JP2006145354A - 荷重センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 広い温度範囲において検出精度に優れた荷重センサを提供すること。
【解決手段】 Y23が添加されたZrO2よりなるマトリックスと、マトリックス中に分散したLa1-xSrxTiO3+y(0.03≦x≦0.40、−0.2≦y≦1.0)よりなるピエゾ抵抗効果材料と、からなるピエゾ抵抗素子を有する。本発明の荷重センサは、広い温度範囲において検出精度に優れた荷重センサとなっている。
【選択図】図3

Description

本発明は、荷重を測定する荷重センサに関し、詳しくは、広い温度範囲において検出精度に優れた荷重センサに関する。
従来、力、圧力、トルク、速度、加速度、位置、変位、衝撃力、重量質量、真空度、回転力、振動、騒音等の力学的な変位量を歪み(応力)を介して計測する力学量センサの構成材料、すなわち、ピエゾ抵抗効果を有する材料として半導体のシリコン単結晶および炭化ケイ素等が使用されている。また、ピエゾ抵抗効果材料として、ペロブスカイト型複合酸化物であるLa1-xSrxMnO3等が知られている。ここにピエゾ抵抗効果とは、材料に圧縮応力、引張応力、剪断応力、静水圧応力が加わった際に、材料の電気抵抗が変化する現象のことである。
このピエゾ抵抗効果材料は、たとえば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたピエゾ抵抗素子(文献中には力学量センサ材料と記載)は、電気絶縁性のセラミックス材料にピエゾ抵抗効果(圧力抵抗効果と記載)を発現する材料を連続的につながるように分散させている。このピエゾ抵抗素子は、素子に加わった荷重(応力)を電気抵抗値変化で検出する。ピエゾ抵抗効果を発現する材料として、ペロブスカイト構造物の中で、Aサイト原子としてランタノイドと一部をアルカリ土類元素、Bサイトとして遷移金属元素であるものをあげている。特に、特許文献1においては、La1-xSrxMnO3(0.15≦x≦0.40)について詳細に記述してある。
しかしながら、ペロブスカイト構造物は、その組成が異なるだけで電気的特性が大きく異なることが知られている。そして、上記La1-xSrxMnO3(0.15≦x≦0.40)を車両用の荷重センサのピエゾ抵抗効果材料として用いたときには、抵抗値の温度特性が大きく、必要とされる検出精度を得ることができないという問題があった。具体的には、車両用の荷重センサのうち乗員検知用荷重センサの場合、使用温度範囲は−30℃から85℃までと広範囲であり、さらにエンジンルームでは、−40℃から140℃までとさらに広い温度範囲での測定が必要である。つまり、この範囲でフラットな抵抗値の温度特性が必要となっている。ところが、La1-xSrxMnO3(0.15≦x≦0.40)は、抵抗値の温度特性が大きく、必要とされる検出精度が得られなかった。
特開2001−242091号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、広い温度範囲において検出精度に優れた荷重センサを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは、ピエゾ抵抗効果を発現する材料の転移点(磁気転移点等)が測定温度範囲内または近傍に存在すると温度特性が悪化してしまうという点に着目し、測定温度近傍に転移点が存在しないピエゾ抵抗効果を発現する材料を選定し、荷重センサとして構成することで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の荷重センサは、Y23が添加されたZrO2よりなるマトリックスと、マトリックス中に分散したLa1-xSrxTiO3+y(0.03≦x≦0.40、−0.2≦y≦1.0)よりなるピエゾ抵抗効果材料と、からなるピエゾ抵抗素子を有することを特徴とする。
