JP2016100171A - 有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】時間の経過とともに欠陥画素の数が増加するのを抑制することができる有機EL表示装置の製造方法を提供する。【解決手段】有機EL表示装置の製造方法は、下部電極11、発光層13を含む有機層30および上部電極16を備えた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子1を形成する工程と、前記有機EL素子の形成後、前記下部電極と前記上部電極との間に逆バイアス電圧を印加する工程と、を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法に関する。
近年、表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子を用いた有機EL表示装置が注目されている。有機EL素子は、陽極11と陰極16との間に発光機能を有する有機EL層を有する構造である。有機EL層は、さらに、ホール輸送層、発光層及び電子輸送層が積層される構造となっている。
有機EL表示装置の製造工程において、例えば導電性の異物が有機EL素子の陽極と陰極との間に混入して陽極と陰極とを短絡することにより、滅点となる欠陥画素が生ずることがある。そして、陽極と陰極の短絡による不良(ショート不良)を解消するために、短絡箇所にレーザーを照射するレーザーリペアが行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、有機EL表示装置において、レーザーリペアにより滅点を解消しても、製造後有機EL表示装置の点灯時間と共に滅点が現れ、欠陥画素の数が増加するという問題がある。すなわち、有機EL表示装置の製造当初にはショート不良は生じていなかったが、使用のために何等かの電圧を印加し続けることにより、時間の経過と共に有機EL素子の回路にショート不良が発生し、欠陥画素の数が増加するという問題が生じている。
また、有機EL表示装置において、複数の製造工程を経るごとにショート不良が発生し、欠陥画素の数が増加するという問題もある。
本発明は、上記問題点に鑑み、時間の経過とともに欠陥画素の数が増加するのを抑制することができる有機EL表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一形態にかかる有機EL表示装置の製造方法は、下部電極、発光層を含む有機層および上部電極を備えた有機EL素子を形成する工程と、前記有機EL素子の形成後、前記下部電極と前記上部電極との間に逆バイアス電圧を印加する工程と、を含む。
本発明にかかる有機EL表示装置の製造方法によれば、時間の経過とともに滅点数が増加するのを抑制することができる。
(本発明の基礎となった知見)
はじめに、本発明の基礎となった知見について説明する。
はじめに、本発明の基礎となった知見について説明する。
図1は、従来の課題を説明するための図であり、電圧印加時間と欠陥画素数の関係を示す図である。
有機EL表示装置の製造工程においては、上述したように、例えば導電性の異物が陽極と陰極との間に混入して陽極と陰極とを短絡することにより、滅点となる欠陥画素が生ずることがある。また、有機層の形成工程においてピンホールが形成され、その後、陰極であるITO(Indium Thin Oxide)層の形成工程において当該ピンホールにITO層を構成する材料が流入されることで陽極と陰極とが直接接触し、短絡する場合もある。
陽極と陰極の短絡による不良(ショート不良)を解消するために、従来から短絡箇所にレーザーを照射するレーザーリペアが行われている。しかし、レーザーリペアにより滅点を解消しても、有機EL表示装置の製造当初にはショート不良は生じていなかったが使用のために何等かの電圧を印加し続けることにより時間の経過と共に有機EL素子の回路にショート不良が発生し、欠陥画素の数が増加するという問題が生じている。
詳細には、図1に示すように、有機EL素子に電圧を印加すると、電圧印加時間が増加するにつれて欠陥画素の個数は増加している。また、画素の輝度が高いほうが早く滅点が生じ、欠陥画素となっている。例えば、図1において、電圧印加時間が100時間から200時間までの間では、輝度階調が566となる電圧を印加する場合よりも輝度階調が313となる電圧を印加する場合のほうが早く滅点が生じ、欠陥画素の増加する割合が高くなっている。
また、有機EL表示装置の製造には複数の工程を要するが、複数の製造工程を経るごとにショート不良が発生し、欠陥画素の数が増加するという問題も生じている。このように、時間の経過と共にショート不良が発生するので、製造工程において欠陥画素をリペアしたとしても、時間の経過ごとに再度のリペアが必要となり煩雑である。
