以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
<第1の実施形態>
1. 電子機器
図1に、第1の実施形態における表示コントローラを適用した電子機器の構成の概要の一例を示す。
この電子機器は、MPU(Micro Processor Unit)(広義には、表示データ供給回路)10と、表示ユニット20とを含む。MPU10は、表示ユニット20に対して、動画データ及び静止画データのうちいずれか一方若しくは両方を供給する。表示ユニット20は、MPU10から供給された表示データに基づき、表示部を表示駆動する。ここで、表示データとは、動画データ、静止画データやこれら画像データの表示制御信号等の表示部を表示駆動する際に必要なデータをいう。
表示ユニット20は、電気光学素子を有するマトリクスパネル例えばカラー液晶パネル(広義には、表示部)22と、この液晶パネル22を駆動するRAM内蔵のXドライバIC(広義には、表示コントローラ)24と、走査用のYドライバIC26とを有する。
マトリクスパネル22は、電圧印加によって光学特性が変化する液晶その他の電気光学素子を用いたものであればよい。液晶パネル22としては、例えば単純マトリクスパネルで構成でき、この場合、複数のセグメント電極(第1の電極)が形成された第1基板と、コモン電極(第2の電極)が形成された第2基板との間に、液晶が封入される。液晶パネル22は薄膜トランジスタ(TFT)、薄膜ダイオード(TFD)等の三端子素子、二端子素子を用いたアクティブマトリクスパネルであっても良い。これらのアクティブマトリクスパネルも、XドライバIC24により駆動される複数の信号電極(第1の電極)と、YドライバIC26により走査駆動される複数の走査電極(第2の電極)を有する。
図1に示した電子機器において、MPU10と表示ユニット20とは、少なくともパラレルインタフェース(InterFace:以下、IFと略す。)信号線及び差動IF信号線を介して接続される。なお、図1では、これらに加えてシリアルIF信号線を介しても接続されている。
パラレルIF信号線は、D7〜D0の8ビットデータバスを含み、この8ビットデータバスを介して表示コマンド及び静止画データが送受信される。図1では、例えば8ビットデータバスと別個に設けられたパラレルIF制御信号線を介してコマンド/データの識別信号の送受信を行うことにより、8ビットバスD7−D0を介して転送されるデータを、表示コマンド若しくは静止画データとして識別させることができる。表示コマンドは、例えば液晶パネルの表示領域の設定(静止画の表示領域設定、動画の表示領域設定)等の表示制御を行うためのコマンドである。静止画データは、表示コマンドによって設定された表示領域に静止画を表示させるための表示データである。このパラレルIF制御信号線は、その他反転リセット信号XRES、反転チップセレクト信号XCS、反転リード信号XRDおよび反転ライト信号XWR等が送受信される。XドライバIC24は、これら制御信号により、表示データRAM28に対して静止画データの書き込み制御等を行う。
差動IF信号線は、差動対の信号線を含み、この差動対の信号線を介して差動信号に変換された例えば各6ビットのR、G、B信号である動画データ、同期クロック等が送受信される。その際、差動対の信号線と別個に設けられた差動IF制御信号線を介して電力制御信号PSが送受信される。XドライバIC24及びMPU10は、この電力制御信号PSにより、差動IFの動作制御を行う。また、XドライバIC24は、同期クロックに同期して差動信号を取り込み、これを表示データRAM28に書き込む。
シリアルIF信号線は、例えば各6ビットのR、G、B信号である動画データが1ビットずつ伝送される。また、同様にクロック信号CLK、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync(若しくは水平・垂直同期信号のコンポジット信号H・Vsync)等も供給される。XドライバIC24は、これらクロック信号CLK及び各同期信号に同期して、表示データRAM28に動画データを書き込む。
XドライバIC24は、所与のフレーム周波数(例えば、60フレーム毎秒(frame per second:以下、f/sと略す。)、30f/s、15f/s等)で、表示データRAM28に記憶された表示データを、所与の表示単位(例えば、1走査ライン単位、複数走査ライン単位)で読み出し、この読み出し表示データに基づき、液晶パネル22を表示駆動する。
なお、図1ではMPU10と表示ユニット20とは各インタフェースを介して接続されているが、表示ユニット20にMPU10を含めて構成することも可能である。この場合、MPU10は、上述したIFを介してXドライバIC24と直接表示データの送受信を行うことになる。
図2に、図1に示したMPU10及び表示ユニット20を携帯電話機30に搭載した例を示す。
図2に示すMPU10は、携帯電話機30の制御を司る中央処理装置(Central Processing Unit:以下、CPUと略す。)12を有し、このCPU12には静止画用メモリ14、DSP(Digital Signal Processor)16が接続されている。また、DSP16には動画処理用メモリ18が接続されている。さらに、MPU10は、図1に示したXドライバIC24とのIF機能を実現するシリアルIF回路40、差動IF回路42、パラレルIF回路44を含む。
携帯電話機30には、アンテナ32を介して受信された信号を復調し、あるいはアンテナ32を介して送信される信号を変調する変復調回路34が設けられている。そして、アンテナ32からは、例えばMPEG(Moving Picture Experts
Group)のレイヤIVの規格で符号化された動画データを送受信可能となっている。
この携帯電話機30には、例えばディジタルビデオカメラ36を設け、動画データを取り込むことができる。携帯電話機30でのデータ送受信、ディジタルビデオカメラ36での撮影などに必要な操作情報は、操作入力部38を介して入力される。
