以下,本発明の好ましい実施の形態を,基板の一例としてのウェハを洗浄する処理システムに基づいて説明する。図1に示すように,処理システム1には,複数枚のウェハWを収納したキャリアCを搬入出するキャリア搬入出部2,キャリアCからウェハWを取り出すウェハ搬送ユニット3,処理ユニット5が備えられている。キャリア搬入出部2は,前後方向(X軸方向)においてウェハ搬送ユニット3の前方に配置されている。処理ユニット5は,X軸方向においてウェハ搬送ユニット3の後方に配置されている。また,処理ユニット5の後方には,処理ユニット5において使用する処理液を貯蔵又は生成する処理液貯蔵ユニット6,処理システム1に配設された各種の電動駆動機構や電子制御装置のための電源と制御装置が収納された電源・制御ボックス7,処理液貯蔵ユニット6内の処理液を処理ユニット5に供給する際の制御等を行う処理液貯蔵ユニット制御ボックス8などが設置されている。
キャリアCの一側面には,ウェハWをキャリアC内に対して搬入出するための開口13が形成されている。また,図示はしないが,キャリアCの内壁には,複数個,例えば25個のスロットが所定間隔を空けて形成されている。ウェハWは各スロットに1枚ずつ収容されており,互いに略平行な姿勢で所定間隔を空けて配列された状態で,キャリアC内に収納されている。
キャリア搬入出部2には,2個のキャリア載置台15A,15Bが,左右方向(Y軸方向)に並べて設けられている。キャリアCは,開口13をキャリア搬入出部2に向け,ウェハWを略水平にした状態で,各キャリア載置台15A,15B上にそれぞれ載置される。
ウェハ搬送ユニット3には,ウェハWを搬送する基板搬送装置20が備えられている。図2に示すように,基板搬送装置20は,ウェハWを1枚ずつ略水平に保持する2本の搬送アーム21A,21Bを備えている。また,各搬送アーム21A,21Bを水平方向に個別にスライドさせるスライド機構22を備えている。スライド機構22は,スライド機構22を鉛直方向(Z軸方向)の回転中心軸を中心として回転させる回転機構23に支持されている。さらに,基板搬送装置20には,回転機構23をZ軸方向に昇降させる昇降機構24が備えられ,昇降機構24は,昇降機構24をY軸方向に移動させる水平移動機構25に支持されている。そして,スライド機構22,回転機構23,昇降機構24,水平移動機構25を各々駆動させることにより,各搬送アーム21A,21Bによって,各キャリア載置台15A,15Bに載置されたキャリアCからウェハWを一枚ずつ取り出し,後述する処理ユニット5内の基板姿勢変換移動装置30A,30Bに受け渡し,また,基板姿勢変換移動装置30A,30BからウェハWを一枚ずつ取り出して各キャリアCに収納できるように構成されている。
処理ユニット5は,筐体28を備えている。筐体28の内部には,ウェハWを複数枚保持して搬送する2個の基板姿勢変換移動装置30A,30B,及び,基板姿勢変換移動装置30A,30BをY軸方向に移動させる移動機構31を備えた基板搬送エリア32と,ウェハWを収納して処理する基板処理室としてのチャンバ33を備えた処理エリア34とが設けられている。基板搬送エリア32は,処理エリア34の前方(ウェハ搬送ユニット3側)に配置されている。筐体28の前側面には,基板搬送装置20の搬送アーム21A,21Bを基板搬送エリア32内に進入及び退出させるための開口35A,35Bが,ウェハ搬送ユニット3側からみて右側と左側にそれぞれ形成されている。図2に示すように,筐体28の天井部には,搬送エリア31と処理エリア34にダウンフローを供給するFFU(ファンフィルターユニット)36が備えられている。なお,基板姿勢変換移動装置30A,30B,移動機構31,チャンバ33は,筐体28とともに処理システム1本体に一体的に組み込むことが可能な,また,処理システム1本体から一体的に取り外すことが可能なユニットとして構成されている。さらに,FFU36も,上記のユニットに含めるようにしても良い。
基板姿勢変換移動装置30A,30Bは,ウェハ搬送ユニット3側からみてチャンバ33の正面の右側と左側に,Y軸方向に並べて設けられており,互いに同様の構成を有する。図3に示すように,各基板姿勢変換移動装置30A,30Bは,ウェハWを複数枚並べて保持可能な基板保持体41を備えている。さらに,基板保持体41を水平方向の回転中心軸を中心として回転させて水平保持状態から鉛直保持状態に姿勢変換する保持体姿勢変換機構43と,基板保持体41及び保持体姿勢変換機構43を一体的にX軸方向に移動させる保持体移動機構45とを備えている。
基板保持体41は,ウェハWの周縁部を保持する4本の保持部材51A,51B,51C,51D,及び,後述するチャンバ33の開口を閉塞するための略円板形状の蓋52を備えている。図3において,蓋52は略水平に支持されている。保持部材51A〜51Dは,蓋52の一平面(図3においては下面)52aに取り付けられ,Z軸方向に向けて延設されている。保持部材51A〜51Dのうち,保持部材51A,51Bは,Y軸方向において平面52aの中央部を挟んで互いに対向する位置に設けられている。また,保持部材51C,51Dは,保持部材51A,51BよりもX軸方向において後側に配置されている。
各保持部材51A,51B,51C,51Dには,複数個(例えば25個)の保持溝53が,所定間隔を空けてZ軸方向に並べて形成されている。ウェハWは,各保持部材51A,51B,51C,51Dの保持溝53に周縁部の4箇所がそれぞれ挿入された状態で,略水平に保持される。そして,各保持溝53にウェハWが挿入されることにより,複数枚のウェハWが所定間隔を空けて互いに平行な姿勢で保持されるようになっている。また,図4に示すように,保持部材51A,51Bの間を通じて,搬送アーム21A(21B)を進入,退出させることにより,ウェハWを保持部材51A〜51Dに受け渡し,また,保持部材51A〜51Dから取り出すことができるようになっている。
