JP5578136B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機EL素子の製造方法に関するものである。
有機EL素子は、基板上に下部電極としての陽極、発光層を含む有機膜、上部電極としての陰極を積層した構造により構成されている。このような構造の有機EL素子では、有機膜中にチリやゴミなどの異物が混入していると、実使用時の逆バイアス印加時などにおいて、有機膜が絶縁破壊されて欠陥部が形成される。具体的には、異物の混入によって有機膜の膜厚が局所的に薄くなり、そこに掛かる電界強度が通常膜厚時よりも高くなって絶縁破壊が発生し、これにより上部電極が飛散して電気的にオープン状態である欠陥部(以下、これをオープン欠陥という)が局所的に成される。
このようなオープン欠陥が発生した有機EL素子は、オープン欠陥が150μm以上という目視できるサイズに至ると、それが非発光部となったり、誤発光部となることから、良不良判定において不良品とすることが必要になる。
このため、上部電極をプラス極、下部電極をマイナス極として実使用時の逆バイアス以上の電圧を掛けることで欠陥部を顕在化させてオープン欠陥を発生させ、小さくて安定したオープン欠陥とするエージング工程を行い、その後、オープン欠陥を検査して、目視できるサイズになり得るオープン欠陥が存在する有機EL素子を不良品として取り扱うようにしている。
このオープン欠陥については、上部電極の膜厚が135nm以上という厚膜になると実使用時にオープン欠陥が短絡不良に至りやすいことが確認されている。このため、この範囲においてエージング工程によってオープン欠陥を顕在化させると共にエージング工程によって生じたオープン欠陥をリーク電流によって検出することで、良不良判定を適切に行えるようにする検査方法が特許文献1において提案されている。
特開2009−21194号公報
上部電極の膜厚が厚膜の場合には、オープン欠陥を顕在化させたときに、オープン欠陥の構造が上部電極と下部電極との間を短絡させ易い構造になり易くなる。具体的には、オープン欠陥箇所における上部電極の端部が有機膜の端部よりも内側に入り込み、有機膜の端部の内側に上部電極が垂れる構造となる。。このような構造の場合、有機EL素子の製造段階ではオープン欠陥が150μm未満であっても、使用過程においてオープン欠陥の寸法が大きくなって目視できる大きさになる可能性がある。また、使用過程等で印加される逆バイアス電圧に基づいて上部電極と下部電極との間が短絡し難い構造になるという再オープン化が起こり難いことから、不良品と判定されることになる。
しかしながら、本発明者らは、オープン欠陥の検査において、上記のようにオープン欠陥箇所における上部電極の端部が有機膜の端部よりも内側に入り込んだ構造であっても、再度実使用時の逆バイアス以上の電圧を掛けることで再オープン化することができることを見出した。このような場合にまで、良不良判定において不良品と判定されることになると、良不良率を悪化させることになる。
また、特許文献1では、オープン欠陥の構造に因らず、オープン欠陥が有るもの全てを不良品と判定しているため、良不良率の改善にはならない。
本発明は上記点に鑑みて、上部電極が135nm以上という厚膜の構造の有機EL素子とした場合において、本来良品としても良い製品が不良品と判定されることを抑制し、良不良率を向上させられるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、下部電極(2)と上部電極(4)のうちの陰極側をプラス極、陽極側をマイナス極としてこれら両電極の間に第1の直流電圧を印加し、有機膜(3)に存在する欠陥部を顕在化させる第1欠陥部顕在化工程と、第1欠陥部顕在化工程後に、陰極側をプラス極、陽極側をマイナス極としてこれら両電極の間に第1の直流電圧よりも大きな第2の直流電圧を印加し、第1欠陥部顕在化工程で顕在化した欠陥部をさらに顕在化させる第2欠陥部顕在化工程と、第1欠陥部顕在化工程で第1の直流電圧を印加している全期間中に、両電極間に流れるリーク電流を測定する第1リーク電流測定工程と、第2欠陥部顕在化工程で第2の直流電圧を印加している全期間中に、両電極間に流れるリーク電流を測定する第2リーク電流測定工程と、第1リーク電流測定工程および第2リーク電流測定工程で測定されたリーク電流に基づいて有機EL素子の良不良判定を行う判定工程とを含み、第1欠陥部顕在化工程で第1の直流電圧の印加が終了してから第2欠陥部顕在化工程で第2の直流電圧の印加が開始するまでの間において、両電極間の電位差が0Vより大きく4V以下とされ、かつ、第1の直流電圧の印加が終了してから第2直流電圧の印加が開始するまでの時間が10msec以上とされていることを特徴としている。