La1-xSrxTiO3+y(0.03≦x≦0.40、−0.2≦y≦1.0)よりなるピエゾ抵抗効果材料は、転移点が−170〜−120℃であり、測定範囲(−40〜140℃)の近傍にない。すなわち、荷重センサの測定範囲の近傍に転移点が存在すると、温度変化による誤差が発生しやすくなるが、転移点が近傍にないことで温度変化による誤差が発生しにくくなる。このため、−40〜140℃の測定範囲においては、温度によらずにピエゾ抵抗効果を発現できる。
また、マトリックスを構成するY23が添加されたZrO2は、高い強度を有する。この高い強度により、荷重センサが高荷重や高圧力を検出できるようになる。
この結果、本発明の荷重センサは、測定範囲の温度において検出精度に優れた荷重センサとなっている。
本発明の荷重センサにおいて、上記したマトリックスにピエゾ抵抗効果材料を分散したピエゾ抵抗素子以外の構成は、従来のピエゾ抵抗効果材料を用いた荷重センサと同様な構成とすることができる。すなわち、上記ピエゾ抵抗素子の背向する一対の表面に電極を形成し、この電極に導線を接続することで荷重センサとすることができる。
また、本発明の荷重センサは、広い温度範囲(−40〜140℃)において検出精度に優れた荷重センサであることから、使用される温度範囲が広い車両に搭載されて用いられることが好ましい。すなわち、車両用荷重センサとして用いることが好ましい。車両用荷重センサとしては、たとえば、乗員検知用荷重センサ、衝突検知用荷重センサ、踏力センサ等をあげることができる。
乗員検知用荷重センサは、車両のシート上に乗員が着座しているかどうかを自動的に検知する乗員検知装置において着座の検知に用いられるセンサである。この乗員検知用荷重センサは、たとえば、図4〜5に示したように、車両のシートに設置できる。
図4は、乗員検知装置3を備えた車両のシート2の構造を簡略化して示した図である。座面を構成するフレーム部201と、背もたれ面のフレーム部202と、これらを回動可能に支持する連結部204とを備えたシート2であり、このシート2は、座面のシートクッション210aと、背もたれとなるシートバック210bとからなる。車両のフロア4にはアーム205が固設されており、このアーム205と座面を構成するフレーム部201との間に、乗員検知用荷重センサ30が備えられており、シート2に加えられる荷重、すなわち乗員の重量を検出することができる。
図5は、図4に示された乗員検知装置3を拡大して示した図である。図5に示した乗員検知装置3は、荷重伝達部材31、支持部材32、荷重センサ支持部材33、および乗員検知用荷重センサ30とで構成されている。ただし、荷重伝達部材31と支持部材32とは一体に構造されており、支持部材32が荷重センサ支持部材33の両端で上方向に突出する突出部34によって外周側から挟まれるように嵌合固定されている。なお、締結部材220は、座面を構成するフレーム部201と締結するための締結部材であり、締結部材221は、車両のフロア4に固設されたアーム205と締結する締結部材である。これらの締結部材220,221は図に示された本形態においてはボルトとナットとからなる。
また、乗員検知装置3は、バスバー35上に所定の演算手段36が搭載されており、この演算手段36と乗員検知用荷重センサ30とは、バスバー35上に設けられた配線部(図示せず)を介して電気的に接続されている。また、演算手段36は、バスバー35上の配線部と導線37とを介してコネクタ38と接続され、コネクタ38を介して外部と電気的に接続されている。これにより、乗員検知用荷重センサ30には、所定の電圧が印加され、その電圧信号の変動を出力信号として、所定の演算手段36に入力する。演算手段36は、この入力信号に対して演算処理を行い、さらには各種条件による補正処理等を施して、荷重検出装置3に加えられた荷重を演算する。演算結果は、導線37を介してコネクタ38から外部に出力され、例えば、車両用制御部等に出カされる。
衝突検知用荷重センサは、たとえば、衝突時に車両前方から加えられる荷重を検出する衝突検知装置において衝突の検知に用いられるセンサである。この衝突検知装置4は、たとえば、図6〜7に示したように、車両のフロントエンド部に設置される。
