーボンブラックの分散性が充分に均一にならず、カブリやトナー飛散が生じ易くなる。
トナー粒子のアゾ系鉄化合物の含有量が0.01重量%未満の場合には、分散液粘度が高がり易く、カーボンブラックの分散性向上効果が充分に発揮されず、20重量%を超える場合には、逆に分散液粘度が低下してしまい、カーボンブラックの分散性向上効果が低下してしまう。
上述したように、本発明者らは、特定の吸油量範囲で適正なストラクチャーを有し、比表面積が小さく、揮発分も少ないカーボンブラックを特定のアゾ系鉄錯体化合物と併用することで、転写トナーの帯電部材通過時の帯電制御特性が、より改善されるトナーを得ることを見い出した。
このようにして得られたトナーを、一成分接触現像方式の画像形成方法に適用することで、転写残トナー中の過剰な帯電量のトナー粒子の存在割合又は、逆極性の過剰な帯電量のトナー粒子の存在割合が少なくよって、クリーニング工程で感光体表面から転写残トナーを良好に除去することが可能であり、高品質な画像を形成することができる。
本発明で使用するアゾ系鉄化合物は、下記式(1)で示す構造を有している。
〔式中、X1およびX2は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基及びハロゲン原子からなるグループから選択されるメンバーを示し、X1とX2は同じ又は異なっており、mおよびm′は1〜3の整数を示し、R1およびR3は水素原子、C1〜C18のアルキル基、C2〜C18のアルケニル基、スルホンアミド基、メシル基、スルホン酸基、カルボキシエステル基、ヒドロキシ基、C1〜C18のアルコキシ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基及びハロゲン原子からなるグループから選択されるメンバーを示し、R1とR3は同じ又は異なっており、nおよびn′は1〜3の整数を示し、R2およびR4は水素原子またはニロト基を示し、A+は、アンモニウムイオン、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びそれらの混合イオンからなるグループから選択されるカチオンイオンを示す。〕
尚、本発明において、「低級」とは、炭素数1〜6を意味する。
前記一般式のアゾ系鉄錯体化合物の代表的な具体例としては、次のような化合物が挙げられる。
上記アゾ系鉄錯体化合物は負荷電制御剤としても用いられる。該化合物は公知の方法により合成できる。
本発明において、トナーの形状は、多数枚の画出しにおけるトナー担持体上のトナー融着や帯電部材表面の汚染を改善する観点から、球形に近い形状であることが好ましい。トナーの形状を示す形状係数SF−1及びSF−2は好ましくはSF−1の値が100<SF−1≦160であり、かつSF−2の値が100<SF−2≦140が良く、さらに好ましくはSF−1の値が100<SF−1≦140であり、かつSF−2の値が100<SF−2≦120であることが、現像性を維持しながら転写性を向上させるために好ましい。
本発明において、形状係数を示すSF−1及びSF−2は、例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い1000倍に拡大した2μm以上のトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して、例えばニコレ社製画像解析装置(Luzex III)に導入し解析を行い下式より算出し得られた値を形状係数SF−1、SF−2と定義する。
(式中、MXLNGは粒子の絶対最大長、PERIは粒子の周囲長、AREAは粒子の投影面積を示す。)
形状係数SF−1はトナー粒子の丸さの度合いを示し、形状係数SF−2はトナー粒子の凹凸の度合いを示している。
トナーの形状係数SF−1が160を超えると、球形から離れて不定形に近づき、現像器内でトナーが破砕され易く、粒度分布が変動したり、帯電量分布がブロードになりやすく地カブリや反転カブリが生じやすい。トナーの形状係数SF−2が140を超えると、感光体から転写材への転写時におけるトナー像の転写効率の低下、及び文字やライン画像の転写中抜けを招き好ましくない。
更に高画質化のため微小な潜像ドットの忠実に現像するために、トナー粒子は、重量平均径が3μm〜9μm、好ましくは4μm〜8μmであり、個数分布における変動係数が35%以下、好ましくは25%以下であることが良い。重量平均径が3μm未満のトナー粒子においては、転写効率の低下から感光体や中間転写体上に転写残のトナー粒子が多く、さらに、カブリ、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすい。トナー粒子の重量平均径が9μmを超える場合には、感光体表面、中間転写材等の部材への融着が起きやすい。トナー粒子の個数分布における変動係数が35%を超えると更にその傾向が強まる。
トナー粒子の個数分布における変動係数Aは下記式から算出される。
変動係数=〔S/D1 〕×100
〔式中、Sは、トナー粒子の個数分布における標準偏差値を示し、D1は、トナー粒子の個数平均粒径(μm)を示す。〕
トナー粒子の平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない前記コールターカウンターTA−II型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。それから、本発明に係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた個数基準の個数平均粒径(D1)を求めた。
本発明において、トナーの定着性及び耐オフセット性を向上させるために、離型剤をトナー粒子に添加することが好ましい。
本発明に用いられる離型剤としては、ASTM D3418−8に準拠し測定されたDSC曲線における主体吸熱極大ピーク値(融点)が、30〜120℃より好ましくは40〜90℃の範囲にある化合物が好ましい。ワックスの極大ピーク値(融点)が30℃未満であると離型剤の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなり好ましくない。ワックスの極大ピーク値(融点)が120℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面を適度に平滑化させることが困難となり混色性低下の点から好ましくない。
更に重合方法によりトナー粒子を得る場合においては、水系媒体中で造粒・重合を行うため、吸熱極大ピーク値(融点)が高いと主に造粒中に離型剤が析出してくるので好ましくない。
離型剤の極大ピーク値の温度(融点)の測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルはアルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、温度20℃から180℃まで昇温速度10℃/minで測定を行う。
離型剤としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピッシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルアルコール、エステルワックス及びこれらの誘導体(例えばこれらのグラフト化合物又はブロック化合物)が挙げられる。特にエステルワックスは、トナー画像の加熱定着時にスチレンアクリル共重合体の如きトナーの結着樹脂の可塑剤として作用することから、定着性を高めることができる点でより好ましい。
本発明においては、トナーにコア/シェル構造をもたせ、シェル部分を重合により合成された重合体によって形成され、コア部分を離型剤としてのワックスで構成するようなトナーを本発明の画像形成方法に用いることにより、トナー粒子の劣化や画像形成装置への汚染を防止することが出来るので良好な帯電性が維持され、ドット潜像の再現に優れたトナー画像を長期にわたって形成し得ることが可能となる。また、加熱加圧定着時にはワックスが効率良く作用する為、低温定着性と耐高温オフセット性とを向上させることができるから好ましい。
本発明において、コア/シェル構造を有するトナーとは、離型剤としてのワックスによるコア部の表面を重合性単量体の重合によって合成された重合体によって形成されるシェル部が被覆している状態のトナーを意味する。
本発明において、トナーのコア/シェル構造は、トナー粒子の断層面観察により確認することが出来る。
トナー粒子の断層面を観察する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、40℃の雰囲気中で2日間硬化させ、得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し、透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナー粒子の断層形態を観察する。ワックスと外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。代表的な一例を図9に示す。
本発明において、離型剤のトナー粒子における含有量は、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは、2〜25重量%であることが好ましい。離型剤の含有量が2重量%未満では定着性の改善が不十分であり、30重量%を超える場合は、重合法による製造においても造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明には不適当であった。
本発明においては、コア/シェル構造を有するトナーを製造する場合、シェル部が離型剤としてのワックスによるコア部内包化せしめるためシェル部を構成する樹脂に更に極性樹脂を添加せしめることが特に好ましい。
本発明に用いられる極性樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
トナー粒子中極性樹脂の含有量は、好ましくは、1〜20重量%、より好ましくは2〜16重量%(トナー粒子の重量基準)であることが良い。
極性樹脂の含有量が1重量%未満の場合には、添加効果が十分に発現されず、又、20重量%を超える場合には、トナーの帯電特性に影響を及ぼすことが多く、特に高温高湿環境下でのトナーの帯電性の低下を招き易く、好ましくない。
本発明においては、トナーの表面にさらに最外殻樹脂層を設けても良い。