このように、第1、第2欠陥部顕在化工程を行うと共に、それらの工程で第1、第2の直流電圧を印加している全期間中のリーク電流を測定し、そのリーク電流に基づいて良不良判定を行うことができる。そして、第1欠陥部顕在化工程で第1の直流電圧の印加が終了してから第2欠陥部顕在化工程で第2の直流電圧の印加が開始するまでの間において、両電極間の電位差が0Vから4V、かつ、これらの間の時間が10msec以上となるようにすれば、欠陥部の破壊痕サイズが視認できない大きさとなるように欠陥部の顕在化を行うことできる。このため、第1欠陥部顕在化工程で発生した欠陥部の箇所での上部電極(4)と下部電極(2)との間の距離が近い場合でも、第2欠陥部顕在化工程によって再オープン化できれば、従来不良と判定されていたものについても良品とすることが可能となる。したがって、上部電極(4)が135nm以上という厚膜の構造の有機EL素子とした場合において、本来良品としても良い製品が不良品と判定されることを抑制でき、良不良率を向上させることが可能となる。
請求項2に記載の発明では、第1欠陥部顕在化工程で第1の直流電圧の印加が終了してから第2欠陥部顕在化工程で第2の直流電圧の印加が開始するまでの間において、両電極間の電位差が0Vより大きく3V以下とされていることを特徴としている。
このように、両電極間の電位差が0Vより大きく3V以下となるようにすることで、欠陥部の破壊痕サイズが50nm以下となり、より確実に視認できないようにできる。
請求項3に記載の発明では、第1の直流電圧の印加が終了してから第2直流電圧の印加が開始するまでの時間が40msec以上とされていることを特徴としている。
このように、第1の直流電圧の印加が終了してから第2の直流電圧の印加が開始するまでの時間を40msec以上とすることで、欠陥部の破壊痕サイズが50nm以下となり、より確実に視認できないようにできる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態にかかる有機EL素子の概略断面図である。 有機EL素子に対してエージング工程を行う装置の各機能部と共にエージング工程の様子を模式的に示したブロック図である。 有機膜3内に異物が混入して異常部5が形成されたときの様子と、有機EL素子に対して逆バイアス電圧を印加したときの様子を異常部5のサイズ別に記載した断面図である。 有機膜3の膜厚に対する破壊電圧の関係を示したグラフである。 第1の直流電圧と第2の直流電圧の大小と第1の直流電圧印加時のオープン欠陥の状態に対する第2の直流電圧印加後のオープン欠陥の状態の関係を示した図である。 第1の直流電圧印加後から第2の直流電圧印加を行うまでの間に印加される逆バイアスの電圧と破壊痕のサイズとの関係を示した図である。 第1の直流電圧印加後から第2の直流電圧印加を行うまでの間の時間と破壊痕のサイズとの関係を示した図である。 有機EL素子への印加電圧波形およびリーク電流波形を示した図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる有機EL素子の概略断面図である。この図に示されるように、有機EL素子は、基板1の上に使用時に陽極とされる下部電極2、発光層を含む有機膜3、使用時に陰極となる上部電極4を積層した構造により構成されている。
基板1は、ガラス基板などによって構成されている。下部電極2は、透明電極材料によって構成されており、例えばインジウムとスズの酸化物であるITOによって構成されている。有機膜3は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を有した構成とされ、有機材料や有機EL材料によって構成されている。有機膜3の膜厚は、100〜200nmとされ、例えば150nmとされている。また、上部電極4は、金属配線材料にて構成されており、例えばアルミニウム等によって構成されている。上部電極4の膜厚は、135nm以上とされており、例えば135〜300nmとされている。上部電極4の膜厚を135nm以上にしているが、厚すぎると、オープン欠陥箇所において上部電極4の端部が有機膜3の端部より内側に垂れ込む量が多くなり、好ましくないため、300nm以下にしてある。また、上部電極4の膜厚を135nm以上にしているが、このような膜厚とすることにより、配線抵抗を小さくすることができ、輝度ムラ等の表示品質を確保することができる。特に長い配線を必要とする大画面の有機EL表示装置においては、上部電極4の厚膜化は必須となる。