図6は、車両のフロントエンド部の構造を示す断面概略図である。図6に示された車両のフロントエンド部分は、バンパカバー50の内側に、塑性変形によってバンパカバー50への衝撃エネルギーを吸収するエネルギーアブソーバ51を備え、このエネルギーアブソーバ51は、バンパカバー50とバンパリインフォースメント52との間に設置され、バンパリインフォースメント52にボルトとナットとからなる締結部材53によってねじ固定され、結合している。衝突検知装置4は、そのバンパリインフォースメント52と車体前後に延びる車体フレームをなすサイドメンバー54との間に挟持されている。図7は、バンパリインフォースメント52とサイドメンバー54の車体における位置関係を示す図である。このとき、衝突検知装置4とバンパリインフォースメント52との連結は、バンパリインフォースメント52を貫通する締結部材53によってなされ、また、衝突検知装置4とサイドメンバー54との連結は、ボルトとナットとからなる締結部材550,551によってねじ固定されている。
また、衝突検知装置4は衝突検知用荷重センサ40を備えており、衝突検知用荷重センサ40は、演算手段(図示せず)と電気的に接続されている。また、演算手段は、導線(図示せず)とを介してコネクタ(図示せず)と接続され、コネクタを介して外部と電気的に接続されている。これにより、衝突検知用荷重センサ40には、所定の電圧が印加され、その電圧信号の変動を出力信号として、所定の演算手段に入力する。演算手段は、この入力信号に対して演算処理を行い、さらには各種条件による補正処理等を施して、衝突検知装置4に加えられた荷重を演算する。演算結果は、外部に出力され、例えば、車両用制御部等に出カされる。
本発明の荷重センサは、高強度をもつマトリックスに測定温度近傍に転移点が存在しないピエゾ抵抗効果材料が分散した圧力抵抗効果材料を有する。ピエゾ抵抗効果材料が測定温度範囲近傍に転移点を有していないことから、測定温度範囲内で温度変化があってもピエゾ抵抗効果が精度よく発現される。つまり、本発明の荷重センサは、広い温度範囲において検出精度に優れた荷重センサとなっている。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
本発明の実施例として荷重センサを作製した。
(実施例)
まず、ピエゾ抵抗効果材料の製造方法について説明する。
La23粉末、SrCO3粉末、TiO2粉末、Ti粉末を、La:Sr:Ti:Oの組成比で0.75:0.25:1:3となるように秤量した。これらの粉末を混合用ZrO2−Y23製ボール、水、分散剤、消泡剤と一緒にポリエチレン製ポットに入れ、30時間攪拌混合した。混合粉末を乾燥、粉砕した後、Arガスを1L/minの流量で導入した焼成炉にて1400℃で4時間仮焼し、La0.75Sr0.25TiO3よりなるピエゾ抵抗効果材料を製造した。
次に荷重センサの製造方法について説明する。
上記ピエゾ抵抗効果材料(La0.75Sr0.25TiO3)に、ZrO2−Y23粉末(市販品)を重量比が35:65となるように加え、これらの粉末を混合用ZrO2−Y23製ボール、水、分散剤、消泡剤、バインダーと一緒にポリエチレン製ポットに入れ、100時間粉砕混合した。
その後、スプレードライ装置により造粒粉を作製し、直径15mm、厚さ3mmの円柱形状にプレス成形した。この成形体をArガスを1L/minの流量で導入した焼成炉にて1500℃で4時間焼成した後、4%H2ガス(N2バランス)雰囲気中で950℃、30時間の還元処理を実施した。この還元処理によりTiに対するOの比が3.5となり、ピエゾ抵抗効果が発現するようになった。マトリックス中にピエゾ抵抗効果材料が分散したピエゾ抵抗素子が製造された。この圧力抵抗効果材料は、その密度が理論密度の97%に緻密化し、導電性を有しており、比抵抗は80Ω・cmであった。
そして、このピエゾ抵抗素子10を5×5×1.5mmに加工し、背向する5×1.5mm面にPtペーストを塗布した後に850℃に加熱して焼き付け、電極11とした。この電極11にリード線12をハンダ付けし、本実施例の荷重センサ1が製造された。本実施例の荷重センサを図1に示した。
(比較例)
La23粉末、SrCO3粉末、MnCO3粉末を、La:Sr:Mnの組成比で0.75:0.25:1となるように秤量した。これらの粉末を混合用ZrO2−Y23製ボール、水、分散剤、消泡剤と一緒にポリエチレン製ポットに入れ、30時間攪拌混合した。
