JP2006152434A - 高炉操業方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 羽口から補助還元材として気体還元材、及び揮発分33mass%未満の微粉炭を吹込む高炉操業方法において、微粉炭と気体還元材の吹込み量の合計に対する微粉炭の揮発分量と気体還元材量の合計の質量比率が33mass%以上となるように気体還元材を吹込み、かつ補助還元材の酸素過剰率が0.6以上となるように吹込む。
【選択図】 図1
Description
そこで、高炉操業におけるコークスの使用量低減による銑鉄製造コストの削減が望まれている。
微粉炭使用技術に関して、高揮発分、低揮発分に関係なく、できるだけ幅広い銘柄、種類の炭材が高炉への吹き込み微粉炭として使用できることが、エネルギーの安全供給や価格の安定化面からも望ましいとの観点から、低揮発分炭をいかにして高炉への吹き込み用微粉炭として使用するかについて以下の技術が提案されている。
使用する石炭の揮発分が低い場合、高揮発分の石炭と混合して用いることにより微粉炭の燃焼効率を改善する(特許文献1参照)。
なお、置換率とは吹込み燃料の単位吹込み量あたり炉上部から投入されるコークスをどれだけ減少しえたかで表される指標である。
もっとも、複数の粉砕機で混合すれば上記の問題は生じないが、大量の石炭を微粉砕するための粉砕機は非常に高価であり、多大な設備費用を要するという問題がある。
このような燃焼挙動を前提にすると、低揮発分の石炭は着火源となる揮発分量が少ないために固定炭素の燃焼が遅延し、その結果燃焼性に劣ることになる。
ここで言う揮発分、固定炭素それぞれは工業分析法(JIS M 8812)に定められた方法によって分析可能なものであり、個々の石炭の種類により異なる値を持つものである。また、微粉炭は通常乾燥して用いられるため、無水基準の値を用いた。
なお、酸素過剰率とは、吹き込み還元材が完全燃焼するために必要な酸素量に対する供給酸素量の比を言う。
ここにいうガス成分比を、次の「式1」で定義する。
図2のグラフから高置換率を得る条件は、式1で示されるガス成分比が33mass%以上であることが分かる。このことを式で表現すると、次の式2になる。
微粉炭の吹込み量が増大した場合や、揮発分量が極めて少ない石炭を使用する場合、微粉炭の着火源となるべき気体還元材の吹込み量もまた増大していく。発明者らは微粉炭あるいは気体還元材の燃焼には酸素が必要なことから酸素過剰率に着目した。
そして、酸素過剰率と炉頂ダスト中の炭素濃度との関係を調べ、これをグラフ化したものを図3に示す。
他方、酸素過剰率0.6未満での著しい炭素濃度の上昇は補助燃料の未燃物であると考えることができる。このことから、すすや未燃物の排出を防止するには、酸素過剰率を0.6以上とすることが必要である。
なお、補助還元材の吹込み量については、気体還元材の吹込み量、微粉炭の吹込み量、合成樹脂の吹込み量のさまざまな組み合わせがあるが、上記のように酸素過剰率で整理すると、還元材の組み合わせによらず、酸素過剰率と炉頂ダスト中炭素濃度は一義的に決定される。
図2および図3の関係から微粉炭吹込み比と気体還元材吹込み比の適正範囲を図示すると図1を得る。なお、図1においては気体還元材としてLNGを例に示しているが、例えば気体還元材がコークス炉ガス(COG)や液化石油ガス(LPG)の場合には、微粉炭吹込み比と気体還元材吹込み比の適正範囲はそれぞれ図5、図6に示すようになる。
しかしながら、合成樹脂は延性をもつため冷凍粉砕など特殊な方法によらなければ微粉砕することができない。このため逆に数ミリから十数ミリの粒子に造粒して吹込まれるのが現状である。
また、本発明の実施の形態に係る高炉操業方法では、気体還元材は気体還元材Aとしてメタンガス、気体還元材Bとしてコークス炉ガス(COG)および気体還元材Cとして液化石油ガス(LPG)を用いた。また、用いた微粉炭、合成樹脂、気体還元材の各分析値を表1に示した。
本実施の形態に係る高炉操業方法の実施例1〜9を表2に示し、比較例1〜9を表3に示す。
ここで還元材比の基準として510kg/t-pを選定した理由は、従来の操業において、微粉炭として高揮発分炭を吹込んだ場合、すなわち微粉炭の燃焼性が高く、高い置換率が達成されている場合において高炉の還元材比が510kg/t-p以下で推移していた実績に基づいたものである。
実施例2は気体還元材Aおよび石炭Aを用いてガス成分比を57.8、酸素過剰率を0.84とした場合を示す。微粉炭の置換率は0.83と高く、還元材比は509kg/t-pで510kg/t-pを下回った。
実施例3は気体還元材Aおよび石炭Bを用いてガス成分比を42.8、酸素過剰率を1.42とした場合を示す。微粉炭の置換率は0.82と高く、還元材比は508kg/t-pで510kg/t-pを下回った。