そして、例えば下部電極2が基板1の表面において一方向を長手方向とした複数の短冊状(ストライプ状)にレイアウトされると共に、上部電極4が下部電極2の長手方向と垂直な方向を長手方向とした複数の短冊状(ストライプ状)にレイアウトされている。このような構造により、下部電極2および上部電極4が交差する箇所を1画素としてマトリクス状に配置された複数個の画素構成により、有機EL素子が構成される。
このように構成された有機EL素子は、ストライプ状に配置された各下部電極2をプラス極、ストライプ状に配置された各上部電極4をマイナス極として、これら各電極間に順バイアスの電圧を印加することによって、ホールや電子が有機膜3中の発光層に向かって移動し、発光層において再結合する結果、発光を行うという動作を行う。
このような有機EL素子を形成するにあたり、有機膜3内にチリやゴミなどの異物が混入し、異物の段差によって有機膜3の膜厚が局所的に薄くなることがある。このような場合、実使用時の逆バイアス印加時などにおいて、そこに掛かる電界強度が通常膜厚時よりも高くなって絶縁破壊が発生し、これにより上部電極が飛散して局所的にオープン欠陥が形成されることがある。これが非発光部や誤発光部となることから、有機EL素子の製造工程の一つとして、オープン欠陥を顕在化させてオープン欠陥を発生させ、小さくて安定したオープン欠陥とするエージング工程を行うようにしている。
以下、本実施形態の有機EL素子の製造方法について説明するが、エージング工程以外については従来の有機EL素子の製造方法と同様であるため、主にエージング工程について説明する。
まず、基板1の表面上にスパッタ法などによって下部電極2を形成したのち、ストライプ状にパターニングする。そして、表面処理工程などを行ったのち、蒸着法などによって有機膜3を構成する各種膜を成膜し、パターニングすることで有機膜3を形成する。さらに、上部電極4をスパッタ法などによって形成したのち、ストライプ状にパターニングする。これにより、有機EL素子が構成される。
ただし、この有機EL素子には、製造工程中にチリやゴミなどの異物が混入されている可能性があることから、エージング工程を行う。エージング工程では、上部電極4をプラス極、下部電極2をマイナス極として実使用時の逆バイアス以上の電圧を掛けることで欠陥部を顕在化させてオープン欠陥を発生させ、オープン欠陥を検査して、良不良判定を行う。
図2は、有機EL素子に対してエージング工程を行う装置の各機能部と共にエージング工程の様子を模式的に示したブロック図である。この図に示すように、エージング工程を行う装置には、直流電源10と電流測定部20および制御部30が備えられている。
直流電源10は、ストライプ状に配置された複数の下部電極2と複数の上部電極4それぞれに共通の配線を用いて接続され、下部電極2と上部電極4の間に実使用時の逆バイアス以上の電圧を印加するために用いられる。直流電源10が下部電極2と上部電極4の間に印加する電圧については適宜調整できるようになっている。本実施形態の場合、直流電源10は、第1の直流電圧とそれよりも大きな第2の直流電圧に電圧値を切替えて下部電極2と上部電極4の間に電圧印加が行えるようにしてある。
電流測定部20は、ストライプ状に配置された複数の上部電極4と直流電源10との間に接続され、下部電極2と上部電極4の間のリーク電流を測定する。なお、電流測定部20は、ストライプ状に配置された複数の下部電極2と直流電源10との間に接続されても良い。オープン欠陥が発生していない状態であれば、下部電極2と上部電極4との間が有機膜3によって絶縁されているため、リーク電流は電圧印加の瞬間に発生する充電電流以外は発生しない。しかしながら、オープン欠陥が存在する場合において、オープン欠陥の発生時にリーク電流としてスパイク様の瞬間的に大きな電流(以下、瞬時電流と示す)が流れる。更に、オープン欠陥箇所で上部電極4が有機膜3の端部よりも内側に入り込んだ状態になると、上部電極4が下部電極2に短絡するなどにより、リーク電流が残ったままになる。このリーク電流に基づいてオープン欠陥の検査を行っている。すなわち、オープン欠陥がないものは当然良品であるが、オープン欠陥であっても、視認できない150nm未満のサイズで、かつ、上部電極4と下部電極2との間の短絡によるリーク電流が残っていないものであれば、良品と判定しても構わない。このため、リーク電流に基づいてどのようなオープン欠陥であるかの検査を行い、良不良判定に用いるようにしている。