そこで、以下に示すように、有機EL表示装置の製造工程では、パネル検査前のスクリーニング工程において、実際に有機EL表示装置を使用するときに有機EL表示装置の駆動の初期段階に出る滅点を強制的に発現させる工程を設ける。これにより、将来的に欠陥画素となりうる画素を予め滅点化することができるので、実際に有機EL表示装置を使用するときに時間の経過とともに欠陥画素の数が増加するのを抑制することができる。
詳細には、本発明にかかる有機EL表示装置の製造方法は、下部電極、発光層を含む有機層および上部電極を備えた有機EL素子を形成する工程と、前記有機EL素子の形成後、前記下部電極と前記上部電極との間に逆バイアス電圧を印加する工程と、を含む。
本態様によると、下部電極と上部電極との間に逆バイアス電圧が印加されることにより、下部電極と上部電極とが短絡され、画素が滅点化される。したがって、下部電極と上部電極との間に予め逆バイアス電圧を印加して滅点化することにより、印加時間の経過とともに滅点による欠陥画素の数が増加するのを抑制することができる。
また、前記逆バイアス電圧を印加する工程の前に、前記有機EL素子が形成される基板に形成された配線の短絡を検出する工程を含んでもよい。
本態様によると、有機EL素子が形成される基板に形成された配線の短絡をあらかじめ検出することにより、下部電極と上部電極との間に逆バイアスが印加されるときに基板に形成されたTFT(Thin Film Transistor)が破壊されるのを抑制することができる。
また、前記逆バイアス電圧の大きさは、前記有機EL素子の閾値電圧の大きさ以上であってもよい。
本態様によると、有機EL素子の閾値電圧以上の電圧を印加することで、容易に滅点化を行うことができる。
また、前記逆バイアス電圧は、パルス電圧であってもよい。
本態様によると、下部電極と上部電極との間にパルス電圧の逆バイアス電圧を印加することにより、効率よく滅点化を行うことができる。
また、前記逆バイアス電圧は、直流電圧にパルス電圧を重畳した電圧であってもよい。
本態様によると、逆バイアス電圧として、直流電圧にパルス電圧を重畳した電圧を印加するので、より効率よく滅点化を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一または相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
以下に、実施の形態1にかかる有機EL表示装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態にかかる有機EL表示装置の製造方法の一部を示すフローチャートである。
以下に、実施の形態1にかかる有機EL表示装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態にかかる有機EL表示装置の製造方法の一部を示すフローチャートである。
図2に示すように、有機EL表示装置の製造方法では、はじめに有機EL素子1が形成され(ステップS10)、表示パネルサイズに切り出されて、表示パネル周辺にCOF(Chip On Film)基板等が実装される前の半完成状態の有機EL表示装置が形成される(ステップS12)。
その後、後述するスクリーニング装置2において、基板配線のショートを検出する工程(ショートチェック)が行われる(ステップS14)。続けて、有機EL素子1に逆バイアス電圧の印加が行われる(ステップS16)。これにより、製造当初にはショート不良は明確に生じていなかったが使用のために何等かの電圧を印加し続けることにより時間の経過と共に滅点となりうる画素が検出される。検出された画素にさらに逆バイアス電圧を印加することで、時間の経過により滅点となりうる画素は、予め強制的に滅点化される。
さらに、逆バイアス電圧印加後には、表示パネルの周辺に、ドライバICを備えるCOF基板等が実装され、有機EL表示装置が完成される。その後、有機EL表示装置の検査が行われ(ステップS18)、終了する。
はじめに、有機EL素子1の形成工程について説明する。図3Aは、本実施の形態における有機EL素子1の断面概略図である。
有機EL素子1は、例えば、図3Aに示すように、基板9の上に、平坦化膜10と、陽極11と、正孔注入層12と、発光層13と、隔壁14と、電子注入層15と、陰極16とを備えている。陽極11は、本発明にかかる下部電極、陰極16は、本発明にかかる上部電極に相当する。
まず、TFTおよび配線を含む基板9上に、絶縁性の有機材料からなる平坦化膜10が形成される。平坦化膜10は、一例として、絶縁性の有機材料からなる。