該最外殻樹脂層のガラス転移温度は、耐ブロッキング性のさらなる向上のため外殻樹脂層のガラス転移温度以上に設計されること、さらに定着性を損なわない程度に架橋されていることが好ましい。この最外殻樹脂層には帯電性向上のため極性樹脂や荷電制御剤が含有されていることが好ましい。
該最外殻層を設ける方法としては、特に限定されるものではないが例えば以下のような方法が挙げられる。
1.重合反応後半、または終了後、反応系中に必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤を溶解、分散したモノマーを添加し重合粒子に吸着させ、重合開始剤を添加し重合を行う方法。
2.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を反応系中に添加し、重合粒子表面に凝集、必要に応じて熱により固着させる方法。
3.必要に応じて、極性樹脂、荷電制御剤、架橋剤を含有したモノマーからなる乳化重合粒子またはソープフリー重合粒子を乾式で機械的にトナー粒子表面に固着させる方法。
本発明において、着色剤及び重合性単量体と共に離型剤としてのワックス及び極性樹脂を含有する単量体組成物を水系媒体中で重合することによりトナー粒子を製造する重合法によって、ワックス及び極性機能を含有するトナー粒子を製造する場合には、製造されたトナー粒子はワックスによるコア部と、重合性単量体の重合により合成された重合体及び極性樹脂によって構成されるシェル部とを有するコア/シェル構造を有し、さらにシェル部の最外殻樹脂層に極性樹脂が位置する形態となる。したがって、このような形態のトナー粒子の場合には、着色剤として用いるカーボンブラックの表面には、極性基が存在しているため、カーボンブラックは非極性のワックス中には入り込まず、シェル部に位置することになり、トナー粒子中に均一にカーボンブラックが分散している形態のトナー粒子に比べて着色力が低下し易い傾向にあり、またシェル部の最外殻層には極性樹脂が位置するため、トナー粒子の表面部に位置するカーボンブラックの割合が少なくなることから、極性樹脂を含有しないトナー粒子に比べて、トナーの摩擦帯電性が低い傾向にある。
しかしながら、本発明においては、トナー粒子は、上述の如く、カーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有していることから、アゾ系鉄化合物によるカーボンブラックの分散性向上効果によりトナーの着色力の低下を抑制し、かつカーボンブラックの分散性向上効果とアゾ系鉄化合物の高い荷電制御効果によりトナーの摩擦帯電性の低下を抑制することが可能である。
本発明の一成分接触現像方式の画像形成方法においては、現像時にトナー担持体上のトナーが像担持体の表面に接触することから、トナーの耐久性やトナー担持体の表面及び像担持体の表面に対するトナーの耐融着性を有していることが好ましい。
従って、一成分非接触現像方式やトナー及びキャリアを有する二成分現像方式に用いるトナーに比べて、一成分接触現像方式に用いるトナーは、より高い機械的特性を有することが要求される。
本発明に用いられるトナー粒子の樹脂成分は、THF(テトラヒドロフラン)に不溶なC成分及びTHFに可溶な成分を有しており、THFに可溶な成分は、ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)で測定される分子量分布において、分子量100万未満のA成分及び分子量100万以上のB成分を有しており、これらA成分、B成分及び不溶なC成分が下記条件を満たしていることが好ましい。
本発明に係るトナー粒子の樹脂成分のTHFに可溶な成分(上記A成分とB成分に相当)は、GPCの分子量分布において数平均分子量(Mn)が好ましくは9000〜1000000、より好ましくは、10000〜500000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、好ましくは5〜500、より好ましくは7〜400であることがトナーに求められる諸特性をバランス良く達成する事が出来る。
これらトナー粒子の樹脂成分は、樹脂成分の重量基準で(1)A成分の含有量(WA)が好ましくは30〜95重量%、より好ましくは50〜90重量%であり、(2)B成分の含有量(WB)が好ましくは0〜20重量%、より好ましくは、1〜20重量%であり、(3)C成分の含有量(WC)が好ましくは0〜70重量%、より好ましくは1〜70重量%であり、(4)B成分とC成分の総含有量(WB+WC)が好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%であることが本発明の画像形成方法により好ましく用いることが出来る。
本発明に用いられるトナー粒子の樹脂成分は、THFに可溶な成分のGPCの分子量分布において前述のA成分(分子量100万未満のTHF可溶分)が分子量3000〜5万、より好ましくは分子量5000〜22000の領域にメインピークを有することにより画像形成装置とのマッチングが良好なものとなり好適である。メインピークが分子量3000未満の場合、トナーの帯電特性の悪化や画像形成装置との接触部分に融着を生じたり、耐高温オフセット性や耐ブロッキング性の低下を招き易い。メインピークが分子量5万を越える場合、画像形成装置との接触部分に傷を生じたり、低温定着性の著しい低下を招き易い。
A成分の含有量(WA)が30重量%未満の場合には、低温定着性が低下する傾向にあり、95重量%を越える場合には、画像形成装置とのマッチング性が悪化し、トナー融着や画質の劣化が生じ易い。
B成分の含有量(WB)が20重量%を越えると耐高温オフセット性は向上するものの、低温定着性が低下するので好ましくない。
C成分の含有量(WC)が70重量%より多いと、画像形成装置とのマッチングに障害を生じたり、低温定着が困難となり好ましくない。尚、C成分が全く無くてもB成分が好ましくは5〜20重量%、より好ましくは10〜20重量%含有していれば現像性や定着性を維持することが可能である。逆にB成分が全く無くてもC成分が好ましくは、5〜70重量%、より好ましくは10〜70重量%含有していれば、現像性や定着性を維持することが可能である。
更に、B成分とC成分との総含有量(WB+WC)が好ましくは、5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%であることが良い。B成分とC成分との総含有量(WB+WC)が5重量%未満の場合、トナーの帯電特性や耐高温オフセット性、更には画像形成装置とのマッチングが悪化し、トナーの融着や画質の劣化を招き易く、70重量%を越える場合には、低温定着性が低下する為、好ましくない。
尚、本発明においてトナー粒子中の各樹脂成分(A〜C成分)の分子量や含有量(WA、WB及びWC)は以下の方法により測定、算出される。
本発明においてTHFに不溶なC成分とは、トナー粒子中の樹脂成分のTHF(テトラヒドロフラン)に対して不溶性となった樹脂成分を示し、その含有量は架橋成分を含む樹脂組成物の架橋の程度を示す目安となるが、THF不溶分が0重量%であっても必ずしも架橋していないという訳ではない。THFに不溶なC成分の含有量とは、以下のように測定された値をもって定義する。
まず、予め公知の方法で顔料等のトナー粒子中の添加剤の含有率などを測定しておく。次に、現像剤0.5〜1.0gの一定量を秤量し(W1 g)、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを用いて20時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2 g)。そして、該現像剤一定量中に含まれている顔料等の添加剤のうち、THFに可溶な成分の重量をW3 g、THFに不溶な成分の重量をW4 gとすると、以下の式に従って樹脂成分中のTHF不溶分(前記C成分)が算出される。
一方、THFに可溶な成分のGPCの分子量分布における分子量100万未満のA成分のメインピーク位置と含有量(WA)及び100万以上のB成分の含有量(WB)、(樹脂成分重量基準)は、前述のソックスレー抽出の際に得られたTHF可溶樹脂成分をGPCの測定サンプルとして用い、得られた分子量分布から求める。尚、分子量100万未満の領域(A成分)及び分子量100万以上の領域(B成分)の面積%は重量%と等しいと仮定した上で、樹脂成分の重量基準に換算し、A成分及びB成分の重量%(WA及びWB)を求める。
尚、本発明において、樹脂成分には、結着樹脂に加えて、ワックス成分を含むものである。
本発明において、トナー粒子中の樹脂成分の分子量分布はGPC(ゲルパミエーションクロマトグラフィ)により次の条件で測定される。尚、資料は予め溶媒に分散/溶解させた後、耐溶剤性メンブランフィルター(ポア径:0.3μm)で濾過したものを用いる。
装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
カラム:KF801〜7(ショウデックス社製)の7連
温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0ml/min
試料:濃度0.05〜0.6重量%の試料を0.1ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。
本発明に用いられるトナーの結着樹脂としては、一般的に用いられているスチレン−(メタ)アクリル共重合体,ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,スチレン−ブタジエン共重合体を利用することが出来る。重合法によってトナー粒子を得る方法においては、それらの単量体が好ましく用いられる。具体的には、スチレン,o(m−、p−)−メチルスチレン,m(p−)−エチルスチレンの如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸ステアリル,(メタ)アクリル酸ベヘニル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン,イソプレン,シクロヘキセン,(メタ)アクリロニトリル,アクリル酸アミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。これらの単量体は、ポリマーハンドブック第2版−P139〜192(JohnWiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40〜75℃を示すように単量体を単独で又は適宜混合し用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存安定性や現像剤の耐久安定性の面から問題が生じ、75℃を超える場合は定着点の上昇をもたらす。