制御部30は、直流電源10からの電圧印加の制御を行うと共に電流測定部20での測定結果に基づいて良不良判定を行う。具体的には、制御部30は、直流電源10より有機EL素子に対して第1の直流電圧を印加させた後、所定時間経過後に有機EL素子に対して第2の直流電圧を印加させ、そのときに電流測定部20で測定されたリーク電流の測定結果に基づいて良不良判定を行うようにしている。この良不良判定の詳細については、後述する。
続いて、有機EL素子に対して行うエージング工程の詳細について説明する。エージング工程では、図2に示すように、制御部30にて直流電源10を制御し、下部電極2をマイナス極、上部電極4をプラス極として逆バイアスの電圧を印加する。具体的には、比較的小さな第1の直流電圧を印加させた後、所定時間経過後に比較的大きな第2の直流電圧を印加するという順序でエージング工程を行う。この理由について、図3および図4を参照して説明する。なお、ここでは、第1の直流電圧に対して第2の直流電圧を2倍にした場合を想定して説明するが、これに限るものではない。
図3は、有機膜3内に異物が混入して異常部5が形成されたときの様子と、有機EL素子に対して逆バイアス電圧を印加したときの様子を異常部5のサイズ別に記載した断面図である。また、図4は、有機膜3の膜厚に対する破壊電圧の関係を示したグラフである。
図4に示すように、有機層の膜厚と破壊電圧には有機膜3の厚みが厚くなるほど破壊電圧が大きくなる関係がある。すなわち、有機膜3の破壊電界強度は約4MV/cmといえる。図3(a)に示すように、異物サイズが小さくて異常部5の上における有機膜3の膜厚(以下、異常部膜厚という)が比較的厚い場合(例えば、50nm程度)の場合には、有機膜3が絶縁破壊される破壊電圧が20V程度になる。異常部膜厚が比較的厚い場合には、比較的大きな第2の直流電圧、例えば30Vを印加したとしても、異常部5上の有機膜3に掛かる電界強度が6MV/cm程度となり、破壊電界強度の1.5倍となる。したがって、第2の直流電圧を印加したときに異常部5において有機膜3や上部電極4などが飛散してオープン欠陥が顕在化されても、それによる破壊痕は小さくなる。
一方、図3(b)に示すように、異物サイズが大きくて異常部膜厚が比較的薄い場合(例えば、25nm程度)の場合には、有機膜3の絶縁耐圧が10V程度になる。この場合には、比較的大きな第2の直流電圧、例えば30Vを印加すると、異常部5上の有機膜3に掛かる電界強度が12MV/cm程度となり、破壊電界強度の3倍となる。したがって、第2の直流電圧を印加したときに異常部5において有機膜3や上部電極4などが飛散してオープン欠陥が顕在化されると、それによる破壊痕が大きくなる。これに対して、比較的小さな第1の直流電圧、例えば15Vを印加すると、異常部5上の有機膜3に掛かる電界強度が6MV/cmとなり、破壊電界強度の1.5倍となる。したがって、第1の直流電圧を印加したときに異常部5において有機膜3や上部電極4などが飛散してオープン欠陥が顕在化されても、それによる破壊痕は小さくなる。
このことから、異物サイズが大きかった場合でも、オープン欠陥を顕在化したときの破壊痕が大きくならないように、第1の直流電圧と第2の直流電圧とを切替えて印加するようにしている。すなわち、先ず最初に比較的小さな第1の直流電圧を印加することによって異物サイズが大きな箇所でオープン欠陥を顕在化させる第1欠陥部顕在化工程を行い、その後、異物が小さな箇所でもオープン欠陥を顕在化させる第2欠陥部顕在化工程を行う。これにより、異物のサイズの大小にかかわらず、小さな破壊痕でオープン欠陥を顕在化させることができる。
また、本実施形態のように、上部電極4が厚くされていることから、第1の直流電圧の印加によってオープン欠陥を顕在化させたときに、オープン欠陥箇所において上部電極4の端部が有機膜3の内側に入り込み、上部電極4と下部電極2との間の距離が近くなることがある。この場合を考慮しても、比較的小さい第1の直流電圧を印加したのち、比較的大きい第2の直流電圧を印加するようにするのが好ましい。この理由について、図5を参照して説明する。