CPU12は、例えば動画情報から、液晶パネル22の表示領域を決定する。決定された表示領域に表示される動画は、例えばアンテナ32又はディジタルビデオカメラ36から供給される。アンテナ32から入力される信号は、変復調回路34を介して復調されてDSP16で信号処理される。このDSP16は動画処理用メモリ18と接続され、アンテナ32、変復調回路34を介して入力される圧縮データを伸張し、またMPEGのレイヤIVの規格で符号化されているデータについてはデコードする。変復調回路34、アンテナ32を介して送信されるデータはDSP16で圧縮され、MPEGのレイヤIVの規格で符号化して送信する場合にはエンコードされる。このようにDSP16は、MPEGの例えばレイヤIVのデコーダ、エンコーダとしての機能を有することができる。
このDSP16にはディジタルビデオカメラ36からの信号も入力され、アンテナ32又はディジタルビデオカメラ36より入力された信号は、DSP16でRGB信号に処理されて表示ユニット20に供給される。
DSP16で生成された動画データは、シリアルIF回路40を介してシリアルIF信号線、若しくは差動IF回路42を介して差動IF信号線のいずれかにより表示ユニット20に供給される。どちらのIF信号線を介して動画データを送受信するかは、動画の表示領域のサイズに応じてCPU12が決定するようにしても良い。
一方、このCPU12は、操作入力部38からの情報等に基づき、必要により静止画用メモリ14を用いて、液晶パネル22に表示される静止画の表示に必要なコマンド、静止画データを、パラレルIF回路44を介したパラレルIF信号線経由で表示ユニット20に出力する。
例えば、動画はインターネットを経由して配信された映画情報であり、その劇場チケットを予約するための情報が静止画として表示され、操作入力部38からの情報に基づいてチケット予約が実施される。この場合、CPU12は、さらに変復調回路34、アンテナ32を介して例えば予約情報を送出制御する。またCPU12は、必要により、ディジタルビデオカメラ36で撮影された動画情報を、変復調回路34、アンテナ32を介して送出制御することができる。
2. XドライバIC(表示コントローラ)
2.1 構成
図3に、図1に示した第1の実施形態における表示コントローラとしてのXドライバICの構成要部の一例を示す。
XドライバIC24は、上述した表示データRAM28に加え、ラッチ回路50、液晶駆動回路52、LCDコントローラ54を含む。
LCDコントローラ(広義には、表示データ書込手段)54は、XドライバIC24全体の制御を司り、表示データRAM28への表示データの書き込み制御、読み出し制御、液晶パネルへの表示駆動制御を行う。
LCDコントローラ54は、一定のフレーム周期で、表示データRAM28から所与の表示単位の表示データの読み出し制御を行う。表示データRAM28から読み出された表示データは、LCDコントローラによって生成されたラッチ信号に同期してラッチ回路50でラッチされる。ラッチ回路50でラッチされたデータは、LCDコントローラ54による表示駆動制御信号により、極性反転周期に従って階調値に応じたパルス幅の信号に変換され、LCD表示系の電圧に応じた電圧にシフトされて、液晶パネル22のセグメント電極SEG1〜SEGnに供給される。
このようなLCDコントローラ54により表示制御が行われる表示データと、LCDコントローラ54を制御するためのコマンドは、少なくともパラレルIF及び差動IFを介して受信される。図3では、これに加えてシリアルIFを介しても受信される。
第1の実施形態におけるXドライバIC24の表示データRAM28は、3ポートを有している。より具体的には、表示データRAM28は、シリアルIF信号線を介して転送された動画データ若しくはパラレルIF信号線を介して転送された静止画データ(表示データ)を書き込むための第1のポートと、差動IF信号線を介して転送された動画データ(表示データ)を書き込むための第2のポートと、表示部を表示駆動するために表示データを読み出すための第3のポートとを有している。
差動IF信号線及び差動IF制御信号線は、差動IF回路(第1の表示データ受信手段)60に接続される。差動IF回路60は、差動対の信号線を介して受信した差動信号であるデータ信号D(ビット幅K=1)及びクロック信号CLKを増幅する差動増幅器を含む。この差動増幅器の構成は、公知であるため詳細な説明は省略するが、電流源から供給された電流の変化に基づき差動信号を増幅するようになっている。
また、差動IF回路60は、差動IF制御信号線を介して送受信される電力制御信号PSをバッファリングする入力バッファ回路を含む。この入力バッファ回路は、CMOS回路により構成される。
差動IF回路60の差動増幅器によって増幅された差動信号であるデータ信号D及びクロック信号CLKは、スタートフレーム検出回路62に供給される。
スタートフレーム検出回路62は、クロック信号CLKに同期して受信されたデータ信号Dのビット列を監視し、予め設定されたビットパターンに基づいてスタートフレームか否かを判別する。スタートフレーム検出回路62によってスタートフレームであると判別されたデータ信号Dのビット列は、シリアル・パラレル(Serial-Parallel:以下、S/Pと略す。)変換回路(広義には、第1のビット幅変換手段)64に供給される。
S/P変換回路64は、スタートフレーム検出回路62からの1ビット幅のビット列を例えば16ビット(ビット幅L=16)のパラレルデータに変換する。このパラレルデータは、スタートフレーム検出回路62によって検出されたスタートフレームの検出タイミング等の制御信号と共に、LCDコントローラ54及び表示データRAM28に供給される。このパラレルデータは、第1のポートを介して16ビット(ビット幅L=16)単位で表示データRAM28に書き込まれる。
