JP2006145971A - ディスプレイ用回路基板の検査装置および検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 TFTを非接触で検査する。
【解決手段】 半導体画素電極7のエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を、画素電極7上へと照射する手段2と、前記第1波長の光の照射により発生した電子が薄膜トランジスタ6へと流れるように、画素電極7に非接触で負の電圧を与える手段3と、薄膜トランジスタ6に接続された電流測定手段を用いて、前記電子の量を測定する手段と、測定された電子量から、前記第1波長の光の照射により生じた電子の量を前記負の電圧に基づいて計算する演算手段であって、計算された電子量と前記第1波長の光を前記画素電極に照射した領域の面積から予測された電子の量とを比較することにより、画素電極7または薄膜トランジスタ6に欠陥があるかどうかを判断するものである演算手段とを含んでなる検査装置1とこれを用いた検査方法を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】 半導体画素電極7のエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を、画素電極7上へと照射する手段2と、前記第1波長の光の照射により発生した電子が薄膜トランジスタ6へと流れるように、画素電極7に非接触で負の電圧を与える手段3と、薄膜トランジスタ6に接続された電流測定手段を用いて、前記電子の量を測定する手段と、測定された電子量から、前記第1波長の光の照射により生じた電子の量を前記負の電圧に基づいて計算する演算手段であって、計算された電子量と前記第1波長の光を前記画素電極に照射した領域の面積から予測された電子の量とを比較することにより、画素電極7または薄膜トランジスタ6に欠陥があるかどうかを判断するものである演算手段とを含んでなる検査装置1とこれを用いた検査方法を提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶パネル等のフラット・パネル・ディスプレイ(以下、「FPD」とよぶ)に関し、FPD用基板の回路を検査する方法に関する。
従来より、FPD用基板では、図4および図5に示すように、画素電極と共に薄膜トランジスタ(以下、「TFT」とよぶ)のアレイが透明基板上に作成される。ここで、図4には液晶表示パネルすなわちLCD(Liquid Crystal Display)パネルの各画素の回路構成を、図5には有機EL表示パネルすなわちOLED(Organic Light Emitting diode)表示パネルの各画素の回路構成をそれぞれ示している。また、図6には、図5のA−A断面で切断したときのOLED回路の断面構造を示す。図6の記載によれば、図5に「EL」で示される有機発光材料が図5に「ITO」で示される画素電極(陽極電極)上に形成されており、その有機発光部材上に金属の陰極電極が形成される回路構成が示されている。
液晶材料や有機発光材料等の形成前のTFT回路基板に対して、透明基板上に形成されたこれらの回路に問題がないかどうかを検査するアレイ・テストが知られている。このような検査では、高価な液晶材料や有機発光材料等を形成する前に、データ線やゲート線が途中で断線して1ラインが表示できない線欠陥や、画素の表示が上手くいかない点欠陥、さらにはムラ等などの検出を行うことができる。欠陥が検査工程で見つけられた場合には、製造会社の基準にも依存するが、多くの場合には、線欠陥については廃棄または修理が行われ、点欠陥についてはある一定以上欠陥が見つけられた場合にのみ廃棄または修理が行われ、その後、液晶材料や有機発光材料を形成して製品とする。
図4に示すLCDの回路の検査においては、液晶形成前の図4の回路に対して、まず容量Csに電荷をチャージしておき、このチャージされた電荷を図4のゲートラインに電圧を与えて読み出すことができるかどうかによって画素回路が正常に動作していることを、(図4に「液晶」と表示している)液晶部材の形成前に確認することができる。これは、LCDが電圧駆動であることによるものである。
しかしながら、図5に示す電流駆動であるOLED回路のアレイ・テストにおいては、図5では完成品として図示されている有機発光材料(図5の「EL」の記載に対応する部分)がまだ形成されていないので、第2のTFTのドレイン領域が回路上、オープン状態となっており、第2のTFTに通電することができない。つまり、この方法では、図5に示す第1のTFTしか検査できず、第2のTFTについては検査できない。そのため、現時点ではOLED駆動回路の有力な検査方法、特に上記の第2のTFTに対応するトランジスタの動作確認に関する検査方法は見つかっておらず、新たな測定方法の開発が求められている。ここで、図6に示すように、透明基板5上にある第2のTFT6は、(通常、波長が390nm〜750nmの範囲をいう)可視光領域で透明な陽極電極である画素電極7に接続されている。そして、第2のTFT6は、画素電極7と陰極電極9との間に設けられ、正孔輸送層と電子輸送層と発光層とを含む有機発光材料8(図5の「EL」に相当するもの)に対して、電源40からの電流を供給するためのスイッチに相当するものである。
しかしながら、図5に示す電流駆動であるOLED回路のアレイ・テストにおいては、図5では完成品として図示されている有機発光材料(図5の「EL」の記載に対応する部分)がまだ形成されていないので、第2のTFTのドレイン領域が回路上、オープン状態となっており、第2のTFTに通電することができない。つまり、この方法では、図5に示す第1のTFTしか検査できず、第2のTFTについては検査できない。そのため、現時点ではOLED駆動回路の有力な検査方法、特に上記の第2のTFTに対応するトランジスタの動作確認に関する検査方法は見つかっておらず、新たな測定方法の開発が求められている。ここで、図6に示すように、透明基板5上にある第2のTFT6は、(通常、波長が390nm〜750nmの範囲をいう)可視光領域で透明な陽極電極である画素電極7に接続されている。そして、第2のTFT6は、画素電極7と陰極電極9との間に設けられ、正孔輸送層と電子輸送層と発光層とを含む有機発光材料8(図5の「EL」に相当するもの)に対して、電源40からの電流を供給するためのスイッチに相当するものである。