図5は、第1の直流電圧と第2の直流電圧の大小と第1の直流電圧印加時のオープン欠陥の状態に対する第2の直流電圧印加後のオープン欠陥の状態の関係を示した図である。
第1の直流電圧を印加したときに、異常部5が形成されていた箇所にオープン欠陥が形成されるが、図5(a)に示すように上部電極4の端部が有機膜3の端部の内側に入り込んでいない形状になる場合と、図5(b)、(c)に示すように上部電極4の端部が有機膜3の端部の内側に入り込んだ形状になる場合がある。
図5(a)の形状になった場合には、上部電極4と下部電極2との間の距離が遠くなり、絶縁された状態になっているため、その後に印加する第2の直流電圧が第1の直流電圧以上であるかそれ未満であるかにかかわらず、図5(a)の形状のままとなる。
しかしながら、図5(b)、(c)の形状になった場合には、上部電極4と下部電極3との間の距離が近くなる。このため、その後に印加する第2の直流電圧が第1の直流電圧以上であれば、図5(b)のようにオープン欠陥箇所の周囲において再び上部電極4や有機膜3が飛散して再オープン化され、上部電極4の端部が有機膜3の端部の内側に入り込んでいない形状となる。このとき、破壊電圧以上になる部位は、上部電極4のうち下部電極2との間の距離が短くなっている箇所のみであるため、飛散する範囲は非常に狭く、破壊痕は第1の直流電圧印加時と比較して多少大きくなるものの、最初から第2の直流電圧を印加した場合と比較すれば小さなものとなる。また、第1の直流電圧印加後に印加する第2の直流電圧が第1の直流電圧未満であれば、図5(c)のようにオープン欠陥箇所の周囲において上部電極4や有機膜3の飛散が生じず、上部電極4の端部が有機膜3の端部の内側に入り込んだままの形状となる。したがって、第1の直流電圧印加後の形状が図5(a)〜(c)のいずれの形状になっても、再オープン化が行えるようにするために、第1の直流電圧よりも第2の直流電圧の方が大きくなるようにしている。
また、比較的小さな第1の直流電圧を印加させた後、所定時間経過してから比較的大きな第2の直流電圧を印加するようにしている。第1の直流電圧の印加は小さな破壊痕でオープン欠陥を顕在化させることが目的であり、第2の直流電圧の印加は再オープン化が目的であるが、これらを連続的に行うと、直流電圧印加による発熱によって上部電極4が溶出するなどの問題が発生し得る。このため、第1の直流電圧と第2の直流電圧を連続的に印加せず、これらの間が所定時間空くようにしている。これにより、第1の直流電圧の印加によって発生した熱を冷却してから第2の直流電圧の印加が行われるようにしている。このときの時間が短すぎると、冷却が十分に行われていない状態で第2の直流電圧が印加されることになり、オープン欠陥の破壊痕のサイズが大きくなる。
また、第1の直流電圧の印加後に、一旦直流電源10からの電圧印加を止めて0とするのが好ましいが、有機EL素子に順バイアスの電圧が印加されることは好ましくない。順バイアスの電圧が印加されると有機EL素子に電流が流れ、それにより発生するジュール熱によって上部電極4が溶出してしまい、有機EL素子が破壊されるためである。このため、第1の直流電圧印加後から第2の直流電圧印加を行うまでの間において、その間に上部電極4と下部電極2との間に印加する電圧値が再オープン化を行ったときのオープン欠陥の破壊痕のサイズに関わってくる。
このため、本発明者らが第1の直流電圧印加後から第2の直流電圧印加を行うまでの間に印加される逆バイアスの電圧(以下、印加電圧間の電圧という)やそれらの間の時間(以下、印加電圧間の時間という)と破壊痕のサイズとの関係について調べた。図6および図7は、その実験結果を示した図である。なお、図6は、印加電圧間の時間は40msecで実施したときの結果であり、図7は、印加電圧間の電圧が3Vで実施したときの結果である。また、実験では、有機膜3の膜厚を150nm、上部電極4の膜厚を200nmとしている。
図6に示すように、印加電圧間の電圧が0Vであると最も破壊痕サイズが小さく、0Vから大きくなるにつれて破壊痕サイズも大きくなる。実験によれば、印加電圧間の電圧が5V以上になると破壊痕サイズが視認可能な150nm以上になる場合が発生するが、4V以下であれば破壊痕サイズが100nm以下と十分に視認できない程度となり、3V以下であれば破壊痕サイズが50nm以下とより確実に視認できない程度になることが判る。このため、印加電圧間の電圧については、4V以下にすれば良く、好ましくは3V以下にすれば良いと言える。