なお,各保持部材51A〜51Dにおける保持溝53の間の間隔は,キャリアCに形成されたスロットの間の間隔より小さいことが好ましい。即ち,保持部材51A〜51Dによって保持されたウェハW同士の間の間隔は,キャリアCに収納されたウェハW同士の間の間隔よりも小さいことが好ましい。この場合,基板保持体41の保持部材51A〜51Dの長さが短くなり,チャンバ33内の容積を小さくすることができる。従って,チャンバ33と基板保持体41を小型化し,処理ユニット5の占有面積を小さくすることができる。さらに,チャンバ33内に供給される処理液や乾燥用気体の使用量を低減することができるので,省コストを図ることができる。なお,保持部材51A〜51Dによって保持されたウェハW同士の間の間隔は,例えば約3mm〜5mm程度にすると良い。
図3に示すように,保持体姿勢変換機構43は,Z軸方向に延設された2本のアーム61A,61Bを備えた支持体62を備えている。各アーム61A,61Bの先端には,図3においてY軸方向の回転中心軸を中心としてアーム61A,61Bに対して回転可能な回転部材63がそれぞれ取り付けられている。各回転部材63の先端は,蓋52の平面(図3においては上面)52bの周縁両端部にそれぞれ固着されている。また,アーム61Bの回転部材63を回転させるモータ64が,支持体62によって支持されている。このモータ64を駆動させると,アーム61Bの回転部材63が回転し,基板保持体41が回転部材63と一体的に,図3においてY軸方向を中心として回転するようになっている。これにより,基板保持体41の姿勢を,ウェハWが略水平になるように保持する水平保持状態(図3)から,ウェハWが略鉛直になるように保持する鉛直保持状態(図5)に姿勢変換することができる。具体的には,基板搬送装置20によって略水平に保持されるウェハWを保持部材51A〜51Dに対して受け渡す時は,ウェハWを略水平にして保持し,チャンバ33内にウェハWを搬入出する時は,ウェハWが略垂直になるように姿勢変換させることができる。
また,保持体姿勢変換機構43は,支持体62を支持しZ軸方向を中心として回転させる支持体回転器65を備えている。支持体回転器65は,支持体62の下部に取り付けられ,保持体移動機構45の上面に支持されている。支持体回転器65を駆動させると,基板保持体41が支持体62と一体的に回転する。従って,基板保持体41を鉛直保持状態にした後,保持部材51A〜51Dが蓋52の前方に配置された状態(図5)から後方に配置された状態(図6)に姿勢変換することができる。
保持体移動機構45は,移動機構31によって図7に示すようにY軸方向にスライド可能に支持されている。保持体移動機構45を駆動させると,支持体回転器65がX軸方向に移動し,支持体62及び基板保持体41が支持体回転器65と一体的に移動するようになっている。
図8及び図9に示すように,チャンバ33には,X軸方向に沿って配置された略円筒状の筒状部71が設けられており,この筒状部71によってウェハWの周縁部を囲んで収納する構成となっている。また,保持部材51A〜51D及びウェハWをチャンバ33内に搬入出するための開口72が形成されている。開口72は,チャンバ33の前側面に,X軸方向に向かって開口されており,また,チャンバ33内に保持部材51A〜51Dが装入された状態で,基板保持体41の蓋52によって閉塞されるようになっている。開口72の周囲において,蓋52とチャンバ33の前面との間には,Oリング73が設けられている。
筒状部71の内側には,ウェハWの上部を保持する保持部材75A,75Bが備えられている。保持部材75A,75BはX軸方向に向けて延設されている。各保持部材75A,75Bには,複数個(例えば25個)の保持溝76が,所定間隔を空けてX軸方向に並べて形成されている。保持溝76の間の間隔は,保持部材51A〜51Dにおける保持溝53の間の間隔と同じになっている。
筒状部71の下端部内面には,チャンバ33内に薬液やリンス液などの複数種類の処理液を供給し,また,排液及び排気を行うための処理液供給・排出口80が開口されている。処理液供給・排出口80には,供給・排出路81が接続されている。図9に示すように,供給・排出路81には,切換弁82を介して,処理液を供給する処理液供給路83と,排液路84と,吸引ポンプ85を備えた排気路86とが接続されている。処理液供給路83には切換弁87を介して,SC−1液(アンモニアと過酸化水素と水の混合溶液)を供給する薬液供給ライン88,SC−2液(塩酸と過酸化水素水と水の混合溶液)を供給する薬液供給ライン89,DHF液(希フッ化水素水)を供給する薬液供給ライン90,純水(DIW)をリンス液として供給するリンス液供給ライン91が接続されている。なお,このように処理液供給・排出口80をチャンバ33の下部に設けると,処理液供給・排出口から処理液が落下してウェハWに付着することを防止できる。
筒状部71の上端部内面には,チャンバ33内にウェハWの乾燥処理用やパージ用の気体を供給し,また,排液及び排気を行うための気体供給・排出口100が開口されている。気体供給・排出口100には,供給・排出路101が接続されている。供給・排出路101には,切換弁102を介して,気体供給路103と,排液路104と,排気路105とが接続されている。気体供給路103には,切換弁107を介して,窒素(N2)ガスなどの不活性ガスを供給する不活性ガス供給ライン108,加熱された窒素ガスなどの不活性ガスを乾燥用ガスとして供給する加熱ガス供給ライン109,IPA(イソプロピルアルコール)蒸気を乾燥用ガスとして供給するIPA供給ライン110が接続されている。