ここで、特許文献1には、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に使用されるTFT基板を非接触で検査するTFT基板検査装置に関し、TFT基板上の画素電極に電圧を加え、紫外線ランプからの光をこの画素電極に照射して発生した光電子を検知器15および計数装置16により測定し、画素電極への電圧と紫外線ランプからの光の波長とに基づいて画素電極の状態を判断する構成が、第5頁第5行目〜第6頁第6行目および第1図に記載されている。ここで、特許文献1では、上記の光電子によって電離された大気中の酸素O+を検知器15で検知して電圧パルスに変換し、このパルス数を計数装置16で計数することにより、光電子の放出強度を検出する旨が記載されている。
しかしながら、この特許文献1では、光電効果を利用した測定方法であるため、トランジスタのオン状態における画素電極の印加電圧を測定している。したがって電流そのものを測定しているものではない。また、光電子によって電離された大気中の酸素O+を検出するための検知器15および計数装置16が必要であるため、上記の検査装置のサイズが大きくなる。さらに、酸素O+は広く拡散してしまうことや、発生する光電子を直接測定していないなどの問題があるために、高精度な測定は困難である。
実開平1−155098号公報(第5〜6頁、第1図)
本発明は、OLEDなどのFPD用基板上の電流駆動回路の欠陥の有無を容易に検査できるようにするものである。
本発明は、半導体画素電極で起こる光吸収により生じた電子をモニタすることにより、回路基板上に形成された画素電極やTFTなどの回路素子の欠陥の有無を容易に検査することができる検査装置を提供する。
具体的には、基板上にマトリクス状に配置された複数の薄膜トランジスタと該薄膜トランジスタのそれぞれに接続された複数の画素電極との特性を評価するための回路基板の検査装置であって、前記画素電極のエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を、前記画素電極上へと照射する手段と、前記第1波長の光の照射により発生した電子が前記薄膜トランジスタへと流れるように、前記画素電極に非接触で負の電圧を与える手段と、前記薄膜トランジスタに接続された電流測定手段を用いて、前記電子の量を測定する手段と、測定された電子量から、前記第1波長の光の照射により生じた電子の量を前記負の電圧に基づいて計算する演算手段であって、計算された電子量と前記第1波長の光を前記画素電極に照射した領域の面積から予測された電子の量とを比較することにより、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかを判断するものである演算手段とを含んでなる検査装置を提供する。
ここで、前記画素電極の表面の酸素イオンの量を増加させるための光イオン化反応に必要なエネルギーに相当するものである第2波長の光を照射する手段をさらに含む態様や、前記画素電極へと照射される前記第1波長または前記第2波長の光の位置を変更する手段をさらに含む態様や、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかの結果を示す表示手段をさらに含む態様や、前記回路基板は、有機発光部材が前記画素電極に形成される前のものである態様であることが好ましい。
具体的には、基板上にマトリクス状に配置された複数の薄膜トランジスタと該薄膜トランジスタのそれぞれに接続された複数の画素電極との特性を評価するための回路基板の検査装置であって、前記画素電極のエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を、前記画素電極上へと照射する手段と、前記第1波長の光の照射により発生した電子が前記薄膜トランジスタへと流れるように、前記画素電極に非接触で負の電圧を与える手段と、前記薄膜トランジスタに接続された電流測定手段を用いて、前記電子の量を測定する手段と、測定された電子量から、前記第1波長の光の照射により生じた電子の量を前記負の電圧に基づいて計算する演算手段であって、計算された電子量と前記第1波長の光を前記画素電極に照射した領域の面積から予測された電子の量とを比較することにより、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかを判断するものである演算手段とを含んでなる検査装置を提供する。
ここで、前記画素電極の表面の酸素イオンの量を増加させるための光イオン化反応に必要なエネルギーに相当するものである第2波長の光を照射する手段をさらに含む態様や、前記画素電極へと照射される前記第1波長または前記第2波長の光の位置を変更する手段をさらに含む態様や、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかの結果を示す表示手段をさらに含む態様や、前記回路基板は、有機発光部材が前記画素電極に形成される前のものである態様であることが好ましい。
また、本発明は、半導体画素電極で起こる光吸収により生じた電子をモニタすることにより、回路基板上に形成された画素電極やTFTなどの回路素子の欠陥の有無を容易に検査することができる検査方法も提供する。
具体的には、基板上にマトリクス状に配置された複数の薄膜トランジスタと該薄膜トランジスタのそれぞれに接続された複数の画素電極との特性を評価するための回路基板の検査方法であって、前記画素電極のエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を、前記画素電極上へと照射するステップと、前記第1波長の光の照射により発生した電子が前記薄膜トランジスタへと流れるように、前記画素電極に非接触で負の電圧を与えるステップと、前記薄膜トランジスタに接続された電流測定手段を用いて、前記電子の量を測定するステップと、測定された電子量から、前記第1波長の光の照射により生じた電子の量を前記負の電圧に基づいて計算するステップと、計算された電子量と前記第1波長の光を前記画素電極に照射した領域の面積から予測された電子の量とを比較することにより、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかを判断するステップとを含んでなる検査方法を提供する。