また、差動IF回路60の入力バッファ回路でバッファリングされた電力制御信号PSは、少なくとも差動IF回路60の差動増幅器に供給される。図3では、これに加えて電力制御信号PSがスタートフレーム検出回路62、S/P変換回路64にも供給される。
差動IF回路60の差動増幅器は、電流源から供給された電流の変化に基づき差動信号を増幅するが、この電力制御信号PSによって、この電流源から供給される電流の停止又は制限を行って動作制御されるようになっている。また、スタートフレーム検出回路62及びS/P変換回路64も、電力制御信号PSによって差動増幅器の動作制御と同様のタイミングで、動作停止する。
シリアルIF信号線は、シリアルIF回路70に接続される。シリアルIF回路70は、シリアルに入力されたデータ信号D、クロック信号CLK及び反転チップセレクト信号XCSをバッファリングする。シリアルIF回路70は、CMOS回路により構成される。反転チップセレクト信号XCSがアクティブの場合、バッファリングしたクロック信号CLKに同期して受信したシリアル入力されたデータ信号Dは、S/P変換回路72に供給される。
S/P変換回路72は、このシリアル入力されたデータ信号Dを例えば16ビット(ビット幅L=16)のパラレルデータに変換する。このパラレルデータは、クロック信号CLK等の制御信号と共に、LCDコントローラ54及び表示データRAM28に供給される。このパラレルデータは、第2のポートを介して16ビット(ビット幅L=16)単位で表示データRAM28に書き込まれる。
パラレルIF信号線及びパラレルIF制御信号線は、パラレルIF回路(広義には、第2の表示データ受信手段)80に接続される。パラレルIF回路80は、例えば8ビット(ビット幅N=8)のパラレルデータ信号D7〜D0、クロック信号ECLK及びその他制御信号(反転チップセレクト信号XCS等)をバッファリングする。パラレルIF回路70は、CMOS回路により構成される。反転チップセレクト信号XCSがアクティブの場合、バッファリングしたクロック信号ECLKに同期して受信したパラレル入力されたデータ信号D7〜D0は、S/P変換回路(広義には、第2のビット幅変換手段)82に供給される。
S/P変換回路82は、このパラレル入力されたデータ信号D7〜D0を例えば16ビット(ビット幅L=16)のパラレルデータに変換する。このパラレルデータは、クロック信号ECLK等の制御信号と共に、LCDコントローラ54及び表示データRAM28に供給される。このパラレルデータは、第2のポートを介して16ビット(ビット幅L=16)単位で表示データRAM28に書き込まれる。
またXドライバIC24は、シリアルIF及びパラレルIFのいずれか一方のみを動作させるための入力切換信号がバッファリングされる入力バッファ回路90を有している。この入力切換信号によって、シリアルIF回路70及びS/P変換回路72と、パラレルIF回路80及びSP変換回路82とが排他的に動作するように制御される。
さらにXドライバIC24は、発振回路(OSC)94を有しており、LCDコントローラ54はOSC94の発振出力に基づき、表示タイミングsync(垂直同期信号Vsync/水平同期信号Hsync)を出力する。
2.2 ブランキング期間
第1の実施形態における表示コントローラとしてのXドライバIC24は、表示データRAMを備え、この表示データRAMから一定のフレーム周期で表示データを読み出して、表示部を表示駆動する。このため、当該フレームにおける当該走査ラインに対応する表示データの書き込みが、当該走査ラインの読み出しに先行して行われる必要がある。また、画面サイズの拡大や、階調ビット数の増加によって表示データ量が増加するため、当該フレームにおいて早い時期から表示データの受信を開始し、増大する表示データの転送時間を確保するようにしている。
こうすることで、当該フレームにおける当該走査ラインの書き込みタイミングが、常に当該読み出しタイミングより早くなるようにし、タイミング生成の簡素化を図るようにしている。
そのため、第1の実施形態では、各走査開始前にダミーのブランキング期間を設け、当該ブランキング期間中から表示データの転送を行うようにしている。これにより、上述した書き込みタイミングと読み出しタイミングとを考慮する必要がなくなる。
図4(A)、(B)に、ダミーのブランキング期間を説明するための説明図を示す。
液晶パネルを表示駆動する場合、1フレーム分の走査開始タイミングを示す垂直同期信号Vsync、各フレームにおける各走査ラインの走査開始タイミングを示す水平同期信号Hsyncに同期して行われる。より具体的には、図4(A)に示すように垂直同期信号Vsyncの立ち下がりに同期して、各フレームの1走査ライン目から、順次水平同期信号Hsyncに同期して表示駆動されることになる。
したがって、垂直同期信号Vsyncを縦軸に、水平同期信号Hsyncを横軸にとると、図4(B)に示す表示領域180に1フレーム分の画像が表示されることになる。すなわち、図4(B)に示すPを基準に、表示部の垂直走査と水平走査が開始される。
ここで、垂直同期信号Vsyncが「H」レベルの期間をダミーの垂直ブランキング期間とすると、領域182が非表示領域となる。また、水平同期信号Hsyncが「H」レベルの期間をダミーの水平ブランキング期間とすると、領域184が非表示領域となる。
したがって、垂直同期信号Vsyncの立ち上がりに同期して、ダミーの垂直ブランキング期間中から表示データを高速な転送レートで受信して、1フレーム分の表示データを表示データRAMに書き込むことによって、当該フレームにおいて、各走査ラインについて着目すると、常に書き込みが読み出しに先行して行われているため、タイミングを考慮することなく1フレームの表示駆動が可能となる。