その後、混合粉末を乾燥、粉砕した後、O2ガスを1L/minの流量で導入した焼成炉にて1400℃で4時間仮焼し、La0.75Sr0.25MnO3よりなるピエゾ抵抗効果材料を製造した。
製造されたピエゾ抵抗効果材料から実施例のときと同様にしてピエゾ抵抗素子を製造し、つづいて荷重センサを製造した。なお、荷重センサを構成するピエゾ抵抗素子は、その密度が理論密度の98%に緻密化し、導電性を有しており、比抵抗は930Ω・cmであった。
(評価)
実施例および比較例の荷重センサの評価として、各荷重センサの背向する5×5mm面間に絶縁物を介して150MPaまでの荷重を印加し、印加された荷重に対する抵抗値を測定し、荷重がかけられていない状態の抵抗値とから、抵抗変化率を求めた。なお、抵抗値の測定は、リード線12および電極11を介して電圧を印加し、二端子法で電気抵抗を測定した。測定された抵抗変化率を図2に示した。
図2より、0〜150MPaの範囲の荷重に対してほぼ直線的に抵抗変化率が減少していることがわかる。つまり、0〜150MPaと広い荷重範囲においては、抵抗変化率から荷重を精度よく検出することが可能であることがわかった。
また、荷重が無い場合の抵抗値の温度変化を測定し、測定結果を図3に示した。
図3より、実施例の荷重センサに用いられたピエゾ抵抗効果材料は、比較例に用いられたピエゾ抵抗効果材料より、温度に対する抵抗値変化が広い範囲で小さいことがわかる。つまり、実施例の荷重センサは、広い温度範囲で荷重検出精度が良いことがわかる。ここで、実施例に用いられたピエゾ抵抗効果材料の転移点は−150〜−140℃であり、測定範囲(−40〜140℃)の近傍にない。また、比較例に用いられたピエゾ抵抗効果材料の転移点は85〜95℃である。
上記したように、実施例の荷重センサは、温度変化が生じても高い検出精度で加重を検出することができる。また、本発明の荷重センサは、温度変化によらずに高い検出精度を発揮できることから、使用される環境が広い温度範囲にわたる車両において用いたときにその効果を発揮する。
実施例の荷重センサを示した図である。 荷重センサの荷重変化に対する抵抗変化率の測定結果を示した図である。 荷重センサの温度変化に対する抵抗変化率の測定結果を示した図である。 乗員検知用荷重センサを設置したシートを示した図である。 乗員検知用荷重センサ近傍を示した図である。 衝突検知用荷重センサを備えたフロントエンド部の構成を示した図である。 バンパリインフォースメントとサイドメンバーの車両における位置関係を示した図である。
符号の説明
1…荷重センサ 10…ピエゾ抵抗素子
11…電極 12…リード線
2…シート 201…座面のフレーム部
202…背もたれ面のフレーム部 204連結部
205…アーム 220,221…締結部材
3…乗員検知装置 30…荷重センサ
31…荷重伝達部材 32…支持部材
33…荷重センサ支持部材 34…突出部
35…バスバー 36…演算手段
37…導線 38…コネクタ
4…衝突検知装置 40…衝突検知用荷重センサ
50…バンパカバー 51…エネルギーアブソーバ
52…バンパリインフォースメント 53…締結部材
54…サイドメンバー 550,551…締結部材

Claims (1)

  1. 23が添加されたZrO2によりなるマトリックスと、
    該マトリックス中に分散したLa1-xSrxTiO3+y(0.03≦x≦0.40、−0.2≦y≦1.0)よりなるピエゾ抵抗効果材料と、
    からなるピエゾ抵抗素子を有することを特徴とする荷重センサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007139171A1 (ja) 2006-05-25 2007-12-06 Canon Kabushiki Kaisha 水性インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置

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