ここで、前記第1波長の光を前記画素電極上へと照射するステップに先立って、前記画素電極の表面の酸素イオンの量を増加させるための光イオン化反応に必要なエネルギーに相当するものである第2波長の光を照射するステップをさらに含む態様や、前記画素電極へと照射される前記第1波長または前記第2波長の光の位置を変更するステップをさらに含む態様や、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかの結果を示すステップをさらに含む態様や、前記回路基板は、有機発光部材が前記画素電極に形成される前のものである態様であることが好ましい。
さらに、上記のいずれかに記載の回路基板の検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラムも提供する。
具体的には、基板上にマトリクス状に配置された複数の薄膜トランジスタと該薄膜トランジスタのそれぞれに接続された複数の画素電極との特性を評価するための回路基板の検査方法であって、前記画素電極のエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を、前記画素電極上へと照射するステップと、前記第1波長の光の照射により発生した電子が前記薄膜トランジスタへと流れるように、前記画素電極に非接触で負の電圧を与えるステップと、前記薄膜トランジスタに接続された電流測定手段を用いて、前記電子の量を測定するステップと、測定された電子量から、前記第1波長の光の照射により生じた電子の量を前記負の電圧に基づいて計算するステップと、計算された電子量と前記第1波長の光を前記画素電極に照射した領域の面積から予測された電子の量とを比較することにより、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかを判断するステップとを含んでなる検査方法を提供する。
ここで、前記第1波長の光を前記画素電極上へと照射するステップに先立って、前記画素電極の表面の酸素イオンの量を増加させるための光イオン化反応に必要なエネルギーに相当するものである第2波長の光を照射するステップをさらに含む態様や、前記画素電極へと照射される前記第1波長または前記第2波長の光の位置を変更するステップをさらに含む態様や、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかの結果を示すステップをさらに含む態様や、前記回路基板は、有機発光部材が前記画素電極に形成される前のものである態様であることが好ましい。
さらに、上記のいずれかに記載の回路基板の検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラムも提供する。
ここで、上記の「照射する手段」は、ランプやレーザやコリメータからの光をレンズやアパーチャなどで成形または収束して、画素電極上に照射するものでありうる。また、上記の「画素電極」の材料は、画素電極または画素電極として用いられる半導体材料であって、ITO(酸化インジウム(In2O3)にスズ(Sn)をドープしたもの)やSnO2やZnOなどを含みうる。さらに、上記波長は、レーザ光のような単一波長の光だけに限らず、複数の波長を少なくとも含む光でありうる。また、上記の画素電極への光照射は、例えば、集光レンズを用いて、レーザ光などを各画素に照射するような仕方であってもよいし、複数の画素電極に光を照射できるようにTFT基板全体に光を照射するような仕方であってもよい。
なお、波長λ(nm)とエネルギーE(eV)との間には、λ(nm)≒1240/E(eV)の関係があるので、波長とエネルギーとは1対1に関係付けられる。例えば、KrFエキシマレーザの波長(248nm)に対応するエネルギーは5eVである。
なお、波長λ(nm)とエネルギーE(eV)との間には、λ(nm)≒1240/E(eV)の関係があるので、波長とエネルギーとは1対1に関係付けられる。例えば、KrFエキシマレーザの波長(248nm)に対応するエネルギーは5eVである。
本発明の効果として、従来のOLEDにおいて検査が困難であった有機発光材料が形成される前のTFT回路基板を、画素電流経路に関して、非接触で検査することができる。また、画素電極のピンホール等の特性についても評価・検査することも可能である。
なお、OLEDなどの電流駆動回路に限らず電圧駆動回路であるLCDに対しても、本発明の検査装置または検査方法を適用して、液晶材料などが回路基板上に形成される前に、それまでに形成されている回路基板の欠陥の有無を非接触で評価・検査することも可能である。
なお、OLEDなどの電流駆動回路に限らず電圧駆動回路であるLCDに対しても、本発明の検査装置または検査方法を適用して、液晶材料などが回路基板上に形成される前に、それまでに形成されている回路基板の欠陥の有無を非接触で評価・検査することも可能である。
図1を参照して、本発明によるTFT回路基板の検査装置1についての第1の実施例を説明する。ここで、被試験対象であるTFT回路基板には、複数の画素電極7とこれに接続されたTFT6との集合が透明基板5上にマトリクス状に設けられている。ここで、このTFT回路基板は、OLED表示パネル用の回路基板であって、有機発光材料が形成される前であるが、ITOなどの画素電極が形成された後のものである。画素電極には通常、可視光領域で透明な半導体材料が使用される。
検査装置1は、画素電極7で起こる半導体の光吸収に必要なエネルギー以上の波長を含む光を照射するための照射手段2と、照射により画素電極7で発生した電子をTFT6へと引き込むために、電極31を介して電源30からの負の電圧を画素電極7に非接触で印加するバイアス印加手段3と、TFT6に正のバイアスを与える電源4と、TFT6に接続された電流計(図示せず)と、ある画素電極7内においてあるいは別の画素電極に照射位置を変更するために、透明基板5に接する移動用ステージ10と、照射手段2、バイアス印加手段3、前記電流計、および移動用ステージ10に接続され、照射により発生した電子の量を演算して回路素子の欠陥の有無を判断するための演算手段を備えたコンピュータ(図示せず)とを含んでなる。