さらに、本発明においては、上記のTHF不溶分を生成させるために及び又は分子量1000000以上の成分を生成されるために結着樹脂の合成時に架橋剤を用いることが好ましい。
本発明のトナーに用いられる架橋剤としては、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA日本化薬)及び上記のジアクリレートをメタクリレートにかえたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としてペンタエリスリートールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、他のビニル系単量体100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部であることが良い。
架橋剤の使用量が0.05重量部未満の場合には、結着樹脂の架橋反応が充分に行なわれず、10重量部を超える場合には、結着樹脂の架橋反応が進行しすぎてしまい、いずれもトナー粒子のTHF不溶分の含有量を5〜70重量%の範囲内にコントロールすることが困難となる。
本発明に用いられるアゾ系鉄錯体化合物は、荷電制御剤としての機能も有しているが、更に別の荷電制御剤を併用してもよい。別の荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。更に本発明において重合方法でトナー粒子を製造する場合には、重合阻害性が無く水系への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。
別の帯電制御剤の具体的化合物としては、ネガ系としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸またはその誘導体の金属化合物、アゾ顔料またはその誘導体の金属化合物、スルホン酸、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーンが利用できる。ホジ系としてニグロシン、トリフェニルメタン系化合物、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が好ましく用いられる。
別の荷電制御剤は結着樹脂100重量部に対し好ましくは0.2〜10重量部より好ましくは0.5〜5重量部、トナー粒子中に含有することが良い。しかしながら、本発明において別の荷電制御剤の添加は必須ではなく、非磁性−成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも別の荷電制御剤を含む必要はない。
本発明で重合方法でトナー粒子を製造する場合には、重合開始剤として、例えば、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビススイソブチロニトリルの如きアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤が用いられる。
該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.5〜20重量%添加され用いられる。開始剤の種類は、重合方法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。
重合度を制御するため公知の架橋剤・連鎖移動剤・重合禁止剤を更に添加し用いることも可能である。
本発明に係るトナー製造方法として懸濁重合を利用する場合には、用いる分散剤として例えば無機系酸化物として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ,磁性体,フェライトが挙げられる。有機系化合物としは例えばポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプンが水相に分散させて使用される。これら分散剤は、重合性単量体100重量部に対して0.2〜10.0重量部使用することが好ましい。
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有す分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させて用いることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることが出来る。これら分散剤の微細化のため0.001〜0.1重量部の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用でき、例えばドデシル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
本発明に係るトナー製造方法に重合方法を用いる場合においては、以下の如き製造方法によって具体的にトナーを製造することが可能である。
重合性単量体中にカーボンブラック及びアゾ系鉄化合物、さらに必要に応じて荷電制御剤、重合開始剤、その他の添加剤を加え、ホモジナイザー又は超音波分散機の如き混合装置によって均一に溶解又は分散せしめて重合性単量体組成物を調製する。この調製された重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー又はホモジナイザーの如き混合装置により分散せしめる。好ましくは重合性単量体組成物からなる液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行なえば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温しても良く、更に、本発明のトナーを用いた画像形成方法における耐久性向上の目的で、未反応の重合性単量体、副生成物を除去するために重合反応後半、又は、重合反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。重合反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄し、ろ過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100重量部に対して水300〜3000重量部を分散媒として使用するのが好ましい。
本発明においては、前述した通り、トナー粒子中でのカーボンブラックの分散性を向上させるために、マスターバッチ工程を経て重合性単量体組成物を調製する。
具体的には、第1の重合性単量体100重量部に対して、好ましくは4〜40重量部、より好ましくは5〜25重量部のカーボンブラック及び好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部のアゾ系鉄化合物を混合して分散させることにより、重合性単量体に対してカーボンブラックを非常に高濃度にして混合できるため、分散液の粘度が高まり、混合時のシェアが充分にかかることから、アゾ系鉄化合物による分散効果との組合わせで、カーボンブラックの分散性を飛躍的に向上させることができる。
カーボンブラックの混合量が4重量部未満の場合には、アゾ系鉄化合物を使用したとしても分散液の粘度が小さく、十分な分散は達成しにくい。一方、40重量部を超える場合には、分散液の粘度をコントロールしずらくなり、結果として分散が不均一になりやすい。
アゾ系鉄化合物の混合量が0.2重量部未満の場合には、分散液の粘度を高める効果が不十分であり、一方、5重量部を超える場合には、逆にまた粘度が低下してしまい分散が不均一になりやすい。
この第1の重合性単量体、カーボンブラック及びアゾ系鉄化合物、必要に応じてワックス成分及び/又は荷電制御剤を含有する(マスターバッチ)分散液の粘度は、好ましくは100〜2000センチボイス、より好ましくは150〜1600センチボイスであることが良い。
この分散液の粘度が100センチポイズ未満の場合には、粘度が低すぎ分散のシェアがかからず、カーボンブラックの均一分散が難しくなる。一方、2000センチボイズを超える場合にあ、粘度が高すぎ、均一な分散状態が維持しにくくなると同時に、製造装置からの排出性が悪化し、生産性の低下を招く。この分散液を第2の重合性単量体及びさらに必要に応じてワックス成分、極性官能期を含む高分子重合体、荷電制御剤、重合開始剤及びその他の添加剤と混合して重合性単量体組成物を調製する。
この分散液100重量部に対する第2の重合性単量体の混合量は、好ましくは20〜100重量部、より好ましくは30〜70重量部であることが、マスターバッチ成分の第2の重合性単量体への均一分散性の点で良い。
この第2の重合性単量体の混合量が20重量部未満の場合には、均一に分散するまでに時間を要し、100重量部を超える場合には、カーボンブラックの再凝集等が生じやすくなり、やはり均一分散に時間がかかってしまう。
この重合性単量体組成物中での重合性単量体組成物の重量に対するカーボンブラックの含有割合は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%であることがトナーの着色力及びトナーの帯電安定化の点で良い。
重合性単量体組成物中のカーボンブラックの含有割合が、1重量%未満の場合には、高画像濃度を達成するのが難しくなり、20重量%を超える場合には、特に高湿下でのトナーの帯電が低くなりやすい。
この重合性単量体組成物中での重合性単量体組成物の重量に対するアゾ系鉄化合物の含有割合は、好ましくは0.1〜3.0重量%、より好ましくは0.2〜2.0重量%であることが分散液粘度を適正状態に維持して、カーボンブラックの均一分散性を向上させる点で良い。
重合性単量体組成物中でのアゾ系鉄化合物の含有割合が0.1重量%未満の場合には、分散液粘度が上がらずに、カーボンブラックの分散性向上効果が発揮されず、3.0重量%を超える場合には、逆に分散液粘度が低下してしまい、やはりカーボンブラックの分散性向上効果が消失してしまう。