ここで、1フレーム分の表示データをDとし、転送レートをRとすると、図5に示すようにダミーの垂直ブランキング期間が、少なくともD/Rで表される期間よりも長くすることによって、表示データRAMからの読み出しタイミングを開始するときには、既に当該フレームの表示データの書き込みを終了させることができることになる。これにより、同時に3ポートを有する表示データRAMの書き込みと読み出しが行われることがなくなり、読み出し若しくは書き込みに伴う表示データRAM内の電流変動の低減によって、耐ノイズ性の向上を図ることができる。
2.3 差動IFによる高速転送制御
上述したような第1の実施形態における表示コントローラとしてのXドライバIC24は、演算増幅器を用いた差動IFにより、動画データの送受信を行うようになっている。差動IFは、CMOS回路によるIFとは異なり、振幅の小さな信号を差動対で構成して送受信を行うことで高速なデータ転送レートを実現できる。これにより、将来の液晶パネルの画面サイズの拡大等によっても動画を違和感なく表示させるために必要とされ、CMOS回路では実現できない転送レートを実現し、動画データを表示データRAMに書き込むことができるようになる。
このような差動IFを実現するためには、差動対の信号を駆動する差動ドライバと、差動対の信号を増幅する差動増幅器とが必要とされる。これら差動IFの差動ドライバ及び差動増幅器で用いられる電流源は、転送レートに依存することなく定常電流が流れる。したがって、転送レートが低い場合にはCMOS回路によるIFの方が、消費電力が小さくなる。一方、転送レートが高く場合には、CMOS回路によるIFの方が、消費電力が大きくなり、定常電流による電力消費が行われる差動IFの方の消費電力を小さくすることができるようになる。しかも、差動IFの場合、CMOS回路によるIFでは達成できない転送レートを実現することができる。
そこで、第1の実施形態では、差動IFによる高速な表示データ転送を行う一方、液晶パネルの表示駆動が垂直同期信号や水平同期信号に同期して行われる必要があるため、表示データを転送する際には高速な転送レートで行った後、次の転送タイミングまで差動IFを停止させるようにして転送制御を行うことにより、消費電力の増加を抑えるようにしている。
以下では、このような差動IFの構成について説明する。
2.3.1 差動IFの構成例
(第1の構成例)
図6(A)に差動IFの第1の構成例を示し、図6(B)に第1の構成例における動作波形の一例を示す。
第1の構成例において、送信側に差動ドライバ100、受信側に差動レシーバ102が設けられ、差動対の信号線D1、D2を介して接続されている。差動ドライバ100は、図2におけるMPUの差動IF回路42に含んで構成される。また、差動レシーバ102は、図3における差動IF回路60に含んで構成される。
送信側の差動ドライバ100において、p型(第1導電型)トランジスタ104(広義には、差動ドライバ制御手段)は、ソース端子に電源VDD(第1の電源)が接続され、ゲート端子に電力制御信号PSが供給される。p型トランジスタ104のドレイン端子には、電流源106の一端が接続される。
電流源106の他端は、p型トランジスタ108、110のソース端子に接続される。
p型トランジスタ108、110のドレイン端子には、n型(第2導電型)トランジスタ112、114のドレイン端子が接続される。p型トランジスタ108のゲート端子は、送信すべきデータ信号Dの+側を示すD+信号の反転信号(XD+信号)が供給される。p型トランジスタ110のゲート端子は、D+信号が供給される。
n型トランジスタ112、114のソース端子には、接地電源VSS(第2の電源)が接続される。n型トランジスタ112のゲート端子には、データ信号Dの−側を示すD−信号が供給される。n型トランジスタ114のゲート端子は、D−信号の反転信号(XD−信号)が供給される。
差動ドライバ100では、p型トランジスタ110のドレイン端子とn型トランジスタ114のドレイン端子の接続点ND1、p型トランジスタ108のドレイン端子とn型トランジスタ112のドレイン端子の接続点ND2のそれぞれに、差動対の信号線D1、D2が接続される。
差動レシーバ102は、差動増幅器116を有している。差動増幅器116の構成は、公知であるため説明を省略するが、受信された差動対の信号線の電位の変化に対応して電流源からの電流が変化した場合に、この変化に対応した電圧を生成するようになっている。
この差動増幅器116は、p型トランジスタ118(広義には、受信動作停止手段)を介して電源VDDと接続されている。p型トランジスタ118のゲート端子には、電力制御信号PSが供給される。電力制御信号PSによってp型トランジスタ118のドレイン電流が差動増幅器116に供給された場合、差動増幅器116は動作するが、このドレイン電流が停止又は制限された場合はその動作を停止するようになっている。
差動対の信号線D1、D2は、終端抵抗RLを介して接続されており、差動レシーバ102の差動増幅器116は、この終端抵抗RLの両端に発生する電圧を増幅する。増幅した信号は、バッファ回路120によってバッファリングされ、受信信号S1として後段の回路に供給される。
このような構成によれば、差動ドライバ100において、電流源106からの電流が、D+信号及びD−信号によって、接続点ND1、ND2に流れる電流が変化し、差動対の信号線D1、D2を介して、終端抵抗RLの両端に電圧が発生する。差動レシーバ102では、差動増幅器116で、終端抵抗RLの両端に発生する電圧を増幅する。
したがって、図6(B)に示すように、Vc(例えば、1.2V)を中心にVs(例えば300mV)の振幅の差動信号を送信することができるので、より高速なデータ転送が可能となる。受信側の差動増幅器116では、これを増幅してバッファリングして論理レベルに変換することにより、後段のCMOS回路に用いることができる。
この際、図6(A)に示した差動IFでは、表示に必要とされる表示データだけを高速に転送した後次の転送タイミングまでの間、電力制御信号PSにより、送信側及び受信側で動作制御を行って、消費電力の低減を図ることができるようになっている。