検査装置1は、画素電極7で起こる半導体の光吸収に必要なエネルギー以上の波長を含む光を照射するための照射手段2と、照射により画素電極7で発生した電子をTFT6へと引き込むために、電極31を介して電源30からの負の電圧を画素電極7に非接触で印加するバイアス印加手段3と、TFT6に正のバイアスを与える電源4と、TFT6に接続された電流計(図示せず)と、ある画素電極7内においてあるいは別の画素電極に照射位置を変更するために、透明基板5に接する移動用ステージ10と、照射手段2、バイアス印加手段3、前記電流計、および移動用ステージ10に接続され、照射により発生した電子の量を演算して回路素子の欠陥の有無を判断するための演算手段を備えたコンピュータ(図示せず)とを含んでなる。
ここで、バイアス印加手段3は、画素電極7に接触していない。つまり、バイアス印加手段3の電極31と画素電極7との間には気体が存在している。ここで、バイアス印加手段3と画素電極7との間の距離は、オーム則(電流と電圧とが比例する関係)が成り立つように、接触しない程度にできる限り近接していることが好ましい。さらにこの工程には酸素などの気体が介在して電荷が移動するメカニズムも含む。また、バイアス印加手段3と画素電極7との間に加えられる電圧については、TFT基板に絶縁破壊などの悪影響を与えないようにするために、100ボルト程度以内であることが好ましい。さらに、バイアス印加手段3と画素電極7との間の距離が比較的に大きい場合にも上記のオーム則が成り立つようにするために、この間に存在する気体は伝導率が高いものであることが好ましいが、通常の空気であってもよい。
そして、図1に示すバイアス印加手段3や電源4などを用いて、画素電極7の電圧をTFT6の電圧より低くすることで、画素電極7に残された電子(この電子の発生メカニズムについては後述する)をTFT6の方へと流す。そして、この画素電極7に残された電子の量を、TFT6に電気的に接続された電流計(図示せず)を用いて測定することによって、図5に示す第2のTFTの不具合や画素電極のピンホールの有無などを確認することができる。これは、TFT6が動作していない場合には、前記第1波長の光の照射により測定される電子の量が予測される電子の量よりも格段に少なくなるためである。また、これは、照射される第1波長の光の面積と同程度の大きさのピンホールが画素電極に存在し、そこに第1波長の光が照射された場合でも同様である。
ここで、集光レンズなどを用いて、画素電極上のピンホールの大きさに応じて照射される光の面積を変更することにより、画素電極上のピンホールの検出感度を向上させることや、ピンホールのサイズを見積もることができる。また、TFT基板上の複数の画素電極に対して同時に光照射できるように、光源からの光をいくつかに分離してTFT基板の各画素電極に照射したりするような仕方や、複数の画素電極に光を照射できるようにTFT基板全体に光を照射するような仕方であってもよい。
従って、本発明の検査装置1によれば、透明基板5の画素電極7やこれに接続されたTFT6の状態を検査することができる。
ここで、集光レンズなどを用いて、画素電極上のピンホールの大きさに応じて照射される光の面積を変更することにより、画素電極上のピンホールの検出感度を向上させることや、ピンホールのサイズを見積もることができる。また、TFT基板上の複数の画素電極に対して同時に光照射できるように、光源からの光をいくつかに分離してTFT基板の各画素電極に照射したりするような仕方や、複数の画素電極に光を照射できるようにTFT基板全体に光を照射するような仕方であってもよい。
従って、本発明の検査装置1によれば、透明基板5の画素電極7やこれに接続されたTFT6の状態を検査することができる。
次に、上記の画素電極7に残された電子の発生メカニズムについて説明する。上記の画素電極7に残された電子は、主として、照射手段2から画素電極7に第1波長の光を照射したときに半導体内の光吸収により発生するものを意味する。
ここで、この電子の発生に必要な第1波長の光のエネルギーは、画素電極7の材料に起因するエネルギーギャップに起因する。例えば、画素電極の材料がITOの場合には、このエネルギーギャップは、通常、約3.8eVであるので、波長に換算すると約326nmとなることに留意されたい。
ここで、この電子の発生に必要な第1波長の光のエネルギーは、画素電極7の材料に起因するエネルギーギャップに起因する。例えば、画素電極の材料がITOの場合には、このエネルギーギャップは、通常、約3.8eVであるので、波長に換算すると約326nmとなることに留意されたい。
次に、上記の電子の発生メカニズムをより具体的に説明するために、本発明の検査装置に利用される画素電極7の画素電極7の材料としてITOを適用した場合を例として説明する。まず、ITOの材料の物性について説明する。ITOは、スズ(Sn)を所定量ドープすることにより電気伝導性を備えるn型半導体であって、その結晶構造は立方晶である。また、ITOの伝導帯と価電子帯との間には、製造プロセス条件に依存するが、通常、約3.8eVのエネルギーギャップが存在する。さらに、ITOは、k空間において伝導帯の底がΓ点(k=0の点)にあるが価電子帯の頂上はΓ点からわずかにずれているため、間接遷移型の半導体であることが知られている。そして、上記のエネルギーギャップに相当するエネルギー以上のエネルギーを受けると、ITOの価電子帯にある電子は伝導帯へと励起される。
ここで、ITOのエネルギーギャップはITOに含まれる不純物やプロセスにより影響により4eV以上になる場合もあるため、ITOの製造においては不純物やプロセスの管理が重要である。また、不純物やプロセスの変化によりITOのエネルギーギャップが変わった場合には、照射する第1波長の光の波長を前述の効果をもたらすように変えることで対応することができる。