本発明においては、トナー粒子表面を外添剤により被覆することにより、トナー粒子に適度な流動性と帯電性を付与すると共に、クリーニング性の向上や感光体帯電部材等の接触部材からのストレスを緩和出来る電部材に構成をとることが望ましく、トナー表面の外添剤被覆率が、好ましくは5〜99%、さらに好ましくは10〜99%であることが良い。さらにトナー粒子表面に外添剤として無機微粉体を有することで、転写効率の向上及び文字やライン画像の転写中抜けが改善される。
トナー粒子表面の外添剤被覆率は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用いトナー像を100個を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介してニコレ社製画像解析装置(Luzex3)に導入し解析を行い算出した。
本発明に使用される外添剤としては、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下の平均粒径であることが好ましい。この添加剤の平均粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。
外添剤としては、たとえば、金属酸化物(酸化アルミニウム,酸化チタン,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム、酸化クロム,酸化錫及び酸化亜鉛)、窒化物(窒化ケイ素、炭化物(炭化ケイ素)、金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム及び炭酸カルシウム)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウム)、カーボンブラック及びシリカが挙げられる。これら外添剤は、トナー粒子100重量部に対し、好ましくは0.01〜10重量部用いられ、より好ましくは0.05〜5重量部用いられる。これら外添剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
本発明に用いられる無機微粉体としては、特に帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上の為、少なくとも1種はシリカ、アルミナ、チタニア、あるいはその複酸化物の中から選ばれる微粒子であることが好ましい。さらには、シリカであることがより好ましい。例えば、かかるシリカは硅素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及びアルコキシド水ガラスから製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2 O、SO3 2−の如き製造残滓の少ない乾式シリカの方がより好ましい。乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
本発明に用いられる無機微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与える。無機微粉体は、トナー粒子100重量部に対して好ましくは0.1〜8重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1.0重量部を超えて3.0重量部まで使用するのが良い。本発明に用いられる無機微粉体は、必要に応じ、疎水化、帯電性制御等の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能期を有するシランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独であるいは、併用して処理されていることも可能である。
高い帯電量を維持し、低消費量及び高転写率を達成するためには、無機微粉体は少なくともシリコーンオイルで処理されていることがさらに好ましい。
転写性および/またはクリーニング性向上のために一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。この球状に近い微粒子としては、例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子が好ましく用いられる。
本発明に用いられるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えば、テフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸価セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;例えば酸価チタン粉末、酸価アルミニウム粉末の如き流動性付与剤;ケーキング防止剤;例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸価スズ粉末の如き導電性付与剤;逆極性の有機微粒子;及び無機微粒子;を現像性向上剤として少量用いることもできる。
本発明に用いられるトナー粒子を作製するには、上述した重合法の他には、例えば、結着樹脂、アゾ系鉄錯体化合物、カーボンブラック、離型剤を加圧ニーダーやエクストルーダー又はメディア分散機を用い均一に分散せしめた後、機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させ、所望のトナー粒径に微粉砕化せしめた後、更に分級工程を経て粒度分布をシャープ化せしめトナー化する所謂粉砕方法によるトナーの製造方法;特公昭56−13945号公報に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法;重合性単量体には可溶で得られる重合体が不溶な有機溶剤を用い重合性単量体の重合によって直接トナーを生成する分散重合方法;又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法;が挙げられる。
また、本発明は、感光体表面に離型性を付与することが好ましく、感光体表面の水に対する接触角は85度以上であることが好ましい。より好ましくは感光体表面の水に対する接触角は90度以上である。
感光体表面が高い接触角を有することは、感光体表面が高い離型性有することを示し、この効果により、転写残余のトナー量を著しく減少させることができ、クリーニング工程での負荷を大幅に低減し、クリーニング不良の発生をより確実に防止することができる。
さらに、感光体表面が高い離型性を有することにより、転写残余のトナー量を著しく減少させることができ、転写残トナーによる遮光がほとんどなくネガゴースト画像を本質的に防止できると共に現像時に転写残トナーの現像域での回収効率も向上し、ポジゴースト画像を防止する。
ここで、ゴースト画像の発生メカニズムを説明する。
転写残トナーによる遮光が特に問題となるのは、一枚の転写材に対し感光体表面が繰り返し使用される場合、つまり感光体一周分の長さが転写材の進行方向長さよりも短い場合、転写残トナーが感光体上に存在する状態で帯電、露光及び現像をしなければならないため、転写残トナーの存在する感光体表面部での電位が充分落ちきらず現像コントラストが不十分になるため反転現像については周囲よりも濃度が低い、ネガゴーストとして画像上に現れる。
一方、現像時に転写残トナーのクリーニング効果が不十分であれば、転写残トナーの存在する感光体表面上に、トナーが現像されるため周囲よりも濃度が高く、ポジゴーストが発生する。
本発明の構成にて、上記説明のゴースト画像を本質的に防止できる。
本発明の画像形成方法において、感光体表面が高分子結着剤を主体として構成される場合に有効である。例えば、(i)セレン、アモルファシスシリコンの如き無機感光体の上に、樹脂を主体とした保護膜を設ける場合;(ii)機能分離型有機感光体の電荷輸送層として、電荷輸送材と樹脂を有する表面層をもつ場合;(iii)さらにその上に上記のような保護層を設ける場合がある。このような表面層に離型性を付与する手段としては、
〔1〕膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる、
〔2〕撥水、親油性を付与するような添加剤を加える、
〔3〕高い離型性を有する材料を粉体状にして分散する、
が挙げられる。〔1〕としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基を導入することにより達成する。〔2〕としては、界面活性剤を添加剤として添加すればよい。〔3〕としては、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン及びフッ化カーボンの如きフッ素原子を含む化合物を用いることが挙げられる。
これらの手段によって感光体表面の水に対する接触角を85度以上とすることができる。感光体表面の水に対する接触角が85度未満では耐久によるトナーおよびトナー担持体の劣化が生じやすい。
この中でも特にポリ4フッ化エチレンやポリフッ化ビニリデンの如き含フッ素樹脂が好適である。本発明においては、3の粉体として含フッ素樹脂を離型性粉体として用いた場合には、最表面層への分散が好適である。
これらの粉体を表面に含有させるためには、バインダー樹脂中に該粉体を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最表面層に該粉体を分散させれば良い。
該粉体の表面層への添加量は、表面層総重量に対して、1〜60重量%、さらには2〜50重量%が好ましい。1重量%より少ないと転写残余のトナーが充分に減少せず、転写残トナーのクリーニング効率も充分でなく、ゴースト防止効果が不十分であり、60重量%を超えると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下したるするため、好ましくない。該粉体の粒径については、画質の面から、1μm以下、好ましくは0.5μm以下が望ましい。1μmより大きいと入射光の散乱によりラインの切れが悪くなり実用に耐えない。
本発明は、帯電手段が帯電部材を感光体に当接させる接触帯電法の場合に特に効果的である。すなわち、クリーニングの後の残トナーが多いと、それが後工程である直接帯電部材に付着してしまい、帯電不良を引き起こす。従って、帯電手段が感光体に接することのないコロナ放電に比べて、残トナーの量はより少なく、付着し難くする必要がある。
本発明に用いられる感光体の好ましい様態のひとつを以下に説明する。