その後、平坦化膜10上に陽極11が形成される。陽極11は、正孔が供給される、つまり、外部回路から電流が流れ込むアノードである。陽極11は、例えば、スパッタリング法により平坦化膜10上にAlが30nm成膜され、その後、フォトリソグラフィーとウエットエッチングによるパターニング工程を経ることにより形成される。
次に、陽極11上に正孔注入層12が形成される。正孔注入層12は、正孔注入性の材料を主成分とする層である。正孔注入性の材料とは、陽極11側から注入された正孔を安定的に、または正孔の生成を補助して発光層13へ注入する機能を有する材料である。正孔注入層12は、例えば、PEDOTをキシレンよりなる溶剤に溶かし、このPEDOT溶液を陽極11上にスピンコートすることにより形成される。
次に、正孔注入層12の上に、発光層13が形成される。発光層13は、陽極11および陰極16間に電圧が印加されることにより発光する層であり、例えば、下層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)、上層としてAlq3(tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum)が積層された構造となっている。発光層13は、例えば、真空蒸着法によりα−NPD、Alq3が正孔注入層12の上に積層されることで形成される。
次に、発光層13の上に、電子注入層15が形成される。電子注入層15は、電子注入性の材料を主成分とする層である。電子注入性の材料とは、陰極16から注入された電子を安定的に、または電子の生成を補助して発光層13へ注入する機能を有する材料であり、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)が使用される。電子注入層15は、例えば、ポリフェニレンビニレン(PPV)をキシレンまたはクロロホルムよりなる溶剤に溶かして発光層13の上にスピンコートすることにより形成される。
続けて、電子注入層15が形成された基板を大気曝露させることなく、陰極16が形成される。陰極16は、電子が供給される、つまり、外部回路へ電流が流れ出すカソードであり、例えば、透明金属酸化物であるITOにより積層された構造となっている。例えば、陰極16は、電子注入層15の上に、スパッタリング法によりITOが35nm積層されることにより形成される。このとき、陰極16は、アモルファス状態になっている。なお、陰極16は、Mg、Ag等の材料により形成してもよい。
上述のような製造工程により、発光素子としての機能をもつ有機EL素子1が形成される(ステップS10)。なお、陽極11の形成工程と正孔注入層12の形成工程との間に、表面感光性樹脂からなる隔壁14が所定位置に形成される。隔壁14により、発光層13は複数の発光領域に分離される。
次に、陰極16の上に、例えば、プラズマCVD法により窒化珪素が500nm積層され、薄膜封止層17が形成される。
さらに、薄膜封止層17の表面に、封止用樹脂層19が塗布される。封止用樹脂層19は、アクリルまたはエポキシ系の樹脂である。その後、塗布された封止用樹脂層19上に透明ガラス18が配置される。
透明ガラス18は、発光パネルの発光表面を保護する基板であり、例えば、透明の無アルカリガラスである。透明ガラス18が上面側から下方に加圧され、熱またはエネルギー線が付加されて封止用樹脂層19が硬化され、透明ガラス18と薄膜封止層17とが接着される。
なお、カラーフィルターが配置された有機EL素子1の場合には、透明ガラス18の主面にあらかじめカラーフィルターが形成される。その後、カラーフィルターが形成された面を下方にして、塗布された封止用樹脂層19上に透明ガラス18が配置される。
ここで、図3Aに示すように、有機EL素子1の製造工程において、陽極11と陰極16との間に導電性の異物20が混入する場合がある。異物20は、例えば、陽極11の材料であるAlが、陽極11の形成後、陽極11上に付着し、続けて、正孔注入層12、発光層13、電子注入層15、陰極16が積層されたために生じたものである。異物20が混入することにより陽極11と異物20、異物20と陰極16との距離が近くなるため、異物20を介して陽極11と陰極16との間には電流が流れ易くなる。陽極11と陰極16とが異物20を介して短絡した場合には、有機EL素子1は発光せず滅点画素となる。
このような形成方法により、半完成状態の有機EL表示装置が形成される(ステップS12)。