また、図7に示すように、印加電圧間の時間についてはオープン欠陥の破壊痕サイズを考慮した場合には長いほど良いが、スループットを考慮すると短いほうが良い。実験によれば、印加電圧間の時間が5msecになると破壊痕サイズが視認可能な150nm以上になる場合が発生するが、10msec以上であれば破壊痕サイズが100nm以下と十分に視認できない程度となり、40msec以上であれば破壊痕サイズが50nm以下とより確実に視認できない程度になることが判る。このため、印加電圧間の時間については、10msec以上にすれば良く、好ましくは40msec以上にすれば良いと言える。
したがって、第1の直流電圧の印加後に、印加電圧間の電圧を4V以下、好ましくは3V以下にしつつ、印加電圧間の時間を10msec、好ましくは40msecとして第2の直流電圧を印加することで、エージング工程を行うようにしている。
図8は、上記のようなエージング工程を行った場合の有機EL素子への印加電圧波形およびリーク電流波形を示した図である。具体的には、図8(a)に示すように、第1の直流電圧を印加したのち、所定時間経過後に第2の直流電圧を印加した場合において、図8(b)は、第1の直流電圧印加時にオープン欠陥が形成されても上部電極4と下部電極2との間の距離が遠い場合、図8(c)は、第1の直流電圧印加時にオープン欠陥が形成されたのち第2の直流電圧印加時に再オープン化された場合、図8(d)は、第1の直流電圧印加時にオープン欠陥が形成されたが第2の直流電圧印加時に再オープン化できなかった場合のリーク電流波形例を示してある。
図8(a)に示すように、第1欠陥部顕在化工程として第1の直流電圧を印加すると、印加開始から任意の時間で絶縁破壊が生じてオープン欠陥が顕在化させられる。
ここで、第1欠陥部顕在化工程でオープン欠陥を顕在化させたときに、上部電極4の端部が有機膜3の端部の内側に入り込まず、上部電極4と下部電極2との間の距離が離れていれば、リーク電流は絶縁破壊時に流れる瞬時電流後に十分に小さくなると共に、第2欠陥部顕在化工程で直流電圧を印加しても絶縁破壊は生じない。が、その距離が近いと、リーク電流は絶縁破壊時に流れる瞬時電流後にも流れ、第2欠陥部顕在化工程においても絶縁破壊が進行するため瞬時電流が流れる。したがって、第1欠陥部顕在化工程に、第1の直流電圧を印加している全期間中のリーク電流を測定する第1リーク電流測定工程と、第2欠陥部顕在化工程に、第2の直流電圧を印加している全期間中のリーク電流を測定する第2リーク電流測定工程を行い、各工程でのリーク電流に基づいて良不良判定を行うことが可能となる。
具体的には、図8(b)に示すように、第1欠陥部顕在化工程での瞬時電流発生後にリーク電流が十分に低下した場合には、図5(a)の場合のように、第1欠陥部顕在化工程によって上部電極4と下部電極2との間の距離が離れた状態でオープン欠陥が顕在化させられたものと考えられる。この場合には、図8(b)に示すように、第2欠陥部顕在化工程では瞬時電流は流れない。したがって、リーク電流の変化が図8(b)に示されるものであれば良品と判定できる。
また、図8(c)、(d)に示すように、第1欠陥部顕在化工程での瞬時電流発生後にもリーク電流が発生していた場合には、図5(b)の場合のように、第1欠陥部顕在化工程によって上部電極4と下部電極2との間の距離が近い状態でオープン欠陥が顕在化させられたものと考えられる。この場合において、図8(c)に示すように、第2欠陥部顕在化工程での直流電圧印加時に瞬時電流が検出され、その後リーク電流が十分に低下した場合には、図5(b)の場合のように、第2欠陥部顕在化工程によって再オープン化され、上部電極4と下部電極2との間の距離が離れた状態でオープン欠陥が顕在化させられたと考えられる。このような場合にも、実使用時にオープン欠陥が広がることはないため、良品と判定できる。一方、図8(d)に示すように、第2欠陥部顕在化工程での直流電圧印加時に瞬時電流が検出され、その後リーク電流が低下しなかった場合、或いは図8(e)に示すように、第2欠陥部顕在化工程において瞬時電流が検出されずリーク電流がある値を持って低下しない場合には、第2欠陥部顕在化工程を行っても上部電極4と下部電極2との間の距離が近い状態もしくは短絡している状態になっていると考えられる。このような場合には、不良品と判定できる。