図7に、電力制御信号PSによる消費電流の変化を模式的に示す。
すなわち、省電力制御PSの論理レベルが「L」のとき、送信側の差動ドライバ、受信側の差動レシーバが動作し、電流源による一定電流I0が流れる。一方、電力制御信号PSの論理レベルが「H」のとき、送信側の差動ドライバ、受信側の差動レシーバの動作が停止し、定電流源による電流消費が0になる。
したがって、省電力制御PSの論理レベルを「L」にして高速にデータ転送を行った後、時刻T1において省電力制御PSの論理レベルを「H」にして送信側及び受信側を停止することで、消費電力の増加を抑えることができる。
(第2の構成例)
図8(A)に差動IFの第2の構成例を示し、図8(B)に第2の構成例における動作波形の一例を示す。
第2の構成例において、送信側に差動ドライバ130、受信側に差動レシーバ132が設けられ、差動対の信号線D1、D2を介して接続されている。差動ドライバ130は、図2におけるMPUの差動IF回路42に含んで構成される。また、差動レシーバ132は、図3における差動IF回路60に含んで構成される。
送信側の差動ドライバ130において、p型トランジスタ134(広義には、差動ドライバ制御手段)は、ソース端子に電源VDDが接続され、ゲート端子に電力制御信号PSが供給される。p型トランジスタ134のドレイン端子には、電流源136の一端が接続される。
電流源136の他端には、p型トランジスタ138、140のソース端子が接続される。
p型トランジスタ138、140のドレイン端子には、差動対の信号線D2、D1が接続される。p型トランジスタ138のゲート端子には、送信すべきデータ信号Dが供給される。p型トランジスタ140のゲート端子には、送信すべきデータ信号Dの反転信号が供給される。
差動レシーバ132は、差動増幅器142を有している。この差動増幅器142の構成は公知であるため、説明を省略するが、受信された差動対の信号線の電位の変化に対応して電流源からの電流が変化した場合に、この変化に対応した電圧を生成するようになっている。
この差動増幅器142は、p型トランジスタ144(広義には、受信動作停止手段)を介して電源VDDと接続されている。p型トランジスタ144のゲート端子には、電力制御信号PSが供給される。電力制御信号PSによってp型トランジスタ144のドレイン電流が差動増幅器142に供給された場合、差動増幅器142は動作するが、このドレイン電流が停止又は制限された場合はその動作を停止するようになっている。
差動対の信号線D1、D2は、それぞれ接地電位VSSとの間に終端抵抗RL1、RL2を介して接続されている。差動レシーバ132の差動増幅器142は、終端抵抗RL1、RL2によって発生した差動対の信号線D1、D2の電位差を増幅する。増幅した信号は、バッファ回路146によってバッファリングされて、受信信号S2として後段の回路に供給される。
このような構成によれば、差動ドライバ130において、電流源136からの電流が、データ信号Dによって、p型トランジスタ138、140のドレイン電流が変化する。これにより、差動対の信号線D1、D2の電位が終端抵抗RL1、RL2によって変化するため、差動レシーバ132で、この電位差を差動増幅器142で増幅する。
したがって、図8(B)に示すように、Vc(例えば、150mV)を中心にVs(例えば300mV)の振幅の差動信号を送信することができるので、より高速なデータ転送が可能となる。受信側の差動増幅器142では、これを増幅してバッファリングして論理レベルに変換することにより、後段のCMOS回路に用いることができる。
この際、図8(B)に示した差動IFでは、電力制御信号PSにより、送信側及び受信側で動作制御を行って、図7に示したように消費電力の低減を図ることができるようになっている。
(第3の構成例)
図9(A)に差動IFの第3の構成例を示し、図9(B)に第3の構成例における動作波形の一例を示す。
第3の構成例において、送信側に差動ドライバ150、受信側に差動レシーバ152が設けられ、差動対の信号線D1、D2を介して接続されている。差動ドライバ150は、図2におけるMPUの差動IF回路42に含んで構成される。また、差動レシーバ152は、図3における差動IF回路60に含んで構成される。
送信側の差動ドライバ150において、n型トランジスタ154(広義には、差動ドライバ制御手段)は、ソース端子に接地電源VSSが接続され、ゲート端子に電力制御信号PSが供給される。n型トランジスタ154のドレイン端子には、電流源156の一端に接続される。
電流源156の他端には、n型トランジスタ158、160のソース端子が接続される。
n型トランジスタ158、160のドレイン端子には、差動対の信号線D1、D2が接続される。n型トランジスタ158のゲート端子は、送信すべきデータ信号Dが供給される。n型トランジスタ160のゲート端子は、送信すべきデータ信号Dの反転信号が供給される。
差動レシーバ152は、差動増幅器162を有している。この差動増幅器162の構成は公知であるため、説明を省略するが、受信された差動対の信号線の電位の変化に対応して電流源からの電流が変化した場合に、この変化に対応した電圧を生成するようになっている。
この差動増幅器162は、n型トランジスタ166(広義には、受信動作停止手段)を介して接地電源VSSと接続されている。n型トランジスタ166のゲート端子には、電力制御信号PSが供給される。電力制御信号PSによってn型トランジスタ166のドレイン電流が差動増幅器162に供給された場合、差動増幅器162は動作するが、このドレイン電流が停止又は制限された場合はその動作を停止するようになっている。
差動対の信号線D1、D2は、それぞれ電位VDDとの間に終端抵抗RL3、RL4を介して接続されている。差動レシーバ152の差動増幅器162は、終端抵抗RL3、RL4による電位差を増幅する。増幅した信号は、バッファ回路164によってバッファリングされて、受信信号S3として後段の回路に供給される。