次に,以上のように構成された処理システム1を用いたウェハWの洗浄工程を説明する。先ず,図示しないキャリア搬送装置によって,25枚の処理前のウェハWを所定間隔で収納したキャリアCを,図1に示すようにキャリア載置台15Aに載置する。そして,基板搬送装置20のスライド機構22,回転機構23,昇降機構24,水平移動機構25を駆動させることにより,搬送アーム21Aによって,キャリア載置台15A上のキャリアC内から一枚のウェハWを取り出す。ウェハWを取り出すときは,スライド機構22の駆動により搬送アーム21Aを所定の高さに位置する一枚のウェハWの下方に進入させ,昇降機構24の駆動により僅かに上昇させ,搬送アーム21Aの上面にウェハWの下面を載せるようにし,搬送アーム21Aを後退させ,ウェハWをキャリアCのスロットから抜き取るようにする。そして,回転機構23の駆動によりスライド機構22を回転させて,取り出されたウェハW,搬送アーム21A及びスライド機構22が処理ユニット5側に向かうようにする。
一方,処理ユニット5においては,基板姿勢変換移動装置30Aの基板保持体41をチャンバ33の外に出し,移動機構31の駆動により,基板保持体41が筐体28の開口35Aに対向する位置,即ち,基板保持体41の保持部材51A〜51Dに対してウェハWの受け渡しが行われる受け渡し位置P1Aに移動させて,待機させておく。待機状態では,図2に示すように,基板保持体41の蓋52を略水平にして,保持部材51A〜51Dが蓋52の下方に向くようにする。
次に,スライド機構22の駆動により,ウェハWを保持した搬送アーム21AをX軸方向に移動させ,開口35Aから基板搬送エリア32内に進入させ,基板姿勢変換移動装置30Aに備えた基板保持体41に対して,保持部材51A,51Bの間から蓋52の下方に進入させる。そして,ウェハWの周縁部を各保持部材51A〜51Dの保持溝53に挿入させたら,搬送アーム21Aを下降させてウェハWの下面から離し,保持部材51A,51Bの間から退出させる。これにより,搬送アーム21Aによって略水平に保持されたウェハWが,略水平な姿勢のままで保持部材51A〜51Dに渡される。
こうして,搬送アーム21AによってウェハWを一枚ずつキャリアCから取り出し,基板姿勢変換移動装置30Aの基板保持体41に受け渡していく。なお,ウェハWを上方の保持溝53から順に挿入させていくようにすると,搬送アーム21Aが下方のウェハWに接触するおそれがないので,ウェハWの損傷を防止でき,保持溝53の間隔が狭い場合であっても,余裕を持ってウェハWを受け渡すことができる。
基板姿勢変換移動装置30Aの保持部材51A〜51Dに25枚のウェハWを略水平に並べて保持させたら,保持体姿勢変換機構43に備えたモータ64を駆動させ,アーム61Bの回転部材63を回転させる。これにより,基板保持体41を各アーム61A,61Bの回転部材63と一体的に,Y軸方向を中心として,前方に向かって約90°回転させる。そして,保持部材51A〜51Dの向きを略鉛直から略水平にして,ウェハWを略水平姿勢で並べて保持した水平保持状態(図3)から,ウェハWを略鉛直姿勢で並べて保持した鉛直保持状態(図5)に姿勢変換させる。水平保持状態から鉛直保持状態にするとき,保持部材51A〜51Dは前方かつ上方に向かって移動し,保持部材51C,51Dの保持溝53によってウェハWを後方から持ち上げるように移動する。そして,鉛直保持状態では,保持部材51A〜51DによってウェハWの下半分が保持されるようになっている。
基板保持体41を鉛直保持状態にしたら,支持体回転器65を駆動させ,支持体62と一体的に基板保持体41をZ軸方向を中心として約180°回転させ,図6に示すように,保持部材51A〜51D及びウェハWを後方に向け,蓋52を前方に向ける。そして,移動機構31の駆動により,基板姿勢変換移動装置30Aを左方に向かって移動させ,基板保持体41がチャンバ33の開口72に対向する位置,即ち,チャンバ33に対して保持部材51A〜51Dを搬入出可能な搬入出位置P2(図7)に配置させるとともに,保持体移動機構45の駆動により,基板保持体41及び支持体62を支持体回転器65と一体的に後方に移動させる。これにより,図7に示すように,開口72からチャンバ33の内部に保持部材51A〜51D及びウェハWを進入させ,開口72を基板保持体41の蓋52によって閉塞する。図8及び図9に示すように,チャンバ33内では,ウェハWの上部両側に保持部材75A,75Bが配置される。
こうしてウェハWをチャンバ33に収納し,チャンバ33内を密閉したら,チャンバ33内で洗浄処理を開始する。先ず,切換弁82,87の切換により,薬液供給ライン88,処理液供給路83,供給・排出路81を連通させ,薬液供給ライン88から処理液供給路83,供給・排出路81,処理液供給・排出口80を介して,薬液としてSC−1液を供給する。SC−1液は,ウェハWの下方に位置する処理液供給・排出口80からチャンバ33内に供給される。SC−1液の供給により,チャンバ33内の雰囲気は気体供給・排出口100から供給・排出路101に押し出され,排気路105によって排気される。そして,チャンバ33内にSC−1液を貯留してウェハW全体を浸漬させ,所定時間の浸漬処理を行う。なお,ウェハWが処理液によって押し上げられても,ウェハWの上部周縁部が保持部材75A,75Bの保持溝76に挿入されるので,ウェハWは保持部材51A〜51Dと保持部材75A,75Bによって確実に保持されるようになっている。
SC−1液による浸漬処理が終了したら,切換弁82,87を切り換えてリンス液供給ライン91,処理液供給路83,供給・排出路81を連通させ,リンス液供給ライン91から処理液供給路83,供給・排出路81,処理液供給・排出口80を介してチャンバ33内に純水を供給する。また,切換弁102の切り換えにより供給・排出路101と排液路104を連通させ,気体供給・排出口100,供給・排出路101,及び,排液路104を介して排液可能にする。そして,純水によってSC−1液を押し上げ,気体供給・排出口100に押し出して排液させることにより,チャンバ33内のSC−1液を純水に置換しながら,ウェハWを純水によってリンス処理する。処理液供給・排出口80から供給された純水は,ウェハWの下方からウェハWの間を通って気体供給・排出口100に向かって上昇し,排液される。こうしてチャンバ33内に液流が形成されることにより,ウェハW及びチャンバ33の内面からSC−1液を確実に洗い流すことができる。