なお、後述するように、スパッタリング等の温度や圧力などの製造プロセス条件にもよるが、ITO結晶中にはある程度の酸素欠陥が存在している。
ここで、ITOのエネルギーギャップはITOに含まれる不純物やプロセスにより影響により4eV以上になる場合もあるため、ITOの製造においては不純物やプロセスの管理が重要である。また、不純物やプロセスの変化によりITOのエネルギーギャップが変わった場合には、照射する第1波長の光の波長を前述の効果をもたらすように変えることで対応することができる。
なお、後述するように、スパッタリング等の温度や圧力などの製造プロセス条件にもよるが、ITO結晶中にはある程度の酸素欠陥が存在している。
一般に、ITOなどの間接遷移型の半導体では、光吸収によって生成された電子と正孔との直接再結合はほとんど起こらないと考えられている。その理由は、伝導帯の底にある電子は、価電子帯の上部にある正孔と異なり、運動量がゼロでないためである。すなわち、この電子のエネルギーおよび運動量を保存した遷移を可能にするためには、換言すると、伝導帯に励起された電子がもとの価電子帯に戻るためには、励起により得たエネルギーと同じエネルギーを振動エネルギーなどの形で格子原子に与える必要があるからである。そのため、間接遷移型の半導体では、いったん伝導帯に電子が励起されると、エネルギーを保存した状態での電子と正孔との直接再結合ができないので、電子の寿命は比較的長いものとなる。このことは、画素電極7において後述のように存在する酸素イオンが、光照射後に正孔と結合して酸素として離脱する際に、画素電極7に残される電子についても当てはまる。すなわち、この残された電子の寿命も、正孔と再結合することができないために比較的長い寿命を有することになり、従って、TFT6を介し、電流計(図示せず)を用いて、これを測定することができる。
また、前述したように、このITO結晶中には、スパッタリング等の温度や圧力などの製造プロセス条件にもよるが、多かれ少なかれ酸素欠陥が発生している。そして、この酸素欠陥は、ITO結晶中の伝導電子の振る舞いに大きな影響を与える。それは、このような酸素欠陥は、一般に、電子をドープしたのと同じ効果を与えるからである。このように、通常、画素電極であるITOの表面には、酸素 O2が吸着しやすい状態になっており、酸素がイオン化された状態O2 -で多数存在している。
ここで、図2を参照して、本発明の検査装置1を用いた回路基板の上記の第1実施態様の検査方法を具体的に説明する。まず、ステップ200では、透明基板5上の画素電極7に対して、バイアス印加手段3を用いてバイアスを印加する。ステップ202では、画素電極7であるITOに光吸収を起こさせるのに必要なITOのエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する波長である第1波長の光を照射手段2から画素電極7に照射する。ここで、この第1波長は、画素電極7の材料がITOの場合には、第1波長の光は、約3.8eV以上のエネルギー(≒326nm以下の波長)のものであれば足りる。なお、このステップ202での第1波長の光の照射を、その後のステップ204においても引き続き継続することができる。そして、ステップ204では、バイアス印加手段3などを用いて、光吸収により生成された電子を画素電極7からTFT6へと引き込み、このTFT6へと流れた電子の量(電流)をこれに接続された電流計(図示せず)を用いて測定する。ステップ206では、画素電極7への第1波長の光の照射を停止する。このとき、ステップ208に示すように、電流計でモニタされる電流値を時間に対して積算することにより画素電極7に残された電子の量の合計を求められるように、コンピュータ(図示せず)などの演算手段を用いて計算するのが好ましい。
ステップ210では、上記のステップ208で得られた電流値が予測した範囲内の電流値であるかどうか、すなわち、画素電極に残された電子の量が予測した範囲内の電子の量であるかを、上記のコンピュータなどの演算手段を用いて判断する。その際に、この電流値がバイアス印加手段3や電源4による電圧に関連することを踏まえて計算により求められる。
そして、もし、電流値または残された電子の量が予測した範囲内にある場合には、ステップ212に進み、その画素電極7およびTFT6は良品であると判断され、ステップ214で次工程に進む。
一方、(例えば、画素電極7のピンホールや酸素欠陥などにより、)電流値または残された電子の量が予測した範囲外にある場合には、ステップ216に進み、その画素電極7およびTFT6の少なくともいずれかに不具合があるとして、不良品であると判断される。そして、不具合の程度に応じて、ステップ218において修復または廃棄等の処理がされる。
ステップ210では、上記のステップ208で得られた電流値が予測した範囲内の電流値であるかどうか、すなわち、画素電極に残された電子の量が予測した範囲内の電子の量であるかを、上記のコンピュータなどの演算手段を用いて判断する。その際に、この電流値がバイアス印加手段3や電源4による電圧に関連することを踏まえて計算により求められる。
そして、もし、電流値または残された電子の量が予測した範囲内にある場合には、ステップ212に進み、その画素電極7およびTFT6は良品であると判断され、ステップ214で次工程に進む。
一方、(例えば、画素電極7のピンホールや酸素欠陥などにより、)電流値または残された電子の量が予測した範囲外にある場合には、ステップ216に進み、その画素電極7およびTFT6の少なくともいずれかに不具合があるとして、不良品であると判断される。そして、不具合の程度に応じて、ステップ218において修復または廃棄等の処理がされる。
上記の第1実施態様の検査方法は、画素電極の材料のエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を照射したときの光吸収により発生した電子を測定するものである。しかしながら、本発明において測定される電子は、上記のような第1波長の光の光吸収による電子だけではなく、画素電極の表面にある酸素イオン(O2 -)がその表面から酸素として離脱することに起因する電子も含みうる。ここで、第1波長を照射する前に、ITO表面にある酸素イオン(O2 -)の量にばらつきがある場合には、測定される電子の量にもばらつきが生じることになるので定常的に検査を行うことが困難になる場合がある。