このような構成によれば、差動ドライバ150において、電流源156により供給されるn型トランジスタ158、160のドレイン電流が、データ信号Dによって変化する。これにより、差動対の信号線D1、D2の電位が終端抵抗RL3、RL4によって変化するため、差動レシーバ152で、この電位差を差動増幅器162で増幅する。
したがって、図9(B)に示すように、Vc(例えば、VDD−150mV)を中心にVs(例えば300mV)の振幅の差動信号を送信することができるので、より高速なデータ転送が可能となる。受信側の差動増幅器162では、これを増幅してバッファリングして論理レベルに変換することにより、後段のCMOS回路に用いることができる。
この際、図9(B)に示した差動IFでは、電力制御信号PSにより、送信側及び受信側で動作制御を行って、図7に示したように消費電力の低減を図ることができるようになっている。
2.4 CMOS回路によるIFとの比較
上述した高速転送が可能な差動IFについて、ダミーのブランキング期間を利用した転送制御を行う場合の消費電力について、CMOS回路によるIFと比較して説明する。
図10に、CMOS回路によるIFの転送レートと消費電流との関係を示す。
ここで、横軸には、データ転送レート[Mbps](メガビット毎秒)、縦軸には消費電流[mA](ミリアンペア)をとっている。
また、各種液晶パネルの画像サイズと階調ビット数とによって1フレームの表示に必要とされる表示データの転送量が異なるため、代表的な画像サイズと階調ビット数について示している。例えば、QCIF(Quarter Common Intermediate Format、176×144)サイズのRGB信号の各6ビット(計18ビット)を15f/sで転送する場合、CIF(352×288)サイズのRGB信号の各8ビット(計24ビット)を30f/sで転送する場合、VGA(Video Graphics Array、640×480)サイズのRGB信号の各8ビット(計24ビット)を30f/sで転送する場合等を示している。
CMOS回路によるIFでは、周波数に比例して消費電流が増加するため、転送レートが高速になるのに伴い、消費電流が増加している(E1)。したがって、QCIFサイズでRGB信号の各6ビット(計18ビット)の表示データを15f/sで転送する場合には、十分小さな消費電流で済むが、CIFサイズでRGB信号の各8ビット(計24ビット)の表示データを30f/sで転送する場合には、必要とされる転送レートが高くなるため、消費電流が増加してしまう。さらに、CMOS回路では、R1で示される領域の転送レートは、もはや実現することが困難となり、CIFサイズでRGB信号の各8ビット(計24ビット)の表示データを30f/sの転送を行うことは難しい。
一方、差動IFによれば、E2に示すように転送レートに依存することなく、定常電流が流れる。したがって、QCIFサイズでRGB信号の各6ビット(計18ビット)の表示データを15f/sで転送する場合には、CMOS回路によるIFに比べて消費電流が大きい。しかし、差動IFでは、転送レートにかかわらず一定の定常電流が消費されることになるため、例えばCIFサイズでRGB信号の各8ビット(計24ビット)の表示データを30f/sで転送する場合には、むしろCMOS回路によるIFに比べて消費電流が小さくなる。さらに、差動IFでは、CMOS回路では実現できない転送レートで表示データを転送することができる。
したがって、100Mbpsや400MpbsのようなCMOS回路では実現できないような高速な転送レートで、上述したようなダミーのブランキング期間中から表示データの転送を開始し、転送終了後は次の表示データの転送タイミングまで差動IFの動作を停止して定常電流の消費を低減させることにより、高速な転送レートと低消費化とを両立させることができる(E3、E4)。
2.5 書き込みビット幅
上述したような第1の実施形態における表示コントローラとしてのXドライバIC24は、差動IF若しくはシリアルIFのビット幅をK(Kは、自然数)、パラレルIFのビット幅をN(Nは、Kより大きい自然数)とした場合に、少なくともK、N以上のビット幅L(Lは、自然数)単位で表示データRAM28に表示データを書き込むことができるようになっている。
これにより、違和感なく動画を表示するために表示データRAMに高速に表示データを書き込む必要があっても、書き込み周波数を低下させることができる。これは、液晶パネルの画面サイズの拡大等によって1フレーム分の表示に必要な表示データが多くなった場合にも対応できる。例えば、8ビット単位で表示データRAM28に書き込む場合の書き込み周波数をFとすると、16ビット単位で書き込む場合の書き込み周波数はF/2で済む。したがって、その分表示データRAM28の製造に低コストのプロセスを用いることができ、かつ消費電力の増加を抑えることも可能となる。
2.6 表示コントローラの動作タイミング
次に、このような第1の実施形態におけるXドライバIC24の動作について、具体的に説明する。以下では、差動IFとして図6(A)、(B)に示した第1の構成例が適用されているものとして説明するが、第2及び第3の構成例についても同様である。
図11(A)、(B)に、差動IFで送受信される信号の具体例を示す。
図11(A)では、MPU10から、差動対の信号線を介してクロック信号CLK及びデータ信号Dが表示コントローラ24に転送される。また、表示コントローラ24では、内部で生成した表示タイミングをMPU10に通知するため、垂直同期信号Vsync及び水平同期信号HsyncをCMOS回路によるIFを介して送信する。
MPU10では、差動対の信号線Dで転送すべき表示データ量を認識しているので、通知された垂直同期信号Vsync又は水平同期信号Hsyncを基準に表示データの転送後に差動IFの動作を停止させるための電力制御信号PSを生成し、MPU10の送信側と表示コントローラ24の受信側との差動IFの動作制御を行う。
