JP2015153561A - 有機el素子の検査方法及び検査装置 - Google Patents

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修 赤坂
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Kosaku Kitada
耕作 北田
満春 細川
Mitsuharu Hosokawa
満春 細川
早崎 嘉城
Yoshiki Hayazaki
嘉城 早崎
吉原 孝明
Takaaki Yoshihara
孝明 吉原
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Abstract

【課題】有機EL素子の検査方法において、不点故障に至るサンプルを効率的に選別でき、検査による有機EL素子へのダメージを抑制する。【解決手段】検査方法は、陽極及び陰極間の所定の区間に逆バイアス電圧を印加する電圧印加ステップS1と、電圧が印加されたときのリーク電流の電流値を測定する電流測定ステップS2と、測定された電流値の変化に対する時定数を算出する時定数算出ステップS3と、時定数の絶対値が、所定の閾値を超えるか否かで有機層の良否を判定する判定ステップと、を含む。この方法によれば、より低い電圧で、不良サンプルに見られるリーク電流の発生を予測し、サンプルの良否を判定することができる。従って、不点故障に至るサンプルを効率的に選別でき、検査による有機EL素子へのダメージを抑制することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、有機EL素子の検査方法及び検査装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)は、各種色調の発光が可能であり、平面状の発光素子体として製造し易い特徴を有する。このような有機EL素子は、フラットディスプレイ又は液晶表示機用バックライトに利用されるだけでなく、近年では、照明器具の光源としての利用が注目されている。
図5に、一般的な有機EL素子の素子構造を示す。有機EL素子101は、透光性を有する基板102上に、透光性を有する陽極103が設けられ、この陽極103の上に、ホール注入層141、有機発光層142及び電子輸送層143から成る有機層104が設けられている。また、有機層104上に、光反射性を有する陰極105が設けられる。陽極103及び陰極105間に電圧が印加されると、陽極103はホールを、陰極105は電子を夫々有機発光層142を注入し、それらホールと電子とが有機発光層142内で再結合する。そして、この再結合により励起子が生成され、この励起子が、基底状態に遷移するときに光子が放出され、陽極103及び基板102を透過して外部に取り出される。
有機発光層等の有機層は、真空蒸着や塗布によって陽極が形成された基板上に積層される。しかしながら、有機層の膜厚は極めて薄く、電極や有機層に微小な欠陥があると、その部分に電流が集中し、部分的に発光しない不点不良を生じることがある。この微小な欠陥の原因としては、電極や有機層といった膜を形成する際にゴミやチリ等が混入することが挙げられるが、これらの欠陥が全く生じないようにすることは困難であり、特に、有機層の面積を大きくする場合に微小な欠陥が生じ易くなる。
そこで、有機EL素子の製造においては、有機層に欠陥がある有機EL素子を選別する検査方法が取り入れられている。この種の検査方法として、有機EL素子の両電極間に逆バイアス電圧を印加してリーク電流を測定し、有機EL素子の良否を判断するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−265633号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の製造方法では、リーク電流の発生し易い欠陥部を顕在化させるために、有機EL素子の逆方向耐電圧以上となる過剰な電圧印加を行っており、検査によって有機EL素子がダメージを受ける虞がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、不点故障に至るサンプルを効率的に選別でき、検査による有機EL素子へのダメージを抑制することができる有機EL素子の検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、陽極及び陰極間に有機発光層を含む有機層を有する有機EL素子の検査方法であって、前記陽極及び陰極間の所定の区間に逆バイアス電圧を印加する電圧印加ステップと、前記電圧印加ステップにおいて電圧が印加されたときのリーク電流の電流値を測定する電流測定ステップと、前記電流測定ステップにおいて測定された電流値の変化に対する時定数を算出する時定数算出ステップと、前記時定数の絶対値が、所定の閾値を超えるか否かで前記有機層の良否を判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
上記検査方法における時定数算出ステップにおいては、前記時定数は、前記電流値の最小2乗法による近似直線に基づいて算出されることが好ましい。
上記検査方法における時定数算出ステップにおいては、前記時定数は、特定時間内の最初の電流値の移動平均値と最後の電流値の移動平均値を元に算出されることが好ましい。