リンス処理が終了したら,切換弁82の切り換えにより供給・排出路81と排液路84を連通させ,処理液供給・排出口80,供給・排出路81及び排液路84を介してチャンバ33内から純水を排液する。なお,排液を行う際は,不活性ガス供給ライン105から窒素ガスを供給し,窒素ガスにより処理液をチャンバ32内から押し出すように排液しても良い。純水を排液したら,薬液供給ライン89から処理液供給路83,供給・排出路81及び処理液供給・排出口80を介してチャンバ33内に薬液としてSC−2液を供給し,ウェハWを浸漬処理する。
SC−2液による浸漬処理が終了したら,前述したSC−1液から純水への置換と同様にして,SC−2液を純水に置換し,純水によってウェハWをリンス処理する。リンス処理が終了したら,処理液供給・排出口80,供給・排出路81及び排液路84を介してチャンバ33内から純水を排液する。
次に,薬液供給ライン90から処理液供給路83,供給・排出路81及び処理液供給・排出口80を介してチャンバ33内に薬液としてDHF液を供給し,ウェハWを浸漬処理する。
DHF液による浸漬処理が終了したら,前述したSC−1液から純水への置換と同様にして,DHF液を純水に置換し,純水によってウェハWをリンス処理する。リンス処理が終了したら,処理液供給・排出口80,供給・排出路81及び排液路84を介してチャンバ33内から純水を排液する。こうして,一連の洗浄処理が終了する。なお,上述したSC−1,SC−2,DHFなどの薬液による浸漬処理においては,処理液供給・排出口80から薬液を供給し続けながら,気体供給・排出口100,供給・排出路101及び排液路104を介して排液するようにしても良い。この場合,処理液供給・排出口80からウェハWの間を通って上昇し,気体供給・排出口100に向かう流れが形成される。これにより,ウェハWを薬液に効率良く接触させ,処理効率を向上させることができる。
洗浄処理が終了したら,ウェハWの乾燥処理を開始する。乾燥処理においては,先ず,切換弁102,107の切り換えにより供給・排出路101,気体供給路103,IPA供給ライン110を連通させ,IPA供給ライン110から気体供給路103,供給・排出路101及び気体供給・排出口100を介して,乾燥用気体としてIPA蒸気を供給する。また,切換弁82の切り換えにより供給・排出路81と排気路86を連通させ,処理液供給・排出口80,供給・排出路81及び排気路86を介してチャンバ33内を排気する。従って,IPA蒸気は,ウェハWの上方に位置する気体供給・排出口100からウェハWの間を通って下降し,処理液供給・排出口80に向かって流れるように供給される。こうして,所定時間IPA蒸気をチャンバ33内に供給し,ウェハWに付着した純水をIPAに置換させる。
IPA蒸気による処理が終了したら,切換弁107の切り換えにより気体供給路103と加熱ガス供給ライン109を連通させ,加熱ガス供給ライン109から気体供給路103,供給・排出路101及び気体供給・排出口100を介して,乾燥用気体として窒素ガスを供給する。また,処理液供給・排出口80,供給・排出路81及び排気路86を介してチャンバ33内を排気する。窒素ガスは,気体供給・排出口100からウェハWの間を通って下降し,処理液供給・排出口80に向かって流れる。こうして,加熱された窒素ガスを所定時間供給し,ウェハWを乾燥させる。
窒素ガスによる乾燥処理が終了したら,切換弁82,102を閉じて窒素ガスの供給と排気を停止させる。そして,基板姿勢変換移動装置30Aの保持体移動機構45を駆動させ,基板保持体41を前方に移動させ,蓋52を離して開口72を開き,チャンバ33の外部に保持部材51A〜51D及びウェハWを退出させる。そして,移動機構31の駆動により,基板姿勢変換移動装置30Aを右方に向かって移動させ,搬入出位置P2から受け渡し位置P1Aに戻す。さらに,支持体回転器65を駆動させ,支持体62と一体的に基板保持体41をZ軸方向を中心として約180°回転させ,図5に示すように,保持部材51A〜51D及びウェハWを前方に向け,蓋52を後方に向ける。そして,保持部材51A〜51Dの向きを略水平から略鉛直にして,ウェハWを略鉛直に保持した鉛直保持状態(図5)から,ウェハWを略水平にした水平保持状態(図3)に姿勢変換させる。
基板保持体41を姿勢変換したら,搬送アーム21BによってウェハWを一枚ずつ保持部材51A〜51Dから略水平な姿勢のままで取り出して搬送し,キャリアCに収納する。なお,ウェハWを下方の保持溝53から順に取り出すようにすると,搬送アーム21Bが下方のウェハWに接触するおそれがないので,ウェハWの損傷を防止でき,保持溝53の間隔が狭い場合であっても,余裕を持ってウェハWを取り出すことができる。
洗浄処理を行った25枚のウェハWを基板保持体41から取り出し,キャリアCに収納したら,キャリアCを図示しないキャリア搬送装置によってキャリア載置台15Aから搬送する。こうして,処理システム1における一連の工程が終了する。
なお,チャンバ33においてウェハWの処理を行っている間に,他方の基板姿勢変換移動装置30Bは,基板保持体41が開口35Bに対向する位置,即ち,基板保持体41の保持部材51A〜51Dに対してウェハWの受け渡しが行われる受け渡し位置P1Bに配置させ,基板保持体41に,キャリア載置台15Bに載置したキャリアCから未処理のウェハWを受け渡す作業を行うようにしても良い。この場合,基板姿勢変換移動装置30Bの基板保持体41を,処理前のウェハWを待機させる待機部とし,基板姿勢変換移動装置30Aの基板保持体41に保持されたウェハWの処理が終了した後,基板姿勢変換移動装置30Aを受け渡し位置P1A側に移動させたら,直ぐに基板姿勢変換移動装置30Bを搬入出位置P2に移動させ,基板姿勢変換移動装置30Bの基板保持体41に保持されたウェハWをチャンバ33内に搬入して,洗浄処理を開始することができる。基板姿勢変換移動装置30Bの姿勢変換,及び,ウェハWをチャンバ33に搬入出させる方法は,基板姿勢変換移動装置30Aとほぼ同様である。