実施例4は気体還元材Aおよび石炭Aおよび合成樹脂を用いてガス成分比を39.6、酸素過剰率を1.35とした場合を示す。微粉炭の置換率は0.82と高く還元材比は508kg/t-pで510kg/t-pを下回った。
実施例5は気体還元材Aおよび石炭Bおよび合成樹脂を用いてガス成分比を42.8、酸素過剰率を1.13とした場合を示す。微粉炭の置換率は0.82と高く還元材比は508kg/t-pで510kg/t-pを下回った。
実施例7は気体還元材B、石炭Bおよび合成樹脂材を用いてガス成分比を42.8、酸素過剰率を1.43とした場合を示す。微粉炭の置換率は0.82と高く還元材比は508kg/t-pで510kg/t-pを下回った。
実施例8は気体還元材C、石炭Bおよび合成樹脂材を用いてガス成分比を42.8、酸素過剰率を1.49とした場合を示す。微粉炭の置換率は0.84と高く還元材比は507kg/t-pで510kg/t-pを下回った。
実施例9は気体還元材C、石炭Bおよび合成樹脂材を用いてガス成分比を42.8、酸素過剰率を1.37とした場合を示す。微粉炭の置換率は0.84と高く還元材比は507kg/t-pで510kg/t-pを下回った。
以上のように、実施例1〜実施例9の場合、微粉炭置換率はいずれも0.8を超える高い値を示し、合計の還元材比も510kg/t-pを下回る良好な操業を継続することができた。
比較例2は気体還元材Aおよび石炭Aを用いてガス成分比を55.5、酸素過剰率を0.56とした場合を示す。ガス成分値は十分だが酸素過剰率が小さく吹込み還元材の燃焼に必要な酸素が不足するため微粉炭の置換率は0.57と低く還元材比は542kg/t-pで510kg/t-pを上回った。
比較例4は気体還元材Aおよび石炭Aおよび合成樹脂を用いてガス成分比を29.6、酸素過剰率を1.59とした場合を示す。ガス成分値が小さく微粉炭の着火・燃焼が遅延するため微粉炭の置換率は0.78と低く還元材比は511kg/t-pで510kg/t-pを上回った。
比較例5は気体還元材A、石炭Bおよび合成樹脂を用いてガス成分比を69.5、酸素過剰率を0.59とした場合を示す。ガス成分値は十分だが酸素過剰率が小さく吹込み還元材の燃焼に必要な酸素が不足するため微粉炭の置換率は0.68と低く還元材比は515kg/t-pで510kg/t-pを上回った。
比較例7は気体還元材Bおよび石炭Aを用いてガス成分比を51.7、酸素過剰率を0.59とした場合を示す。ガス成分値は十分だが酸素過剰率が小さく吹込み還元材の燃焼に必要な酸素が不足するため微粉炭の置換率は0.53と低く還元材比は555kg/t-pで510kg/t-pを上回った。
比較例8は気体還元材Cおよび石炭Bを用いてガス成分比を23.8、酸素過剰率を2.21とした場合を示す。ガス成分値が小さく微粉炭の着火・燃焼が遅延するため微粉炭の置換率は0.72と低く還元材比は513kg/t-pで510kg/t-pを上回った。
比較例9は気体還元材C、石炭Aおよび合成樹脂材を用いてガス成分比を29.6、酸素過剰率を1.96とした場合を示す。ガス成分値が小さく微粉炭の着火・燃焼が遅延するため微粉炭の置換率は0.72と低く還元材比は513kg/t-pで510kg/t-pを上回った。
このことから、微粉炭と気体還元材の吹込み量に対する微粉炭の揮発分量と気体還元材量の合計の質量比率が33mass%以上となるように気体還元材を吹込み、かつ補助還元材の酸素過剰率が0.6以上となるように吹込むようにすることにより、低微粉炭の燃焼性を改善できると共にすすや未燃物の排出を防止できことの実証がされたものと認められる。
2 送風管
3 微粉炭吹込みランス
4 合成樹脂吹込みランス
5 気体還元材吹込みランス
Claims (2)
- 羽口から補助還元材として気体還元材、及び揮発分33mass%未満の微粉炭を吹込む高炉操業方法において、微粉炭と気体還元材の吹込み量の合計に対する微粉炭の揮発分量と気体還元材量の合計の質量比率が33mass%以上となるように気体還元材を吹込み、かつ補助還元材の酸素過剰率が0.6以上となるように吹込むことを特徴とする高炉操業方法。
- 羽口から補助還元材として気体還元材、及び揮発分33mass%未満の微粉炭ならびに合成樹脂を吹込む高炉操業方法において、微粉炭と気体還元材の吹込み量の合計に対する微粉炭の揮発分量と気体還元材量の合計の質量比率が33mass%以上となるように気体還元材を吹込み、かつ補助還元材の酸素過剰率が0.6以上となるように吹込むことを特徴とする高炉操業方法。
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