また、本発明は、陽極及び陰極間に有機発光層を含む有機層を有する有機EL素子の検査装置であって、前記有機EL素子に電圧を印加するための電源部と、前記有機EL素子に流れる電流を測定する電流測定部と、前記電源部及び電流測定部を制御する制御部と、前記有機EL素子の有機層の良否を判定する判定部と、を備え、前記制御部は、前記電流測定部が測定した電流値の変化に対する時定数を算出し、前記判定部は、前記時定数の絶対値が、所定の閾値を超えるか否かで前記有機層の良否を判定することを特徴とする。
本発明によれば、比較的低い電圧で、サンプルの良否を判定することができるので、不点故障に至るサンプルを効率的に選別でき、検査による有機EL素子へのダメージを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る検査方法を実施する検査装置の構成図。 (a)は上記検査方法の各ステップを示すフロー図、(b)はリーク電流波形の例を示す図。 (a)は正常特性を有するサンプルのリーク電流波形を示す図、(b)は(a)における逆IV波形を示す図、(c)は正常特性を有するサンプルのリーク電流波形を示す図、(d)は(c)における逆IV波形を示す図。 (a)は不安定特性を有するサンプルのリーク電流波形を示す図、(b)は(a)における逆IV波形を示す図、(c)は不安定特性を有するサンプルのリーク電流波形を示す図、(d)は(c)における逆IV波形を示す図、(e)はリーク電流特大特性を有するサンプルのリーク電流波形を示す図、(f)は(e)における逆IV波形を示す図。 有機EL素子の概略構成を例示する側断面図。
本発明の一実施形態に係る有機EL素子の検査方法及びこれを実施する検査装置について、図1乃至図4を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る検査装置1は、有機EL素子10に電圧を印加するための電源部2、有機EL素子10に流れる電流を測定する電流測定部3と、電源部2及び電流測定部3を制御する制御部4と、を備える。また、検査装置1は、電流測定部3により測定された電流値を記憶する記憶部5と、有機EL素子10の有機層の良否を判定する判定部6と、を備える。
電源部2は、商用交流電流を所定の直流電流に変換し、サンプルである有機EL素子10に、逆バイアス電圧を印加する。電流測定部3は、逆バイアス電圧が印加されたときに有機EL素子10に発生するリーク電流の電流値を経時的に測定する。制御部4は、電源部2、電流測定部3及び記憶部5を制御して、各種データ、信号の管理を行う。判定部6は、測定されたリーク電流波形に基づき、後述する判定条件に従って有機EL素子10の良否を判定する。
有機EL素子10は、上記図5で示した有機EL素子101と同様の構成であり、透光性を有する基板102上に、透光性を有する陽極103(透明電極)が設けられ、この陽極103の上に、有機層104が設けられている。有機層104は、陽極103側から、ホール注入層141、有機発光層142及び電子輸送層143が夫々積層される。また、有機層104上に、光反射性を有する陰極105(反射性電極)が設けられる。
この検査装置1は、図2(a)に示す各ステップを実施することにより、有機EL素子における不点故障を検査する。まず、サンプルである有機EL素子10が、例えば検査台(不図示)といった所定の位置にセットされる(S0)。この検査台は、有機EL素子10の製造ラインに配設される。次に、有機EL素子10が、電源部2及び電流測定部3に接続される。そして、制御部4は、予め設定された印加電圧の範囲に基づき、電源部2が有機EL素子10に印加する逆バイアス電圧を制御する。この逆バイアス電圧は、例えば、−7Vとされる(電圧印加ステップ:S1)。
電源部2によって電圧が印加されている期間、電流測定部3は、有機EL素子10に発生したリーク電流の電流値を測定して、図2(b)に示すような電流波形を得る(電流測定ステップ:S2)。測定された電流値及び電流波形は、記憶部5に記憶される。そして、制御部4は、電流測定部3が測定した電流値の変化に対する時定数を算出する(時定数算出ステップ:S3)。
逆バイアス電圧の印加により有機EL素子に発生したリーク電流の電流値は、電圧印加時から経時的に減少して所定の収束値に至る。時定数は、リーク電流の電流値の変化量の、時間に対する傾きをいう。なお、リーク電流の電流値は、電圧印加時に大きな値となり、最初の20秒間に著しく減少し、その後、緩やかに減少する。上記時定数(傾き)は、電流値が緩やかに減少する期間に算出される。例えば、時定数は、電圧印加時から100〜200秒の間における電流値の変化量(傾き)から算出される。また、時定数は、電流値の最小2乗法による近似直線に基づいて算出されてもよいし、特定時間内の最初の電流値の移動平均値と最後の電流値の移動平均値を元に算出されてもよい。これら時定数の算出方法は、電流波形の形状等に応じて選択的に用いられ、時定数をより好ましい条件で算出することができる。
判定部6は、時定数の絶対値が、所定の閾値を超えるか否かで有機EL素子10の有機層の良否を判定する(判定ステップ:S4)。各ステップS1〜S4は、1つのサンプルに対して少なくとも2回以上実施される。