導電性基体としては、アルミニウム又はステンレスの如き金属;アルミニウム合金又は酸化インジウム−酸化錫合金による被膜層を有するプラスチック;導電性粒子を含侵させた紙又はプラスチック;導電性ポリマーを有するプラスチック;の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上、塗工性改良、基体の保護、基体上に欠陥の被覆、基体からの電荷注入性改良及び感光層の電気的破壊に対する保護を目的として下引き層を設けても良い。
下引き層は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、ポリウレタン又は酸化アルミニウムの材料によって形成される。下引き層の膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μmが良い。
電荷発生層は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素又はセレンや非晶質シリコンの如き無機物質の電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工する、あるいは蒸着により形成する。なかでもフタロシアニン系顔料が感光体感度を本発明に適合する感度に調整するうえで好ましい。結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80重量%以下、好ましくは0〜40重量%であることが良い。電荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜厚は一般的には5〜40μmである。電荷輸送層物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレンの如き多環芳香族化合物;インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリンの如き含窒素環式化合物;ヒドラゾン化合物;スチリル化合物;セレン;セレン−テルル;非晶質シリコン;硫化カドニウムが挙げられる。
これら電荷輸送物質を分解させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びポリアミド樹脂の如き樹脂;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンの如き有機光導電性ポリマーが挙げられる。
表面層として、保護層を設けてもよい。保護層の樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。
保護層の樹脂中に導電性微粒子を分散してもよい。導電性微粒子の例としては、金属又は金属酸化物が挙げられる。好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化スズ被膜酸化チタン、スズ被膜酸化インジウム、アンチモン被膜酸化スズ又は酸化ジルコニウムの超微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。一般的に保護層に粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、保護層に分散される導電性、絶縁性粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。保護層中での含有量は、保護層総重量に対して2〜90重量%が好ましく、5〜80重量%がより好ましい。保護層の層厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
表面層の塗工は、樹脂分散液をスプレーコーティング、ビームコーティングあるいは浸透(ディッピング)コーティングすることによって行うことができる。
本発明に用いられる現像工程の条件としては、トナー担持体上のトナー層と感光体表面が接触しているということである。
一成分現像剤の場合、トナー担持体として弾性ローラーを用い、弾性ローラー表面にトナーをコーティングして形成したトナー層を感光体表面と接触させる方法も用いられる。このとき、トナーは磁性又は非磁性のいずれであっても良く、トナー層と感光体表面が接触していることが重要となる。トナー担持体は実質的に感光体表面と接触しているが、これは、トナー担持体からトナー層を除いたときに該トナー担持体が感光体表面と接触しているということを意味する。このとき、トナー層を介して、感光体表面と感光体表面に対向する弾性ローラーとの間に働く電界によってエッジ効果のない画像を得るためには、弾性ローラー表面あるいは、表面近傍が電位をもち、感光体表面とトナー担持表面との間で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、または導電性ローラーの表面層に薄層の絶縁層を設ける方法も利用できる。さらには、導電性ローラの感光体表面に対向する外面側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブ、あるいは、絶縁性スリーブの感光体表面に対向しない内面側に導電層を設けた構成も可能である。トナー担持体として剛体ローラを用い、感光体をベルトのごときフレキシブルなものとした構成も可能である。トナー担持体としての現像ローラの電気抵抗としては102〜109Ωの範囲が好ましい。
現像ローラーの電気抵抗は、以下の方法で測定する。すなわち、図9に示すように直径16mmのアルミローラー102と現像ローラー101を当接荷重4.9N(500g)で当接させ、該アルミローラー102を2rpsで回転させる。次に現像ローラー101にV1=400Vの直流電圧を印加する。
アース側に可変抵抗Rを配置し、現像ローラー101に応じて該可変抵抗Rの抵抗値を調整しながら、その両端の電圧V2を測定し、電流値を算出することにより、現像ローラー101の電気抵抗を算出する。
一成分接触現像法を用いた場合そのトナーを担持する現像ローラー表面は、感光体表面の移動方向と同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合感光体の周速に対して、周速比で100%よりも速いことが望ましい。100%以下であると、画像品質が悪い。周速比が高まれば高まるほど、現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、潜像に忠実な画像が得られる。具体的には、トナー担持体表面の移動速度が感光体表面の移動速度に対し、1.05〜3.0倍の速度であることが好ましい。
以下、本発明の画像形成方法に適用可能な転写工程について具体的に説明する。
転写工程においては、感光体表面に転写材を介して転写手段を当接させながらトナー画像を転写材に静電転写する接触転写方式を用いることが好ましい。転写手段の感光体表面に対する当接圧力としては、好ましくは線圧2.9N/m(3g/cm)以上であることが良く、より好ましくは9.8〜490N/m(10〜500g/cm)であることが良い。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3g/cm)未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。当接圧力が高すぎる場合には、感光体表面の劣化やトナーの付着を招き、結果として感光体表面のトナー融着を生じるようになる。
接触転写工程における転写手段としては、転写ローラーあるいは転写ベルトを有する装置が使用される。転写ローラーは少なくとも芯金と芯金を被覆する導電性弾性層を有し、導電性弾性層はカーボンの如き導電性微粒子を分散させたウレタンやEPDMの如き体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体で作られている。
本発明は、感光体の表面が有機化合物である様な画像形成装置において特に有効に用いられる。即ち、有機化合物が感光体の表面層を形成している場合には、無機材料を用いた他の感光体よりもトナー粒子に含まれる結着樹脂との接着性が高いことから転写性がより低下する傾向にあるという技術課題を有している。従って、本発明で用いるトナーによる高い転写性による効果は、より顕著となる。
本発明に係わる感光体の表面物質としては、たとえばシリコーン樹脂、塩化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−メチルメタクリレート、スチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネート等が挙げられるが、これらに限定されることはなく他のモノマーあるいは前述の結着樹脂間での共重合体およびブレンド体等も使用することができる。
本発明においては、直径が50mm以下の小径のドラム状感光体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、小径の感光体ドラムの場合には、同一の線圧での接触部材の当接部における圧力の集中が起こりやすいためである。ベルト感光体でも同一の現象があると考えられるが、本発明は、当接部での曲率半径が25mm以下の感光体ベルトを用いた画像形成装置に対しても有効である。
さらに本発明においては、トナーの現像に際して、トナーの総帯電量をコントロールすることが望ましい。そのため、本発明に係わるトナー担持体の表面は導電性微粒子及び/又は滑剤を分散した樹脂層で被覆されていることが好ましい。
帯電方法としては、コロトロンあるいはスコロトロンと呼ばれる公知のコロナ帯電方法が用いられるほか、ピン電極を用いた方法も使用できる。さらに感光体表面に帯電部材を当接させて帯電を行なう接触帯電法も同様に使用できる。
本発明において、帯電手段が帯電部材を感光体表面に当接させる接触帯電法の場合に特に効果的である。すなわち、帯電手段が感光体表面に接することのない非接触コロナ放電に比べて、接触帯電法は感光体表面の劣化を生じ易く、耐久性の観点から転写性の低下による転写残トナーの増加がクリーニング性に厳しい方向にあるという技術課題を有している。従って、本発明で用いる高い転写性による効果は、より顕著となる。
接触帯電部材として帯電ローラーを用いたときの好ましいプロセス条件としては、帯電ローラーの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500g/cm)、より好ましくは9.8〜392N/m(10〜400g/cm)であり、さらに、転写残トナーの極性を感光体帯電極性と同じ極性に揃え、現像時での回収を容易にするため、直流電圧の印加がよいが、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いたときには、2×Vth(V)〔Vth;直流印加における放電開始電圧(V)〕未満のピーク間電圧を有する交流電圧を直流電圧に重畳することが好ましい。