また,基板姿勢変換移動装置30Bの基板保持体41に保持されたウェハWがチャンバ33内で処理されている間に,受け渡し位置P1Aに戻した基板姿勢変換移動装置30Aの基板保持体41から洗浄後のウェハWを取り出して,キャリアCに収納して処理システム1から搬出し,次の処理前のウェハWを収納したキャリアCをキャリア載置台15Aに載置して,基板姿勢変換移動装置30Aの基板保持体41に処理前のウェハWを受け渡す作業を行うようにしても良い。このように,基板姿勢変換移動装置30Aの基板保持体41を,処理後のウェハWをキャリアCに搬送するまで待機させる待機部,また,処理前のウェハWを待機させる待機部とすることで,キャリアCと基板姿勢変換移動装置30A,30Bの基板保持体41との間で,ウェハWの受け渡しが効率的に行われ,ウェハWの処理を連続的に行うことができ,スループットを向上させることができる。
かかる処理システム1によれば,1個のチャンバ33によって,ウェハWの複数種類の浸漬処理を連続して行うことができる。従って,処理槽を複数設ける必要が無いので,省スペースを図ることができる。さらに,浸漬処理に連続して,ウェハWの乾燥処理も行うことができるので,乾燥処理部をチャンバ33と別途に設ける必要が無い。また,処理槽から乾燥処理部に搬送するための搬送装置が不要である。従って,従来の処理槽と乾燥処理部を備えた処理システムよりも,処理システムのフットプリントを小さくすることができる。また,処理槽同士や処理槽から乾燥処理部にウェハを搬送する時間が無くなるので,洗浄処理開始から乾燥処理終了までの処理時間を短縮することができる。従って,スループットを向上させることができる。
また,処理ユニット5は,チャンバ33,基板姿勢変換移動装置30A,30B等を処理システム1本体に対して一体的に組み込み及び取り外し可能な構成になっているので,処理システム1に対する処理ユニット5の組み込み及び取り外しが容易である。従って,処理システム1の組立,解体,レイアウトの変更などの改造等における作業効率を向上させることができる。
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,本実施の形態では,基板搬送装置20によってウェハWを1枚ずつ基板姿勢変換移動装置30A,30Bに受け渡し,基板姿勢変換移動装置30A,30Bから取り出す構成としたが,勿論,複数枚のウェハWを一括して基板姿勢変換移動装置30A,30Bに受け渡し,また,基板姿勢変換移動装置30A,30Bから取り出す構成としても良い。
本実施の形態では,基板搬送エリア32には2個の基板姿勢変換移動装置30A,30Bを備え,処理エリア34には1個のチャンバ33を備えることとしたが,勿論,基板搬送エリア32には1個または3個以上の基板姿勢変換移動装置を備えても良く,また,処理エリア34には2個以上のチャンバ33を備えても良い。例えば図10に示すように,基板搬送エリア32に3個の基板姿勢変換移動装置30A,30B,30CをY軸方向に並べて備え,処理エリア34に2個のチャンバ33A,32BをY軸方向に並べて備えても良い。このように,処理システム1内に複数のチャンバや基板姿勢変換移動装置を備えると,ウェハWの処理を複数のチャンバ33で並行して行うことができるので,スループットを向上させることができる。
また,処理エリア34にチャンバ33をZ軸方向に配列しても良い。即ち,チャンバ33の開口72は側面に設けられており,ウェハWをチャンバ33の側方から搬入する構成となっているので,チャンバ33を上下に配列してもウェハWの搬入出の邪魔になるおそれがない。また,図11に示すように,複数個の処理ユニット5をZ軸方向に多段に積み重ねて配置しても良い。即ち,ウェハWをチャンバ33の側方から搬入する構成のため,処理ユニット5のZ軸方向の高さを低く抑えることができるので,多段に重ねても処理システム1の高さが高くなりすぎない。また,処理ユニット5をZ軸方向に多段に備え,さらに,Y軸方向にも各段に複数個ずつ並べるようにしても良い。このように,処理ユニット5を複数個配置する場合も,各処理ユニット5が一体的に組み入れ及び取り外し可能な構成になっているので,処理システム1の組立,解体,改造等を簡単に行うことができる。なお,処理ユニット5を多段に備える場合は,基板搬送装置20の昇降機構24の駆動による搬送アーム21A,21BのZ軸方向の移動距離を大きくして,搬送アーム21A,21Bを各処理ユニット5の開口35A,35B及び基板保持体41の高さに昇降可能な構成とし,搬送アーム21A,21Bによって各処理ユニット5の保持部材51A〜51Dに対してウェハWの受け渡しを行うようにしても良い。
図12及び図13は,本発明の第二の実施形態にかかる処理システム130を示している。図12に示す処理システム130は,処理ユニット5に代えて洗浄処理部131が設けられていることを除けば,処理システム1とほぼ同様の構成を備えている。
洗浄処理部131内には,処理ユニット135と,基板搬送装置20によってウェハWの受け渡しが行われ,かつ,後述する処理ユニット135内のチャック162に対してウェハWの受け渡しを行う基板受け渡し装置136A,136Bとが備えられている。基板受け渡し装置136A,136Bは,処理ユニット135を挟んで対向する両側(後述する処理ユニット135内のチャック162の両側)の位置にそれぞれ設けられている。基板受け渡し装置136Aは,ウェハ搬送ユニット3側からみて処理ユニット135の右方に配置されている。他方の基板受け渡し装置136Bは,ウェハ搬送ユニット3側からみて処理ユニット135の左方に配置されている。