なお、陽極11、正孔注入層12、発光層13、電子注入層15、陰極16の形成工程は、上述のものに限定されるものではない。陽極11、正孔注入層12、発光層13、電子注入層15、陰極16の材料は上述したものに限定されるものではなく、周知の有機材料または無機材料が用いられる。
また、有機EL素子1の構成として、正孔注入層12と発光層13との間に正孔輸送層があってもよいし、電子注入層15と発光層13との間に電子輸送層があってもよい。
なお、正孔注入層12と、発光層13と、電子注入層15とを合わせて有機層30と称する。また、正孔輸送層、電子輸送層を有する場合には、これらの層も有機層30に含まれる。また、隔壁14で分離された発光領域に配置された平坦化膜10と、陽極11と、有機層30と、陰極16と、薄膜封止層17と、透明ガラス18とを画素と称する。
次に、基板9に形成された配線の短絡を検出するショートチェックが行われる(ステップS14)。これにより、陽極11と陰極16との間に逆バイアスが印加されるときに、基板9に形成されたTFTが破壊されるのを抑制することができる。
以下、時間の経過により滅点となりうる画素を予め強制的に滅点化するスクリーニング装置2の構成について説明する。図3Bは、本実施の形態にかかるスクリーニング装置の構成を示す回路図である。
スクリーニング装置2は、有機EL素子1の陽極11と陰極16との間に電圧を印加するための電源26と、有機EL素子1の陽極11と陰極16との間に流れる電流I_localを計測するための電流計とで構成される。具体的には、図3Bに示すように、有機EL表示装置の画素回路において、直列に接続された有機EL素子1および駆動トランジスタ24と並列になるように、電源26が接続されている。また、電流計は、有機EL素子1の陽極11と駆動トランジスタ24との間の電流を計測してもよいし、駆動トランジスタ24を流れる電流を計測してもよい。
ここで、欠陥画素の検出方法として電流を計測する理由について説明する。図4は、欠陥画素の原因別電流計測結果を示す図である。
欠陥画素が生じる原因は、陽極11と陰極16との短絡に起因して滅点が生じる欠陥以外にも様々な原因がある。図4に示すように、例えば、駆動トランジスタ24のドレインとソースの大きさ、配線(Line)の太さ、有機EL素子1の一部の欠けに起因して欠陥が生じる場合もある。複数の色の混色、暗点または明点が生じる欠陥もある。
これらの欠陥を有する欠陥画素について陽極11と陰極16との間に流れる電流を計測すると、図4に示すように、滅点による欠陥を有する欠陥画素の場合が最も流れる電流の大きさが大きい。すなわち、滅点による欠陥を有する欠陥画素では、リーク電流が大きい。したがって、電流を計測することにより容易に欠陥画素であるか否かを判断することができる。
次に、逆バイアス電圧の印加する工程について説明する。逆バイアス電圧は、電源26により、陽極11と陰極16との間に印加される(ステップS16)。
図5は、逆バイアス電圧を印加したときに発現する欠陥画素数を示す図である。図6は、逆バイアス電圧を印加したときに発現する欠陥画素の種類を示す図である。
一般的に、有機EL素子1に電圧を印加する場合、順バイアス電圧を印加する場合よりも逆バイアス電圧を印加する場合のほうが陽極11と陰極16の短絡が生じやすい。これは、順バイアスを印加する場合には、有機EL素子1の陽極11から陰極16へと電流が流れるが、逆バイアス電圧を印加する場合には、有機EL素子1の陽極11から陰極16へと電流が流れないため、有機EL素子1に電圧がかかり、絶縁破壊等を生じ易くなるためである。したがって、有機EL素子1に逆バイアス電圧を印加することにより、順バイアス電圧を印加する場合よりも小さい電圧で画素の滅点化を図ることができる。
また、逆バイアス電圧を印加する場合の電圧の大きさは、有機EL素子1の閾値(例えば、2V)以上であればよい。有機EL素子1の閾値電圧以上の電圧を印加することで、容易に画素の滅点化を図ることができる。
また、図5に示すように、有機EL素子において、逆バイアス電圧の大きさが8V程度の場合から欠陥画素の数が増加し始め、20V以上の場合には欠陥画素の数は急激に増加する。同図に示す黒丸印はR(赤)、黒三角印はG(緑)、黒四角印はB(青)のそれぞれの画素について生じた欠陥画素数を示している。同図によると、有機EL素子1に逆バイアス電圧を印加することにより、R、G、Bのいずれについても滅点化を図ることができる。特に、20V以上の逆バイアス電圧を印加することにより、効率よく滅点化を図ることができる。
また、逆バイアス電圧を印加した場合に生じる欠陥画素の種類は、陽極11と陰極16の短絡に起因する滅点に限らず、図6に示すように、例えば、駆動トランジスタ24のドレインとソースの大きさ、有機EL素子1の一部の欠け、複数の色の混色、暗点が生じる欠陥などがある。