この他の接触帯電部材としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
接触帯電部材としては、ローラーまたはブレードの場合は、導電性基体として、鉄、銅、ステンレスの如き導電性金属;カーボン分散樹脂;金属あるいは金属酸化物分散樹脂が用いられる。ブレードの場合には、その形状としては棒状、板状が使用できる。弾性ローラーの構成としては、導電性基体上に弾性層、導電層及び低抗層を設けたものが用いられる。
弾性層としては、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、EPDMゴム、ポリウレタンゴム、エポキシゴム及びブチルゴムの如きゴム又はゴムの発泡体であるスポンジ;スチレン−ブタジエンサーモプラスチックエラストマー、ポリウレタン系サーモプラスチックエラストマー、ポリエステル系サーモプラスチックエラストマー、エチレン−酢ビサーモプラスチックエラストマーの如きサーモプラスチックエラストマーで形成することができる。
導電層は、体積抵抗率が好ましくは107Ω・cm以下、より好ましくは101〜106Ω・cmであることが良い。導電層としては、例えば、金属蒸着膜、導電性粒子分散樹脂、導電性樹脂等が用いられる。具体例としては、アルミニウム、インジウム、ニッケル、銅及び鉄の如き導電性金属の蒸着膜;カーボン、アルミニウム、ニッケル及び酸化チタンの如き導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体及びポリメタクリル酸メチルの如き樹脂中に分散した導電性粒子分散樹脂;4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン及びポリエチレンイミンの如き導電性樹脂が挙げられる。
抵抗層は、体積抵抗率が106〜1012Ω・cmの層であることが良い。抵抗層としては、半導性樹脂又は導電性粒子分散絶縁樹脂を用いることができる。半導性樹脂としては、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、共重合ナイロン、ポリビニルヒドリン又はカゼインが用いられる。導電性粒子分散樹脂としては、例えば、カーボン、アルミニウム、酸化インジウム、酸化チタンの如き導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリメタクリル酸メチルの如き絶縁性樹脂中に少量分散したものが挙げられる。
接触帯電部材としての導電性ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものが用いられる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート又はポリエステルが挙げられる。導電材としては、一般に知られている導電材が使用可能であり、例えば銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、金及び銀の如き導電性金属;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタンの如き導電性金属の酸化物;又はカーボンブラックの如き導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して選択して用いる。
導電性ブラシの形状としては、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当り1.5×107〜4.5×108本程度)のものが好ましく用いられる。
本発明の画像形成方法を添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の画像形成方法の実施例の一例としてプロセスカートリッジを有する画像形成装置を模式的に示した図である。
接触帯電手段である帯電ローラ31により感光体36を帯電し、レーザー光40で画像部分を露光して静電潜像を形成する。現像器32に収納されているトナー30をトナー塗布ローラ35及び塗布ブレード33によりトナー担持体34上に塗布し、トナー担持体34上のトナー層を感光体36の表面に接触させて感光体36上の静電潜像を反転現像法により現像し、トナー画像を感光体36上に形成する。トナー担持体34にはバイアス印加手段41により少なくとも直流バイアスが印加される。感光体36上のトナー画像は搬送されてくる転写材としての記録材38上へ、バイアス印加手段42によりバイアスが印加されている転写手段である転写ローラー37により転写され、記録材上に転写されたトナー画像は、加熱ローラと加圧ローラーとを有する加熱加圧定着手段43により定着される。
画像形成装置は、転写ローラー37による転写部と帯電ローラー31による帯電部との間に感光体36の表面に当接するブレード状のクリーニング部材39を有している。転写工程後の観光地36上の転写残トナーは、クリーニング部材39によって掻き取られクリーナーによって回収される。転写残トナーの除去された感光体36は、再度、帯電ローラー31で帯電され、帯電後にレーザー光40の露光により静電潜像が形成される。感光体36上の静電潜像は、トナー担持体34上のトナーにより現像される。現像工程後の感光体36上のトナー画像は、搬送されてくる記録材38上に転写ローラー37により転写される。転写工程後の感光体36は、クリーニング部材により転写残トナーの除去が行なわれた後、帯電ローラー31により再度帯電され、以後同様な工程が繰り返し実施される。
図2は、トナー担持体としての現像スリーブに対するトナーの供給に加えて、現像スリーブからの現像に寄与されたトナーのはぎ取りをより円滑に行うことのできる画像形成装置の他の例を示す。
図2において、1は感光ドラムで、その周囲に接触帯電手段である一次帯電ローラー2、現像手段である現像器8、接触、転写手段である転写帯電ローラー21、レジスタローラー19が設けられている。そして感光ドラム1は一次帯電ローラー2によって例えば−700Vに帯電される。バイアス印加手段5による印加電圧は直流電圧が例えば−1350Vである。そして、レーザー発生装置6によりレーザー光7を感光ドラム1に照射することによって露光され、デジタルな静電潜像が形成される。感光ドラム1上の静電潜像は現像器8によって非磁性一成分トナー15で現像され、転写材としての記録材20を介して感光ドラム1に当接されたバイアス印加手段24でバイアス電圧が印加されている転写ローラー21により記録材20上へ転写される。トナー画像26をのせた記録材20は搬送ベルト25により加熱ローラー38及び加圧ローラー29を有する加熱加圧定着器27へ運ばれ記録材20上に定着される。82は、クリーニング部材81を有するクリーナーであり、転写工程後の感光ドラム上の転写残トナーは、クリーニング部材81で掻き取られクリーナー82よって回収される。
帯電ローラー2は、中心の芯金4とその外周を形成した導電性弾性層3とを基本構成とするものである。
現像器8は図3及び図4に示すように感光ドラム1にトナー担持体としての現像スリーブ9上のトナー層が接触し、バイアス印加手段18でバイアスが印加されている芯金10及び弾性層11を有する弾性ローラー9からなるトナー担持体としての現像スリーブが配設される。現像器8内にはバイアス印加手段17でバイアスが印加されている芯金13と弾性層14を有するトナー塗布ローラー13が配設されている。現像スリーブ9に付着して搬送されるトナー量を規制する部材として、トナー規制ブレード16が配設されトナー規制ブレード16の現像スリーブ9に対する当接圧により現像領域に搬送されるトナー量(トナー層厚)が制御される。現像領域では、現像スリーブ9に少なくとも直流の現像バイアスが印加され、現像スリーブ上トナー層は、感光ドラム1表面に接触し、静電潜像に応じて感光ドラム1上に転移してトナー画像を形成する。
感光ドラム1の明部電位が0〜250Vであり、暗部電位が300〜1000Vである場合に、バイアス印加手段17により印加される供給バイアス電圧が100〜900Vであり、バイアス印加手段18により印加される現像バイアス電圧が100〜900Vであることが好ましい。さらに、バイアス印加手段17により印加される供給バイアス電圧は、バイアス印加手段18により印加される現像バイアス電圧よりも絶対値で10〜400V大きい方が、非磁性トナー15の現像スリーブ9への供給及び非磁性トナーの現像スリーブ9からのはぎ取りが円滑におこなわれるので好ましい。
現像スリーブ9の回転方向に対して、トナー塗布ローラ12は、矢印で示す通りお互いの表面がカウンター方向に移動する(回転方向は同方向)ことが、非磁性トナーの供給及びはぎ取りの点で好ましい。
上記図1又は図2で示す画像形成装置においては、中間転写体を用いず像担持体上に形成されたトナー画像を直接記録材に転写するタイプの画像形成方法を採用するものである。
次に、像担持体上に形成されたトナー画像を転写材としての中間転写体に第1の転写を行ない、中間転写体上に転写されたトナー画像を記録材に第2の転写を行なう画像形成方法について、図4に示す画像形成装置を用いて説明する。
図4において、像担持体としての感光体ドラム51に対抗し接触回転する帯電ローラー52により感光体ドラム51上に表面電位を持たせ露光手段53により静電潜像を形成する。静電潜像は一成分接触現像方式の現像器54,55,56,57によりマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナー及びブラックトナーの4色のトナーによって、現像されフルカラーのトナー画像が形成される。現像時には、各現像器54,55,56及び57のいずれか1つが移動することにより、感光体ドラム51の表面に現像器のトナー担持体が当接して現像が行なわれ、現像後に再度元の位置に現像器が移動することにより、感光体ドラム51の表面からトナー担持体が離間する。この動作が各現像器ごとに4回くり返される。該トナー画像は一色ごとに中間転写体58上に転写され、複数回繰り返される
ことにより、多重トナー像が形成される。