基板受け渡し装置136Aは,ウェハWの周縁部を保持する4つの保持部材140A,140B,140C,140Dを備えたチャック141を備えている。各保持部材140A〜140Dは,Z軸方向に向けられている。保持部材140A,140Bは,Y軸方向においてウェハWを挟んで互いに対向する位置に設けられている。保持部材140C,140Dは,それぞれ保持部材140A,140BよりもX軸方向において後方に配置されている。また,図示はしないが,各保持部材140A〜140Dには,複数個(例えば25個)の保持溝が,所定間隔を空けてZ軸方向に並べて形成されている。ウェハWは,各保持部材140A〜140Dの保持溝に周縁部4箇所がそれぞれ挿入された状態で,略水平に保持される。そして,各保持溝にウェハWが挿入されることにより,複数枚のウェハWが所定間隔を空けて互いに平行な姿勢で保持されるようになっている。また,保持部材140A,140Bの間を通じて,基板搬送装置20の搬送アーム21Aを進入させることにより,ウェハWを保持部材140A〜140Dに受け渡すことができる。
さらに,チャック141には,保持部材140A〜140Dを開閉させる開閉駆動機構143が設けられている。開閉駆動機構143の駆動により,保持部材140A〜140Dをそれぞれ内側に向かって移動させて互いに近接させると,ウェハWを保持可能な状態となり,保持部材140A〜140Dをそれぞれ外側に向かって移動させて互いに離隔させると,ウェハWの保持を解除することができる。
チャック141はアーム146に支持されている。アーム146は,アーム146をアーム147に対してZ軸方向の回転中心軸を中心として回転させる回転駆動器148を介して,アーム147の先端に支持されている。アーム147の基端には,アーム147をZ軸方向の回転中心軸を中心として回転させる回転駆動器149が設けられている。また,アーム147の基端側には,アーム146,回転駆動器148,アーム147,回転駆動器149を一体的にZ軸方向に昇降させる昇降器(図示せず)が設けられている。そして,回転駆動器148,149,昇降器を各々駆動させることにより,チャック141を移動させることができる。具体的には,搬送アーム21AからウェハWを受け取る基板受け取り位置P3と処理ユニット135内とに,チャック141を移動させることができる。これらチャック141,アーム146,回転駆動器148,アーム147,回転駆動器149,昇降器によって,基板受け渡し装置136Aが構成されている。
処理ユニット135の筐体150内には,チャンバ152と,基板姿勢変換移動装置153とが備えられている。チャンバ152は,保持部材75A,75Bが設けられていないことを除けば,処理システム1に備えたチャンバ33とほぼ同様の構成を有し,開口72をX軸方向において前方に向けた状態で配置されている。基板姿勢変換移動装置153は,基板保持体154の構造が基板保持体41と異なり,また,支持体回転器65を設ける必要が無いことを除けば,基板姿勢変換移動装置30A,30Bとほぼ同様の構成を有し,X軸方向においてチャンバ33の前方に備えられている。筐体150の左右両側面には,基板受け渡し装置136A,136Bのチャック141を筐体150内に進入及び退出させるための開口155が形成されている。筐体150の天井部にはFFU156が備えられている。なお,チャンバ152,基板姿勢変換移動装置153は,筐体150とともに処理システム1本体に一体的に組み込むことが可能な,また,処理システム1本体から一体的に取り外すことが可能なユニットとして構成されている。さらに,FFU156も,上記のユニットに含めるようにしても良い。
図14に示すように,基板保持体154は,2本の保持部材161A,161Bを有するチャック162,及び,蓋52を備えている。チャック162は蓋52の上面側において保持部材161A,161Bが上方に向かうように配置されている。また,チャック162を支持するシャフト164が,蓋52の中央部を貫通して下面側に突出するように設けられている。蓋52の下面側において,シャフト164には回転駆動器165が接続されている。回転駆動器165を駆動すると,蓋52に対してシャフト164が回転し,シャフト164と一体的にチャック162が回転する構成になっている。
各保持部材161A,161Bには,複数個(例えば25個)の保持溝168が,所定間隔を空けて図14においてZ軸方向に並べて形成されている。ウェハWは,各保持部材161A,161Bの保持溝168に周縁部2箇所がそれぞれ挿入された状態で,略水平に保持される。そして,各保持溝168にウェハWが挿入されることにより,複数枚のウェハWが所定間隔を空けて互いに平行な姿勢で保持されるようになっている。
チャック162は,保持部材161A,161Bを支持する支持部材171A,171Bを備えている。保持部材161A,161Bは,それぞれ支持部材171A,171Bの先端部に支持されている。各支持部材171A,171Bには,伸縮部173が設けられている。支持部材171A,171B及びシャフト164には,伸縮部173の内部に形成された空洞に空気などの気体を供給する送気路175が内設されている。この送気路175を介して,各保持部材161A,161Bの伸縮部173に気体を供給すると,伸縮部173が伸長して支持部材171A,171Bが伸び,保持部材161A,161Bがそれぞれ外側に向かって移動する。また,送気路175を介して,各保持部材161A,161Bの伸縮部173から気体を吸引すると,伸縮部173が収縮して支持部材171A,171Bが縮み,保持部材161A,161Bが互いに近接するように内側に向かって移動する。即ち,保持部材161A,161Bを互いに近接させることでウェハWを保持し,保持部材161A,161Bを互いに離隔させることでウェハWの保持を解除するようになっている。