逆バイアス電圧の印加後に行われる、基板9に形成された配線の短絡を検出する工程で検出される欠陥画素の種類は(ステップS18)、図6に示すように、初期すなわち製造当初においては、滅点および暗点による欠陥画素がそれぞれ40%程度で、有機EL素子1の一部の欠けおよび複数の色の混色による欠陥画素がそれぞれ10%程度である。これに対し、逆バイアス電圧を印加した場合には、検出される欠陥画素の種類は、滅点による欠陥画素が90%程度にまで増加する。また、逆バイアス電圧の大きさを10V、15V、20V、25V、30Vと変化させた場合でも、リーク性の滅点による欠陥画素が90%以上を占めている。
したがって、時間の経過により滅点となりうる画素を予め強制的に滅点化するためには、逆バイアス電圧を印加することが好ましい。また、陽極11と陰極16との間に印加する逆バイアス電圧は、有機EL素子1の閾値(例えば、2V)以上、好ましくは8V以上とするのがよい。
次に、滅点の発現原理について説明する。図7は、滅点の発現原理を説明するための有機EL素子1の断面SEM写真である。
図7は、逆バイアス電圧を印加した滅点化した後の有機EL素子1の断面SEM写真である。有機EL素子1において、基板の上に、陽極11と、正孔注入層12と、発光層13と、電子注入層15と、陰極16とを備えている。正孔注入層12と、発光層13と、電子注入層15とを合わせて有機層30と称する。また、基板上には、導電性の異物20が混入している。
図7において、異物20が混入した部分では、陽極11と、正孔注入層12と、発光層13と、電子注入層15と、陰極16とが盛り上がり、盛り上がった頂点付近では正孔注入層12は存在せず、陽極11と陰極16との間の距離が短くなっている。したがって、距離が短いため、この部分では陽極11と陰極16との間の抵抗が低く電流が流れ易い状態となっている(図7では、低抵抗部として示している)。よって、陽極11と陰極16との間に高電圧または長時間電圧が印加されると、絶縁破壊を生じ、陽極11と陰極16とが短絡される。つまり、陽極11と陰極16との間に逆バイアス電圧が印加されることにより、陽極11と陰極16とが短絡され、滅点が生ずることとなる。なお、図7に示す有機EL素子1では、陽極11と陰極16との間の距離が70nm程度のところに、15Vの逆バイアス電圧が印加され、滅点化されたものである。
以上、本実施の形態にかかる有機EL表示装置の製造方法によると、陽極11と陰極16との間に逆バイアス電圧が印加されることにより、陽極11と陰極16とが短絡される。したがって、陽極11と陰極16との間に予め逆バイアス電圧を印加して滅点化することにより、印加時間の経過とともに滅点による欠陥画素の数が増加するのを抑制することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態に係る有機EL表示装置の製造方法が実施の形態1に示した有機EL表示装置の製造方法と異なる点は、陽極と陰極との間に印加する逆バイアス電圧がパルス電圧である点である。
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態に係る有機EL表示装置の製造方法が実施の形態1に示した有機EL表示装置の製造方法と異なる点は、陽極と陰極との間に印加する逆バイアス電圧がパルス電圧である点である。
図8は、パルス電圧の逆バイアス電圧を印加したときの欠陥画素数を示す図である。
本実施の形態では、有機EL素子の陽極と陰極との間に、パルス電圧の逆バイアス電圧を印加する。印加するパルス電圧は、例えば電圧の大きさ33Vで0.01secごとにオンとオフを繰り返すパルス電圧、および、電圧の大きさ33Vで0.001secごとにオンとオフを繰り返すパルス電圧である。
図8に示すように、陽極と陰極との間に直流の逆バイアス電圧を印加した場合には、単位面積当たりの欠陥画素数の平均は200個程度であるのに対し、電圧の大きさ33Vで0.01secごと(100Hz)にオンとオフを繰り返すパルス電圧を直流の場合と同じ時間印加した場合には、単位面積当たりの欠陥画素数の平均は220個程度に増加している。また、電圧の大きさ33Vで0.001secごと(1000Hz)にオンとオフを繰り返すパルス電圧を直流の場合と同じ時間印加した場合には、単位面積当たりの欠陥画素数の平均は360個程度に増加している。
したがって、陽極と陰極との間にパルス電圧の逆バイアス電圧を印加することにより、効率よく滅点化を行うことができる。