このように、第1、第2欠陥部顕在化工程を行うと共に、それらの工程で第1、第2の直流電圧を印加している全期間中のリーク電流を測定すれば、そのリーク電流に基づいて良不良判定を行うことができる。そして、第1欠陥部顕在化工程で第1の直流電圧の印加を終了してから第2欠陥部顕在化工程で第2の直流電圧の印加を開始するまでの間において、両電極間の電位差が0Vから4V、かつ、これらの間の時間が10msec以上となるようにしているため、オープン欠陥の破壊痕サイズが視認できない大きさとなるようにオープン欠陥の顕在化を行うことできる。このため、図8(c)のように、再オープン化できれば、従来不良と判定されていたものについても良品とすることが可能となる。したがって、上部電極4が135nm以上という厚膜の構造の有機EL素子とした場合において、本来良品としても良い製品が不良品と判定されることを抑制でき、良不良率を向上させることが可能となる。
(他の実施形態)
上記実施形態では、有機EL素子を構成する基板1、下部電極2、有機膜3および上部電極4として、上記材料を例に挙げて説明したが、これら以外にも有機EL素子の構成材料として適用することができる材料を適宜採用することができる。
また、上記実施形態では、下部電極2と上部電極4がそれぞれ互いに直行する方向を長手方向とするストライプ形状で構成することで、複数の画素がマトリクス状に配置されたレイアウトを例に挙げて説明したが、これ以外のレイアウトであっても構わない。
また、上記実施形態では、陽極を下部電極2、陰極を上部電極4とする場合について説明したが、陽極を上部電極4、陰極を下部電極2とし、有機膜3を構成する各膜の上下関係を逆にした構造、つまり上記実施形態の各膜の積層順を逆にした構造としても良い。
1 基板
2 下部電極
3 有機膜
4 上部電極
10 直流電源
20 電流測定部
30 制御部

Claims (3)

  1. 下部電極(2)、発光層を含む有機膜(3)および膜厚135nm以上の上部電極(4)が順に積層され、前記下部電極(2)と前記上部電極(4)との間に電圧を印加することで前記発光層を発光させる有機EL素子の製造方法において、
    前記下部電極(2)と前記上部電極(4)のうちの陰極側をプラス極、陽極側をマイナス極としてこれら両電極の間に第1の直流電圧を印加し、前記有機膜(3)に存在する欠陥部を顕在化させる第1欠陥部顕在化工程と、
    第1欠陥部顕在化工程後に、前記陰極側をプラス極、前記陽極側をマイナス極としてこれら両電極の間に前記第1の直流電圧よりも大きな第2の直流電圧を印加し、前記第1欠陥部顕在化工程で顕在化した前記欠陥部をさらに顕在化させる第2欠陥部顕在化工程と、
    前記第1欠陥部顕在化工程で前記第1の直流電圧を印加している全期間中に、前記両電極間に流れるリーク電流を測定する第1リーク電流測定工程と、
    前記第2欠陥部顕在化工程で前記第2の直流電圧を印加している全期間中に、前記両電極間に流れるリーク電流を測定する第2リーク電流測定工程と、
    前記第1リーク電流測定工程および前記第2リーク電流測定工程で測定されたリーク電流に基づいて前記有機EL素子の良不良判定を行う判定工程とを含み、
    前記第1欠陥部顕在化工程で前記第1の直流電圧の印加が終了してから前記第2欠陥部顕在化工程で前記第2の直流電圧の印加を開始するまでの間において、前記両電極間の電位差が0Vより大きく4V以下とされ、かつ、前記第1の直流電圧の印加が終了してから前記第2直流電圧の印加が開始されるまでの時間が10msec以上とされていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記第1欠陥部顕在化工程で前記第1の直流電圧の印加が終了してから前記第2欠陥部顕在化工程で前記第2の直流電圧の印加が開始するまでの間において、前記両電極間の電位差が0Vより大きく3V以下とされていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記第1の直流電圧の印加が終了してから前記第2直流電圧の印加が開始するまでの時間が40msec以上とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子の製造方法。
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