中間転写体58はドラム状のものが用いられ、外周面に保持部材を張設したもの、基材上に導電付与部材、例えばカーボンブラック,酸化亜鉛,酸化錫,炭化珪素又は酸化チタン等を十分分散させた弾性層(例えばニトリルブタジエンラバー)を有するものが用いられる。ベルト状の中間転写体を用いても良い。
中間転写体58は、支持部材59の表面に形成した硬度が10〜50度(JIS K−6301)の弾性層60を有するドラム状のものや、転写ベルトの場合では転写材(記録材)への転写部でこの硬度を有する弾性層150を持つ支持部材で構成されていることが好ましい。
感光体ドラム51から中間転写体58への転写は、電源66より中間転写体58の支持部材としての芯金59上にバイアスを付与することで転写電流が得られトナー画像の転写が行なわれる。保持部材又はベルトの背面からのコロナ放電やローラー帯電を利用しても良い。
中間転写体58上の多重トナー画像は、転写手段61により記録材S上に一括転写される。転写手段はコロナ帯電器や転写ローラー、転写ベルトを用いた接触静電転写手段が用いられる。
トナー画像を有する記録材Sは、加熱体67を内部に有する定着部材としての定着ローラー68とこの定着ローラー68と圧接する加圧ローラー69とを有する加熱定着装置70の定着ローラー68と加圧ローラー69との当接ニップ部を、記録材Sが通過することにより、記録材Sにトナー画像の定着が行なわれる。
本発明で用いられるカーボンブラックを含有しているトナーは、ブラックトナーとして上記の画像形成装置の現像器54、55、56及び57から選択される1つの現像器に用いられ、残りの3つの現像器には、3色の有彩色のカラートナーが用いられるものである。そして本発明で用いるブラックトナーは、有彩色のカラートナーとを組み合わせてカラー画像又はフルカラー画像の形成に或いはブラックトナーのみによりモノクロ画像の形成に用いられるものである。
図4において、63は、第1の転写後に感光体ドラム51の表面上に残存するトナーを除去するためのクリーニング部材62を有するクリーナー(第1のクリーニング手段)であり、クリーニング部材62は、感光体ドラム51の表面に当接している。65は、第2の転写後に中間転写体58の表面上に残存するトナーを除去するためのクリーニング部材64を有するクリーナー(第2のクリーニング手段)である。
以下、トナーおよび感光体ドラムの具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明する。
表1に示すカーボンブラックを用意した。
(マスターバッチ分散液1〜19の調製)
下記表2に示す通り、スチレン単量体2000gに対して、カーボンブラックa〜l及び分散剤をそれぞれ表2に示す種類及び添加量で組み合わせたものをアトライター1S(三井鉱山社製)に添加し、2mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmにて温度25℃で180分間撹拌を行ない、スチレン単量体にカーボンブラック及び分散剤が分散されたマスターバッチ分散液1〜19を作製した。得られたマスターバッチ分散液1〜19の粘度を表2に示す。
〔重合トナーの製造例A〕
2リットル用四つ口フラスコ中のイオン交換水700gに、0.1M−Na3PO4水溶液500gを投入し、60℃に加温した後、高速撹拌装置TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液76gを徐々に添加し、微小な難水溶性分散安定剤を含む水系媒体を得た。
(前分散液)マスターバッチ分散液1 100g
(モノマー)スチレン 66g
n−ブチルアクリレート(n−BA) 34g
(極性レジン)飽和ポリエステル(プロポキシ化ビスフェノールとテレフタル酸との縮合物,酸価14,ピーク分子量7000) 8g
(離型剤)エステルワックス(融点65℃) 30g
上記処方を60℃に加温、均一に溶解し、分散した。これに、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2 雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて12000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ(50rpm)、同温度で5時間反応させた後、80℃に昇温し、さらに5時間反応させた。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、ろ過、水洗、乾燥して、重量平均粒径約6.9μmのシャープな黒色重合粒子(ブラックトナー粒子)を得た。
得られたブラックトナー粒子100重量部に対して、BET法による比表面積が140m2/gである疎水性シリカを1.6重量部外添し、重合トナーAを得た。得られたトナーの物性を表4に示した。
〔重合トナーの製造例B〜F〕
アゾ系鉄錯体化合物(1)の添加量を表2に示すように変更したマスターバッチ分散液2−6を用いることを除いては、〔重合トナーの製造例A〕と同様にして重合トナーB〜Fを作製した。得られたトナーの物性を表4に示した。
〔重合トナーの製造例G〕
カーボンブラックaのかわりに表1に示すカーボンブラックbを用いたマスターバッチ分散液7を用いることを除いては、〔重合トナーの製造例A〕と同様にして重合トナーGを作製した。得られたトナーの物性を表4に示した。
〔重合トナーの製造例H,I〕
0.1M−Na3PO4水溶液と1.0M−CaCl2水溶液の量を調整することで粒度の異なるトナーを〔重合トナーの製造例G〕と同様にして重合トナーH,Iを作製した。得られたトナーの物性を表4に示した。
〔重合トナーの製造例J〜R〕
カーボンブラックaのかわりに表1に示すカーボンブラックc〜lを用いたマスターバッチ分散液8−17を用いることを除いては、〔重合トナーの製造例A〕と同様にして重合トナーJ〜Rを作製した。尚、マスターバッチ分散液16は、粘度が高すぎてしまい取り出すことができず、トナーを得ることはできなかった。得られたトナーの物性を表4に示した。
〔重合トナーの製造例S,T〕
アゾ系鉄化合物(1)のかわりにアゾ系クロム化合物及びジターシャリーブチルサリチル酸の亜鉛化合物をそれぞれ用いたマスターバッチ分散液18及び19を用いることを除いては、〔重合トナーの製造例A〕と同様にして重合トナーS,Tを作製した。得られたトナーの物性を表4に示した。
〔重合トナーの製造例U、V〕
重合性単量体組成物の処方を表3に示す通り変更することを除いては、〔重合トナーの製造例A〕と同様にして重合トナーU、Vを作製した。得られたトナーの物性を表4に示した。
〔重合トナーの製造例W〜Z〕
重合性単量体組成物に含まれるスチレン単量体の一部分をジビニルベンゼンに変更することを除いては、〔重合トナーの製造例A〕と同様にして重合トナーW〜Zを作製した。
得られたトナーの物性を表4に示した。
〔重合トナーの製造例AA、BB〕
重合開始剤の添加量と重合反応時の温度条件を変更することを除いては、〔重合トナーの製造例A〕と同様にして重合トナーAA、BBを作成した。得られたトナーの物性を表4に示した。
上記重合トナーA〜Z、AA、BBの処方を表3に示す。
(感光体製造例1)
直径30mm、長さ254mmのアルミニウムシリンダーを基体とした。この基体に、次に示す構成の層を順次浸漬塗布により積層して、感光体1を作製した。
(1)導電性被覆層:酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚15μm。
(2)下引き層:変性ナイロン及び共重合ナイロンを主体とする。膜厚0.6μm。
(3)電荷発生層:長波長域に吸収を持つアゾ顔料をブチラール樹脂に分散したものを主体とする。膜厚0.6μm。
(4)電荷輸送層:ホール搬送性トリフェニルアミン化合物をポリカーボネート樹脂(オストワルド粘度法による分子量2万)に8:10の重量比で溶解したものを主体とし、さらにポリ4フッ化エチレン粉体(粒径0.2μm)を総固形分に対して10重量%添加し、均一に分散した。膜厚25μm。
得られた感光体1の表面の水に対する接触角は95度であった。
接触角の測定は、純水を用い、装置は、協和界面科学(株)、接触角計CA−DS型を用いた。
(感光体製造例2)
電荷輸送層にポリ4フッ化エチレン粉体(粒径0.2μm)を添加しなかったことを除いては感光体製造例1と同様にして膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、感光体2を作製した。
得られた感光体2の表面の水に対する接触角は79度であった。
〈実施例1〉
画像形成装置として600dpiのレーザービームプリンタ(キヤノン製:LBP−8Mark IV)を用意した。この装置を改造し、プロセススピード80mm/s(トナー担持体スピード可変)、LTRサイズ紙で毎分12枚プリントした。図2に示すように、この装置は直流及び交流成分を印加した帯電ローラー32を用い感光体36(30φ)を一様に帯電する。このとき、直流成分は定電圧に制御し、交流成分は定電流に制御する。帯電に次いで、レーザー光40で画像部分を露光することにより静電潜像を形成し、トナー30により可視画像としてトナー画像を形成した後に、電圧を印加した転写ローラー37によりトナー画像を転写材38に転写するプロセスを持つ。
次に、プロセスカートリッジにおける現像容器32を改造した。トナー供給体であるマグネットを内包したアルミニウムスリーブの代わりにカーボンブラックを分散して抵抗を調整したシリコーンゴムからなる中抵抗ゴムローラ(16φ)をトナー担持体34とし、感光体36に当接した。トナー担持体34の表面の移動方向及び回転周速は、感光体表面との接触部分において同方向であり、該感光体回転周速に対し150%となるように駆動する。つまり、トナー担持体の周速は120mm/sであり、感光体表面に対する相対速度は80mm/sである。
トナー担持体にトナーを塗布する手段として、現像部分に塗布ローラー35を設け、該トナー担持体に当接させた。接触部において、塗ローラー35の表面の移動方向が、トナー担持体の移動方向と反対方向に移動するように回転させることによりトナーをトナー担持体上に塗布した。さらに、該トナー担持体上トナーのコート層制御のために、樹脂をコートしたステンレス製ブレード33を取付けた。クリーニング部材39としてウレタンゴムからなるブレードを用いてある。
感光体としては、(感光体製造例1)で製造した感光体1を用い、トナーはトナーAを用い、以下の現像条件を満足するようプロセス条件を設定した。
感光体暗部電位 −700V
感光体明部電位 −150V