ここで、パルス電圧の周波数は上述した周波数に限らずどのような周波数であってもよいが、周波数を大きくすることにより、より多く滅点を形成することができる。パルス電圧の周波数は、有機EL表示装置の一般的な使用時間等を考慮すると、1000Hz以下で十分である。好ましくは、100Hz程度である。
なお、上述したパルス電圧は、直流電圧に重畳したものであってもよい。これにより、より効率よく滅点化を行うことができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形を行ってもよい。
例えば、上述した実施の形態では、基板に形成された配線の短絡を検出する工程が行われた後、逆バイアス電圧を印加する工程を行っているが、基板に形成された配線の短絡を検出する工程を行わずに、逆バイアス電圧を印加する工程を行ってもよい。
また、逆バイアス電圧の大きさ、パルス電圧の周期は上述した例に限らずどのような値であってもよい。
また、有機EL素子の形成工程は、上述した工程に限らず他の工程としてもよい。
また、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、図9に示すような、本発明にかかる有機EL素子を備えた薄型フラットテレビシステム100も本発明に含まれる。
本発明にかかる有機EL素子の製造方法は、特に、大画面および高解像度が要望される薄型テレビおよびパーソナルコンピュータのディスプレイなどの技術分野に有用である。
1 有機EL素子
2 スクリーニング装置
9 基板
11 陽極(下部電極)
12 正孔注入層(有機層)
13 発光層(有機層)
15 電子注入層(有機層)
16 陰極(上部電極)
20 異物
24 駆動トランジスタ
26 電源
30 有機層
2 スクリーニング装置
9 基板
11 陽極(下部電極)
12 正孔注入層(有機層)
13 発光層(有機層)
15 電子注入層(有機層)
16 陰極(上部電極)
20 異物
24 駆動トランジスタ
26 電源
30 有機層
Claims (5)
- 下部電極、発光層を含む有機層および上部電極を備えた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を形成する工程と、
前記有機EL素子の形成後、前記下部電極と前記上部電極との間に逆バイアス電圧を印加する工程と、
を含む有機EL表示装置の製造方法。 - 前記逆バイアス電圧を印加する工程の前に、前記有機EL素子が形成される基板に形成された配線の短絡を検出する工程を含む、
請求項1に記載の有機EL表示装置の製造方法。 - 前記逆バイアス電圧の大きさは、前記有機EL素子の閾値電圧の大きさ以上である、
請求項1または2に記載の有機EL表示装置の製造方法。 - 前記逆バイアス電圧は、パルス電圧である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。 - 前記逆バイアス電圧は、直流電圧にパルス電圧を重畳した電圧である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014235798A JP2016100171A (ja) | 2014-11-20 | 2014-11-20 | 有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 |
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JP2014235798A JP2016100171A (ja) | 2014-11-20 | 2014-11-20 | 有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 |
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JP2016100171A true JP2016100171A (ja) | 2016-05-30 |
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JP2014235798A Pending JP2016100171A (ja) | 2014-11-20 | 2014-11-20 | 有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 |
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- 2014-11-20 JP JP2014235798A patent/JP2016100171A/ja active Pending
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