そのため、次に、画素電極であるITO表面における酸素の光イオン化反応を利用して、ITOの表面に予め一定量の酸素イオン(O2 -)を供給することによりITO表面の初期状態をほぼ一定にして、第1波長の光照射中に発生する電子の量の変動を抑制するという、第2実施態様の検査方法について説明する。この第2実施態様の検査方法は、ITO表面での光イオン化反応を促進するエネルギーに相当する第2波長の光をITO表面に照射してITO表面に十分な量の酸素イオンを設けてから、第1波長の光を照射して測定を行うというものである。この第2実施態様の検査方法によれば、第1実施態様の検査方法と比較して、ITO表面にある酸素イオンの量を予め増加させているので、第1波長の光をITOに照射している間に発生する電子量の変動を抑制することができ、この電子量に起因する電流の測定信頼性が向上するという利点がある。
すなわち、第2実施態様の検査方法によれば、ITO表面での酸素のイオン化を促進する第2波長の光照射により、そのイオン化された酸素はn型半導体であるITO表面に多数存在する電子を把捉し、さらにITO表面に吸着されるので、
O2+e- → O2 -(a)
の反応がITO表面において進行する。ここで、e-は電子を示し、添字(a)は表面に吸着した状態を示す。通常、上記のO2+e- → O-(a)の反応に必要なエネルギーは、酸素の第1イオン化エネルギーに相当する約4eVであり、これは光の波長に換算すると約310nmに相当する。つまり、画素電極7の表面上に吸着する酸素イオンO-(a)の量を増加させるためには、第2波長として約310nm以下の波長を含む光を照射手段2から画素電極7に照射する必要がある。ただし、ITOに対してあまりにエネルギーの高い光を照射すると、ITOそのもの自体が破損または除去されてしまう可能性があるので、ITOへの照射される光のエネルギー強度は、適切なレベル(好ましくは、4eV近傍)であることが好ましいことに留意されたい。
そのため、次に、画素電極であるITO表面における酸素の光イオン化反応を利用して、ITOの表面に予め一定量の酸素イオン(O2 -)を供給することによりITO表面の初期状態をほぼ一定にして、第1波長の光照射中に発生する電子の量の変動を抑制するという、第2実施態様の検査方法について説明する。この第2実施態様の検査方法は、ITO表面での光イオン化反応を促進するエネルギーに相当する第2波長の光をITO表面に照射してITO表面に十分な量の酸素イオンを設けてから、第1波長の光を照射して測定を行うというものである。この第2実施態様の検査方法によれば、第1実施態様の検査方法と比較して、ITO表面にある酸素イオンの量を予め増加させているので、第1波長の光をITOに照射している間に発生する電子量の変動を抑制することができ、この電子量に起因する電流の測定信頼性が向上するという利点がある。
すなわち、第2実施態様の検査方法によれば、ITO表面での酸素のイオン化を促進する第2波長の光照射により、そのイオン化された酸素はn型半導体であるITO表面に多数存在する電子を把捉し、さらにITO表面に吸着されるので、
O2+e- → O2 -(a)
の反応がITO表面において進行する。ここで、e-は電子を示し、添字(a)は表面に吸着した状態を示す。通常、上記のO2+e- → O-(a)の反応に必要なエネルギーは、酸素の第1イオン化エネルギーに相当する約4eVであり、これは光の波長に換算すると約310nmに相当する。つまり、画素電極7の表面上に吸着する酸素イオンO-(a)の量を増加させるためには、第2波長として約310nm以下の波長を含む光を照射手段2から画素電極7に照射する必要がある。ただし、ITOに対してあまりにエネルギーの高い光を照射すると、ITOそのもの自体が破損または除去されてしまう可能性があるので、ITOへの照射される光のエネルギー強度は、適切なレベル(好ましくは、4eV近傍)であることが好ましいことに留意されたい。
次に、図3を参照して、本発明の検査装置1を用いた回路基板の第2実施態様の検査方法を説明する。ここで、図2の第1実施態様の検査方法と比較すると、図3の第2実施態様の検査方法は、第2波長の光を画素電極7に照射するステップ302と第2波長の光の照射を停止するステップ304とが第1波長の光を画素電極7に照射する前に施される点において異なる。
まず、ステップ300では、透明基板5上の画素電極7に対して、バイアス印加手段3を用いてバイアスを印加する。ステップ302では、上記に説明した光イオン化反応により画素電極7の表面に酸素イオンを設けるために必要なエネルギーに相当する第2波長の光を、照射手段2または別の照射手段(図示せず)から画素電極7へと照射する。そして、画素電極7に所定の時間だけ第2波長の光を照射した後に、ステップ304においてこの第2波長の光の照射を停止する。このステップ302での第2波長の光の照射により、このような光照射を行わない通常の画素電極7のものと比較して、画素電極7の表面にある酸素イオンの量が増加する。そのため、後続する第1波長の光の照射において発生する電子の量が多くなるので、測定精度が向上する。
ステップ306以降は、基本的には、図2において説明したステップと同じ内容である。すなわち、ステップ306では、画素電極7であるITOに光吸収を起こさせるのに必要なITOのエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を照射手段2から画素電極7に照射する。ここで、この第1波長は、画素電極7の材料がITOの場合には約3.8eV≒326nm以上の波長であれば足りる。なお、このステップ306の第1波長の光の照射を、その後のステップ308においても引き続き継続することができる。そして、ステップ308では、バイアス印加手段3などを用いて、光吸収により生成された電子を画素電極7からTFT6へと引き込み、このTFT6へと流れた電子の量(電流)をこれに接続された電流計(図示せず)を用いて測定する。ステップ310では、画素電極7への第1波長の光の照射を停止する。このとき、ステップ312に示すように、電流計でモニタされる電流値を時間に対して積算することにより画素電極7に残された電子の量の合計を求められるように、コンピュータ(図示せず)などの演算手段を用いて計算するのが好ましい。