図12に示すように,基板受け渡し装置136Bは,X−Z平面を中心として基板受け渡し装置136Aとほぼ対称な構造になっているので,詳細な説明を省略する。基板受け渡し装置136Bのチャック141は,基板受け渡し装置136Bの回転駆動器148,149,昇降器を各々駆動させることにより,処理ユニット135内と,搬送アーム21BによってウェハWが取り出される基板取り出し位置P4とに移動させることができる。
なお,上述した基板受け渡し装置136A,136Bの保持部材140A〜140Dに設けた保持溝の間の間隔,及び,基板保持体154の保持部材161A,161Bに設けた保持溝168の間の間隔は,互いに同じ間隔になっている。さらに,これらの間隔は,キャリアCに形成されたスロットの間の間隔より小さくしても良い。この場合,ウェハW同士の間の間隔を小さくしてチャンバ152に収納することができるので,チャンバ152内の容積を小さくしてチャンバ152を小型化することができる。さらに,チャンバ152内に供給される処理液や乾燥用気体の使用量を低減することができるので,省コストを図ることができる。また,基板受け渡し装置136A,136Bの各保持部材140A〜140Dの長さが短くなるので,洗浄処理部131全体を小型化することができる。なお,基板受け渡し装置136A,136Bのチャック141と基板保持体154のチャック162によってそれぞれ保持されたときのウェハW同士の間の間隔は,例えば約3mm〜5mm程度にすると良い。
次に,以上のように構成された処理システム130を用いたウェハWの処理工程を説明する。先ず,基板搬送装置20の搬送アーム21AによってキャリアC内から処理前のウェハWを取り出したら,基板受け取り位置P3に配置した右方の基板受け渡し装置136Aのチャック141における保持部材140A,140Bの間に,搬送アーム21A及びウェハWを進入させる。そして,ウェハWの周縁部を保持部材140A〜140Dの保持溝に挿入させる。ウェハWを保持部材140A〜140Dに渡したら,搬送アーム21AをウェハWから離し,保持部材140A,140Bの間から退出させる。こうして,基板搬送装置20によって保持部材140A〜140Dに複数枚のウェハWを順次渡して並べて保持させたら,チャック141を筐体150内に移動させる。
一方,処理ユニット135では,基板保持体154をチャンバ152の外に配置し,蓋52を略水平にして,チャック162を蓋52の上方に向けておく。さらに,保持部材161A,161Bをそれぞれ外側に移動させ,チャック162を開いた状態にして待機させておく。この状態で,基板受け渡し装置136Aのチャック141及びウェハWをチャック162の上方から下降させ,チャック141及びウェハWが保持部材161A,161Bに接触しないようにして,ウェハWを保持部材161A,161Bの間に配置させる。なお,回転駆動器165の駆動によりチャック162を回転させることで,保持部材161A,161Bがチャック141の保持部材140A〜140Dに接触しない位置に配置されるように調整することができる。そして,保持部材161A,161BをウェハWの両側に配置させたら,保持部材161A,161Bを内側に向かって移動させ,各保持部材161A,161Bの保持溝168にウェハWの周縁部を挿入させる。保持部材161A,161BによってウェハWの周縁部を保持したら,開閉駆動機構143の駆動により,保持部材140A〜140Dをそれぞれ外側に移動させ,ウェハWの周縁部から保持部材140A〜140Dを離隔させる。こうして,ウェハWをチャック141からチャック162に渡したら,チャック141をチャック162から上昇させ,筐体150から退出させる。
基板保持体154にウェハWを保持させたら,回転部材63の回転と一体的に,基板保持体154を水平保持状態から鉛直保持状態に姿勢変換させる。このときの基板保持体154の回転方向は,チャック162が開口72に向かうようにする。即ち,チャック162は蓋52の後方に移動させ,回転駆動器165は蓋52の前方に移動させるようにする。そして,開口72からチャンバ152内にチャック162及びウェハWを進入させ,図15に示すように,開口72を蓋52によって閉塞する。そして,前述した処理システム1のチャンバ33における洗浄及び乾燥処理と同様の処理を行う。なお,処理ユニット135においては,例えばウェハWを浸漬処理する際,回転駆動器165の駆動によりチャック162を回転させることで,チャンバ152内に貯留した処理液内でウェハWを回転させるようにしても良い。また,リンス処理や乾燥処理の際,ウェハWを回転させながら,リンス液や乾燥用の気体を供給するようにしても良い。このようにウェハWを回転させることで,処理効率を向上させることができ,処理時間をさらに短縮することが可能である。
洗浄及び乾燥処理が終了したら,チャンバ152内からチャック162及びウェハWを退出させ,基板保持体154を鉛直保持状態から水平保持状態に姿勢変換させる。そして,左方の基板受け渡し装置136Bのチャック141を筐体150内に移動させ,保持部材140A〜140Dを開いた状態のチャック141を,チャック162及びウェハWに接触しないようにして,ウェハWの上方から下降させる。そして,保持部材140A〜140DをウェハWの周囲に配置させたら,保持部材140A〜140Dを内側に向かって移動させ,各保持部材140A〜140Dの保持溝にウェハWの周縁部を挿入させる。保持部材140A〜140DによってウェハWの周縁部を保持したら,保持部材161A,161Bをそれぞれ外側に移動させ,ウェハWの周縁部から離隔させる。こうして,チャック141によってウェハWをチャック162から受け取ったら,チャック141及びウェハWをチャック162から上昇させ,筐体150から退出させ,基板取り出し位置P4に移動させる。