ここで、下記表1に示すように、12個の有機EL素子のサンプルを検査装置1に供して、上記検査方法を実施した。ここでは、いずれのサンプルに対しても、−7Vの逆バイアス電圧が印加され、電圧印加時から100〜200秒の間におけるリーク電流の電流量の変化量(傾き)を時定数として算出した。また、サンプルの良否を判定するための時定数の閾値を1.0E−02とした。
正常特性を有するサンプル1〜9においては、図3(a)(c)に示すように、電圧印加時から一定時間後のリーク電流の電流値の減少が緩やかであり、上記表1に示したように、それらの時定数(傾き)は、1.0E−02以下である。なお、図3(b)(d)に示すように、電圧を順次高めた場合でも、リーク電流は一定の値に収束する。
これに対して、不安定特性を有するサンプル10では、図4(a)に示すように、電圧印加時から一定時間後のリーク電流の電流値の減少がやや急であり、上記表1に示したように、その時定数(傾き)は、1.0E−02以上である。また、図3(b)(d)に示すように、電圧を順次高めた場合には、所定電圧以上(ここでは7V以上)でリーク電流が著しく増加する。検査装置1では、サンプル10のような、時定数(傾き)が閾値1.0E−02以上であるものを不良サンプルと判定する。
この検査方法によれば、逆IV波形で検査する場合よりも、より低い電圧で、不良サンプルに見られるようなリーク電流の発生を予測することができる。また、上記サンプル10のように、リーク電流の収束値が低いものであっても、不良サンプルと判定することができる。
不安定特性を有するサンプル11では、図4(c)に示すように、リーク電流に発振波形が見受けられ、上記表1に示したように、その時定数(傾き)は、1.0E−02以上である。また、図4(d)に示すように、電圧を順次高めた場合には、比較的低い電圧(ここでは7V以下)でリーク電流が著しく増加する。
リーク電流特大特性を有するサンプル12では、図4(e)に示すように、リーク電流の収束値が大きく、上記表1に示したように、その時定数(傾き)は、1.0E−02以上である。また、図4(f)に示すように、電圧を順次高めた場合には、比較的低い電圧(ここでは7V以下)でリーク電流が著しく増加する。
この検査方法によれば、各サンプルには、−7Vの逆バイアス電圧が印加されているだけであり、より低い電圧で、不良サンプルに見られるようなリーク電流の発生を予測し、サンプルの良否を判定することができる。従って、不点故障に至るサンプルを効率的に選別でき、検査による有機EL素子へのダメージを抑制することができる。
また、時定数は、電流値の最小2乗法による近似直線に基づいて算出されてもよいし、特定時間内の最初の電流値の移動平均値と最後の電流値の移動平均値を元に算出されてもよい。時定数の算出は、リーク電流波形の特徴を考慮して適宜に選択され得る。
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本検査方法が、製造された有機EL素子について、その陽極及び陰極間に電圧を印加し、これら挟まれた有機層の良否を判定するものとして説明した。しかしながら、積層された複数の有機層のうち、いずれかの区間に電圧を印加し、その区間における良否を判定することもできる。
1 検査装置
10 有機EL素子
103 陽極
104 有機層
142 有機発光層(発光層)
105 陰極
2 電源部
3 電流測定部
4 制御部
6 判定部
S1 電圧印加ステップ
S2 電流測定ステップ
S3 時定数算出ステップ
S4 判定ステップ

Claims (4)

  1. 陽極及び陰極間に有機発光層を含む有機層を有する有機EL素子の検査方法であって、
    前記陽極及び陰極間の所定の区間に逆バイアス電圧を印加する電圧印加ステップと、
    前記電圧印加ステップにおいて電圧が印加されたときのリーク電流の電流値を測定する電流測定ステップと、
    前記電流測定ステップにおいて測定された電流値の変化に対する時定数を算出する時定数算出ステップと、
    前記時定数の絶対値が、所定の閾値を超えるか否かで前記有機層の良否を判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする有機EL素子の検査方法。
  2. 前記時定数算出ステップにおいて、前記時定数は、前記電流値の最小2乗法による近似直線に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の検査方法。
  3. 前記時定数算出ステップにおいて、前記時定数は、特定時間内の最初の電流値の移動平均値と最後の電流値の移動平均値を元に算出されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の検査方法。
  4. 陽極及び陰極間に有機発光層を含む有機層を有する有機EL素子の検査装置であって、
    前記有機EL素子に電圧を印加するための電源部と、前記有機EL素子に流れる電流を測定する電流測定部と、前記電源部及び電流測定部を制御する制御部と、前記有機EL素子の有機層の良否を判定する判定部と、を備え、
    前記制御部は、前記電流測定部が測定した電流値の変化に対する時定数を算出し、
    前記判定部は、前記時定数の絶対値が、所定の閾値を超えるか否かで前記有機層の良否を判定することを特徴とする有機EL素子の検査装置。
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