ステップ314では、上記のステップ312で得られた電流値が予測した範囲内の電流値であるかどうか、すなわち、画素電極に残された電子の量が予測した範囲内の電子の量であるかを、上記のコンピュータなどの演算手段を用いて判断する。その際に、この電流値がバイアス印加手段3や電源4による電圧に関連することを踏まえて計算により求められる。
そして、もし、電流値または残された電子の量が予測した範囲内にある場合には、ステップ316に進み、その画素電極7およびTFT6は良品であると判断され、ステップ318で次工程に進む。
一方、(例えば、画素電極7のピンホールや酸素欠陥などにより、)電流値または残された電子の量が予測した範囲外にある場合には、ステップ320に進み、その画素電極7およびTFT6の少なくともいずれかに不具合があるとして、不良品であると判断される。そして、不具合の程度に応じて、ステップ322において修復または廃棄等の処理がされる。
まず、ステップ300では、透明基板5上の画素電極7に対して、バイアス印加手段3を用いてバイアスを印加する。ステップ302では、上記に説明した光イオン化反応により画素電極7の表面に酸素イオンを設けるために必要なエネルギーに相当する第2波長の光を、照射手段2または別の照射手段(図示せず)から画素電極7へと照射する。そして、画素電極7に所定の時間だけ第2波長の光を照射した後に、ステップ304においてこの第2波長の光の照射を停止する。このステップ302での第2波長の光の照射により、このような光照射を行わない通常の画素電極7のものと比較して、画素電極7の表面にある酸素イオンの量が増加する。そのため、後続する第1波長の光の照射において発生する電子の量が多くなるので、測定精度が向上する。
ステップ306以降は、基本的には、図2において説明したステップと同じ内容である。すなわち、ステップ306では、画素電極7であるITOに光吸収を起こさせるのに必要なITOのエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を照射手段2から画素電極7に照射する。ここで、この第1波長は、画素電極7の材料がITOの場合には約3.8eV≒326nm以上の波長であれば足りる。なお、このステップ306の第1波長の光の照射を、その後のステップ308においても引き続き継続することができる。そして、ステップ308では、バイアス印加手段3などを用いて、光吸収により生成された電子を画素電極7からTFT6へと引き込み、このTFT6へと流れた電子の量(電流)をこれに接続された電流計(図示せず)を用いて測定する。ステップ310では、画素電極7への第1波長の光の照射を停止する。このとき、ステップ312に示すように、電流計でモニタされる電流値を時間に対して積算することにより画素電極7に残された電子の量の合計を求められるように、コンピュータ(図示せず)などの演算手段を用いて計算するのが好ましい。
ステップ314では、上記のステップ312で得られた電流値が予測した範囲内の電流値であるかどうか、すなわち、画素電極に残された電子の量が予測した範囲内の電子の量であるかを、上記のコンピュータなどの演算手段を用いて判断する。その際に、この電流値がバイアス印加手段3や電源4による電圧に関連することを踏まえて計算により求められる。
そして、もし、電流値または残された電子の量が予測した範囲内にある場合には、ステップ316に進み、その画素電極7およびTFT6は良品であると判断され、ステップ318で次工程に進む。
一方、(例えば、画素電極7のピンホールや酸素欠陥などにより、)電流値または残された電子の量が予測した範囲外にある場合には、ステップ320に進み、その画素電極7およびTFT6の少なくともいずれかに不具合があるとして、不良品であると判断される。そして、不具合の程度に応じて、ステップ322において修復または廃棄等の処理がされる。
なお、上記の画素電極7の表面への光イオン化反応に必要な第2波長の光のエネルギーが4eVであり、これは光吸収を起こす際の画素電極7の材料のエネルギーギャップである約3.8eVに近い値であるが、光吸収を起こすために画素電極7に照射する第1波長の光を310nm以上326nm以下にすることによって、光イオン化反応が同時に起こってしまうことによる影響を十分に軽減することができる。そのため、上記の光イオン化反応に必要なエネルギーに相当する第2波長を含む光を照射手段2から画素電極7に十分に照射した後にこの第2波長の光照射を停止し、その後、画素電極7での光吸収を促進するために第1波長(310nm以上326nm以下)の光を照射する。その結果、第1波長の光の吸収により電子・正孔対が生成され、そのうちの正孔は電極表面でイオン化されている酸素に吸着されて画素電極7の表面から酸素として離脱する。そして、画素電極7に残された電子の量を上記の電流計(図示せず)で測定することにより、上記の画素電極7で光吸収により発生した酸素イオンの量に起因する電子の量を計算することができる。または、上記の電流計で単位時間当りの電子の量の変化をモニタし、それから全電子量を計算してもよい。
また、例えば、第1波長の光を画素電極7であるITOにパルス状に照射すること、つまり酸素がITOから離脱した後にITO内の酸素欠陥に酸素が新たに吸着されるだけの時間を取ることにより、上記の第2波長の光を予め照射しておくという工程を省略することもできる。
また、例えば、第1波長の光を画素電極7であるITOにパルス状に照射すること、つまり酸素がITOから離脱した後にITO内の酸素欠陥に酸素が新たに吸着されるだけの時間を取ることにより、上記の第2波長の光を予め照射しておくという工程を省略することもできる。