その後,基板搬送装置20の搬送アーム21Bを,基板受け渡し装置136Bの保持部材140A,140Bの間から進入させ,搬送アーム21Bによって一枚のウェハWを支持し,保持部材140A〜140Dの保持溝からウェハWの周縁部を抜き取り,保持部材140A,140Bの間から搬送アーム21B及びウェハWを退出させ,ウェハWをキャリアCに戻す。こうして,基板搬送装置20の搬送アーム21Bによって,チャック141から処理後のウェハWを一枚ずつ受け取って,キャリアCに戻していく。
なお,上記の一連の工程において,基板受け渡し装置136Aのチャック141からチャック162にウェハWを渡したら,すぐに基板受け取り位置P3に戻して,処理ユニット135において洗浄及び乾燥処理が行われている間に,次のウェハWをキャリアCから基板受け渡し装置136Aのチャック141に渡すようにしても良い。即ち,基板受け渡し装置136Aのチャック141を,処理前のウェハWを待機させる待機部として利用するようにしても良い。この場合,基板受け渡し装置136Bのチャック141によってチャック162からウェハWを搬出したら,基板受け渡し装置136Aのチャック141に保持させた次のウェハWをすぐにチャック162に渡し,洗浄処理を続けて開始させることができる。従って,処理後のウェハWの搬出から次のウェハWの搬入までの間,処理ユニット135を長く待機させることなく効率的に稼動させ,スループットを向上させることができる。
また,基板受け渡し装置136Bのチャック141を,処理後のウェハWをキャリアCに搬送するまで待機させる待機部としても良い。即ち,処理ユニット135においてウェハWの洗浄及び乾燥処理が行われている間に,基板受け渡し装置136Bのチャック141に保持された処理済みのウェハWをキャリアCに戻すようにしてもよい。この場合,処理ユニット135においてウェハWの処理が終了したら,ウェハWをチャック162から基板受け渡し装置136Bのチャック141にすぐに渡すことができるので,次の未処理のウェハWを基板受け渡し装置136Aのチャック141からチャック162に渡し,洗浄及び乾燥処理を続けて開始させることができる。従って,処理ユニット135を長く待機させることなく効率的に稼動させ,スループットを向上させることができる。
かかる処理システム130においても,チャンバ152,基板姿勢変換移動装置153は,処理システム130本体に対して一体的に組み込み及び取り外し可能な処理ユニット135を構成しているので,処理システム130に対する処理ユニット135の組み込み及び取り外しが容易であり,処理システム130の組立,解体,改造等の作業効率を良好にすることができる。
以上,本発明の第二の実施の形態を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,基板保持体154において,チャック162は蓋52に対して回転可能に取り付けられていることとしたが,勿論,蓋52に対して固定して取り付けるようにしても良い。
処理ユニット135は,筐体150,チャンバ152,基板姿勢変換移動装置153を含むものとしたが,基板受け渡し装置136A,136Bを含む洗浄処理部131全体を一つのユニットとしても良い。即ち,チャンバ152,基板姿勢変換移動装置153に加えて基板受け渡し装置136A,136Bも収納した筐体を備え,チャンバ152,基板姿勢変換移動装置153,基板受け渡し装置136A,136Bを,筐体とともに処理システム1本体に一体的に組み込み可能な,かつ,処理システム130本体から一体的に取り外し可能な構成としても良い。
また,複数の処理ユニット135をX軸方向に横に並べて配列したり,上下に配列したりしても良い。例えば,図16に示すように,洗浄処理部131内に2台の処理ユニット135をZ軸方向に積み重ねて設置しても良い。図16において,処理ユニット135A,135Bは,実施の形態に示した処理ユニット5とほぼ同様の構成になっており,処理ユニット135Bは,処理ユニット135Aの上方に配置されている。基板受け渡し装置181A,181Bは,それぞれ処理ユニット135A,135Bを挟んで対向する左右両側の位置(チャック162の両側)に配置されている。基板受け渡し装置181A,181Bは,基板受け渡し装置136A,136Bと同様に,チャック141,アーム146,回転駆動器148,アーム147,回転駆動器149を備えている。さらに,アーム147の基端側には,アーム146,回転駆動器148,アーム147,回転駆動器149を一体的にZ軸方向に昇降させる昇降器182が設けられている。昇降器182を駆動させると,各処理ユニット135A,135Bのチャック162に対してウェハWを受け渡し可能な高さに,チャック141を昇降させることができる。かかる構成においては,基板受け渡し装置181A,181Bによって,各処理ユニット135A,135Bのチャック162に対してウェハWの受け渡しを行うようになっている。即ち,基板受け渡し装置136Aによって処理前のウェハWを基板搬送装置20から受け取り,昇降して各処理ユニット135A,135Bのチャック162に渡し,また,基板受け渡し装置136Bによって処理後のウェハWを各処理ユニット135A,135Bのチャック162から受け取り,基板搬送装置20によって基板受け渡し装置136BからウェハWを受け取るようになっている。このように,処理ユニットを複数個配置する場合も,各処理ユニット135A,135Bが一体的に組み入れ及び取り外し可能な構成になっているので,処理システム130の組立,解体,改造等を簡単に行うことができる。なお,処理ユニットは3台以上多段に積み重ねても良い。また,複数の洗浄処理部131をZ軸方向に多段に積み重ねて配置しても良い。
本発明において,基板は半導体ウェハに限らず,その他のLCD基板用ガラスやCD基板,プリント基板,セラミック基板などであっても良い。また,チャンバ内に供給する処理液や乾燥用気体などは,実施の形態に示したものに限定されない。処理ユニットは洗浄処理を行うものに限定されず,その他の種々の処理流体を用いて,他の処理を基板に対して施すものであっても良い。