また、図11(B)に示すように、垂直同期信号Vsyncと水平同期信号Hsyncとを複合したコンポジット信号として表示コントローラ24からMPU10に通知するようにしても良い。
図12に、上述した差動IFを介して表示コントローラに60f/sで表示データを転送した場合の動作タイミングの一例を示す。
ここでは、1垂直走査期間が、例えば288個水平走査期間と、垂直ブランキング期間B1、B2とからなるものとする。すなわち、ダミーの垂直ブランキング期間が、水平走査期間が2つ分の期間であるものとする。
表示コントローラ24は、内部で生成した表示タイミングを表示データ供給側であるMPU10に通知するため、垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsync若しくは垂直・水平同期信号コンポジット信号を出力する。
MPU10は、垂直同期信号Vsyncの立ち上がり及び水平同期信号の立ち上がり、若しくは垂直・水平同期信号コンポジット信号の立ち上がり(時刻TT1)を検出すると、電力制御信号PSにより差動IFの動作を開始させるため、時刻TT1から時間t1(t1≦1H、1Hは1水平走査時間)だけ遅れて表示コントローラ24に通知する。これ以降、電力制御信号PSの論理レベルが「L」の期間で、MPU10の差動IF回路42及び表示コントローラ24の差動IF回路60の動作が開始し、定常電流が流れる。
続く時刻TT1から時間t2(t1≦t2≦1H)経過後に、MPU10から差動IFによるデータ信号D及びクロック信号CLKの送信が開始され、例えば100Mbps〜400Mbpsという高速な転送レートで1フレーム分の表示データを時刻TT2まで転送を行う。
すなわち、ダミーの垂直ブランキング期間中に、1フレーム分の表示データの転送を開始させる。MPU10では、1フレーム分の表示データの転送データ量が認識されているので、予め設定された転送レートとの関係から、1フレーム分の表示データの転送時間Tpがわかる。そこで、MPU10では、少なくとも1フレーム分の表示データの転送時間Tpだけ電力制御信号PSの論理レベルが「L」になるようにする。
この結果、1フレーム分の表示データの転送が終わってから電力制御信号PSが時刻TT3(TT2≦TT3)で論理レベル「H」となって、作動IFの動作が停止される。これ以降、電力制御信号PSの論理レベルが「H」の期間で、MPU10の差動IF回路42及び表示コントローラ24の差動IF回路60の動作が停止し、電流消費が0になる。
一方、表示コントローラ24は、垂直走査期間1Vにおいて垂直同期信号Vsyncの立ち下がりに同期して、水平走査期間1H以降、1走査ライン目から順に表示データRAMから、垂直ブランキング期間中から書き込まれた当該フレームの表示データを読み出し、上述したように液晶パネルを駆動する(picture1表示)。
フレーム周期が60Hzの場合、次の垂直走査期間2Vにおいて、垂直同期信号Vsyncが立ち上がると、垂直走査期間1Vと同様にして2フレーム目の表示データの転送制御を行って、垂直走査期間2Vの垂直ブランキング期間中から書き込まれた当該フレームの表示データを読み出し、上述したように液晶パネルを駆動する(picture2表示)。
このように、差動IFは、1フレーム分の表示データの転送中には定常電流が流れるが、転送終了後に差動IFの動作を停止させることで、各フレームにおいて表示データの転送に伴う消費電流は、時間t1〜TT3までの差動IFの定常電流だけになる。したがって、図10に示したようにCMOS回路によるIFの場合に比べて、低消費電力化を図ることができる。これは、転送すべき表示データ量が多くなればなるほど効果的となる。
図13に、上述した差動IFを介して表示コントローラに30f/sで表示データを転送した場合の動作タイミングの一例を示す。
この場合も、表示データの転送制御については図12に示した60f/sと同様である。
表示コントローラ24が液晶パネルを表示駆動するフレーム周期が60Hzの場合、連続する2フレームについて同一の表示データに基づいて表示駆動を行うため、1フレーム目に表示データを図12に示すように転送を行うと、1フレームを空けて3フレーム目に次の表示データを転送すればよい。すなわち、差動IFの停止期間が長くなるため、より消費電力の低減を図ることが可能となる。
図14に、上述した差動IFを介して表示コントローラに15f/sで表示データを転送した場合の動作タイミングの一例を示す。
この場合も、表示データの転送制御については図12に示した60f/sと同様である。
ただ、表示コントローラ24が液晶パネルを表示駆動するフレーム周期が60Hzの場合には、連続する4フレームについて同一の表示データに基づいて表示駆動を行うため、1フレーム目に表示データを図12に示すように転送を行うと、3フレーム空けて4フレーム目に次の表示データを転送すればよい。したがって、差動IFの停止期間が長くなるため、より消費電力の低減を図ることが可能となる。
実際に、液晶パネルに動画を表示駆動する場合、15f/sまでは、人間の視覚特性によって違和感なく動画を認識できるものとされており、この場合画面サイズの拡大に対応した動画表示と十分な消費電力の削減とを両立させることが可能となる。
<第2の実施形態>
3. 第2の実施形態の特徴
第1の実施形態では、ダミーの垂直ブランキング期間を利用して当該期間中から1フレーム分の表示データをまとめて転送するものとして説明したが、これに限定されるものではない。第2の実施形態では、ダミーの水平ブランキング期間を利用して当該期間中から当該走査ライン分の表示データを転送することによっても、差動IFの高速転送制御による液晶パネルの画面サイズの拡大への対応と、低消費電力化とを両立させることができる。