さらに、UV−オゾン処理やプラズマ処理などのドライプロセス処理を画素電極7であるITOに施すと、ITO表面の酸化が進行してITOのエネルギーギャップを変化させることができる。通常のITOのエネルギーギャップは3.8eV近傍(≒326nm)であるが、例えば、IPA洗浄などの脱脂処理のみを行ったITOのエネルギーギャップは4.6eV程度(≒270nm)になり、上記のUVオゾン処理などのドライプロセス処理を行ったITOでは5.0eV(=248nm)以上に達する。つまり、上記のドライプロセスを画素電極であるITOに施すことにより、ITOのエネルギーギャップを大きくすることができる。この場合には、第1波長を第2波長よりも短くする必要がある。
なお、上記のエネルギーギャップに相当するエネルギーは、上記のドライプロセス処理以外にも、ITOの製造プロセス条件により、ITOの酸素欠損やスズのドープ量などの変化によっても変動することに留意されたい。そのため、UV−オゾン処理等のドライプロセス処理によっては、ITO表面の酸化状態が影響を受け、酸素欠陥の状態が変化するので、プロセスの最適化が必要となることがある。
以上のように、電流駆動回路であるOLED表示パネル用の有機発光材料を形成する前の回路基板の検査を例として本発明の検査装置および検査方法を説明してきた。しかしながら、本発明の検査装置および検査方法は、このようなOLED表示パネル用の回路の検査に限らず、例えば、図5以外の別のOLED駆動回路や、LED駆動回路や、LED回路などにも適用することができる。
また、画素電極7の材料としてITOの場合を説明してきたが、この材料に限らず、例えば、SnOやZnOなどであっても、可視光領域(通常、波長範囲が390nm〜750nm)において所定の透過率を備えて導電性を有する半導体材料であれば本発明の検査装置や検査方法を適用することができる。
また、画素電極7の材料としてITOの場合を説明してきたが、この材料に限らず、例えば、SnOやZnOなどであっても、可視光領域(通常、波長範囲が390nm〜750nm)において所定の透過率を備えて導電性を有する半導体材料であれば本発明の検査装置や検査方法を適用することができる。
1 検査装置
2 照射手段
3 バイアス印加手段
30 電源
31 電極
4、40 電源
5 透明基板
6 TFT
7 画素電極
8 有機発光材料(有機EL材料)
9 金属電極
10 移動用ステージ
2 照射手段
3 バイアス印加手段
30 電源
31 電極
4、40 電源
5 透明基板
6 TFT
7 画素電極
8 有機発光材料(有機EL材料)
9 金属電極
10 移動用ステージ
Claims (11)
- 基板上にマトリクス状に配置された複数の薄膜トランジスタと該薄膜トランジスタのそれぞれに接続された複数の半導体画素電極との特性を評価するための回路基板の検査装置であって、
前記画素電極のエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を、前記画素電極上へと照射する手段と、
前記第1波長の光の照射により発生した電子が前記薄膜トランジスタへと流れるように、前記画素電極に非接触で負の電圧を与える手段と、
前記薄膜トランジスタに接続された電流測定手段を用いて、前記電子の量を測定する手段と、
測定された電子量から、前記第1波長の光の照射により生じた電子の量を前記負の電圧に基づいて計算する演算手段であって、計算された電子量と前記第1波長の光を前記画素電極に照射した領域の面積から予測された電子の量とを比較することにより、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかを判断するものである演算手段と
を含んでなる検査装置。 - 前記画素電極の表面の酸素イオンの量を増加させるための光イオン化反応に必要なエネルギーに相当するものである第2波長の光を照射する手段をさらに含む請求項1に記載の検査装置。
- 前記画素電極へと照射される前記第1波長または前記第2波長の光の位置を変更する手段をさらに含む請求項1または2に記載の検査装置。
- 前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかの結果を示す表示手段をさらに含む請求項1から3のいずれかに記載の検査装置。
- 前記回路基板は、有機発光部材が前記画素電極に形成される前のものである請求項1から4のいずれかに記載の検査装置。
- 基板上にマトリクス状に配置された複数の薄膜トランジスタと該薄膜トランジスタのそれぞれに接続された複数の画素電極との特性を評価するための回路基板の検査方法であって、
前記画素電極のエネルギーギャップ以上のエネルギーに相当する第1波長の光を、前記画素電極上へと照射するステップと、
前記第1波長の光の照射により発生した電子が前記薄膜トランジスタへと流れるように、前記画素電極に非接触で負の電圧を与えるステップと、
前記薄膜トランジスタに接続された電流測定手段を用いて、前記電子の量を測定するステップと、
測定された電子量から、前記第1波長の光の照射により生じた電子の量を前記負の電圧に基づいて計算するステップと、
計算された電子量と前記第1波長の光を前記画素電極に照射した領域の面積から予測された電子の量とを比較することにより、前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかを判断するステップと
を含んでなる検査方法。 - 前記第1波長の光を前記画素電極上へと照射するステップに先立って、前記画素電極の表面の酸素イオンの量を増加させるための光イオン化反応に必要なエネルギーに相当するものである第2波長の光を照射するステップをさらに含む請求項6に記載の検査方法。
- 前記画素電極へと照射される前記第1波長または前記第2波長の光の位置を変更するステップをさらに含む請求項6または7に記載の検査方法。
- 前記画素電極または前記薄膜トランジスタに欠陥があるかどうかの結果を示すステップをさらに含む請求項6から8のいずれかに記載の検査方法。
- 前記回路基板は、有機発光部材が前記画素電極に形成される前のものである請求項6から9のいずれかに記載の検査方法。
- 請求項6から9のいずれかに記載の回路基板の検査方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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