現像バイアス −450V(直流成分のみ)
トナーを補給しつつ1000枚の連続画出し試験を行い、画像評価を行ったが、画像濃度、飛び散り抑制、カブリ抑制、転写性ともに良好であり、クリーニング不良も発生せず、初期と同等の画像品質を得た。感光体、現像ローラー共に観察したが、融着もなく交換することを必要としなかった。
(評価方法)
(1)画像濃度
一辺が5mmの正方形のベタ黒画像を形成し、Macbeth社製の画像濃度測定機RD918を用いて、ベタ黒画像の画像濃度を測定した。
(2)飛び散り
飛び散りの評価は、以下の通りグラフィカルな画像の画質に関わる微細な細線での飛び散り評価であり、文字ラインにおける飛び散りよりも、より飛び散りやすい1ドットライン画像をプリントアウトした際のラインの再現性とライン周辺部のトナーの飛び散りを目視で評価した。
A:飛び散りがほとんど発生せず、良好なライン再現性を示す
B:軽微な飛び散りが見られる
C:飛び散りが見られるがライン再現性に対する影響少ない
D:顕著な飛び散りが見られ、ライン再現性に劣る
(3)転写性
転写性はベタ黒画像形成時の感光体上の転写残トナーを、マイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、はぎ取ったマイラーテープを紙上に貼ったもののマクベス濃度から、マイラーテープのみを紙上に貼ったもののマクベス濃度を差し引いた数値で評価した。したがって、数値の小さいほど転写性が良好である。
(4)カブリ
カブリはベタ白画像形成時の感光体上の転写残トナーを、マイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、はぎ取ったマイラーテープを紙上に貼ったもののマクベス濃度から、マイラーテープのみを紙上に貼ったもののマクベス濃度を差し引いた数値で評価した。したがって、数値の小さいほどカブリ抑制が良好である。
(5)解像度
解像力は潜像電界によって電界が閉じやすく、再現しにくい図6に示す様な600dpiの50μm小径孤立ドットの再現性によって評価した。
A:100個中の欠損が5個以下
B:100個中の欠損が6〜10個
C:100個中の欠損が11〜20個
D:100個中の欠損が20個以上
(6)ローラー
現像とのマッチング
プリントアウト試験終了後、現像ローラー表面への残留トナーの固着の様子とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
A:非常に良好(未発生)
B:良好(ほとんど発生せず)
C:普通(固着があるが、画像への影響が少ない)
D:悪い(固着が多く、画像ムラを生じる)
(7)感光体ドラムとのマッチング
プリントアウト試験終了後、感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト画像への影響を目視で評価した。
A:非常に良好(未発生)
B:良好(わずかに傷の発生が見られるが、画像への影響はない)
C:普通(固着や傷があるが、画像への影響が少ない)
D:悪い(固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生じる)
(8)定着装置とのマッチング
プリントアウト試験終了後、定着ローラー表面の傷や残留トナーの固着状況を目視で評価した。
A:非常に良好(未発生)
B:良好(わずかに固着が見られるものの、画像への影響はない)
C:普通(固着や傷があるが、画像への影響が少ない)
D:悪い(固着が多く、画像欠陥を生じる)
評価結果を表5に示す。
〈実施例2〉
下記以外は実施例1と同様にして行った。
トナー担持体の表面の移動方向が、感光体表面との接触部分において同方向であり、該感光体回転周速に対し200%となるように駆動した。該トナー担持体の周速は160mm/sであり、感光体表面に対する相対速度は80mm/sである。
トナーはトナーBを用い、以下の現像条件を満足するようプロセス条件を設定した。
現像バイアス −500V(直流成分のみ)
トナーを補給しつつ1000枚の耐久試験を行ったが、画像濃度、カブリ抑制、転写性ともに良好であり、クリーニング不良も発生せず、初期と同等の画像品質を得た。また、感光体、現像ローラー共に観察したが、融着等もなく交換することを必要としなかった。評価結果を表5に示す。
〈実施例3〜6〉
トナーとして、重合トナーB〜Eを使用する以外は実施例1と同様にして評価した。結果は表5に示すように、概ね良好な結果を得た。
〈比較例1〉
実施例1において、重合トナーFと感光体製造例2の感光体2を用いたことを除いては同様の試験を行った。
以下の現像条件を満足するようプロセス条件を設定した。
現像バイアス −350V(直流成分のみ)
500枚時に、クリーニング不良が発生した。クリーニング不良が発生する度に、クリーニングブレードを清掃しながら耐久を続けたところ1000枚時に、ベタ黒画像一部に感光体周期でトナー融着に起因する白ポチが発生した。
そこで感光体を交換したところ白ポチは消えたが、画像濃度は初期のレベルまでは回復しなかった。50μmの孤立ドットの再現が不十分でライン画像も飛び散りが目立つものであった。その結果を表5に示した。
〈実施例7〜14〉
トナーとして、重合トナーG,J〜Pを使用することを除いては実施例1と同様にして評価した。結果は表5に示すように、概ね良好な結果を得た。
〈比較例2,3〉
トナーとして、重合トナーQ,Rを使用することを除いては実施例1と同様にして評価した。結果は表5に示すように、トナーに用いたカーボンブラックが本発明中の特定のカーボンブラックではないため、良好な結果が得られなかった。
重合トナーQでは、クリーニング不良による顕著な画像汚れを生じ、重合トナーRでは、1000枚時に軽微なクリーニング不良を生じるとともに、画像濃度が低かった。
〈比較例4,5〉
トナーとして、重合トナーS,Tを使用することを除いては、実施例1と同様にして評価した。結果は、表5に示すように、トナーに用いた分散剤が本発明中の特定のアゾ系鉄化合物でないため、良好な結果が得られなかった。重合トナーSは初期こそ良好であったが、1000枚時に画像濃度の低下等を招いた。又、重合トナーTは画像濃度が低く、その他の特性も十分なものではなかった。
〈実施例15〜22〉
トナーとして、重合トナーU〜Z、AA、BBを使用することを除いては、実施例1と同様にして評価した。結果を表5に示す。
〈実施例23〜31〉
トナーとして、重合トナーG〜Iを使用し、それぞれの外添剤(BET法による比表面積が140m2/gである疎水性シリカ)添加量を0.5%、1.8%、3.0%と変化させたことを除いては、実施例1と同様にして評価した。結果は表6に示すように、外添剤添加量を0.5%では、カブリの増加に伴う転写残トナー量がやや多く、3.0%では定着性がやや劣るが、概ね良好な結果を得た。
〈実施例32〉
実施例1で用いた電子写真装置において、現像容器32中のトナー塗布ローラ35として、単層構造のスポンジローラーを用い、このトナー塗布ローラ35に図示されていないバイアス印加手段からバイアス電圧を印加するように変更することを除いては、実施例1と同様にして実施例1と同様にして画像形成を行ない評価を行なった。
この現像時の現像ローラー34には現像バイアス電圧として、直流成分のみを−300Vを印加し、トナー塗布ローラ35には塗布バイアス電圧として直流成分のみを−450V印加した。
実施例1と同様に評価したところ、画像濃度やカブリ抑制ともに安定して良好であり、クリーニング不良も発生せず、優れた画像品質を得た。画像形成装置とのマッチングも良好であった。
〈実施例33〉
重合トナー製造例Aで製造した重合トナーAを図4に示す画像形成装置の現像器57に用いて画像形成を行なった。
画像形成装置には、図4に示す通り、第1の転写工程後、感光体表面に残存するトナーを除去するための第1のクリーニング手段として、感光体表面に当接するクリーニング部材を有するクリーナーが第1の転写部と感光体を帯電する帯電部との間に設けられており、さらに、第2の転写工程後、中間転写体表面に残存するトナーを除去するための第2のクリーニング手段として、中間転写体表面に当接するクリーニング部材を有するクリーナーが第2の転写部より下流側であり、第1の転写部よりも下流側に設けられている。
現像器57としては、図2及び図3に示す現像器8の構成のものを用いた。
カーボンブラックを分散して抵抗を調整したシリコーンゴムからなる中抵抗ゴムローラ(16φ)をトナー担持体9とし、感光体に当接した。トナー担持体9の表面の移動方向及び回転周速は、感光体表面との接触部分において同方向であり、該感光体回転周速に対し150%となるように駆動する。つまり、トナー担持体の周速は120mm/sであり、感光体表面に対する相対速度は80mm/sである。
トナー担持体にトナーを塗布する手段として、単層構成のスポンジローラを塗布ローラ12として設け、該トナー担持体に当接させた。接触部において、塗布ローラの表面の移動方向がトナー担持体の移動方向と反対方向に移動するように回転させることによりトナーをトナー担持体上に塗布した。さらに、該トナー担持体上トナーのコート層制御のために、樹脂をコートしたステンレス製ブレード16を取付けた。
感光体としては、(感光体製造例1)で製造した感光体1を用い、トナーはトナーAを用い、以下の現像条件及び転写体を満足するよう画像形成条件を設定した。
感光体暗部電位:−700V
感光体明部電位:−150V
現像ローラーに印加する現像バイアス:−450V(直流成分のみ)
トナー塗布ローラに印加するバイアス:−300V(直流成分のみ)
第1の転写工程で中間転写性に印加する転写バイアス:300V(直流成分のみ)
第2の転写工程で転写ローラに印加する転写バイアス:1000V(直流成分のみ)
上記の画像形成条件によって、記録材上に転写されたトナー画像は、以下の加熱定着装置によって、記録材に加熱定着した。
加熱定着装置70にはオイル塗布機能のない熱ロール方式の定着装置を用いた。この時上部ローラー68、下部ローラー69共にフッ素系樹脂の表面層を有するものを使用し、ローラーの直径は55mmであった。また、定着温度は140℃、ニップ幅を7mmに設定した。
上記の構成の画像形成装置を用いてトナーを補給しつつ2000枚の連続画出し試験を行い、画像評価を行ったが画像濃度、飛び散り抑制、カブリ抑制、転写性ともに良好であり、クリーニング不良も発生せず、初期と同等の画像品質を得た。感光体、現像ローラー、中間転写体共に観察したが、融着もなく交換することを必要としなかった。