第2の実施形態における表示コントローラ、これを用いた表示ユニット及び電子機器の構成については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
3.1 ダミーの水平ブランキング期間
図15に、ダミーの水平ブランキング期間について説明するための図を示す。
第2の実施形態では、水平同期信号Hsyncの立ち上がりに同期してダミーの水平ブランキング期間中から表示データを高速に転送して、走査ライン分の表示データを表示データRAMに書き込むようにしている。例えば、1走査ライン目の走査期間では、1走査ライン目のダミーの水平ブランキング期間から1走査ライン目の表示データの転送を行う。この場合、当該フレームにおいて、各走査ラインについて着目すると、常に書き込みが読み出しに先行して行われているため、タイミングを考慮することなく1フレームの表示駆動が可能となる。
3.2 動作タイミング
図16に、第2の実施形態において、差動IFを介して表示コントローラに60f/sで表示データを転送した場合の動作タイミングの一例を示す。
ここでは、1垂直走査期間が、例えば288個水平走査期間と、垂直ブランキング期間B1、B2とからなるものとする。すなわち、垂直ブランキング期間が、水平走査期間が2つ分の期間であるものとする。
また、差動IFとして図9(A)、(B)に示した第3の構成例が適用されているものとして説明するが、第1及び第2の構成例についても同様である。
表示コントローラは、内部で生成した表示タイミングを表示データ供給側であるMPUに通知するため、垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsyncを出力する。
MPUは、垂直同期信号Vsyncの立ち上がり及び水平同期信号の立ち上がり(時刻TT11)を検出し、ダミーの水平ブランキング期間B2の水平同期信号Hsyncの立ち上がりを検出すると、電力制御信号PSにより差動IFの動作を開始させるため、時刻TT11から時間t11(t11≦1H)だけ遅れて表示コントローラに通知する。これ以降、電力制御信号PSの論理レベルが「H」の期間で、MPUの差動IF回路及び表示コントローラの差動IF回路の動作が開始し、定常電流が流れる。
続く時刻TT11から時間t21(t11≦t21≦1H)経過後に、MPUから差動IFによるデータ信号D及びクロック信号CLKの送信が開始され、例えば100Mbps〜400Mbpsという高速な転送レートで1走査ライン目の表示データを時刻TT21まで転送を行う。
すなわち、ダミーの水平ブランキング期間中に、1走査ライン分の表示データの転送を開始させる。MPUでは、1走査ライン分の表示データの転送データ量が認識されているので、予め設定された転送レートとの関係から、1走査ライン分の表示データの転送時間TLがわかる。したがって、MPUでは、少なくとも1走査ライン分の表示データの転送時間TLだけ電力制御信号PSの論理レベルが「H」になるようにする。
この結果、当該走査ライン分の表示データの転送が終わってから電力制御信号PSが時刻TT31(TT21≦TT31)で論理レベル「L」となって、作動IFの動作が停止される。これ以降、電力制御信号PSの論理レベルが「L」の期間で、MPUの差動IF回路及び表示コントローラの差動IF回路の動作が停止し、電流消費が0になる。
一方、表示コントローラは、垂直走査期間1Vにおいて垂直同期信号Vsyncの立ち下がりに同期して、水平走査期間1Hで、表示データRAMから、ダミーの水平ブランキング期間中から書き込まれた当該フレームの表示データを読み出し、上述したように液晶パネルを駆動する。
続く、水平走査期間2H、3H、・・・も同様に、各水平ブランキング期間を利用して走査ライン単位で表示データの転送制御を行う。このようにして、垂直走査期間1Vでは、1フレーム分の表示が行われる(picture1表示)。
フレーム周期が60Hzの場合、次の垂直走査期間2Vにおいて、垂直同期信号Vsyncが立ち上がると、垂直走査期間1Vと同様にして2フレーム目についても走査ライン単位で表示データの転送制御を行って、垂直走査期間2Vの各ダミーの水平ブランキング期間中から書き込まれた表示データを読み出し、上述したように液晶パネルを駆動する。垂直走査期間2Vでは、次の1フレーム分の表示が行われる(picture2表示)。
このように、差動IFは、各走査ライン分の表示データの転送中には定常電流が流れるが、転送終了後に差動IFの動作を停止させることで、各水平走査期間において表示データの転送に伴う消費電流は、時間t11〜TT31までの差動IFの定常電流だけになる。したがって、図10に示したようにCMOSインタフェースの場合に比べて、低消費電力化を図ることができる。これは、転送すべき表示データ量が多くなればなるほど効果的となる。
図17に、第2の実施形態において、上述した差動IFを介して表示コントローラに15f/sで表示データを転送した場合の動作タイミングの一例を示す。
この場合も、表示データの転送制御については図16に示した60f/sと同様である。
ただ、表示コントローラが液晶パネルを表示駆動するフレーム周期が60Hzの場合には、連続する4フレームについて同一の表示データに基づいて表示駆動を行うため、1フレーム目に各走査ラインごとに表示データを図16に示すように転送を行うと、3フレーム空けて4フレーム目に次の表示データを転送すればよい。したがって、差動IFの停止期間が長くなるため、より消費電力の低減を図ることが可能となる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
また、図3では、差動IFのビット幅Kが1ビットであるものとして説明したがこれに限定されるものではない。差動IFのビット幅が2ビット以上の場合、動画表示に必要とされる表示データの転送時間をさらに短縮化することができるので、上述したような転送制御を行うことにより画像サイズの増大に対応でき、しかも更なる低消費電力化に貢献することができる。